84 KUMAMOTO ARTPOLIS 2017
熊本震災のため延期された「くまもとアートポリス (KAP)建築展2017」を無事終えることができ安堵 しているところです。被災された多くの方々、ボラン ティアに参加された方々、医療や防災などに関わら れている方々、建築やまちづくり関係の方々、建設業 務に携われている方々、シンポジウムや企画に参加 された方々、そして行政等々のご理解、ご協力やご 支援の賜物であると感謝しております。
KAPがスタートした時から約30年の時を経て4年 ごとに活動を総括する建築展を7度体験してきました が、今回の節目には、被災体験や復興への思いからく るものだけでなく、感慨深いものがあります。
東日本大震災の被災地のために伊東コミッショ ナーが発案し蒲島知事の賛同でつくられた仙台市宮 城野区「みんなの家」は、翌年の九州北部豪雨で被 災した阿蘇市の「みんなの家」につながりました。い うまでもなく、この経験が「みんなの家」のある熊本 型応急仮設団地に活かされました。現在は本格的な 住まいの復興を目指して様々なタイプの災害公営住 宅が計画され、建設段階に移行しているところです。 民間支援金で被災地の公民館型の「みんなの家」計 画も進んでおり、民間建設業界の復興型住宅などの 建設が目立ってまいりました。更には、住まいの復興 だけでなく、安心安全のテーマで民間病院関係プロ ジェクトや防災施設プロジェクトなどとも連動し、これ までの活動でのノウハウが活用される大きな広がり をもつ展開となっています。
建築展2017では、これらの成果や展望を語る 様々な企画がありました。その中でも熊本市現代美 術館で開催された『くまもとアートポリス みんなの 家 の 展覧会』と、県庁地下大会議室でのシンポジウ ム『「一緒に考え、一緒につくる」~熊本地震からのす まいの再建~』におけるパネルディスカッションと対 談は強く印象に残っています。
特に「みんなの家 の 展覧会」での仮設住民の方々の 目でとらえた生活写真やインタビュー映像は、「何の ために建築はあるのか」或いは「建築はどの様にして つくっていかなければならないか」の原点を問いかけ ていただきました。
シンポジウムと対談は、市民と産官学の新しい時 代のコラボレーションから建築やまちづくりの未来が みえてくることを確信させる情報発信となりました。 先に述べた感慨深い思いとは、KAP積年のテー マである「点から線、線から面」という建築活動の広 がりと「文化的資産としての建築」のあり方を具体的 なかたちで共有する糸口をやっと感じることができた ことに他なりません。
そして、如何なる場合もKAPの真骨頂である新鮮で 革新的なデザインは、ワークショップなどを媒体とし たソフト面から誘発されなければならないことを改め て示唆してくれたと考えています。
客観性を失うことなく、継続することでしか得られ ないものを目指し、次の建築展に向けてのエネル ギーをみんなの力で蓄えていきたいものです。
桂 英 昭
くまもとアートポリスアドバイザー