ホ タ テ ガ イ 養 殖 管 理 の 改 善 に 向 け て
− 蟹 田 沖 に お け る 餌 料 変 動 と ユ ウ レ イ ボ ヤ 室 内 実 験 −
外 ヶ 浜 漁 業 協 同 組 合 蟹 田 青 年 部
高 森
た か も り
優
ゆたか
1 . 地 域 の 概 況
我 々 が 住 ん で い る 外 ヶ 浜 町 は 、平 成 17 年 の 市 町 村 合 併 に よ り 、 旧 蟹 田 町 、 旧 平 舘 村 及 び 旧 三 厩 村 の 1 町 2 村 が 合 併 し 、 津 軽 半 島 の 東 側 及 び 北 側 に 位 置 す る 人 口 約 8, 300 人 弱 の 町 で あ る ( 図 - 1)。
基 幹産 業は 農 林 水 産 業 で 、 こ の う ち 水 産 業 に つ い て は 、 陸 奥 湾 湾 口 部 に 位 置 す る 蟹 田 、 平 舘 地 区 で は ホ タ テ ガ イ 養 殖 業 を 主 と し て 、 小 型 定 置 網 漁 業 、 底 建 網 漁 業 、 刺 網 漁 業 等 が 行 わ れ て い る 。ま た 、津 軽 海 峡 に 面 し た 三 厩 地 区 で は 、 ま ぐ ろ 一 本 釣 り 漁 業 や イ カ 釣 り 漁 業 等 が 行 わ れ て い る 。
2 . 漁 業 の 概 況
外 ヶ 浜 町 内 に は 、 外 ヶ 浜 漁 協 、 三 厩 村 漁 協 及 び 竜 飛 今 別 漁 協 の 3 組 合 が あ る 。
我 々 が 所 属 す る 外 ヶ 浜 漁 協 は 、 平 成 18 年 1 月 1 日 に 蟹 田 町 漁 協 と 平 舘 村 漁 協 が 合 併 し 、 正 ・ 準 併 せ た 組 合 員 数 は 、 平 成 1 8年 1 2 月 末 時 点 で 378 人 と な っ て い る 。
外 ヶ 浜 漁 協 と し て の 主 要 な 漁 業 種 類 は 、 ホ タ テ ガ イ 養 殖 業 、 底 建 網 漁 業 及 び 刺 網 漁 業 で あ る が 、 平 成 18 年 12 月 末 で の 漁 協 全 漁 獲 量 8, 920 t の う ち 、 ホ タ テ ガ イ 養 殖 業 の み で 7, 663t ( 全 体 比 の 86 % )、 漁 獲 金 額 に お い て は 、 約 1, 750百 万 円 の う ち の 1, 230百 万 円 ( 全 体 比 の 71% )と ホ タ テ ガ イ 養 殖 業 が 多 く を 占 め て い る ( 図 - 2)。
特 に 我 々 、蟹 田 青 年 部 員 が 属 す る 旧 蟹 田 町 漁 協 地 区 に お い て は 、ホ タ テ ガ イ 養 殖 業 で の 水 揚 げ が 殆 ど で 、 平 成 元 年 か ら 18 年 ま で の 平 均 水 揚 量 は 6,541t 、 平 均 水 揚 金 額 は 875 百 万 円 と な っ て お り 、 ま さ に ホ タ テ ガ イ 養 殖 業 が 主 力 と な っ て い る ( 図 - 3)。
ホタテ養殖 71% 底建網
16% 刺網
6%
その他 3% 小型定置網
4%
図 - 1 外 ヶ 浜 町 と 蟹 田
3 . 研 究 グ ル ー プ 組 織 と 運 営
外 ヶ 浜 漁 協 蟹 田 青 年 部 は 、 昭 和 5 9 年 に 発 足 し 、 漁 協 合 併 に 伴 い 現 在 の 名 称 と な っ て い る 。 事 務 局 は 外 ヶ 浜 漁 協 蟹 田 支 所 に 置 き 、 漁 協 の 下 部 組 織 と し て 設 置 さ れ て い る 。 現 在 の 部 員 数 は 蟹 田 地 区 、 石 浜 地 区 、 塩 越 地 区 か ら の 33 名 で 構 成 さ れ て い る 。 主 な 活 動 と し て は 、今 回 発 表 す る 活 動 の 他 、例 年 、春 先 の 3 月 末 ∼ 6 月 中 旬 頃 ま で ホ タ テ ガ イ 浮 遊 幼 生 ( い わ ゆ る 「 ラ ー バ 」 ) 調 査 を 毎 年 10 回 前 後 行 っ て い る ( 写 真 - 1 ) 。
4 . 研 究 ・ 実 践 活 動 課 題 選 定 の 動 機
陸 奥 湾 の ホ タ テ ガ イ 養 殖 業 は 、 昭 和 60 年 代 に は 、 ホ タ テ 養 殖 100 億 円 産 業 と 言 わ れ る ま で に 成 長 し た 。 し か し 近 年 、 海 水 温 が 夏 季 の み な ら ず 周 年 、 高 水 温 で 推 移 し 、 海 況 ・ 気 象 等 に よ る ホ タ テ 稚 貝 の へ い 死 や 、生 産 量 の 増 加 に よ る ホ タ テ 価 格 の 低 迷 等 、 ホ タ テ ガ イ 養 殖 業 は 、 不 安 定 な 側 面 を み せ る よ う に な っ て い る 。
こ の た め 、 陸 奥 湾 の 特 に 我 が 前 沖 で あ る 蟹 田 沖 、 塩 越 沖 に お い て 、 ホ タ テ 餌 料 の 指 標 と な る ク ロ ロ フ ィ ル 量 や 養 殖 カ ゴ 等 に 付 着 す る ユ ウ レ イ ボ ヤ の ラ ー バ を 調 査 し 、 そ の ユ ウ レ イ ボ ヤ の 室 内 飼 育 実 験 で 得 た 結 果 を も と に 、 今 後 の 養 殖 技 術 の 改 善 に 役 立 て よ う と 考 え た 。
5 . 研 究 ・ 実 践 活 動 状 況 及 び 効 果
( 1) ク ロ ロ フ ィ ル 量 調 査 及 び ユ ウ レ イ ボ ヤ ラ ー バ 調 査
1) 時 期
ク ロ ロ フ ィ ル 量 調 査 は 、 平 成 18 年 5 月 か ら 原 則 と し て 毎 月 、 ユ ウ レ イ ボ ヤ ラ ー バ 調 査 は 、 平 成 1 8 年
0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000
H元 H2 H3 H4 H5 H6 H7 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18
水
揚
量
(
t
)
0 200 400 600 800 1,000 1,200 1,400
水
揚
金
額
(
百
万
円
)
水揚量(t) 金額(百万円)
写 真 - 1 図 - 3 旧 蟹 田 町 漁 協 地 区 の ホ タ テ ガ イ 水 揚 げ 推 移
図 - 4 蟹 田 沖 、 塩 越 沖 で の ク ロ ロ フ ィ ル 量 の 推 移 0.0
0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5
5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月
H18 H19
ク
ロ
ロ
フ
ィ
ル
量
(
m
g
/
m
3)
及 び 19 年 の 秋 季 に 行 っ た 。
2) 場 所
蟹 田 沖 及 び 塩 越 沖 水 深 約 15m ∼ 6 0m の 地 点 を 定 点 と し た 。
3) 方 法
採 水 後 、 漁 協 事 務 所 内 で ろ 過 処 理 し 、 ク ロ
ロ フ ィ ル 量 の 分 析 に つ い て は 増 養 殖 研 究 所 に 依 頼 し 、 ユ ウ レ イ ボ ヤ ラ ー バ に つ い て は 漁 協 事 務 所 内 の 万 能 投 影 機 で 計 数 し た 。
4) 結 果
ク ロ ロ フ ィ ル 量 は 、 0 . 16∼ 4. 20mg / m
3
で 、 蟹 田 沖 及 び 塩 越 沖 の 陸 側 、 沖 側 と も に 冬 場 か ら 春 先 に 高 い 数 値 を 示 し 、 夏 場 の 7 ∼ 9 月 に は 、 数 値 が 低 く な る 傾 向 が 見 ら れ た ( 図 - 4)。 ま た 、 ユ ウ レ イ ボ ヤ の ラ ー バ は 、 平 成 18 年 の 調 査 で は 1. 1 2∼ 5. 39 個 体 / m
3
で あ っ た ( 表 - 1)。 ( 2) ユ ウ レ イ ボ ヤ の 室 内 実 験
ユ ウ レ イ ボ ヤ は 、 名 前 の と お り 無 色 透 明 か 、 あ る い は わ ず か に 赤 味 を も っ た 単 体 の ホ ヤ で あ る ( 写 真 - 2)。 体 の 構 造 と し て 、 外 側 に は ゼ リ ー 状 の 「 被 の う 」 が あ り ( 写 真 - 3)、 入 水 管 と 出 水 管 の 2 つ の 管 を 持 っ て い る 。 こ の 管 に よ り 、 プ ラ ン ク ト ン や 有 機 物 砕 片 を 濾 し 集 め 、 餌 と し て い る 。
親 の 大 き さ は 、 大 き く て 10 ㎝ 弱 で あ る 。 そ の 分 布 は 北 海 道 か ら 九 州 に 至 る 各 内 湾 で 見 ら れ 、 養 殖 カ ゴ や 船 底 、 桟 橋 や 水 槽 内 の 壁 面 に も 付 着 す る 。
我 々 、 漁 業 者 の 間 で は 、 ユ ウ レ イ ボ ヤ は 「 ハ ナ タ レ 」 と か 「 ゴ ダ ゴ ダ 」 と も 呼 ば れ て い る 。 ホ タ テ 養 殖 カ ゴ の 外 側 の み な ら ず 、 内 側 や 支 柱 と な る ロ ー プ に も 大 量 に 付 着 し て い る 場 合 が あ り 、 水 揚 げ さ れ た カ ゴ に 付 着 し て い る ユ ウ レ イ ボ ヤ は 、 時 間 が 経 過 す る に つ れ て 、 ま さ に 「 ハ ナ タ レ 」 の 状 態 と な る ( 写 真 - 4)。
こ の ユ ウ レ イ ボ ヤ が 大 量 に 付 着 す る と ① 養 殖 カ ゴ 全 体 が 非 常 に 重 く な り 、 作 業 に 多
大 な 労 力 を 要 す る 。 ② 水 は け が 非 常 に 悪 く な る 。 ③ 軟 体 質 の 生 き 物 で あ る た め 、 水 揚 げ し た ホ タ テ 養 殖 カ ゴ を 束 ね る 事 が で き ず 、 養 殖 カ ゴ が 滑 る の で 荷 崩 れ が 起 き や す く な る 。④ 付 着 に よ っ て ホ タ テ の 成 長 に も 影 響 が あ る 。等 の デ メ リ ッ ト が あ る( 写 真 - 5)。
1) ユ ウ レ イ ボ ヤ ( 親 ) の 飼 育 実 験 ( 平 成 18 年 10 月 ) ① 方 法
し
写 真 - 3 写 真 - 4 写 真 - 5
写 真 - 2
表 - 1 秋 季 ユ ウ レ イ ボ ヤ ラ ー バ 調 査 結 果
( 平 成 18 年 ・ 19 年 ) ( 単 位 : 個 体 )
※ 1 平 成 18 年 は 、 底 層 か ら の 鉛 直 び き
※ 2 平 成 19 年 は 、 20m 層 、 30 m 層 か ら 採 水
塩 越 塩 越 蟹 田 蟹田 蟹田
(陸 側) (沖 側) (陸 側) (中間 ) (沖側 ) H18.10.4 4.10 0 .43 1 .47 - 0.0 0 H18.10.11 - - 2 .52 1.1 2 5.3 9
H18.10.17 - - 1 .68 - 0.0 0
-飼 育 に は 、 市 販 の 観 賞 魚 用 水 槽 ( 約 10 リ ッ ト ル ) 、 観 賞 魚 用 の ヒ ー タ ー 及 び 循 環 器 ( ろ 過 剤 は 未 使 用 ) を 使 用 し た 。 海 水 は 、 漁 協 で 活 魚 水 槽 用 と し て 汲 み あ げ て い る 海 水 を 高 精 度 の フ ィ ル タ ー ( CF / F フ ィ ル タ ー ) で 濾 し 、 水 温 を 2 0℃ に 設 定 し て 通 気 を 行 っ た 。
② 結 果
室 内 の 水 槽 内 で 1 週 間 弱 は 、 無 給 餌 で も 生 存 し て い た 。ま た 、被 の う 下 部 の 付 着 器 に よ り 飼 育 用 器 具 に 再 度 付 着 し
た 個 体 が 確 認 さ れ た( 写 真 - 6、 7)。
2) ユ ウ レ イ ボ ヤ の 人 為 的 発 生 ① 採 取 時 期 ・ 場 所
平 成 18 年 と 19 年 の 春 季 及 び 秋 季 に 、 塩 越 地 区 で ホ タ テ 養 殖 カ ゴ に 付 着 し て い た ユ ウ レ イ ボ ヤ ( 親 ) 10∼ 50 個 体 程 度 を ピ ン セ ッ ト で 採 取 し た 。
② 発 生 方 法
輸 卵 管 及 び 輸 精 管 が 明 瞭 な 個 体 を 選 び 、 解 剖 器 具 を 用 い て 1 個 体 ず つ 切 開 し 、 生 殖 腺 の 部 分 を 取 り 出 し た 。 切 開 後 、 卵 と 精 子 を 混 ぜ 合 せ 受 精 さ せ た 。 受 精 卵 は マ イ ク ロ プ レ ー ト 容 器 内 に 収 容 し 、 ユ ウ レ イ ボ ヤ 親 飼 育 に 用 い た 水 槽 で 水 温 20℃ を 保 つ よ う に 設 定 し 、 そ の 発 生 を 観 察 し た 。
③ 結 果
人 為 的 に 発 生 さ せ た た め か 、 全 般 的 に 受 精 率 は 低 か っ た 。 し か し 、 親 個 体 の 輸 卵 管 、 輸 精 管 の 先 端 付 近 の み を 使 っ て 受 精 さ せ た 場 合 は 、 高 い 受 精 率 と な っ た 。 受 精 し た 細 胞 は 、 受 精 か ら 約 1 時 間 弱 で 2 分 裂 を 開 始 し ( 写 真 - 8)、 数 時 間 で 4 ∼ 32 分 裂 と 発 生 を 始 め た( 写 真 - 9)。約 1 日 前 後 に は 、発 生 の 早 い 個 体 は オ タ マ ジ ャ ク シ 型 の ラ ー バ ( 幼 生 ) と な っ た ( 写 真 - 1 0 )。 大 き さ は 頭 部 か ら 尾 部 ま で が 、 1. 5 ㎜ 前 後 で あ っ た 。 2 、 3 日 後 に は 、 ラ ー バ の 尾 部 は 短 く な り 、 ス ラ イ ド ガ ラ ス 等 へ の 付 着 が 観 察 さ れ た ( 写 真 - 11)。
3) ユ ウ レ イ ボ ヤ ラ ー バ の ネ ッ ト 付 着 実 験 ( 平 成 19 年 1 1 月 )
上 記 で 発 生 さ せ た ラ ー バ を 使 い 、 目 合 の 異 な る ネ ッ ト に 付 着 さ せ る 実 験 を 試 み た 。 ① 方 法
試 験 区 と し て 、未 使 用 の ネ ッ ト を 使 用 し て 4 区 、使 用 済 の ネ ッ ト を 使 用 し て 2 区 の 計 6 区 、対 照 区 と し て 、未 使 用 の タ キ ロ ン ネ ッ ト ( 黒 色 、ポ リ エ チ レ ン 製 ) を 使 用 し た 1 区 を 設 定 し た ( 表 - 2)。
各 ネ ッ ト を 約 5 ㎝ 四 方 に 裁 断 し 、各 2 片 を タ キ ロ ン ネ ッ ト に 縛 り 付 け( 写 真 - 12)、
写 真 - 8 写 真 - 9 写 真 - 10 写 真 - 11
水 流 に 対 し 並 行 に な る よ う に 水 槽 に 設 置 し た ( 写 真 - 13 )。 更 に 、 水 槽 を 大 型 発 泡 ス チ ロ ー ル 箱 に 収 容 し て 暗 く し ( 写 真 - 14)、 受 精 後 5 日 目 の 付 着 数 を 計 数 し た 。 ② 結 果
ア . 付 着 数
全 て の ネ ッ ト に ラ ー バ の 付 着 が 見 ら れ た ( 表 - 2、図 - 5)。対 照 区 と し た タ キ ロ ン ネ ッ ト で も 、 合 計 12 個 体 の ラ ー バ の 付 着 が 見 ら れ た 。
試 験 区 で は 、「 種 モ ミ 用 ネ ッ ト 」2 枚 の 合 計 付 着 数 が 152 個 体 と 最 も 多 か っ た 。 そ の 他 、 多 い 順 に 「 使 用 済 2 分 目 」( 39 個 体 )、「 未 使 用 2 分 目 」
( 32 個 体 )、「 使 用 済 3 分 目 」( 17 個 体 )、「 未 使 用 3 分 目 」( 15 個 体 )、 「 蛙 股 3 分 目 」( 4 個 体 ) と な っ た 。
同 じ 目 合 で の 未 使 用 ネ ッ ト と 使 用 済 ネ ッ ト と の 付 着 数 は 、 ほ ぼ 同 数 で あ っ た 。
イ . 付 着 場 所
「 種 モ ミ 用 ネ ッ ト 」 で は 、 付 着 場 所 に つ い て の 特 徴 は 、 殆 ど 見 ら れ
な か っ た が ( 写 真 - 15 ) 、「 2 分 目 」、「 3 分 目 」 の 各 ネ ッ ト で は 、 網 目 繊 維 の 密 な 部 分 や 隅 で の 付 着 が 多 く 見 ら れ た ( 写 真 - 1 6、 17 ) 。 ま た 、「 蛙 股 ネ ッ ト 」 で も 、 隅 で 付 着 が 見 ら れ た 。「 使 用 済 ネ ッ ト 」で は 、繊 維 が 完 全 に ゴ ミ で 覆 わ れ て い る 部 分 で の 付 着 は 見 ら れ ず 、 ゴ ミ と ゴ ミ の 隙 間 へ の 付 着 が 見 ら れ た ( 写 真 - 18) 。
写 真 - 12 写 真 - 13 写 真 - 14
写 真 - 15 写 真 - 16 写 真 - 17 写 真 - 18
表 - 2 ユ ウ レ イ ボ ヤ ラ ー バ 付 着 結 果 ( 個 体 )
図 - 5 ユ ウ レ イ ボ ヤ ラ ー バ 付 着 結 果 0
10 20 30 40 50 60 70 80 90
1mm×1mm 2分目 3分目 蛙股3分目 2分目 3分目 5mm×5mm
種モミ 養殖カゴ 養殖カゴ タキロンネット
未使用 使用済 未使用
ラ
ー
バ
付
着
数
(
個
体
)
1枚目 2枚目
区分 使用の有無 種類 目合 1枚目 2枚目 計
種モミ用ネット1mm× 1mm 69 83 152
2分目 18 14 32
3分目 7 8 15
蛙股3分目 2 2 4
2分目 20 19 39
3分目 7 10 17
対照区 未使用 タキロンネット5mm× 5mm 5 7 12 試験区
養殖カゴ
養殖カゴ 使用済
0 1,0 00 2,0 00 3,0 00 4,0 00 5,0 00 6,0 00 7,0 00
1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 0 11 12 1 3 1 4 1 5 1 6 1 7 18(年 ) (トン)
0 1 0 2 0 3 0 4 0 5 0 6 0
H
(億 円 ) 漁 獲 量
漁 獲 金 額
0 5 00 1,0 00 1,5 00 2,0 00 2,5 00 3,0 00 3,5 00 4,0 00
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 1 2 1 3 1 4 15 16 1 7 1 8(年 ) (トン)
0 5 1 0 1 5 2 0 2 5
H
(億 円 ) 漁 獲 量
漁 獲 金 額
図 - 2 小 川 原 湖 漁 協 の 総 漁 獲 量 の 推 移
図 - 3 小 川 原 湖 漁 協 の シ ジ ミ 漁 獲 量 の 推 移
小 川 原 湖 の 宝 を 守 る
− ヤ マ ト シ ジ ミ の 資 源 復 活 に 向 け て −
小 川 原 湖 漁 業 協 同 組 合 蜆 生 産 部 会
鶴 ヶ 崎
つ る がざ き
純 一
じゅんいち
1 . 地 域 の 概 況
小 川 原 湖 は 青 森 県 の 東 側 に 位 置 し 、 湖 岸 は 三 沢 市 、 東 北 町 、 六 ヶ 所 村 に 囲 ま れ 、 周 囲 67. 4k m面 積 63. 2k m
2
、 水 深 は 最 大 25m( 平 均 水 深 11m) で 県 内 最 大 、 全 国 で も 11番 目 の 面 積 を 誇 る 湖 で あ る 。 湖 へ の 流 入 河 川 は 七 戸 川 、 土 場 川 、 砂 土 路 川 等 が あ り 、 北 東 部 の 高 瀬 川 で 太 平 洋 と つ な が り 、海 水 が 入 り 込 む 汽 水 湖 と な っ て い る 。 古 く か ら ヤ マ ト シ ジ ミ( 以 下 シ ジ ミ と す る )、シ ラ ウ オ な ど の 豊 富 な 水 産 資 源 の 宝 庫 と な っ て い る と と も に 、 貴 重 な 動 植 物 を 育 む 豊 か な 自 然 環 境 は 地 域 住 民 の 憩 い の 場 と も な っ て い る ( 図 - 1)。
2 . 漁 業 の 概 要
小 川 原 湖 漁 業 協 同 組 合 は 正 組 合 員 422名 、 准 組 合 員 156名 で あ る 。 主 な 漁 業 は シ ジ ミ 漁 業 及 び シ ラ ウ オ 、 ワ カ サ ギ を 対 象 と し た 船 曳 網 漁 業 、 そ の 他 刺 網 、 建 網 、 延 縄 漁 業 な ど が 行 わ れ て い る 。
特 に 小 川 原 湖 の 主 要 な 漁 獲 物 で あ る シ ジ ミ は 、 か つ て ジ ョ レ ン 掘 り 35ヶ 統 の み で 操 業 さ れ て い た が 、 昭 和 50年 代 か ら 操 業 者 が 増 加 、現 在 で は 268ヶ 統 が 操 業 し て い る 。平 成 5年 9月 1日 か ら は 入 札 制 度 を 導 入 し 、 小 川 原 湖 産 シ ジ ミ の 品 質 向 上 、 価 格 の 安 定 を 目 的 に 漁 獲 制 限 等 を 実 施 し な が ら 資 源 保 護 に も 取 り 組 ん で い る 。
図 - 2に 小 川 原 湖 漁 協 の 総 漁 獲 量 の 推 移 を 、 図 - 3に シ ジ ミ 漁 獲 量 の 推 移 を 示 し た 。
0 1 2 3 4
H14
H15
H16
(年 )現
存
量
(
万
ト
ン
)
図 - 5 シ ジ ミ 現 存 量 の 推 移 図 - 4 シ ジ ミ の 一 生
( 島 根 県 水 産 技 術 セ ン タ ー H P よ り 引 用 ) 平 成 18年 の 小 川 原 湖 漁 協 の 実 績 は 数 量 3, 400ト ン 、 金 額 27億 円 で あ る 。
主 要 魚 種 に つ い て は 、 シ ジ ミ 1, 600ト ン 、 11億 円 、 シ ラ ウ オ 630ト ン 、 10億 円 、 ワ カ サ ギ 560ト ン 、 2億 円 で あ る 。 中 で も シ ジ ミ に つ い て は 数 量 で 全 体 の 45% 、 金 額 で 全 体 の 42% で あ り 、 数 量 及 び 金 額 と も 全 体 の 4 割 以 上 と 非 常 に 大 き な 割 合 を 占 め て い る 。
3 . 研 究 グ ル ー プ の 組 織 及 び 運 営
私 た ち 蜆 生 産 部 会 ( 部 会 長 沼 村 政 志 ) は 、 調 査 や 視 察 研 修 等 を 通 じ て 漁 業 に 関 す る 知 識 や 技 能 を 向 上 さ せ る と と も に 、 会 員 相 互 の 親 睦 を 図 る こ と を 目 的 に 平 成 元 年 に 結 成 し て い る 。
現 在 270名 で 組 織 さ れ 、各 地 先 に 10支 部 を 設 け 、支 部 長 が 部 会 の 役 員 を 務 め て お り 、蜆 生 産 部 会 で は 今 回 報 告 す る 資 源 保 護 及 び 増 大 に 向 け た 取 り 組 み や 各 種 勉 強 会 な ど の 活 動 を 活 発 に 行 っ て い る 。 会 の 運 営 は 会 員 か ら の 会 費 の 他 、 漁 協 の 助 成 金 に よ り 賄 わ れ て い る 。
4 . 研 究 ・ 実 践 活 動 課 題 選 定 の 動 機 シ ジ ミ は 、 北 海 道 ∼ 九 州 ま で の 汽 水 湖 や 河 川 の 感 潮 域 に 生 息 し て い る 。 雌 雄 異 体 で 受 精 は 体 外 で 行 わ れ 、 産 卵 期 は 7 ∼ 9 月 で あ り 産 卵 ・ 発 生 に は 19 ∼ 25 ℃ の 水 温 と 2 ∼ 18ps uの 塩 分 が 必 要 と い わ れ て い る 。
卵 は 受 精 後 約 1 日 で 浮 遊 幼 生 と な り 、3∼ 10日 浮 遊 生 活 を 送 り 稚 貝 と な り 着 底 す る 。
成 長 は 、 環 境 及 び 生 息 場 所 、 個 体 間 で ば ら つ き は あ る も の の 、 概 ね 4 年 目 で 18. 5mmの 漁 獲 サ イ ズ に 達 す る ( 図 - 4)。
平 成 14年 か ら 小 川 原 湖 の シ ジ ミ の 現 況 と 経 年 変 化 を 明 ら か に す る た め に 現 存 量 調 査 を 実 施 し て き た 。
そ の 結 果 、 小 川 原 湖 に お け る 現 存 量 は 平 成 14年 3万 ト ン か ら 15 年 2万 2千 ト ン 、 16年 1 万 6 千 ト ン と 年 々 減 少 し て い る こ と が 判 明 し た ( 図 - 5)。
0 50 100 150 200 < 0 .5 0 .5 -1 .5 -2 .5 -3 .5 -4 .5 -5 .5 -6 .5 -7 .5 -8 .5 -9 .5 -1 0 .5 -1 1 .5 -1 2 .5 -1 3 .5 -1 4 .5 -1 5 .5 -1 6 .5 -1 7 .5 -1 8 .5 -1 9 .5 -2 0 .5 -2 1 .5 -2 2 .5 -2 3 .5 -2 4 .5 -2 5 .5 -2 6 .5 < (
個
体
/
m
2 )
H14年
推 定 現 存 量
30, 000ト ン
227億 個 体
890個 体 / m
2 0 50 100 150 200 < 0 .5 0 .5 -1 .5 -2 .5 -3 .5 -4 .5 -5 .5 -6 .5 -7 .5 -8 .5 -9 .5 -1 0 .5 -1 1 .5 -1 2 .5 -1 3 .5 -1 4 .5 -1 5 .5 -1 6 .5 -1 7 .5 -1 8 .5 -1 9 .5 -2 0 .5 -2 1 .5 -2 2 .5 -2 3 .5 -2 4 .5 -2 5 .5 -2 6 .5 < (
個
体
/
m
2 )
H15年
推 定 現 存 量
22, 000ト ン
160億 個 体
630個 体 / m
2 0 50 100 150 200 < 0 .5 0 .5 -1 .5 -2 .5 -3 .5 -4 .5 -5 .5 -6 .5 -7 .5 -8 .5 -9 .5 -1 0 .5 -1 1 .5 -1 2 .5 -1 3 .5 -1 4 .5 -1 5 .5 -1 6 .5 -1 7 .5 -1 8 .5 -1 9 .5 -2 0 .5 -2 1 .5 -2 2 .5 -2 3 .5 -2 4 .5 -2 5 .5 -2 6 .5 < (
個
体
/
m
2
)
H16年
推 定 現 存 量
16, 000ト ン
120億 個 体
470個 体 / m
2
殻長(mm) 殻長(mm)
殻長(mm)
H16 H17 H18 H19 (1)人工種苗生産・放流
(2)放流後の追跡調査 (3)禁漁区域の設定 (4)現存量調査
浮 遊 幼 生 以 降 は 小 川 原 湖 の 塩 分 で も 十 分 に 成 長 出 来 る こ と 、 平 成 14年 か ら 平 成 16 年 の 現 存 量 調 査 に お い て ほ と ん ど 稚 貝 が 確 認 さ れ て い な い こ と か ら 、 小 川 原 湖 全 体 の 将 来 的 な 資 源 管 理 ・ 増 大 を 目 的 に 、 平 成 16 年 か ら 私 た ち 蜆 生 産 部 会 は 、 む つ 小 川 原 地 域 ・ 産 業 振 興 財 団 や 東 北 町 の 助 成 を 受 け 、 特 に 発 生 の 少 な い 湖 南 部 に お い て シ ジ ミ 種 苗 生 産 ・ 放 流 を 試 験 的 に 開 始 し た 。
図 - 6 H14∼ H16年 の 小 川 原 湖 現 存 量 調 査 時 の 殻 長 組 成
小 川 原 湖 で は 、 年 間 を 通 し て 湖 内 の 塩 分 は 1ps u以 下 で あ り 、 シ ジ ミ の 産 卵 ・ 発 生 に 適 し た 環 境 と な っ て い な い た め 、 高 瀬 川 を 通 し て 海 水 の 流 入 す る 湖 北 部 の 一 部 で の み 産 卵 が 可 能 で あ る と 考 え ら れ て い る 。 そ の た め 、 比 較 的 産 卵 条 件 の 整 い や す い 湖 北 部 の 倉 内 地 区 に お い て は 、 産 卵 時 期 の 親 貝 を 保 護 す る た め の 禁 漁 区 域 の 設 定 を 行 っ た 。
今 回 は 、 資 源 回 復 に 向 け た こ れ ら の 取 り 組 み に つ い て 報 告 す る 。
5 . 研 究 ・ 実 践 活 動 状 況 及 び 成 果 表 - 1 蜆 生 産 部 会 の 主 な 活 動
( 1) シ ジ ミ 種 苗 生 産 及 び 放 流 1) 平 成 16年 の 活 動 と 結 果
① 産 卵 誘 発 、 発 生 ∼ 着 底 ま で の 塩 分 、 水 温 条 件 の 確 認
蓼内 山崎
タカトリ
姉戸
大瀬
蓼内 山崎
姉戸
塩 分 は 5ps uと 8ps uで 実 施 し た が 、 産 卵 ・ 発 生 に ど ち ら も 大 き な 差 は 見 ら れ な か っ た こ と か ら 、 5ps uに 塩 分 調 整 し 種 苗 生 産 を 行 う こ と と し た 。
② 浮 遊 幼 生 放 流 の 可 否
産 卵 後 2∼ 3日 経 過 し た 浮 遊 幼 生 を 湖 水 に 放 流 し 、 そ の 後 の 成 長 を 確 認 し た と こ ろ 、 着 底 貝 が 確 認 さ れ た こ と か ら 浮 遊 幼 生 の 放 流 が 可 能 で あ る こ と が 確 認 さ れ た 。
2) 平 成 17年 の 活 動 と 結 果 ① 浮 遊 幼 生 及 び 着 底 稚 貝 生 産
7月 21日 ∼ 9月 1日 の 期 間 に お い て 、タ カ ト リ 禁 漁 区 よ り 採 取 し た 殻 長 21mm以 上 の 親 貝 を 使 用 し 種 苗 生 産 を 実 施 し た 。
浮 遊 幼 生 の 生 産 は 1ト ン 水 槽 4 基 を 使 用 し 週 2 回 生 産 を 実 施 し 、 着 底 稚 貝 生 産 は 1ト ン 水 槽 11 基 に よ り 週 1回 生 産 を 実 施 し た 。
水 温 は 常 温 と し 、 塩 分 濃 度 を 5ps uに 調 整 し た 各 水 槽 に 親 貝 を 収 容 し 、エ ア レ ー シ ョ ン し た 状 態 で 一 晩 経 過 し た 後 、浮 遊 幼 生 の 発 生 状 況 を 確 認 し 親 貝 を 取 上 げ 放 流 日 ま で 飼 育 し た 。 ② 浮 遊 幼 生 及 び 着 底 稚 貝 の 放 流
放 流 は 、 陸 上 生 産 し た 水 槽 を ト ラ ッ ク で 放 流 場 所 に 運 び 、岸 か ら ホ ー ス で 湖 内 に 浮 遊 幼 生 及
び 着 底 稚 貝 を 放 流 し た 。 図 - 7 平 成 17年 放 流 地 点 浮 遊 幼 生 7 億 個 体 、 着 底 稚 貝 12億 個 体 の 計 19
億 個 体 の 放 流 を 行 っ た ( 図 - 7)。
3) 平 成 18年 の 活 動 と 結 果 ① 着 底 稚 貝 生 産
7月 3日 ∼ 9月 21日 の 期 間 に お い て 、タ カ ト リ 禁 漁 区 よ り 採 取 し た 殻 長 21mm以 上 の 親 貝 を 使 用 し 種 苗 生 産 を 実 施 し た 。浮 遊 幼 生 放 流 に 比 べ 着 底 稚 貝 放 流 は 、放 流 後 の 生 残 率 が 高 い と 見 込 ま れ る こ と や 、放 流 後 の 追 跡 調 査 が 行 い や す い こ と か ら 着 底 稚 貝 の 生 産 ・ 放 流 を 実 施 し た 。
着 底 稚 貝 生 産 は 陸 上 生 産 用 1ト ン 水 槽 12基 、湖 上 生 産 用 1 ト ン 水 槽 14 基 を 使 用 し 週 1 回 生 産 を 実 施 し た 。
水 温 は 常 温 と し 、塩 分 濃 度 を 5ps uに 調 整 し た 各 水 槽 に 親 貝 を 収 容 し 、エ ア レ ー シ ョ ン し た 状 態 で 一 晩 経 過 し た 後 、浮 遊 幼 生 の 発 生 状 況 を 確
調査点 ② 着 底 稚 貝 の 放 流
放 流 は 、 陸 上 生 産 分 は ト ラ ッ ク で 放 流 場 所 に 運 び 、 岸 か ら ホ ー ス で 湖 内 に 着 底 稚 貝 を 放 流 し た 。湖 上 生 産 分 は 、台 船 上 に 設 置 し て あ る 1ト ン 水 槽 14基 を 漁 協 指 導 船 に て 放 流 場 所 に 曳 航 し 、放 流 場 所 に て バ ル ブ を 開 け 放 流 し 、合 計 で 着 底 稚 貝 25億 個 の 放 流 を 行 っ た ( 図 - 8)。
写 真 - 1 放 流 風 景
( 2) 放 流 後 の 着 底 稚 貝 追 跡 調 査
調 査 点 ( 図 - 9) と そ こ か ら 100m離 れ た 地 点 を 対 照 区 と し 、エ ク マ ン バ ー ジ 採 泥 器( 15× 15c m) に よ り 各 1回 サ ン プ リ ン グ し 、持 ち 帰 っ た 底 質 か ら 顕 微 鏡 で 稚 貝 を 採 集 し 生 息 密 度 を 調 査 し た 。 ○ 平 成 17年 11月 17日
調 査 点 6万 個 体 / ㎡ 対 照 区 3千 個 体 / ㎡ ○ 平 成 18年 9月 28日
調 査 点 9千 個 体 / ㎡ 対 照 区 700個 体 / ㎡
こ の 結 果 か ら 、 放 流 地 点 は 対 照 区 に 比 べ 非 常 に 高 密 度 で あ り 、 放 流 稚 貝 が 生 残 し て 資 源 と し 図 - 9 追 跡 調 査 地 点 て 定 着 し て い る と 考 え ら れ た 。
( 3) 産 卵 親 貝 保 護 の た め の 禁 漁 区 域 設 定
産 卵 時 期 の 親 貝 を 保 護 す る た め の 禁 漁 区 域 の 設 定 を 、 平 成 16年 は 7月 12日 ∼ 8月 31日 ま で 、 平 成 17年 は 6月 20日 ∼ 9月 30 日 ま で 、 平 成 18 年 は 6 月 20日 ∼ 9月 30日 ま で 実 施 し た ( 図 - 10)。
禁 漁 区 域 の 設 定 時 期 に つ い て は 、 成 熟 度 調 査 及 び 青 年 部 で 実 施 し て い る ラ ー バ 調 査 で の 出 現 状 況 等 を 踏 ま え 理 事 会 で 決 定 し 行 っ て い る 。
( 4) 現 存 量 調 査 に よ る 推 定 資 源 量 の 把 握 1) 調 査 地 点
小 川 原 湖 の 10m 以 浅 ( 対 象 面 積 約 25. 5k m
2
) 89地 点 を 対 象 に 、調 査 区 域 を イ カ ト 、セ モ ダ 、 三 沢 灘 、 舟 ヶ 沢 前 、 タ カ ト リ 、 島 口 の 6つ の 地 区 ( 1地 区 あ た り 14∼ 15地 点 ) に 分 け 行 っ た ( 図 - 11)。
2) 調 査 時 期
平 成 19年 8月 27日 ∼ 28日
0 100 200 300 400 < 0 .5 0 .5 -1 .5 -2 .5 -3 .5 -4 .5 -5 .5 -6 .5 -7 .5 -8 .5 -9 .5 -1 0 .5 -1 1 .5 -1 2 .5 -1 3 .5 -1 4 .5 -1 5 .5 -1 6 .5 -1 7 .5 -1 8 .5 -1 9 .5 -2 0 .5 -2 1 .5 -2 2 .5 -2 3 .5 -2 4 .5 -2 5 .5 -2 6 .5 < (
個
体
/
m
2 )
H17年
推 定 現 存 量
14, 000ト ン
199億 個 体
780個 体 / m
2 0 100 200 300 400 < 0 .5 0 .5 -1 .5 -2 .5 -3 .5 -4 .5 -5 .5 -6 .5 -7 .5 -8 .5 -9 .5 -1 0 .5 -1 1 .5 -1 2 .5 -1 3 .5 -1 4 .5 -1 5 .5 -1 6 .5 -1 7 .5 -1 8 .5 -1 9 .5 -2 0 .5 -2 1 .5 -2 2 .5 -2 3 .5 -2 4 .5 -2 5 .5 -2 6 .5 < (
個
体
/
m
2
)
H18年
推 定 現 存 量
19, 000ト ン
552億 個 体
2, 160個 体 / m
2 0 100 200 300 400 < 0 .5 0 .5 -1 .5 -2 .5 -3 .5 -4 .5 -5 .5 -6 .5 -7 .5 -8 .5 -9 .5 -1 0 .5 -1 1 .5 -1 2 .5 -1 3 .5 -1 4 .5 -1 5 .5 -1 6 .5 -1 7 .5 -1 8 .5 -1 9 .5 -2 0 .5 -2 1 .5 -2 2 .5 -2 3 .5 -2 4 .5 -2 5 .5 -2 6 .5 < (
個
体
/
m
2
)
H19年
推 定 現 存 量
26, 000ト ン
658億 個 体
2, 570個 体 / m
2 0 1 2 3 4
H14 H15 H16 H17 H18 H19(年 )
現
存
量
(
万
ト
ン
)
殻長(mm)
3) 調 査 方 法
各 地 点 で エ ク マ ン バ ー ジ 採 泥 器( 15× 15c m) に よ り 2回 サ ン プ リ ン グ し 、1mm目 合 の 篩 に か け 、残 っ た シ ジ ミ を 計 測 し た 。重 量 は 、殻 長 18. 5mm以 上 の 個 体 と 18. 5mm未 満 の 個 体 に 分 け て そ れ ぞ れ の 合 計 重 量 を 測 定 し た 。
湖 内 の 現 存 量 は 、6地 区 毎 に 1m
2
あ た り の シ ジ ミ 平 均 現 存 量 を 求 め 、地 区 別 の 現 存 量 を 算 出 し 、 6地 区 の 現 存 量 を 合 計 し て 求 め た 。
図 - 11 現 存 量 調 査 区 域 図
平 成 14 年 か ら 平 成 19 年 ま で の 現 存 量 の 推 移 を 図 - 12に 示 し た 。平 成 19年 の 調 査 で は 2万 6千 ト ン の 資 源 量 と 推 定 さ れ 、 平 成 14年 の 3万 ト ン に 近 い 水 準 に ま で 回 復 し た 。
ま た 、 図 - 13に 示 し た 殻 長 組 成 に お い て 、 平 成 14年 か ら の 3年 間 の 調 査 で ほ と ん ど 確 認 さ れ て い な か っ た 稚 貝 が 大 量 に 確 認 さ れ る と と も に 、 資 源 と し て 定 着 し て い る こ と が 明 ら か と な っ た 。
図 - 12 シ ジ ミ 現 存 量 の 推 移
図 - 13 H17∼ H19 年 の 小 川 原 湖 現 存 量 調 査 の 殻 長 組 成
殻長(mm)
( 5) 成 果
1) 人 工 種 苗 生 産 ・ 放 流 及 び 追 跡 調 査 を 行 っ た 結 果 、稚 貝 発 生 量 が 少 な い 湖 南 部 へ の 資 源 と し て 定 着 し て い る こ と が 明 ら か と な っ た 。
2) 現 存 量 調 査 に よ っ て 大 量 の 稚 貝 が 確 認 さ れ た こ と か ら 、海 水 の 流 入 量 が 多 か っ た こ と に よ る 天 然 資 源 の 産 卵 ・ 発 生 に 加 え て 、 産 卵 親 貝 を 保 護 す る た め の 禁 漁 区 域 を 設 定 し た こ と が 、 稚 貝 の 大 量 発 生 に 繋 が っ た も の と 考 え ら れ る 。
6 . 波 及 効 果
( 1) 平 成 19年 の 人 工 種 苗 生 産・放 流 に お い て は 、こ れ ま で の 試 験 で 培 っ た 技 術 に よ り 目 標 と し て い た 100億 個 の 放 流 が 実 現 で き た 。
( 2) 過 去 の 現 存 量 調 査 で は 見 ら れ な か っ た 小 型 貝 の 分 布 が 確 認 さ れ た こ と に よ り 、順 調 に 資 源 と し て 定 着 し て い る こ と が わ か っ た 。平 成 16年 に 発 生 し た 稚 貝 が 来 年 の 夏 頃 か ら 漁 獲 サ イ ズ へ 移 行 す る こ と が 予 想 さ れ 、 来 年 以 降 に つ い て も 明 る い 兆 し が 見 え て い る 。
7 . 今 後 の 課 題
( 1) 種 苗 生 産・放 流 に よ る 資 源 添 加 量 が ど の 程 度 あ る の か を 、費 用 対 効 果 の 面 を 含 め て 追 跡 調 査 を 行 い な が ら 見 極 め 、よ り 効 率 的 に 低 コ ス ト で 行 え る 方 法 を 模 索 し て い く 必 要 が あ る 。
( 2) 食 の 安 全・安 心 や 産 地 偽 装 等 が 叫 ば れ て い る 中 、現 在 漁 協 で は ト レ ー サ ビ リ テ ィ シ ス テ ム を 導 入 し 運 用 に 向 け て 進 め て い る 状 況 で あ り 、こ う し た 取 り 組 み に も 積 極 的 に 参 加 し て い く こ と が 重 要 と 考 え て い る 。
ヤ リ イ カ 産 卵 礁 設 置 試 験 及 び ふ 化 試 験
− 地 先 資 源 回 復 を 目 指 し て −
新 深 浦 町 漁 業 協 同 組 合 北 金 ヶ 沢 漁 業 振 興 会
田 附
たつき
直 人
なおと
1 . 地 域 の 概 況
深 浦 町 は 青 森 県 南 西 部 に 位 置 し 、 世 界 自 然 遺 産 に 登 録 さ れ て い る 白 神 山 地 や 津 軽 国 定 公 園 な ど 、 美 し い 自 然 景 観 が 豊 富 な 地 域 で あ る 。
私 た ち が 住 ん で い る 深 浦 町 北 金 ヶ 沢 地 区 は 、 深 浦 町 の 北 東 部 に 位 置 し 、幹 の 周 囲 が
約 22 m も あ る 大 銀 杏 や ケ ヤ キ 古 木 な ど 自 然
が 多 く 残 り 、 相 撲 力 士 を 多 数 輩 出 す る な ど 伝
統 文 化 も 色 濃 く 残 る 地 域 で あ る 。
2 . 漁 業 の 概 要
私 達 が 所 属 す る 新 深 浦 町 漁 協 は 大 戸 瀬 漁 協 、 舮 作 漁 協 及 び 岩 崎 村 漁 協 が 平 成 20 年 1 月 1 日 に 合 併 し て で き た 漁 協 で あ る 。 平 成 18 年 に お け る 旧 三 漁 協 の 概 要 は 、 組 合 員 数 が 707 名( 正 580 名 、 准 127 名 )、漁 獲 数 量 が 約 3, 324 ト ン 、 漁 獲 金 額 が 約 17 億 円 で 、 営 ま れ て い る 漁 業 は 、 底 建 網 、 定 置 網 、 一 本 釣 、 刺 網 及 び 採 介 藻 漁 業 等 で あ る 。
そ の 中 で 、 私 た ち が 所 属 し て い た 旧 大 戸 瀬 漁 協 の 平 成 18 年 漁 獲 数 量 は 約 1, 851 ト ン 、 漁 獲 金 額 は 約 10 億 円( 図 - 2) で 、底 建 網 が 漁 業 の 主 体 と な っ て お り 、 ヤ リ イ カ 、 ヒ ラ メ 、 カ レ イ 類 、 サ ケ 、 サ ク ラ マ ス な ど の 魚 種 の 他 、 ウ ニ 、 サ ザ エ 、 モ ズ ク な ど 磯 根 資 源 の 水 揚 げ も 見 ら れ る 。 そ の 中 で も 、 ヤ リ イ カ は 20 年 平 均 ( S 6 2∼ H18 年 ) を 見 て も 分 か る よ う に 、 漁 獲 金 額 の 約 42 % を 占 め る ( 図 - 3) 非 常 に 重 要 な 魚 種 と な っ て い る 。
旧大戸瀬漁協
風 合 瀬 漁 協
深 浦 漁 協
旧 岩 崎 村 漁 協
大 間 越 漁 協 旧 舮 作 漁 協
新 深 浦 町 漁 協
深 浦 町
図 - 1 深 浦 町 位 置
海藻類 3.9% その他イカ類
3.9%
甲殻類 0.4% タコ類
2.3%
その他 1.9%
ヤリイカ 42.0%
魚 類 43.7% 貝 類
1.9%
図 - 3 旧 大 戸 瀬 漁 協 漁 獲 金 額 割 合
( 20 年 平 均 ( S 63∼ H18 ))
図 - 2 旧 大 戸 瀬 漁 協 漁 獲 量 ・ 金 額
0 5 0 0 1 ,0 0 0 1 ,5 0 0 2 ,0 0 0 2 ,5 0 0
S 6 2 S 6 3 H
元
H 2 H 3 H 4 H 5 H 6 H 7 H 8 H 9 H 1 0 H 1 1 H 1 2 H 1 3 H 1 4 H 1 5 H 1 6 H 1 7 H 1 8 0 2 4 6 8 1 0 1 2 1 4 1 6 1 8 漁獲量(トン)
3 . 研 究 グ ル ー プ 組 織 と 運 営
北 金 ヶ 沢 漁 業 振 興 会 は 、 旧 大 戸 瀬 漁 協 の 下 部 組 織 と し て 設 立 さ れ 、 現 在 の 会 員 数 は 108 名 、 う ち 役 員 は 会 長 1 名 、 副 会 長 2 名 、 理 事 5 名 、 監 事 2 名 で 構 成 さ れ て い る 。 活 動 経 費 は 、 会 員 の 会 費 か ら な っ て い る 。 当 振 興 会 で は ヒ ラ メ ・ タ イ の 養 殖 、 ア ワ ビ ・ ナ マ コ 放 流 等 に 取 り 組 ん で き た 。
4 . 実 践 活 動 取 組 課 題 選 定 の 動 機
近 年 、 旧 大 戸 瀬 漁 協 に お け る ヤ リ イ カ 漁 獲
量 は 、 平 成 10 年 よ り 減 少 傾 向 を 示 し 、 平 成
15 年 に は 持 ち 直 し た も の の 、 平 成 16 年 以 降
は 再 び 低 迷 し 、 来 遊 量 や 資 源 状 態 が 思 わ し く
な い 状 況 に あ る 。 そ の た め 、 ヤ リ イ カ 資 源 の
増 大 を 図 る 必 要 が あ り 、 ヤ リ イ カ 産 卵 礁 の 設
置 が 有 効 で あ る と 考 え ら れ た 。 し か し 、 北 金
ヶ 沢 地 先 は 底 建 網 ・ 定 置 網 が 密 集 す る 漁 場 で
あ り 、 大 規 模 な コ ン ク リ ー ト や 鉄 筋 に よ る 産
卵 礁 を 設 置 で き る 場 所 が な い 。 そ こ で 、 当 振 興 会 で は 底 建 網 ・ 定 置 網 の 邪 魔 に な ら な い 小
型 の 産 卵 礁 を 設 置 し 、 そ の 設 置 方 法 、 設 置 場 所 、 卵 付 着 状 況 等 の 試 験 を 行 っ た 。
ま た 、 ヤ リ イ カ の 来 遊 時 期 に な る と 底 建 網 の 網 自 体 や ア ン カ ー に 、 ヤ リ イ カ の 卵 嚢 付 着
が 大 量 に 見 ら れ 、 網 揚 作 業 や 時 化 に よ る 脱 落 に よ り 卵 が 死 ん で し ま う と 考 え ら れ た た め 、
そ の 有 効 利 用 を 図 る た め に 、 ふ 化 試 験 に も 取 り 組 ん だ 。
5 . 研 究 ・ 実 践 活 動 状 況 及 び 効 果 ( 1) ヤ リ イ カ 産 卵 礁 試 験
ヤ リ イ カ の 産 卵 礁 試 験 は 、ヤ リ イ カ を 対 象 と し た 網 漁 業 を 営 む 漁 業 者 が 、 ヤ リ イ カ 資 源 の
増 殖 の た め に 容 易 に 取 り 組 む こ と の で き る 手 法
と し て 普 及 さ せ る た め に 、平 成 17 年 か ら 開 始
し 、 平 成 19 年 ま で に 3 回 実 施 し た 。 1) 産 卵 礁 概 要 ( 図 - 5 、 - 6)
産 卵 礁 は 鋼 鉄 製 で 縦 横 130c m、高 さ 113c m の 立 方 体 を し て お り 、 上 中 下 に 卵 付 着 基 質 を 設 置 で き る 三 段 構 造 と な っ て い る も の を 4 基 作 成 し た 。
2) 付 着 基 質 ( 表 - 1)
平 成 17年 は ヤ リ イ カ 卵 の 付 着基 質 と し て 、地 元 の 底 建 網 漁 業 者 の 経 験 談 や 意 見 を も
と に 選 択 し 、 産 卵 礁 上 段 に 漁 網 、 中 段 に ム シ ロ 、 そ し て 中 段 と 下 段 の 間 に 水 平 方 向 に 漁
網 を 設 置 し た 。 平 成 18 年 は 別 素 材 の 卵 付 着 基 質 を 検 討 す る た め 、 ベ ニ ヤ 板 と ム シ ロ を
付 着 基 質 と し て 上 中 段 に 組 み 合 わ せ 設 置 し 、 一 部 中 古 タ イ ヤ も 設 置 し た 。
平 成 19 年 は ベ ニ ヤ 板 の 代 わ り に 強 度 が 強 く 持 続 性 の あ る 高 密 度 ポ リ エ チ レ ン 製 ト リ
図 - 5 ヤ リ イ カ 産 卵 礁 概 要
130㎝ 130㎝
55㎝
58㎝
図 - 4 旧 大 戸 瀬 漁 協 ヤ リ イ カ
漁 獲 量 ・ 金 額
0 1 0 0 2 0 0 3 0 0 4 0 0 5 0 0 6 0 0 7 0 0 8 0 0 9 0 0
S
6
2
S
6
3
H
元
H
2
H
3
H
4
H
5
H
6
H
7
H
8
H
9
H
1
0
H
1
1
H
1
2
H
1
3
H
1
4
H
1
5
H
1
6
H
1
7
H
1
8
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 ヤリイカ漁獲量(トン)
図 - 6 ヤ リ イ カ 産 卵 礁
図 - 8 産 卵 礁 に 付 着 し た 卵 嚢
カ ル ネ ッ ト 目 合 10mm を 産 卵 礁 4基 中 3基 の
上 中 段 に 設 置 し 、一 部 ネ ッ ト の 上 に ム シ ロ を
設 置 し た 。
3) 設 置 場 所 ( 図 - 7、 表 - 1)
北 金 ヶ 沢 地 先 は 底 建 網・定 置 網 が 密 集 す る
漁 場 で あ る こ と か ら 、 産 卵 礁 の 設 置 場 所 は 、
操 業 の 邪 魔 に な ら な い 大 型 定 置 網 周 辺 に 選
定 し た 。 平 成 17 年 は 北 金 ヶ 沢 沖 大 型 定 置 網
付 近 に 2 基 、柳 田 沖 大 型 定 置 網 付 近 に 2 基 設
置 、平 成 18 年 は 平 成 17 年 の 卵 付 着 状 況 結 果
を 基 に 、 北 金 ヶ 沢 沖 大 型 定 置 網 付 近 に 3 基 、
柳 田 沖 大 型 定 置 網 付 近 に 1 基 設 置 し た 。平 成
19年 は 、 北 金 ヶ 沢 沖 大 型 定 置 網 付 近 に 2基 、
水 深 の 深 い 海 域 で の 卵 嚢 付 着 状 況 を 確 認 す
る た め 晴 山 沖 水 深 75m と 北 金 ヶ 沢 沖 水 深 105
m の 2 ヶ 所 に 設 置 し た 。
4) 設 置 ・ 引 き 上 げ 時 期 ( 表 - 1)
産 卵 礁 設 置 時 期 に つ い て は ヤ リ イ カ の 来
遊 が 本 格 化 す る 冬 季 に 、引 き 上 げ 時 期 に つ い
て は 底 建 網 漁 具 に 卵 嚢 付 着 が 見 ら れ る よ う
に な る 春 季 と し た 。平 成 17 年 は 2 月 18 日 に
設 置 し 5 月 11 日 引 き 上 げ 、平 成 18 年 は 2 月
16 日 設 置 、 5 月 12 日 引 き 上 げ 、 平 成 19 年 は
1 月 22 日 設 置 、 4 月 2 2 日 に 引 き 上 げ を 行 っ
た 。
5) 卵 嚢 付 着 状 況 ( 表 - 1 )
平 成 17 年 は 北 金 ヶ 沢 沖 定 置 網 付 近 に 設 置 し た ① の 中 段 ( ム シ ロ ) 1/ 3 の 面 積 に 、 ② の 中 段 ( ム シ ロ ) 1/ 2 以 上 の 面 積 に 付 着
柳 田 江 沢 関
北 金 ヶ沢 田 野 沢
晴 山
風 合 瀬 貝 良 木
弁 天 島 大 島
千 畳 敷 大 戸 瀬 崎
弁 天 崎
鳥 居 崎
1 0 m 20m 3 0m 40m 5 0m 80m 70m 60m
90m 10 0m
① ② ④ ⑧ ⑥ ⑨ ⑤ ⑦ ⑩ ⑫ ⑪
大 型 定 置 網
深 浦 町
N40°4 5′ E14 0°00 ′
③
図 - 7 ヤ リ イ カ 産 卵 礁 設 置 場 所
表 - 1 ヤ リ イ カ 産 卵 礁 設 置 状 況
上段 中段 下段
① 北金ヶ沢沖大型定置網付近 約60m 漁網 ムシロ 漁網 ムシロ1/ 3
② 北金ヶ沢沖大型定置網付近 約65m 漁網 ムシロ 漁網 ムシロ1/ 2以上
③ 柳田沖大型定置網付近 約50m 漁網 ムシロ 漁網 漁網に5本
④ 柳田沖大型定置網付近 約40m 漁網 ムシロ 漁網 漁網に5本
⑤ 北金ヶ沢沖大型定置網付近 約45m ベニヤ ムシロ − ムシロ150本
⑥ 北金ヶ沢沖大型定置網付近 約60m ムシロ ベニヤ − ベニヤ70本
⑦ 北金ヶ沢沖大型定置網付近 約50m
ベニヤ タイヤ
ムシロ ベニヤ
−
上段ベニヤ1本 中段ベニヤ23本
⑧ 柳田沖大型定置網付近 約35m ムシロ ムシロ − なし
⑨ 北金ヶ沢沖大型定置網付近 約45m
トリカルネット ムシロ
トリカルネット − なし
⑩ 北金ヶ沢沖大型定置網付近 約60m ムシロ
漁網 ムシロ
− 少量
⑪ 晴山沖 約75m トリカルネット
トリカルネット ムシロ
− なし
⑫ 北金ヶ沢沖 約105m
トリカルネット ムシロ
トリカルネット − なし 平成17年
2月18日
平成17年 5月11日
平成18年 2月16日
平成19年 1月22日
平成18年 5月12日
平成19年 4月22日 設置年月日
番号 卵付着状況
付着基質
設置場所 設置水深
が 見 ら れ た も の の 、 柳 田 沖 の ③ ④ で は 5 本 の み の 付 着 で あ っ た 。 平 成 18 年 は 、 平 成 17 年 同 様 に 北 金 ヶ 沢 沖 定 置 網 付 近 に 設 置 し た ⑤ の 中 段 ( ム シ ロ ) に 150 本 、 ⑥ の 中 段 ( ベ ニ ヤ ) に 70 本 、 ⑦ の 中 段 ( ベ ニ ヤ ) に 20 本 程 度 の 付 着 が 見 ら れ た が 、 柳 田 沖 の ⑧ に は 見 ら れ な か っ た 。平 成 19 年 は 北 金 ヶ 沢 沖 定 置 網 付 近 水 深 60 m に 設 置 し た ⑩ の 中 段 ( 漁 網 ) の み に 少 量 の 付 着 が 見 ら れ た も の の 、 ふ 化 後 の 卵 嚢 で あ っ た 。 ( 2) ヤ リ イ カ 卵 嚢 ふ 化 試 験
使 用 し た 試 料 は 、平 成 18 年 の 産 卵 礁 と 漁 具 等 に 付 着 し た 卵 嚢 で 、 内 訳 は 産 卵 礁 ⑤ ⑥ ( 図 - 7、表 - 1 )で 得 ら れ た 卵 嚢 200 本 、底 建 網 に 付 着 し た 卵 嚢 200 本 、 計 400 本 を 使 用 し ふ 化 試 験 を 実 施 し た 。
1) 設 置 場 所
設 置 場 所 に つ い て は 、「 ヤ リ イ カ 卵 が 水 温 5℃ 及 び 塩 分 27 以 下 に な る と ふ 化 率 が 低 下 す る 。」と の 青 森 県 水 産 総 合 研 究 セ ン タ ー の 報 告 が あ る こ と か ら 、 海 水 の 循 環 が 良 く 、 川 水 の 影 響 が 少 な い と 考 え ら れ る 北 金 ヶ 沢 漁 港 間 口 と し た 。
2) ふ 化 施 設 ( 表 - 3)
縦 横 65 ㎝ 、 高 さ 3 5 ㎝ の 目 合 4 ㎜ の 大 篭 を 1 基 準 備 し 試 験 区 1 と し た 。 ま た 、 目 合 2 ㎜ の 網 で 覆 っ た 縦 35 c m横 55c m高 さ 30c m の 小 篭 に 目 合 2 ㎜ の 網 を 覆 っ た も の を 2 基 準 備 し 、試 験 区 2・ 3 と し た 。卵 嚢 を 試 験 区 1 に 100 本 、 試 験 区 2 に 100 本 、 試 験 区 3 に 200 本 そ れ ぞ れ 収 納 し た 。 施 設 設 置 は 試 験 区 1・2 を 平 成 18 年 5 月 1 7 日 に 、試 験 区 3 つ い て は 平 成 18 年 5 月 22 日 に 設 置 し た 。 3) 卵 嚢 の 状 況 ( 表 - 2 、 表 - 3 )
生 卵 数 、 死 卵 数 及 び ふ 化 後 の 卵 数 の 状 況 に つ い て は 、 青 森 県 水 産 総 合 研 究 セ ン タ ー 及 び 鰺 ケ 沢 水 産 事 務 所 の 指 導 の も と 、 観 察 を 行 っ た 。 卵 嚢 の 観 察 は 5 本 を サ ン プ ル と し( 試 験 区 1 の 5 月 17 日 は 15 本 )、試 験 区 1 に つ い て は 5 回 、 試 験 区 2 に つ い て は 4 回 、 試 験 区 3 に つ い て は 3 回 行 っ た 。 試 験
は 平 成 18 年 6 月 8 日 で 終 了 し 、残 っ た 卵 嚢 に つ い て は 再 び 施 設 に 収 容 し 、全 卵 が ふ 化 終 了 し た こ と を 確 認 し た 後 、 施 設 の 撤 去 を 行 っ た 。
観 察 結 果 か ら 、卵 嚢 1 本 当 た り の 平 均 全 卵 数 は 43. 4 個 、そ の う ち 平 均 生 卵 数 は 35. 3 個 、 平 均 死 卵 数 は 2. 5 個 、 平 均 ふ 化 後 ハ ッ チ 痕 は 5. 6 個 と な り 、 生 残 率 は ふ 化 後 ハ
図 - 9 ふ 化 施 設
図 - 10 卵 嚢
ッ チ 痕 も 含 め 94. 3% (( 平 均 生 卵 数 + 平 均 ハ ッ チ 痕 ) / 平 均 全 卵 数 )) と 高 い 結 果 と な っ た 。 施 設 ご と の 比 較 で は 、 生 死 卵 率 に 大 き な 違 い は 見 ら れ な か っ た 。
6 . 波 及 効 果
( 1) ヤ リ イ カ 産 卵 礁 試 験
産 卵 礁 試 験 を 行 っ た 3 年 間 は ヤ リ イ カ の 来 遊 が 少 な か っ た に も 拘 わ ら ず 、 産 卵 礁 へ の 卵 嚢 の 付 着 が 見 ら れ て い る こ と か ら 、 今 回 試 験 を 行 っ た 産 卵 礁 の 設 置 効 果 は あ る と 考 え ら れ た 。
( 2) ヤ リ イ カ 卵 嚢 ふ 化 試 験 ( 表 - 2、 - 3 )
生 残 率 が 94. 3%と い う 結 果 か ら 、 ふ 化 試 験 で の 生 卵 が 全 て ふ 化 し た と 仮 定 す る と 、 16, 000 尾( 使 用 卵 嚢 数 × 平 均 全 卵 数 × 生 残 率 )の 幼 イ カ を 自 然 放 流 で き た こ と と な る 。
こ の こ と か ら 、 北 金 ヶ 沢 漁 港 内 に お い て 、 漁 具 等 に 付 着 し た 卵 嚢 を 港 内 に 持 ち 帰 り ふ 化 さ せ る こ と は 有 効 で あ る と 考 え ら れ 、 手 間 が か か ら ず 、漁 業 者 が 容 易 に 取 り 組 む こ
と が で き る ヤ リ イ カ 資 源 の 増 殖 方 法 の 一 つ で あ る こ と が示 唆 さ れ た 。
7 . 今 後 の 課 題
( 1) ヤ リ イ カ 産 卵 礁 試 験
産 卵 礁 は 小 型 で あ る も の の 、 鋼 鉄 製 で か な り の 重 量 が あ り 、 時 化 が 多 い 1 ∼ 2 月 で の 設 置 作 業 は か な り の 危 険 が 伴 う こ と か ら 、 時 化 が 少 な く ヤ リ イ カ 来 遊 前 の 時 期 及 び 波 浪 の 影 響 が 小 さ い 場 所 で の 産 卵 礁 の 設 置 を 検 討 す る 必 要 が あ る 。 付 着 基 質 と し て 平 成 19 年 に 丈 夫 で 継 続 利 用 可 能 な ト リ カ ル ネ ッ ト を 使 用 し た が 、 卵 嚢 の 付 着 が 見 ら れ な か っ た こ と か ら 、 付 着 基 質 に つ い て も 再 度 検 討 す る 必 要 が あ る 。
表 - 2 月 日 別 卵 嚢 観 察 結 果
観 察 月 日 ( 平 成 18年 ) 5月 17日 5月 19日 5月 22日 5月 24日 5月 31日 6月 8日 平 均
サ ン プ ル 数 15本 10本 15本 15本 15本 15本 14. 2本
平 均 生 卵 数 46. 7個 40. 6個 40. 0個 49. 5個 31. 9個 3. 4個 35. 3個
平 均 死 卵 数 2. 3個 1. 9個 2. 1個 0. 8個 4. 7個 3. 1個 2. 5個
平 均 ハ ッ チ 痕 ( ふ 化 後 卵 ) 0個 0個 0個 1. 7個 5. 9個 26. 0個 5. 6個
平 均 全 卵 数 48. 9個 42. 5個 42. 1個 51. 9個 42. 5個 32. 5個 43. 4個
死 卵 率 4. 6% 4. 5% 4. 9% 1. 5% 11. 1% 9. 4% 5. 7%
生 残 率 ( ふ 化 後 卵 含 ) 95. 4% 95. 5% 95. 1% 98. 5% 88. 9% 90. 6% 94. 3%
表 - 3 試 験 区 別 卵 嚢 観 察 結 果
試 験 区 試 験 区 1 試 験 区 2 試 験 区 3
施 設 名 称 大 篭
施 設 大 き さ ( 縦 × 横 × 高 ) 65㎝ × 65㎝ × 35㎝
使 用 卵 嚢 底 建 網 付 着
収 容 卵 嚢 数 100本 100本 200本
サ ン プ ル 数 20本 20本 20本
平 均 生 卵 数 30. 9個 26. 0個 36. 8個
平 均 死 卵 数 3. 1個 2. 5個 2. 5個
平 均 ハ ッ チ 痕 ( ふ 化 後 卵 ) 7. 5個 10. 6個 7. 2個
平 均 全 卵 数 41. 4個 39. 0個 46. 4個
死 卵 率 7. 5% 6. 3% 5. 3%
生 残 率 ( ふ 化 後 卵 含 ) 92. 5% 93. 7% 94. 7%
産 卵 礁 由 来
35㎝ × 55㎝ × 30㎝
( 2) ヤ リ イ カ 卵 嚢 ふ 化 試 験
養 殖 ア カ ガ イ の 生 産 安 定 化 へ 向 け て
− ポ ス ト ホ タ テ ガ イ を 目 指 し て −
川 内 町 漁 業 協 同 組 合 青 年 部
美 濃 部
み の べ
文 和
ふ み か ず
1 . 地 域 の 概 況
む つ 市 川 内 町 は 、 下 北 半 島 の 南 西 部 に 位 置 し て お り 、陸 奥 湾 に 面 し た 約 20 ㎞ の 海 岸 線 を 有 し 、北 部 に 山 地 、 平 野 部 に 河 川 と 豊 か な 自 然 に 恵 ま れ た 町 で あ る( 図 - 1)。当 町 は 、江 戸 時 代 を 通 じ て 、木 材 や 海 産 物 を 移 出 す る 港 町 と し て 発 展 し 、 漁 業 は 基 幹 産 業 と な っ て い る 。
2 . 漁 業 の 概 要
私 達 の 所 属 す る 川 内 町 漁 業 協 同 組 合 は 、 正 組 合 員 145 名 、 准 組 合 員 57 名 の 計 202 名 で 構 成 さ れ 、 ホ タ テ ガ イ 養 殖 業 を 主 体 と し て 、 ナ マ コ 漁 業 ( 潜 水 、桁 網 等 )、ア カ ガ イ 養 殖 業 、 ツ ブ ・ カ ニ ・ ア イ ナ メ 篭 漁 業 、 カ レ イ 刺 網 漁 業 な ど が 営 ま れ て い る 。
当 漁 協 は 、 ホ タ テ ガ イ へ の 依 存 度 が 高 い が 、 10
年 ほ ど 前 か ら 地 ま き ホ タ テ ガ イ の 漁 獲 低 迷 と 単 価 の 下 落 に よ っ て 漁 獲 量 は 減 少 し て お り 、平 成 16 年 の 漁 獲 量 は 1, 324 ト ン 、 金 額 は 6 億 4 千 万 円 と な っ た( 図 - 2)。し か し 、最 近 は ナ マ コ の 単 価 高 騰 に よ っ て 漁 獲 金 額 は 増 加 傾 向 に あ り 、平 成 18 年 の 漁 協 全 体 の 漁 獲 量 は 2, 460 ト ン 、 金 額 は 9 億 7 千 万 円 と な っ た 。 ま た 、 漁 獲 物 の 種 類 で は 、 ホ タ テ ガ イ 、 ナ マ コ 、
む つ 市 川 内 町
図 - 1 む つ 市 川 内 町 の 位 置
0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000 9,000
56 57 58 59 60 61 6263 1 2 3 4 5 6 7 8 910 11 1213 14 15 16 17 18
漁
獲
量
(
ト
ン
)
0 200 400 600 800 1,000 1,200 1,400 1,600 1,800 2,000
漁
獲
金
額
(
百
万
円
)
数量 (トン) 金額(百万円)
図 - 2 川 内 町 漁 協 の 漁 獲 量 及 び 金 額 の 推 移
306 31%
572 59%
55 6%
38 4%
ナマコ
ホタテガイ アカガイ その他
(金額:百万円)
ア カ ガ イ の 三 魚 種 で 漁 協 全 体 の 漁 獲 量 及 び 金 額 の 9 割 以 上 を 占 め て い る ( 図 - 3)。
3 . 研 究 グ ル ー プ 組 織 と 運 営
川 内 町 漁 協 青 年 部 は 昭 和 57 年 3 月 25 日 に 設 立 さ れ 、現 在 の 部 員 数 は 15 名 で あ る 。青 年 部 で は 、 ア カ ガ イ に 関 す る 試 験 の ほ か 、 ナ マ コ 資 源 管 理 の 根 幹 を な す ナ マ コ 資 源 量 調 査 、 地 ま き ホ タ テ ガ イ 調 査 、水 中 カ メ ラ に よ る 漁 場 調 査 な ど の 試 験 事 業 を 行 っ て お り 、さ ら に 、 植 樹 活 動 、ホ タ テ ガ イ の 消 費 拡 大 へ 向 け て の PR 活 動 、先 進 地 視 察 な ど 漁 協 と 連 携 し て 各 種 事 業 を 展 開 し て い る 。
4 . 研 究 ・ 実 践 活 動 課 題 選 定 の 動 機 陸 奥 湾 で は 、 昭 和 20 年 代 に 天 然 ア カ ガ イ が 1, 300 ト ン 余 り も 漁 獲 さ れ た が 、昭 和 40 年 代 に は 数 十 ト ン に ま で 減 少 し た 。 当 漁 協 に お い て も 、 桁 網 に よ り 天 然 ア カ ガ イ を 漁 獲 し て い た が 、 資 源 の 減 少 に 伴 っ て 漁 獲 さ れ な く な っ た 。
し か し 、 主 力 魚 種 で あ る ホ タ テ ガ イ の 価 格 低 迷 の 事 態 を 受 け 、10 年 ほ ど 前 か ら 組 合 員 有 志 数 名 が ホ タ テ ガ イ 養 殖 と 同 様 の 手 法 で パ ー ル ネ ッ ト や 丸 篭 に
よ る ア カ ガ イ 養 殖 を 開 始 し た 。現 在 で は46 経 営 体 が ホ タ テ ガ イ 養 殖 と 兼 業 で ア カ ガ イ 養 殖 を 行 っ て い る 。試 行 錯 誤 を 重 ね た 結 果 、徐 々 に 水 揚 げ が 増 え 、平 成 9 年 に 10k g ほ ど で あ っ た 生 産 量 は 、 平 成 14 年 に は 147 ト ン に な っ た ( 図 - 4)。
こ の よ う に 、 当 漁 協 に と っ て ア カ ガ イ は 、 ホ タ テ ガ イ 、 ナ マ コ に 次 ぐ 主 要 魚 種 の 柱 と な る ま で に 成 長 し た が 、 年 に よ る 生 産 量 の 変 動 が 激 し い 。 こ れ は 、 ホ タ テ ガ イ 養 殖 の パ ー ル ネ ッ ト に 天 然 で 付 着 し た ア カ ガ イ の 稚 貝 を 採 取 し て 種 苗 と し て い る こ と か ら 、 稚 貝 確 保 が 安 定 し な い た め で あ る 。ま た 、出 荷 サ イ ズ を 1 ㎏ あ た り 10 個 以 下 の 大 型 貝 と す る た め に は 、 稚 貝 採 取 か ら 3 年 も の 間 分 散 や 入 れ 替 え な ど の 管 理 を 行 わ な け れ ば な ら な い が 、 現 在 の と こ ろ 養 殖 管 理 方 法 が 確 立 さ れ て い な い 。
そ こ で 、 我 々 青 年 部 で は 、 ア カ ガ イ 生 産 の 安 定 化 を 目 的 に 、 効 率 的 な 天 然 採 苗 技 術 及 び 養 殖 方 法 の 確 立 に 向 け た 技 術 開 発 に 取 り 組 ん だ 。
5 . 研 究 ・ 実 践 活 動 状 況 及 び 効 果 ( 1) 稚 貝 確 保 の 安 定 化
1) ラ ー バ 調 査
効 率 的 に 稚 貝 採 取 す る た め の 基 礎 資 料 を 得 る た め 、 ア カ ガ イ ラ ー バ が い つ 出 現 し 付 着 す る の か 調 べ た 。
平 成 18 年 8 月 22 日 か ら 9 月 11 日 と 平 成 19 年 7 月 18 日 か ら 9 月 26 日 に 川 内 沖 水 深 約40m の 地 点 に お い て ア カ ガ イ ラ ー バ の 出 現 状 況 を 調 べ た 。
ア カ ガ イ ラ ー バ は 約 3 週 間 の 浮 遊 期 間 を 経 て 殻 長 0. 3 ㎜ 前 後 で 付 着 す る よ う に な る 。 0
20 40 60 80 100 120 140 160
H9 10 11 12 13 14 15 16 17 18
生
産
量
(
ト
ン
)
平 成 18 年 は 調 査 開 始 か ら ア カ ガ イ ラ ー バ が 見 ら れ 、 出 現 数 は 、 調 査 終 了 時 の 9 月 11 日 に は 35 個 / ト ン と 最 大 に な り 、 8 月 29 日 以 降 付 着 直 前 の ラ ー バ が 出 現 し 始 め た ( 図 - 5)。
平 成 19 年 は 、 7 月 18 日 か ら ア カ ガ イ ラ ー バ が 見 ら れ 、 出 現 数 は 、 8月 31 日 に 22 個 / ト ン と 最 大 に な っ た 。付 着 直 前 の ラ ー バ は 徐 々 に 増 加 し 、9 月 21 日 以 降 4 個 / ト ン 出 現 し た ( 図 - 6)。
こ の こ と か ら 、 ラ ー バ 調 査 を 行 い 、 付 着 直 前 の ラ ー バ が 多 く な る 時 期 に 採 苗 器 を 投 入 す る こ と に よ っ て 計 画 的 に 稚 貝 採 取 で き る と 考 え ら れ た 。
2) 天 然 採 苗 試 験
平 成 18 年8 月 22 日 に 8 段 パ ー ル ネ ッ ト を 採 苗 器 と し て 養 殖 施 設 に 垂 下 し 、平 成 19 年 6 月 7 日 に 引 き 上 げ て 稚 貝 の 付 着 状 況 を 調 べ た と こ ろ 、 8 段 パ ー ル ネ ッ ト 1 連 に 平 均 殻 長 17. 2 ㎜ の 稚 貝 が 平 均 48 個 付 着 し て い た ( 写 真 - 1)。
平 成 19 年 に は 、8 段 パ ー ル ネ ッ ト に 付 着 面 が 平 ら な ビ ニ ー ル ひ も を 付 着 基 質 と し て 詰 め た も の を 、 付 着 直 前 の ラ ー バ が 増 加 し 始 め た 9 月 13 日 に 養 殖 施 設 に 垂 下 し た 。今 後 採 苗 器 へ の 稚 貝 の 付 着 状 況 を 調 べ 、 天 然 採 苗 技 術 の 開 発 を 続 け て い く 予 定 で あ る 。
3) 母 貝 調 査
平 成 19 年 に は 、ラ ー バ 調 査 と 併 せ て 2 月 か ら 10 月 ま で 毎 月 1 回 、養 殖 4 年 貝 に つ い て 成 熟 状 況 を 調 べ た 。7 月 26 日 か ら 成 熟 個 体 が 見 ら れ 、53% の 個 体 が 生 殖 巣 を 形 成 し て い た 。 そ の 後 成 熟 個 体 の 割 合 は 減 少 し 、 10 月 に は 見 ら れ な く な っ た ( 図 - 7)。
写 真 - 1 パ ー ル ネ ッ ト に 付 着 し た 稚 貝 図 - 5 平 成18 年 に お け る ア カ ガ イ
ラ ー バ 出 現 数 の 変 化
0 10 20 30 40
8/ 1 9/ 1
出
現
数
(
個
/
ト
ン
)
殻長250μm未満 殻長250μm以上
図 - 6 平 成 19 年 に お け る ア カ ガ イ ラ ー バ 出 現 数 の 変 化
0 10 20 30 40
7/ 1 8/ 1 9/ 1
出
現
数
(
個
/
ト
ン
)
ア カ ガ イ は 、水 温18∼ 20℃ で 産 卵 す る と 言 わ れ て い る 。 平 成 19 年 に 川 内 地 先 に お い て 、 30m 以 深 の 底 層 の 水 温 が こ の 水 温 に な っ た の は 8 月 中 旬 で あ っ た 。 陸 奥 湾 の ア カ ガ イ は 分 布 の 北 限 に 位 置 し て お り 、 深 い 泥 場 に 生 息 す る 天 然 貝 は 厳 し い 産 卵 条 件 下 に あ る が 、 調 査 の 結 果 か ら 、 浅 所 に 置 か れ た 養 殖 貝 が 母 貝 と な っ て 再 生 産 に 寄 与 し て い る こ と が わ か っ た 。 さ ら に 、 最 近 の
温 暖 化 傾 向 と 養 殖 量 の 増 加 が 採 苗 し や す い 環 境 を 作 り 出 し て い る も の と 思 わ れ た 。
( 2) 養 殖 方 法 の 確 立 1) 収 容 資 材
養 殖 先 進 地 で あ る 宮 城 県 で は タ ラ イ を 用 い て い る こ と か ら 、 安 定 性 を 考 慮 し 、 ネ ッ ト 以 外 の 素 材 を 用 い た 収 容 資 材 に つ い て 検 討 し た( 写 真 - 2)。プ ラ ス チ ッ ク 製 の 箱 型 コ ン テ ナ と ツ ブ 篭 に 殻 長 約 6 ㎝ の ア カ ガ イ を 収 容 し て 養 殖 試 験 を 行 っ た が 、 従 来 用 い て い る パ ー ル ネ ッ ト に 比 べ 生 残 率 、 成 長 と も 悪 か っ た 。
2) ネ ッ ト の 形 状
養 殖 時 の 擦 れ に よ る 貝 殻 表 面 に 生 え て い る 毛 の 脱 落 を 防 止 す る た め 、 貝 を 定 位 さ せ る ポ ケ ッ ト 式 ネ ッ ト を 用 い て 養 殖 試 験 を 行 っ た 。 ま た 、 垂 下 水 深 に よ る 餌 量 環 境 に つ い て 検 討 す る た め 、 中 層 及 び 底 層 に 設 置 し 、 パ ー ル ネ ッ ト 養 殖 と 比 較 し た 。 試 験 開 始 か ら 7 ヶ 月 後 の 重 量 は 中 層 に 垂 下 し た ポ ケ ッ ト 式 ネ ッ ト が 最 も 高 い 値 と な っ た も の の 明 確 な 差 は 見 ら れ な か っ た( 図 - 8)。生 残 率 は 、中 層 及 び 底 層 に 垂 下 し た ポ ケ ッ ト 式 ネ ッ ト が パ ー ル ネ ッ ト よ り 23∼ 37% 低 か っ た ( 図 - 9)。
0 10 20 30 40 50 60
2/ 1 4/ 1 6/ 1 8/ 1 10/ 1
成
熟
個
体
の
割
合
(
%
)
図 - 7 成 熟 個 体 の 割 合 の 変 化
写 真 - 2 養 殖 試 験 に 用 い た 収 容 容 器
0 20 40 60 80 100
11/ 1 1/ 1 3/ 1 5/ 1
生
残
率
(
%
)
ポケット(中層) ポケット(底層) パールネット
図 - 9 生 残 率 の 変 化
50 60 70 80 90 100
11/ 1 1/ 1 3/ 1 5/ 1
全
重
量
(
g
)
ポケット(中層) ポケット(底層) パールネット
こ れ ら の 結 果 か ら 、 当 漁 協 で は 、 パ ー ル ネ ッ ト を 用 い た 養 殖 方 法 が 最 も 効 率 的 で あ る こ と が わ か っ た 。
6 . 波 及 効 果
今 回 の 調 査 に よ り 、川 内 地 先 の ア カ ガ イ の 成 熟 状 況 や 稚 貝 の 付 着 時 期 な ど を 把 握 で き た 。 こ れ ら に よ る 採 苗 技 術 の 開 発 は 、 種 苗 確 保 の 安 定 化 だ け で な く 、 稚 貝 採 取 に か か る 労 力 の 軽 減 に も 繋 が る 。 ま た 、 養 殖 数 量 の 増 加 に よ る ラ ー バ の 増 加 は 、 天 然 資 源 回 復 の 可 能 性 を 秘 め て い る 。 養 殖 試 験 の 結 果 、 当 漁 協 で は 現 状 の パ ー ル ネ ッ ト を 用 い た 養 殖 方 法 が 最 も 効 率 の 良 い こ と が わ か っ た 。現 在 は 収 容 密 度 に よ る 生 残 率 や 成 長 の 違 い に つ い て 調 べ て お り 、 安 定 し た 大 型 貝 の 生 産 に 向 け て 試 験 を 続 け て い る 。
採 苗 か ら 養 殖 ま で の 技 術 開 発 は 、出 荷 規 格 徹 底 の た め の 指 導 基 準 と な り う る も の で あ り 、 指 導 の 徹 底 は 生 産 の 安 定 化 へ 繋 が る 。 当 漁 協 で 大 型 の ア カ ガ イ を 140 ト ン 前 後 生 産 で き る よ う に な れ ば 、 5 千 6 百 万 円 の 増 収 が 見 込 め る こ と と な る 。 ア カ ガ イ 養 殖 は ホ タ テ ガ イ 養 殖 の 資 材 を 兼 用 で き る た め 新 た な 設 備 投 資 も 少 な く 、 各 漁 業 者 が ホ タ テ ガ イ 養 殖 に 加 え て ア カ ガ イ 養 殖 を 営 む こ と に よ り 漁 業 経 営 基 盤 を 強 化 で き る 。 今 年 の よ う に ホ タ テ ガ イ の 価 格 が 大 幅 に 下 落 し た 場 合 で も 漁 家 経 営 を 支 え て い く こ と が 可 能 に な り 、 私 達 は こ れ か ら の 取 組 み に 意 を 強 く し た 。
7 . 今 後 の 課 題
今 後 も ラ ー バ 調 査 と 付 着 稚 貝 調 査 を 継 続 し 、 漁 協 組 合 員 へ 採 苗 情 報 を 提 供 し て い く 。 ま た 、 養 殖 試 験 に つ い て も 継 続 し 、 養 殖 技 術 の マ ニ ュ ア ル 化 に 向 け て 漁 協 全 体 で 取 り 組 ん で い き た い と 考 え て い る 。
川 内 産 養 殖 ア カ ガ イ は 天 然 物 に 比 べ 、 歩 留 ま り や 身 の 色 が 劣 る た め 価 格 が 半 分 程 度 と 低 い 。 こ れ ら の 点 で 天 然 貝 と 遜 色 の な い も の を 生 産 す る こ と が 次 の 課 題 と な っ て お り 、 よ り 天 然 の 生 育 環 境 に 近 い 地 ま き 養 殖 の 技 術 開 発 が 必 要 と 考 え て い る 。 地 ま き 養 殖 に つ い て は 以 前 実 施 し た 経 緯 が あ る が 、 成 功 に は 至 ら な か っ た 。 主 な 要 因 は ヒ ト デ に よ る 食 害 で あ る が 、 そ の 他 に 放 流 時 期 が 冬 季 で 水 温 が 低 か っ た こ と 、 放 流 サ イ ズ が 大 き か っ た こ と な ど も 考 え ら れ た た め 、 こ れ ら を 踏 ま え て 来 年 度 以 降 地 ま き 養 殖 試 験 を 実 施 す る 予 定 で あ る 。
図 - 1 佐 井 村 位 置 図
原 田
古 佐 井 ・ 大 佐 井
矢 越
磯 谷
長 後
福 浦
牛 滝
ウ ニ
1 7%
ヤ リ イ カ
1 2%
ヒ ラ メ
11% サ ケ
8% タ コ
7 % タ イ
7% マ グ ロ
5%
そ の 他 採 介 藻 14% そ の 他 魚 類
2 0%
平成 0
2 4 6 8 10 12 14 16 18
9 10 11 12 13 14 15 16 17 18
数
量
(
む
き
身
・
ト
ン
)
0 2 4 6 8 10 12
単
価
(
む
き
身
・
千
円
)
数 量 単 価
ウ ニ の 移 植 で 磯 焼 け 時 代 を 生 き 抜 く
− み ん な で 活 か す 未 利 用 資 源 −
佐 井 村 漁 業 協 同 組 合 佐 井 村 漁 業 研 究 会
福 田
ふくだ
弘 一
こ う い ち
1 . 地 域 の 概 要
本 州 最 北 端 、 マ サ カ リ 半 島 と も 呼 ば れ る 下 北 半 島 の 刃 の 部 分 に 当 た る 佐 井 村 は 、 海 岸 線 に 名 勝 「 仏 ヶ 浦 」 を は じ め と す る 景 勝 地 を 有 し 、 年 間 2 5 万 人 ほ ど の 観 光 客 が 訪 れ る 。 南 北 4 0 k m の 長 い 海 岸 線 に 沿 っ て 8 集 落 が 点 在 し て お り 、 平 成 1 9 年 1 0 月 時 点 で 2, 628 人 が 暮 ら し て い る 。 地 勢 は 、概 し て 峻 険 で 平 坦 地 が 少 な く 山 地 に 囲 ま れ 、 海 岸 線 か ら ま も な く 眼 前 に 深 い 津 軽 海 峡 の 海 が 広 が っ て い る 。 農 地 が 少 な い 本 村 で は 、 漁 業 者 が 第 1 次 産 業 人 口 の 大 部 分 を 占 め て い る 。
2 . 漁 業 の 概 要
佐 井 村 漁 協 は 2 6 5 名 の 組 合 員 か ら な り 、ウ ニ 、ヤ リ イ カ 、ヒ ラ メ 、サ ケ 等 の 様 々 な 魚 種 を 対 象 と し た 漁 業 が 営 ま れ て い る ( 図 - 2 )。
コ ン ブ 、 ウ ニ 等 磯 根 資 源 を 対 象 と し た 採 介 藻 漁 業 は 、 平 成 2 年 頃 に 拡 大 し た 「 磯 焼 け 」 に よ り 、 そ れ ま で 主 力 で あ っ た コ ン ブ の 水 揚 げ が 低 迷 し 、 水 揚 げ 金 額 が 以 前 の 約 半 分 の 2 億 円 と な っ て い る 。 こ の た め 近 年 の 総 水 揚 げ 金 額 は 低 下 の 一 途 を た ど り 、 平 成 元 年 前 後 に 1 0 億 円 以 上 あ っ た 水 揚 げ が 、 平 成 1 8 年 に は 6 億 円 に ま で 落 ち 込 ん だ 。
一 方 、 近 年 の 採 介 藻 漁 業 は ウ ニ の 水 揚 げ が 主 力 と な っ て い る ( 図 - 3 )。 こ こ 数 年 は 安 定 し て 高 い 水 揚 げ 量 を 保 っ て い る が 、 平 成 1 3 年 を 境 に 販 売 単 価 が 低 迷 し て お り 、 価 格 向 上 が 課 題 と な っ て い る 。
図 - 3 ウ ニ の 水 揚 げ 数 量 と 単 価 の 推 移 616
百 万 円