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(1)

統計学 第3週 – 1 / 84

統計学 第3週 確率

高木 真吾

北海道大学

October 13, 2017

(2)

なぜ確率か?

なぜ確率か?

なぜ統計学で確率か? 本日の講義

集合と事象 確率

条件付き確率 解答編

統計学 第3週 – 2 / 84

(3)

なぜ統計学で確率か?

統計学 第3週 – 3 / 84

データを整理(記述統計)する観点からは確率は不要.

データ(標本)からデータが出てきた背景(母集団)を推測するに は両者に何らかの関係が必要

「無作為」に対象を抜き出す(すべての対象が等しく選ばれる)

このとき,出てくるであろう値が何になるかを抜き出す前に考 える

どの値がどういう出やすさで選ばれるかを考える

必然的に確率変数の考え方が必要とされる

確率および確率変数という道具がその関係を記述する上で重要

したがって統計学(推測統計)では確率を最初に学ぶ

(4)

なぜ確率か?

統計学 第3週 – 4 / 84

確率はそれ自体も重要

結果に不確実性を伴う現象をモデル化するための重要な道具

例)人の反応,自然現象などなど

(5)

本日の講義

なぜ確率か?

なぜ統計学で確率か? 本日の講義

集合と事象 確率

条件付き確率 解答編

統計学 第3週 – 5 / 84

事象と標本空間

確率の公理的定義

条件付確率

事象生起の独立性

ベイズの定理

(6)

集合と事象

なぜ確率か? 集合と事象

集合

集合の演算 確率

条件付き確率 解答編

統計学 第3週 – 6 / 84

(7)

集合

統計学 第3週 – 7 / 84

集合:いくつかの要素の集まり

確率論では,「起きうる可能な事柄」をひとつのまとまり=集合 とみなす

抽象的に,二つの集合 AB を考える

空集合:(含まれる要素がなにもないあつまり)

A ⊆ BA に含まれる要素は常に B にも含まれる

A = BA ⊆ B かつ B ⊆ A が成り立つ

(8)

集合

統計学 第3週 – 8 / 84

抽象的に,二つの集合 AB を考える

補集合:A¯(集合 A には含まれない要素の集まり,Ac と書くこ ともある)

和集合:A ∪ B(集合 A または B に含まれる要素の集まり)

積集合:A ∩ B(集合 A かつ B に含まれる要素の集まり)

差集合:A \ B(集合 A には含まれるが,B には含まれない要

素の集まり)

排反 A ∩ B = ∅

(9)

図解( Venn diagram) :集合 A と補集合 A ¯

統計学 第3週 – 9 / 84

A

集合: A(全体は ) Ω

(10)

図解 (Venn’s diagram) :集合 A と補集合 A ¯

統計学 第3週 – 10 / 84

A A

補集合: A (= Ω \ A) Ω

(11)

図解 ( ベン図 ) :和集合と積集合

統計学 第3週 – 11 / 84

A B

和集合: A ∪ B

(12)

図解( Venn diagram :和集合と積集合

統計学 第3週 – 12 / 84

A B

積集合: A ∩ B

(13)

図解(ベン図) :差集合と排反

統計学 第3週 – 13 / 84

A B

差集合:A \ B (= A ∩ B)

(14)

図解( Venn’s diagram :差集合と排反

統計学 第3週 – 14 / 84

A B

排反:A ∩ B = ∅

(15)

集合の演算1

統計学 第3週 – 15 / 84

分配則:問題)下の二つの関係式をベン図を用いて確認してくだ さい.

(A ∪ B) ∩ C = (A ∩ C) ∪ (B ∩ C)

(A ∩ B) ∪ C = (A ∪ C) ∩ (B ∪ C)

(16)

図解: (A ∩ B) ∪ C = (A ∪ C) ∩ (B ∪ C)

統計学 第3週 – 16 / 84

A

B C

(A ∩ B) ∪ C

(17)

図解: (A ∩ B) ∪ C = (A ∪ C) ∩ (B ∪ C)

統計学 第3週 – 17 / 84

A

B C

(A ∪ C) ∩ (B ∪ C)

(18)

図解: (A ∪ B) ∩ C = (A ∩ C) ∪ (B ∩ C)

統計学 第3週 – 18 / 84

A

B C

(A ∪ B) ∩ C

(19)

図解: (A ∪ B) ∩ C = (A ∩ C) ∪ (B ∩ C)

統計学 第3週 – 19 / 84

A

B C

(A ∩ C) ∪ (B ∩ C)

(20)

集合の演算1

統計学 第3週 – 20 / 84

{Bi}ni=1 という集合を考え,

A, {Bi}ni=1 ⊆ Ω とする.

Ω = Sni=1 Bi を満たしているとする このとき,

A = Sni=1(A ∩ Bi)

問題)上の関係をベン図を用いて確認してください.

(21)

図解: A = (A ∩ B

1

) ∪ (A ∩ B

2

) ∪ · · · ∪ (A ∩ B

5

)

統計学 第3週 – 21 / 84

B1 B2 B3 B4 B5

(22)

図解: A = (A ∩ B

1

) ∪ (A ∩ B

2

) ∪ · · · ∪ (A ∩ B

5

)

統計学 第3週 – 22 / 84

A

A ∩ B2A ∩ B3A ∩ B4

B1 B2 B3 B4 B5

(23)

集合の演算2

統計学 第3週 – 23 / 84

de Morgan の法則

(A ∪ B) = ¯A ∩ ¯B

(A ∩ B) = ¯A ∪ ¯B

問題)上の二つをベン図を用いて確認してください

de Morgan の法則の一般化:集合列 {Ai}

n

i=1 について,

(Sni=1 Ai) = Tni=1 A¯i

(Tni=1 Ai) = Sni=1 A¯i

(24)

図解: de Morgan の法則

統計学 第3週 – 24 / 84

A B

A ∩ B Ω

(25)

図解: de Morgan の法則

統計学 第3週 – 25 / 84

A B

A ∪ ¯¯ B (A ∪ B) = ¯A ∩ ¯B Ω

(26)

証明

統計学 第3週 – 26 / 84

二つの集合が等しいこと(A = B)の証明

A ⊂ B かつ A ⊃ B を示す

A ⊂ B の証明:集合 A に含まれる要素(x ∈ A)は,必ず 集合 B も含まれることを示す

A ⊃ B の証明:集合 B に含まれる要素(x ∈ B)は,必ず 集合 A も含まれることを示す

(27)

証明

統計学 第3週 – 27 / 84

(A ∪ B) ∩ C = (A ∩ C) ∪ (B ∩ C) の証明

(A ∪ B) ∩ C ⊂ (A ∩ C) ∪ (B ∩ C) を示す

ある要素 x について,x ∈ (A ∪ B) ∩ C とすると,x ∈ (A ∪ B) x ∈ C が成り立つ(x (A ∪ B) に含まれており,同時に C は必ず含まれている)

前者から,x A B の少なくとも一方に含まれている

上二つを合わせると,x は「A と同時に C に含まれる

x ∈ (A ∩ C)」か「B と同時に C に含まれる(x ∈ (B ∩ C)」の 少なくとも一方が成り立っている

以上より,x ∈ (A ∪ B) ∩ C ならば x ∈ (A ∩ C) ∪ (B ∩ C) なので (A ∪ B) ∩ C ⊂ (A ∩ C) ∪ (B ∩ C)

(28)

証明

統計学 第3週 – 28 / 84

(A ∪ B) ∩ C ⊃ (A ∩ C) ∪ (B ∩ C) を示す

本日の演習問題参照

以上,両方の結果を踏まえ,(A ∪ B) ∩ C = (A ∩ C) ∪ (B ∩ C) が成り立つ.

(A ∩ B) ∪ C = (A ∪ C) ∩ (B ∪ C) については,上の結果と下のド・モルガ ンの法則を合わせれば証明可能.

(29)

証明

統計学 第3週 – 29 / 84

de Morgan の法則 (A ∪ B) = ¯A ∩ ¯B の証明

(A ∪ B) ⊂ ¯A ∩ ¯B を示す

x ∈ ¯A ∩ ¯B のとき,x A に含まれておらず,かつ B にも含まれ ていない

したがって,x ∈ ¯A ∩ ¯B

(A ∪ B) ⊃ ¯A ∩ ¯B を示す

x ∈ (A ∪ B) のとき,x A に含まれておらず,かつ B にも含ま れていない

言い換えると,A B の範囲(A ∪ B)には決して含まれていない

したがって x 6∈ (A ∪ B),あるいは x ∈ (A ∪ B)

(30)

確率

なぜ確率か? 集合と事象 確率

事象

公理による確率 確率の性質 問題

条件付き確率 解答編

統計学 第3週 – 30 / 84

(31)

確率への応用:事象

統計学 第3週 – 31 / 84

標本点:起こりうる個々の結果

標本空間:すべての標本点の集まり(起こりうる結果全体)

事象:標本空間の一部(部分集合)

全事象:標本空間(通常 で表現する)

(32)

事象

統計学 第3週 – 32 / 84

1)(区別できる) さいころを2つ投げたときの目の数

標本点:(1, 1) (1, 2), . . ., (6, 6) 36 個の各点

標本空間=全事象:36 個の点の集合

事象:

1. 両方とも偶数の目

2. 二個目のさいころが 3 の目 3. (3, 5) の目

4. 両方とも0以上

事象は,全事象の部分集合なので標本空間全体や標本点の1点, あるいは標本点のいくつかといったものがすべて考えられる.

(33)

事象

統計学 第3週 – 33 / 84

例2)明日の最高気温

標本空間=全事象:Ω = { x | x ∈ [−50, 50] }

標本点:上の区間のどこか

事象:

最高気温が氷点下 A = { x | x ∈ [−50, 0) }

最高気温が 10 度以上 20 度未満 B = { x | x ∈ [10, 20) }

(34)

確率:公理による確率の定義

統計学 第3週 – 34 / 84

以下の関係を満たす Pr[•] を確率と呼ぶ

公理 1 任意の事象 A について,Pr[A] ≥ 0 公理 2 全事象 について,Pr[Ω] = 1

公理 3 任意の (i, j) について Ai ∩ Aj = ∅ であるとき, Pr

" [

i=1

Ai

#

=

X

i=1

Pr [ Ai]

逆に言うと上の関係を満たしさえすればどんなものでも「確率」と 考えることができる

他にも「頻度による確率の定義」「主観確率による確率の定義」「等 価性原理」

(35)

確率:公理による確率の定義

統計学 第3週 – 35 / 84

例)サイコロ

それぞれの目の数の出る確率に 1/6 を割り当てる

標本空間:{1 の目, 2 の目, 3 の目, 4 の目, 5 の目, 6 の目 }

事象 A の要素数を #A で表現し,Pr[A] = #A · (1/6) とする.

このとき,

上の1,2は満たされる.

3についても排反な事象の要素数を足してから6で割るか, 個々の要素数を同じ6で割ったものを足しているかだけ.

(36)

確率の性質

統計学 第3週 – 36 / 84

上の公理から以下の関係が成り立つ 1. Pr[∅] = 0

2. A B が排反のとき,Pr[A ∪ B] = Pr[A] + Pr[B] 3. 任意の事象 A について,Pr[A] + Pr[ ¯A] = 1

Pr[ ¯A] = 1 − Pr[A]

4. 加法定理

5. 劣加法性

(37)

図解:互いに排反な A , B について,

Pr[A ∪ B] = Pr[A] + Pr[B]

統計学 第3週 – 37 / 84

A B

排反:A ∩ B = ∅

(38)

図解: Pr[ ¯ A ] = 1 − Pr[A], Pr[Ω] = 1

統計学 第3週 – 38 / 84

A A

補集合: A (= Ω \ A) Ω

(39)

確率の性質

統計学 第3週 – 39 / 84

4. 加法定理

Pr[A ∪ B] = Pr[A] + Pr[B] − Pr[A ∩ B]

Pr[A ∪ B ∪ C] = Pr[A] + Pr[B] + Pr[C] − Pr[A ∩ B] − Pr[A ∩ C] − Pr[B ∩ C] + Pr[A ∩ B ∩ C]

5. 劣加法性

Pr [ A ∪ B] ≤ Pr [ A] + Pr [ B]

(40)

図解:加法定理 Pr[A ∪ B] = Pr[A] + Pr[B] − Pr[A ∩ B]

統計学 第3週 – 40 / 84

A B

加法定理: A ∩ B が2回加わっている Ω

(41)

図解:加法定理 Pr[A ∪ B ∪ C] = Pr[A] + Pr[B] + Pr[C] −

Pr[A ∩ B] − Pr[A ∩ C] − Pr[B ∩ C] + Pr[A ∩ B ∩ C]

統計学 第3週 – 41 / 84

A

B C

(42)

問題

統計学 第3週 – 42 / 84

Pr[A] = 0.24, Pr[B] = 0.52, Pr[A ∩ B] = 0.12 のとき,

(1) Pr[ ¯A], (2) Pr[ ¯B]

(3) Pr[A ∪ B]

(4) Pr[ ¯A ∪ ¯B]

(5) Pr[ ¯A ∩ ¯B]

(6) Pr[A \ B] をそれぞれ求めよ.

(43)

問題:解答1

統計学 第3週 – 43 / 84

Pr[A] = 0.24, Pr[B] = 0.52, Pr[A ∩ B] = 0.12 のとき, 1. P r[ ¯A] = 1 − Pr[A] = 1 − 0.24 = 0.76

2. Pr[ ¯B] = 1 − Pr[B] = 1 − 0.52 = 0.48 3.

Pr[A ∪ B] = Pr[A] + Pr[B] − Pr[A ∩ B]

= 0.24 + 0.52 − 0.12 = 0.64

(44)

問題:解答 2

統計学 第3週 – 44 / 84

Pr[A] = 0.24, Pr[B] = 0.52, Pr[A ∩ B] = 0.12 のとき, 4. de Morgan の法則より

A ∪ ¯¯ B = (A ∩ B) = Ω \ (A ∩ B) したがって

Pr[ ¯A ∪ ¯B] = 1 − 0.12 = 0.88

(45)

問題:解答 3

統計学 第3週 – 45 / 84

Pr[A] = 0.24, Pr[B] = 0.52, Pr[A ∩ B] = 0.12 のとき, 5. de Morgan の法則より

A ∩ ¯¯ B = (A ∪ B) = Ω \ (A ∪ B) したがって

Pr[ ¯A ∩ ¯B] = 1 − Pr[A ∩ B] = 1 − 0.64 = 0.36 6. A \ B = A \ (A ∩ B) なので

Pr[A] − Pr[A ∩ B] = 0.24 − 0.12 = 0.12

(46)

図解:差集合

統計学 第3週 – 46 / 84

A B

ΩA \ B = A \ (A ∩ B) = A ∩ B

(47)

条件付き確率

なぜ確率か? 集合と事象 確率

条件付き確率

条件付確率 問題

問題 問題

事象の独立性 事象の独立と排反 ベイズの定理 演習問題 演習問題 解答編

統計学 第3週 – 47 / 84

(48)

条件付確率

統計学 第3週 – 48 / 84

Pr[A] > 0 なる事象 A を考える.この A が生起したうえに 事象 B も生起する確率を次のような条件付確率によって定義する.

Pr[B|A] = Pr[A ∩ B]

Pr[A] · · · 1

A が生起したことは 条件 として与えられた下で,事象 B が生 起する確率を考えている

乗法公式:条件付き確率から次の関係が成立することもわかる

(Pr[A] · Pr[B] 6= 0

Pr[A∩B] = Pr[A|B]·Pr[B] = Pr[B|A]·Pr[A] · · · 2

(49)

図解

統計学 第3週 – 49 / 84

A A ∩ B B

条件付き確率:事象 A の下で,同時に B が生起 Ω

(50)

問題

統計学 第3週 – 50 / 84

文系 (A) 理系 (B) 職員 (C) 合計 男性 (D) 350 550 700 1600 女性 (E) 150 150 100 400

合計 500 700 800 2000

偶然出会った人が,理系の女性である確率

偶然出会った人が,学生である確率

偶然出会った人が,文系か女性のいずれかである確率

偶然出会った人が,女性であったとき,その人が職員である確率

(51)

問題

統計学 第3週 – 51 / 84

出会う人が,文系という事象を A,理系を B,職員を C. これらは 互いに排反.

男性なら D,女性なら E とすると,D E は互いに排反.

理系の女性である確率:

Pr[B ∩ E] = 150 2000

学生である確率:

Pr[A ∪ B] = Pr[A] + Pr[B] = 500 2000 +

700 2000 =

3 5

(52)

問題

統計学 第3週 – 52 / 84

出会う人が,文系という事象を A,理系を B,職員を C. これらは 互いに排反.

男性なら D,女性なら E とすると,D E は互いに排反.

文系か女性のいずれかである確率:

Pr[A∪E] = Pr[A]+Pr[E]−Pr[A∩E] = 500 + 400 − 150

2000 =

3 8

女性であったとき,その人が職員である確率:

Pr[C|E] = Pr[C ∩ E] Pr[E] =

100/2000 400/2000

(53)

事象の独立性

統計学 第3週 – 53 / 84

二つの事象 AB が独立であるとは以下の関係が成り立つこと

定義:AB どちらか一方の事象の生起確率が0の場合も含む) Pr[A ∩ B] = Pr[A] · Pr[B] · · · 3

条件付確率から考えると理解しやすい(ただし一方の事象の生起確 率が0の場合を除く):

Pr[B|A] = Pr[A ∩ B]

Pr[A] = Pr[B] · · · 4

事象 A の生起に対して,事象 B はなんら関係を持たないことを示 している.

問)事象 AB が独立であり,Pr[A] · Pr[B] 6= 0 なら, Pr[B|A] = Pr[B] かつ Pr[A|B] = Pr[A] の成立を示せ.

(54)

事象の独立と排反

統計学 第3週 – 54 / 84

独立:二つの事象の生起が,互いに無関係 (確率を通じて考える 性質)

排反:二つの事象の同時には起きない (事象そのものの性質)

一方が起きるときは必ず他方は実現しないという関係を持つ可 能性もあり,無関係とは限らない

例)52 枚のトランプ(ジョーカーを除外)から一枚を無作為に抜き 出す.

事象A:引いたカードがスペード柄

事象B:引いたカードが絵札 (J,Q,K,A)

事象C:引いたカードがハート

事象D:引いたカードが黒色 (スペードかクラブ)

事象E:引いたカードがジョーカー

(55)

事象の独立と排反

統計学 第3週 – 55 / 84

このとき,

Pr[A]Pr[E]Pr[A ∩ B]Pr[A ∩ E] は?

事象Aと事象Bは独立か否か?(独立・not 排反)

事象Aと事象Cは独立か否か?(not 独立・排反)

事象Aと事象Dは独立か否か?(not 独立・not 排反)

事象Aと事象Eは独立か否か?(独立・排反)

(56)

ベイズの定理

統計学 第3週 – 56 / 84

Pr[A] Pr[B] > 0 なる二つの事象 A,B を考える.

条件付確率:Pr[B|A] = Pr[A ∩ B]/ Pr[A]

乗法公式:Pr[A ∩ B] = Pr[B|A] Pr[A] = Pr[A|B] Pr[B]

Ω = Sni=1 Bi なる {Bi}ni=1 を考えると

Pr[A] =

n

X

i=1

Pr[A∩Bi] =

n

X

i=1

Pr[Bi] Pr[A|Bi] · · · 5

(57)

ベイズの定理

統計学 第3週 – 57 / 84

乗法公式:Pr[A ∩ B] = Pr[B|A] Pr[A] = Pr[A|B] Pr[B]

Ω = Sni=1 Bi なる {Bi}ni=1 を考えると

Pr[A] =

n

X

i=1

Pr[A∩Bi] =

n

X

i=1

Pr[Bi] Pr[A|Bi] · · · 6

ベイズの定理:

Pr[Bi|A] = Pr[Bi ∩ A] Pr[A] =

Pr[Bi] · Pr[A|Bi] Pn

k=1 Pr[Bk] · Pr[A|Bk]

· · · 7

(58)

ベイズの定理

統計学 第3週 – 58 / 84

A 観測される事柄

Bi 原因のひとつ(n 個のうちの i 番目)

ベイズの定理:A が観測されたとき,その原因の要因 i である確 率は?

解釈:

先見的に Bi である確率は Pr[Bi] であるが,A という観測事実 を用いた上で Bi である確率はどのように更新されるか.

(59)

図解

統計学 第3週 – 59 / 84

A A ∩ B3

観測結果 A /原因 B3

B1 B2 B3 B4 B5

(60)

ベイズの定理

統計学 第3週 – 60 / 84

ある製品の部品を 工場1, 2,3 から入荷(割合は5:3:2)

同じ規格で製作しており,見かけ上の区別はない

不良品率:工場1(1%,工場2(2%,工場3(5%

その製品を無作為に選んだところ,部品に不備があった.どこの工 場のものと考えられるか?

無作為に選んだ製品に工場1の部品が含まれているという事象を B1 と し,工場2ならば B2,工場3ならば B3 とする.また,製品が故障し ているという事象を A とすると

(61)

ベイズの定理

統計学 第3週 – 61 / 84

無作為に選んだ製品に工場1の部品が含まれているという事象を B1 と し,工場2ならば B2,工場3ならば B3 とする.また,製品が故障し ているという事象を A とすると

Pr[B1] = 50

100 , Pr[A|B1] =

1 100 , Pr[B2] = 30

100 , Pr[A|B2] =

2 100 , Pr[B3] = 20

100 , Pr[A|B3] =

5 100

(62)

ベイズの定理

統計学 第3週 – 62 / 84

ベイズの定理から Pr[B1|A]

= Pr[B1] · Pr[A | B1]

Pr[B1] · Pr[A | B1] + Pr[B2] · Pr[A | B2] + Pr[B3] · Pr[A | B3]

= 50/100 × 1/100

50/100 × 1/100 + 30/100 × 2/100 + 20/100 × 5/100

≈ 5/21

つまり,無作為に選んだ製品が故障していたとき,これが工場1のもの である確率は 5/21

同じく,工場2については 6/21

同じく,工場3については 10/21

シェアが低くても故障率の高い工場3である確率が一番高い

(63)

演習問題

統計学 第3週 – 63 / 84

1 ド・モルガンの法則をベン図を用いて確認してください

2 集合演算に関する分配則の証明を完成させてください(ページ 28参照) 3 次の二つの意見のおかしさを指摘し,正しい確率計算に基づいて正しい文

章に直してください.

「勝率 1/5 のくじを3回引いて,一回でも当たりが出れば自分の勝 ち」というゲームよりも「勝率 1/25 のくじを 16 回引いて,一回でも 当たりが出れば自分の勝ち」というゲームの方が勝率が高そうだ

「1つのサイコロを4回投げて、6の目が一度でも出れば自分の勝 ち」というゲームを何回もしたときは、自分が勝つことが多かったか かわらず,「2つのサイコロを 24 回投げて、両方とも6の目が一度で も出れば自分の勝ち」というゲームを何回もしたときは、自分が負け ることが多かったのは不思議だ.

(64)

演習問題

統計学 第3週 – 64 / 84

4 トランプの例を用いて,独立と排反に関係がないことを確認してください

(ページ 72参照)

5 Pr[A] = 0.4, Pr[B|A] = 0.3, Pr[ ¯B| ¯A] = 0.2 のとき,

Pr[ ¯A], Pr[B| ¯A], Pr[ ¯B|A], Pr[A ∩ B], Pr[B], Pr[A|B] をそれぞれ求 めよ.

6 AB 型は,知的に優れているが,変人である傾向も強い,と血液型診断で よく言われる.血液型別の変人と普通の人の分布が以下のように与えられ るとするなら,「変人」と思われる人を見たとき,その人が AB 型であると 考えることは合理的と言えるか.ただし,それぞれの血液型ごとの変人で ある確率は Pr[変人 |A ] = 0.375Pr[変人 |B ] = 0.5

Pr[変人 |O ] = 0.5Pr[変人 |AB ] = 0.8 (確かに AB 型に変人が多く, A 型に普通の人が多い)であり,血液型の比率は4:3:2:1である.

(65)

解答編

なぜ確率か? 集合と事象 確率

条件付き確率 解答編

集合と確率 3.賭けと確率

4.事象の独立と 排反

5.確率計算 6.ベイズの定理

統計学 第3週 – 65 / 84

集合と確率

(66)

集合と確率

統計学 第3週 – 66 / 84

1 ド・モルガンの法則をベン図を用いて確認してください

2 集合演算に関する分配則の証明を完成させてください(ページ 28参照)

(A ∩ C) ∪ (B ∩ C) に属する要素を x とする.

定義より x ∈ (A ∩ C) あるいは x ∈ (B ∩ C) の少なくともどちらか一 方が成立する.

言い換えると,x は「C に含まれつつ,A にも含まれる」か「C に含 まれつつ,B にも含まれる」という状態の少なくとも一方が成立して いる.

つまり,C には必ず属しており,その上で A にも属するか B にも属 するかのうち少なくとも一方が成り立つ.

x ∈ C ∩ (A ∪ B)

したがって (A ∩ C) ∪ (B ∩ C) ⊃ (A ∪ B) ∩ C

(67)

図解: de Morgan の法則

統計学 第3週 – 67 / 84

A B

A ∩ B Ω

(68)

図解: de Morgan の法則

統計学 第3週 – 68 / 84

A B

A ∪ ¯¯ B (A ∪ B) = ¯A ∩ ¯B Ω

(69)

3.賭けと確率

統計学 第3週 – 69 / 84

3 次の二つの意見のおかしさを指摘し,正しい確率計算に基づいて正しい文 章に直してください.

「勝率 1/5 のくじを3回引いて,一回でも当たりが出れば自分の勝 ち」というゲームよりは「勝率 1/25 のくじを 16 回引いて,一回でも 当たりが出れば自分の勝ち」というゲームの勝率の方が高そうだ

「1つのサイコロを4回投げて、6の目が一度でも出れば自分の勝 ち」というゲームを何回もしたときは、自分が勝つことが多かったか かわらず,「2つのサイコロを 24 回投げて、両方とも6の目が一度で も出れば自分の勝ち」というゲームを何回もしたときは、自分が負け ることが多かったのは不思議だ.

(70)

統計学 第3週 – 70 / 84

どちらも勝つ確率の計算を誤っている

最初の文章における勝利確率を 3/516/25 > 15/25 = 3/5 と見積もって いるように見える

正しくは 1 − (4/5)3 = 0.488, 1 − (24/25)16 = 0.4795971 となってむ しろ勝率は前者が上.

次の文章における勝利確率も 4/624/36 = 4/6 と見積もっているように 見える

正しくは 1 − (5/6)4 ≈ 0.52, 1 − (35/36)24 ≈ 0.49 となって,むしろ勝 率は勝ちやすいゲームであり,後者は負けやすいゲームである.

独立と排反

(71)

4.事象の独立と排反

統計学 第3週 – 71 / 84

独立:二つの事象の生起が,互いに無関係 (確率を通じて考える 性質)

排反:二つの事象の同時には起きない (事象そのものの性質)

一方が起きるときは必ず他方は実現しないという関係を持つ可 能性もあり,無関係とは限らない

例)52 枚のトランプ(ジョーカーを除外)から一枚を無作為に抜き 出す.

事象A:引いたカードがスペード柄

事象B:引いたカードが絵札 (J,Q,K,A)

事象C:引いたカードがハート

事象D:引いたカードが黒色 (スペードかクラブ)

事象E:引いたカードがジョーカー

(72)

事象の独立と排反

統計学 第3週 – 72 / 84

このとき,

Pr[A]Pr[E]Pr[A ∩ B]Pr[A ∩ E] は?

事象Aと事象Bは独立か否か?(独立・not 排反)

事象Aと事象Cは独立か否か?(not 独立・排反)

事象Aと事象Dは独立か否か?(not 独立・not 排反)

事象Aと事象Eは独立か否か?(独立・排反)

(73)

事象の独立と排反

統計学 第3週 – 73 / 84

事象A:引いたカードがスペード柄

事象B:引いたカードが絵札 (J,Q,K,A) Pr[A] = 13

52 = 1

4, Pr[B] =

4 · 4 52 =

4

13, Pr[A ∩ B] = 4 52 このとき

Pr[A|B] = Pr[A ∩ B] Pr[B] =

1

4, Pr[B|A] = Pr[A ∩ B] Pr[A] =

4 13

したがって独立.一方,排反ではない(スペードの絵札が存在).

(74)

事象の独立と排反

統計学 第3週 – 74 / 84

事象A:引いたカードがスペード柄

事象C:引いたカードがハート Pr[A] = 1

4, Pr[C] = 13 52 =

1

4, Pr[A ∩ C] = 0 このとき

0 = Pr[A ∩ C] 6= Pr[A] · Pr[C] = 1 4 ·

1 4 =

1 16

したがって独立ではない.一方,排反は言える(スペードかつハートは 存在しない)

(75)

事象の独立と排反

統計学 第3週 – 75 / 84

事象A:引いたカードがスペード柄

事象D:引いたカードが黒色カード (スペードかクラブ) Pr[A] = 1

4, Pr[D] = 26 52 =

1

2, Pr[A ∩ D] = 13 52 このとき

Pr[A|D] = Pr[A ∩ D] Pr[D] =

1 2 6=

1

4 = Pr[A] Pr[D|A] = Pr[A ∩ D]

Pr[A] = 1 6= 1

2 = Pr[D]

したがって独立ではない.一方,排反でもない.

(76)

事象の独立と排反

統計学 第3週 – 76 / 84

事象A:引いたカードがスペード柄

事象E:引いたカードがジョーカー Pr[A] = 13

52, Pr[E] = 0, Pr[A ∩ E] = 0 このとき

0 = Pr[A ∩ E] = Pr[A] · Pr[E] = 0 したがって独立.一方,排反も言える.

条件付確率とベイズの定理

(77)

5.確率計算

統計学 第3週 – 77 / 84

5 Pr[A] = 0.4, Pr[B|A] = 0.3, Pr[ ¯B| ¯A] = 0.2 のとき,

Pr[ ¯A], Pr[B| ¯A], Pr[ ¯B|A], Pr[A ∩ B], Pr[B], Pr[A|B] をそれぞれ求 めよ.

(78)

問題5解答

統計学 第3週 – 78 / 84

Pr[A] = 0.4, Pr[B|A] = 0.3, Pr[ ¯B| ¯A] = 0.2 のとき, 1. Pr[ ¯A] = 1 − Pr[A] = 1 − 0.4 = 0.6

2. Pr[B| ¯A] = 1 − Pr[ ¯B| ¯A] = 1 − 0.2 = 0.8, ((B ∩ ¯A) ∪ ( ¯B ∩ ¯A) = ¯A)

B ∩ ¯A = Ω \ ( ¯A ∩ ¯B) \ A

Pr[ ¯A ∩ ¯B] = Pr[ ¯B| ¯A] Pr[ ¯A] = 0.2 · 0.6,

Pr[B ∩ ¯A] = 1 − Pr[ ¯A ∩ ¯B] − Pr[A] = 1 − 0.12 − 0.4 = 0.48, Pr[B| ¯A] = Pr[B ∩ ¯A]/ Pr[ ¯A] = 0.48/0.6 = 0.8

3. Pr[ ¯B|A] = 1 − Pr[B|A] = 1 − 0.3 = 0.7

A ∩ ¯B = Ω \ ( ¯A ∩ ¯B) \ B

Pr[A ∩ ¯B] = 1 − Pr[ ¯A ∩ ¯B] − Pr[B] = 1 − 0.12 − 0.6 = 0.28, Pr[B| ¯A] = Pr[B ∩ ¯A]/ Pr[A] = 0.28/0.4 = 0.7

(79)

問題5解答

統計学 第3週 – 79 / 84

Pr[A] = 0.4, Pr[B|A] = 0.3, Pr[ ¯B| ¯A] = 0.2 のとき, 4. Pr[A ∩ B]:乗法公式を用いて

Pr[A ∩ B] = Pr[B|A] Pr[A] = 0.3 · 0.4 = 0.12

5. B = (B ∩ A) ∪ (B ∩ ¯A) より Pr[B] = Pr[B ∩ A] + Pr[B ∩ ¯A] ので

Pr[B] = Pr[B ∩ A] + Pr[B ∩ ¯A]

= Pr[B|A] · Pr[A] + Pr[B| ¯A] · Pr[ ¯A]

= 0.3 · 0.4 + 0.8 · 0.6 = 0.60

6. Pr[A|B]:条件付き確率の定義より

Pr[A|B] = Pr[B ∩ A] Pr[B] =

0.12 0.60 =

1 5

(80)

6.ベイズの定理

統計学 第3週 – 80 / 84

6 AB 型は,知的に優れているが,変人である傾向も強い,と血液型診断で よく言われる.血液型別の変人と普通の人の分布が以下のように与えられ るとするなら,「変人」と思われる人を見たとき,その人が AB 型であると 考えることは合理的と言えるか.ただし,それぞれの血液型ごとの変人で ある確率は Pr[変人 |A ] = 0.375Pr[変人 |B ] = 0.5

Pr[変人 |O ] = 0.5Pr[変人 |AB ] = 0.8 (確かに AB 型に変人が多く, A 型に普通の人が多い)であり,血液型の比率は4:3:2:1である.

血液型 A B O AB 普通 0.25 0.15 0.1 0.02 変人 0.15 0.15 0.1 0.08

常識人は A 型に多い,という話を反映した.AB 型の中での変人比率も他 に比べて高い.

(81)

6.血液型

統計学 第3週 – 81 / 84

求める確率は,Pr[AB | 変人] なので

Pr[AB | 変人] = Pr[AB ,変人] Pr[変人]

また Pr[変人] は,全確率の公式を用いて,

Pr[変人] = Pr[変人 |A ] Pr[A ] + · · · + Pr[変人 |AB ] Pr[AB ]

= 0.375 · 0.4 + 0.5 · 0.3 + 0.5 · 0.2 + 0.8 · 0.1 = 0.48

したがって Pr[AB | 変人] = 0.08/0.48 = 1/6 ≈ 17%

この確率は,無作為に選んだ一人が AB 型である確率 0.1 よりもほんの少 し大きいだけ.

(82)

ベイズの定理(感染者問題)

統計学 第3週 – 82 / 84

感染者:1000 人に 1

検査結果1:陽性ならば,確率 0.98 で陽性

検査結果2:陰性ならば,確率 0.99 で陰性

検査で陽性が出たとき,感染している確率は? 設定より

Pr[感染] = 1

1000, Pr[陽性 | 感染] = 98

100, Pr[陰性 | 非感染] = 99 100 また,

Pr[非感染] = 999

1000, Pr[陽性 | 非感染] = 1 100

(83)

ベイズの定理(感染者問題)

統計学 第3週 – 83 / 84

ベイズの定理から

Pr[感染 | 陽性] = Pr[感染] · Pr[陽性 | 感染]

Pr[感染] · Pr[陽性 | 感染] + Pr[非感染] · Pr[陽性 | 非感染]

= (0.001) · (0.98)

(0.001) · (0.98) + (0.999) · (0.01) ≈ 0.089

つまり,無作為に選んだ一人の検査結果が陽性反応であるとき,その人が 感染している確率は9%程度.

(84)

ベイズの定理(感染者問題)

統計学 第3週 – 84 / 84

検査の精度から考えると,低すぎないか?

100,000 人いるとして,以下のように考える.

検査をすると,感染している 100 人中 100 × 0.98 人(9 8%)は陽性反応

検査をすると,感染していない 99,900 人中 99, 900 × 0.01 人(1%)が陽性反応

無作為に一人陽性から選んで,実際に感染している確率は

98

98 + 999

0.089

先見的には,「当たりくじ」を引く確率は,0.0010.1 %)だけど,検 査の情報を得た後では,それが9%に跳ね上がった,というお話.

参照

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