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第15回研究会資料 原因論 原因論研究会

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原因論 第二十六章 改訂版1

小林 剛

191 永遠でなく滅び得る実体1はすべて、複合的なものか、他のものに担われている もの2かのどちらか3である。

Omnis substantia destructibilis non sempiterna aut est composita aut est delata super rem aliam.

192 なぜなら実体は、それらからなるところの諸々のものを必要とし4、それらから 複合されているか、その存立と本質5において、担うものを必要とするかのどちらか6 だからである。それゆえ、実体を担うものが [実体から]分離される7と、[実体は]消滅 して滅ぶのである。

Propterea quod substantia aut est indigens rebus ex quibus est et est composita ex eis, aut est indigens in fixione sua et sua essentia deferente. Cum ergo separatur deferens eam, corrumpitur et destruitur.

193 しかしもし実体が複合的でも[他のものに]担われているのでもないならば、純一 で8常に在り9、まったく滅びも減りもしない。

Quod si substantia non est composita neque delata, est simplex et semper, non destruitur neque minuitur omnino.

1 プロクロス『神学綱要』第48命題の対応箇所には「実体」という言葉はない。

2 プロクロス『神学綱要』第48命題の対応箇所では「他のもののうちに在る」(ἑν ἄλλῳ ὑφέστηκεν)。この語句自体は付帯性のことを指しているのかもしれないが、アラビア語 原文では「実体」の話になっているので、ここで語られている「他のもの」とは質料の ことだと考えるのが妥当だろう。もしそうだとすると、「複合的なもの」と「他のもの

(質料)に担われているもの」の違いは何であろうか。「複合的なもの」の「複合」が 形相と質料の複合のことを指しているのなら、さして違わないかもしれない。次註参 照。

3 ラテン語訳原文はaut~, aut~であり、アラビア語原文もimmā~, wa-immā なので、

「…か、…かのどちらか」と強く排他的に訳さざるをえないだろう。しかしここで語ら れている「複合的なもの」と「他のものに担われているもの」とがそれほど排他的な関 係に在るかどうかは解釈上の大きな問題であると思われる。

4 アラビア語原文にはここに「それゆえ」という意味の語が入っている。

5 アラビア語原語は「定立」(thabāt)

6 註3と同じ。

7 アラビア語原文は「[実体が]実体を担うものから離れる」と読める。そしてその方が 自然であると思われる。

8 アラビア語原文ではここに「それ自身によって」が入っている。

9 「純一で常に在る」が英訳、仏訳、独訳では条件節に入っているが、旧和訳とテイラ

ー訳は帰結節に入っている。ここでは後者の訳を取る。

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