• 検索結果がありません。

自動車メーカのサプライヤ関係に関する理論的再検討

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "自動車メーカのサプライヤ関係に関する理論的再検討"

Copied!
16
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)自動車メーカのサプライヤ関係に関する理論的再検討 木 村 泰 三. Ⅰ.はじめに. 策の議論は,「二重構造論」を背景として日本 の成長を支えてきた産業構造の特徴的なひとつ. 日本 の 自動車産業 の 競争優位 に 関 す る 研究. に親企業を頂点とした階層的な下請分業構造が. は,これまで幾多の蓄積があり,その中でも自. つくられ,長期継続的にこれが維持されてきた. 動車部品のサプライヤ関係の重要性を論じる. と言われていた.. 研究は多くなされている.それらサプライヤは. 昭和 44(1969)年版中小企業白書 に よ れ ば,. 階層的分業構造の中で部品取引を通じて自動車. 階層的下請分業構造 の 典型例 と し て 自動車業. メーカ及びサプライヤの競争優位性に影響を与. 界をあげ,日本の 14 社の自動車メーカには約. えている可能性があるといわれてきた.. 350 社の部品サプライヤ,それぞれに約 8,000. しかしながら,近年,一部のメーカは部品の. 社の一次,二,三次下請企業者があるという構. 調達行動のオープン化,自動車メーカの海外生. 造を示している.また,各々の部品サプライヤ. 産による現地購買の促進,自動車用のソフトウ. には部品の一部や加工工程を 50~100 社程度の. エアの部品化・共通化のための自動車メーカや. 下請メーカに発注しており,さらにそれらも再. 部品サプライヤのコンソーシアム1)などの動き. 下請メーカを抱えているという多層的ピラミッ. があり,これまでいわれている取引形態から変. ド状構造に位置する中小製造業が自動車生産の. 容しているという意見も散見される.. 基盤だと指摘している2).. 筆者は日本を代表するトヨタ自動車(以下,. 世界の自動車生産が 2,000 万台になってきた. トヨタ)のサプライヤの実態を調査・研究して. 1966 年当時,日本の生産はやっと 100 万台を突. いるが,まず,本稿においては独自の概念化の. 破する段階であったが,この階層構造の成長と. 枠組みを用いて自動車メーカとそのサプライヤ. ともに 10 年後には 378 万台と大きく伸張する.. との関係について先行研究の理論的検討をする.. さて,自動車産業は,かかる議論がなされる. Ⅱ.問題意識. 以前から産業構造が分業な形態を呈していると いわれており,欧米から日本のサプライヤ関係. 1999 年に中小企業基本法が 36 年ぶりに抜本. を見たときには階層的分業で,さらに長期的な. 改正され,中小企業は「経済発展の担い手」と. 関係が形成されていることに特徴をもつと言わ. して改めて位置づけられた.過去の中小企業政. れてきた.. . 1)AUTOSAR(The Automotive Open System Architecture)などが一例. ところが,1999 年に日産自動車の Carlos Ghosn . 2)中小企業白書昭和 44(1969)年版.

(2) 48. (226). 横浜国際社会科学研究 第 16 巻第 2 号(2011 年 8 月). 社長が打ち出した日産改革3)によるサプライヤ関 係の大幅見直しに端を発して,自動車メーカと. 動車メーカとの協力関係を国策として講じた (自動車製造事業法 第二条).. サプライヤとの関係がオープンでかつ,容易に. 特に商工省はトヨタ(1937 年発足)対して,. 取引できるように変容してきているという指摘. 部品の外注比率を 44%,日産自動車(1934 年,. さえある.. 統合 し 社名変更)に は,同比率 を 50% と す る. これらの変化は筆者のように自動車メーカの. と定め,部品産業の育成を強めた.これは,日. サプライヤ関係を研究している者にとれば大い. 本 フォード,日本 GM を 日本 か ら 撤退 さ せ,. なる関心事である.そこでこの関係を明確にす. 国内で安価な大衆車を生産させようとする国の. る手がかりとするにために自動車メーカのサプ. 思惑から構想された施策である.. ライヤに関する先行研究の理論的な再検討を. トヨタは米国車を分解して,これを参考に車. し,研究の一助としたい.. 体や部品を試行錯誤して設計した.ちなみに,. Ⅲ.日本の自動車産業の歴史. この競合他社の自動車を購入して細部の部品の 単位まで分解し自社製品の構造設計や技術力,. 1.第二次世界大戦までの自動車産業. コストとの比較分析をして他のよいところは取. 1925 年に日本フォードが横浜で,1927 年に. り入れて自社の参考にするという手法は今日で. 日本 GM が 大阪 で,そ れ ぞ れ 自動車 の ノック. も頻繁に行われている.. ダウン生産を開始し,10 年後の 1935 年には日. 植田(2004)は第二次世界大戦以前の日本の. 本 の 自動車供給量 は 計 36,815 台 と な る が,そ. 自動車産業を分析し,国産化される前から輸入. のうち,輸入組立車が 84% を占めていた(日本. されている外国製自動車の補修部品は修理や交. 自動車工業会,1988 年) .. 換目的により日本でも部品メーカが生産してい. 植田(2004)は 1920 年代以降 の 日本 の 自動. た と 指摘 し,戦後,日本の自動車生産とそれに. 車工業を考察する際には輸入自動車の補修部品. 供給する部品サプライヤを見る際には部品生産. の部品工業を含めた実態を考察すべきだと指摘. を経験していたことが重要であると述べている.. している.なぜなら,輸入に頼っていた自動車 においても補修部品は当初から日本で製造され. 2.第二次大戦後における自動車産業. ており,それが派生的に輸入部材の代替生産に. 戦後,商工省 は 1948 年 に「自動車工業基本. 発展したということだからである.これにとも. 対策」を打ち出し,これに基づく「自動車産業. ない,京浜工業地帯や阪神工業地帯は自動車部. 政策」により,1953 年には戦前の生産のピー. 品工業が成長,中京工業地帯でも伝統的な木材. クであった年間 47 千台の 2 倍強である 120 千. 産業,繊維産業,陶器業が,また,第一次世界. 台の生産目標を掲げた.かかる日本の自動車産. 大戦を通して,航空機産業,機械工業などが発. 業の戦後本格的復興の原点は 1950 年に勃発し. 達しており, 部品工業が成長する萌芽があった.. た朝鮮戦争による特需によるところが大きく,. 1936 年「自動車製造事業法」が施行され,保. トラック生産の伸張がみられた.当時の自動車. 護主義に立脚して日本の自動車産業の育成がな. メーカはトラック生産に集中しており,乗用車. さ れ た.ま た, 「優良自動車部品及最良認定規. 生産への生産能力は割けなかった.. 則」により,日本フォード,日本 GM の部品を. 1949 年に商工省とその外局を統合して通商. 手がけていた中小のメーカをさらに育成し,自. 産業省 が 発足 し,1955 年 に 自動車産業 を 育成. . 3)日産自動車『日産 リ バ イ バ ル プ ラ ン』資料 1999.10.18.. する戦略が「国民車育成要綱」として打ち出さ れた.同年,ノックダウンの外国製の乗用車の 輸入を禁止として国内自動車産業の振興を国と.

(3) 自動車メーカのサプライヤ関係に関する理論的再検討(木村). して支えた.それに対応し国内の自動車メーカ 各社は量産化に向けた設備増強を目指すことに. (227). 49. Ⅳ.日本の自動車産業研究. なる.. 1980 年代の米国の経済は経常赤字と財政赤. トヨタにおいては 1959 年に日本ではじめて. 字のいわゆる Twin deficit(双子の赤字)状態. の乗用車専門工場を完成させた.1957 年の日. に悩まされる一方で,1986 年に日本は国民一. 本 の 乗用車生産台数 は 47,121 台,そ の う ち ト. 人当 た り の 国民総生産(GNP)が 米国 を 追 い. ヨ タ が 19,885 台 で あった.当時,ト ヨ タ は 元. 抜いて世界 1 位になった.. 町工場の 5 年後の月産能力目標を 5 万台とし,. 米国 で は「産業競争力委員会:Presidentʼs. 先進自動車国の欧州に負けたくないという信. Commission on Industrial Competitiveness 」. 念,そして米国よりも新しい設備を投入して対. が 1985 年 に「 Global Competition The New. 等に勝負できる体制を確立したいという当時の. Reality」 を 提 出 し,「 JAPAN AS NUMBER. トヨタの意気込みがうかがい知れる(1978,ト. ONE」な ど 日本 の 研究 が 行 わ れ は じ め た.. ヨタマネジメント p. 16 参照) .トヨタ以外に. 1990 年に Roos らの MIT のメンバーによる自. も日産をはじめ各社の工場が新設され,日本も. 動車産業に関する国際共同研究(IMVP;The. 自動車生産の体制が整った.その後,経済成長. International Motor Vehicle Program) の 報. が進み,いざなぎ景気と言われた 1960 年代後. 告書の成果が発表された(Womack,1990).. 半には,カラーテレビ,クーラー,自動車の耐. IMVP は 国際自動車研究 プ ロ グ ラ ム と し て. 久消費財が新三種の神器といわれて普及し,自. 1979 年に発足し,50 名以上のメンバーで構成. 動車保有台数 が 増加 し 本格的 な モータ リ ゼー. されて,6 つの大陸,25 以上の大学のメンバー. ション時代を経て,自動車メーカは国際市場へ. を中心に科学者や学者,エンジニアなどがいて,. と躍進する.. 世界の自動車産業について学際的な研究を行っ. ところが,日本の自動車メーカの国際競争力. ている4).. が優性となり,輸出台数が 500 万台規模になる. この研究は日本の自動車産業の発展状況を日. 頃に日米貿易摩擦が発生し 1981 年に対米乗用. 米比較分析した構成で,世界の自動車産業にお. 車輸出の自主規制が行われ,1994 年に撤廃さ. いて圧倒的優位に立つ日本自動車産業の実態を. れるまで継続されることになる.. 評価した.. 当時,米国はオイルショック後の経済不況に. 研究においては,ジャスト・イン・タイムや. 晒されており,GM やクライスラーなどの大手. 多品種少量生産,ローコストオペレーションお. 自動車メーカは不況の影響で赤字に転落し,工. よび継続的な改善に基づく自動車生産の方法. 場閉鎖や従業員解雇というどん底を強いられて. を Lean product systems と 呼 ん だ.第二次世. いる.一方,日本の自動車メーカの輸出は躍進. 界大戦後に,トヨタがリーンな生産の概念を編. し,政治問題へと発展した.しかし,米国政府. み出したとされ,後に「トヨタ生産方式」と呼. として日本車の輸入規制をするという方法をと. ばれることになった(Womack,1990;沢田,. らず,日本政府との話し合いにより「対米自動. 1990)としている. IMVP は日本のリーンな. 車輸出自主規制」という措置をとった.この間. 概念が自動車の製品設計や部品の調達,生産や. に,米国のビックスリーは再建策を講じること. 販売に及ぶところにまで浸透し米国に比べて効. が可能となった訳で日本の政治的配慮であった. 率的であると指摘した.これも下川(2004)に. といえる.この後,自動車メーカは完成車輸出 拡大のチャンスが減少し,次第に海外現地生産 を中心とした海外シフトが進展する.. . 4)http://www.imvpnet.org/about.asp, 2011. 3. 19..

(4) 50. (228). 横浜国際社会科学研究 第 16 巻第 2 号(2011 年 8 月). よれば,原点はフォードのライン同期化の考え. 現在ではトヨタにおいても「トヨタ自動車の. 方をトヨタがより徹底させたものであると論じ. クルマを造る生産方式は,『リーン生産方式』,. ている.. 『JIT(ジャス ト・イ ン・タ イ ム)方式』と も. 同様な観点からの研究として,Imai(1986). いわれ,今や,世界中で知られ,研究されてい. は『Kaizen』を米国で発表し,これを the key. る『つくり方』」と紹介している5).. to Japan’s competitive success と総称して紹介. このように 1980 年代の日本の自動車産業の. した.カイゼンは改善活動を指し,生産現場が. 研究活動はトヨタを中心とした自動車メーカの. 自身の目線で自らが知恵や工夫を出して生産方. 経営指標から生産現場活動や開発手法,調達に. 法の考案や設備の改造や工具の製作,さらには. ついての考え方などを調査・研究し,1990 年. 作業の安全性の向上,品質不良品の流出の歯止. 代となってからその研究成果のアウトプットが. めなどの多岐にわたる活動のことである.英語. 続々と出された.. で『Kaizen』は上梓されたが,2 年後には日本 で『カイゼン』として出版されている.カイゼ. V.サプライヤ関係の分類. ンはトヨタ生産方式の基本概念であり,トヨ. こ こ ま で は 自動車産業研究 の 背景 を 概観 し. タが共有すべき価値観や手法を示した「トヨタウ. た.. ェイ 2001」の 2 つの柱の「知恵と改善」と「人. さて,自動車メーカのサプライヤ関係につい. 間性尊重」の中にもうたわれている(トヨタ,. て幾多の先行研究があるが,本稿ではあえて独. 2007) .. 自 の 視点 か ら「ス タ ティック ア プ ローチ」と. 1990 年代 に 入 り,リーン 生産方式 は 米国 の. 「ダイナミックアプローチ」に分類して整理し. 製造業に広く普及し,その後,日本へも改めて. てみた.. 紹介されるようになった.日本発の考え方が米. こ の「ス タ ティック ア プ ローチ」に つ い て. 国より改めてもたらされたのである.リーン. は,研究を静態的観点から構造的に捉えて論じ. 生産方式 は MIT に よって 再体系化・一般化 さ. ているものとし,「ダイナミックアプローチ」. れたものであるが,元来,日本の製造現場を中. は研究を動態的観点から変化のプロセスを捉え. 心とした生産の仕方,仕事のやり方を観察・分. て論じているものという視点で整理を施した.. 析して概念化したもので日本の企業には受け入 れられ易い土壌を持つのである.しかし,必ず. 1.スタティックアプローチ. しも米国内では日本的なリーン生産が賞賛ばか. ⑴  内製化比率視点. りを得たわけではなく,従業員からの反発も強. こ こ で は 自動車部品 の 調達 に つ い て ス タ. かった 点 も 見逃 せ な い(Fucini et al., 1990;中. ティックな観点で論じられた研究を挙げた.. 岡訳,1991:Parker et al., 1988;戸塚訳 , 1995) .. 自動車パーツを内製化するか,あるいは外部. 日本 で は「ト ヨ タ 生産方式」に 関 す る 著書. から調達するかという議論があるが,内外を決. (大野,1978;門田,1978,1989)や 前述 の 今. める判断に取引コストという概念がある.. 井(1989)のカイゼンなどが紹介されていたが,. Monteverde & Teece( 1982)が 1970 年 代. リーン生産方式が米国で普及してきたことを受. 半ばの GM と Ford の 133 の主な部品の技術的. けて,1990 年代には日本でも大野が 1978 年の. な難度を調べ,内製化比率との関係を調査して. 著書の名に付けた『トヨタ生産方式』と呼ばれ る よ う に なった.岩月(2010)に よ れ ば 1973 年に大野が「トヨタ式生産方式」と名づけ,そ れ以降トヨタ社内でそのように呼ばれていた.. . 5)ト ヨ タ 自動車株式会社 ホーム ページ 参照 http://www2.toyot.co.jp/jp/vision/production_sys tem/2010.2.20..

(5) 自動車メーカのサプライヤ関係に関する理論的再検討(木村). (229). 51. いる.その結果,設計上の技術的な難度が高い. 専用設備の処置に困惑するというケースもあり. 部品ほど取引コストが高くなるために内製化さ. うる.かかる機会主義的存在がリスクであるが,. れている.. 元来,市場取引では調達困難な部品だけに,最. 自動車メーカにとって,部品の調達に関する. 終的には自動車メーカは自社での内製,すなわ. 重要な意思決定に際しては,内製するか,また. ち,企業内部組織での調達という判断となりう. は市場から買うかという二者択一に迫られるこ. る.. とになる.いわゆる「Make or Buy」の判断と. Klein, Crawford & Alchian( 1978) が GM. いうことである.. に自動車のボデーのプレス製品を納入してい. Williamson(1975,1991)は,一般的 な 取引. た Fisher Body Co. をホールドアップ問題のリ. コストの体系化を通じて「市場での取引による. スクを回避しようと買収した事例を資産の特殊. 調達」と「企業内部の組織からの取引による調. 性の視点からの判断だと論じている.しかし,. 達」の二つの概念で企業と企業との間の継続. この議論は 20 年後,Casadesus-Masanell &. 的取引 を 上 げ,さ ら に 中間 の 取引概念 を「混. Spulber(1999)や Coase(2000)が,GM が Fisher. 合された取引からの調達」とした.Williamson. Body Co. を買収した目的は,かつて言われた. の 取引 コ ス ト の 体系 の 中心概念 は 機会主義. ようなホールドアップ問題ではなく,むしろ,. (opportunism)で あ る.機会主義 は 人的資本. GM がプレス加工を内部化しようとしたにすぎ. や物的資本における取引特有の投資を含む経済. ないとの議論をしている.いずれにしても GM. 活動において重要である.. は 1908 年創立以来,買収を繰り返して部品サ. この形態を説明するには「資産の特殊性の程. プライヤを「内部化」し,垂直的な統合をして. 度」という概念が登場し取引コストの増減には. きた中で 1926 年に Fisher Body Co. を買収し,. 投資する資産の特殊性が左右するとしている.. 爾来,GM は自社内にて概ねの部品供給が可能. つまり,ある特定の取引において価値を持つも. になった.. のが,その取引以外に使うことで,それが持つ. ⑵  階層構造視点. 価値が低下する資産のことである.例えば,立. 部品の調達先の位置づけを構造で捉えようと. 地的特殊性(site specificity)や 物的資産特殊. いう視点である.. 性(physical asset specificity) ,人的資産特殊. 藤本ら(1994)は日本の自動車産業のサプラ. 性(human asset specificity)などである.. イヤシステムについてアンケートに基づく入念. それを部品サプライヤの取引に当てはめてみ. な調査を施し実態を明らかにしており,階層構. ると,主に特殊な部品を必要とする自動車メー. 造の形態について納得性の高い言及が提示され. カに対して,それに呼応する特殊な部品を供給. ている.. する部品サプライヤがあるとした場合,その特. Williamson(1979)はなぜ多くの垂直的統合. 殊な部品を生産するための専用設備を導入した. が存在するのか,またそれ以上になぜ多くの市. と仮定する.専用設備であるが故に当該部品以. 場や中間的な準市場が取引に介在するのかとい. 外の部品は生産出来ないことによる「ホールド. う 問題意識 を 持った.Williamson の 概念 に 近. アップ問題」が発生することが考えられる.自. い論旨であるが,今井(今井ら,1982)が唱え. 動車メーカにとっては部品サプライヤからの供. た 中間組織論 で,「市場」と「企業内部組織」. 給力に委ねられることが大きく,生産能力や価. の間にある「中間組織」というバーチャルな概. 格交渉において部品サプライヤが優位に交渉す. 念があり,日本と米国とを比較すると,割合は. ることがありうる半面,当該部品の生産が終了. 日本の方が大きく,この境を決めるのは情報の. することで取引が中断され,部品サプライヤは. 密度であり,中間組織は企業内部組織と同レベ.

(6) 52. (230). 横浜国際社会科学研究 第 16 巻第 2 号(2011 年 8 月). ルの情報伝達密度があるため,それが日本の産. 競争優位を得るマネジメントであると指摘して. 業組織の適応力の源泉であると指摘している.. いる.そして,企業外部のサプライヤのマネジ. Aoki(Aoki,1988;永易訳,1992)も Williamson. メント以外に企業内部のマネジメント,つまり,. や今井と同様, 「準統合」という概念を展開し. 組織内部での調整を施し,知識創造をしてそれ. ている.自動車メーカと部品サプライヤは取引. らをあわせて蓄積するための組織的な仕組みづ. を継続している間は,あたかも同一企業の中に. くりや人材形成に注力することが必要であると. いるような関係に近くなるが,部品サプライヤ. 論じた(武石,2003).. はそれぞれ独立企業であるため,完全な支配化. 一方,西口(2000)は下請制度について「戦. はされていないので, 取引における制限はない.. 争遂行のために日本政府は強制措置による『専. このように部品サプライヤは自動車メーカの一. 属』下請制度の促進を図った」と述べている.. 部としての機能はありつつも,一方では独立企. しかし,実効せずに終戦となったのだが,当時. 業として企業運営をしているという二面性が実. の政府の介入はそれまでの放任的な下請慣行を. 際には存在する.事実,自動車メーカとサプラ. 構造化させて,戦後の下請メカニズムが発展し. イヤとの関係に照らし合わせるとこの議論は説. ていくための制度的枠組みの一助となったと指. 明しうる.. 摘している.そして,下請制度は過小評価され. Aoki(1986)は継続的な取引による準レン. がちであるが,日本企業の競争力の重要な一因. トの存在を指摘している.つまり,親企業と下. と指摘している点は戦後の自動車メーカのサプ. 請企業グループの継続的取引関係によりこのグ. ライヤを研究する上で示唆に富むものである.. ループ 特有 な 経済的利益(経済的関係 に よ る 準レント)が生じ,この利益は下請グループ. 2.ダイナミックアプローチ. 化の関係的契約によって情報伝達の効率性が上. ここでは主に自動車メーカと部品サプライヤ. 昇することにより発生するということとなる. とのやり取りとそのプロセスによって二者の関. (Aoki,1988;永易訳,1992) .. 係に経時変化が生じるという視点に注目する.. 浅沼(1984)は自動車メーカの部品の取引に. まず,Womack ら(1990)は 自動車 メーカ の. ついて取引コスト概念を用いて垂直的取引構造. サプライヤに注目して,内部調達か外部調達か. を分析している.一方,田村(1986)は日本の. という議論よりも,より重要なのは自動車メー. 文化や言語の違いが,外国企業に取引コスト. カとサプライヤの協力体制であると指摘してい. 上の不利を強いるものであるとの議論をしてい. る.. る.この議論を咀嚼すれば日本において長期継. 浅沼(1990)は,自動車メーカと部品サプラ. 続的な取引関係を尊重することが重要となり,. イヤとの関係について企業間取引において,自. Williamson の い う 人的資産特殊性 が 当 て は ま. 動車メーカからメーカ仕様の加工図面が出され. る.日本の取引関係が固定的なものとなり,そ. て製造の委託を受け製造をする部品サプライヤ. れらへの投資も固定的となるため,他社との取. を「貸 与 図( Drawings Supplied)メーカ」と. 引に伴う人間関係から準レントが生まれ,これ. 呼んだ.親企業と下請企業をイメージすれば容. が日本企業の環境適応力の源泉といわれてい. 易に理解できるが,親企業である自動車メーカ. る.. が作成した部品図面を下請企業である部品サプ. 武石(2003)は自動車メーカに部品を納入す. ライヤに「貸し出し」,それに沿って部品をつ. る下請は, 初期段階から階層化していると論じ,. くって納入する取引関係であり,まずはこの形. 製品開発において自動車メーカと下請である部. 態での取引からはじまることが一般的である.. 品サプライヤとの分業が当該,自動車メーカの. ところが,部品を生産するという取引を重ね.

(7) 自動車メーカのサプライヤ関係に関する理論的再検討(木村). (231). 53. ることでサプライヤは部品について学習をする. じた学習の付与が必要だということであると述. ことになる.これは必ずしも積極的な学習とい. べている.. うことでなくてもよく,部品を生産し,時には. さらに,浅沼らは自動車メーカの新車の部品. 失敗をし,そして検査をする中で部品について. の設計・開発を見て,前述の「貸与図方式」 「承. の構造や性能,さらには設計の思想というもの. 認図方式」 「市販品方式」の 3 つを類型化し(浅. が部品サプライヤのエンジニアや現場の作業者. 沼,1997;Clark & Fujimoto,1991),Clark &. に経験という形で積み上がる.それによって,. Fujimoto(1991)は,設計・開発において部品. やがて,創発的に製品の設計提案する実力を得. サプライヤの果たす役割を日米欧の 20 社で比. てくる部品サプライヤが出現することとなり,. 較して実証分析を施した.結果は 1980 年代に. そ れ を 浅沼 は「承認図(Drawing Approved). おいて日本では承認図方式が 6 割であるのに対. メーカ」と呼んだ(浅沼,1990) .. して,米国は 2 割以下,欧州は 4 割と地域間格. この承認図メーカは,貸与図メーカに比べて. 差が認められた.日本が承認図方式の比率が多. 複雑な「関係的技能」を保持していると論じて. い理由は部品サプライヤが欧米に比べて設計段. い る(浅沼,1994) .か か る「関係的技能」は. 階において一定の役割を果たしていると述べて. 特定の企業間取引関係を通じて形成される固有. いる.. の高度な特殊技能であり,浅沼は当初, 「関係. また,自動車の開発工数や開発リードタイム. 特殊的技能」と 称 し て い た が,そ の 後「関係. など,開発の効率性についても日本が勝ってい. 的技能」へと変え,そこでは買い手側の要求に. ることを明らかにしており,開発に関与できる. 応じることでサプライヤが蓄積する資産はある. のは,部品サプライヤが自動車メーカとの長き. が,特定の買い手との関係の外では価値がな. にわたる取引関係を通じ設計の思想や知識を吸. くなるものは存在しても一部だと論じている.. 収して高い能力を持つためであるとしている.. 「関係的技能」はすなわち, 「自動車メーカから 出された仕様に応じて製品を開発する能力」 ,. 自動車メーカと部品サプライヤとのやり取り を考える際に関係を保つために両者が取引を. 「仕様改善を提案する能力」 , 「承認を受けた図. 継続するために発言をしあうケースと,条件. 面に基づき工程を開発する能力」 , 「VE を通じ. があわなければ取引から下りるケースが考え. て見込原価を低減させる能力」 を指している (浅. られる.これを Hirschman(1970)は「Exit・. 沼,1997) .. Voice」として理論的に論述している.. つまり,自動車メーカの要求を効率的に達成. つまり,取引に不満や問題ある際の意思表示. するために必要とするサプライヤの能力のこと. の方法として「Exit;退出」と「Voice;発言」. と浅沼は述べている.それは「所与の企業との. とがあると指摘している.発言はダイレクトに. 取引を通じて獲得される学習の蓄積に対応する. 意見具申や不満を提示するためその中身は伝わ. 表層」と「一般的 な 技術的能力 に 対応 す る 基. りやすいが,伝え方次第では誤解を受ける可能. 層」であり,これらには常に相互作用があり学. 性がある.したがって,取引において「資産の. 習の蓄積に対応した表層の形成が基層の構成に. 特殊性」が大きい場合や専門的技術が高い場. 繋がることと述べている. その理由として, 「関. 合,排他的知財がある場合などには有効である.. 係的技能」が向上するなかで「何らかの一般的. 一方,声を出して発言することによる時間や費. 能力が伸びる」からだと指摘されている.浅沼. 用,その後の良好な関係の維持という留意点も. (1997)は「関係的技能」の形成についてサプ. 押さえることが必要となる.その点,取引を止. ライヤが蓄積してきた基本的な技術的能力の上. めてしまう退出のほうが容易であろう.. に,特定の中核企業との反復的な相互作用を通. この議論が提示されたのは 1970 年であった..

(8) 54. (232). 横浜国際社会科学研究 第 16 巻第 2 号(2011 年 8 月). そして 25 年後に「Exit・Voice」の理論を踏まえ. ないが,これは市販品のようなものなら容易に. て Helper ら(Helper,1991a;Helper & Levine,. 変更可能であっても,自動車メーカにとればゼ. 1992)は米国の自動車メーカおける部品取引関. ロベースから品質評価をせねばならないことに. 係を分析し,自動車生産が始まった当初は Voice. なり,これに対するコスト,工数,時間をかけ. だったが,1970 年代までには Exit が中心となり,. る意味を問えば,安易にランニング・チェンジ. その後,1980 年代には Voice へ戻ったと分析し. することはいかにもムダであることは関係者の. ており,さらに日本の自動車メーカの部品取引. 間ではよく理解されている.. 関係は従来から Voice であることと比較分析し. したがって,長期継続的な取引こそが,部品. ている.. サプライヤにとっては部品を品質・納期・コス. 前述のように 1980 年代は日本の自動車メー. トの視点から効率的・効果的に開発し生産する. カは輸出台数の自主規制をしている状況にあ. ための能力を向上させる機会を与えることにな. り,輸出にかわって次々に米国での現地生産を. る.その結果,VA 提案や設計提案ばかりでな. 拡大していた時期である.. く,長期的な設備投資を決断させることとなり,. そして,Helper(1991b)は部品サプライヤ. 両者の相互関係の組合せによって高い国際競争. による関与の度合いと情報交換の密度という二. 力の源泉となった.. つの軸で整理し,その管理的調整の程度を分析. Dyer(1996a, b)は,日本の完成車メーカが. している.. 米国の完成車メーカに対して,部品メーカと地. Helper ら( Helper,1991;Helper & Sako,. 理的接近性を持つ上に部品メーカとの対面的な. 1995)は,完成車メーカと部品メーカとの関係. コミュニケーションに時間を割いていること. の中で興味ある指摘をしている.それは取引上. が,品質向上や新車開発のリードタイムの短縮. で部品に欠陥があった際には,欧米の部品メー. に効果を与えていると述べている.また,日本. カは取引停止に持ち込む「退出型(Exit) 」の. の自動車メーカがサプライヤに厳しい要求を提. 傾向があるのに対して,日本の部品メーカは取. 示しても仕事の中身としてお互いに理解しあう. 引を継続しながら問題を解決するという方策を. ことにより,信頼関係は低下しないのは,サプ. 取る「発言型(Voice) 」の傾向があることとい. ライヤがもっている自動車メーカ対する信頼の. うことである.. 高さがあるからだとしている.. Clark & Fujimoto(1991)を中心とした実証. また,Dyer & Nobeoka(2000)のトヨタに. 研究は日本の自動車メーカと部品サプライヤと. ついての調査においても部品サプライヤは自動. の取引関係が長期的で継続的であるということ. 車メーカから多くを学べることで信頼感を高く. 見出した.つまり,メーカー・レイアウトとし. していると認識している.. て特定モデルに採用されたサプライヤは,当該. さ ら に Spear & Bowen(1999)は 論文 の 中. 車種を生産している間は他社への切り替えは起. でトヨタを例示して,多くの人が工場を見学し. こりにくく取引が継続される点,さらに次期モ. もすぐには理解できず,自社にて実践できない. デルチェンジの際に設計や仕様変更により取引. と述べており,その根底にあるトヨタの哲学や. の中止となった場合でも,他のモデルでの取引. 考え方を理解しないとただ単にトヨタをみても. を継続する可能性があることなど,俯瞰的にみ. わからないと述べ,トヨタとサプライヤとの信. れば長期継続的な取引が続くとみてとれる.. 頼度が高いことにより暗黙知の共有が促進され. 自動車メーカの一部には当該車種生産中にサ. るとしている.. プライヤを変えようとするランニング・チェン. また,Sako(1991;1992) ,真鍋(1998;2000a,b;. ジまたは転注という動きをすることもゼロでは. 2003)らは自動車メーカと部品サプライヤとの.

(9) 自動車メーカのサプライヤ関係に関する理論的再検討(木村). (233). 55. 関係を信頼という概念で論じている.Sako &. 表している.. Helper(1998)は日本と米国との自動車メーカ. これに対して,清(2002)は,浅田の「貸与図・. の部品サプライヤを 1,000 社拳げてアンケート. 承認図」の概念は,いわれているように必ずし. 形式で調査分析して信頼については米国よりも. も承認図メーカの方が技術的に優位なのではな. 日本の方がより認識を深めており,高い信頼感. く,技術をブラックボックス化し易いために収. を持っていることを論じた.特に,Sako(1992). 益が高いかどうかは一概にいえないとして,実. は日本における企業間の関係は相互に互恵関係. は部品別の特徴により異なると指摘している.. を保ち,その他の条件をつけないコミットメン. つまり,自動車メーカが技術やノウハウを掌握. トをするという信頼であると論じている.. しているパワートレインの如き部品もあれば,. この点について,真鍋(2002)も信頼という. 電装品のようにサプライヤがノウハウを握って. 抽象概念に対して,短期的な利益志向の「合理. いる部品もあるという指摘は,現実の開発現場. 的信頼」と,継続的共存共栄志向の「関係的信. の実態に根ざしており重要な視点である.. 頼」とに分け,日本における自動車メーカとサ. また,昨今は承認図メーカにとどまらずサ. プライヤとの関係は協調的な取引関係を重視. プライヤは自動車メーカにゲスト・エンジニ. する「関係的信頼」が重要であると言及してい. ア(またはレジデント・エンジニア)を派遣. る.. して自動車の設計段階から開発に参加してい Ⅵ.ディスカッション. る( Clark & Fujimoto,1991). 河 野( 2003, 2009,2010)は そ の 点 を 詳 し く 調査分析 し て. サプライヤ関係において,幾多ある先行研究. いるが,サプライヤサイドだけからの派遣ば. をスタティックとダイナミックという新たなア. かりではなく,自動車メーカから部品を製造. プローチにより分類した.. しているサプライヤに派遣されることもある.. スタティックなアプローチとして自動車メー. Nishiguchi(1994;西口,2000)も,日本 の 自. カとサプライヤとの取引関係を取引コストとい. 動車メーカの中に部品メーカとの共同開発・共. う概念, および階層構造という概念で整理した.. 同生産や共同で問題解決を図るという思想があ. 取引コストの概念は外と内という二元で見なが. るとし,それを実現する手段には VA・VE な. らも,その中間にある取引形態を認め,それが. どの手法とともにゲスト・エンジニア派遣制度. 自動車メーカのパートナーとしてのサプライヤ. があると指摘している.. を位置づけようとされている点は興味深い.し. 相互に人が行き来することにより,技術知識. かし,サプライヤそれぞれの具体的な動きや実. の習得のみならず,立場を超えて新車開発とい. 務的な動きについての言及は薄い.. う同じ目的を協働することの意義は大きい.新. 一方,階層構造は武石(2003)や西口(2000). 車の設計段階でサプライヤから自動車メーカへ. が指摘しているように構造は自然発生的につく. のゲスト・エンジニアが派遣される際には場合. られたのではなく,当初は政治的背景から,そ. によれば,同一職場に競合の複数のサプライヤ. して次には自動車メーカが意識して擁立してき. からの人がいることがあり,その場で担当者間. たことによるのである.. での切磋琢磨の競争が起こる.. 他方, ダイナミックアプローチは, 自動車メー. この前提としては自動車メーカとサプライヤ. カとサプライヤとのやり取りのプロセスとして. との間に信頼が担保されていないと成立しな. 整理したのでリアリティがあり,浅沼の「貸与. い.お互いに新車開発という目的を達成するた. 図・承認図」の議論は部品サプライヤが自動車. めの健全な競争であり,派遣されたメンバーは. メーカとの取引内容を深めていく過程を忠実に. 自動車メーカの仕事の進め方を実地に学習する.

(10) 56. (234). 横浜国際社会科学研究 第 16 巻第 2 号(2011 年 8 月). ことができるとともに,派遣後でも人的関係は. 自動車メーカとそのサプライヤを Keiretsu(系. 残るので次の開発の際にも容易に連絡が取り合. 列)というリジットな組織として論じているが,. える関係が形成される.このように,かつての. これに対して Takeishi & Cusumano(1995). 承認図メーカは今や自動車メーカと一体になっ. は,これまでいわれているような日本自動車. た活動を行うようになっている.ここにダイナ. メーカとサプライヤとの間には 1 対 1 の排他的. ミックな活動のプロセスが見て取れる.. 関係で,それが系列の取引システムを排他的な. ところで,1998 年 10 月に日産自動車が日産. 企業間の関係として系列内部の協調的な関係を. リバイバルプラン(NRP)を公表し, 「日産再. 形成しているという議論は誤解を与えていると. 生に向けての強固な基盤」をつくるために「国. 指摘している.. 際的な認知と海外展開」 「世界最先端の生産技. Nishiguchi(1994)らの論述のように多くの. 術」そ し て「ル ノーと の 提携」な ど の 方針 を. サプライヤが複数の自動車メーカへの部品供. 出したことは前述した.購買政策では 3 年間で. 給 を 行って い る と 述 べ,伊丹(1998)も 自動. 20% の コ ス ト 削減(お よ び そ の 早期実現)と. 車メーカも部品を複数社から調達していると. 部品・素材の集中購買化,サプライヤ数の削減. 述べるなど,部品取引は多様性を呈している.. として 1999 年 1,145 社を 2002 年には 600 社に. 現に中小企業白書 2007 年版は日本の製造業. する目標を掲げた.Carlos Ghosn 社長は「日産. 14 万社を対象とした結果を元に,自動車を中. の系列システムは機能していない」と語り,資. 心とした輸送用機械器具製造業グループにおけ. 本系列のある部品サプライヤを大幅に削減し,. る取引構造を分析している.それによれば,一. 部品調達は Request For Quotation 方式という. 次取引の部品メーカが平均 8.8 社と取引をして. 一種の入札方式を採用することとなった(日経. おり,グループ以外の企業とも取引を行う取引. ビジネス 2000. 11. 3. ) .. のメッシュ化が進んでいると指摘している.一. これの影響は他の自動車メーカとサプライヤ. 方,自動車メーカにとっても複数の部品サプラ. との関係を見直そうとする動きのきっかけと. イヤから調達することが出来れば技術面,価格. なる.アカデミック分野では延岡(1999)や近. 面での有利さが伴う(Asanuma, 1989).. 能(2001)ら が 調査 を し た が,2000 年以降 は. また,競合関係 に あ る 自動車 メーカ も 部品. 取引のオープン化が進む一方で,自動車メーカ. サプライヤーを共通に活用する Alternative. も親密な取引先サプライヤに対する他への販売. Component Sourcing(Nobeoka, 1995)の 利点. を奨励しているという結果が出ている(近能,. もある.. 2004) .. Nobeoka(1995)によれば自動車メーカと部. 一方,部品の内製化率については前間(2002). 品サプライヤは協調的な関係を維持しながら,. によれば,かつて内製化率の高かった「ビック. 特定の部品サプライヤとのみに排他的な関係を. 3」の中でも Ford は部品サプライヤの数を 10. 擁立しようとしているのではなく,広範囲を部. 分 の 1 に 削減 し,Chrysler も 600 社 の サ プ ラ. 品の供給体制(ネットワーク)を活用して競争. イヤを 8 割削減し,内製化比率を GM が 50%,. 優位を確保していると述べている.. Ford は 40%,Chrysler は日本並みに 20% に下. こ の 協 調 関 係 に つ い て は,Cusumano &. げたとしている.しかし,この傾向は部品の内. Takahashi( 1991) や Helper & Sako( 1994). 製部門を売却や部品企業との提携や経営統合に. なども協調関係が部品サプライヤの業績や業務. よることが加速化に拍車をかけていると言われ. の成果に寄与していると指摘している.. ている.. そもそも,サプライヤを限定しないでオープ. Limcoln(1992)や Dyer & Ouchi(1993)は. ンな取引相手から調達できるとすれば,自動車.

(11) 自動車メーカのサプライヤ関係に関する理論的再検討(木村). (235). 57. メーカの調達サイドからみると,交渉面ではサ. ろうか.. プライヤの競争原理をいかして有利な取引が出. 先行研究に中に若干ヒントがあった.. 来ること,リスク回避面では不測の事態,火災. 武石(2003)が述べている中に自動車メーカ. や大震災のようなケースに遭遇した際に代替が. の部品の下請メーカは初期段階から協力会を組. 可能となることがあげられる.しかし,調達先. 織して階層化していると論じている点である.. を絞り込むという点を調達サイドからみれば,. トヨタの副社長であった豊田喜一郎は会社発. 量の面では発注量をまとめることにより,価格. 足当時にトヨダ号の部品を手がけた部品メー. などの条件交渉が有利に働くこと,情報面では. カ 31 社を中心にトヨタの部品系列下請協力会. 過去の品質情報や設計情報が共有され蓄積され. 社 を 集 め「協力会」と 称 す る 組織 を 1939 年. ているので開発や生産面でのスムースな立上げ. に つ くって い る.日本 フォード,日本 GM は. が可能となる点がある.. ノックダウン生産を停止した年である(大場,. さらには,Lanlois(2002)のいう「The Vanishing. 2001).当時,トヨタは新しく挙母工場(現本. Hand(姿を隠した手) 」の議論があるように,. 社工場)を設立したために,より部品調達の円. すでに「見えざる手」から「見える手」を超越. 滑性を求めるため,部品の下請協力工場の組織. して「手」そのものが届かないオープンで広. 化が必要であった(トヨタ 20 年史).当初は親. がっている取引構造に変容しているのだろうか. 睦会という色彩が強かった(トヨタ 30 年史)が,. という議論はさらに今後なされていかねばなら. 資材不足や人材不足など課題山積の中で,トヨ. ない.. タと各協力工場の結束力が何よりも必要であっ. ところで,自動車メーカとそのサプライヤと. たとして名前を協豊会と改め(トヨタ,2009),. の関係についての先行研究を「スタティックア. さらに活動内容も刷新した.和田(1984)によ. プローチ」と「ダイナミックアプローチ」と二. れ ば,協豊会 の 分析 を 行って,こ の 協力会組. つの概念で分類してみたが,多くの先行研究を. 織 を「準垂直統合組織」と し て い る.こ の 定. 二つの概念にすることには議論の余地は大いに. 義は今井らのいう「垂直的な中間組織」(今井. ある.. ら,1982)や 中村 の い う「中間分野」(中村,. 元来,自動車メーカとそのサプライヤとの関. 1983)と同義である.. 係は,仕事や情報などの取引の流れを単純化す. 自動車メーカを取り巻くサプライヤで構成さ. るのは蓋然性の乏しい内容となってしまった.. れているいわゆる協力会は,これまでも議論は. 自動車のように多くの素材や部品の組合せで成. なされてきた.現に自動車各社には協力会また. り立っているアセンブル製品は,それぞれの機. はサプライヤ組織が存在する.主なものをあげ. 能により供給するサプライヤの業種業態も多岐. ると,例えば,トヨタの協豊会,日産自動車の. にわたる.それを解明するには,自動車メーカ. 日翔会,マツダの洋進会と洋行会,富士重工業. とサプライヤの個々の取引内容を観察して,取. の雄飛会などがあるが,その活動の中身につい. 引の経緯や資本関係, 人的関係を押さえた上で,. てはほとんど知られていない.しかし,中山. 供給する部品などが当該自動車の性能に与える. (2004)の指摘にもあるように協力会の機能が. 効果や影響を具体的に分析したのちに全体論を. 弱体化しているという問題意識の上でその状況. 明らかにせねばならない.. の事例を踏まえた興味深い分析もある.. かかる意味で,先行研究においての「スタテ. 翻って 考 え て み る と,先行研究 に て「ス タ. ィックアプローチ」と「ダイナミックアプロー. ティックアプローチ」として自動車メーカとそ. チ」と二つの概念での整理には限界があった.. の部品のサプライヤについて見た中で,外形と. では,さらに実態を把握する手立てはないだ. しては構造が認められたが,その活動について.

(12) 58. 横浜国際社会科学研究 第 16 巻第 2 号(2011 年 8 月). (236). はむしろ「ダイナミックアプローチ」で概観し. ているが,トヨタの協豊会はトヨタの間接的な. た取引のプロセスに実態が見えているのではな. マネジメントのもとで自主的で活発な活動をし. いと考える.つまり,両方のアプローチを併せ. ていることは筆者のように具体的な参与観察し. 持った観点で自動車メーカとサプライヤの関係. ているものでないとわかりにくいものだが,こ. をみなければならない.. れについては次稿以降で明らかにしていきた. そこで,一次サプライヤで構成している協力. い.. 会の活動を分析することで,自動車メーカとサ プライヤ関係を解明する糸口になるのではない. 参考文献. かと考える. Ⅶ.今後の課題 本稿では独自の概念化の枠組みを用いて自動 車メーカとそのサプライヤとの関係について先 行研究の理論的検討を進めてきた. 協力会の存在,さらに活動に内容については 全くといってよいほど,先行研究には登場しな い. 理由はその存在が通説となっているからか, または,調査することの煩雑性に起因するもの かは定かではないが,研究されてこなかったこ とはまことに残念である . 自動車の開発や製造については日本の自動車 産業勃興時には欧米からの技術や設備の導入, さらには輸入車を分解して構造を学ぶなどによ り今日の基礎となる技術を固めた. 特にトヨ タ生産方式の如き生産思想が生まれたものも社 会・経済的バックグラウンドを前提として確立 されてきたのである.そして,トヨタが構築し ようとしてきたものは当初から長期取引を前提 として,それまであった協力会を母体に協豊会 を 1943 年に結成しサプライヤを組織化してそ れらをあたかも一つの大きな組織のように管理 運営する組織統治能力を強化し続けようとした のではないかと推察する. この点は, 和田 (1991) が言及しているようにトヨタは 1939 年に制定 された購買規定に則り,部品企業を自社の分工 場と位置づけして取引開始した後は永続的な取 引を原則としているという視点は,今後,サプ ライヤ関係を組織として研究する際には押さえ ておくべき点であろう. オープン化取引化やメッシュ取引化と言われ. 【書 籍】 Aoki, M., Information, Incentives, and Bargaining in the Japanese Economy, Cambridge University Press, 1988;永易浩一訳『日本経済の制度分析:情 報・インセンティブ・交渉ゲーム』筑摩書房, 1992 年 浅沼萬里・菊谷達弥『日本 の 企業組織 革新的適 応 の メ カ ニ ズ ム:長期取引関係 の 構造 と 機 能』東洋経済新報社,1997 年 Baldwin, C. Y. and K. B. Clark, Design Rules: The Power of Modularity, Cambridge, Mass.: MIT Press, 2000 Clark, K. B. and T. Fujimoto, Product Development Performance, Boston, Mass.: Harvard Business School Press, 1991;藤本隆宏訳『製 品開発力 : 日米欧自動車 メーカー 20 社 の 詳 細調査 実証研究』 ,ダイヤモンド社,1993 年 Cusumano, M. A., The Japanese Automobile Industry Cambridge, Mass.: Harvard University Press, 1985 Deming, W. E., Out of the Crisis, New York: Cambridge University Press ,1986 Fucini, J. and S. Fucini, Working for Japanese, Free Press, 1990; 中岡望訳『ワーキング・フォー・ ザ・ジャパニーズ:日本人社長とアメリカ人 社員』イースト・プレス,1991 年 藤本隆宏・武石彰『自動車産業 21 世紀 へ の シ ナ リオ』生産性出版,1994 年 藤本隆宏『生産 シ ス テ ム の 進化論─ ト ヨ タ 自動 車にみる組織能力と創発プロセス』有斐閣, 1997 年 藤本隆宏・西口敏宏・伊藤秀史編『リーディング スサプライヤーシステム─新しい企業間関係 を創る』有斐閣,1998 年 藤本隆宏『能力構築競争』中公新書,2003 年 藤本隆宏『日本のもの造り哲学』日本経済新聞社, 2004 年 藤本隆宏・安本雅典編著『成功する製品開発 : 産 業間比較の視点』有斐閣,2000 年 藤本隆宏・武石彰・青島矢一編(2001) 『ビジネス・.

(13) 自動車メーカのサプライヤ関係に関する理論的再検討(木村). アーキテクチャ』有斐閣,2001 年 日野三十四『トヨタ経営システムの研究』,ダイ ヤモンド社,2002 年 Hammer, M. and J.Champy, Reengineering the Corporation: A manifesto for Business Revolution, New York: Harper Business, 1993 ; 野 中 郁 次 郎監訳『リ エ ン ジ ニ ア リ ン グ 革命 : 企業 を 根本 か ら 変 え る 業務革新』日本経済新聞社, 1993 年 Hirschman, A. O., Exit, Voice & Loyalty, Cambridge, Harvard University press, 1970 今井賢一ら『内部組織の経済学』,東洋経済新報社, 1982 年 Imai, M., Kaizen: The Key to Japan’s Competitive Success, 1st Edition, McGraw-Hill Higher Education, 1986; 今井正明『カ イ ゼ ン:日本 企業が国際競争で成功した経営ノウハウ』復 刻改訂版,マグロウヒル・エデュケーション, 2010 年 伊丹敬之「見える手による競争」 ,伊丹敬之ら『競 争 と 革新─自動車産業 の 企業成長』,東洋経 済新報社,1988 年,pp. 144─172 岩月伸郎『生きる哲学 トヨタ生産方式』幻冬舎 新書,2010 年 ライカー,J. K. ら ; 稲垣公夫訳『ザ・トヨタウェ イ実践編上・下』日経 BP 社,2005 年 清成忠男・下川浩一『現代の系列』日本経済評論 社,1992 年 河野英子『ゲ ス ト エ ン ジ ニ ア』白桃書房,2009 年 前間孝則『ト ヨ タ vs. ベ ン ツ vs. ホ ン ダ : 世界自 動車戦争の構図』講談社,2002 年 Morgan, J. M. and J. K. Liker, The Toyota Product Development System, New York: Productivity Press, 2006; 稲垣公夫訳『トヨタ製品開発シス テム』日経 BP 社,2007 年 門田安弘『トヨタの現場管理』日本能率協会,1978 年 門 田 安 弘『実 例 自 動 車 産 業 の JIT 生 産 方 式』 日本能率協会,1989 年 中村精『中小企業と大企業:日本の産業発展と準 垂直的統合』東洋経済新報社,1983 年 日本自動車工業会編纂『日本自動車産業史』日本 自動車工業会,1988 年 Nishiguchi, T., Strategic Industrial Sourcing: The Japanese Advantage, New York: Oxford University Press, 1994; 西口敏宏訳『戦略的 アウトソーシングの進化』東京大学出版会, 2000 年 大場四千男『日本自動車産業の成立と自動車製造 事業法の研究』信山社,2001 年 大野耐一『ト ヨ タ 生産方式』ダ イ ヤ モ ン ド 社, 1978 年. (237). 59. 大島卓編『現代日本の自動車部品工業』日本経済 評論社,1987 年 Parker, M. and Slaughter, J., Choosing Sides: Unions and Team Concept, A Labor Notes Book, 1988; 戸塚秀夫監訳『米国自動車工場 の 変貌 :「ス ト レ ス に よ る 管理」と 労働者』 緑風出版,1995 年 Sako, M., Price, Quality & Trust: Inter-firm Relations in Britain & Japan, Cambridge University Press, 1992 下川浩一・ 藤本隆宏ら『トヨタシステムの原点』 文眞堂,2001 年 下川浩一『グ ローバ ル 自動車産業経営史』有斐 閣,2004 年 武石彰『分業と競争─競争優位のアウトソーシン グ・マネジメント』有斐閣,2003 年 田村正紀『日本型流通システム』千倉書房,1986 年. 植田浩史『戦時期日本の下請工業:中小企業と「下 請 = 協力工業政策」 』ミ ネ ル ヴァ書房,2004 年 山田耕嗣「継続取引とエコロジカル・アプロー チ」高橋伸夫編著『生存と多様性』 ,白桃書房, 1999 年,pp. 107─130 和田一夫『ものづくりの寓話:フォードからトヨ タへ』名古屋大学出版会,2009 年 Williamson, O. E., Markets & Hierarchies, New York: Free Press, 1975; 浅沼万里,岩崎晃訳 『市場と企業組織』日本評論社,1980 年 Williamson, O. E., The Economic Institutions of Capitalism: Firms, Markets, Relational Contracting, Free Press, 1985 Williamson, O. E., Economic Organization: Firms, M a r k e t s , & P o l i c y C o n t ro l , N e w Y o r k University Press, 1986;井 上 薫・中 田 善 啓 監訳『エ コ ノ ミック・オーガ ニ ゼーション ─取引コストパラダイムの展開』晃洋書房, 1989 年 Womack, P. J., D. T. Jones, and D. Roos, The Machine that Changed the World, New York: Rawson Associates, 1990; 沢 田 博 訳『リー ン生産方式が,世界の自動車産業をこう変え る』経済界,1990 年 【論 文】 浅沼萬里「日本 に お け る 部品取引 の 構造─自動 車産業 の 事例」 『経済論叢』133─3,1984 年, pp. 241─262 Asanuma, B., ‘Manufacturer-supplier Relationships in Japan & the Concept of Relation-specific skillʼ 京都大学経済学部 Working Paper No. 2, 1988 年 浅沼萬里「日本におけるメーカーとサプライヤー.

(14) 60. (238). 横浜国際社会科学研究 第 16 巻第 2 号(2011 年 8 月). との関係─『関係特殊的技能』の概念の抽出 と 定 式 化」『経 済 論 叢』145─1,2,1990 年, pp. 1─46 朴泰勲「階層的分業構造 と サ プ ラ イ チェーン・ アーキテクチャの相互メカニズム─トヨタ系 の 部品 メーカーの 事例」『大阪経大論集』53 ⑷,270,2002 年,pp. 79─95 朴泰勲「日本自動車産業の階層的分業構造と組織 間関係 ト ヨ タ 系部品 メーカー間 の 開発期間 短縮をめぐる協業システム」『日本経営学会 誌』10,2003 年,pp. 27─39, Casadesus-Masanell, R. and D. F. Spulber, ‘The Fable of Fisher Body’, J. L. Kellogg Graduate School of Management Northwestern University, April 1999, Accepted for Publication Journal of Law & Economics, Scheduled for publication in April 2000 Coase, R. H., ‘The Acquisition of Fisher Body by General Motors, The Acquisition of Fisher Body by General Motors, Journal of Law & Economics, Vol. 43, No. 1, 2000, pp. 15─32 Cusumano, M. A., ‘Manufacturing Innovation: Lessons from the Japanese Auto Industry’ Sloan Management Review; Vol. 30 Issue 1, 1988, pp. 29─39 Cusumano, M. A. and A. Takeishi, ‘Supplier Relations & Management: A Survey of Japanese, Japan-Transplant, & U.S. Auto Plants,’ Strategic Management Journal, 12─8, 1991, pp. 563─588 Dore, R., ‘Goodwill and the Spirit of Market Capitalism’, British Journal of Sociology, 34, 4, 1983, pp. 459─482 Dyer, J., ‘Specialized Supplier Networks as a Source of Competitive Advantage’ Strategic management journal, 1996 Volume 17, Issue 4, 1996a, pp. 271─291 Dyer, J., ‘How Chrysler Created an American Keiretsu’ Harvard Business Review, 1996b, pp. 42─56 Dyer, J., ‘Effective Interim Collaboration: How Firms Minimize Transaction Costs & Maximise Transaction Value’ Strategic Management Journal, 18: 7, 1997, pp. 535─556 Dyer, J., ‘Does Governance Matter? Keiretsu Alliances & Asset Specificity as Sources of Japanese Competitive Acjvantage’, Organization Science, Vol. 7, No. 6, 2000a, pp. 649─666 Dyer, J. and K. Nobeoka, ‘Creating & Managing a High-performance Knowledge-sharing Network, The Toyota case’, Strategic Management Journal, 21: 2000b, pp. 45─367. 藤本隆宏・清晌一郎・武石彰「日本自動車産業の サプライヤーシステムの全体像とその多面 性」 , 『機械経済研究』24,機械振興協会経済 研究所,1994 年 pp. 11─36 藤本隆宏「組織能力と製品アーキテクチャ─下か ら見上げる戦略論(特集 組織と戦略のダイ ナ ミック・イ ン タ ラ ク ション:考 え る 経営 者) 」 『組織科学』白桃書房 36,4,2003 年, pp. 11─22 Helper, S., ‘Comparative Supplier Relations in the U.S. & Japanese Auto Industries: An Exit/Voice Approach’ Business & Economic History, 2─19, 1990, pp. 153─162 Helper, S., ‘An Exit-Voice Analysis of Supplier Relations’; Edited by: Coughlin, R. M. Morality, Rationality, & Efficiency: New Perspectives on Socio-Economics, M. E. Sharpe Inc., 1991a, pp. 355─373 Helper, S., ‘Strategy & Irreversibility in Supplier Relations: the Case of the US Automobile Industry’ The Business History Review, 65, 1991b, pp. 781─824 Helper, S. and D. Levine, ‘Long-term Supplier Relations & Product-Market Structure’, Journal of Law, Economics & Organization 8, 1992, pp. 561─581. Helper, S. and M. Sako, ʻSupplier Relations in Japan & the United States’: Distributed Courtesy of the MIT Japan Program, Center for International Studies Massachusetts Institute of Technology, 1995 Helper, S., ‘Economists and Field Research: “You Can Observe a Lot Just by Watching”’, The American Economic Review, 90, 2, pp. 228─232. Klein, R. Crawford and A. Alchian, ʻVertical Integration, Appropriable Rents, & the Competitive Contracting Process’ Journal of law & economics 21, 1978, pp. 298─326 河野英子「承認図転換部品 メーカー の 能力獲得 プ ロセス」 『組織科学』36─4,白桃書房,2003 年, pp. 56─68 河野英子「ゲストエンジニア─企業間ネットワー ク に お け る 知識移転 と 創出 の メ カ ニ ズ ム」 (特集 知識伝承システムの多様な次元) 『研 究 技 術 計 画』24,2,研 究・技 術 計 画 学 会, 2009 年,pp. 155─162 近能善範「バブル崩壊後における日本の自動車部 品取引構造 の 変化」 『横浜経営研究』22,1, 横浜経営学会,2001 年,pp. 37─58 近能善範「自動車部品取引のネットワーク構造と サプライヤーのパフォーマンス」 『組織科学』 35,3 ,白桃書房,2002 年,pp. 83─100 近能善範「自動車部品取引の『オープン化』の検.

(15) 自動車メーカのサプライヤ関係に関する理論的再検討(木村). 証」 『経済学論集』68,4,東京大学経済学会, 2003 年,pp. 54─86 近能善範「日産リバイバルプラン以降のサプライ ヤーシステムの構造的変化」『経営志林』41, 3,法政大学経営学会,2004 年,pp. 19─44 Langlois, R. N., ‘The Vanishing Hand: the Changing Dynamics of Industrial Capitalism’ Department of Economics Working Paper Series, University of Connecticut, 2002 Lincoln, J. R., M. L. Gerlach, and P. Takahashi, ‘K e i r e t s u N e t w o r k s i n t h e J a p a n e s e Economy’ American Sociological Review, 57, 1992, pp. 561─585 真鍋誠司「自動車部品取引における信頼の担保メ カニズム」『六甲台論集』45,2,神戸大学大 学院経営学研究科,1998 年,pp. 135─154 真鍋誠司「組織間学習 に お け る 関係的信頼 の 役 割:日本自動車産業 の 事例」 『神戸大学 経済 経営研究』50,神戸大学,2000 年a, pp. 125─ 144 真鍋誠司「企業間関係における信頼概念の考察」 『産開研論集』12,大阪府立産業開発研究所, 2000 年b,pp. 79─90 真鍋誠司「企業間信頼の構築:トヨタのケース」 『神戸大学経済経営研究所 Discussion Paper Series 』J42,2002 年,神戸大学経済経営研 究所 真鍋誠司「企業間信頼の構築とサプライヤー・シ ス テ ム:日本自動車産業 の 分析」『横浜経営 研究』25,横浜国立大学,2004 年,pp. 93─ 107 真鍋誠司「企業間 の 信頼関係─ ト ヨ タ の 部品取 引ネットワーク─」『赤門マネジメント・レ ビュー』4,2,東京大学,2005 年 Monteverde, K. and D. J. Teece, ‘Supplier Switching Costs & Vertical Integration in the Automobile Industry’ The Bell Journal of Economics, Vol. 13, No. 1, 1982, pp. 206─213. 中山健一郎「日本自動車 メーカー協力会組織 の 弱 体化」 『経済と経営』34,3・4,2004 年,札幌 大学経済・経営学会,pp. 325─363 延岡健太郎「顧客範囲の経済:自動車部品サプラ イヤの顧客ネットワーク戦略と企業成果」 『国 民経済雑誌』173,6,神戸大学経済経営学会, 1996 年,pp. 83─97 延岡健太郎「日本自動車産業における部品調達構 造 の 変化」『国民経済雑誌』180,3,神戸大 学経済経営学会,1999 年,pp. 57─69 延岡健太郎・真鍋誠司「組織間学習における関係 的信頼 の 役割:日本自動車産業 の 事例」『経 営経済研究 年報』50,神戸大学経済経営研 究所,2000 年,pp. 125─144 李在鎬「組織間関係における依存と保証」『経済. (239). 61. 論蓑』170,1,京都大学経済学会,2002 年, pp. 57─69 李在鎬「サプライヤーシステムでのプロセス蓄積 における信頼,学習,組織化の意義─協豊会 の生成発展過程の考察を通じて」 『経済論叢』 179,3, 京 都 大 学 経 済 学 会,2007 年,pp. 195─212 Sako, M., ‘Suppliers Associations in the Japanese Automobile Industry: Collective Action for Technology Diffusion’, August 1995, Journal of Economic Literature Classification: L14, L22, L23, L62, N65, O32, 1985 Sako, M., ‘Kyoryokukai(Suppliers’ Association) in the Japanese Automobile Industry: Collective Action for Technology Diffusion.’ Paper submitted to MIT IMVP Sponsors’ Meeting at Cape Cod, USA, 1993 Sako, M., ‘Does Embeddedness Imply Limits to Within-Country Diversity?’ British Journal of Industrial Relations, 43: 4 December 2005, pp. 585─592 Sako, M., and S. Helper, ‘Determinants of Trust in Supplier Relations: Evidence from the Automotive Industry in Japan & the United States’, Journal of Economic Behavior & Organization, 34: 3, 1998, pp. 387─417. Sako, M., ‘Supplier Development at Honda, Nissan & Toyota: Comparative Case Studies of Organizational Capability Enhancement, Industrial & Corporate Change, 13, 2, 2004, pp. 281─308 Spear, S. and H. Bowen, ‘Decoding the DNA of the Toyota Production System’, Harvard Business Review, 1999, pp. 96─107 清晌一郎「契約の論理を放棄した『関係特殊的技 能』論:浅沼萬里氏 の 混乱 し た 議論 に つ い て」 『関東学院大学経済経営研究所年報』24, 関東学院経済経営研究所,2002 年,pp. 102─ 137 Takeishi, A. and M. Cusumano, ‘What We Have Learned & Have Yet To Learn From Manufacturer-Supplier Relations in the Auto Industry’ May 23, 1995 WP #126─95, Sloan WP #3842, Massachusetts Institute of Technology, Sloan School of Management Massachusetts Institute of Technology 武石彰「自動車産業のサプライヤー・システムに 関する研究:成果と課題(特集 自動車産業の 社会学的研究) 」 『社會科學研究』52,1,東 京大学社会科学研究所,2000 年,pp. 25─50 植田浩史「自動車部品メーカーと開発システム」 ; 明石芳彦・植田浩史編『日本企業 の 研究開発 システム』東京大学出版会,1995,pp. 85─112.

(16) 62. (240). 横浜国際社会科学研究 第 16 巻第 2 号(2011 年 8 月). 植田浩史「自動車生産のモジュール化とサプライ ヤ」『経済学論纂』41,5,中央大学経済学研 究会,2001 年,pp. 41─60 山崎修嗣「日本自動車部品工業の階層化と技術革 新」『経済論叢』154,6,京都大学,1994 年, pp. 501─526 Williamson, O. E., ‘Transaction Cost Economics: The Governance of Contractual Relations,’ Journal of Law & Economics, 1979, pp. 233─ 261. Williamson, O. E., ‘Comparative Economic Organization’ The Analysis of Discrete Structural Alternatives Administrative Science Quarterly, 1991, pp. 269─296 和田一夫「準垂直統合型組織」の形成トヨタの事 例」『ア カ デ ミ ア』83,南山大学,1984 年, pp. 61─98 和田一夫「自動車産業における階層的企業間関係 の形成:トヨタ自動車の事例」 『経営史学』l, 26,2,財団法人学会誌刊行 セ ン ター,1991 年,pp. 1─27 【その他】 アイアールシー編『トヨタ自動車グループの実態 2006 年版』アイアールシー 重化学工業通信社名古屋支局編『トヨタ自動車関 連企業リスト 1974 版─関連 500 社の現勢と 今後の方向─』重化学工業通信社,1974 年 公正取引委員会事務局『自動車部品の取引に関す る実態調査』1993 年. 小島プレス工業株式会社社史編集プロジェクト/編 集『おかげさまで 50 年みんな元気で』小島プ レス工業,1988 年 協豊会 50 年史編集委員会/編集『協豊会 50 年 の あゆみ』東海協豊会,1994 年 トヨタ自動車工業/編『自動車工業の現状とトヨ タ 自動車 の 進路』ト ヨ タ 自動車工業,1946 年 ト ヨ タ 自動車工業株式会社社史編集委員会/編 『トヨタ自動車 20 年史』トヨタ自動車工業, 1958 年 ト ヨ タ 自動車工業株式会社社史編集/編『ト ヨ タ 自動車 30 年史』トヨタ自動車工業,1967 年 トヨタ自動車工業株式会社社史編集委員会/編 『社 史で見る日本経済史 第 36 巻 トヨタ自動 車 20 年史 上』ゆまに書房,2009 年 自動車工業振興会『日本自動車工業史座談会記録 集 』自動車工業振興会,1973 年 【白書等】 中小企業庁『中小企業白書』大蔵省印刷局,2000 年版 中小企業庁『中小企業白書』ぎょうせい,2001 年 版,2002 年版,2003 年版,2004 年版,2005 年版,2006 年版,2007 年版 日本自動車工業会編纂『日本自動車産業史』日本 自動車工業会,1988 年 [き む ら た い ぞ う 横浜国立大学大学院国際社 会科学研究科博士課程後期].

(17)

参照

関連したドキュメント

不変量 意味論 何らかの構造を保存する関手を与えること..

心嚢ドレーン管理関連 皮膚損傷に係る薬剤投与関連 透析管理関連 循環器関連 胸腔ドレーン管理関連 精神及び神経症状に係る薬剤投与関連

The m-step solvable Grothendieck conjecture for genus 0 curves over finitely generated fields.. 2nd Kyoto-Hefei Workshop on

・関  関 関税法以 税法以 税法以 税法以 税法以外の関 外の関 外の関 外の関 外の関係法令 係法令 係法令 係法令 係法令に係る に係る に係る に係る 係る許可 許可・ 許可・

However, because the dependent element in (4) is not a gap but a visible pronoun, readers could not realize the existence of relative clause until they encounter the head noun

あれば、その逸脱に対しては N400 が惹起され、 ELAN や P600 は惹起しないと 考えられる。もし、シカの認可処理に統語的処理と意味的処理の両方が関わっ

自動車環境管理計画書及び地球温暖化対策計 画書の対象事業者に対し、自動車の使用又は

原子力損害賠償・廃炉等支援機構 廃炉等技術委員会 委員 飯倉 隆彦 株式会社東芝 電力システム社 理事. 魚住 弘人 株式会社日立製作所電力システム社原子力担当CEO