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巻頭言 アフリカ教育研究第6号(2015年) aerf1960 内海成治 01 02

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巻頭言

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巻頭言

内海成治

(京都女子大学・京都教育大学)

 アフリカ教育研究第6号の特集が「ケニアでの教育研究とフィールド調査」という ことで、ケニアの教育研究を行ってきたものとして一言記すことにしたい。

 アフリカに関心を持ったのは、高校生の時に読んだ今西錦司編『アフリカ大陸』(筑 摩書房)が契機である。今も手元にある同書の初版発行の日付を見ると昭和38年10月 となっている。私が高校3年生のときである。この本は「京都大学アフリカ研究会」 が結成され、アフリカを紹介するために開いた「アフリカ講習会」の発題をまとめた ものである。当時アフリカを知る人は少なく、灼熱の暗黒大陸と思っている人が多か ったのである。

 「私はまたアフリカに来ている。(中略)うらうらと日の射す林の中を行けば、湖か ら吹いてくる風が冷たい」と言う出だしの文章に私は驚いた。一度アフリカに行って みたいと思った。そんなことから、今西先生の出身校である京都大学農学部に行くこ とにした。

 しかし、私がはじめてアフリカの大地を踏むことができたのは、それから25年後の 昭和63年(1988年)であった。当時JICAがケニアで行っていたマカデミアナッツの プロジェクトの教材作りの専門家としてである。毎日、ナイロビのアパートから1時 間ほどかけてティカにある園芸試験場に通った。マカデミアナッツの栽培農家や山に 生えているナッツの撮影を行ったが、今西先生の本にあったように、実に爽やかな体 験であった。

 それから何度もアフリカに行くことになったが、すべてJICAのプロジェクト形成 や無償案件の実施のための調査であり、駆け足の調査しか行うことができなかった。 やっと2000年になって、自分の専門である教育開発のフィールド調査を行うことがで きた。海外でのフィールド調査の難しさは多くの人が語っているが、確かに大変では あったが、軌道に乗るとそれは楽しい思い出である。いまでは行き暮れて道に迷った こと、車が故障して難儀したこと、あくどい役人に困らされたことも、懐かしく感じ られる。

 ケニアの教育調査は、澤村先生が広島大学そして大阪大学において大学院生ととも に精力的に行い、多くの業績を残された。この間の経緯と業績は、澤村先生の報告に 示されるとおりである。

 また、ジョモケニヤッタ大学におられたシフナ先生が日本とケニアの大学の協力に ついて論文を寄せてくださったことはうれしいことである。はじめて澤村先生と共に シフナ先生の研究室を訪ね(2000年9月)、広島大学への招へいを依頼した時のこと が目に浮かぶ。研究室は広いのだが、暗くて書類が散らばっており、この先生を半年 も日本に招へいして大丈夫かなと、疑心暗鬼だった。

 この特集にはシフナ論文のほかに澤村先生をはじめとする大阪大学の研究者の5本

アフリカ教育研究 第6号(2015) 1 - 2 頁

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内海成治

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の論文が掲載されている。ケニアの教育に関する論文がこのようにまとまって掲載さ れることは、一昔前は考えられなかったことである。多くの若い研究者がアフリカの 教育に関心を持ち、研究に励み、成果を上げていることは、本当にうれしいことである。  2015年10月に、ケニアのカクマ難民キャンプでの教育支援に関する短い調査を行っ た。日本のアフリカへの教育支援も積極的に行われるようになったが、国際的にはま だまだ認知されていない。こうした研究の成果を生かした日本ならではの教育協力が 行われることを願っている。

参照

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