RNAi（RNA干渉）

平成１７年度

特許出願技術動向調査報告書

RN Ai ( RN A 干渉)

（要約版）

平成１８年４月

特 許 庁

＜ 目 次 ＞

第 １ 部 RN Ai （ RN A 干 渉 ） の 特 許 動 向 調 査 . . . . . 1

第 ２ 部 RN Ai の 補 強 分 析 . . . . 12

第 ３ 部 RN Ai の そ の 他 の 調 査 項 目 . . . . 20

第 ４ 部 RN Ai の 提 言 . . . . 28

問 い 合 わ せ 先

特 許 庁 総 務 部 技 術 調 査 課 技 術 動 向 班

電 話：０ ３ − ３ ５ ８ １ − １ １ ０ １（ 内 線 ２ １ ５ ５ ）

第 １ 部 RNAi （ RNA 干 渉 ） の 特 許 動 向 調 査 第 １ 章 RNAi の 技 術 概 要

∼ 遺 伝 子 機 能 解 析 ツ ー ル か ら 産 業 応 用 へ 、 注 目 を 集 め る RNAi 関 連 技 術 ∼

RNAi （ RNA i nt er f er enc e：RNA 干 渉 ）は 、標 的 遺 伝 子 と 相 同 な 二 本 鎖 RNA（ doubl e- s t r anded RNA：ds RNA）を 細 胞 内 に 導 入 す る と 、標 的 遺 伝 子 の 転 写 産 物 で あ る mRNA の 相 同 部 分 が 特 異 的 に 分 解 さ れ 、こ れ に よ り 遺 伝 子 発 現 が 抑 制 さ れ る と い う 現 象 で あ る 。RNAi は 、米 国 の A. Fi r e

（ 当 時 Car negi e I ns t i t ut i on of Was hi ngt on） と C. Mel l o（ Uni v er s i t y of Mas s ac hus et t s Medi c al Sc hool ） ら に よ り 1998 年 に 線 虫 （ Caenor habdi t i s el egans ） を 用 い た 実 験 で 初 め て 見 出 さ れ た 。 そ の 後 、 2001 年 に ド イ ツ の T. Tus c hl （ 当 時 Max- Pl anc k I ns t i t ut e） ら が 、 21 塩 基 長 の 短 い ds RNA（ s mal l i nt er f er i ng RNA： s i RNA） に よ り 哺 乳 動 物 細 胞 で RNAi を 誘 起 す る こ と に 成 功 し た 。2002 年 に は 米 国 の 科 学 雑 誌 Sc i enc e 誌 が 、そ の 年 に 最 も 注 目 を 集 め た 発 見 に 贈 る " Br eakt hr ough of t he y ear " に 選 定 さ れ る な ど 、 RNAi は 遺 伝 子 発 現 抑 制 に よ る 遺 伝 子 ／ 蛋 白 質 の 機 能 解 析 ツ ー ル と し て 急 速 に 普 及 し 、現 在 で は 、医 薬 ･医 療 等 の 産 業 応 用 が 注 目 さ れ て い る 技 術 で あ る 。

RNAi に 関 連 す る 技 術 開 発 は 、 標 的 遺 伝 子 に 対 し て そ の 発 現 を 抑 制 す る 過 程 を 構 成 す る

「 RNAi 要 素 技 術 」 と 、 ラ イ フ サ イ エ ン ス 基 礎 研 究 、 農 林 水 産 業 、 化 学 品 生 産 、 医 薬 ･医 療 、 ラ イ フ サ イ エ ン ス 研 究 開 発 支 援 産 業 か ら な る 「 RNAi 応 用 産 業 分 野 」 の ２ 分 野 に 大 別 さ れ る 。 こ れ ら の 分 野 と 技 術 開 発 要 素 の 技 術 俯 瞰 図 を 図 - 1 に 示 す 。

図 - 1 RNAi （ RNA 干 渉 ） の 技 術 俯 瞰 図

標 的 遺 伝 子

標 的 遺 伝 子 ノッ ク ダ ウ ン ライフサイエンス基礎研究

・遺伝子/ 蛋白質機能解析

遺伝子工学、核酸化学、分析装置技術、バイオインフォマティクス、ナノテクノロジー RNAi 効果の分析／ 評価技術

・観察/ 測定

・定量

RNAi  要 素 技 術

動植物育種／品種改良

・成分の改変

・耐病性/ 抵抗性付与

・特性改変

物質生産用宿主の育種

・ﾒﾀﾎﾞﾘｯｸｴﾝｼﾞﾆｱﾘﾝｸﾞ等

ライフサイエンス 研究開発支援産業

化学品生産

・各種試薬･ｷｯﾄ供給

・RNA受託合成ｻｰﾋﾞｽ等提供

RNAi  応 用 産 業 分 野

医薬･医療 バイオ医薬

生産用細胞の育種

・蛋白質修飾改変等

ゲノム創薬

・創薬標的探索／評価

・疾患ﾒｶﾆｽﾞﾑ解析

・疾患ﾓﾃﾞﾙ動物作出

・医薬ｽｸﾘｰﾆﾝｸﾞ手法

再生医療

・移植臓器用動物育種

・幹細胞改変

RNAi 医薬

・単独投与

・ｺﾝﾋﾞﾈｰｼｮﾝ治療 農林水産業

s i RNAデザイン

・有効配列設計

・of f - t ar get 効果抑制

・免疫応答抑制

・RNAi ﾃﾞｰﾀﾍﾞｰｽ

遺 伝 子 医 薬

・ 遺 伝 子 治 療

・ ド ラッ グ デ リ バ リー

s i RNAの化学合成／生化学的合成 化学合成

・核酸合成

・塩基ｱﾅﾛｸﾞ

・核酸修飾

・ｷﾒﾗ核酸

・特異的構造

生化学的合成

・ﾌﾟﾛﾓｰﾀｰ

・RNAﾎﾟﾘﾒﾗｰｾﾞ

・DI CER等

細胞･組織･器官・個体への導 入/ ﾀｰｹﾞｯﾃｲﾝｸﾞ

・ﾘﾎﾟｿｰﾑ/ 非ﾘﾎﾟｿｰﾑ脂質

・ｳｲﾙｽﾍﾞｸﾀｰ ・ﾃﾞﾝﾄﾞﾘﾏｰ

・ﾍﾟﾌﾟﾁﾄﾞ/ 蛋白質 ・ﾅﾉ粒子

・ｴﾚｸﾄﾛﾎﾟﾚｰｼｮﾝ ・ﾚｰｻﾞｰ穿孔

・ﾏｲｸﾛｲﾝｼﾞｪｸｼｮﾝ ・ﾊﾟｰﾃｲｸﾙｶﾞﾝ 導入のﾊｲｽﾙｰﾌﾟｯﾄ化

・細胞ｱﾚｲ RNAi 発現ｼｽﾃﾑ

・発現ｶｾｯﾄ構築

・ベクター

RNAi ライブラリー

∼ RNAi の 技 術 の 概 要 ∼

「 RNAi 要 素 技 術 」 と 「 RNAi 応 用 産 業 分 野 」 の 技 術 の 構 成 要 素 と 概 要 を 表 - 2 に 示 す 。

表 - 2 RNAi の 技 術 の 概 要

技 術 分 野 構 成 要 素 概 要

RNAi 要 素 技 術 RNAi 基 本 原 理 ・ メ カ ニ ズ ム ・ RNAi の 基 本 原 理

・ RNAi の メ カ ニ ズ ム / 構 成 要 素 等

s i RNAデ ザ イ ン ・ RNAi 効 果 が 高 く か つ of f - t ar get 効 果 の 少 な い s i RNAの 配 列 設 計 手 法

・ 有 効 配 列 の 評 価 方 法

・ RNAi 関 連 デ ー タ ベ ー ス 等 s i RNA合 成 ／ 生 合 成 ・ s i RNAの 化 学 合 成

・ ヌ ク レ オ チ ド の 修 飾 ･改 変

・ 塩 基 ア ナ ロ グ 等 の 利 用

・リ ボ ヌ ク レ ア ー ゼ を 用 い た 生 化 学 的 合 成 手 法 等 RNAi 発 現 シ ス テ ム ・ s i RNA／ s hRNA発 現 カ セ ッ ト の 構 築

・ カ セ ッ ト 構 成 要 素 の 工 夫

・ ベ ク タ ー 等

RNAi ラ イ ブ ラ リ ー ・ RNAi ラ イ ブ ラ リ ー の 構 築 方 法

・ RNAi ラ イ ブ ラ リ ー の 利 用 方 法 等 細 胞 ･組 織 ･器 官 ・ 個 体 へ の 導 入 ／

タ ー ゲ ッ テ ィ ン グ

・ 目 的 細 胞 ･組 織 ･器 官 ・ 個 体 へ 効 率 的 な 導 入 ／ 特 異 的 な タ ー ゲ ッ テ ィ ン グ の た め の 各 種 手 法

・ 導 入 の ハ イ ス ル ー プ ッ ト 化 等 分 析 評 価 技 術 ・ 遺 伝 子 発 現 レ ベ ル の 定 量 的 測 定 手 法

・ 表 現 形 質 等 に 及 ぼ す 影 響 の 観 察 ・ 測 定 手 法 等

そ の 他 ・ 上 記 以 外 の 要 素

RNAi 応 用 産 業 分 野

ラ イ フ サ イ エ ン ス 基 礎 研 究 ・ RNAi に よ る 遺 伝 子 ／ 蛋 白 質 の 機 能 解 析

農 林 水 産 業 ・ 含 有 成 分 の 改 変

・ 耐 病 性 ／ 抵 抗 性

・ 形 態 そ の 他 の 特 性 改 変 等 の 植 物 ／ 動 物 の 育 種 化 学 品 生 産 ・生 産 物 の 種 類 ／ 量 を RNAi に よ り 改 変 す る 化 学 品

生 産 用 宿 主 の 育 種

医 薬 ･医 療 ・ バ イ オ 医 薬 （ 生 産 用 宿 主 の 育 種 等 ）

・ ゲ ノ ム 創 薬（ 創 薬 標 的 の 探 索 ／ 評 価 、疾 患 メ カ ニ ズ ム 解 析 、 疾 患 モ デ ル 動 物 の 作 出 、 医 薬 ス ク リ ー ニ ン グ 手 法 の 開 発 ）

・ RNAi 医 薬（ RNAi を 用 い た 感 染 症 、腫 瘍 等 各 種 疾 患 治 療 薬 の 開 発 、 既 存 医 薬 へ の 抵 抗 性 除 去 等 の 治 療 効 果 改 善 ）

・ 再 生 医 療（ 移 植 臓 器 用 動 物 育 種 、各 種 幹 細 胞 の 改 変 ）

そ の 他 ・ 上 記 以 外 の 要 素

注 ： s hRNA: s hor t - hai r pi n RNA

第 ２ 章 RNAi の 特 許 出 願 ・ 登 録 動 向

∼ 出 願 の 中 心 は 米 国 ∼

1998 年 ∼ 2003 年 の 累 積 出 願 件 数1, 280 件 中 、 米 国 が 723 件 と 一 国 で56％ を 占 め 、 ２ 位 以 下 の 日 本 、欧 州 諸 国（ い ず れ も 10％ 未 満 ）に 大 差 を つ け て い る 。そ れ 以 外 の 地 域 で は イ ス ラ エ ル 、 オ ー ス ト ラ リ ア が 上 位 に 入 っ て い る 。

表 - 3 RNAi 関 連 特 許 の 出 願 人 国 籍 別 出 願 件 数 （ PCT 出 願 ）

No. 出 願 人 国 籍 出 願 件 数 No. 出 願 人 国 籍 出 願 件 数

1 米 国 723 15 ス ペ イ ン 欧 州 6

2 日 本 110 15 ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド 6

3 ド イ ツ 欧 州 85 17 イ タ リ ア 欧 州 4

4 イ ギ リ ス 欧 州 55 18 中 国 3

5 ス イ ス 欧 州 ₅₀ 18 韓 国 ₃

6 イ ス ラ エ ル 41 20 フ ィ ン ラ ン ド 欧 州 2

7 オ ー ス ト ラ リ ア 36 21 ロ シ ア 1

8 フ ラ ン ス 欧 州 ₂₄ 21 ル ク セ ン ブ ル グ 欧 州 ₁

9 ベ ル ギ ー 欧 州 19 21 メ キ シ コ 1

10 カ ナ ダ 18 21 ア イ ス ラ ン ド 欧 州 1

11 ア イ ル ラ ン ド 欧 州 14 個 人 46

12 オ ー ス ト リ ア 欧 州 9

13 デ ン マ ー ク 欧 州 ₈

14 オ ラ ン ダ 欧 州 7 総 計 1, 280

注 ： PCT 出 願 を 対 象 に WPI NDEX( STN) で 検 索 （ 2005. 08. 04 キ ー ワ ー ド 検 索 、 2005. 09. 26 特 定 出 願 人 、 発 明 者 名 検 索 ）、 優 先 権 主 張 年 が 1998- 2003 年 で 集 計

RNAi 関 連 特 許 の 出 願 人 数 と 出 願 件 数 は 、 と も に 2000 年 以 降 急 激 な 伸 び を 示 し 、 ま た 出 願 人 国 籍 別 で も 同 様 の 傾 向 を 示 し て い る 。RNAi に 関 す る 研 究 開 発 は 世 界 的 に 行 わ れ て お り 、出 願 人 の 新 規 参 入 に よ る 出 願 件 数 の 増 加 と い う 典 型 的 な 発 展 期 の 技 術 で あ る こ と が わ か る 。

図 - 4 RNAi 関 連 特 許 の 出 願 人 全 体 ／ 国 籍 別 出 願 人 数 と 出 願 件 数 の 関 係 （ PCT 出 願 ）

注 ： PCT 出 願 を 対 象 に WPI NDEX( STN) で 検 索 （ 2005. 08. 04 キ ー ワ ー ド 検 索 、 2005. 09. 26 特 定 出 願 人 ／ 発 明 者 名 検 索 ）、 優 先 権 主 張 年 が 1998- 2003 年 で 集 計

PCT出願総数

0 50 100 150 200 250 300 350 400

0 100 200 300 400 500 600 700

出願件数 出

願 人 数

2003

2000 1998

2001

2002

日米欧出願人国籍別

0 20 40 60 80 100 120 140 160 180

0 100 200 300 400

出願件数 出

願 人 数

日本国籍 米国国籍 欧州国籍

2003

1998

2002 2003

2002

2003

2002 2001

2001

は 解 析 対 象 の 出 願 人 国 籍

RNAi 関 連 特 許 の 出 願 は 2000 年 を 境 に 急 激 に 増 加 し 、 特 に 米 国 籍 出 願 人 に よ る 出 願 増 が 全 体 の 伸 び を 支 え て い る 。な お 、2003 年 の デ ー タ は 完 全 に は 取 得 で き て い な い が 、実 際 に は さ ら に 伸 び て い る と 推 定 さ れ る 。

図 - 5 RNAi 関 連 特 許 の 出 願 人 国 籍 別 出 願 件 数 推 移 （ PCT 出 願 ）

注 ： PCT 出 願 を 対 象 に WPI NDEX( STN) で 検 索 （ 2005. 08. 04 キ ー ワ ー ド 検 索 、 2005. 09. 26 特 定 出 願 人 ／ 発 明 者 名 検 索 ）、 優 先 権 主 張 年 が 1998- 2003 年 で 集 計

ま た RNAi 関 連 特 許 の 出 願 の 出 願 人 国 籍 別 シ ェ ア は 、1998 年 ∼ 2003 年 通 算 で 、米 国 が 56％ 、 欧 州 は 23％ 、 日 本 お よ び そ の 他 の 国 々 は 伸 び つ つ あ る も の の 各 10％ 前 後 で あ る 。

図 - 6 RNAi 関 連 特 許 の 出 願 人 国 籍 別 出 願 シ ェ ア （ PCT 出 願 ）

注 ： PCT 出 願 を 対 象 に WPI NDEX( STN) で 検 索 （ 2005. 08. 04 キ ー ワ ー ド 検 索 、 2005. 09. 26 特 定 出 願 人 ／ 発 明 者 名 検 索 ）、 優 先 権 主 張 年 が 1998- 2003 年 で 集 計

0 50 100 150 200 250 300 350 400

1998 1999 2000 2001 2002 2003

優先権主張年 出

願 件 数

︵

日 米 欧 他

︶

0 100 200 300 400 500 600 700

出 願 件 数

︵

総 数

︶

日本国籍 米国国籍 欧州国籍 その他 総数

出願人国籍

1998- 2003年

米国国籍 56% その他

12% 欧州国籍

23%

日本国籍 9%

20%

56% 57% 53%

60% ^55%

20%

33%

39%

35%

23%

19% 60%

11%

4%

10% 10%

14%

2% ^7%

11% 0%

10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

1998 1999 2000 2001 2002 2003

優先権主張年 出

願 件 数 シ

ェ

ア

︵

日 米 欧 他

︶

日本国籍 米国国籍 欧州国籍 その他 出願人国籍

米国国籍 欧州国籍 その他 1 1

1 13 その他

111 199

478 74

医薬･ 医療

2 1 化学品生産

35 4

農林水産業 45 11

ライフサイエンス 2

基礎研究

2 その他

12 2 1

分析評価技術 細胞･ 組織･ 器官・個体 への導入/ ターゲッティング

13 56 16

12 RNAi ライブラリー

11 1

RNAi 発現システム

5 12

35 13

s i RNA合成／生合成

5

45 ⁷

s i RNAデザイン

7

21

5 3

5 2 RNAi 基本原理・ 11

メカニズム

日本国籍

出願人国籍 要

素 技 術

応 用 産 業 分 野

技 術 区 分 で は 、要 素 技 術 が 24％ 、応 用 産 業 分 野 が 76％ で あ る 。要 素 技 術 で は「 細 胞・組 織 ・ 器 官 ・ 個 体 へ の 導 入 ／ タ ー ゲ ッ テ ィ ン グ 」、「 RNAi 発 現 シ ス テ ム 」、「 s i RNA 合 成 ／ 生 合 成 」 が 中 心 で あ り 、 応 用 産 業 分 野 で は 「 医 薬 ・ 医 療 」 が 約 90％ を 占 め て い る 。

図 - 7 RNAi 関 連 特 許 の 技 術 区 分 別 出 願 比 率 （ PCT 出 願 ）

注 ： PCT 出 願 を 対 象 に WPI NDEX( STN) で 検 索 （ 2005. 08. 04 キ ー ワ ー ド 検 索 、 2005. 09. 26 特 定 出 願 人 ／ 発 明 者 名 検 索 ）、 優 先 権 主 張 年 が 1998- 2003 年 で 集 計

出 願 人 国 籍 別 で は 、 ほ と ん ど の 技 術 区 分 で 出 願 総 数 の 多 い 米 国 が 他 を 圧 し て い る が 、 応 用 産 業 分 野 の 「 農 林 水 産 業 」 で は 欧 州 が 米 国 よ り 多 く な っ て い る 。 日 本 は 「 医 薬 ・ 医 療 」 を 除 く と 出 願 件 数 が 少 な い 。

図 - 8 RNAi 関 連 特 許 の 出 願 人 国 籍 別 ・ 技 術 区 分 別 出 願 件 数 （ PCT 出 願 ）

注 ： PCT 出 願 を 対 象 に WPI NDEX( STN) で 検 索 （ 2005. 08. 04 キ ー ワ ー ド 検 索 、 2005. 09. 26 特 定 出 願 人 ／ 発 明 者 名 検 索 ）、 優 先 権 主 張 年 が 1998- 2003 年 で 集 計

要素技術

細胞･組織･器官・ 個体への導入/ ターゲッティング

31% ^{siRNA 合成／}

生合成 19% その他

分析評価技術 1% 5%

RNAi発現 システム 22% R NAi

ライブラリー 4%

siRNAデザイン 12% RNAi基本原理・

メカニズム 6%

応用産業分野

化学品生産 0.3% ライフサイエン

ス基礎研究 0.2%

農林水産業 10% その他

2%

医薬･医療 88%

P C T 出願

応用産業分野 978件

76% 要素技術

302件 24%

要 素 技 術 で は 、米 国 は ほ と ん ど の 区 分 で 出 願 し て い る が 、日 本 は「 目 的 細 胞・組 織・器 官 ・ 個 体 へ の 効 率 的 導 入 」 が 出 願 の 中 心 で あ る 。 応 用 産 業 分 野 の 「 医 薬 ・ 医 療 」 で は 、 米 国 ・ 欧 州 は 「 RNAi 医 薬 」 と 「 ゲ ノ ム 創 薬 」 の 比 率 が 約 3： 1 で あ る が 、 日 本 出 願 人 は 約 10： 1 で あ り 、 日 本 は 「 ゲ ノ ム 創 薬 」 へ の 展 開 が 弱 い 。

図- 9 RNAi 関 連 特 許 の出願人国籍別・技術区分別出願件数（PCT 出 願 ； 詳 細 ）

注 ： PCT 出 願 を 対 象 に WPI NDEX( STN) で 検 索 （ 2005. 08. 04 キ ー ワ ー ド 検 索 、 2005. 09. 26 特 定 出 願 人 ／ 発 明 者 名 検 索 ）、 優 先 権 主 張 年 が 1998- 2003 年 で 集 計

米国国籍 欧州国籍 その他

その他

2

その他 ³

表現形質等に及ぼす影響の 観察・測定手法

1 1

2 遺伝子発現ﾚﾍﾞﾙの定量的

測定手法

8 その他

1 2

導入のﾊ ｲ ｽ ﾙ ｰ ﾌ ﾟ ｯ ﾄ 化

1 1

目的細胞･組織･器官・個体へのﾀｰ ｹﾞｯﾃィﾝｸﾞ

11

3 1

11 13

42 11

目的細胞･組織･器官・個体への 効率的導入

その他

2 1

RNAi ﾗ ｲ ﾌ ﾞ ﾗ ﾘ ｰ の利用方法

9 RNAi ﾗ ｲ ﾌ ﾞ ﾗ ﾘ ｰ の構築方法

2 その他

発現カセットの構築

5

33 13 12

その他 ¹

生化学合成

4 6 2

化学合成 ¹ 38

5

その他 ¹

2

有効配列の評価方法 ²

3 4 1

RNAi ﾃ ﾞ ｰ ﾀ ﾍ ﾞ ｰ ｽ

有効配列設計手法 ⁴ 18

1 その他

ﾒ ｶ ﾆ ｽ ﾞ ﾑ / 構成要素

2 1

基本原理 9

4 2

日本国籍

出願人国籍 RNAi 基本原理・メカニズム

s i RNAデザイン

s i RNA合成／生合成

RNAi 発現システム

RNAi ライブラリー

細胞･ 組織･ 器官・ 個体への導入/ ターゲッティング

分析評価技術

米国国籍 欧州国籍 その他

1 1 13

1 その他

2 2 11

2 その他

7 2

13 2

再生医療

350 61

RNAi 医薬 140 80

22 54

101 6

ゲノム創薬

1 3

3 バイオ医薬

1 2

化学品生産 動物

4

5

2 植物

4

31 40 9

遺伝子／蛋白質の 機能解析

2

日本国籍

出願人国籍 ライフサイエンス

基礎研究

農林水産業

医薬･ 医療

米国国籍 欧州国籍 その他 7 23

40 4

その他

12 12

31 医薬スクリーニング

手法

6 5 1

疾患モデル動物作出

18 1

疾患メカニズム解析

8 2

6 1 6

創薬標的探索／評価

日本国籍

出願人国籍

「 ゲ ノ ム 創 薬 」 で は 、 米 国 出 願 人 が 各 技 術 区 分 で 満 遍 な く 出 願 し て い る が 、 特 に 「 医 薬 ス ク リ ー ニ ン グ 手 法 」 に 関 す る 出 願 を 多 く し て い る の が 注 目 さ れ る 。

図- 10 RNAi 関 連 特 許 のゲ ノ ム 創 薬 分 野 の 出願人国籍別出願件数（PCT 出 願 ）

注 ： PCT 出 願 を 対 象 に WPI NDEX( STN) で 検 索 （ 2005. 08. 04 キ ー ワ ー ド 検 索 、 2005. 09. 26 特 定 出 願 人 ／ 発 明 者 名 検 索 ）、 優 先 権 主 張 年 が 1998- 2003 年 で 集 計

「 RNAi 医 薬 」の 対 象 疾 患 別 で は 、日 米 欧 と も に「 新 生 物 」が 出 願 の 中 心 だ が 、米 国 の「 感 染 症 」、「 循 環 器 系 の 疾 患 」 に 関 す る 出 願 の 比 率 は 他 国 に 比 べ て 高 い 。

図- 11 RNAi 関 連 特 許 の RNAi 医 薬 分 野 の 出願人国籍別出願件数（PCT 出 願 ）

注 ： PCT 出 願 を 対 象 に WPI NDEX( STN) で 検 索 （ 2005. 08. 04 キ ー ワ ー ド 検 索 、 2005. 09. 26 特 定 出 願 人 ／ 発 明 者 名 検 索 ）、 優 先 権 主 張 年 が 1998- 2003 年 で 集 計 、「 そ の 他 の 疾 患 」 に は 上 記 以 外 の 疾 患 の ほ か 、 複 数 の 疾 患 を 対 象 と す る も の 、 対 象 疾 患 を 特 定 で き な い も の を 含 む

米国国籍 欧州国籍 その他

23 51

112 9

その他の疾患

2 3

1 尿路性器系の疾患

8 4 2 5

筋骨格系及び結合組 織の疾患

4 皮膚の疾患

4 1

2 1 1

消化器系の疾患

5 1 呼吸器系の疾患

1 1 13

2 循環器系の疾患

眼の疾患

1 3 1

神経系の疾患

3 16

10 3

内分泌及び代謝疾患

4 10 9 ³

血液系並びに免疫機

構の疾患 ¹¹

1 2

新生物 36 131 47 27

5 13 36

3 感染症

日本国籍

出願人国籍

∼ 出 願 総 数 に 比 べ て 極 め て 少 な い 出 願 登 録 ∼

こ れ ま で に 登 録 さ れ て い る RNAi 関 連 特 許 は 米 国 14 件 、欧 州 5 件 、日 本 3 件 、合 計 22 件 と 出 願 総 数 に 比 べ て 極 め て 少 な く 、 特 許 の 排 他 性 、 権 利 関 係 を 確 定 す る こ と は 困 難 で あ る 。 こ れ ら の 中 か ら 技 術 と し て 汎 用 性 を 有 し 注 目 さ れ る 特 許 の 概 要 を 示 す 。

表 - 12 RNAi の 注 目 登 録 特 許

登 録 番 号

優 先 権 日 出 願 日 登 録 日

出 願 人 発 明 者 等 氏 名 概 要

US 6506559 19971223 19981218 20030114

Car negi e I ns t i t ut e of Was hi ngt on

F i r e, A; Xu, S; Mont gomer y , MK; Kos t as , SA; Ti mmons , L ; Tabar a, H; Dr i v er , SE; Mel l o, CC

標 的 遺 伝 子 の 塩 基 配 列 に 対 応 す る 第 一 の リ ボ ヌ ク レ オ チ ド 鎖 と 標 的 遺 伝 子 の 塩 基 配 列 と 相 補 な 第 二 の リ ボ ヌ ク レ オ チ ド 鎖 か ら な り 、 第 一 と 第 二 の 鎖 が 互 い に ハ イ ブ リ ダ イ ズ し て 二 本 鎖 を 形 成 す る 二 本 鎖 RNAに よ り i n v i t r oで 細 胞 中 の 標 的 遺 伝 子 の 発 現 を 阻 害 す る 方 法

US 6573099 19980320 19980619 20030603

Beni t ec Aus t r al i a, L t d.

Gr aham, MW 動 物 細 胞 中 で 標 的 遺 伝 子 の 発 現 を 抑 制 し う る 遺 伝 子 構 築 物 を 規 定 し て お り 、 そ の 構 築 物 が 標 的 遺 伝 子 と 少 な く と も 部 分 的 に 同 一 な 配 列 を 有 す る 少 な く と も ２ コ ピ ー の 構 造 遺 伝 子 か ら な り 、 1) ２ コ ピ ー が 共 に 単 一 の プ ロ モ ー タ ー の 制 御 下 に あ り 少 な く と も １ コ ピ ー が セ ン ス 方 向 に 配 置 さ れ て い る 、 2) ２ コ ピ ー が 別 個 の プ ロ モ ー タ ー の 制 御 下 に あ り 、 少 な く と も １ コ ピ ー が セ ン ス 方 向 に 配 置 さ れ て い る 、 3) ２ コ ピ ー が 共 に 単 一 の プ ロ モ ー タ ー の 制 御 下 に あ り 、 少 な く と も １ コ ピ ー が セ ン ス 方 向 に 、 他 方 が ア ン チ セ ン ス 方 向 に 配 置 さ れ て い る 、 4) ２ コ ピ ー が 別 個 の プ ロ モ ー タ ー の 制 御 下 に 少 な く と も １ コ ピ ー が セ ン ス 方 向 に 、 他 方 が ア ン チ セ ン ス 方 向 に 配 置 さ れ て い る 、 5) ２ コ ピ ー が 共 に 単 一 の プ ロ モ ー タ ー の 制 御 下 に 少 な く と も １ コ ピ ー が セ ン ス 方 向 に 、 他 方 が ア ン チ セ ン ス 方 向 に 配 置 さ れ て お り 、 両 者 が 互 い に 核 酸 断 片 で 隔 離 さ れ て い る

EP 1144623B 19990130 20000129 20020828

Ri bophar ma AG

Kr eut z er , R; L i mmer , S

25塩 基 長 未 満 の 標 的 遺 伝 子 と 相 補 の 領 域 を 有 し 別 個 の RNA一 本 鎖 か ら 形 成 さ れ る 二 本 鎖 RNAを 用 い て 哺 乳 類 細 胞 内 で 標 的 遺 伝 子 の 発 現 を i n v i t r oで 抑 制 す る 方 法 、 該 二 本 鎖 RNAか ら な る 医 薬

（ medi c ament ） EP 1214945B 19990130

20000129 20050608

Al ny l am Eur ope AG

Kr eut z er , R; L i mmer , S

49塩 基 長 未 満 の 標 的 遺 伝 子 と 相 補 の 領 域 を 有 し 別 個 の RNA一 本 鎖 か ら 形 成 さ れ る 15∼ 49塩 基 長 の 二 本 鎖 RNAを 用 い て 哺 乳 類 細 胞 内 で 標 的 遺 伝 子 の 発 現 を i n v i t r oで 抑 制 す る 方 法 、 該 二 本 鎖 RNAか ら な る 医 薬 （ medi c ament ）

EP 1230375B 19991119 20001117 20050706

Canc er Res ear c h Tec hnol ogy L t d.

Zer ni c ka- Goet z , M;

Wi anny , F ; Ev ans , MJ ; Gl ov er , DM

哺 乳 動 物 細 胞 の 標 的 遺 伝 子 と 少 な く と も 80%同 一 で 標 的 遺 伝 子 の 転 写 物 と 特 定 条 件 で ハ イ ブ リ ダ イ ズ で き 、 endogenous な 鋳 型 あ る い は 発 現 ベ ク タ ー に 由 来 す る 二 本 鎖 RNAの 医 薬 と し て の 利 用

J P 3642573B 20011128 20021128 20050204

東 京 大 学 TL O 多 比 良 和 誠 ; 宮 岸 真

pol Ⅱ 系 ま た は pol Ⅲ 系 プ ロ モ ー タ ー に よ り ア ン チ セ ン ス 及 び セ ン ス RNAを 発 現 さ せ ア ニ ー ル に よ り 哺 乳 動 物 細 胞 内 で 標 的 遺 伝 子 の 発 現 を 抑 制 し 得 る 19∼ 49塩 基 対 の s i RNAを 発 現 さ せ る シ ス テ ム 注 ： WPI NDEX( STN) で 検 索 （ 2005. 08. 04 キ ー ワ ー ド 検 索 、 2005. 09. 26 特 定 出 願 人 ／ 発 明 者 名 検 索 ） し 、 登 録 特 許 の 中 か ら 注 目 特 許 を 選 択

ト ピ ッ ク ス ∼ RNAi 関 連 特 許 の 実 効 性 ∼

特 許 の 実 効 性 に 関 し て は 、 請 求 項 の 記 載 に つ い て 明 細 書 、 特 に 実 施 例 で ど の 程 度 の 裏 付 け が あ る か が 重 要 で あ る 。そ こ で 、RNAi 関 連 特 許 の 明 細 書 で の 具 体 的 記 載 の 有 無 を 調 べ た 。「 具 体 的 記 載 の 有 無 」の 判 断 は 記 載 の 程 度 を 一 律 に 規 定 で き な い た め 、「 有 」と し た も の 全 て が 同 じ 水 準 に あ る わ け で は な い が 、 例 え ば 「 あ る 遺 伝 子 に 対 す る s i RNA と し て 具 体 的 な 配 列 が 記 載 し て あ る 」、「 実 際 に 発 現 ベ ク タ ー を 作 製 し て い る 」、「 RNAi 効 果 を 実 験 で 実 証 し て い る 」も の 等 を 「 有 」 と し た 。 一 方 、「 明 細 書 に 全 く 記 載 の な い も の 」、 記 載 が あ っ て も 「 一 般 的 な 手 法 を 述 べ そ れ ら を 用 い れ ば そ の 発 明 の 構 成 物 を 作 製 で き る 」 と 記 述 す る に 留 ま っ て い る も の は 「 無 」 と し た 。

そ の 結 果 、 要 素 技 術 に 関 し て は 比 較 的 具 体 的 な 裏 付 け の あ る も の が 多 い （ 64％ ） が 、 応 用 産 業 分 野 で は そ の 比 率 が 下 が り （ 41％ ）、 全 体 で は 約 50％ で あ っ た 。 こ の よ う に 出 願 件 数 は 多 い も の の 、公 開 公 報 に 記 載 の 請 求 項 の ま ま 特 許 と し て 成 立 す る も の は 少 な い と 考 え ら れ る 。

表 - 13 RNAi 関 連 特 許 の 明 細 書 に お け る 具 体 的 記 載 の 有 無 （ PCT 出 願 ）

技 術 区 分

区 分 2 区 分 3

有 無 総 計 有 割 合

基 本 原 理 15 15 100%

RNAi 基 本 原 理 ・ メ カ ニ ズ ム

メ カ ニ ズ ム / 構 成 要 素 2 1 3 67%

有 効 配 列 設 計 手 法 20 3 23 87%

有 効 配 列 の 評 価 方 法 8 2 10 80%

s i RNA デ ザ イ ン

s i RNA デ ザ イ ン そ の 他 3 3 0%

化 学 合 成 33 11 44 75%

生 化 学 合 成 8 4 12 67%

s i RNA 合 成 ／ 生 合 成

s i RNA 合 成 ／ 生 合 成 そ の 他 1 1 100%

発 現 カ セ ッ ト の 構 築 46 17 63 73%

RNAi 発 現 シ ス テ ム

RNAi 発 現 シ ス テ ム そ の 他 2 2 0%

RNAi ラ イ ブ ラ リ ー の 構 築 方 法 8 1 9 89%

RNAi ラ イ ブ ラ リ ー

RNAi ラ イ ブ ラ リ ー の 利 用 方 法 2 1 3 67%

目 的 細 胞 ･ 組 織 ･器 官 ・ 個 体 へ の 効 率 的 導 入 29 48 77 38% 目 的 細 胞 ･ 組 織 ･器 官 ・ 個 体 へ の タ ー ゲ ッ テ ィ ン

グ 7 8 15 47%

導 入 の ハ イ ス ル ー プ ッ ト 化 1 1 2 50%

細 胞 ･ 組 織 ･ 器 官・個 体 へ の 導 入 / タ ー ゲ ッ テ ィ ン グ

細 胞 ･ 組 織 ･ 器 官 ・ 個 体 へ の 導 入 / タ ー ゲ ッ テ ィ

ン グ そ の 他 2 1 3 67%

遺 伝 子 発 現 レ ベ ル の 定 量 的 測 定 手 法 8 2 10 80%

表 現 形 質 等 に 及 ぼ す 影 響 の 観 察 ・ 測 定 手 法 1 1 2 50%

分 析 評 価 技 術

分 析 評 価 技 術 そ の 他 3 3 0%

そ の 他 要 素 技 術 そ の 他 1 1 2 50%

ラ イ フ サ イ エ ン ス 基 礎 研 究 遺 伝 子 ／ 蛋 白 質 の 機 能 解 析 2 2 100%

植 物 30 54 84 36%

農 林 水 産 業

動 物 5 6 11 45%

化 学 品 生 産 化 学 品 生 産 3 3 0%

バ イ オ 医 薬 3 4 7 43%

ゲ ノ ム 創 薬 45 138 183 25%

RNAi 医 薬 306 325 631 48%

再 生 医 療 4 20 24 17%

医 薬 ･ 医 療

医 薬 ･ 医 療 そ の 他 8 9 17 47%

そ の 他 応 用 産 業 分 野 そ の 他 1 15 16 6%

総 計 596 684 1, 280 47%

注 ： PCT 出 願 を 対 象 に WPI NDEX( STN) で 検 索 （ 2005. 08. 04 キ ー ワ ー ド 検 索 、 2005. 09. 26 特 定 出 願 人 ／ 発 明 者 名 検 索 ）、 優 先 権 主 張 年 が 1998- 2003 年 で あ る も の を 選 択 、 明 細 書 で 内 容 確 認

第 ３ 章 RNAi の 研 究 開 発 リ ー ダ

∼ 米 国 の ベ ン チ ャ ー 企 業 、 大 学 が 牽 引 す る RNAi 関 連 特 許 出 願 ∼

RNAi 関 連 特 許 の PCT 出 願 上 位 出 願 人 と そ の 件 数 の 推 移 を 表 - 14 に 示 す 。 出 願 人 の 上 位 に は 米 国 の ベ ン チ ャ ー 企 業 、 大 学 が 多 数 入 り 、 こ れ ら が 研 究 開 発 の 中 心 と な っ て い る こ と が わ か る 。 日 本 か ら は 東 京 大 学 お よ び 東 京 大 学 発 の ベ ン チ ャ ー 企 業 で あ る オ ン コ セ ラ ピ ー ・ サ イ エ ン ス が 、 日 米 以 外 で は ス イ ス 、 ド イ ツ 、 イ ス ラ エ ル の 出 願 人 が 上 位 に 入 っ て い る 。

表 - 14 RNAi 関 連 特 許 の 出 願 人 ラ ン キ ン グ （ PCT 出 願 ）

出 願 件 数 ( 優 先 権 主 張 年 )

順位

出 願 人 国 籍 属 性 ¹

9 9 7

1 9 9 8

1 9 9 9

2 0 0 0

2 0 0 1

2 0 0 2

2 0 0 3

2 0 0 4

合計

1 SI RNA THERAPEUTI CS, I NC. 米 国 ベ ン チ ャ ー 企 業 0 0 0 0 3 25 20 1 48

2 NOVARTI S AG ス イ ス 大 手 企 業 0 0 0 1 7 16 12 0 36

3 I SI S PHARMACEUTI CAL S, I NC. 米 国 ベ ン チ ャ ー 企 業 0 0 0 0 2 23 9 0 34 4 UNI VERSI TY OF MASSACHUSETTS 米 国 大 学 1 0 0 1 1 12 12 0 26

5 WYETH 米 国 大 手 企 業 0 0 0 0 2 8 13 0 23

6 東 京 大 学 日 本 大 学 0 0 0 0 2 13 7 0 22

7 AL NYL AM PHARMACEUTI CAL S 米 国 ベ ン チ ャ ー 企 業 0 0 2 0 7 3 9 0 21

8 MI RUS CORPORATI ON 米 国 大 手 企 業 0 0 0 0 1 3 14 0 18

9 MASSACHUSETTS I NSTI TUTE OF TECHNOL OGY 米 国 大 学 0 0 0 1 0 9 7 0 17 10 RI GEL PHARMACEUTI CAL S, I NC. 米 国 ベ ン チ ャ ー 企 業 0 0 0 0 4 12 0 0 16 10 REGENTS OF THE UNI VERSI TY OF CAL I F ORNI A 米 国 大 学 0 0 0 1 2 8 5 0 16

10 オ ン コ セ ラ ピ ー ・ サ イ エ ン ス 日 本 ベ ン チ ャ ー 企 業 0 0 0 0 1 13 2 0 16

13 DI VERSA CORPORATI ON 米 国 ベ ン チ ャ ー 企 業 0 0 0 0 0 6 9 0 15

13

MAX- PL ANCK- GESEL L SCHAF T ZUR F ORDERUNG DER WI SSENSCHAF TEN E. V

ド イ ツ 公 的 機 関 0 0 0 1 1 5 8 0 15

15 UNI VERSI TY OF ROCHESTER 米 国 大 学 0 0 0 2 3 6 2 0 13

16 AMGEN, I NC. 米 国 ベ ン チ ャ ー 企 業 0 0 0 0 3 5 4 0 12

17 ア メ リ カ 合 衆 国 米 国 公 的 機 関 0 0 0 0 1 4 6 0 11

17 SERONO I NTERNATI ONAL S. A. ス イ ス 大 手 企 業 0 0 0 0 0 7 4 0 11 19 BETH I SRAEL DEACONESS MEDI CAL CENTER 米 国 公 的 機 関 0 0 0 1 0 3 6 0 10 19 PROTEOL OGI CS, I NC.

イ ス ラ エ ル

ベ ン チ ャ ー 企 業 0 0 0 0 3 2 5 0 10 21 TRUSTEES OF THE UNI VERSI TY OF PENNSYL VANI A 米 国 大 学 0 0 1 0 1 2 5 0 9

21 SEQUENOM, I NC. 米 国 ベ ン チ ャ ー 企 業 0 0 0 0 0 8 1 0 9

23 GEORGETOWN UNI VERSI TY 米 国 大 学 0 0 0 0 4 0 4 0 8

23 GENPATH PHARMACEUTI CAL S, I NC. 米 国 ベ ン チ ャ ー 企 業 0 0 0 0 0 4 4 0 8

23 CHI RON CORPORATI ON 米 国 ベ ン チ ャ ー 企 業 0 0 0 0 1 4 3 0 8

23 ( 独 ) 産 業 技 術 総 合 研 究 所 日 本 公 的 機 関 0 0 0 0 0 1 7 0 8

23 CENTRE NATI ONAL DE L A RECHERCHE SCI ENTI F I QUE - CNRS フ ラ ン ス 公 的 機 関 0 0 0 0 1 3 4 0 8 23 I NTERCEL L AG

オ ー ス ト リ ア

ベ ン チ ャ ー 企 業 0 0 0 0 0 1 7 0 8

23

COMMONWEAL TH SCI ENTI F I C AND I NDUSTRI AL RESEARCH ORGANI ZATI ON

オ ー ス ト ラ リ ア

公 的 機 関 0 1 0 0 2 1 4 0 8

注 ： PCT 出 願 を 対 象 に WPI NDEX( STN) で 検 索 （ 2005. 08. 04 キ ー ワ ー ド 検 索 、 2005. 09. 26 特 定 出 願 人 ／ 発 明 者 名 検 索 ）、 順 位 は 優 先 権 主 張 年 が 1998- 2003 年 で 集 計

注 ： 研 究 開 発 型 企 業 で 設 立 が 比 較 的 新 し い 企 業 、 お よ び 現 在 は 企 業 規 模 が 大 き い が 設 立 当 初 に ベ ン チ ャ ー 企 業 と 言 わ れ て い た 企 業 を 「 ベ ン チ ャ ー 企 業 」 と 定 義 し た 、 大 学 、 公 的 研 究 機 関 に は そ の TL O を 含 む

第 ４ 章 RNAi の 基 本 特 許 ・ 重 要 特 許 分 析

∼ RNAi を 巡 る 特 許 権 の 活 用 状 況 ∼

RNAi は 比 較 的 新 し い 技 術 で あ り 、成 立・登 録 に 至 っ た 特 許 が 少 な く 権 利 関 係 が 確 定 し て い な い の が 最 大 の 特 徴 で あ る 。 従 っ て 、 侵 害 訴 訟 に 至 る ケ ー ス は 現 時 点 で は さ ほ ど 多 く な い 。 Beni t ec（ オ ー ス ト ラ リ ア ）が 他 社 を 特 許 権 侵 害 で 訴 え た 例 が あ る が 、一 部（ 対 Nuc l eoni c s ） を 除 い て 和 解 に 至 っ て い る 。

RNAi の 有 力 ベ ン チ ャ ー 企 業 で あ る Al nyl am Phar mac eut i c al sは 、 大 学 ・ 公 的 研 究 機 関 か ら RNAi の 基 本 特 許 と い わ れ る 特 許 の ラ イ セ ン ス を 多 数 受 け 、そ れ を 研 究 用 試 薬 ／ サ ー ビ ス 用 途 と し て 十 数 社 に ラ イ セ ン ス 供 与 す る と と も に 、RNAi 医 薬 開 発 用 途 で も 3 社 に ラ イ セ ン ス 供 与 す る な ど 、 活 発 な 特 許 権 の 活 用 を 図 っ て い る 。 Si r na Ther apeut i c s 、 Beni t ec と い っ た 他 の 有 力 ベ ン チ ャ ー 企 業 も 同 様 の 活 動 を 行 っ て い る 。

図 - 15 Al nyl am Phar mac eut i c al s の 特 許 権 の 活 用

注 ： Al ny l am Phar mac eut i c al sの プ レ ス リ リ ー ス 等 か ら 作 成 （ 2006. 02 時 点 ）

Al ny l am Phar mac eut i c al s RNAi の基本特許･ 重要特許の確保

・Gar c hi n I nnov at i ons ( Max Pl anc k のTL O)   2003. 02 s i RNA特許ﾗ ｲ ｾ ﾝ ｽ 取得

・Canc er Res ear c h Tec hnol ogy ( TL O)   2003. 04 RNAi 特許ﾗ ｲ ｾ ﾝ ｽ 取得

・MI T

  2003. 07 RNAi ﾃ ﾞ ﾘ ﾊﾞ ﾘ ｰ 特許ﾗ ｲ ｾ ﾝ ｽ 取得

・Ri bophar maと合併

  2003. 07 ds RNA医薬特許取得

・St anf or d Uni v .

  2003. 09 動物個体でのRNAi 特許ﾗ ｲ ｾ ﾝ ｽ 取得

・Col d Spr i ng Har bor L abor at or y   2004. 01 哺乳動物細胞RNAi 特許ﾗ ｲ ｾ ﾝ ｽ 取得

・Car negi e I ns t i t ut i on   不明 RNAi 基本特許ﾗ ｲ ｾ ﾝ ｽ 取得

・L udwi g Max i mi l i an Uni v .

  2005. 02 s i RNAﾃ ﾞｻ ﾞ ｲ ﾝ 特許ﾗ ｲ ｾ ﾝ ｽ 取得

・I SI S Phar mac eut i c al s

  2004. 03 標的RNA不活性化特許ﾗ ｲ ｾ ﾝ ｽ 取得

・Hy br i don

  2004. 08 VEGF 発現抑制特許ﾗ ｲ ｾ ﾝ ｽ 取得

・Beni t ec

  2005. 04 RNAi 発現技術ｸ ﾛ ｽ ﾗ ｲ ｾ ﾝ ｽ

研究用試薬/ サービス用途ライセンス供与 2004. 01

 ・Cel l Si gnal i ng Tec hnol ogy  ・I nv i t r ogen

 ・Ceni x Bi oSc i enc e  ・RNAx

2005. 06  ・Ambi on 2005. 07  ・Eur ogent ec  ・Si gma- Al dr i c h  ・MWG Bi ot ec h 2005. 09  ・QI AGEN 2006. 01  ・Dhar mac on 2006. 02

 ・I nt egr at ed DNA Tec hnol ogi es

RNAi 医薬用途ライセンス供与 2005. 01

 ・ｼ ﾞ ｰ ﾝ ｹ ｱ 研究所（DNA hel i c as e；腫瘍分野） 2005. 04

 ・Beni t ec （分野不詳） 2005. 07

 ・Nas t ec h Phar mac eut i c al （TNF α；炎症）

第 ２ 部 RNAi の 補 強 分 析 第 １ 章 政 策 動 向 分 析

∼ RNAi の 研 究 開 発 の 活 性 化 に 各 国 （ 地 域 ） は ど う か か わ っ て き た か ∼

RNAi の 研 究 開 発 の 重 要 な 担 い 手 と し て 大 学・公 的 研 究 機 関 が あ る が 、大 学・公 的 研 究 機 関 の 研 究 資 金 の 主 要 な ソ ー ス は 国 家 予 算 で あ る 。国 が RNAi の 重 要 性 を い つ ご ろ か ら 認 識 し て 国 家 予 算 の 投 入 を 開 始 し た か を 、日 本 の 科 学 研 究 費 、米 国 の Nat i onal I ns t i t ut e of Heal t h（ NI H） を 例 に RNAi 関 連 課 題 ・ プ ロ ジ ェ ク ト の 採 択 状 況 で 比 較 し た 。

同 等 の 検 索 を 行 う こ と が 難 し い の で 単 純 な 比 較 は で き な い が 、米 国 の 方 が 1、2 年 早 く 研 究 助 成 を 開 始 し て お り 、 ま た 採 択 課 題 数 も 多 い よ う に 見 ら れ 、 そ の 差 が 日 米 の 特 許 出 願 数 の 差 に つ な が っ て い る 可 能 性 が あ る 。 な お 、 NI Hの 資 金 に は 民 間 企 業 、 海 外 の 機 関 に も 交 付 さ れ る も の が あ る 。

表 - 16 RNAi 関 連 の 科 学 研 究 費 ・ NI H の 採 択 課 題 数 の 推 移

年 度 科 学 研 究 費 NI H

1997 0 0

1998 0 1

1999 0 8

2000 1 13

2001 7 29

2002 18 83

2003 44 240

2004 87 504

2005 129 781

注 ： 科 学 研 究 費 は 科 学 研 究 費 補 助 金 デ ー タ ベ ー スKAKEN を 用 い て 「 採 択 課 題 」 を 検 索 （ 2005. 12. 28 検 索 ）、 継 続 課 題 は 当 該 年 毎 に 各 １ 件 と カ ウ ン ト

注 ： NI H は デ ー タ ベ ー ス CRI SP で 会 計 年 度 ご と に 検 索 （ 2005. 10. 26 検 索 ）

一 方 、 欧 州 で は Eur opean Uni on レ ベ ル で RNAi 関 連 の プ ロ ジ ェ ク ト が 行 わ れ て き て い る 。 5t h F r amewor k Pr ogr amme（ 1998- 2002） で は シ ロ イ ヌ ナ ズ ナ の RNAi に よ る 遺 伝 子 発 現 抑 制 株 コ レ ク シ ョ ン を 作 製 す る AGRI KOL A、 シ ロ イ ヌ ナ ズ ナ の 転 写 調 節 因 子 の 解 析 を 行 う REGI A が 、 6t h F r amewor k Pr ogr amme で は 有 糸 分 裂 に 係 わ る 全 て の 遺 伝 子 を 体 系 的 に 探 索 し メ カ ニ ズ ム を 明 ら か に す る MI TOCHECK 、 胚 性 幹 細 胞 の 細 胞 分 化 の 遺 伝 子 発 現 ア ト ラ ス を 作 製 す る F unGenES、RNAi 医 薬 の 開 発 の た め の 要 素 技 術 開 発 を 行 う RI GHT な ど の プ ロ ジ ェ ク ト が 実 施 さ れ て き た 。 欧 州 の プ ロ ジ ェ ク ト の 特 徴 は 、 大 学 ・ 公 的 研 究 機 関 だ け で は な く 民 間 企 業 が 参 加 し て い る プ ロ ジ ェ ク ト が 多 い こ と で あ る 。

こ の 他 、民 間 レ ベ ル の プ ロ ジ ェ ク ト で は 、米 国 で The RNAi Cons or t i umが 結 成 さ れ て い る 。 参 加 機 関 は Br oad I ns t i t ut e と い っ た 米 国 の 大 学 ・ 公 的 研 究 機 関 の 他 、 Nov ar t i s 、 El i L i l l y の よ う な 大 手 製 薬 企 業 、 Si gma- Al dr i c h の よ う な 試 薬 メ ー カ ー な ど 産 官 学 が 含 ま れ て お り 、 ヒ ト お よ び マ ウ ス の 全 遺 伝 子 に 対 す る RNAi ラ イ ブ ラ リ ー を 構 築 、提 供 す る こ と を 目 的 と し て い る 。こ の コ ン ソ ー シ ア ム で 開 発 さ れ た ラ イ ブ ラ リ ー は 既 に 試 薬 と し て 販 売 さ れ 、RNAi 関 連 の 研 究 開 発 の 活 性 化 に 貢 献 し て い る 。