Tracy Fullerton "Game Design Workshop" 9 章 プレイテスト
・プレイテストは、ゲームをプレイしてフィードバックを集めるだけ、ではない。 プレイは、選択・求人・準備・コントロール・分析を含むプロセスの一部でしかない。
・プレイテストは、デザイナーとチームがゲームをプレイし、その機能について話し合う場ではない(それは内部デザインレビューだ)。
・プレイテストは、各要素の欠陥を厳密にテストすることではない(それは品質保証テストだ)。
・代表的なサンプルグループがゲームをプレイして議論し、この製品にいくら払うか尋ねられるのを、マーケティング担当がマジックミラーの後ろで 観察することでもない(それはフォーカスグループテストだ)。
・ユーザとゲームの遣り取りを、目の動き、ナビゲーションパターンなどを記録して体系的に分析することでもない(それはユーザビリティテストだ)。 プレイテストは、デザイナーがデザインプロセス全体を通じて行い、プレイヤーがゲームをどう体験するかについて洞察を得るためのものだ。 どのような形式であれ、プレイテストの最終目標は「ゲームの全体的な体験を改善するため、プレイヤーから有用なフィードバックを得ること」にあ る。(セッションの効率を良くするために、「エンドゲーム」「特殊な状況」「新機能」など焦点を絞ったテストを行うことも有用)
【プレイテストと反復デザイン】
プレイテスト・評価・改訂の継続的な反復プロセスにより、長い開発プロセスの中でゲームが道に迷うのを防ぐことができる。 ベータ版ができるまで待ってからテストを始めるのでは、ゲームに根本的な変更を行うにはおそすぎる。
【求人】 セルフプレイ
初期の段階では、自分で繰り返し試す。ともかくゲームを動かすこと。
知り合いによるプレイテスト
デザインチーム以外の知り合いでテストする。プロジェクトに新鮮な目が持ち込まれる。 目標は、デザイナーがあまり介入せずプレイできるバージョンを作ること。
知り合いは客観性に問題があるので、ゲームが成熟したら、幅広い批評を得るため、知り合いから離れよう。 知らない人々によるプレイテスト
知らない人々を見つけるには、コミュニティを利用する。高校・大学・スポーツクラブ etc からテスターを募集する。 大学寮、図書館、レクリエーションセンター等で求人しよう。
次に、応募者を選別して断るプロセスがある。
求めるのは自分の意見を十分明確に伝えることのできるテスターなので、電話でまともな会話ができない人は役に立たない。
「趣味は?」「公募に応じた理由は?」「このタイプのゲームをどれくらいの頻度で買うか?」などの質問は有用になる。 作っているタイプのゲームを遊ばないプレイヤーは、フィードバックの有用性が劣る。
理想的には、ターゲット層のプレイヤー(の中での幅広い人々)が望ましい。
(なお、商業ゲーム会社は一般に現金や無料ゲームをテスターに払うが、インディのゲームでは一般に支払いはない)
NDA を結んでもよいが、普通はテスターがデザイナーのアイデアを盗むようなことは無いので、そういうリスクはあまり気にしないように。 新鮮な情報を得られるよう、新しいテスターを募集し続ける必要があるが、最も意見が明確なテスターを何人か、
デザインの後のほうで呼び戻し、ゲームがどれだけ進歩したと感じられるか測定すると良い。
【セッション】
新鮮な観点を得る必要があるので、テスターに来てもらった際、デザイナーは自分のゲームについて「語らないように」。 説明無し、または最小限の説明でプレイさせ、観察すること。プレイヤーが犯す間違いを観察し、学ぶ。
可能なら、マジックミラーの背後や、ビデオで観察するとよい。
また、デザイナーは台本を用意し、自分の行動をその台本から逸脱しないようにする、という方法もある。 デザイナーはテスターのフィードバック(特に批判)に対し、防衛的・感情的にならないこと。
一度に複数のテスターが存在し、テスターを分離できない場合(分離させたほうがよい)、声の大きいテスターに皆が引きずられないよう、 冒頭の説明の際、テスターに別のテスターのフィードバックを批判させないなど、従ってほしいエチケットを伝える。
導入 2-3 分。
歓迎、自己紹介を短く。テストの簡単な説明と、これが改善にどう役立つかの説明。 プレイヤーのスキルのテストではなくゲームのテストである旨の説明。
録音・録画する場合は、他の誰にも見せないことを保証し、許可を得る。マジック・ミラーを使う場合、誰が見るか伝える。 ウォームアップディスカッション 5 分
「貴方がプレイするゲームをいくつか教えてください」「どこが最も好きですか」
「新しいゲームを遊んだり情報を得たりするのに行く場所はどこか・何故か」「購入した最新のゲームは?」 プレイセッション 15-20 分
プレイ中、声に出して(独り言を出して)考えるようテスターに依頼すること。
(全員が沈黙した時間、各参加者が一定のスペースを通過するのにどれくらいかかったかなど、定量的なデータを記録すると役に立つ)
(観察したい主な事項を予めメモに書き出しておき、プレイセッション中にメモを取るとよい)
ゲーム体験の議論 15-20 分
テスターと 1vs1 の議論を持つ。「全体としてゲームをどう思ったか」「プレイの仕方はすぐわかったか」「このゲームの目的は」
「未プレイの人にこのゲームをどう伝えるか」「始める前にあったら役立っていた情報はあるか」「気に食わなかった点は」
「分かりづらかった点は」
(定量的フィードバックを出すため、アンケートなどを実施してもよい)
最後に、感謝を伝える。ゲーム完成時に連絡できるよう、連絡先を保管すること。粗品があればここでプレゼントする。 プレイマトリクス
縦軸に「知的計算←→物理的器用さ」、横軸に「スキル←→偶然」の 2 軸を取り、自分のゲームをプロットしてもらうようテスターに頼み、以下の質問 を行う。「このゲームの結末は偶然とスキルのどちらで決まるか」「知的計算と物理的器用さのどちらで決まるか」「象限をどこかに動かしたいか」
【実践】
4 目並べ(重力のあるやつ:縦 6 横 7) 1.プロトタイプを作る
2.台本と質問を作る
3.テスター募集(「外に出て 2 人のプレイテスターを見つけて下さい」!) 4.プレイテスト
5.グリッドサイズを変える 6.勝利条件を変える
7.ターンの手順を変える(1 手番 2 アクションで、2 アクション目は置く列を変えること、など) 8.プレイヤーの数を変える
【コラム:なぜ私たちはゲームをプレイするか by Nicole Lazzaro】
人はゲームを「Hard Fun」「Easy Fun」「Serious Fun(目的を持ったプレイ)」「People Fun(ソーシャルな Fun)」の 4 スタイルで遊ぶ。Hard Fun に おいては、「フィエロ(逆境の克服)」の感情の喚起が重要。4 つの楽しさのタイプを全て提供し、感情をデザインすることが、ゲームにおいて重要に なる。