浦 情 個 審 第 1 0 号 平成 21 年7月 17 日
浦安市長 松崎 秀樹 様
浦安市情報公開・個人情報保護審査会 会 長 髙 木 徹
浦安市情報公開条例第 19 条の規定に基づく諮問について(答申)
平成 21 年3月6日付け浦総第 951 号による下記の諮問(第 18 号)について、別紙 のとおり答申します。
記
「平成 20 年6月 16 日に千葉地方検察庁で記録閲覧し、筆録した文書」の不開示 決定に対する異議申立てについての諮問
諮問第 18 号 別紙
答 申
第1 審査会の結論
浦安市長(以下「実施機関」という。)が、平成 20 年8月1日付け浦総第 370 号で、異議申立人に通知した公文書不開示決定処分は妥当である。
第2 本件事案の経緯
諮問に至る経過は次のとおりである。
1 開示請求
異議申立人は、平成 20 年7月 18 日、浦安市情報公開条例(平成 13 年条例第 3号。以下「条例」という。)第5条の規定により実施機関に対し、「平成 20 年6月 16 日に千葉地方検察庁で記録閲覧し、筆録した文書」(以下「対象公文 書」という。)の開示の請求(以下「本件請求」という。)をした。
2 不開示決定
実 施機 関は 、本 件請求 に係 る公 文書 が条例 第7 条第 1号 及び第 4号 に該 当す る とし て、ま た、「当 該公 文書を 公にする こと により 、公の秩 序若 しくは 善良 の 風俗 を害し 、犯人の 改善 及び更 生を妨げ 、又 は関係 人の名誉 若し くは生 活の 平 穏を 害する おそれが ある と判断 したため 。」 と理由 を付して 不開 示決定 処分
(以下「本件処分」という。)を行い、その旨を平成 20 年8月1日付け浦総第 370 号で異議申立人に通知した。
3 異議申立て
異議申立人は、平成 20 年9月 30 日、本件処分を不服として実施機関に対し、 行政不服審査法(昭和 37 年法律第 160 号)に基づく異議申立てを行った。
4 諮問
実施機関は、条例第 19 条第1項の規定により平成 21 年3月6日付け浦総第 951 号で当審査会に諮問した。
第3 異議申立人の主張趣旨
異 議申立 書、 意見書及 び口頭 意見 陳述によ る異議 申立 人の主張 の要旨 は、 次の とおりである。
1 異議申立ての趣旨
異議申立ての趣旨は、本件処分の取消しを求めるというものである。
2 異議申立ての理由
( 1) 対象公文書に記載されている情報は、平成 20 年4月 11 日に確定した裁判 記録である。対象公文書に係る裁判は略式裁判であったが、裁判の公開は憲法 第 82 条でも保障されているものであり、公判に持ち込まれていれば誰もが傍 聴でき、事件内容を知ることができる。本来、誰もが傍聴できる裁判記録を筆 録したに過ぎない対象公文書を「公の秩序若しくは善良の風俗を害し、犯人の 改善及び更生を妨げ、又は関係人の名誉若しくは生活の平穏を害するおそれが あると判断」して全面不開示とする処分は違法である。
( 2) 市 は 、 対 象 公 文 書 の 開 示 は 、 刑 事 確 定 訴 訟 記 録 法 ( 昭 和 62 年 法 律 第 64 号 )の 閲覧 の手 続規定 の潜
せん
脱
だつ
に なり 、条 例第7 条第 1号 に該 当する と判 断し ており、同法の第6条の規定を引用している。これに該当するのであれば、対 象公文書の開示が、閲覧により知りえた事項をみだりに用いることに何故なる のか、また、公の秩序若しくは善良の風俗を害する行為になるのか、その理由 が明らかにされていない。
( 3) 市は、 裁判 記録の 供述 内容は 、秘密性 が高 く、個 人に関す る情 報も多 いと しているが、具体的にどういうことかが述べられていない。
( 4) 異議申 立人 は、市 が記 録をど う読んで きた のか、 それを知 りた い。こ の事 件全体に対する市の取組みを理解するために、対象公文書の開示が必要なので ある。
第4 実施機関の説明趣旨
異議申立てに対する実施機関の説明の要旨は、次のとおりである。
1 対象公文書を取得した背景
平成 20年3月 11日、入札談合等関与 行為の排除及び防止並 びに職員による 入 札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律(平成14年法律第101号)第8条 違反で、浦安市教育委員会の職員(以下「教育委員会職員」という。)が逮捕
された。教育委員会職員は、特定の業者に対し、入札案件の予定価格を教示す る等、入札等の公正を害すべき行為を行ったことから、千葉簡易裁判所により 略式命令手続の後、教育委員会職員に対する罰金処分の決定がなされた。また、 市においても、教育委員会職員に対し懲戒処分を行った。
平 成 20 年 6 月 16 日 、 千 葉 地 方 検 察 庁 に お い て 市 職 員 ( 以 下 「 職 員 」 と い う。)が供述調書の閲覧を行い、その内容について要約して、筆録し、持ち帰 ったものが対象公文書である。
2 不開示の理由について
対象公文書は 、刑事確定訴訟記録で ある供述調書の一部を 職員が筆録して き たものである。刑事訴訟法(昭和 23 年法律第 131 号)第 53 条第1項には、
「何人も、被告事件の終結後、訴訟記録を閲覧することができる」とされてい るが、刑事訴訟記録については、刑事訴訟法第 53 条の2第1項によって、行政 機関の保有する情報の公開に関する法律(平成 11 年法律第 42 号。以下「情報 の公開に関する法律」という。)の規定を適用しないこととされ、及び刑事確 定訴訟記録法において、その保管、保存及び閲覧に関し必要な事項が定められ ており、刑事確定訴訟記録の閲覧は、同法の手続規定によって、保管検察官が 自己完結的に行っているものである。
したがって、 刑事確定訴訟記録法の 規定によって、本事件 にかかる訴訟記 録 の閲覧・謄写が認められ、当該訴訟記録の一部を写し取った市が、条例に基づ き、実施機関の判断により、それを開示することは、刑事訴訟法及び刑事確定 訴訟記録法による閲覧制度の趣旨・目的に沿わず、刑事確定訴訟記録法の閲覧 の手続規定が潜
せん
脱
だつ
されることになり、条例第7条第1号に該当すると判断した ものである。
また、刑事確 定訴訟記録法第6条に おいて、刑事確定訴訟 記録を閲覧した 者 の義務として「閲覧により知り得た事項をみだりに用いて、公の秩序若しくは 善良の風俗を害し、犯人の改善及び更生を妨げ、又は関係人の名誉若しくは生 活の平穏を害する行為をしてはならない」とされているが、対象公文書に記録 されている教育委員会職員及び検察の取調べを受けた関係者の捜査過程におけ る供述内容は、秘密性が高く、また、個人に関する情報も多いことから、公に されることにより、教育委員会職員の改善及び更生を妨げ、又は教育委員会職 員及び関係者の名誉若しくは生活の平穏を害するおそれが大きいと判断したも のであり、条例第7条第4号に該当するとして不開示としたものである。
第5 審査会の判断
審査会は、異議申立人の意見及び実施機関の説明により検討した結果、以下のよ うに判断する。
1 条例第7条第1号(法令秘情報)の該当性について
審査会は、刑事訴訟記録には情報の公開に関する法律の適用はなく(刑事訴訟 法第 53 条の2第1項)、刑事確定訴訟記録は、刑事確定訴訟記録法の手続に従 って、検察官の許可を得て閲覧できると定めているので、このように限定的な方 法が定められている場合には、それに従わなければならないと考える。たとえ行 政機関の職員が閲覧・筆録してきた文書であったとしても、もともと刑事確定訴 訟記録法によらなければ閲覧・謄写ができないのであるから、情報の公開に関す る法律に従って閲覧、謄写できることにすると刑事訴訟法そのものを 潜 脱
せんだつ
する ことになると判断する。その理は情報公開条例についても当てはまるというべき である。
審査会は、本号に該当する場合とは、法令等に開示することができないことを 明らかに定めている場合はもとより、法令等の趣旨、目的から見て開示すること ができないと判断される場合も含まれると解する。
2 条例第7条第4号(公共の安全等情報)の該当性について
審査会は、上記のとおり本件は条例第7条第 1 号に該当するものと判断するこ とから、本号の該当性については検討しないものとする。
3 結論
以上の検討により、冒頭の「第1 審査会の結論」のとおり判断する。