公立幼稚園の再編
に関する基本方針
平成
22
年
12
月
いわき市教育委員会
公立幼稚園のあり方について(方針)
目次
はじめに
1 公立幼稚園の現状 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P.1
⑴ 園数の推移
⑵ 幼児人口と就園児数の変化
⑶ 市の幼児教育に対する基本姿勢
⑷ 施設の状況
⑸ 市の財政状況
⑹ 公立幼稚園の財政状況
⑺ 公立幼稚園の運営状況
2 再編に当たっての考え方 ・・・・・・・・・・・・・・・・ P.6
⑴ 再編の目的
⑵ 再編の基準
はじめに
教育は、子どもの望ましい発達を期待し、その潜在的な可能性に働きかけ、その人 格形成を図る営みであり、特に、3~5歳の時期にあたる幼児期は、その人格形成の 基礎を培う重要な時期に当たる。
このため、この時期の子どもに対する幼稚園での教育(以下「幼児教育」という。)
では、この時期の子どもが取る行動の中で大きな比重を占める「遊び」を教育内容に 取り込み、子どもの持つ能力の成長を促すことを重要なテーマとしている。この子ど もの能力の成長は、日々の生活の中で出会うさまざまな環境によって開かれ、環境と の相互作用によって具現化される。子どもは、さまざまな環境の中で、体験を深め、 心を揺り動かし、新たな活動の原動力を生み出すという営みを幾重にも重ねることで、 望ましい成長を遂げていく。
さて、現在の幼児教育は、少子化、核家族化、地域のつながりの希薄化、就労形態 の多様化といった社会変化によって、幼児を育てる家庭やそれを取り巻く環境が大き く変化している。こうした状況のなか、公立幼稚園では、就園児数の減少が顕著化し ており、この状況が長期化すると、集団生活による遊びや体験を通した教育を行う幼 稚園の機能が、適正に働かない恐れがあることも踏まえ、健全な幼児教育環境を構築 し、かつ、増進させるという役割に対して、今後、どのように向き合っていくかが重 要な課題となっている。
これまでも、公立幼稚園のあり方等の幼稚園の振興に関しては、いわき市幼児教育
振興審議会(以下「市審議会」という。)を設置し、その答申を踏まえ施策を策定、
実行することにより、幼児教育の発展、振興に努めてきたところである。
今回の「公立幼稚園の再編に関する基本方針」は、平成16年2月の市審議会答申に
基づき、平成19年7月に策定した「公立幼稚園のあり方について(方針)」の中で明
記した「公立幼稚園の再編」について、同年11月に市審議会に諮り、平成20年9月に
出された答申「公立幼稚園の再編について」を踏まえ、将来の幼児教育の健全な発展 を目指し策定したものである。
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1 公立幼稚園の現状 ⑴ 園数の推移
いわき市内における幼稚園は、戦前から、数多くの民間施設が存在しており、
現在も学校法人として多数運営されている。
市町村が公立として幼稚園を初めて設置したのは、戦後になってからのことで
あり、昭和41年10月の旧14市町村の合併を契機に、現在のいわき市が誕生した当
時は、旧市町から引き継いだ10園であった。その後、民間で運営されていたもの
を民間での事業縮小や活動停止等の理由から、市が運営を引き継いだ施設、また、
市が新たに設置した施設などが加わり、昭和59年には、19園まで増加したが、昭
和60年に就園児数の減少を理由に水野谷幼稚園を湯本第三幼稚園に統合し、現在
は18園となっている。
こうした経緯から、地区別の配置状況は、平地区1園、小名浜地区3園、勿来
地区2園、常磐地区5園、内郷地区3園、四倉地区4園となっており、各地区の 人口バランスとは大きく異なる状況となっている。
⑵ 幼児人口と就園児数の変化
下の図1は、平成 14 年度以降の毎年5月1日時点における市内の3~5歳児
の人口の推移を示したものであるが、平成 14 年度と平成 22 年度の比較で、約
17.5%減少しており、また、平成 14 年度と平成 25 年度の推定値との比較では、
約23.1%減少する見込みであり、毎年約2%のペースで人口が減少している状況
である。
また、図2は、市内の3~5歳児の人口に占める公立及び私立幼稚園の就園児
数の平成14年度から平成22年度までの割合をグラフにしたものであるが、その間、
公立幼稚園では、概ね11%から13%までの範囲で推移しており、平成15年度以降
は、緩やかにその割合が低下している状況にある。
これに対し、私立幼稚園では、42%から47%の範囲で推移しており、平成18年
度までは、緩やかにその割合が上昇しているが、平成19年度以降は横ばいの状況
である。 <図1>
3~5歳児人口の推移(23~25年度は推定値)
10,974
10,66910,503
10,20310,062
9,775 9,549
9,246 9,058 8,908 8,718 8,440
1.000
0.972 0.957 0.930
0.917
0.891 0.870
0.843 0.825 0.812 0.794 0.769 5,000 6,000 7,000 8,000 9,000 10,000 11,000 12,000
14年度 15年度 16年度 17年度 18年度 19年度 20年度 21年度 22年度 23年度 24年度 25年度
3~5歳児 人口
0.500 0.600 0.700 0.800 0.900 1.000 1.100 1.200 14年度人口
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また、就園児数で比較すると、平成14年度では、公立と比較し私立は3.4倍であ
ったが、平成22年度では4.2倍に広がっている。公立幼稚園は、少子化の流れと同
様に就園児数及び3~5歳児の人口に占める割合が減少しているのに対し、私立 幼稚園は、就園児数は減少傾向にあるものの、幼児人口が減少する状況にあって、 その占める割合は横ばいの状況となっている。
41.4%
次の図3は、幼稚園の定員数に占める就園児数の割合を示した幼稚園就園率の
推移をグラフにしたものであるが、公立及び私立幼稚園の就園率は、平成16年度
までは、共に70%台で推移していたが、公立幼稚園は、平成17年度に60%台、平
成20年度には50%台にまで低下した。これに対し、私立幼稚園は、70%以上の就
園率を保っており、平成22年度では、公立と私立との差が16.8ポイントまで開い
ている。 <図2>
3~5歳児人口に占める幼稚園就園児数の割合
10,669 10,503
10,203 10,062
9,775 9,549
9,246 9,058
4,609 4,494 4,549 4,512 4,655 4,492 4,423
4,223 4,171
1,348 1,343 1,305 1,239 1,191 1,125 1,055 1,019 991 10,974
42.0% 42.1% 43.3% 44.2%
46.3% 46.0% 46.3% 45.7% 46.0%
12.3% 12.6% 12.4% 12.2% 11.8% 11.5% 11.1% 11.1% 11.0%
0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000
14年度 15年度 16年度 17年度 18年度 19年度 20年度 21年度 22年度 就園児数
0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0% 60.0%
3~5歳児人口 に占める割合
3~5歳児人口 私立の就園児数 公立の就園児数
公立の割合 私立の割合
<図3>
幼稚園就園率の推移
75.7% 75.4% 73.3%
69.6% 75.6% 73.7% 75.2% 74.6%
72.5% 55.7% 66.9% 63.2% 59.3% 57.2% 72.6% 75.8% 74.7% 76.9% 50.0% 60.0% 70.0% 80.0% 90.0% 100.0%
14年度 15年度 16年度 17年度 18年度 19年度 20年度 21年度 22年度
就園率 公立幼稚園就園率 私立幼稚園就園率
5.0差
16.5差 11.5差
10.0差
15.4差 16.8差
出展:市教育委員会「教育ガイドブック」より
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⑶ 市の幼児教育に対する基本姿勢
市では、幼稚園における「集団生活による遊びや体験を通した教育」と家庭や 地域で行われる「保護者等による愛情かけやしつけ等を通した子育て」をバラン スよく行うことが重要であると考えている。特に、保護者等が子どもと接する時 間を確保することも大切なことから、公立幼稚園における教育時間は、幼稚園教 育要領に基づき4時間としている。
⑷ 施設の状況
公立幼稚園は、「⑴ 園数の推移」で述べたように、多くの施設が昭和41年の
合併前に旧市町や民間で設置したものであり、現在に至るまで、必要に応じて改 築等を行ってきたが、施設の老朽化が進んでいる。下の図4は施設を経過年数別
に分類したものであり、設置後30年以上経過した園が8園、20年以上30年未満が
5園、10年以上20年未満が5園となっている。
⑸ 市の財政状況
市の財政状況は、市の自主財源の柱となる市税が、所得税から個人住民税への
税源移譲等に伴い平成19年度から増加したものの、平成21年度は景気悪化の影響
等により減少するなど、財源の確保が極めて厳しい状況にある。 <図5>
市一般会計歳入決算の推移
0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0%
市税 36.6% 36.6% 34.4% 37.3% 36.8% 38.8% 40.7% 35.4% 地方交付税 16.5% 18.3% 15.6% 16.4% 14.7% 13.7% 14.8% 15.1% 市債 14.3% 9.8% 14.9% 8.8% 10.1% 12.2% 7.5% 7.7% その他 32.6% 35.3% 35.1% 37.4% 38.4% 35.3% 37.0% 41.8%
14年度 15年度 16年度 17年度 18年度 19年度 20年度 21年度
割合
<図4>
公立幼稚園の設置経過状況 平成22年5月1日現在
設置(改築)後の経過年数 園数 備 考(園名・経過年数)
30年以上 8 高坂(53)・四倉第三(48)・四倉第一(46)・磐崎(44)・錦(39)・玉川(36)・内町(33)・汐見が丘(30) 20年以上30年未満 5 四倉第四(29)・江名(28)・湯本第三(24)・湯本第ニ(23)・宮(20)
10年以上20年未満 5 湯本第一(18)・西小名浜(16)・すずかけ(14)・藤原(13)・四倉第ニ(11)
10年未満 0
古い
新しい
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⑹ 公立幼稚園の財政状況
公立幼稚園では、等しく教育を受ける機会を確保する観点から、授業料を抑制
してきたが、国の三位一体改革の影響、市の行財政改革行動計画の趣旨等を踏ま
え、経費節減を行うと同時に、平成15年度及び平成20年度に授業料を値上げし、
運営費の確保に努めてきたところである。
しかしながら、図6の公立幼稚園の運営費推移の変化を見ると、平成14年度以
降、運営費の総額は減少傾向にあるが、運営費に占める財源の内訳については、
幼稚園利用者から納めてもらう授業料等収入の割合は、12%から16%の範囲で推
移し、残りの8割以上については、一般会計からの補てんによって市が負担して いる状況にある。
今後、前述の「⑷ 施設の状況」及び「⑸ 市の財政状況」の中で示したよう
に、厳しい財政状況にあって、新たな財政需要も見込まれることから、長期的視 点に立った的確な園運営が必要である。
<図6>
幼稚園運営費の推移
84.9% 84.9% 83.8%
83.4% 83.7%
12.7%
14.1%
87.3%
85.9% 84.9%
15.1%
15.1%
16.2%
15.1%
16.6%
16.3%
14年度 15年度 16年度 17年度 18年度 19年度 20年度 21年度
市負担分の割合 授業料等収入分の割合
491,650
484,246
470,801
426,053
439,571
439,192
419,546
405,246
年間運営費 (千円)
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⑺ 公立幼稚園の運営状況
公立幼稚園においては、平成20年4月より1学級当たりの定員を3歳児は20
人、4歳児及び5歳児は30人としており、国の省令である幼稚園設置基準に基づ
き、同じ年齢にある幼児で学級編制することを原則としているところである。 しかしながら、同年齢で学級を編制するには少人数となってしまうことから、
他の年齢と併せた混合学級を編制している園が、平成 22 年度には 7 園ある状況
となっている。
また、同年齢で学級を編制している場合でも、その園児数が学級定員の半数を 下回る小規模学級となっている状況も見受けられる。
<図8>
※ 以下、小規模学級とは「定員の半数を下回る学級」を、混合学級とは「異な
る年齢の園児で編成する学級」を指す。 入園状況(平成22年5月1日現在)
3歳児 4歳児 5歳児 備考(該当園名)
50%未満園:湯本第一・湯本第ニ・高坂・宮・ 四倉第二・四倉第三・四倉第四
1人~ 9人までの園数 4 0 0 湯本第ニ・宮・四倉第三・四倉第四
10人~14人までの園数 4 0 0
15人以上の園数 10 11 11
混合学級4・5歳児 湯本第一・湯本第ニ・宮・四倉第一・四倉第二・四倉第三・四倉第四
注意 学級定員の50%を下回る単式学級及び混合学級であることを意味する 園の集団規模(カッコ内:平均集団規模) 13人~140人(55.1人)
園の就園率(カッコ内:平均就園率) 20%~80%(55.7%)
総就園児数(カッコ内:18園の総定員数) 991人(1,780人)
1学級の 集団規模
単式学級
7
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2 再編に当たっての考え方 ⑴ 再編の目的
小規模学級は、教師の目が園児一人ひとりに行き届いた中で生活できるという
メリットがあり、また、混合学級は、学級という空間で異年齢との交流が図られ ることから、思いやりの気持ちが育つなどのメリットがある。
その一方で、社会的協調性や向上心を培うためには、より多くの友達との交わ りが必要であり、小規模学級では、ある程度の集団規模を必要とする行事の実施 には限界があり、また、十分な教育的効果が安定的に確保しにくいという意見が ある。
さらには、幼稚園設置基準第4条において、「学級は、(中略)同じ年齢にある
幼児で編成することを原則とする」と規定されているように、小規模学級や混合 学級は、その解消に向けた対策を講じる必要がある。
このことから、同年齢のより多くの園児と交流しながら、多様でより豊かな人 間関係を構築できる教育的環境の構築を図るため、小規模学級及び混合学級の解 消を図り、適正な集団規模を確保するものである。
なお、集団規模による効果は、P7のとおりである。
⑵ 再編の基準
平成16年2月及び平成20年9月における市審議会答申において、定員に対し、
園児数が 2 年続けて 50%を割っている状況にある園の再編が必要とされている
ことを踏まえ、再編の基準を次のとおりとする。
① 募集定員に対して、園児数が2年続けて50%を下回っている園を再編の対象
とする。
② なお、①に該当する園であっても、年齢ごとに2学級の募集を行っている園
については、再編の対象とせず、定員の見直し(定員の減)を検討する。
⑶ 再編の方法
基本的には、再編対象園を廃止することとし、周辺の幼稚園等において園児の 受け入れを行うこととする。
なお、再編対象園が同地区内に複数あり、再編対象園同士が統合することによ
り、一定の集団規模が確保される場合には、統合することとする。(一定の集団
規模とは、1 学級当たりの園児数が、募集定員の半数以上になることを目安とす
る。)
また、再編に当たっては、再編の対象となる園の保護者や地域住民等と十分に
- 7 -
【集団規模による効果】
1 適正な規模がある園(市が再編により目指す状況)
ア 人間関係面
・ 多くの就園児や教師にめぐり合うことで、多様な人間関係の構築が可能
・ 友だちと共に学んだり生活したりする中で、社会性や向上心が養われる
イ 教育指導面
・ 集団活動によるルールやチームワークを習得しやすくなる
・ クラス替えによって競争心が活発になり、切磋琢磨しやすい体制ができる
・ 就園児数に応じた大きな教育活動等が行える
ウ 園運営面
・ 教員数を活かした多彩な教育活動が可能
・ 施設や園庭の安全衛生管理が行き届く
・ 教員数が多いことで研修会等に参加しやすくなり、能力向上が図れる
⇒ 適正規模であることで得られるこのような効果は、就園児の状況に応じて、教師
が適切な働きかけをすることが大切
2 小規模な園(小規模であることのメリットを例示)
ア 人間関係面
・ 個人としての能力や適性を伸ばしやすい
・ 就園児が個別に活躍する機会が増える
・ 異年齢児と交流する機会が増える(年上に頼る傾向が強くなる場合は注意)
イ 教育指導面
・ 就園児一人一人に応じた指導がしやすい
・ 就園児が活躍する機会を多く設定できる(特定の就園児に固定しないように注
意)
ウ 園運営面
・ 就園児の掌握が容易である
・ 教員相互の連絡調整や連携がしやすい
・ 教員個人の裁量幅が広く、教育面での自由度が高まる
⇒ 就園児数が少ないことで得られるこのような効果を確保しつつ、人間関係や価値