電流と磁場
https://sites.google.com/site/komaspin/ 粒子の磁気モーメント 磁気共鳴
電流と磁場
電流が流れると磁場が発生する。
電流
電流に沿って
みた図 電流の向き
“右ねじの法則”
回転電流と電磁石
電磁石
回転電流 → 磁気モーメント (磁石の強さ) 電流
回転電流があると、中心に強い磁場が形成される。 回転電流の足しあわせ = コイル → 電磁石
電流ってなに?
導線
電流
+V ーV
電流: 一秒間に流れる電荷量
※ 電子の電荷 負(-1.6×10-19 C)
→ 電流の向きと逆向きに運動する
※ 電子の電荷 負(-1.6×10-19 C)
→ 電流の向きと逆向きに運動する
素電荷 1.6×10-19 C 素電荷 1.6×10-19 C
回転電流 = 電荷の円運動
r Q v
L = r ×m v
円運動する質点 → 角運動量
v = r ×
磁場の方向は 角速度ベクトル(角運動量ベクトル) の方向と同じ
物質の階層構造
太陽系のおおきさ 約60億km 太陽の大きさ 約70万km
~ 1万分の1 太陽系のおおきさ 約60億km 太陽の大きさ 約70万km
~ 1万分の1
物質の階層構造
分子
電子
原子核
陽子
中性子
クォーク
10
-10m
原子10
-9m
10
-14m
10
-15m
ナノメートル
Å(オングストローム)
10
-18m
原子の大きさ 10-10 m 原子核の大きさ 10-14 m
~ 1万分の1 原子の大きさ 10-10 m 原子核の大きさ 10-14 m
~ 1万分の1
物質の “素” となる粒子: 素粒子
原子
原子核
電子
陽子 中性子
クォーク
アップ チャーム トップ ダウン ストレンジ ボトム
素粒子・基本粒子 質量
電荷
スピン(磁気的性質)
原子核が人の大きさ程度とすると
原子: 山形市 (~20 km) 原子核: バランスボール (1 m)
陽子・中性子: ソフトボール (10 cm)
電子・クォーク: 花粉以下 (< 0.1 mm)
原子核が人の大きさ程度とすると
原子: 山形市 (~20 km)
原子核: バランスボール (1 m)
陽子・中性子: ソフトボール (10 cm)
電子・クォーク: 花粉以下 (< 0.1 mm)
原子の大きさ 原子の大きさ
原子核の大きさ 原子核の大きさ
陽子の大きさ 陽子の大きさ
クォークの大きさ クォークの大きさ
“電子”の磁気モーメントの大きさを考える
=S I = r
2Q v
電子の電荷(素電荷 e )が、半径 r の円環に一様に広がり、
速度 v で回転している。 r Q
v
I =Q v S =r2
電荷: 一様に分布 全体: 素電荷 e
2 r Q=e
電荷を運ぶ粒子: 電子 質量: m
e
=r
2 e
2 r v
= e
2 m
e r m
ev
L=r m
ev
B= e
2 m
e電子の角運動量
ボーア磁子
=9.28×10
−24JT
−1粒子の質量を挿入
回転電流
= B L e
“電子”の磁気モーメントを考える
球体については輪切りにして、それぞれの成分を考慮にいれればよい。
= Q
2 m
電荷も持つ粒子が『回転』すると、磁気モーメントを持つ
いろいろな素粒子の磁気モーメント
電子
粒子の磁気モーメント
質量 m
電荷 Q
磁気モーメント
粒子の磁気モーメント
質量 m
電荷 Q
磁気モーメント = Q 2 m
e=9.284770131×10
−24JT
−1
N=3.1524512326 45×10
−8eVT
−11 eV=1.602176487 40×10
−19J
B=5.788381755579×10
−5eVT
−1
p=2.792847356 23×
N
p=4.464×10
−27JT
−1
n=−1.91304275×
N
n=−3.065×10
−27JT
−1陽子
中性子
m
e=9.1094×10
−31kg
m
p=1.6726×10
−27kg
m
n=1.6749×10
−27kg
Q =−e
Q =e
Q =0
中性子の磁気モーメント
n=−1.91304275×
N
n=−3.065×10
−27JT
−1中性子
m
n=1.6749×10
−27
kg
Q =0
= Q
2 m =0
中性子は電気的に中性の粒子だけれど、磁気モーメントを持つ事が分かっている
電子の磁気モーメントと磁石:磁性
磁石の中では
電子の磁気モーメントの向きが 揃っている
磁場の中で電流が流れる時に働く力
電流の向き
力の向き 磁場の向き
電流
磁場
力
フレミング左手の法則
それでは “電流” とは?
導線
導線の中を “電子” が移動する = 電流
もう少し厳密に定義すると
1秒間に1クーロンの電荷が移動する = 1アンペアの電流が流れる
電流=電荷の移動方向
磁場
力
※ 電子は負の電荷をもつ
→ 電子の移動方向は電流とは逆
※ 電荷を持つ粒子が磁場によって受ける力 ローレンツ力
磁場中での荷電粒子の運動
ローレンツ力
F
B
Q v
F =Q v × B
v
F
速度と垂直方向にかかる力
→ 向心力
→ 円運動
一様な磁場中では 磁場への巻き付き
B
Image Science & Analysis Laboratory, NASA Johnson Space Center
物質中での電子の振る舞い: 反磁性
磁石は互いに逆向きになろうとする
物質中の電子も同様
電子の磁気モーメントは互いに打ち消しあう 外部磁場がかかると
物質内の電荷が円運動 外部磁場と逆向きの誘導磁場が生成
磁場と逆向きの “磁石” になる = 反磁性体
特別な反磁性体: 超伝導体のマイスナー効果
通常の物質は抵抗値を持つ
→ 誘導電流は減衰
→ 非常に弱い反磁性
超伝導体 = 抵抗値 0 特殊な物質なら
常伝導でも浮遊する
磁場中での磁気モーメント
-
+
r
F
磁気モーメント = 磁石 = 双極子 双極子
2 点あるいは 2 極が反対符 号の電荷や磁荷をもつ物体 または系
例) H2O 双極子
2 点あるいは 2 極が反対符 号の電荷や磁荷をもつ物体 または系
例) H2O
- +
・ 電極 電場の中で力を受ける
・ 磁極 磁場の中で力を受ける
磁気モーメントは、磁場の中では磁場と平行な向きをとろうとする
※ コンパスが北を指す
物質の磁性: 常磁性
対を組まない電子を持つ物質が存在する
※ 外殻電子(荷電子)が奇数のもの
普段は緩やかに対をつくって、 全体として磁化 = 0
磁気モーメントは、磁場と平行に なろうとする。
→ 対を組まない電子の磁気モーメントが揃う
→ 外部磁場と同じ方向に磁化する
物質の磁性: 強磁性
常磁性
強磁性
外部磁場を消しても、 電子の磁気モーメントの 向きが崩れない
※ 磁石
粒子の磁気モーメントと歳差運動
固定点
z
x
y
重力
重力によるモーメント → 歳差運動
r
F
N =r× F
・ 磁気モーメント ~ 粒子の自転の角速度
・ 角速度(角運動量)をもつ剛体が外力によるモーメントを受けると
※ 机の上においた独楽の運動
→ 独楽の歳差運動
『磁気モーメント』が歳差運動を起こす
ラーモア歳差運動
= B L e
歳差運動のおさらい
F
N
L
L
N = d L
dt
歳差運動の角速度
= ˙ ∣d L∣
∣ L∣ =
∣ N∣
∣L∣
歳差運動の周波数
f = ˙
2 =
1
2
∣d L∣
∣L∣ =
1
2
∣ N∣
∣L∣
粒子の磁気モーメントと歳差運動
r
F
N =r× F
B ∣ N ∣ = ∣ × B ∣ =
B∣ L× B ∣
= ˙ ∣ N ∣
∣ L ∣ =
B∣ B ∣ =
eB
2 m
e電子の場合
ラーモア歳差運動の周期
電子の仲間: レプトン
陽子・中性子を つくる粒子
電子の仲間 ニュートリノ
力を伝える粒子
質量を生み出す粒子
ミュー粒子
電子の親戚
質量は電子の約200倍
太陽風 電子
宇宙空間 陽子 → 大気と反応して、ミュー粒子をつくる
※ スパークチェンバーで観測できる
ミュー粒子の崩壊
ミュー粒子
電子
ニュートリノ ニュートリノ
ミュー粒子は電子とニュートリノに崩壊する
崩壊により生成される電子は、
“ミュー粒子の磁気モーメント”の軸に沿って放出される
BNL E821 ミュー粒子
g-2
実験電磁石をつかって
ミュー粒子を周回させる 電磁石をつかって
ミュー粒子を周回させる
周回途中で、ミュー粒子は崩壊
→ 電子を一定方向へ放出
→ 放出された電子の数を検出
→ 検出器は内側に固定
→ 磁気モーメントの軸が検出器の方向を向いた時計測 周回途中で、ミュー粒子は崩壊
→ 電子を一定方向へ放出
→ 放出された電子の数を検出
→ 検出器は内側に固定
→ 磁気モーメントの軸が検出器の方向を向いた時計測
磁場中のミュー粒子は ラーモア歳差運動を行う 磁場中のミュー粒子は ラーモア歳差運動を行う
電子検出器 電子検出器
e
B
検出器
磁場中で、素粒子の1つ “ミュー粒子” が
ラーモア歳差運動を行っている直接的な測定結果 磁場中で、素粒子の1つ “ミュー粒子” が
ラーモア歳差運動を行っている直接的な測定結果
他に外力が働くと
F
N
L
L = N − n t
f
n
適当な力を横向きにかけてあげれば、 軌道角運動量の変化ΔLを0にできる。
横向きの力は向心力 = 中心
= 力は回転する
ΔLが0になる = 見かけ上外力 F がなくなるようにみえる
ラーモア歳差運動と磁気共鳴
電荷の回転 = 磁気モーメント
磁気モーメントをもつ物体は、磁場の下で歳差運動を行う ラーモア歳差運動
ラーモア歳差運動をしている回転体に
・ 横向きに回転磁場を与える: ラーモア周波数の回転磁場 μB
→ 外部磁場を打ち消す
・ 歳差運動の軸が次第に傾き
・ 最終的に歳差運動の軸が反転する。
・ 反転は歳差運動の周期と横向き磁場の 周期が同期した時に起きる
横向きの磁場
= 外部から与えるエネルギー
→ 外部からエネルギーを与える事で、磁気モーメントの向きを反転
磁気共鳴
核磁気共鳴: Nuclear Magnetic Resonance NMR
核磁気共鳴: Nuclear Magnetic Resonance NMR
たとえば水
水素原子核 = 陽子 陽子の磁気モーメント
オシロスコープ
振動磁場
~ 回転磁場 外部磁場
振動磁場からエネルギーを吸収
→ 磁気モーメントが反転
→ 磁気共鳴
振動磁場の周波数が
ラーモア周波数と一致するとき 共鳴に伴う信号の吸収が起きる
NMRの活用例: 磁場強度測定
振動磁場の周波数が
ラーモア周波数と一致するとき 共鳴に伴う信号の吸収が起きる
ラーモア周波数
f = ˙
2 =
1
2 B
磁気モーメントは物質によって決まる
信号吸収の起きる周波数 → 外部磁場の強度が分かる
NMRプローブ 磁場強度の測定に利用される
電子スピン共鳴: Electron Spin Resonance
http://www.jeol.co.jp/technical/ai/esr/esr-an/er-070002/2.gif
電子磁気モーメントの反転にともなう 吸収スペクトル
吸収スペクトルから 物質中での
電子の束縛状態を調べる事が出来る
磁気共鳴の応用
MRI Magnetic Resonance Imaging 核磁気共鳴画像法
水素原子の原子核(陽子)の磁気共鳴を利用し、
体内の主に水(H2O)の分布を精密に測定 → 断層画像を得る
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/3/3b/MRI_brain.jpg
2003年 ノーベル生理学・医学賞
ポール・ラウターバー、ピーター・マンスフィールド 核磁気共鳴画像法に関する発見
http://pothi.blog.so-net.ne.jp/_images/blog/_1e8/pothi/m_me_mri_1.jpg