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慶田 昌之
この国の国内で生産された財・サービスの市場を考える。 財・サービスを実質の生産量をY とする。
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ここでは、まず海外部門がない場合を考える。このような経 済を閉鎖経済と呼ぶ。
財市場の均衡式は次のように書ける。 Y = C + I + G
C: 消費量 I: 投資量 G: 政府支出
消費量 C はこの国の可処分所得であるY − T の関数である と考えられる。
C= C(Y − T ) T はこの国の税収である。
政府の支出G は、最終的には税金によってまかなわれてい ると考えなければならないので、国民がもつ可処分所得は総 生産量から税金を差し引いたY − T であると考える。
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投資量 I は実質利子率 r の関数である。 I = I(r)
実質利子率は名目利子率からインフレ率を引いたものである が、詳しくは資産市場の説明のときに解説する。
投資量 I と実質利子率 r の関係について考えよう。
いま、投資I を実行すると (機械を買って生産するなど)来 年の収益がR である会社を考える。
例えばI を100億円、R を105億円とする。両方とも実質の 価値である。
この会社には余剰資金がないとして、実質金利が3%ならば、 100億円を借りてこの投資を実行できる。来年の返済額が 103億円なので、来年の収益105億円から返済が可能である。 実質金利が6%ならば、この投資は実行できない。来年の返済 額は106億円なので、収益105億円では返済額に足らない。
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したがって、実質金利r が上昇すると、投資量I が減少する 関係にあることが分る。
後に詳しく説明する。
政府支出 Gと税収 T は、政府によって決められる量であ る。したがって、この経済の体系とっては体系の外で決まる 変数である。
このような変数を外生変数と呼ぶ。
このことを表すために、G= ¯G、T = ¯T と書く。
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以上を考慮すると、財市場の均衡式は次のように書ける。 Y = C(Y − ¯T) + I(r) + ¯G
財市場の均衡式は次のように書き換えられる。 (Y − ¯T − C) + ( ¯T − ¯G) = I
この式は(民間の貯蓄) + (政府の貯蓄) =国内の投資 と考え ることが出来る。
すなわち、一国全体の貯蓄 (民間と政府をあわせた貯蓄) が 一国全体の投資と等しくなっていることを意味している。こ れを貯蓄・投資バランス(ISバランス) と呼ぶ。
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政府の貯蓄は T¯ = ¯Gの場合にはゼロであるが、必ずしもゼ ロになるとは限らない。
政府の貯蓄T − ¯¯ G を財政収支と呼ぶ。
正の場合には財政黒字であるが、負の場合には財政赤字で ある。
ここで (民間の) 貯蓄量をS ≡ Y − ¯T − C とすると、最終的 に財市場の均衡式は次のように書ける。
S(Y − ¯T , r) + ( ¯T − ¯G) = I(r)
S は可処分所得Y − ¯T と実質利子率r の関数となっている。 貯蓄量は定義によって消費量C に影響を受けるので、可処分 所得Y − ¯T の関数である。
貯蓄S は、実質利子率 r が上昇すると増加すると考えられ る。この点は、次で詳しくみる。
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さらに、貯蓄によっては将来の消費を行うことが出来る。 今期の貯蓄は、家計が将来の消費をどれだけ行いたいかに依 存することが分かる。
このことを次のように考えよう。
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実質利子率r の上昇によって、貯蓄 S が増加するか減少す るかは、代替効果と所得効果の大きさに依存し、理論的には 決定しない。
しかし、ここでは所得効果は代替効果に比べて大きくないと 仮定し、実質利子率r の上昇は貯蓄 S を増加させると考 える。
海外部門を考慮して、一国経済を考える。 このような経済を開放経済と呼ぶ。
海外部門との貿易の結果、輸入と輸出を考えなければなら ない。
財市場の均衡式は、次のようになる。 Y = C + I + ¯G+ EX − IM EX は輸出量、IM は輸入量である。
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純輸出量 N EX = EX − IM と定義すると、財市場の均衡 式は、
Y = C + I + ¯G+ N EX となる。
純輸出量は経常収支と呼ばれる。
開放経済の財市場の均衡式は、次のように書き直せる。 N EX = S + ( ¯T − ¯G) − I
つまり、経常収支は国内の総貯蓄と総投資の差額であること がわかる。
貯蓄が投資を上回る国では経常収支が正となり、逆の場合に は経常収支は負となる。
また、財政収支が負であることは経常収支を減らす要因とな ることもわかる。
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これまでは、一国において生産される財・サービスの需要の 側面を見てきたが、供給の側面を考える。
財・サービスを供給している主体は企業である。
企業はある技術をもって、その国の資本ストック K と労働 力N から財・サービスを生み出している。
その技術を生産関数として定義する。 Y = F (K, N )
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資本ストック K は、現時点で変化させられない変数である と考える。
なぜならば、資本ストックは過去から現在までの投資量に よって既に決定しており、今年の時点で使える資本ストック は昨年までに投資されたものだからである。
したがって、K= ¯K と書く。
労働量 N は、今年の労働市場で決定されるものである。労 働市場の説明の際に詳しく解説する。