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実践編Ⅳ 理科 互いの考えを伝え合い、身の回りの自然事象に対する見方や考え方を深める生徒の育成

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Academic year: 2021

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Ⅳ 理 科 白井 輝 神立 誠 田中 和徳 互いの考えを伝え合い、身の回りの自然事象に対する見方や考え方を深める生徒の育成 1 研究の概要 (1) 生徒の実態 理科では、生徒の現状を次のようにとらえている。 (2) 目指す生徒像 理科では、生徒の実態をふまえ目指す生徒像を次のように設定した。 ① 自信をもって観察、実験ができる生徒 ② 他者に分かりやすく自己の考えを説明できる生徒 ③ 互いの意見交流から自己の見方や考え方を再構成できる生徒 ①の「自信をもって観察、実験ができる生徒」とは、グループ実験だけではなく生徒一人一実験にお いても他者に頼らず、積極的に観察、実験に取り組むことができる生徒である。理科で自信をもって観 察、実験をするためには、先行経験、知識や技能が不可欠であり、見通しをもって時間をかけてじっく りと取り組んでいけるようにする必要がある。本校のチャレンジタイムの設定は、一連の学習過程の中 で生徒の意欲を持続させ思考の深まりをもたせることが重要である。

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③の「互いの意見交流から自己の見方や考え方を再構成できる生徒」とは、意見交流を通して、自己 の中で説明がうまくいかなかったところを補充したり、新たに生まれた疑問を問い続けたりする中で、 自己の見方や考え方を修正できる生徒である。そのためには、意見交流をしたくなる状況設定の工夫や グループ編制等の工夫も必要である。さらには、自然事象における原理や法則の理解を深めたり、他者 の見方や考え方を自己の考察に生かしたりして自己の考えを再構成していこうとする態度を養うことが できる。 (3) 研究の構想 本校の生徒の実態と、本校理科が目指す生徒像をふまえて、以下のような構想で研究を進めていく。 (4) 重点的に取り組む手だてについて 本校の実態と、本校理科が目指す生徒像をつなぐ手だてを次のように考え、授業実践を進めていく。 ① 生徒の意欲や思考のつながりを意識したチャレンジタイムの設定(九つの重点) ② 生徒の意欲を持続させたり、思考を深めたりする題材構成の工夫 ③ 生徒の思考を深めるための意見交流の場の設定

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①題材を通して学ん だ ことを 生か して追 究 する活 動と 考え、 題 材の最 後の 活動と し てチャ レン ジタイ ム を設定 する 。九つ の 重点の もと 取り組 ん でいく こと で、生 徒 の意欲 や思 考のつ な がりを 意識 して授 業 を展開 する 。具体 的 には、 題材 構成の 工 夫と意 見交 流の場 の 設定に つい て今年 度重点的に取り組む。 重 点1~ 9に あるよ う に、生 徒は 課題提 示 →観察 、実 験→考 察 →まと めま での一 連の学習の流れを継続して行い、思う存分学んだことを駆使しながら更に学びを深めていくことできる。 また、生徒の興味・関心、知識や技能にかかわったグループ編制を行うことで、意見交流をしたくなる 必然性をもたせられるようにしていく。さらに、自己の考察場面において、他者に分かりやすく伝える ためには文章だけではなく、いかに図や表を用いるか、じっくりとまとめる時間の確保も行う。生徒一 人一人の個に応じた支援には、2時間(100分)授業の時間的保証はもとより、TTによる教師の机間指 導の役割分担等をとることで、授業内における生徒の変容の見取りを大切にしていく。 ②生徒が学習意欲を持続できたり、思考を深めたりするための題材構成を次の三つの視点から工夫す る。まず一つ目は、演示実験、映像資料の工夫である。題材の導入時の演示実験は、生徒に興味・関心 をもたせることができる。また映像資料は、演示実験ではできない事例については生徒の視覚に訴える ことで、課題を追究する際のイメージや見通しをもたせることができる。二つ目は、題材をとおして、 一つの材料を継続して取り扱うことで、つながりを意識させることである。例えば、3年「生命の連続 性」の学習の流れとしては、タマネギの表皮細胞の観察、根の体細胞分裂の観察、すり下ろしてDNA を抽出することで、一つの材料をもとに追究していくことができる。三つ目は、「○○の仕組みを明ら かにしよう」という事象提示によって、今まで身に付けた科学概念を駆使して考えたり説明したりした くなる課題を提示することである。つまり、追究していこうという意欲が喚起できる題材構成が重要で ある。観察、実験をする際に、演繹的な学習過程、帰納的な学習過程によっても課題提示の仕方に差違 が生じる。いずれにしても、生徒に追究していく必然性を常にもたせることが大切である。最初に「な ぜ?」と思ったことが、観察、実験などの理科の学習をとおして明らかになり、最後に謎が解ける一連 の過程で、自分自身の見方や考え方が論理性、合理性、客観性、実証性のある科学的な見方や考え方へ

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をもたせる場面を工夫する。必ず自分の考えをまとめた後にグループ内等で説明する場を設けたり、他 者から意見を受け入れたりする時間を十分確保する。また、自己の考察をよりよくしようとするために は、多くの情報を得ることや他者の考えを生かしていこうとする態度が必要である。二つ目は、グルー プ編制の工夫を行う。ジグソー学習、MD法や討論方式も取り入れながら生徒の学びに合わせた編制を 適宜行う。生徒の実態に応じて興味・関心の同じグループ分けから始まり、学習のつながりを実感でき るようにする。具体的には、複数の実験結果をもとに考察する場面では、ジグソー学習やMD法を用い、 実験方法等の見通しをもたせる場面では、グループ内の話合いを基本に人数や手法も考えていく。以上 のように生徒の思考を深め、納得のいく意見交流が実現できるようにするためにも、個に応じた指導が 必要になるため、TTによる机間指導を丁寧に行っていく。具体的には、グループ毎、実験内容や学習 進度等を考慮した役割分担の工夫をしていく。 2 実践例 今年度重点的に取り組む手だて「①チャレンジタイムの設定」「②事象提示の工夫」を設定して実践 した授業の流れは、第3学年の題材「遺伝の規則性と遺伝子」を例にすると、以下のようになる。 「タマネギからDNAをとりだそう」という事象提示のもと、TTによる役割分担で行った授業であ る。特にチャレンジタイム九つの重点で、「2追究したくなる事象提示を行う」、「3みんなで解決する ための個に応じたグループ編制を行う」、「4データ、事実をじっくり見つめ情報を得る」を意識した 実践である。

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3 省察と展望 (1) 実践例について DNAを取りだした実験については、生徒から次のような感想を得た。 ①班の皆で協力してDNAを取り出せた。 ②協力してスムーズに結果が得られた。繊細な実験に成功しうれしい。 ③今までやった実験の中でベスト3に入るくらいの科学らしい実験だった。 ④身近なものから思ったより簡単に取り出すことができてとても驚いた。この糸状のものの中にいろいろな情報が入 っていると思うととても不思議なものだと感じた。 ⑤エタノールを加えてDNAが出てくるところがモヤモヤして感動的だった。 ⑥このDNAを顕微鏡で観察してみたいと思った。 ⑦今回は、タマネギのDNAだったが、機会があったら人間のDNAも取り出して観察してみたい。 ⑧自分イメージと全く違った。また遺伝について興味がわいた。 チャレンジタイムの事象提示から、タマネギからDNAを取り出したことで、生徒は題材の一連のつ ながりを感じ取ることができたか 生徒は、前題材において、タマネギの表皮細胞の観察、根の体細胞分裂の観察を行ってきた。その中 で、観察を行ってきたタマネギのDNAを抽出する課題を設定した。学習の材料であり、身近なものか ら素材を選んだこと、既習の学びを生かすことができる課題設定をしたところ、生徒感想④や⑥のよう に学び前後のつながりを意識している感想が得 られた。特に右の生徒感想⑥からは、1時間で の学習の時間的な保証や観察できる環境整備が 必要であったと考える。 〈学びのつながりを意識した生徒の感想〉 生徒は、チャレンジタイムの1時間の授業の中で生命の神秘さや精妙さを実感することができたか 生徒感想③④⑤のような感想がクラスの8割以上から得られ、一人一人が生命の神秘や精妙さを感じ 取ることができた。1時間の中で実感させられるような事前の準備や本時の授業をTTで行ったことで、 生徒一人一実験が可能となったことが要因であると考える。時間的な保証ができない場合の対処として は、生徒が実験をする過程のどの部分を実際に 取り組ませたいか、どの部分を実験の重点とし て説明するかをワークシートで工夫するか、さ らにはTTとしてのグループへのかかわり方の 検討を重ねていく必要がある。 〈生命の神秘さや精妙さを実感した生徒の感想〉 生徒は、本時のグループ編制で互いに高め合うことができたか 本時は、通常のグループではなく、観察、実験をするうえで、協力できるグループ編制に重点をおい た。係活動で共に助け合い、高め合っている集団であったため、比較的スムーズに活動ができた。一人 一実験でかつ、TTによる教師の支援体制があったため、生徒が自信をもって取り組むことにつながっ た。生徒感想①②のように、観察、実験結果を 苦労して得られた生徒の喜びは大きい。題材に

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生徒は、題材をとおして意欲を持続させたり、思考を深めたりすることができたか 本時の授業実践から生徒は、タマネギのDNAを取り出す実験を通して班で協力して実験ができたこ と、一人一人が自分の試験管でDNAを間近で観察できたことへの満足感と達成感を挙げている。さら に他の動植物のDNAも調べてみたいという探究心をもたせることができた。生徒一人一人の感想が通 常よりも文章量として2~3割増しであったのは、実際のDNAを自分の手で取り出せたという一人一 実験が前提にあると考える。思考のつながりや深まりを目指すには、直接的な体験が不可欠であり、自 己の観察、実験結果を伝えたいという意欲を育てるうえで有効であり、今後も一層推進すべきであると 考える。しかし、各自が感想を書くことができたが、その後の交流の場が授業時間内にもてなかったこ とが課題として残った。また、他のものでDNAを取り出したいという探究心も生かせるような場の設 定をしていく必要がある。 題材全体を終えての生徒感想からは、意見交流をして他者の考えに共感しする場面も見られた。さら に、タマネギ一材料のつながりや生徒の意欲のつながりを促す教師の問いかけも重要であることが再認 識することができた。生徒一人一人が自分の目や手で積極的に確かめながら意欲を持続させ、思考を深 める授業づくりには、学習活動時 間の確保、事象提示を重視した題 材構成の工夫、十分な教材研究に 裏付けされる観察、実験準備、授 業中における教員の支援が求めら れる。そのためには、生徒の変容 を見とるTTによる役割分担や少 人数での関わりが必要であると考 える。 〈題材を通しての生徒の感想〉 (2) 今後の展望 研究主題「互いの考えを伝え合い、身の回りの自然事象に対する見方や考え方を深める生徒の育成」 に向けて、本年度から2年間の研究をスタートした。生徒が納得する、満足する、さらには新たな疑問 をもち追究していきたいと思うことのできる授業を創造したいと考えている。TTによる個に応じた支 援、時間を保証した授業展開をチャレンジタイムの中で意図的に行っていきたい。事象提示の工夫や意 見交流の活動を取り入れた題材構成を今後も考えていきたい。 <参考文献> 1) 横浜市教育センター編 (2009) 『授業力向上の鍵』 時事通信社 2) 佐藤学 (2000) 『授業を変える 学校が変わる』 小学館 3) 鈴木誠 (2008) 『意欲を引き出す授業デザイン』 東洋館出版社 4) 河野義章 (2009) 『授業研究入門』 図書文化社

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