公共経済学 第 12 講 講義ノート 1/ 2
12 資金調達の課題1: 労働所得課税 1
12.0 今回のアウトライン
A. 課税が及ぼす歪みの意味を理解する
B. 定額税と比例税の効果の違いと定額税の望ましさを理解する
12.1 課税の種類
A. 税は政府の運営費、財政は英語で “Public Finance” といい、公的資金調達の意 B. 一般的に所得や資産、付加価値に課税、税制の原則は、公平・簡素・中立
1. 公平:経済力に応じた負担 ((1) )、同一経済力同一負担 ((2) ) 2. 簡素:納税者にとってわかりやすく、納税しやすい制度
3. 中立:経済活動に負担の少ない課税 C. 税の分類と基礎知識
1. (3) (課税ベース) と担税力:課税客体 (課税物件) に様々な配慮から 加算控除を決める税法によって計算される税負担可能な金銭量
2. 直接税と間接税:税負担者が直接納税する直接税 (所得税、法人税、資産税)、 税負担者と納税者が異なる間接税 (付加価値税、物品税)
3. 一括税 (定額税)、比例税 (定率税):主に直接税で所得如何に関わらず課され る税、数量や所得の増減などに定率で課される税
4. (4) 、逆進税:主に直接税で定率だが数量や所得の増減で率または額 が上昇する税、定率だが数量や所得の増減で率または額が下降する税 5. 従量税、従価税:主に間接税で数や量に応じて課される税 (量毎定額)、価格
に応じて定率で課される税 (価毎定率)
6. 転嫁と帰着:税負担の他者への移し替えと最終的負担者で、転嫁には取引過 程の順に転嫁される進転 (前転:前方転嫁)、取引過程の逆で販売者が負担す る逆転 (後転:後方転嫁)、課税が契機となり効率化して課税分を企業努力が 吸収する消転、税が二度以上転嫁される更転 (どれにも起きうる)
12.2 日本の所得課税の特徴と実態
A. 総合課税の原則:課税対象者の所得は全て合算して課税すべき B. 累進課税の原則:垂直的公平性を担保する税制であるべき
C. 個人課税ベースの原則:世帯ではなく個人が課税の対象となるべき
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12.3 所得税の理論的理解
A. 家計は全生活時間 (L) を持ち、全生活時間を余暇時間 (ℓ) と働く時間 (h) に配分 グラフ1
1. 労働によって時給 (w) で賃金 (y = w· h) が発生する
2. 家計の余暇と所得の無差別曲線 u(y, ℓ) と予算制約 y = w· (L − ℓ) B. 課税設定:一括所得税 T の導入
グラフ2
*
y
一括
1. 家計の余暇と所得に関する予算制約は:y = w· (L − ℓ) − T
12.4 確認問題:次の文章の正誤について答えなさい
A. 課税の水平的公平によれば税負担を経済力の大小に対応させるべきとする B. 総合課税の原則では所得の性質に応じた個別課税を通じて統合化すべきとする C. 賃金に一括税がかけられると家計は課税に反発して余暇を志向するようになる
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