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特集趣旨

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Academic year: 2021

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− 37 − 特集趣旨 本特集は「障害/社会」の第 4 弾として位置づけられ ている。第 1 から第 3 までについては、以下の冊子、あ るいはウェブ上の全文掲載をご確認いただきたい。 『インクルーシブ社会研究』第 5 号、立命館大学人間科学 研究所、2015 年 https://www.ritsumeihuman.com/publication/ publication902/publication1027/ 『インクルーシブ社会研究』第 11 号、立命館大学人間科 学研究所、2016 年 https://www.ritsumeihuman.com/publication/ publication902/publication1035/ 『生存学研究センター報告書』第 28 号、立命館大学生存 学研究センター、2017 年 https://www.ritsumei-arsvi.org/publication/ center_report/publication-center28/ (第 4 弾に至れば「シリーズ」を名乗ってよいだろうと いう見込みのもと)本シリーズは、これまで連続セミナー 「障害/社会」の講演録を中心として掲載してきた。ただ し、2014 年度から開催してきた連続セミナー「障害/社 会」は、2017 年度には開催していない。これは、年度計 画において土曜講座の依頼があり、曜日設定等が「一般 市民が参加しやすいように」というこれまでの連続セミ ナーの開催形態とも適合するため、土曜講座のテーマを 「障害/社会」とすることを提案し、承認されたためであ る。2018 年には連続セミナー「障害/社会」を生存学研 究センター主催にて開催することができたため、本特集 には 2018 年 2 月に開催された土曜講座「障害/社会」と、 2018 年 5 月に開催された連続セミナー「障害/社会」の 内容が掲載されることになった。

土曜講座「障害/社会」

土曜講座は 2 月に 3 回開催された。それぞれの回は以 下の案内文とともに広報されている。 2018 年 2 月 3 日(第 3228 回) 「障害者運動と法制度の現在―障害当事者の立ち 上がりから障害者権利条約批准まで」 立命館大学生存学研究センター客員研究員 認定 NPO 法人 DPI 日本会議 副議長 尾上浩二 日本政府は 2014 年に国連・障害者権利条約を批准 しました。この条約は、「障害は、機能障害と社会的 障壁の相互作用によってもたらされる」との社会モ デルの考え方に基づき、あらゆる形態の障害者差別 を禁止し、分け隔てられることのないインクルーシ ブな社会を各国政府に求めています。 障害当事者が社会運動の主体として登場して半世 紀近くが経ちます。当時、「障害の社会モデル」とい う言葉はまだありませんでしたが、「障害者が街に出 れば差別に当たる」と社会による障壁を直感的につ かんでいました。社会的障壁に立ち向かい、施設や 病院ではなく地域で、共に学び育つ保育・教育を、誰 もが使える交通機関をと求めた運動が果敢に取り組 まれてきました。 当初は「異端視」された障害当事者運動は長年の 取り組みを経て、2013 年には障害者差別解消法の制 定を実現し、権利条約の批准に至りました。一方、昨 年 7 月には権利条約や差別解消法が目指すインク ルージョンとは真逆の障害者排除を企図した相模原 障害者殺傷事件が起き、あらためて障害者差別の根 深さを示しました。 本講座では、障害者運動に 40 年近く関わってきた 講師の経験も交えながら、障害者運動と法制度に関 する歴史を紹介するとともに、今後の課題をともに 考えていきたいと思います。 特集 2

特集趣旨

渡 辺 克 典 (立命館大学)

(2)

− 38 − 立命館生存学研究 vol.2 2018 年 2 月 10 日(第 3229 回) 「公正な社会を阻んでいるものは何か―障害者差 別解消法と合理的配慮概念を手掛かりに」 立命館大学生存学研究センター客員研究員 大阪市立大学非常勤講師 松波めぐみ ご記憶の方もいるだろう。昨年(2017)年 6 月、奄 美空港で車いすを使う男性が、LCC(格安航空会社) であるバニラエア機への搭乗を拒否され、やむなく 腕を使ってタラップを い上がるという事件があっ た。この件では男性が、2016 年から施行されている 障害者差別解消法に基づく相談窓口に相談したこと により、バニラエアが「不当な差別的取り扱い」(要 は差別)を行ったことが認められ、改善策として設 備が購入された。もう同じような差別は許されなく なったのである。法律ができたことの成果といえる。 ところが、この件に対する世間の反応はとてつも なく奇妙だった。最初こそ同情が起こったが、「事前 連絡しなかった」等、見当違いな理由で男性へのバッ シングが起こったのである。まだまだ障害のある人 が同じ「権利」を享受できるよう社会を変えていく という法の趣旨が知られていないこと、障害者の生 活は制限されて当たり前と思われていることを私は 痛感した。 講座では、法律やキーワードの「合理的配慮」に ついて、具体例も使ってわかりやすくお話ししたい。 あなたも私も安心して生きられる「公正な社会」と は?それを阻むバリアを取り除くために何ができる のかを一緒に考えてみたい。 2018 年 2 月 17 日(第 3230 回) 「障害女性の生きづらさに向かい合う」 立命館大学生存学研究センター客員研究員 名古屋市立大学非常勤講師 河口尚子 障害者権利条約第 6 条において、「障害のある女性 や少女が複合的な差別を受けている」とあるように、 差別の複合性が着目されている。 ある人が複数の事由に基づく差別を経験し、その 結果、複雑化あるいは増幅した差別が引き起こされ る状態のことである。つまり単にある差別に別の差 別が付加されるということではなく、互いに絡み合 い複雑に入り組んでいる状態を指している。被害は 過 重 的 に な る に も か か わ ら ず、 個 々 の 事 由 に よ る差別が実証されにくいこともある。その複雑な状 況 を 捉 え る た め の 分 析 軸 と し て「 交 差 性 (Intersectionality)」という概念が用いられるように なっている。 今回、この複雑に入り組んだ状態を捉えるため、あ らかじめ「差別」の経験を特定し、それに当てはま る差別事例を収集するというアプローチはとらず、 障害女性にとって「生きづらさ」を感じさせた出来 事、およびそれへの意味づけを重視し、聞き取り調 査を行っている。障害女性が感じている「問題」の 背景に、さまざまな複数の事由がどのように同時に 相互に作用して、一人一人の障害女性の生きづらさ につながっているのか、聞き取り調査をもとに考え ていきたい。 土曜講座の開催ならびに本特集の収録に関する手続き に際して、研究部衣笠リサーチオフィス土曜講座事務局 のみなさんにはたいへんお世話になりました。入試日程 との調整、当日の運営等、土曜講座の開催はご助力あっ てこそと身に染みております。この場を借りて、お礼を 申し上げます。

連続セミナー「障害/社会」第 11 回、

第 12 回

連続セミナー「障害/社会」の第 11 回となる「障害者 権利条約の報告と審査―台湾(中華民国)政府審査と その経験」と第 12 回「コスタリカ障害者自立推進法と当 事者活動」は以下の日時・会場で開催された。第 11 回は 講演者である長瀬修氏を研究代表者とする科研費・基盤 研究(C)「東アジアにおける障害者権利条約の実施と市 民社会」(18K01981)と、立岩真也氏を研究代表者とし、 渡辺も研究分担者をつとめている科研費・基盤研究(B) 「病者障害者運動史研究」(17H02614)と共催事業となっ た。 日時: 2018 年 5 月 18 日(金)18:30 ∼ 21:00(開 場 18:00) 会場:キャンパスプラザ京都 2 階第一会議室 主催:立命館大学生存学研究センター 共催: 科研費・基盤研究(C)「東アジアにおける障 害者権利条約の実施と市民社会」、科研費・基 盤研究(B)「病者障害者運動史研究」

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− 39 − 特集趣旨 連続セミナーが連続できること、そして特集が「シリー ズ化」できていることは継続したお力添えがあってこそ です。立命館大学人間科学研究所『インクルーシブ社会 研究』第 5 号と第 11 号、『生存学センター報告』第 28 号 にお名前を記させていただいた方々に加え、このたびの 「障害/社会」ならびに本特集を作成するにあたって、生 存学研究センター事務局(元をふくむ)の平田良佑さん、 長谷川倫子さん、加島美和さん、蒲田梨恵さんにはたい へんお世話になりました。この場を借りて、厚くお礼を 申し上げます。

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参照

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