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A 中小企業の診断及び助言に関する実務の事例Ⅰ

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Academic year: 2018

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(1)

平成20年度 第

"

次試験問題

中小企業の診断及び助言に関する

実務の事例

10:00∼11:20

注 意 事 項

1.開始の合図があるまで、問題用紙・解答用紙に手を触れてはいけません。

2.開始の合図があったら、まず、解答用紙に、受験番号を記入すること。

受験番号の最初の#桁の数字(!&!)は、あらかじめ記入してあるので、$

桁めから記入すること。

受験番号以外の氏名や符号などは記入しないこと。

3.解答は、黒の鉛筆またはシャープペンシルで、問題ごとに指定された解答欄

にはっきりと記入すること。

4.解答用紙は、必ず提出すること。持ち帰ることはできません。

5.終了の合図と同時に筆記用具を置くこと。

6.試験開始後30分間及び試験終了前%分間は退室できません。

(2)

A社は、国際線で就航する航空会社の多くが旅客に提供している機内食(アント

レー)の製造販売を主な事業とする、資本金3,000万円の食品加工メーカーである。

現在、首都圏に$つの工場を所有し、正規・非正規社員あわせて約300名の従業員を

擁して、およそ18億円の売上げを上げている。

1970年代半ば、A社は、現社長の父と叔父によって航空会社の機内食用ミニカッ

プ入り食品を製造する食品加工メーカーとして設立された。会社設立と同時に、自宅

の一角の小さな工場で、創業者の親族と近隣の主婦らをパート従業員として採用し生

産を開始した。数年後、新しい国際空港が開港すると、唯一の取引先であった外国資

本の航空会社の日本国内乗り入れの便数も増え供給体制強化を迫られた。そこで、A

社は、新空港近郊に第"工場を建設して操業を開始した。第"工場も第!工場と同

様、工程のほとんどは手作業であったが、航空会社から、ミニカップ入り食品に加え

てカップ入りジュースも注文されるようになって取引額は大きく伸張した。

同じ頃、ホテルの宴会に食材を提供するケータリング会社からサラダ用カット野菜

の注文を受けたことで、事業基盤は固まってきた。もっとも、その後10年余りのA

社の成長は、航空会社とケータリング会社の事業拡大によってもたらされたもので、

必ずしも自社の営業努力によるものとはいえない。

A社が次なる事業拡大に向けて一歩踏み出したのは、創業後15年を経た頃からで

ある。A社の主力工場となった第"工場に隣接する土地に大型冷蔵室を備えた工場を

増築すると、新たに"社の外国航空会社との取引も開始するようになった。当時の主

力製品は、カップ入りジュース、サラダ用カット野菜とカットフルーツであった。か

つて主力であったミニカップ入り食品の売上げは創業以来ほぼ横ばいで推移し、全社

の売上げに占める割合は次第に縮小してきた。自宅併設のミニカップ入り食品製造の

工場の規模や体制は、現在に至っても創業時とほとんど変わっていない。

1990年代半ばになって、A社は、創業以来の取引先である航空会社からアント

レーの供給を打診されて社内で検討を加えた結果、アントレー製造をスタートさせる

べく第#工場の建設を決定し、翌年から本格的供給を開始した。コールド・キッチン

と呼ばれるジュースやサラダなどの食材加工に比べて、本格的な調理(ホット・キッ

チン)を必要とするアントレーを供給するためには、グリルや釜などの設備はもとよ

り、提供する食材のメニューや味、盛りつけ、異物混入対策などの面での品質の高さ

(3)

が求められるようになったことはいうまでもない。また、急速冷凍した食品やチルド

(冷蔵)加工した食品の保管・輸送などの温度帯管理に加えて、早朝・深夜にかかわら

ず航空機の発着時間に合わせてアントレーを確実に配送する体制を確保することも不

可欠な条件であった。第"工場は、第!工場と比較にならないほど大規模になり、食

品加工、輸送、管理スタッフなどを含めて従業員数(非正規社員を含む)も250名まで

になった。

さらに、客の嗜好や季節に合わせて、メニューの改訂を定期的に行うことも求めら

れるようになった。航空会社のニーズを充足するためには有能な料理長の存在が不可

欠であり、A社でも有名レストランのシェフを長年経験し、料理界でその名をよく知

られている人材を料理長として迎えた。

関西地区に新しく国際空港が開港し日本国内に乗り入れる便数がますます増加する

ようになると、ジュースやサラダだけを供給してきた航空会社からもアントレーの供

給を依頼され、A社の生産量は大きく伸張した。その結果、$∼%年ほど前から第"

工場も手狭になり始めた。そこで、A社は、規模や設備の面で第"工場を上回る近代

的な第#工場を建設し、第"工場から生産の全量移管を行った。現在、第"工場は稼

働しておらず休眠状態である。こうして2007年に最新の製造設備を備えて、"交代

24時間稼働体制で操業を開始した第#工場は、食品の安全性を確保するために、食

品に係る危害を確認しそれらを防除する管理手法であるハサップ(HACCP)を導入

し、その認定工場となっている。

同年、!代目社長の叔父の後を受けて、40歳台前半の、創業者の長男で専務取締

役であった現社長が事業を引き継ぎ、「安心して召し上がっていただける商品をリー

ズナブルな価格で」という創業以来のモットーを継承しながら、新しい体制をスター

トさせた。

創業以来、比較的順調に事業拡大を実現し業績を伸張させてきたA社であるが、

一方で、厳しい国際的価格競争の中で生き残りをかけた事業展開を余儀なくされてき

た航空会社との取引では、いっそう厳しい条件を求められているのも事実である。こ

こ数年のA社の業績をみると、供給量の増大に合わせて売上高こそ伸張ないしは横

ばいであるものの(2006年度前年度対比7.9% 増、2007年度前年度対比0.9% 減)、

営業利益は大幅に減少している(営業利益率:2005年度8.0%、2006年度3.7%、

(4)

2007年度0.9%)。第#工場に投資した資金の返済開始を2009年度に控えて、この

ことは大きな経営課題となってきた。

新社長に就任した現社長は、二人の創業者とも相談し、すぐに経営の革新に着手し

た。その一つは、組織体制の変更である。アントレー事業スタートの時から手腕を振

るってきた料理長を第一線から相談役に勇退させ、若いシェフを料理長として採用し

た。また、工場長を取締役に抜擢して、それまで料理長が掌握していた人事権、購買

権などの権限を移管した。

併せて、それまで流れ作業で行っていたアントレー生産の最終段階の盛りつけプロ

セスにも手をつけている。「シングル・ワークステーション(SWS)」と呼ばれるA

が採用したやり方は、担当者が一人で一つのアントレーの盛りつけを行うもので生産

性の向上を図ることを目的としている。

こうしたコスト削減と生産性向上の施策を講じるとともに、現社長は、将来に向け

て新しい事業の柱を構築することを目的にして、新規事業として一般消費者向けの

パック食品の製造販売にも乗り出した。自社ブランド製品を立ち上げ、空港近隣や食

材供給先のホテル、近隣スーパーへの納品や百貨店の食品フェアへの参加、インター

ネットを利用した頒布会によって一般消費市場での事業展開をスタートさせた。この

ビジネスが本格化し、市場規模が大きくなれば、現在休眠中の第"工場を再稼働させ

ることも念頭に置いている。

第!問(配点20点)

A社の事業の歴史的展開を踏まえた上で、現在のA社の強みは、どのような点に

あると考えられるか。A社の強みとそれを形成してきた要因について、100字以内で

述べよ。

(5)

第!問(配点20点)

A社の取引の80% 以上を占めている航空業界の近年の厳しい状況が、A社に対し

ても強くコスト削減を求めることになっている。その背景を、A社が取り扱っている

商品特性の視点から、100字以内で述べよ。

第"問(配点20点)

収益改善に取り組む現社長は、工場長を取締役に昇進させて権限強化を図った。そ

れまで料理長が掌握していた権限を工場長に移管したことが、コスト削減にどのよう

な効果を及ぼしたと考えられるか。それが及ぼす効果について、150字以内で述べ

よ。

第#問(配点20点)

現社長が導入した「シングル・ワークステーション(SWS)」が、生産性向上に効果

を生み出す可能性と、それを効果的に機能させる上で必要な点について、150字以内

で述べよ。

第$問(配点20点)

一般消費市場への展開というA社の新規事業開拓の成否について、中小企業診断

士として意見を求められた。この新規事業が「成功すると思う」か「失敗すると思う」か

を明確にして、その立場から、理由を100字以内で述べよ。

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