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(1)

ΔD x( )=D x( )−D

F u( )=−∞ ΔD x e( ) 2πiuxdx はじめに

 医用画像の粒状性は,コントラスト,鮮鋭度ととも に最も重要な基本特性の一つである.増感紙フィル ムシステムに代表されるアナログ系の粒状性は,ウィ ナースペクトル(Wiener spectrum:WS)による評価法 が確立されている1∼4).しかし,WSの測定にはマイク ロデンシトメータが必須であり,また 1 枚の試料

(フィルム)を精度よく測定するのに 1 時間以上を要 した.一方,CR(computed radiography)やX線 平 面検出器(flat panel detector:FPD)に代表されるディ ジタル系では,評価に不必要な画像処理の施され ていないraw data5)が診断装置から入手できれば,特 別な測定機器を必要とせず,粒状性の評価が可能で ある5∼8)

 アナログ系のWSに対応する用語として,ディジタ ル画像系ではディジタルWSと称される場合もある が,近年ではNPS(noise power spectrum)とされる場 合が多い.さらに,後述するようにノイズの変動成分 を単位面積当たりの入射X線量で正規化しているの で,これをNNPS(normalized NPS)8)と呼ぶ場合もあ るが,本稿ではNPSと称する.

 NPSを計算する手法として,仮想スリット法と二次 元フーリエ変換法がある.このうち,IEC(International Electrotechnical Commission)が定める規格5)では後者 を採用しているので,本稿では二次元フーリエ変換 法について解説する.また,同種の解説書も存在す るので,ここでは本学会画像分科会が開催する「DR セミナー」を受講される方が実際に実習していただく 手順に沿って説明する.

1.NPSの定義

 増感紙フィルムシステムのWSを測定する際,マイク ロデンシトメータで測定される濃度のプロファイルを D(x),その平均値をD,変動成分をΔD(x)とすると,

………(1) となる.WSは単位長当たりの濃度変動成分のパワー スペクトル密度関数と定義され,

………(2)

で示される3).ここで,

………(3)

x:距離 X :試料長

u:空間周波数 i :虚数単位( √−1 )

である.一方,ディジタル系ではアナログ系の濃度に 相当する変数として画素値が考えられる.しかし,装置 によっては10bitから14bitまで階調数が変化し,対数 変換して出力する装置やそのままリニアで出力する装 置もあり,そのため画素値による評価は有効ではな い.そこでディジタル系ではノイズ成分を露光量Eの

ゆらぎΔEで考える.さらに,実際の臨床画像では,

露光量が増減しても一定の画素値になるようゲイン 調整がなされる場合が多い.つまり露光量が増加す

るとΔEも大きくなるが,露光量の平均値Eに対する割

合が小さくなるため,結果的にノイズ特性が改善さ れる.このような影響を考慮して,露光量のゆらぎの 分布を露光量の平均値で正規化し,

………(4)

でディジタル系のノイズ量が定義される5, 7).した がって,ディジタル系のNPSは,

……(5) で示される.ここで,DFT2Dは二次元離散フーリエ変 換(discrete Fourier transform:DFT)を表し,

……(6) であり,Nx,Nyは 1 回の計算に用いる関心領域(ROI) のそれぞれx,y方向の画素数,Δx,Δyはそれぞれの

Noise Power Spectrum

香川大学医学部附属病院放射線部

朝原正喜

−ディジタルラジオグラフィの物理的画質評価法−

W u( ) X X F u 1 ( )

= lim→∞

2

ΔE x y E

E x y E E ( , ) ( , )

=

NPS u v x y

N N DFT

E x y

E E

E j k

N ,N x y

D s t

x y

Δ ( , )= lim Δ Δ 2 Δ ( , )



→∞

2

F u v DFT f x y

f x y i u x + v y

j k

D

s t

s t t

T

s S

j s k t

( ) ( )

( , ) exp ( ) , = 2

{

,

}

=

{

}

=

=

0 1 0 1

(2)

システム(以下,logシステム)と,FPDで採用されてい るように対数変換せずに出力するシステム(以下,リニ アシステム)がある.Fig. 1(a)に示すように,リニアシス テムにおける露光量Eと画素値PVの関係は一般式で,  ………(8) と示される.この式を微分し変形すると,

………(9)

となる.さらに,

………(10)

であるので,a ≅ 0 とみなせる場合は,

………(11)

となる.すなわち,リニアシステムの場合はaが 0 と みなされるとき露光量変換しなくても画素値のままで NPSが計算可能であることを示している.

 一方,logシステムの場合はFig. 1(b)に示すように,

………(12) となる.これを微分して,

………(13)

を得る.そこで,

………(14)

と表せるので(7)式は,

…………(15)

となる7).つまり,logシステムの場合も画素値のまま 計算し,結果を補正すればよいことが分かる.もちろ んこの場合も,(12)式で画素値を露光量に変換した 後,(7)式によりNPSを計算してもよい.

 ここで述べるNPSは,検出器によるサンプリング後 の特性を表し,MTFでいえばディジタルMTFに相当 する.したがって標本化定理を満足しないためエリ アシングの影響を受ける可能性がある.しかしなが ら,プレサンプルドMTFに相当するサンプリング前の NPSは測定不可能であること,また検出器の持つア ナログ成分のノイズは高周波域で低減し,さらにサン プリング前のNPSはアナログ成分のノイズ成分に検出 器のアパーチャのMTFの 2 乗を掛けたものと定義さ れるので,エリアシングの影響はさらに小さくなる. 以上のことからサンプリング前後のNPSは同等と扱わ れる場合が多く,IEC規格でもDQEを計算するのに本 章で説明したNPSを用いて算出している7)

2.高速フーリエ変換

  高 速フーリエ 変 換(fast Fourier transform:FFT) は,J. W. CooleyとJ. W. Tukeyによって1965年に開発 された計算法である9, 10).三角関数の周期性を利用し たアルゴリズムであり,計算速度が飛躍的に向上し たが使用には注意が必要である.

 まず,1 回の計算で扱うことのできるデータ数(以下, セグメント長)は256,512のように,2 のべき乗でなけ ればならない.このため実際の計算ではデータを切り 捨てたり,適当な値で補てんする必要がある.また, 一般にサブルーチンとして普及しているFFTプログラ ムや表計算ソフトのFFT関数は,汎用性を持たせるた めデータ間隔を“1”として計算している.したがっ て,ユーザがFFTの出力結果を実座標系に補正しな ければならない.

入出力特性曲線

PV=gE

dE dPV

= g

E PV

= gα

ΔE x y Δ E

PV x y PV ( , )= ( , )

PV=Glog10E

dPV G e dE

= (log )10 E

ΔE x y Δ

E G e PV x y

( )

(log ) ( ) , = 1 ,

10

NPS u v

G e

x y

M DFT PV x y

E E

j k

D

m s t

m M

Δ ( ) Δ Δ Δ

, = log1 2 ,

( )

=

{ ( ) }

2 10

2

2

256 256 1

(3)

 FFTの出力は実数成分と虚数成分それぞれの数列 として得られるが,それらの数値に対応する空間周 波数(単位はcycles/mm,以下c/mmと略す)は,セグ メント長の実座標系での長さの逆数を公差とし,初 項 0 の等差数列となる.具体例で示すと,データ間 隔が0.1mm,セグメント長が256のとき,セグメントの 実際の長さは25.6mmであるので,逆数の0.039c/mm が公差となり,空間周波数の数列は,

0.0,0.039,0.078,0.117,0.156,……,5.0(c/mm) と一意的に決まってしまい,任意の空間周波数のス ペクトルを得ることは不可能である.ここで,5.0c/mm はこのサンプルデータのナイキスト周波数である.  さらに,出力の空間周波数の並び方に二つのタイ プがある11).一般的なFFTの出力並びは,Fig. 2(a)に 示すように先頭が 0c/mmの直流成分から始まり,ナ イキスト周波数以降はナイキスト周波数を軸に折り返 したように周波数成分が逆順に並ぶ.マイクロソフト 社製表計算ソフトExcelのデータ分析ツールのフーリ エ解析がこれに相当する.一方,画像系で使用され

るFFTは,Fig. 2(b)に示すように空間周波数並びの前 後半が入れ替わった形で出力される場合が多い.画 像処理ソフトImageJ12)のFFT関数はこれに相当する.

3.試料作製 3-1 X線の線質

 一般的な撮影装置を用いてNPSを測定する際,試 料作成時のX線の線質は,IEC62220-1ではTable 1に 示す 4 種類が示され,もし 1 種類を選択するなら RQA5を採用するように推奨されている.指定厚のAl フィルタを付加し,半価層が表に示す値に最も近い 値を示すように管電圧で微調整する.この 4 種類の 線質における単位面積当たりの入射X線フォトン数も 同時に示されているので,後にDQEを計算する際に 都合が良い.しかし,胸部の臨床画像の評価を行う ような場合は,実際に使用する線質で測定を行うべ きである.

3-2 幾何学的配置

 一般的な撮影装置によるNPS用試料を作成すると Fig. 2 通常のFFT(a)と画像系のFFT(b)の出力並び

Approximate

RADIATION X-RAY TUBE HALF-VALUE ADDITIONAL QUALITY No. VOLTAGE LAYER(HVL) FILTERATION

kV mm Al mm Al

RQA3 50 4.0 10

RQA5 70 7.1 21

RQA7 90 9.1 30

RQA9 120 11.5 40

Table 1 一般撮影で推奨される線質(IEC62220-1)より

(4)

置している.

3-3 入射線量の測定

 NPSはX線量によって変化することから,NPS測定 時には同時にディテクタへの入射線量も測定する必 要がある.適切な線量計を使用し,線量計プローブ をX線装置ディテクタの検出面の位置に設置する.X 線装置のX線管とディテクタ部分が一体化している装 置で,ディテクタ検出面にプローブを設置できない場 合は,ディテクタ前方で測定を行い,距離逆二乗則 を利用してディテクタ検出面の線量を求める.測定は 5 回程度行い,平均を求める.同時に測定したモニタ 線量計の値も記録し,両者の関係から試料作成時の ディテクタ検出面への入射X線量を求める.

3-4 撮影装置の準備

 前もって線質の調整を行い,入射線量とモニタ線 量の関係を把握しておく.FPDの評価を行う場合は, 可能ならグリッド,保護カバーを取り外す.カバーを 取り外した場合は検出器を室温に馴染ませる.すべ ての準備が整ってからキャリブレーションを行う. CRの場合は,一連の測定に同一のイメージングプ レートを使用し,消去から撮影,読み取りの時間が一 定になるように注意する.

3-5 撮影

 X線照射は,X線の線質と幾何学的配置を一定に 保ったまま照射時間を変化させて行う.NPS計算には 入出力特性曲線の傾きが必要になる.したがって, 特性曲線作画のための試料とNPS計算用の試料を同 時に作成することになる.IEC規格では,その装置で 一般的に使用する標準的な線量と,その3.2倍,1/3.2 の少なくとも 3 種類の線量でNPSを測定するように求 めている.これらの三つの線量は,一般的な臨床写 真のgray scaleの中央領域,黒部分の領域,白部分の 領域にそれぞれ相当する線量として決められてい る.特性曲線については文献13)を参考にされたい.

 一連の照射は,中断することなく継続して行わなけ ればならない.中断すると,管電流,照射時間が変 動する可能性がある.しかし,直接変換型FPDを使 用する場合は,lagの影響を考慮しなければならない. lagとは,以前のX線照射によって発生したキャリアが アモルファスセレンの結晶構造に一時的にトラップさ れ遅れて放出されることにより,後のX線照射によっ て発生したキャリアに加算され信号が上昇する現象

をいう14, 15).lagの有無を確認するためには,一定間

隔,例えば30秒おきに繰り返し撮影を行う.lagの影 響が含まれるなら,信号が上昇し画素値が変化する.

4.NPS計算

4-1 画像の確認と取得

 撮影した画像は,モニタで確認し,濃度ムラや アーチファクトがないことを確認する.問題がなけれ ば,解析のために画像データを診断装置から取得す る.このとき,raw dataで取得することが望ましい が,それが困難な場合はraw dataになるべく近いデー タを取得するように心がける.IEC規格で定めるraw dataとは,検出器の出力データに対して,欠損または 不良画素の補てん,不均一補正,特定画素のオフ セット補正またはゲイン補正,そして幾何学的な歪み 補正以外の処理が施されていないデータをいう. Fig. 3 幾何学的配置

(5)

4-2 ROI設定

 スペクトルを計算するために,1 回の二次元FFTで 計算するデータ領域をここではROIと称する.IEC規 格 で は,160×160mmの 照 射 領 域 から中 央 部 の 約 125×125mmを測定領域として用いる.Fig. 4に示すよ うに,測定領域の左上端に256×256画素のROIを設定 し,この部分の計算を行う.続いて,ROIをx軸方向 に128移動し,ROIの半分が重複する状態で次の計算 を行う.このようにして測定領域の右端まで進むと, y軸方向に128移動した状態で,x軸方向に左端から右 端まで移動させる.画素ピッチが0.175mmのデータの 場合は,1 枚の試料から16個のROIを設定することが できる.このとき,測定領域内の画素数は約50万個 であり,後述するようにIEC規格では400万画素の データを要求しているので,8 枚の画像が必要とな る.3-2で紹介したように,測定領域を200×200mmに 広げれば 1 枚の試料から64個のROIを設定すること ができ,画素数は約130万個となるので試料枚数は 3 枚程度で収まることになる.

4-3 トレンド補正

 トレンドとは信号成分に入り込んだ非常にゆっくり した低周波成分のことである3, 4).ディジタル系で は,幾何学的条件によるX線の照射ムラや,CRの場 合はイメージングプレートの塗布ムラや読み取りム ラ,FPDの場合は不正な均一補正などが要因と成り 得る.試料にトレンドが含まれていると,NPSの低周 波成分が際立って高い値を示す.IEC規格ではトレンド を含むデータに対し二次元二次多項式による近似を行 うとあるが,詳細は示されていないのでここで詳述する.  目的の近似二次元二次多項式を,

…(16) とする.この方程式で示される曲面と実際の画像 データとが最も一致する,逆にいえば実際のデータと の差(これを残差という)が最小になるように方程式

(16)の係数a1∼a6を決定すればよい.そのためには連 立方程式,

…………(17) を解く16).ここで,Fx, yは画像データを表す.x,yは 各画素データの座標を表すが,トレンド補正の目的だ

けなら実 座標の値ではなく,0∼255の値を使 用す る.そのため(17)式左辺の 6×6 行列は定数となる. したがって,ROIデータから(17)式右辺を計算し,こ の連立方程式を解いてやれば(16)式の近似多項式を 求めることができる.連立方程式を解くコンピュータ アルゴリズムは数値計算の解説書を参考にしてほしい. ちなみに筆者はGaussJordan法を使用している.  DRセミナーでは,ROIの設定および二次元FFTを 実行するのにImageJを利用している.そのため,トレ ンド補正にはImageJのプラグインとして動作するソフ ト“Polynominal Fit”17)を使用している.

4-4 二次元NPSの計算

 以上のようにして補正されたROIデータを二次元 フーリエ変換する.二次元FFTは,一次元FFTをROI データに対してx軸方向,y軸方向に対してそれぞれ 処理を行うものであり,サブルーチンとして入手可能 である11).独自に計算プログラムを作成する場合は参 考にしてほしい.

 DRセミナーではImageJのFFT関数を利用している が,本稿執筆時のVersion 1.42ではデフォルトで目的 のスペクトルは出力されず,計算を実行する前に

“Options”で“Raw Power Spectrum”を出力するように 設定しておかなければならない.そして,画像として 出力される計算結果を,256×256の数値データとして Excelシートに取り込む.その後Excelの計算機能を利 用して,(7),(15)式に示すようにM個のROIの計算 結果を平均し,補正係数を掛けることで二次元NPS が計算できる.

Fig. 4 ROIの設定

F x y( , )=a1+a x2 +a y3 +a x4 +a xy+a y

2

5 6

2

MN N x M y N x xy M y N x N x xy N x x y xy M y xy M y x y xy M y N x N x x y N x x y x y

xy x y xy x y x y xy

∑ ∑ ∑ ∑∑ ∑

∑ ∑ ∑∑ ∑ ∑∑ ∑∑

∑ ∑∑ ∑ ∑∑ ∑∑ ∑

∑ ∑ ∑∑ ∑ ∑∑ ∑∑

∑ ∑∑ ∑∑ ∑∑ ∑∑

2 2

2 3 2 2

2 2 2 3

2 3 2 4 3 2 2

2 2 3 2 2 3

∑∑

∑ ∑∑ ∑ ∑∑ ∑∑ ∑

























=

M y2 xy2 M y3 x y2 2 xy3 M y4 ∑∑













∑ ∑ ∑ ∑∑ ∑

∑ ∑ ∑∑ ∑ ∑∑ ∑∑

∑ ∑∑ ∑ ∑∑ ∑∑ ∑

∑ ∑ ∑∑ ∑ ∑∑ ∑∑

∑ ∑∑ ∑∑ ∑∑ ∑∑ ∑∑∑

∑ ∑∑ ∑ ∑∑ ∑∑ ∑

























= a a a a a a

F xF yF x F xyF y F

x y x y x y x y x y x y 1

2 3 4 5 6

2

2 ,

, , , ,

∑∑ ,













(6)

4-5 一次元NPSと周波数ビン

 アナログ系で粒状性の指標とされてきたWSは,二 次元WSの原点を通る断面に相当する.ディジタル系 においても二次元NPSより,二次元NPSの特性を代表 する一次元NPSの方がその特性を把握しやすく,比 較するにも有用である.したがって,二次元NPSから 一次元のNPSを算出するが,ディジタル系では以下に 示す注意が必要である.ディジタル系の二次元NPS のu軸,v軸上のデータには特異的なスパイクノイズが 発生する可能性があることが知られている.Fig. 5に その一例を示す.このノイズの原因は,一般にディジ タル系では画像読み取りがx−y走査で行われるため, 走査に起因する微小なアーチファクトがスペクトルの

軸上に集中して現れるからとされている7).そのた め,IEC規格では一次元のNPSを求めるとき,軸上の データは計算に使用せず,軸を挟む 7 列,合計14列 のデータから目的の空間周波数のスペクトルを求めるよ うに定められている.以下にその計算法を説明する.  Fig. 6(a)は,4-4で 述 べ たFFTの 計 算 結 果 を 256×256の数値データとしてExcelシートに取り込んだ 状態を示している.シートの左上端のセルを第 1 行 第 1 列とすると,第257行がu軸に,第257列がv軸に 相当し,その交点が空間周波数軸の原点である.画 像系のFFTを使用しているので,0c/mmが中央に位置 している.Fig. 6(b)は原点付近の拡大図である.直 交するu軸v軸上のデータを除き,計算に使用する, Fig. 5 u軸上に特異データを含むスぺクトル

Fig. 6 スぺクトルデータを表示するExcelシート(a)と原点付近拡大図(b)

(7)

軸を跨ぐ前後14列のデータ領域を示している.ここ で,スペクトルデータを平均するための周波数軸上の 区間平均範囲である周波数ビンを設定する.そのた めにIEC規格では,周波数ビンの幅を決定する周波数 間隔fintを,

………(18)

と定義し,

………(19) で示される周波数域で区分に分割する.Fig. 7は,u軸 を挟む14列のスペクトルデータの空間周波数を示してい る.ここで,軸以外の位置にあるデータの周波数 fは,

………(20)

で求めている.この各周波数を(19)式の区分で分割 したものが周波数ビンで,Fig. 7に示すようにその境 界線は原点を中心とする同心円となる.また,(18)式 で周波数間隔を画素ピッチで規格化しているので, 画素ピッチの異なる装置のデータに対してもFig. 7の 周波数ビンの形状は不変である.

 Fig. 8に示すデータはスペクトルデータの一例であ る.このデータ群にFig. 7で決定した周波数ビンを適 用し,各ビンごとにスペクトルの平均値を求め対応す る周波数の代表値としている.同様の計算をv軸につ いても行い,その結果を示したものがFig. 9である. ここに示すNPSはCRシステムのもので,1 個のROIか ら計算したものである.主走査方向のナイキスト周波 数付近でアンチエリアシングフィルタの影響と考えら れるスペクトルの急峻な低下が認められる.

Fig. 7 空間周波数による周波数ビンの設定

Fig. 8 周波数ビンによるNPSの計算

fint= pixelpitch mm 0 01.

( )

2f nint ± fint(n=1, 2 3 ..., , )

f = u2+v2

(8)

5.測定精度とROI数

 IEC62220-1ではDQEの測定精度が,

………(21)  または,

………(22)

のいずれか大きい方を満足するように求めており,そ のためには本稿で述べた線量とNPSの測定に許され る誤差はそれぞれw5∼7%になる7).線量計の校正誤 差だけでも大きなウェイトを占めるので,線量計の周

Fig. 9 1 個のROIから求めたNPS

Δ DQE u DQE u

( ) ( ) .

( )

= ±0 10

Fig. 10 64個のROIから求めたNPS

到な管理と慎重な測定が要求される.

 Fig. 9に示したNPSは,1 個のROIからの結果を示 しており,主走査,副走査方向とも大きく変動してい るのが認められる.実際の測定では複数のROIのス ペクトルを平均する.3-2で紹介したように,撮影距 離を2.5mとし,測定する領域を約200×200mmに広げ れば,本稿でのサンプルデータでは 1 枚の試料から 64個のROIが設定可能となった.それらを平均して求 めたNPSをFig. 10に示すが,Fig. 9との差は歴然であ る.このことが示すように,NEQ計算の精度を向上さ せるためにはROIの数を増やすことが最も効果的な手 段である.文献 7)によると64個のROI,約130万画素 Δ

(

DQE u( )

)

= ±0 06.

(9)

のデータから求めたNPSは,目的の精度をおよそ満足 できると報告している.ただし,IEC規格はより慎重 に400万画素を要求しており,この場合は複数の画像 が必要となる.

6.まとめ

 本稿ではディジタル画像のノイズ特性の指標であ るNPSの測定法について,IEC規格に準じて解説し た.誌面の関係で本稿では説明できなかったが, NPSの解析方法には別に仮想スリット法がある.これ はアナログ系のWS測定時に使用するマイクロデンシ トメータの開口スリットの理論を応用したものであ り,スリット高さ方向のスペクトルをぼかすことで, 二次元NPSの断面を直接測定する方法である.また, 乳房撮影システムのNPS評価については,IEC62220-2 で示されている.

 ディジタル画像では画像をモニタに表示し,解析

参考文献

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2) Doi K, Kodera Y, Loo LN, et al. MTF’s and Wiener spectra of radiographic screen-film systems, Volume II(including speeds of screens, films, and screen-film systems). HHS Publication FDA86-8257, 1986.

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状性の測定法(II).日放技学誌 1988;44(1):44-62. 5) IEC-62220-1. Medical electrical equipment–Characteristics

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−総論−.日放技学誌 2009;65(6):869-876.

ツールを用いてROIを設定し解析すれば,画素値の 標準偏差(RMS粒状度)を簡単に求めることが可能 で,ノイズ特性の評価の一助になるかもしれない.し かし,これらの画像データには既述のアンチエリアシ ングフィルタのような何らかの処理が施されている場 合が多く,RMS粒状度ではそれが評価不能である. 検出器を含むシステムのノイズ特性を正確に把握す るにはNPSは不可欠である.

謝 辞

 稿を終えるにあたり,今回の執筆の機会を与えて いただいた九州大学の杜下淳次先生,本稿の内容に とどまらず終始ご指導いただいている名古屋大学の 小寺吉衞先生,IEC規格に関する情報を提供いただ いたキヤノン株式会社の山﨑達也先生,本稿で使用 したサンプルおよび資料を提供いただいた名古屋市 立大学病院の國友博史先生に厚くお礼申し上げます.

9) 日野幹雄.スペクトル解析.東京:朝倉書店,1977. 10) 南 茂夫 編.科学計測のための波形データ処理.東京:

CQ出版株式会社,1986.

11) 井上誠喜,八木伸行,林 正樹,他.C言語で学ぶ実践 画像処理.東京:オーム社,1999.

12) ImageJはその思想的祖先であるNIHimageと同様にアメリ カ国立衛生研究所(NIH)で開発されたオープンソースのパ ブリックドメインの画像処理ソフトウェア.原稿執筆時に はhttp://rsb.info.nih.gov/ij/からダウンロード可能. 13) 岸本健治.ディジタルラジオグラフィの物理的画質評価法

−入出力特性−.日放技学誌 2009;65(7):985-991. 14) Bloomquist AK, Yaffe MJ, Mawdsley GE, et al. Lag and ghosting

in a clinical flat-panel selenium digital mammography system. Med Phys 2006; 33(8): 2998-3005.

15) 西嶋康二郎,上田克彦,久冨庄平,他.アモルファスセレン を用いた直接変換型FPD装置における残像現象の測定. 日放技学誌 2009;65(6):782-787.

16) 内田 勝 監.ディジタル放射線画像.東京:オーム社,1998. 17) ImageJのプラグインとして無償で配布されているプログラ ム.本稿執筆時にはhttp://www.optinav.com/imagej.html からダウンロード可能.

Fig. 6  スぺクトルデータを表示するExcelシート (a)と原点付近拡大図(b)

参照

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