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国立大学における「アドミッション・オフィサー」―教員主体の人員構成とその課題―

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【原著論文】

国立大学における「アドミッション・オフィサー」

教員主体の人員構成とその課題 ―

宮本 俊一

・ 杉山 学

社会情報学部協力研究員 ・ 経営管理研究室

Admission Officers at national universities :

Current status and issues of the Admission Officers composed of faculty members

Shunichi MIYAMOTO ・ Manabu SUGIYAMA

Visiting Researcher at Faculty of Social and Information Studies ・ Management and Decision Science

Abstract

In this paper, we look back at the history of the birth of the profession called the “Admission Officers” belonging to the admission center of the national university. How many “Admission Officers” exist in national universities in Japan, and their personnel composition is we will clarify what is going on. In addition, we would like to consider the current status, issues, and future of "Admission Officers" in which faculty members are mainly in Japan.

キーワード:アドミッション・オフィサー,国立大学,アドミッションセンター,判別分析

1. はじめに

国立大学法人群馬大学では「アドミッション・コーディネータ」という学生募集に係る入試広報全 般の業務を担当する専門職を 2019 年 6 月にはじめて採用し、「アドミッションセンター」(群馬大学 では「学生受入センター」という呼称)の業務を拡充することとなった。その業務を同センターとし て本格的に進める中で、近隣の国立大学などの状況を調査すると、同規模の国立大学でもその担当範 囲、人員構成はもちろん、その名称まで異なることが分かり、そこで、各国立大学に設置されている 「アドミッションセンター」についてホームページ上などで公開されている内容を独自に調査した。 加えて、日本における設置の歴史や組織としての位置づけ、業務内容等に関して文献[1,7,10,20,26]を参 考に整理して、著者らの論文[14]「『アドミッションセンター』の多機能化 -国立大学における位置づ けと高大接続改革-」としてまとめた。なお、日本における「アドミッションセンター」の名称は各 大学によって様々だが、本論文では「アドミッションセンター」として表記することとする。

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著者らの論文[14]の中で、「アドミッションセンター」を57 の国立大学で確認した。そこで、本論文 の目的は、「アドミッションセンター」に所属する「アドミッション・オフィサー」(Admissions Officer) と呼ばれる専門職の誕生の歴史を米国中心に整理し、日本の国立大学ではどれほど存在し、その人員 構成等はどうなっているのかについて各国立大学のホームページ上などで公開されている規程等を独 自に調査し、明らかにする。その上で、日本において教員が主体となっている「アドミッション・オ フィサー」の現状と課題、今後について考察することである。 本論文の構成は次のようにまとめることができる。まず,2 節では「アドミッション・オフィサー」 とは何かを、米国と日本の歴史を踏まえながら簡潔に示す。3 節では日本の国立大学の「アドミッシ ョンセンター」における「アドミッション・オフィサー」を含めた人員構成等について簡潔に示す。 4 節では国立大学において「アドミッションセンター」の設置の有無はどんな要因が関係するか、そ して、設置済みの「アドミッションセンター」において、1 名以上の専任教員が在籍するか否かはど んな要因が関係するか、を判別分析により明らかにし、その要因について論じる。5 節では本研究を まとめ,将来の研究課題を検討する。

2. 「アドミッション・オフィサー」とは

2.1. 米国におけるアドミッション・オフィサー 文献[1,13,21]によれば、米国では大学の大規模化に伴って、1930 年代には多くの大学で入試を一手 に受け持つ専門機関「アドミッション・オフィス」(Admissions Office)が設けられるようになった。 そこに所属する専門職は「アドミッション・オフィサー」と呼ばれ、教員でもあり職員でもある、言 わば「第三の職種」として、図1 に示すような業務を主として担当するようになった。 図1.米国における「アドミッション・オフィサー」の主な業務 そもそも米国では、「ファカルティー」(Faculty)と呼ばれる「教員」がアドミッションに関わるこ とは基本的になく、入学審査に直接関わる「アドミッション・オフィサー」は、大学において大きな 役割と責任を負っている。彼らは、所属する大学の歴史や教育プログラムはもちろん、入学審査基準 の一つとなる全米統一テスト(SAT:Scholastic Assessment Test,ACT:American College Testing Program)、 奨学金制度等といった広範な知識が求められる。加えて、入学希望者、高校教員、保護者との面接も 多いため、優れたコミュニケーション能力も必要とされる。 大場(2005)の論文[21]「米国の大学における入学審査職員に求められる能力とその開発」では、米 国のアドミッション・オフィサーの「入学相談活動に際して必要とされる知識」として、次の10 項目 🔶入学者の選抜全般(編入、外国人留学生含む) 🔶高校とのパイプ作り、実態調査 🔶奨学金審査、給付 🔶IR(Institutional Research)と連携した入学後の追跡調査 🔶大学案内、カタログ等の編集 🔶大学フェア、キャンパスツアーの開催

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を紹介している。 【米国のアドミッション・オフィサーの「入学相談活動に際して必要とされる知識」】 (1) 大学の簡潔な歴史 (2) 大学の教育目的とそれの学生にとっての意義 (3) 大学の教育プログラムの認証状況 (4) 大学の教育プログラムへの入学許可に必要な事項、 (5) 学生の構成 (6) 就学に際して必要とされる費用 (7) 利用可能な奨学金 (8) 大学の年中の授業計画や行事 (9) 学生寮の規則 (10) 大学の学生活動プログラム 出典:論文[21]より抜粋 著者ら自身、業務として高校生や高校教員、保護者向けの大学説明会等で登壇する機会があるが、 上記に挙げられた 10 項目は日本におけるアドミッション業務、特に入試広報業務においても事前知 識として必要であると実感できる。 さらに、大場(2005)の同論文[21]では「入学審査職員に必要な適正」として、以下のように順位付 けしたものを紹介している。 【入学審査職員に必要な適正要素の順位】 1. 大学の支援者を容易に作ることができること。 2. 他の教育指導者(他の学生部長や入学審査部長を含む)から尊敬を得ること。 3. 大学にとって高い教育水準を維持するに当たってのリーダーシップ。 4. 学生の教育の質を継続的に向上すること。 5. 長時間の勤務に抵抗がないこと。 6. 学生及び教員に対して品性(moral character)において影響があること。 7. 大学や地域における一般的な知的リーダーシップ。 8. 講演者としての能力。 9. 入学者が高い率で卒業すること。 10. 好意的な評判を得る能力。 11. 均衡のとれた予算を維持する能力。 12. 大学の入学者を継続的に増やすこと。 出典:論文[21]より抜粋

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日米問わず、大学のアドミッション業務は大学全体に大きな影響を及ぼすもので、教員と職員の連 携はもちろん、大学の経営層や各部門のマネージャー層の理解、バックアップを得ることは必須であ り、上記順位、第2 位の要素、第 6 位の要素と第 8 位の要素については特に著者らも実感として理解 できる。 米国で教員はこうした「アドミッション・オフィサー」と連携はするが、先述したとおり入学のプ ロセスそのものには基本的に関与しない。ただし、「アドミッションズ・コミッティ」(Admissions Committee)という場(委員会)があり、両者はそこで情報共有を図っている[1]。 米国ではこうした「アドミッション・オフィサー」らで組織する「全米大学アドミッション・カウ ンセリング協会」(NACAC:National Association for College Admission Counseling)、「アメリカ大学教務 部長・入学審査部長協会」(AACRAO:American Association of Collegiate Registrars and Admission Officers) があり、専門職の組織として社会に対しても一定の発言力を持っている。また、米国では学生の転学 が多いことから、大学間の単位取得等に関する情報交換の場としても、このような団体が機能してい る[1,21]。 2.2. 日本におけるアドミッション・オフィサー 一方、日本においてこうした「アドミッション・オフィサー」という概念はどのように登場してき たのだろうか。文献[3,4,5,6,7]などを参考に時系列に追っていきたい。まず、ここで示したいのが、2008 年12 月の中央教育審議会「学士課程教育の構築に向けて(答申)」[3]である。「第3 章 学士課程教育 の充実を支える学内の教職員の職能開発」、「2 大学職員の職能開発」の項で、大学経営をめぐる課題 が高度化・複雑化している中、それらに対応する職員として「専門性のある職員」が必要だとしてい る。その上で、「教員と職員という従来の区分にとわられない組織体制の在り方も検討していくことも 重要である」と結んでいる。この項では、具体的な職名として、「インストラクショナル・デザイナー」、 「研究コーディネーター」等が挙げられている。「アドミッション・オフィサー」という文言は登場し ないものの、「教員と職員という従来の区分にとらわれない組織体制」という箇所に、教員でもあり、 職員でもある大学における「第三の職種」を想起させていることが重要視される点である。 そして具体的に「アドミッション・オフィサー」という文言が登場するのは、2014 年 2 月の中央教 育審議会大学分科会「大学ガバナンス改革の推進について」(審議まとめ)[5]である。 「Ⅲ 大学のガバナンス改革の推進について」、「2. 学長のリーダーシップの確立」、「(高度専門職 の安定的な採用・育成)」で、「アドミッション・オフィサー」は「高度専門職」として位置づけされ、 URA(リサーチ・アドミニストレーター)といった他の職名とともに紹介されている。本文を引用し て下記に示し、本論文において特に重要な記述に下線を引いた。 (高度専門職の安定的な採用・育成) ◯また,学長がリーダーシップを発揮していくためには,大学執行部が,各学部・学科 の教育研究の状況を的確に把握した上で,必要な支援を行ったり, あるいは,大学執

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行部自らが,全学的な具体的方針を打ち出したりしていく ことが前提となる。そのた めには,例えば,前者の例として,リサーチ・アドミニストレーター(URA)やイン スティトゥーショナル・リサーチャー(IRer),産学官連携コーディネーター等を,後 者の例として,アドミッション・オフィサーやカリキュラム・コーディネーター等の 人材を, 大学本部が配置することが考えられる。また,その他にも,弁護士・弁理士 等の資格保有者,広報人材,翻訳者等,高度な専門性を有する人材(「高度専門職」) を,各大学がその実情に応じて活用し,全学的な支援体制を構築していくことが重要 である。 ◯これらの職員は,新たな職種となるため,これまでは競争的資金を原資とした任期付 き採用となる例が多かった。しかしながら,こうした専門性持った人材は,社会的要 請を踏まえた大学改革の推進力として,執行部を直接支えることが期待され,安定的 に採用・育成していくことが重要である。 出典:文献[5]に基づき下線は著者らによる加筆 ここで紹介されている「アドミッション・オフィサー」は、学長がリーダーシップを発揮する際、 大学執行部が具体的な方針を打ち出していくための人材として配置されることを期待されている。任 期付き採用が多いという課題も示しつつ、大学改革の推進力として「安定的に採用・育成していくこ とが重要」と結んでいる。 さらにこの項に続く「(事務職員の高度化による教職協働の実現)」でも「アドミッション・オフィ サー」について触れている。再び下記に引用して示し、本論文において特に重要な記述に下線を引い た。 (事務職員の高度化による教職協働の実現) ◯事務職員については,従前は,大学間の人事交流が活発であった国立大学も含めて, 同一大学内での勤務が続き,様々な職務環境において新たな知識やノウハウを学ぶ機 会が少なくなる傾向にあると指摘されている。また,2 年程度の短期間で様々な部署 を異動することが多いため,専門性の高いスタッフを養成していくことが困難との意 見もある。 ◯今後,各大学による一層の改革が求められる中,事務職員が教員と対等な立場での 「教職協働」によって大学運営に参画することが重要であり,企画力・コミュニケー ション力・語学力の向上,人事評価に応じた処遇,キャリアパスの構築等についてよ り組織的・計画的に実行していくことが求められる。例えば,国内外の他大学,大学 団体,行政機関,独立行政法人,企業等での勤務経験を通じて幅広い視野を育成する ことや,社会人学生として大学院等で専門性を向上させることを積極的に推進すべき である。

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◯また,前述の URA やアドミッション・オフィサー,カリキュラム・コーディネータ ーをはじめとする,高度の専門性を有する職種や,事務職員等の経営参画能力を向上 させるため,大学が組織的な研修・研究(スタッフ・ディベロップメント(SD))を 実施することも重要である。 出典:文献[5]に基づき下線は著者らによる加筆 ここでは事務職員が教員と対等な立場で「協働」し、大学運営に参画するためのキャリアパスの構 築が必要だとし、こうした事務職員とともに、「アドミッション・オフィサー」ら高度専門職が受けら れる研修の実施を大学側に求めている。 そもそも、日本において「アドミッションセンター」が設置されることになった起点は、1997 年 6 月の中教審「21 世紀を展望した我が国の教育のあり方について(第二次答申)」 [2]である。日本版 AO 入試の導入について、米国の先例を出して、「相当数の専門の職員からなるアドミッション・オフィス (A.O.)が、学生の募集から選抜までの実質的な業務を遂行している。」と紹介した。ここでは「アド ミッション・オフィサー」という文言は使われず、「相当数の専門の職員」としている。 これを受け、2000 年代に入って国立大学で「アドミッションセンター」の設置が一気に広がるのだ が、そこに所属する「専門の職員」、すなわち「アドミッション・オフィサー」については、先述した 2014 年 2 月の中教審大学分科会「大学ガバナンス改革の推進について(審議まとめ)」 [5]まで本格的 な言及はなく、「アドミッションセンター」という組織の設置だけが先行してしまったような印象を受 ける。 それでは、日本の国立大学では「アドミッション・オフィサー」に該当する役割を誰が担っていた のだろうか。おそらく、国立大学の入試は、基本的に大学入試センター試験と各国立大学が実施する 個別学力検査(前期日程と後期日程)が中心であり、以前は様々な入試に関して検討する必要性がな ったので、事務組織の入試部門の職員が実施してきたのが事実だろう。

3. 日本の「アドミッション・オフィサー」

3.1. 教員主体で構成 それでは現在、日本の国立大学で「アドミッション・オフィサー」はどれほど存在しているのか。 彼らの所属先である各大学の「アドミッションセンター」について、ホームページ上などで公開され ている規程等を独自に調査したところ、表1 で示したように 7 大学で同様の職名を確認した。 名称は各大学で多少異なるが、57 大学で確認されている「アドミッションセンター」(2020 年 2 月 時点)で、7 大学しか専門職としての「アドミッション・オフィサー」を確認できなかったことは注 目に値するだろう。一方、熊本大学だけは規程で、アドミッション・オフィサーを「2 名」置くと記載 し、さらに業務に「アドミッションオフィサーの育成に関すること。」まで記載しており、この職を大 学として重要視していることが分かる。

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表1. 国立大学の規程で確認された「アドミッション・オフィサー」(2020 年 3 月時点) 大学名 名称 大学名 名称 福島大学 アドミッションオフィサー 島根大学 アドミッションコーディネーター 茨城大学 アドミッション・オフィサー 徳島大学 アドミッション・オフィサー/広報担当 群馬大学 アドミッション・コーディネータ 熊本大学 アドミッション・オフィサー 東京工業大学 アドミッションコーディネーター このような現状とはいえ、ほとんどの「アドミッションセンター」が、専門職や事務職員ではなく、 あくまで教員(「特任」等を含む)主体で組織されていることが日本の国立大学の最大の特徴で、アド ミッション分野において専門職で組織される米国とは大きく違う点である。日本の国立大学で、最も 一般的な「アドミッションセンター」の人員構成は、図 2 に示すように、「センター長(理事か副学 長)、副センター長(教員)、専任教員、兼任教員、そして、その他必要な職員」という位置づけだろ う。また、各大学のホームページ[8]などで公開されている規程等を調べると、「アドミッションセンタ ー」の教員を「専任」として1 名以上所属させていると確認された大学は、表 2 で示したように 42 大 学だった。 一般的に「アドミッションセンター」に所属する専任教員は、教育学等を修めたアカデミック系と、 職務経験(進研アド、代々木ゼミナールといった主に民間の教育産業)を積んだ実務系に分かれる。 アカデミック系は入試業務、実務系は進学相談会や高校訪問、高校教員向け説明会といった入試広報 業務という棲み分けが多い[20]。なお、具体的な業務については、著者らの論文[14]「『アドミッショ ンセンター』の多機能化 -国立大学における位置づけと高大接続改革-」において詳述した。 専任教員が所属していない「アドミッションセンター」は、入試、入試広報業務を兼任の教員が担 っていることになり、過重な業務負担になっていることが推察される。もちろん、専任や兼任にかか わらず、彼らのような教員だけでは大学のアドミッション部門を運営することは人員的にも不可能で ある。「アドミッションセンター」の教員とともに、文部科学省が企画・立案した入試、入試広報業務 については、入試部門の職員が事務組織の中でジョブローテーションしながらその都度入試の「実施 面」を担い、支えてきたのが実情であろう。 図2. 日本の国立大学における一般的な「アドミッションセンター」の人員構成

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表2. 「アドミッションセンター」に専任教員が 1 名以上在籍する国立大学(2020 年 3 月時点) 大学名 大学名 大学名 小樽商科大学 富山大学 島根大学 旭川医科大学 福井大学 岡山大学 弘前大学 山梨大学 広島大学 東北大学 信州大学 山口大学 福島大学 静岡大学 徳島大学 茨城大学 名古屋大学 香川大学 筑波大学 三重大学 高知大学 宇都宮大学 滋賀大学 九州大学 東京大学 京都大学 佐賀大学 東京農工大学 大阪大学 長崎大学 お茶の水女子大学 神戸大学 熊本大学 電気通信大学 奈良女子大学 大分大学 横浜国立大学 和歌山大学 鹿児島大学 新潟大学 鳥取大学 琉球大学 3.2. 「アドミッションセンター」の先駆け 3 大学の事例 日本において国立大学として初めて 1999 年に「アドミッションセンター」を設置した東北大学、筑 波大学、九州大学は 2020 年 2 月現在、どのような人員構成になっているのか、個別に具体的に見てみ よう。 東北大学では、「アドミッションセンター」設置の翌年、日本で「AO 入試元年」と言われた 2000 年 にAO 入試を実施した。2005 年には「入試センター」に改称し、2010 年には入試センターのホームペ ージを公開した[23]。入試センターは、専任教員 4 名が在籍する入試開発室と、事務組織である入試 課(入試企画・調査係、入試実施係、入試広報係)で構成される。さらに入試センター所属として入 試業務を専門的に担当する特任教授4 名が在籍し、AO 入試だけではなく、学部入試全般を管轄して いる。東北大学は合計では 8 名もの専任教員を在籍させており、この数は東京大学[23]と並び、日本 の国立大学ではトップである。 一方、筑波大学の「アドミッションセンター」は、センター長含め4 人の専任教員のみで構成され ている。「入学者選抜等実施部門」(AO 入試『筑波大学では AC 入試』の企画立案、大学説明会の企画 立案、進学相談会等)と「入学者選抜方法等調査研究部門」(入学試験データの分析・評価等)の2 部 門に分けられ、業務にあたっている[24]。 九州大学の「アドミッションセンター」も、センター長は理事(副学長)が務めているものの、5 人 の専任教員が在籍し、入学者選抜の調査・分析・提案、アドミッションポリシーの策定、志願者動向 の調査といった入試業務と、大学説明会の企画、各高校への講師派遣、オープンキャンパスの開催、 高校訪問といった入試広報業務を担っている[12]。 以上のように、日本版「アドミッションセンター」の起点となった3 大学は、20 年以上を経た現在

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でも、専任の教員がアドミッション業務を担い、さらに4 名以上所属させるという充実した体制を敷 いていることが分かる。

4. 「アドミッションセンター」の設置の有無と専任教員が在籍するか否かの要因

4.1. 分析内容と使用する分析手法 本節ではまず「分析 1」として、国立大学において「アドミッションセンター」の設置の有無はど んな要因が関係するか、そして次に「分析2」として、「アドミッションセンター」が設置された国立 大学において専任教員が在籍するか否かはどんな要因が関係するか、を明らかにするために、それぞ れの分析に対し判別分析を行うこととする。 そして、今回はいずれの分析においても2 群の判別となるが、今後の本研究の展開、発展を考慮し て今後も同一の分析手法を使用する方が望ましいと考え、3 群以上の多群を判別できる正準判別分析 (CDA:Canonical Discriminant Analysis)[25]を使用することとした。正準判別分析は 2 群の判別分析、 すなわち、線形判別分析を多群に拡張した手法であるので、当然、2 群の判別にもそのまま用いるこ とが可能である。 4.2. 使用変数とデータ 本論文での判別分析において、まず分析1 では、外的基準(被説明変数)は各国立大学(2020 年 2 月時点)における「アドミッションセンターの設置の有無」であり、説明変数としては、「学生数」、 「学部数」、「志願者数」、「旧1期校か否か」、「同一県内の国立大学の有無」、「三大都市圏か否か」、「総 合系大学か否か」と計7 変数を設定した。したがって、仮説 1 は「アドミッションセンターの設置の 有無は、7 つの説明変数のすべてか、そのいずれかが要因である」となる。 次に分析2 では、外的基準(被説明変数)は各国立大学(2020 年 2 月時点)における「アドミッシ ョンセンターに専任教員が在籍するか否か」であり、説明変数としては、「学生数」、「学部数」、「志願 者数」、「旧1期校か否か」、「同一県内の国立大学の有無」、「三大都市圏か否か」、「総合系大学か否か」、 「高大接続業務の規程の有無」と計8 変数を設定した。したがって、仮説 2 は「アドミッションセン ターに専任教員が在籍するか否かは、8 つの説明変数のすべてか、そのいずれかが要因である」とな る。 これらの変数の詳しい説明を含めた内容を、表3 にまとめることとする。そして、これらのデータ は、大学院大学を除く全国 82 の国立大学の各ホームページ[8]などに掲載、公表されている内容を用 いることとした。なお、各国立大学(2020 年 2 月時点)における「アドミッションセンターの設置の 有無」は、著者らの論文[14]「『アドミッションセンター』の多機能化 -国立大学における位置づけと 高大接続改革-」で示した57 大学が「アドミッションセンター」の設置が「有り」であり、表 4 の通 りである。表 4 に掲載のない 25 大学は「アドミッションセンター」の設置が「無し」である。そし て、各国立大学(2020 年 2 月時点)における「アドミッションセンターに専任教員が在籍するか否か」 は、前記の表2 で示した 42 大学が「アドミッションセンター」に専任教員が「在籍する」であり、表

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2 に掲載のない 15 大学は専任教員が「在籍しない」である。 表3. 使用変数とデータ 使用変数 データの説明 分析1 分析 2 アドミッションセンターの 設置の有無 2020 年 2 月時点における全国 82 の各国立大学において、表 4 に記載の57 大学が「アドミッションセンター」の設置が「有 り:1」であり、表 4 に掲載のない 25 大学は「アドミッション センター」の設置が「無し:0」である。 使用 アドミッションセンターに 専任教員が在籍するか否か 2020 年 2 月時点における各国立大学において、表 2 に記載の 42 大学が「アドミッションセンター」に専任教員が「在籍: 1」であり、表 2 に掲載のない 15 大学は専任教員が「在籍しな い:0」である。 使用 学生数 2019~2020 年の学部のみ、学生数である。ただし、お茶の水女子大学のみ2018 年である。 使用 使用 学部数 2020 年 2 月時点において学生募集を行っていた学部数である。 使用 使用 志願者数 2019 年度の一般選抜の志願者数である。 使用 使用 旧1期校か否か 旧1 期校は「1」、それ以外は「0」としたダミー変数である。 使用 使用 同一県内の国立大学の有無 同一県内に他の国立大学が存在すれば「1」、それ以外は「0」としたダミー変数である。 使用 使用 三大都市圏か否か 大学の所在地が三大都市圏(首都圏「東京、神奈川、埼玉、千 葉、茨城、栃木、群馬、山梨」、中京圏「愛知県、岐阜県、三 重県」、近畿圏「大阪府、京都府、兵庫県、滋賀県、奈良県、 和歌山県」)であれば「1」、それ以外は「0」としたダミー変数 である。 使用 使用 総合系大学か否か 大学名に、教育、工業、医科大、女子大などの記載がない総合 系の大学であれば「1」、それ以外は「0」としたダミー変数で ある。 使用 使用 高大接続業務の規程の有無 「アドミッションセンター」において、高大接続業務も規程されていれば「1」、それ以外は「0」としたダミー変数である。 使用 これら表3 に示した各変数に関して、分析 1 の「アドミッションセンターの設置の有無」の記述統 計量については表5 の通りである。そして、分析 2 の「アドミッションセンターに専任教員が在籍す るか否か」の記述統計量については表6 の通りである。

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表4. 「アドミッションセンター」設置済みの国立大学(2020 年 2 月時点) 大学名 大学名 大学名 北海道大学 お茶の水女子大学 和歌山大学 室蘭工業大学 電気通信大学 鳥取大学 小樽商科大学 横浜国立大学 島根大学 旭川医科大学 新潟大学 岡山大学 北見工業大学 富山大学 広島大学 弘前大学 福井大学 山口大学 東北大学 山梨大学 徳島大学 山形大学 信州大学 香川大学 福島大学 静岡大学 愛媛大学 茨城大学 名古屋大学 高知大学 筑波大学 名古屋工業大学 九州大学 宇都宮大学 三重大学 九州工業大学 群馬大学 滋賀大学 佐賀大学 埼玉大学 滋賀医科大学 長崎大学 東京大学 京都大学 熊本大学 東京医科歯科大学 京都工芸繊維大学 大分大学 東京学芸大学 大阪大学 鹿児島大学 東京農工大学 神戸大学 鹿屋体育大学 東京工業大学 奈良女子大学 琉球大学 出典:著者らの論文[14]から加筆修正 表5. 分析 1「アドミッションセンターの設置の有無」における使用変数の記述統計量 使用変数 n 平均 不偏分散 標準偏差 最小値 最大値 アドミッションセンターの 設置の有無 82 0.695 0.215 0.463 0 1 学生数 82 5222.049 12974612.738 3602.029 321 15285 学部数 82 4.622 11.794 3.434 1 12 志願者数 82 4028.695 6774446.066 2602.777 36 10611 旧1期校か否か 82 0.390 0.241 0.491 0 1 同一県内の国立大学の有無 82 0.610 0.241 0.491 0 1 三大都市圏か否か 82 0.463 0.252 0.502 0 1 総合系大学か否か 82 0.573 0.248 0.498 0 1

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表6. 分析 2「アドミッションセンターに専任教員が在籍するか否か」における使用変数の記述統計量 使用変数 n 平均 不偏分散 標準偏差 最小値 最大値 アドミッションセンターに 専任教員が在籍するか否か 57 0.737 0.197 0.444 0 1 学生数 57 6226.912 12621104.081 3552.619 767 15285 学部数 57 5.614 11.848 3.442 1 12 志願者数 57 4693.632 5714514.308 2390.505 288 10341 旧1期校か否か 57 0.386 0.241 0.491 0 1 同一県内の国立大学の有無 57 0.544 0.253 0.503 0 1 三大都市圏か否か 57 0.439 0.251 0.501 0 1 総合系大学か否か 57 0.719 0.206 0.453 0 1 高大接続業務の規程の有無 57 0.526 0.254 0.504 0 1 4.3. 「アドミッションセンター」の設置の有無について まず分析1 の「アドミッションセンターの設置の有無」における各説明変数の相関関係は表 7 に示 した通りである。そして今回は、分析上も線形結合している変数は「無し」であり、多重共線性の問 題を考慮する必要はないと考えられる。 表7. 分析 1「アドミッションセンターの設置の有無」における使用変数の相関係数表 学生数 学部数 志願者数 旧1期校 か否か 同一県内 の国立大 学の有無 三大都市 圏か否か 総合系大 学か否か 学生数 1.000 0.896 0.864 0.388 -0.226 -0.105 0.726 学部数 1.000 0.815 0.411 -0.338 -0.184 0.778 志願者数 1.000 0.279 -0.308 0.018 0.724 旧1期校か否か 1.000 0.025 0.059 0.185 同一県内の国立大学 の有無 1.000 0.292 -0.690 三大都市圏か否か 1.000 -0.236 総合系大学か否か 1.000 次に分析1 の「アドミッションセンターの設置の有無」の分析結果(全変数:計 7 変数)は表 8 の ようになった。計7 つの説明変数によって導いた判別関数の有意性の検定結果は「P ≈ 0.0014」とな り有意水準1%でも 5%でも有意であり、判別的中率は 75.61%となった。しかし、7 つの説明変数すべ てにおいてP 値が 0.05 以上であり有意ではなく、「アドミッションセンターの設置の有無」を説明で きる要因が見つからなかった。

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表8. 分析 1「アドミッションセンターの設置の有無」における分析結果(全変数) 判別係数 標準化判別係数 P 値 学生数 0.0001 0.2898 0.6184 学部数 0.1800 0.5589 0.2963 志願者数 -0.0001 -0.2231 0.6294 旧1期校か否か -1.0039 -0.4958 0.0603 同一県内の国立大学の有無 0.5034 0.2434 0.5160 三大都市圏か否か 0.2341 0.1179 0.6437 総合系大学か否か 1.5184 0.6805 0.1840 定数項 -1.8147 * 0.0204 注:* は 5%水準(P<0.05)、** は 1%水準(P<0.01)でそれぞれ有意であることを示す。 そこで、すべての説明変数(計7 変数)を使用するのではなく、できる限り少ない変数で効率的に 群を判別できるように、変数選択法の変数減増法(stepwise backward selection method)を用いて変数の 選択を行って、判別分析を行うこととする。その分析結果(変数減増法の結果:2 変数)は表 9 よう になった。変数減増法により 2 つの説明変数で導いた判別関数の有意性の検定結果は「P ≈ 0.0000」 となり有意水準1%でも 5%でも有意であり、判別的中率は 73.17%となった。そして、「学部数」の説 明変数が1%水準で有意であり、「旧1期校か否か」の説明変数が 5%水準で有意であり、これら 2 つ の要因から「アドミッションセンターの設置の有無」を説明できることが認められた。 ここで、2 つの説明変数「学部数」と「旧1期校か否か」によって導いた判別関数の判別係数の値 と符号から、「アドミッションセンター」の設置の有無に関係する要因について解釈する。それは「ア ドミッションセンターは、学部数が多くなると設置されており、加えて、旧1期校でない方が設置さ れている」と解釈することができる。 表9. 分析 1「アドミッションセンターの設置の有無」における分析結果(変数減増法) 判別係数 標準化判別係数 P 値 学部数 0.3634 ** 1.1284 ** 0.000 旧1期校か否か -1.1079 * -0.5471 * 0.034 定数項 -1.2474 * 0.020 注:* は 5%水準(P<0.05)、** は 1%水準(P<0.01)でそれぞれ有意であることを示す。 4.4. 「アドミッションセンター」において専任教員が在籍するか否かについて まず分析2 の「アドミッションセンターに専任教員が在籍するか否か」における各説明変数の相関 関係は表10 に示した通りである。そして今回は、分析上も線形結合している変数は「無し」であり、 多重共線性の問題を考慮する必要はないと考えられる。

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表10. 分析 2「アドミッションセンターに専任教員が在籍するか否か」における使用変数の相関係数表 学生数 学部数 志願者数 旧1期校 か否か 同一県内 の国立大 学の有無 三大都市 圏か否か 総合系大 学か否か 高大接続 業務の規 程の有無 学生数 1.000 0.884 0.819 0.473 0.001 -0.111 0.642 -0.075 学部数 1.000 0.772 0.491 -0.176 -0.263 0.730 -0.087 志願者数 1.000 0.295 -0.079 -0.006 0.650 -0.080 旧1期校か否か 1.000 0.147 0.025 0.174 -0.186 同一県内の国立 大学の有無 1.000 0.313 -0.572 -0.022 三大都市圏か否 か 1.000 -0.235 -0.153 総合系大学か否 か 1.000 -0.045 高大接続業務の 規程の有無 1.000 次に分析2 の「アドミッションセンターに専任教員が在籍するか否か」の分析結果(全変数:計 8 変数)は表11 ようになった。計 8 つの説明変数によって導いた判別関数の有意性の検定結果は「P ≈ 0.0090」となり有意水準 1%でも 5%でも有意であり、判別的中率は 80.70%となった。しかし、7 つの 説明変数はP 値が 0.05 以上であり有意ではなく、唯一「総合系大学か否か」の説明変数が 1%水準で 有意であった。この「総合系大学か否か」の1 つの要因から「アドミッションセンターに専任教員が 在籍するか否か」を説明できることが認められた。 表11. 分析 2「アドミッションセンターに専任教員が在籍するか否か」における分析結果(全変数) 判別係数 標準化判別係数 P 値 学生数 -0.0002 -0.8068 0.2045 学部数 0.1300 0.4115 0.5127 志願者数 0.0000 0.0022 0.9961 旧1期校か否か 0.8183 0.3949 0.2102 同一県内の国立大学の有無 0.7328 0.3618 0.3467 三大都市圏か否か 0.0860 0.0432 0.8837 総合系大学か否か 3.2163 ** 1.2626 ** 0.0087 高大接続業務の規程の有無 0.5602 0.2788 定数項 -2.6199 ** 0.0045 注:* は 5%水準(P<0.05)、** は 1%水準(P<0.01)でそれぞれ有意であることを示す。 ここで、この1 つの説明変数「総合系大学か否か」によって導いた判別関数の判別係数の値と符号 から、「アドミッションセンター」に専任教員が在籍するか否かに関係する要因について解釈する。そ

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れは「アドミッションセンターが設置されている総合系大学であれば、専任教員が在籍している」と 解釈することができる。 また分析1 と同様に、すべての説明変数(計 8 変数)を使用するのではなく、できる限り少ない変 数で効率的に群を判別できるように、変数選択法の変数減増法を用いて変数の選択を行って、判別分 析を行うこととする。その分析結果(変数減増法の結果:1 変数)は表 12 ようになった。変数減増法 により 1 つの説明変数で導いた判別関数の有意性の検定結果は「P ≈ 0.0000」となり有意水準 1%で も5%でも有意であり、判別的中率は 80.70%となった。そして、「総合系大学か否か」の説明変数が1% 水準で有意であり、この1 つの「総合系大学か否か」の要因から「アドミッションセンターに専任教 員が在籍するか否か」を説明できることが認められた。 ここではすべての説明変数(計8 変数)によって導いた結果と同様に、同じ説明変数「総合系大学 か否か」の1 つで導いた判別関数の判別係数の値と符号から、「アドミッションセンター」に専任教員 が在籍するか否かに関係する要因について解釈する。それは「アドミッションセンターが設置されて いる総合系大学であれば、専任教員が在籍している」と解釈することができる。 表12. 分析 2「アドミッションセンターに専任教員が在籍するか否か」における分析結果(変数減増法) 判別係数 標準化判別係数 P 値 総合系大学か否か 2.5473 ** 1.0000 ** 0.0000 定数項 -1.8323 ** 0.0004 注:* は 5%水準(P<0.05)、** は 1%水準(P<0.01)でそれぞれ有意であることを示す。

5. おわりに

本論文では、「アドミッションセンター」に所属する「アドミッション・オフィサー」と呼ばれる専 門職の誕生の歴史を米国中心に整理し、日本の国立大学ではどれほど存在し、その人員構成等はどう なっているのかについて各国立大学のホームページ上などで公開されている規程等を独自に調査して 明らかにした。その上で、日本において教員が主体となっている「アドミッション・オフィサー」の 現状をデータに基づいて分析し、その課題、今後について論じた。 そもそも米国と日本では大学における入学審査の形態が異なるため、当然、「アドミッションセンタ ー」やそこに所属する「アドミッション・オフィサー」の位置づけも異なってくる。日本の「アドミ ッションセンター」はAO 入試を担うために設置されたもので、歴史も 20 年ほどだが、米国では 20 世紀前半には既に多くの州立大学で「アドミッション・オフィス」(日本では「アドミッションセンタ ー」)が広がっており、100 年を超える歴史がある。 米国のような「アドミッション・オフィサー」が日本に浸透しないのは、入学審査の違いはもちろ んだが、こうした「アドミッション・オフィス」(日本では「アドミッションセンター」)の歴史の長 短も関係しているのだろう。このような現状とはいえ、いくら入学審査の形態が違うといっても、入

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試業務、入試広報業務といったアドミッション業務がなくなることはなく、少なくとも日本の国立大 学の「アドミッションセンター」ではこうした業務を教員主体で担当・先導し、事務組織の入試部門 の職員が実施面を担当してきた。 3 節で触れた東北大学、筑波大学、九州大学、あるいは東京大学、京都大学[11]のような大学では「ア ドミッションセンター」に専任の教員を複数置いているが、例えば、著者らの所属する群馬大学の「ア ドミッションセンター」(群馬大学では「学生受入センター」という呼称)に、対外的に所属するのは、 理事を兼務するセンター長(教員出身)、副学部長・教授を兼務する副センター長(教員)の2 名のみ という体制であり、著者らの1 名については当センターの実質的な構成員ではあるが、対外的には総 務部総務課の所属ということになっている。組織面でも人員の手厚さという面でも、上記のような大 学とは差が大きい。 そこで本論文の4 節において、まず「分析 1」として、国立大学において「アドミッションセンタ ー」の設置の有無はどんな要因が関係するか、を明らかにするために、判別分析を行った。その分析 結果から、「アドミッションセンター」の設置の有無に関係する要因については、学部数が多くなると 設置されており、加えて、旧1期校でない方が設置されていると解釈することができる。群馬大学は、 学部数が少ないが、旧1期校でないこともあり、判別関数による予測結果は「アドミッションセンタ ー」の「設置あり」という判別結果となり、現状と一致している。 そして次に「分析2」として、「アドミッションセンター」が設置された国立大学において専任教員 が在籍するか否かはどんな要因が関係するか、を明らかにするために、判別分析を行った。その分析 結果から、専任教員が在籍するか否かに関係する要因については、総合系大学であれば専任教員が在 籍していると解釈することができる。群馬大学は「アドミッションセンター」が設置されており、総 合系大学であるため、判別関数による予測結果は、専任教員が「在籍する」という判別結果となり、 現状とは一致せず、異なっている。したがって、今後の入試改革などを踏まえるならば、群馬大学は 「アドミッションセンター」で専任教員を早急に採用し、在籍させるべきであると、本研究では判断 する。 近年、政府の高大接続改革に絡み、「アドミッションセンター」に求められる業務は増大している [9,15,16]。一方、日本の国立大学においてアドミッション部門を担当する「アドミッション・オフィサ ー」の育成・浸透は、その身分が教員か専門職かどうかは別にして、まだ不十分であると言える。 そういった課題解決のためには、日本で唯一である国立大学の「アドミッションセンター」間のネ ットワーク「国立アドミッションセンター連絡会議」(2003 年設立、2020 年 2 月時点で 37 の国立大学 が加盟)の加盟数の増加と、さらなる活性化、そして、九州大学主催で開催されている「アドミッシ ョン・オフィサー養成プログラム」のような人材養成が不可欠であろう。

謝辞

本研究はJSPS 科研費 基盤研究 (C) 20K01847 の助成を一部受けたものです.また,本論文の査読

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者の方々からは有益なコメントをいただきました.ここに心から感謝の意を表します. 参考文献 [1] 荒井克弘, インタビュー「資格選抜型入試」への移行におけるアドミッションズ・オフィスの在り 方, Between 特集 アドミッションズ・オフィスの役割 ベネッセ教育総合研究所, Vol.7・8 (2002), https://berd.benesse.jp/berd/center/open/dai/between/2002/0708/bet18606.html 閲覧日 2020 年 2 月 2 日. [2] 中央教育審議会 1997, 21 世紀を展望した我が国の教育の在り方について(第二次答申), https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chuuou/toushin/970606.htm 閲覧日 2020 年 2 月 10 日. [3] 中央教育審議会 2008, 学士課程教育の構築に向けて(答申), https://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2008/12/26/1217067_001.p df 閲覧日 2020 年 2 月 10 日. [4] 中央教育審議会 2014, 新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、 大学入学者選抜の一体的改革について~すべての若者が夢や目標を芽吹かせ、未来に花開かせる ために~(答申), https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/__icsFiles/afieldfile/2015/01/14/1354191. pdf 閲覧日 2020 年 2 月 10 日. [5] 中央教育審議会・大学分科会 2014, 大学ガバナンス改革の推進について(審議まとめ), https://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2014/02/18/1344349_1_1.p df 閲覧日 2020 年 2 月 10 日. [6] 中央教育審議会・初等中等教育分科会 2017, 高大接続改革の実施方針等について, https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/siryo/__icsFiles/afieldfile/2017/10/17/1396986_05 .pdf 閲覧日 2020 年 2 月 10 日. [7] 林篤裕, アドミッション・オフィスの機能と役割 ―多面的・総合的評価を実現するために―, 名 古屋高等教育研究, Vol.18 (2018), pp.39-53. [8] 国立大学法人 全国 82 大学のホームページ(大学院大学を除く), 閲覧日 2020 年 2 月 28 日. [9] 高大接続システム改革会議 2016, 最終報告, https://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2016/06/02/1369232_01_2. pdf 閲覧日 2020 年 2 月 15 日. [10] 倉元直樹, 国立大学におけるアドミッションセンターの役割と組織, 大学入試研究ジャーナル, Vol. 26 (2016), pp.89-96. [11] 京都大学高大接続・入試センター ホームページ, https://www.kuac.kyoto-u.ac.jp/ 閲覧日 2020 年 2 月13 日. [12] 九州大学アドミッションセンター ホームページ, https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/admission/faculty/center/ 閲覧日 2020 年 2 月 13 日. [13] 松井範惇, アメリカの大学アドミッションとアドミッション・オフィサーの新しい課題, 大学評 価・学位研究, Vol.10 (2009), pp.1-23. [14] 宮本俊一, 杉山学, 「アドミッションセンター」の多機能化-国立大学における位置づけと高大 接続改革-, Journal of Social and Information Studies, Vol.28 (2021) , pp.53-65.

[15] 文部科学省 2015, 高大接続改革実行プラン, https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo12/sonota/__icsFiles/afieldfile/2015/01/23/1354545. pdf 閲覧日 2020 年 2 月 18 日. [16] 文部科学省 2015, 高大接続改革実行プラン(概要), https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kyouikusaisei/dai28/siryou4-1.pdf 閲覧日 2020 年 2 月 18 日. [17] 武藤英幸, 国立大学入試担当課職員の汎用性と専門性 ―法人化と高大接続改革に伴う職能開発 ―, 名古屋高等教育研究, Vol. 18 (2018), pp.71-86. [18] 武藤英幸, 名古屋大学における企画系事務職員像の提案, 名古屋高等教育研究, Vol.19 (2019),

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pp.295-313. [19] 永野拓矢, 国立大学アドミッションアフィサーの任期制に関する考察, 大学入試研究ジャーナル, Vol.26 (2016), pp.141-146. [20] 永野拓矢, アドミッション教員に課された入試業務における「三つのミッション」の意義, 名古 屋高等教育研究, Vol.18 (2018), pp.55-70. [21] 大場淳, 米国の大学における入学審査職員に求められる能力とその開発, 大学行政管理学会誌, Vol.8 (2005), pp.55-61. [22] 東北大学入試センター ホームページ, http://www.tnc.tohoku.ac.jp/ 閲覧日 2020 年 2 月 28 日. [23] 東京大学高大接続研究開発センター ホームページ, https://www.ct.u-tokyo.ac.jp/ 閲覧日 2020 年 2 月28 日. [24] 筑波大学アドミッションセンター ホームページ, https://ac.tsukuba.ac.jp/ 閲覧日 2020 年 2 月 28 日. [25] 柳井晴夫, 高根芳雄, 現代人の統計 2:新版 多変量解析法, 朝倉書店, 1985. [26] 吉武博通, 大学における「高度専門職」の意義と育成について考える, リクルートカレッジマネ ジメント, Vol. 191 (2015), pp.54-57. 原稿受領日 2020 年 9月2日 修正原稿受領日 2020 年 11 月5日

表 1.  国立大学の規程で確認された「アドミッション・オフィサー」 (2020 年 3 月時点)  大学名  名称  大学名  名称  福島大学  アドミッションオフィサー  島根大学  アドミッションコーディネーター  茨城大学  アドミッション・オフィサー  徳島大学  アドミッション・オフィサー/広報担当  群馬大学  アドミッション・コーディネータ  熊本大学  アドミッション・オフィサー  東京工業大学  アドミッションコーディネーター  このような現状とはいえ、ほとんどの「アドミッションセンタ
表 2.  「アドミッションセンター」に専任教員が 1 名以上在籍する国立大学(2020 年 3 月時点)  大学名  大学名  大学名  小樽商科大学  富山大学  島根大学  旭川医科大学  福井大学  岡山大学  弘前大学  山梨大学  広島大学  東北大学  信州大学  山口大学  福島大学  静岡大学  徳島大学  茨城大学  名古屋大学  香川大学  筑波大学  三重大学  高知大学  宇都宮大学  滋賀大学  九州大学  東京大学  京都大学  佐賀大学  東京農工大学  大阪大学  長崎大学
表 4.  「アドミッションセンター」設置済みの国立大学(2020 年 2 月時点)  大学名  大学名  大学名  北海道大学  お茶の水女子大学  和歌山大学  室蘭工業大学  電気通信大学  鳥取大学  小樽商科大学  横浜国立大学  島根大学  旭川医科大学  新潟大学  岡山大学  北見工業大学  富山大学  広島大学  弘前大学  福井大学  山口大学  東北大学  山梨大学  徳島大学  山形大学  信州大学  香川大学  福島大学  静岡大学  愛媛大学  茨城大学  名古屋大学  高知大学
表 6.  分析 2「アドミッションセンターに専任教員が在籍するか否か」における使用変数の記述統計量  使用変数  n  平均  不偏分散  標準偏差  最小値  最大値  アドミッションセンターに 専任教員が在籍するか否か  57  0.737  0.197  0.444  0  1  学生数  57  6226.912  12621104.081  3552.619  767  15285  学部数  57  5.614  11.848  3.442  1  12  志願者数  57  4693.632
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参照

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