E in Me06 ans 最近の更新履歴 物理学ノート E in Me06 ans

全文

(1)

5 空気抵抗を伴う落下運動

5.1

速度に比例する空気抵抗

y

v

0

v

y

t=0

v

y

ã¸’† ‰º~’†

mg mg

-kv

y

-kv

y

22 問題23.速度に比例する空気抵抗f = −kmvが働く場合(k ≥ 0)*17y= 0

から初速度v0で質点を投げ上げる運動を考える。

23-1.鉛直上方をy軸に選び,運動の概略図を描け。

【解答】図22の通り。

23-2. kの次元がT1(SI単位系ではs1)であることを確認せよ。

【解答】与えられている空気抵抗力よりkの次元を計算すると [k] = [f ]

[mv] =

M LT2 M LT1 = T

1

. (5.1)

23-3.運動方程式を書け。

【解答】質点に働く力は重力と空気抵抗なので速度vyを使って書けば mdvy

dt = −mg − kmvy. (5.2)

23-4.運動方程式を積分してvy(t)を求めよ。

【解答】(5.2)を変形して

dvy

dt = −g − kvy= −k(vy+ g k) dvy

vy+gk = −kdt. 初期条件を考慮して定積分して

vy(t) v0

dvy vy+gk = −

t 0

kdt [log(vy+g

k) ]vy(t)

v0

= −[kt]t0

logvy(t) +

g k

v0+gk = −kt vy(t) = −g

k+ (v0+ g k)e

kt

(5.3)

と求まる。ktは無次元量なので,指数関数の引数は きちんと無次元量になっている。また

g

k は速度の次

元を持つ。

23-5.速度vy(t)を積分して高さy(t)を求めよ。

【解答】dy

dt = vy(t)より

dy= vy(t)dt ⇒

y(t) 0

dy=

t 0

vy(t)dt (5.4)

なので,vy(t)(5.3)を代入して定積分する

y(t) =

t 0

(

g

k+ (v0+ g k)e

kt)

dt

= [

g kt −

1 k(v0+

g k)e

kt

]t 0

= −g kt −

1 k(v0+

g k)(e

kt

− 1)

= −g kt+

1 k(v0+

g k)(1 − e

kt

). (5.5)

最後の変形は必ずしも必要ないが,e

kt

≤ 1なので 行った。

23-6. 十分時間が経った後(t ≫ k1)での速度す なわち終端速度vと,y(t)を求めよ。

*17このような空気抵抗をStokesの粘性抵抗力という。速さv= |v|が比較的小さい時,あるいは物体の大きさが比較的小さい時に 実現する。実例は,雲や霧雨の水滴,煙突からの煙,花粉の空中飛行,プランクトン・バクテリアの水中の泳ぎなど。

*18 ミリカンの油滴の実験の場合,k∼ 4 × 105s−1となりt≫ 10−5sではv∼ 2 × 10

−5 m/sの等速運動と考えてよい。また 同様に,半径0.1mmの水滴(霧雨)の場合,k∼ 10 s

−1

なりt≫ 0.1sではv∼ 1m/sの等速運動と考えてよい。

(2)

【解答】kt ≫ 1なのでe

kt

≃ 0なので(5.3)より

v≃ −

g

k. (5.6)

よって初速度と無関係の等速落下になる*18。これを 運動方程式(5.2)へ代入すると両辺とも0になり整 合する。逆に積分をしなくても,等速運動つまり加

速度が0であることおよび運動方程式から 0 = −g − kv ⇒ v= −g

k (5.7)

の様に終端速度は直ちに計算できる。 同様に高さy

y(t) ≃ −

g kt+

1 k(v0+

g

k) (5.8) と変化する*19

23-7. vy(t)y(t)tの関数としてグラフで表せ。

【解答】図23の通り。

0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7t@sD

-4 -2 2 4 v@msD

(a)上向きの速度v(t)。各線の初速度は,m/sを単位として 上からそれぞれ5.0, 2.5, 0, -2.5, -5.0である。赤い破線は終 端速度

g

kを表す。どんな初速度であれ何れ

g

kに漸近する。

青い破線は空気抵抗がない場合。速度が0になる瞬間の加速 度すなわちグラフの傾きは,自由落下と等しく−gである。こ れは初速度に依らない。ただしv0≤ 0の条件が要る。

0.2 0.4 0.6 0.8 1 t@sD 0.2

0.4 0.6 0.8 1 1.2

y@mD

(b) 高さy(t)。初速度5m/sの場 合。赤い破線は漸近線であ る。青い破線は空気抵抗がない場合。最高点の高さは,空気抵 抗有りで0.32m,無しなら1.3m。約4倍違う。

23 速度に比例する空気抵抗があるときの垂直投げ上げ運動の上向き速度および高さ。空気抵抗の係数 k= 10 s−1の場合。

23-8. kt ≪ 1の場合,vy(t)y(t)k1次まで展開せよ。

【解答】問題文のkt ≪ 1は,空気抵抗の影響が小さい状況を意味する。(5.3)で指数関数をテイラー展開 して

vy(t) = −g

k+ (v0+ g k)

[

1 − kt + 1 2(kt)

2+ O(k3)]

= −g k+

g

k + v0− gt − kv0t+ 1 2kgt

2+ O(k2)

= (v0− gt) − k(v0t −

g 2t

2) + O(k2). (5.9)

*19 十分時間が経っためt= ∞であり,(5.8)の第1項だけでy= −∞とするのは少し乱暴である。この系で十分時間が経った とは,t≫ k−1でありgkt= ∞ではない。ミリカンの油滴実験では,t= 100 ≫ 10−5s後でもgkt∼ 2.5mm程度。これは油滴 のスケールと比べれば非常に大きいが無限大というわけではない。

(3)

ここで指数関数をk2次まで展開したのは,係数の

g

k によって次数が1下がるためである。k= 0のとき,

空気抵抗のない垂直投げ上げ運動の速度(4.10)に一致する。 同様に(5.5)で指数関数をk3次までテイラー展開して

y(t) = −g kt+

1 k(v0+

g k)

[ 1 −

[

1 − kt +1 2(kt)

21 3!(kt)

3+ O(k4)

]]

= −g

kt+ (v0+ g k)

[

t − 12kt2+16k2t3+ O(k3) ]

= (v0t −

g 2t

2) − k(v20t2g6t3) + O(k2). (5.10)

これもk= 0のとき,空気抵抗のない垂直投げ上げ運動の高さ(4.12)に一致する。 23-9.最高点に達する時刻thと高さyhを求めよ。

【解答】最高点で速度は0になるので(5.3)より vy(th) = −g

k + (v0+ g k)e

ktt

= 0, (5.11)

th= 1 klog

(1 +kv0 g

). (5.12)

kv0

g ≪ 1としてこれをテイラー展開すると

th= 1 k

[ kv0

g + (kv0)2

2g2 + O(k

3)

]

= v0 g

[1 − kv0 2g + O(k

2)]. (5.13)

k= 0で空気抵抗がない場合の(4.13)に一致する。kv0は空気抵抗による加速度の最大値なので,kv

0

g ≪ 1

は,重力と比べて空気抵抗が小さいことを表す。その範囲内でkが大きくなれば上昇時間が短くなることがわ かる。

(5.5)(5.12)より最高点の高さは yh= y(th) = −g

kth+ 1 k(v0+

g k) −

1 k(v0+

g k)e

kth

= −g kth+

1 k(v0+

g k) −

g k2

=v0 k

g k2log

(1 + kv0 g

). (5.14)

1行目から2行目への変形で(5.11)を用いた。再度kvg0 ≪ 1としてこれをテイラー展開すると

yhv0 k

g k2

[ kv0

g (kv0)2

2g2 + (kv0)3

3g3 + O(k

4)

]

v

20

2g [

1 − 2kv3g0 + O(k2) ]

(5.15)

を得る。やはりk= 0で空気抵抗がない場合の(4.14) に一致する。またkv

0

g ≪ 1の範囲でkが大きくなると

最高点の高さは低くなる。

(4)

指数関数と対数関数のTaylor展開(Maclaurin展開) ex= 1

0!+ x 1!+

x2

2! + · · · + xn

n! + · · · =

n=0

xn

n!, (5.16)

log(1 + x) = x 1

x2 2 +

x3

3 + · · · + (−1)n−1x

n

n + · · · =

n=1

(−1)n−1x

n

n . (5.17)

問題24. 同じく,速度に比例する空気抵抗f = −kmvが働くとき,xy平面で仰角α方向に原点から初速度 V で質点を投げる。

24-1.運動方程式を書け。

【解答】ベクトルで書けば

mdv

dt = −mgey− kmv. (5.18)

成分に分けて書けば

mdvx

dt = −kmvx, (5.19)

mdvy

dt = −mg − kmvy. (5.20)

24-2. x成分について,速度vx(t)と位置x(t) 求めよ。

【解答】(5.19)より dvx

vx = −kdt

これを定積分して

vx

Vcos α

dvx

vx =

t 0 −kdt

log vx(t)

Vcos α = −kt

vx(t) = V cos α ekt. (5.21)

dx = vx(t)dt ⇒ 0x(t)dx =

t

0vx(t)dt な の で ,

vx(t)(5.21)を代入して定積分する

x(t) =

t 0

V cos α ektdt

= −V k cos α e

kt

t

0

=V

k cos α(1 − ekt). (5.22) 24-3. y成分について,速度vy(t)と位置y(t) 求めよ。

【解答】y成分については,問題23(5.3)(5.5)v0→ V sin αとすれば求まる:

vy(t) = −g

k+ (V sin α +g k)e

kt

(5.23) y(t) = −g

kt+ 1

k(V sin α + g k)(1 − e

kt

). (5.24)

24-4. 十分時間が経った後(t ≫ k1)の位置や速 度について考察せよ。

【解答】kt ≫ 1なのでe

kt

≃ 0となる。よって

vx(t) ≃ 0, (5.25)

x(t) ≃V

k cos α, (5.26)

vy(t) ≃ −

g

k, (5.27)

y(t) ≃ −

g kt+

1

k(V sin α + g

k). (5.28) t ≫ k1では,x= Vk cos αに沿ってほぼ垂直に落

下する。その速度は初速度と無関係にg

k である。

運動の様子をグラフで表すと図24の通りである。

(5)

0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6t@sD 1

2 3 4 5 v@msD

(a)水平方向の速度vx(t)。空気抵抗によって0に漸近する。 青い破線は空気抵抗がない場合。

0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6t@sD 0.1

0.2 0.3 0.4 0.5

x@mD

(b) 水 平 距 離x(t)。赤 い 破 線 は 漸 近 線 を 表 す 。実 例 で は ス プ レーで噴出された粒子の軌道である。

0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6t@sD -1

1 2 3 4 5 v@msD

(c)上向きの速度vx(t)。空気抵抗によってgk に漸近する。 青い破線は空気抵抗がない場合。

0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6t@sD

-0.2 -0.1 0.1 0.2 0.3

y@mD

(d) 高 さy(t)。赤 い 破 線 は 漸 近 線 を 表 す 。青 い 破 線 は 空 気 抵 抗がない場合。

0.1 0.2 0.3 0.4 x@mD

-0.2 -0.1 0.1 0.2

y@mD

(e)軌道の グ ラフy(x)。赤 い破 線は 漸 近線 を表 す。青 い 破線 は空気抵抗がない場合。

0.1 0.2 0.3 0.4 x@mD

-0.2 -0.1 0.1 0.2

y@mD

(f)軌 道 の グ ラ フy(x)。投 射 角 に よ る 変 化 。角 度 の 小 さ い 順 α= 15

, 20, 30, 40。水平到 達 距離 は,こ の 中で は 20の場合が最も大きい。

24 速 度 に 比 例 す る 空 気 抵 抗 が あ る と き の 斜 め 投 げ 上 げ の 速 度 お よ び 位 置 。初 速 度5m/s,投 射 角 α= 30,空気抵抗の係数k= 10 s−1の場合。

(6)

5.2

速度の

2

乗に比例する空気抵抗

y

v

0

v

t=0

v

ã¸’† ‰º~’†

mg mg

-κv

-κv

2 2

25 問題25.速度の2乗に比例する空気抵抗f = −κmv2が働く場合(κ ≥ 0*20

25-1.鉛直上方をy軸に選んで,運動の概略図を描け。

【解答】図25の通り。ここでvy軸正方向の速度である。水平方向へ運 動しないので添字は使用しない。

25-2. κの次元がL1(SI単位系ではm1)であることを確認せよ。

【解答】与えられている空気抵抗力よりκの次元を計算すると [κ] = [f ]

[mv2] =

M LT2 M L2T2 = L

1

. (5.29)

そのほか後で出てくる組み合わせの次元を確かめると以下の通りである。

[gκ] = T2 → [gκ] = T1, (5.30) [g

κ

]= L2T2[√ g κ ]

= LT1. (5.31)

25-3.運動方程式を書け。ついでに下降時の終端速度vを運動方程式だけから求めてみよう。

【解答】質点に働く力は重力と空気抵抗である。空気抵抗は、上昇中には下向き,下降中には上向きに働く。 よって

上昇中: m dv

dt = −mg − κmv2, (5.32)

下降中: m dv

dt = −mg + κmv2 (5.33)

となる。ちなみに等速落下運動となるときの速度v(5.33)より

0 = −mg + κmv2 v= −√ g

κ. (5.34)

根号を取るとき負号を付けたのは落下運動だから。これが速度の次元を持つことは(5.31)でわかる。

25-4.上昇中における運動方程式を積分し,速度v(t)を求めよ。

【解答】運動方程式(5.32)より dv

dt = −g (

1 +κ gv

2

) dv

1 + κgv2 = −gdt

v v0

dv 1 + κgv2 =

t 0

−gdt = −gt (5.35)

こ こ で v =

√ g

κtan θ に よ り 変 数 変 換 す れ ば ,

dv=√ g κ

cos2θ となり,積分区間は v v0 v

θ γ θ

θ = tan1(√κgv), γ := tan1(√κgv0

) >0で あ

*20この空気抵抗をNewtonの抵抗法則という。この法則が成り立つ条件など詳しいことは流体力学で学ぶ。

(7)

る。従って

(5.35)l.h.s.=

θ γ

1 1 + tan2θ

√ g κ

dθ cos2θ

=

θ γ

√ g κ

=√ g κ

[

tan1(√ κ gv

)

− γ ]

= − gt · · · (5.35)r.h.s. (5.36)

v(t)について解けば

v(t) =√ g

κtan(γ −

gκ t) (5.37)

を得る。これは正の値でかつtの減少関数となり上 昇中であることと整合する。

25-5.質点が最高点に到達する時刻thを求めよ。

【解答】最高点ではv(th) = 0で,それは(5.37)よりtanの位相が0になる瞬間なので th= γ

=

√1tan1 (√ κ

gv0 )

. (5.38)

上のthv0の増加関数である。すなわち初速度が大きいほど上昇時間が長くなる。κに対する変化を調べる ため

κ

gv0≪ 1としてテイラー展開すると th= 1

gκ [√ κ

gv0 1 3

(√ κ gv0

)3

+1 5

(√ κ gv0

)5

− · · · ]

= v0 g

[

1 − 13κv

02

g + O (κ2v4

0

g2 )]

. (5.39)

確かにκおよびgの減少関数である。すなわち空気抵抗および重力が大きいほど上昇時間は短い。ここで下 のテイラー展開を用いた。

tan1x= x −1 3x

3+1

5x

5+ · · · . (5.40)

このthを使って上昇中の速度(5.37)を書き換えると次式の通りである。 v(t) =√ g

κtan

(√gκ(th− t)). (5.41)

25-6.上昇中の高さy(t)および最高点の高さyhを求めよ。

【解答】(5.41)を積分する。 y(t) =

y 0

dy=

t 0

v(t)dt

=

t 0

√ g κtan

(

gκ(th− t))dt

=√ g κ

√1log cos(gκ(th− t))

t

0

=1 κlog cos

(√gκ(th− t))

1 κlog cos

(√gκ th). (5.42)

t= thで第1項は0なので第2項が最高点の高さで ある:

yh= −1 κlog cos

(√gκ th) ≥ 0. (5.43)

t = 0で き ち ん とy(0) = 0を 満 た す 。yhを 使 っ て

(5.42)を書き直すと y(t) = 1

κlog cos

(√gκ(th− t)) + yh (5.44)

ただし上昇中,すなわち時刻が(0 ≤ t ≤ th)の場合 に成り立つ。

(8)

(5.43) v0 を 用 い て 表 す 。三 角 関 数 の 公 式 cos θ = (1 + tan2θ)12 および(5.38)より

yh= −1 κlog cos

(√gκ th)

= −1

κlog(1 + tan

2(√ gκ th))

1

2

= 1log

( 1 +κ

gv

2 0

)

(5.45)

となる。

空気抵抗が重力よりも弱い,すなわち κv20

g ≪ 1

場合,(5.45)を κv20

g について展開すると

yh=1

[ κv02 g

κ2v40 2g2 +

κ3v06 3g3 + . . .

]

v

20

2g [

1 − κv

20

2g + κ2v04

3g2 + . . . ]

(5.46)

となる。これは,κ= 0で空気抵抗がない結果(4.14) に一致し,κが大きくなるほど低くなる。

25-7.下降中における運動方程式を積分し,速度v(t)を求めよ。

【解答】運動方程式(5.33)より

dv dt = −g

( 1 − κ

gv

2

) dv

1 − κgv2 = −gdt

v 0

dv 1 − κgv2 =

t th

−g dt = −g(t − th) (5.47)

t= thで最高点に到達し速度が0になるという境界 条件を用いた。積分区間の下限は,これを反映させ た。ここでv=

√ g

κtanh φにより変数変換すれば, dv=√ g

κ dφ

cosh2φとなり,積分区間は

v 0 v

φ 0 φ

φ= tanh1(√κgv)である。従って

(5.47)l.h.s.=

φ 0

1 1 − tanh2φ

√ g κ

dφ cosh2φ

=

φ 0

√ g κ

=√ g κ tanh

1(√ κ gv

)

= − g(t − th) · · · (5.47)r.h.s. (5.48) v(t)について解けば

v(t) =√ g

κtanh(−

√gκ(t − th))

= −√ g κtanh

(

(t − th)) (5.49)

を得る。これは負の値なので下降中であることと整 合する。またv(t)の絶対値はtと共に増加するが上 界が存在するので終端速度を持つ。

25-8.この質点が等速運動になる条件およびその終端速度vを求めよ。

【解答】双曲線関数の定義よりtanh x =

ex− ex ex+ ex が飽和 するのはx ≫ 1の場合 。よって(5.49)より

(t − th) ≫ 1すなわち

t − th=1 . (5.50)

空気抵抗係数κが大きくなるほど早く等速に達する。

その終端速度は

v= −

√ g

κ (5.51)

となり,κが大きいほど終端速度は小さい。当然,重 力加速度が大きいほど終端速度も大きい。運動方程 式だけから直接求めた(5.34)と一致している。

硬式野球のボールの場合,κ ≃ 8.7×10

3

m1程度

(9)

である。よって最高点に到達してから

√1 ≃ 3.4 s 後に,終端速度v= −

√ g

κ ≃ 34 m/s ≃ 122 km/h に達する*21

25-9.速度v(t)をグラフで表せ。

【解答】

0.1 0.2 0.3 0.4 t@sD

-2

-1

1

2

3

4

5

v@msD

26 速度の2乗に比例する空気抵抗があるときの垂直投げ上げ運動における上向きの速度v(t)。初速 v0= 5 m/s,空気抵抗の係数κ= 10 m−1。黒い実線が速度変化を表す。青い破線は,上昇中の速度を 下降中にまで外挿したもの。緑の破線は,下降中の速度を上昇中にまで外挿したもの。速度が0になる最 高点で滑らかに連結している。その瞬間の加速度すなわちグラフの傾きは,自由落下と等しく−gである。 赤い破線は,終端速度

g

κを表す。

25-10.下降中の高さy(t)を求めよ。

【解答】速度(5.49)を積分する。

y yh

dy=

t th

v(t)dt

= −√ g κ

t th

tanh((t − th))dt

= −√ g κ

√1 gκ

[log cosh((t − th))]t

th

= −1

κlog cosh (

(t − th)). (5.52)

一方(5.52)の左辺はy − yhなので y(t) = −1

κlog cosh (

(t − th))+ yh (5.53)

となる。

*21硬式野球ボールの実際の終端速度はもっと速く40m/s≃144k/h以上に達する。理由は,ボールが完全な球体でない事およびボー ルの自転によって空気抵抗が小さくなる事である。詳しくは流体力学で学習する。

(10)

双曲線関数の定義と微分

cosh x := e

x+ ex

2 , sinh x :=

ex− ex

2 , tanh x :=

sinh x cosh x =

ex− ex

ex+ ex, (5.54) cosh2x − sinh2x= 1, 1 − tanh2x= 1

cosh2x, (5.55)

(cosh x) = sinh x, (sinh x)= cosh x, (tanh x)= 1

cosh2x. (5.56)

参考文献

[1] 後藤憲一,山本邦夫,神吉健. 詳解力学演習. 共立出版株式会社, 2003. [2] 原島鮮. 力学I-質点・剛体の力学-. 裳華房, 1990.

[3] 原島鮮. 力学II -解析力学-. 裳華房, 1990. [4] 小出昭一郎. 物理学. 裳華房, 2003.

[5] 砂川重信. 電磁気学演習. 物理テキストシリーズ5.岩波書店, 1992. [6] 戸田盛和. 力学. 物理入門コース1.岩波書店, 1999.

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参照

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