■ 解法の基本
[ ポイント1 ] 問題解答は条件の言い換えと同じ.
解答とは
• 与えられた条件を言い換える.
• 条件を式で表す.
• 式を書き換え,整理,まとめる.
[ 解答の流れ ] 問題の条件 → (言い換え) → · · · → 式
[ ポイント2 ] すべては「おく」「たてる」「とく」の三段階で解決できる.
解法の必勝法は
• 未知の量を x などの文字でおく.
• 条件を表す式をたてる.
• 式を整理して,x についてとく.
[ 必勝法 ] おいて → たてて → とく
■ 学習の基本
[ ポイント1 ] 例題の解答例をよく読む.
基本を理解するために
(1) 解答例の一文一文をよく読んで,意味を考える.
(2) 解答例を見ないで例題を解いてみる.
(3) 解答例が再現できているかを確認.
(4) 抜けている所 → その文が必要な理由を考える.
[ ポイント2 ] 演習は例題を真似して解く.
理解を定着させるために
(1) 何も見ないで問題を解く.
(2) 答えや解答例を見ながら確認.
(3) 不十分なところは例題を振り返る.
■ 関数の意味( y = 3x + 2 を例として)
• これは,入力 x と出力 y の関係を表す式である.
• 例えば,入力 x = 1 に対して,出力 y = 5 が得られる.
• x と y の関係を表す 3x + 2 に f という名前をつけることを f(x) = 3x + 2 とかく.
• f(x) の 「(x)」 は,「入力は x」を表している.f × x の意味ではないので注意.
• f(x) 以外にも g(x) や h(x),F (x) なども使われる.(基本的には何でも OK)
■ 関数の値(入力の方法)
f (x) = 3x + 2 のとき,
f(1) = 3 · 1 + 2 = 5 ← x に 1 を代入 f(2) = 3 · 2 + 2 = 8 ← x に 2 を代入
f(−1) = 3 · (−1) + 2 = −3 + 2 = −1 ← マイナスを代入するときは括弧をつける. f(a) = 3 · a + 2 = 3a + 2 ← 代入する値が文字でも同じ.
f(a + 1) = 3 · (a + 1) + 2 = (3a + 3) + 2 = 3a + 5 ← 多項式 a + 1 を代入.括弧を 忘れると大変なことに……
g (x) = x
2+ 1 のとき,
g(3) = 32+ 1 = 10 ← x を 3 で置き換えるので 3 は 2 乗される. g(−1) = (−1)2+ 1 = 2 ← マイナスを代入するときは括弧をつける. g(a + 1) = (a + 1)2+ 1 ← x を a + 1 の塊で置き換える.括弧を忘れずに.
= (a2+ 2a + 1) + 1
= a2+ 2a + 2
h (x) = x
2+ x のとき,
h(3) = 32+ 3 = 12 ← すべての x を 3 で置き換える.
h(−1) = (−1)2+ (−1) = 0 ← マイナスを代入するときは括弧をつける. h(a + 1) = (a + 1)2+ (a + 1) ← すべての x を a + 1 の塊で置き換える.
= (a2+ 2a + 1) + (a + 1)
= a2+ 3a + 2
■ 2 次関数を標準形に直す手順( y = 3x
2+ 12x + 5 を例として)
y= 3x2+ 12x + 5 ← x2 の係数(3)に注目する
= 3(x2+ 4x) + 5 ← x の付いている項(前 2 項)だけくくり,x の係数(4)に注目する.
= 3[(x + □)2 − □2] + 5 ← 括弧の中を (x + □)2− □2 の形にしたい.
= 3[(x + 2)2− 22] + 5 ← □ に入るのは,x の係数の半分(今の場合は 4 の半分で 2).
= 3(x + 2)2− 3 · 4 + 5 ← 外側の括弧を外す.展開するときには忘れずに後ろの項にも係数をかける.
= 3(x + 2)2− 7
ここまで計算できたら,必ず検算をする.
y= 3(x + 2)2− 7 → 展開して元の式に戻れば正解.
= 3x2+ 12x + 5 ← この他にも,x = 0 など簡単な値を代入して確かめるのも良い.
■ 2 次関数の最大最小を求める手順
• 頂点の座標を求める.(そのためには標準形に変形.)
• 頂点が定義域内にあるかどうかを判定.
• 端の座標を求める.(定義域の端の x 座標を代入.)
• 大小を比べる.
■ −3x
2+ 4x + 5 > 0 を解く手順
3x2 − 4x − 5 < 0 ← x2 の係数がプラスになるように −1 をかける.
3x2 − 4x − 5 = 0 ← グラフを書くために,まず不等号を等号に置き換えた方程式を考える. x= 2 ±
√19
3 ← 解の公式を使って解き,この点を交点とするようなグラフをかく.
3x2 − 4x − 5 < 0 ← 元の不等式(x2 の係数が正のもの)に戻って,グラフとの対応を考える. 2 −√19
3 < x < 2 +
√19
3 ← 上式の不等号の向きから0より下となる x が求める解になる. ここまで計算できたら,必ず検算をする.
−3(0)2+ 4 · 0 + 5 > 0 ← 解の範囲に入っている x = 0(何でもよい)を代入してみる. 5 > 0 ← 確かに不等式が正しく成立しているので,OK.
■ 不等式のルール
両辺に同じものを足したり掛けたりして変形できる.負の数をかけるときだけ不等号の向きに 注意.
(1)両辺に足す.→ 不等号の向きはそのまま.(3 > 2 → 3 − 1 > 2 − 1)
(2)両辺にプラスかける.→ 不等号の向きはそのまま(3 > 2 → 3 × 2 > 2 × 2)
(3)両辺にマイナスかける.→ 不等号の向きが逆になる.(3 > 2 → 3 × (−1) < 2 × (−1))
■ グラフと式の対応.式 y = f (x) = 2x + 1 の変形.
目標:グラフ上の操作(移動や変形)と式の上での操作(変数の置き換え)の対応関係を覚え る.
(1-1) x 軸方向 t だけ平行移動 → x を x − t で置き換える.(代入:x → x − t) y= f (x − t) = 2(x − t) + 1
(1-2) y 軸方向 t だけ平行移動 → y を y − t で置き換える.(代入:y → y − t) y− t = f(x) = 2x + 1
y = 2x + 1 + t
(2-1) x 軸に関して対称移動 → 上下反転 → y を −y で置き換える.(代入:y → −y)
−y = f(x) = 2x + 1 y= −2x − 1
(2-2) y 軸に関して対称移動 → 左右反転 → x を −x で置き換える.(代入:x → −x) y = f (−x) = 2(−x) + 1
= −2x + 1
(2-3) 原点に関して対称移動 → x 軸対称移動+y 軸対称移動 → x を −x,y を −y で置き 換える.(代入:x → −x,y → −y)
−y = f(−x) = 2(−x) + 1 y = 2x − 1
(2-4) 直線 y = x に関して対称移動(=逆関数) → x 軸と y 軸入れ替え → x と y を入れ 替える.(代入:x → y,y → x)
x= f (y) = 2y + 1 y = x
2 − 1 2
(3-1) x 軸方向に C 倍 → x を x
C で置き換える.(代入:x →
x C)
y= f (x C) = 2
x
C + 1 = 2 x C + 1
(3-2) y 軸方向に C 倍 → y を y
C で置き換える.(代入:y →
y C)
y
C = f (x) = 2x + 1 y = 2Cx + C
■ y = 3x + 1
2x + 1 を変形する手順
y= 3x + 1
2x + 1 ← 分母に注目. y= ⃝(2x + 1) + □
2x + 1 ← 分子に分母と同じ形を作りたい.
=
3
2(2x + 1) + □
2x + 1 ← 分子を展開したときに x の係数が元の式と同じになるよ うに ⃝ を決める.
=
3
2(2x + 1) +
(−1
2
)
2x + 1 ← 分子を展開したときに定数 (
+3 2+ □
)
元の式と同じ (+1) になるよう □ を決定.
= 3 2+
−12
2x + 1 ← 2つに分けてかき,分母の x の係数に注目
= 3 2+
−12/2
(2x + 1) /2 ← 分母の x の係数で分母分子を割る.
= 3 2+
−14
x + 12 ← こうして分母の x の係数を1とする.
= −
1 4
x + 12
+3 2
ここまで計算できたら,検算をする.変形の前後の式に x の簡単な値を代入して確認(例え ば x = 0 を代入すると y = 1 になるか).
この形に変形したら漸近線が分かる.→ 分母に注目して x = −1
2.(分母 = 0 で y 軸に平行な 漸近線)
→ 第 2 項に注目して y = 3
2.(x 軸に平行な漸近線) 定義域は「分母 = 0 となる値を除く実数全体」である.(定義域:x ̸= −1
2)
■ 分数関数 y = r
x − p + q (r ̸= 0) のグラフのかき方
(1) 「漸近線(x = p, y = q)」と「あと 1 点」を求める.
(あと一点は,例えば x = p + 1 を代入してみると, (p + 1, q + r) と求まる.) (2) 求めた点から漸近線に近づくようにかく.
(3) もう一方は,点 (p, q) に関して対称となるようにかく.
定義域は「分母 = 0 となる値を除く実数全体」.(定義域:x ̸= q)
■ 無理関数 y = √ x − p + q のグラフのかき方
(1) 「頂点 (p, q)」と「あと 1 点」を求める.
(あと一点は,例えば x = p + 1 を代入してみると, (p + 1, q + 1) と求まる.) (2) 「頂点」からもう一点を通るように放物線の半分をかく.
定義域は「ルートの中がゼロ以上」.(定義域:x ≥ q)
■ 2 点 A(1, 2) , B(5, 8) の間の距離の求め方.
(1) 長めのルートを書く.中身は2つの和.
√ +
(2)中身は「x 座標同士の差をとって 2 乗 (1 −5)2」
+
「y 座標同士の差をとって 2 乗 (2 −8)2」. よって,√(1 − 5)
2+ (2 − 8)
2■ A(1, 2) , B(5, 8) に対して,線分 AB を 3 : 1 に分ける内分点 P
(P
x, P
y) の座標の求め方.
(1) Px は A, B の x 座標同士をミックスする.(Py は y 座標同士) (2) その比率は A が 1
3 + 1 B が 3
3 + 1.(A の方が P から遠いので,割合を少なく.)
■ A(1, 2) , B(5, 8) に対して,線分 AB を 3 : 1 に分ける外分点 P
(P
x, P
y) の座標の求め方.
「3 : 1 に外分」 → 「3 : −1 に内分」として計算する.(マイナスを小さい方に付けて内分の 式で計算.)