大気・海洋の数値シミュレーションの基礎
導入と用語の説明
大気海洋の数値シミュレーション
→連立偏微分方程式の初期値・境界値問題の数値解を求める
数値解
→離散化によって近似された連立偏微分方程式の近似解
数値解を求める意味
大気・海洋の現象を支配する連立偏微分方程式はごく簡単な場合しか, 解析解が求められない。
解析解
→初等関数・特殊関数の組み合わせで表現された解
初等関数
→三角関数・指数関数など(おおよそ高校までで学習したもの)
特殊関数
→初等関数以外で性質のよく分かっている関数
大気・海洋でよく使われるのは、球面調和関数、ベッセル関数、エルミート多項式。 球面調和関数→全球モデルで使われる
エルミート多項式→熱帯域の研究で使われる
主な注意事項(何に気をつけるべきか) 初期値・境界値は適切か
安定に計算できるか 物理的に意味のある解か
概要
それぞれの方程式の物理的意味 離散化の方法(差分近似) 数値解法
扱う方程式系
簡単な方程式から徐々に複雑なものを扱う。大気・海洋の現象の支配方程式は、下記の方程式の組み合わせと 考えられる(名称は便宜的なもので厳密ではない)。簡単な系での理解が複雑な系の理解に役立つ。
減衰方程式
dx
dt =− cx
振動方程式
m d
2x
dt
2=−kx
移流方程式
∂ U
∂ t + C
∂ U
∂ x =0
浅水方程式系
∂u
∂t =−g
∂ η
∂ x
(運動方程式),∂η
∂t =−H
∂ u
∂ x
(連続の式)拡散方程式