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unit 15マンデル=フレミング・モデル
マンデル=フレミング・モデルにおける仮定
マンデル=フレミング・モデルとはIS-LM分析を開放経済に 拡張したモデルである。
実物部門と金融部門の相互作用を考慮するため、財政政策、 金融政策の効果の分析に適したモデルである。
以下では次の仮定が満たされる経済を想定する。
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.1. 小国開放経済を想定する。.
.2. 物価水準は一定である。.
.3.. 完全資本移動。.
.4. 内外債権完全代替.
.5 マーシャル=ラーナー条件。.
.6. 静学的期待による為替レートの予想。マンデル=フレミング・モデルにおける仮定
(仮定1)は、分析する国は十分小さな国であるため、この国 における資金需要・供給の変化が、世界市場で決定される世 界金利に影響を与えることはないことを意味する。
(仮定2)は、労働市場において不完全雇用が発生しているた め、企業は現行賃金を上昇させることなく雇用を拡大し、生 産量を増加できること、すなわち、企業は財の価格を上昇さ せることなく供給量を増加できることを意味する。
(仮定3)は、資本規制や為替管理が存在せず、国家間を自由 に資金が移動することを意味する。
(仮定4)は、経済主体はリスク中立的であり、自国と外国の 債券の期待収益率が等しいならば、どちらの債券を保有して も無差別であることを意味する。
(仮定3)と(仮定4)が成立するならば、カバーなし金利平価 式が成立する。
マンデル=フレミング・モデルにおける仮定
(仮定5)は、為替レートが円安(円高)になったとき、日本 の貿易収支が改善(悪化)するための条件であり、貿易収支 が為替レートの増加関数であることを意味する。
(仮定6)は、経済主体は1年後の為替レートの予想値e
e t+1を
今年の為替レートの実現地に等しいと予想すること、すな わち
eet+1= et
を意味する。
IS曲線とは、財市場を均衡させる国民所得(Y )と金利(i)の 組み合わせである。
財市場の均衡式は、
S(Y ) = I(i) + G + N X(Y, e)
と表せる。
Sは貯蓄であり、Y の増加関数 Iは投資であり、iの減少関数
Gは政府支出(財政支出)で外生変数
N X は輸出から輸入を差し引いて得られる純輸出であり、Y の減少関数、eの増加関数
IS 曲線
次に(2)式をY − i平面にプロットしたIS曲線を導出する。 以下では、為替レートe は外生変数であると想定する。 これを図示したものが、図5-5である。
IS 曲線
まず、初期時点において点A (YA, iA)で財市場が均衡してい たと想定する。
ここで、金利をi = iAの水準で一定したもとで所得がYAか らYBへ増加し、点Aから点A′へ移動したとする。
このとき、貯蓄が増加し純輸出が減少するため、点A′では、 (2)式の左辺が右辺を上回り、財市場においては超過供給
(貯蓄超過)が生じる。
このとき、財市場を再び均衡させるためには、金利が減少 し、投資を増加させる必要がある。
ここで、金利がiAからiBまで低下したとき、点B (YB, iB) において再び財市場が均衡したと想定する。
最後に財市場が均衡する点A、Bを結べば、Y − i平面上で 右下がりとなるIS曲線を得る。
IS 曲線のシフト
IS曲線を導出する際には、外生変数である政府支出G、為替 レートeを一定と想定した。
ここでこれらの外生変数が変化した場合、IS曲線がどのよう にシフトするかを分析する。
IS 曲線のシフト
まず、拡張的財政政策による政府支出の増大を分析する。 これを図示したものが、図5-6である。
図5-6の破線は初期時点におけるIS曲線である。 ここで、i = iAの水準に固定した点Aに着目する。
政府支出が増大すると、(2)式において、右辺が左辺を上回 り、財市場において超過需要が発生する。
増大した政府支出のもとで財市場が均衡するためには、たと えば、点A′で表されるより高井水準の貯蓄水準、より低い 純輸出をもたらすような、より高い所得水準が必要である。 したがって、政府支出が増大するとIS曲線は右方にシフトす
同様に、為替レートの減価の効果を分析できる。 図5-6の点Aに着目する。
為替レートが減価すると、輸出が増大するため、純輸出が増 大し、(2)式において、右辺が左辺を上回り財市場において、 超過需要が発生する。
先と同様、財市場が均衡するためには、たとえば、点Aで表 されるような、より高い貯蓄水準、より低い純輸出をもたら すような、より高い所得水準が必要となる。
したがって、為替レートが減価するとIS曲線は右方にするこ とがわかる。
一方、為替レートが増加した場合は、IS曲線は左方にシフト する。
LM 曲線
LM曲線とは、貨幣市場を均衡させる国民所得Y と名目利子 率(金利)iの組み合わせである。
貨幣市場の均衡条件は次の式で表される。 M
P = L(Y, i)
Mは名目マネーサプライ P は物価水準
Lは実質貨幣需要で、国民所得Y の増加関数、名目利子率i の減少関数である。
次に(3)式をY − i平面上にプロットしたLM曲線を導出 する。
これを図示したものが図5-7である。
LM 曲線
まず、初期時点において点A (YA, iA)で貨幣市場が均衡して いたと想定する。
ここで、金利をi = iAの水準で一定としたもとで所得がYA からYBへ増加し、点Aから点A′に移動したとする。 点A′では、(3)式の右辺が左辺を上回り、貨幣市場において は超過需要が生じる。
このとき貨幣市場を再び均衡させるためには、金利が上昇 し、投機的動機に基づいた貨幣需要が減少することが必要で ある。
LM 曲線
ここで、金利がiAからiBまで上昇したとき、点B (YB, iB) において再び貨幣市場が均衡したと想定する。
貨幣市場が均衡する点A、Bを結べば、Y − i平面上で、右 上がりとなるLM曲線を得る。
LM曲線を導出する際には、外生変数である名目マネーサプ ライM を一定と想定したが、名目マネーサプライが変化し た場合、LM曲線がどのようにシフトするかを分析する。 拡張的金融政策によるマネーサプライの増大の効果は、図 5-8のように図示される。
LM 曲線のシフト
図5-8の破線は初期時点におけるLM曲線である。 ここで、i = iAの水準に固定した点Aに着目する。
名目マネーサプライが増大すると、(3)志木において、左辺 が右辺を上回り貨幣市場において超過供給が発生する。 増大した名目マネーサプライのもとで、貨幣市場が均衡する ためには、たとえば点A′のように、より高い取引動機に基づ いた貨幣需要をもたらす、より高い所得水準が必要となる。 したがって、名目マネーサプライが増大すると、LM曲線は 右方にシフトする。
BP 曲線
BP曲線とは、国際収支を均衡させる国民所得Y と金利iの 組み合わせである。
国際収支表より、国際収支の均衡式は次のよう表される。
N X(Y, e) + K (
i − (
i∗+e
e t+1− et
et
))
= ∆R
ただし、ここでは経常収支が純輸出N Xで近似できること を想定している。
また、Kは資本収支を表し、カバーなし金利平価式に基づい た自国債券の超過収益率i − (i∗+ (e
e
t+1− et)/et) の増加関数 として定式化される。
∆Rは通貨当局による公的介入による外貨準備Rの増減を 表す。
変動相場制度のもとでは、通貨当局による介入が行われない ので、∆R = 0となる。
BP 曲線
次に(4)式からY − i平面上に描かれたBP曲線を導出する。 以下では、変動相場制度の場合について解説するが、固定相 場制度の場合も同様に導出される。
BP 曲線
(仮定6)よりeet+1= etとなり、資本収支は内外金利格差 i = i∗の増加関数となる。
また、資本移動が完全であるため、自国の金利が外国の金利 が上回れば自国への資本流入は無限大となり、一方で、自国 の金利が外国の金利を下回れば自国からの資本流出が無限大 となるため、(4)式においてこれを満たすY は存在しない。 一方、i = i∗のときKは不定で全ての値をとるため、所得Y もN Xもすべての値をとる。
したがって、BP曲線は、Y − i平面上のi = i∗の水準で水平 になる。
このBP曲線を図示したものが、図5-9である。