為替レート(1)基礎知識
1.外国為替市場
2.為替レートの概念
3.為替と金利の関係
(金利裁定: interest arbitrage )
Dr. Y. Kurosawa
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1999 年に比較して
● £、 US ドル、
● 韓国ウオンが下落(円高)
● Euro 、元が上昇(円安)
2007 年以降は
● すべての通貨が
円に対して下落(円高)
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● ロシア・ルーブルは 1/5 に下落 1999 年以降は下落のまま横ばい
( 1998 年に財政危機で株価下落し・金利が 60 %に上昇・経常収支は 2000 年以降 好調・物価は 2005 年以降安定・ 2008 年 以降リーマンショックにより株価下落)
● ブラジル・レアルも 2005 年に 半減したが 2009 年以降 50 %減価 で横ばい( 2005 年以降貿易黒字・ 2009 年 株価上昇)
● インド・ルピーは過去 13 年 ほぼ横ばい(経常収支は連続赤字
GDP6~ 9 %成長・株価 2009 年に 1.8 倍)
● 中国・ RMB (レン・ミン・ビ) は 18 %増価( appreciate )
(貿易収支連続黒字・物価安定 財政は赤字)
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為替レート (USA $) と りんご の値段は同じ考え方
りんごの値段=**円 / 1個(予算: 1200 円)
りんごの個数 120 円 / 個
高ければ
100 円 / 個 安ければ
12個 たくさん買う
USA $ の値段=**円 /1 ドル(予算: 120,000 ドル)
\120/$
$1000
\100/$
$1200
$ の購入量 需要曲線
10個
あまり買わない
1. 外国為替市場
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貿易・金融・投機などの取引による外貨の売買
(外貨の売買はどのようにして発生するか)
短資会社
A 銀行 B 銀行
日本銀行
輸出業者 輸入業者
$ \
+$
\ $
- $
$
\
インターバンク市場
$ \
$
\
市場介入*
$,Euro
外国の銀行 外国の銀行
テレホン・マーケット 外為ディーラー フォワードスポット
フューチャー
顧客取引 顧客取引
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短資会社 (たんしがいしゃ)とは、金融機関 相互間で
資金の運用や決済を行う市場( インターバンク市場 )において、
主として 1 ヶ月未満 の短期的な資金の貸し借りの媒介を行う
ことを業とする会社のことをいう。
法的には、「主としてコール資金の貸付け又はその貸借の媒介を業
として行う者で金融庁長官の指定するもの」として、
貸金業の規制等に関する法律 の適用を除外されているが、
その代わりに、 1983 年 改正前の 出資法(出資の受入れ、
預り金及び金利等の取締りに関する法律)の部分的な適用を
受けることとなっており、監督当局への届出 が必要となる。
現在、日本に存在する短資会社は、
セントラル短資、
上田八木短資、
東京短資 の 3 社
<参考資料>
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2.為替レートの概念
① 名目為替レート 日本 WPI 米国 WPI
1987年 123\/$ 100.0 100.0
1989年 143\/$ 101.8 108.8
上昇率(%) +16.2 +1.8 +8.8
② 実質為替レート=基準時点の名目為替レート × {日本の物価指数 ÷ 外国の物価指数}
(注)実質為替レートは国により人により定義が異なることがあるが、要するに物価で修正したもの。 物価は WPI 、 CPI 、 EPI など状況に応じていろいろな物価が使用される。
89年の実質為替レート= 123\/$× { 101.8/108.8 } =115\/$
③ 実効為替レート= Σ {名目為替レート × 貿易相手国の貿易量ウェイト} 89年の実効為替レート= 143\/$×0.8+85\/DM×0.2=131\
④ 実質実効為替レート= Σ {実質為替レート × 貿易相手国の貿易量ウェイト} 89年の実質実効為替レート= 115\/$×0.8+75\/DM×0.2=107\ *
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3. 為替と金利の関係(金利裁定: interest arbitrage, arbitration )
現在の円
¥資金市場将来の円
現在のドル
$ 資金市場将来のドル
金利 r %
金利 r * % 為替直物市場
(spot)
為替先物市場 (future)
E \/$ F \/$
r –r* = ( F – E ) / E r = r* + ( F – E ) / E
日本の金利 = 米国の金利 + 為替レートの予想変化率 *8
r = r* + ( F – E ) / E
日本の金利 = 米国の金利 + 為替レートの予想変化率 2% 6%= - 4%
( 96 – 100 ) / 100 円高予想 A 円持っている人が
(1)日本の国債を買うか(金利 r % )
(2)米国の国債を買うか(金利 r* % ) を考えてみる
(1)日本の国債を買った場合の 1 年後の収益率は r %
(2)米国債を買う:現在の直物レートは 1 ドル= E 円、先物レートは 1 ドル= F 円)
為替直物市場で A 円をドルに換える: A / E ドルを取得 A /E ドルで米国債買うと 1 年後の元利受取額は A/E× ( 1+r*)
これを 1 年後の為替レート F で円に戻す: A/E× ( 1+r*)×F *
<参考資料>
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A/E× ( 1+r*)×F = A×F / E ( 1 + r* )
= A×( F – E + E ) / E×( 1 + r* )
= A×{ ( F – E ) / E + 1 } × ( 1 + r* )
( F – E ) / E = m と置き換える
=A×(1+m)×(1+r*) 円
円での受取額
これを収益率に直す:円の受取額から投資額 A 円を引いて投資額 A 円で割ればよい
{ A×(1+m)×(1+r*) – A } ÷ A = ( 1 + m ) × ( 1 + r* ) - 1 (%)
= 1 + m + mr* + r* - 1 = m + mr* + r*
ここで、 m も r* も 小数点以下の数字なので掛け合わせるとほとんどゼロになる したがって、米国債に投資した場合の収益率は m + r* (%) になる *
<参考資料・続き>
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日本国債 に投資した場合の収益率は r %
米国債に投資した場合の収益率は m + r* % である。
もし 日本国債の収益率の方が高ければ 、
皆が日本国債に投資するので r は低くなり
米国債の収益率の方が高ければ、
皆が米国債を買うので米国債の収益率は低くなる
(日本国債と米国債の間の 裁定取引 がおこる)
したがって、 r = m + r* で均衡値になり、
資本の流れは止まることになる
よって、 r = r* + ( F – E ) / E が均衡状態である( 裁定状態 である)
<参考資料・続き>
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<練習問題>
現在の1年もの金利について日本が4%、
米国が6%であるとします。
現在の直物(スポット)為替レートが1ドル120円であるとすると
、
銀行が提供する1年もの為替先渡しレート(フォワード)は
いくらになると考えられるか、
計算して下さい
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