• 検索結果がありません。

炭素材料及びその応用技術 -平成23年度特許出願技術動向調査の紹介- 「特技懇」誌のページ(特許庁技術懇話会 会員サイト)

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2018

シェア "炭素材料及びその応用技術 -平成23年度特許出願技術動向調査の紹介- 「特技懇」誌のページ(特許庁技術懇話会 会員サイト)"

Copied!
13
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

TECHNO

TREND

査結果に基づき、「炭素材料及びその応用技術」の現状と 展望についてご紹介します。

2.

炭素材料及びその応用技術の俯瞰

〜変遷と現状〜

 一般に「炭素材料」とは、炭素原子で構成される多種多 様な材料を包含する幅広い概念ですが、今回の調査では、 前節でも述べたように、炭素材料として「炭素繊維」と「ナ ノ炭素材料」を取り上げました。

 炭素繊維が初めて材料として利用されたのは、竹由来の カーボンフィラメントが使用された白熱電球であると言わ れています。炭素繊維は、繊維単独として使われることは ほとんどなく、基本的には、炭素繊維を樹脂で固めた炭素 繊維強化プラスチック(CFRP;Carbon Fiber Reinforced

Plastic)という形で使用されています。比重は鉄の 1/4、 比強度(重量比強度)は鉄の 10 倍といわれている炭素繊維 は、従来、その特性を活かし、テニスラケットやゴルフク ラブに利用されてきました。近年は、製造技術や加工技術 の進歩により、製造コストの低減ばかりでなく、性能面で も大きな進展が見られていることから、主要な構造材とし て、つり橋のケーブルから風力発電、自動車関連分野まで、 積極的な利用が進められています。

 一方、カーボンナノチューブやフラーレンなどのナノ炭 素材料は、1980 年代後半以降に見いだされた比較的新し い炭素材料であり、物質の構造をナノメートルレベルで制 御し、新規の機能を創出するナノテクノロジーの根幹を占

抄 録

 炭素材料の中でも、「炭素繊維」と「ナノ炭素材料」は、 その開発と発展に日本の研究者・技術者が多大な貢献 をしてきた材料です。しかしながら、応用産業へ需要 拡大の期待が高まる中で、最近、中韓をはじめとする 東アジア勢の伸びが顕著であり、日本の技術的優位性 が必ずしも安泰とは言えない状況となっています。今 後は、事業化を念頭に置いた戦略的な研究開発と知財 体制の構築が求められます。

 今回のテクノトレンドでは、平成 23 年度特許出願 技術動向調査「炭素材料及びその応用技術」の調査結 果の中から、「炭素繊維」と「ナノ炭素材料」に関する 特許出願動向、研究開発動向等の調査結果を示しつつ、 今後我が国が目指すべき方向性について、「炭素繊維」 と「ナノ炭素材料」に分けてご紹介します。

特許庁特許審査第三部審査調査室 

鳥居 敬司

炭素材料及び

その応用技術

─平成 23 年度特許出願技術

 動向調査の紹介─

1.

はじめに

 航空機の機体、つり橋のケーブル、ゴルフクラブ、蛍光 ランプ、リチウム二次電池の負極材料…と並べると、一見 何の関連も無さそうですが、これらには何れも、炭素繊維 やナノ炭素材料といった「炭素材料」が使用され、重要な 役割を果たしています。炭素は、グラファイトやダイヤモ ンドのように、古来より人類が慣れ親しんできた身近な材 料であるとは言え、上記列挙した用途とは直ちに結びつか ないかもしれません。

(2)

の生産量が全体の 90%程度を占めています。PAN 系炭素 繊維は、高強度・高弾性の性質を持つ材料であり、航空機・ 宇宙分野、スポーツ・レジャー分野など広範な用途に使わ れています。一方、ピッチ系炭素繊維は、製法の諸条件で 低弾性率から超高弾性率・高強度まで、幅広く性質を調整 できます。超高弾性率品は、その速い振動減衰特性(振動 が収束し易い特性)を活かし、ロボットアーム、高速回転 ロール等に使われています。

(2)炭素繊維複合材関連技術

 炭素繊維は、通常、樹脂などを母材とする複合材料の強 化及び機能性付与材料として利用されます。樹脂との複合 材は、「炭素繊維強化プラスチック」と呼ばれ、炭素繊維を 予め賦形した中間基材(プリフォーム)に熱硬化性樹脂を含 浸させて、半硬化状態のシート状成形用中間材料(プリプ レグ)を成形した後、仕上げを経て製造されます。炭素繊 維強化プラスチック中の炭素繊維は比較的高価なので、炭 素繊維を回収して再利用するリサイクル技術も重要です。

(3)ナノ炭素材料関連技術

 フラーレン、カーボンナノチューブ、グラフェンといっ たナノ炭素材料の関連技術は、「ナノ炭素製造技術」、「分 める材料と位置付けられています。さらに、従来の炭素材

料には無い特異な性質から、情報通信、環境・エネルギー などの産業分野を支える基盤としても重視されています。  図 1 は、炭素材料及びその応用技術に関する技術俯瞰図 です。炭素材料及びその応用技術は、「炭素繊維関連技術」、 「炭素繊維複合材関連技術」、「ナノ炭素材料関連技術」、「ナ

ノ炭素材料の用途開発」の 4 つの要素技術から構成され、 要素技術を支える基盤技術と対象技術が、図 1 の下方に示 されています。そして、図 1 の上方には、要素技術から得 られる機能と、その機能を利用した応用産業分野が整理さ れています。応用産業として、スポーツ分野、航空機・宇 宙分野、船舶分野、土木建築分野、風力発電分野、自動車 分野、電気・電子材料分野、ヘルスケア分野、ガス吸蔵・ 貯蔵分野などが挙げられます。

(1)炭素繊維関連技術

 炭素繊維とは、アクリル樹脂や石油精製又は石炭乾留の 副産物であるピッチ等の有機物を繊維化し、その後特殊な 熱処理工程を経て作られる、「微細な黒鉛結晶構造を持つ 繊維状の炭素物質」の総称です。現在工業生産されている 炭素繊維は、アクリル繊維から製造するポリアクリルニト リル(PAN)系炭素繊維と、ピッチから製造するピッチ系 炭素繊維とに大別されますが、その内、PAN 系炭素繊維

図1 炭素材料及びその応用技術に関する技術俯瞰図

炭素繊維関 技術 炭素繊維複合材関 技術 ナノ炭素材料関 技術 ナノ炭素材料の用途開発 スーパーキ パシター

CNT FED リ レグ

重合技術、改質・精 製技術、 技術、 化技術、壉 化 技術、炭素化技術、 サイジング技術

中 材( 、 、 ペーパー、 リ レグ 等)調製技術、成形技 術、積 体・ ラスチ ック複合化技術、リサ イクル技術

ナノ炭素製造技術(ア ーク 電、 ラ マ、 化学的気 成長法)、 分 ・精製技術、 俚 品製造技術

査 ローブ 、 電子 出ディス レ イ、ガス 収材料、 倸料電天、 偍トラ ンジスタ等 度性、壉 性、 倳侊俚性、 比表面積、 ナノ構造、中空構造、 電 密度、 侉、生体適合性 性、 度性、 夜性、

夜性率性、俚電性、低倳 奙性 スポーツ分野、航空機・宇宙分野、 産業分野(産業機 、 、侣 築、 )、

力発電分野、海佗 田分野、自動車分野

ナノ材料分野、環境分野、電気・電子材料分野、 エネルギー分野、 ルスケア分野、 スポーツ分野、ガス 墚・奏墚分野

技術 ・倳 理技術、CVD成 技術、 ラ マ技術、自 組 化・集積化技術、 度材料 面制御技術、       度組 制御技術、ナノ加工技術

共妀 技術 墤技術(SEM、TEM、AFM等)、 技術(電気特性、機 的特性、形 ・ 、倳・ 特性、        信 性等)、シミュレーション・ デリング技術

科学 子力学、ナノテクノロジー、材料科学、生体システム学、機 材料・材料力学、複合材料工学、      航空宇宙工学、 システム工学

グリーンイノベーション( 墫可能な 、ユビキタスネット 、生 はつらつ生 )

(3)

タベース収録の遅れ等により、全データが取得されていな い可能性がある点にご留意ください。

(1)全体動向

①炭素繊維に関する出願人国籍別出願動向

 炭素繊維について、出願人国籍別出願件数の年次推移と 出願件数比率を図 2 に示します。出願人国籍別の出願件数 比率では、日本が 49.1%とほぼ半数を占めています。日本 国籍出願人の出願件数は、2000 年から大きな変動は見ら れず、現在まで概ね 250 〜 300 件で推移しています。一方、 中国籍及び韓国籍は、日米欧に比べて件数は少ないものの、 近年継続的に増加していることが分かります。

②ナノ炭素材料に関する出願人国籍別出願動向

 次に、ナノ炭素材料について、出願人国籍別出願件数の 年次推移と出願件数比率を図 3 に示します。出願人国籍別 の出願件数比率は、日本が 35.3%とトップであり、以下、 米国、韓国、中国、欧州と続きます。日本国籍出願人の出 願件数は、2004 年から 2006 年にかけて漸減傾向を示し、 その後はほぼ横ばいで推移しているのに対して、中国籍と 韓国籍からの出願は、2008 年以降、日本国籍と米国籍か らの出願件数を上回る勢いを示しているのが特徴的です。

(2)日米欧中韓における出願収支

①炭素繊維に関する出願先国別  −出願人国籍別出願件数収支

 炭素繊維について、出願先国別の出願人国籍別出願件数 収支を図 4 に示します。日本は、米国、中国及び韓国に対 離・精製技術」及び「誘導品製造技術」から構成されます。

その製造の基本的な原理は、黒鉛や炭化水素から熱エネル ギーなどで活性な炭素種を発生させることにより、目的と するナノ炭素材料を構築するものですが、触媒や煤が抽出 の際に避けがたく混入してしまうので、歩留りを向上しつ つ、しかも高純度の目的物が得られる分離・精製技術の開 発が進められています。

(4)ナノ炭素材料の用途開発

 ナノ炭素材料を用いた用途開発研究は、電気・電子分野 から構造・機能材料分野に至るまで、幅広く検討されてい ます。例えば、フラーレンは、高容量化を目指すリチウム 二次電池の負極材料として、また、カーボンナノチューブは、 省電力・高電流密度を実現する蛍光ランプの電界放出素子 として注目され、精力的な研究開発が行われています。さ らに、フラーレンやカーボンナノチューブは、フリーラジ カルを内包することができる機能性分子として、ヘルスケ ア分野における応用も検討されていますし、グラフェンは、 電子移動度がシリコンの10倍に達する新しいFET(電界効 果トランジスタ)として、大きな期待が寄せられています。

3.

特許出願動向

 本調査では、特許検索にデータベース「Derwent World Patents Index」を使用し、日本、米国、欧州、中国及び韓 国に出願された特許を調査対象としました。時期的範囲は、 優先権主張年ベースで 2000 年から 2009 年としています。 なお、2008 年以降は、PCT 出願の各国移行のずれやデー

図2 炭素繊維に関する出願先国別出願件数推移及び出願件数比率

※ファミリーは重複してカウントしている。

460 539 612

530 574 558 596

664 624

347

0 100 200 300 400 500 600 700

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009

出願

日本 米国 州 中国 韓国 その他 合 出願人国

日本国籍 2 702件

49.1

米国籍 857件 15.6 州国籍

1 217件 22.1

中国籍 345件 6.3

韓国籍 254件 4.6

その他 129件 2.3

(4)

図3 ナノ炭素材料に関する出願先国別出願件数推移及び出願件数比率

※ファミリーは重複してカウントしている。

図4 炭素繊維に関する出願先国別−出願人国籍別出願件数収支

723

1 135 1 701

2 036

2 280 2 323 2 180

2 639 2 637

1 871

0 500 1 000 1 500 2 000 2 500 3 000

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009

出願

日本 米国 州 中国 韓国 その他 合 出願人国

日本国籍 6 894件

35.3

米国籍 3 804件

19.5 州国籍 1 554件

8.0 中国籍

2 742件 14.0

韓国籍 3 722件

19.1

その他 809件 4.1

日本国籍 146件 33.0

米国籍 52件 11.7 州国籍 65件 14.7 中国籍

1件 0.2

韓国籍 175件 39.5

その他 4件 0.9 日本国籍

182件 24.0

米国籍 72件 9.5 中国籍

325件 42.9 韓国籍

14件 1.8

その他 13件 1.7

日本国籍 1 878件

86.1 米国籍

112件 5.1

州国籍 160件

7.3

中国籍 1件 0.05

韓国籍 17件 0.8

その他 13件 0.6

日本国籍 218件 21.9

米国籍 179件 18.0 州国籍

552件 55.4 中国籍

4件 0.4

韓国籍 15件 1.5 その他29件

2.9 日本への出願

米国への出願

中国への出願

欧州への出願

韓国への出願

112件 160件

17件 278件

289件

14件

33件

218件

179件

15件

182件 72件

151件

146件

52件

65件 1件

4件

14件

1件 日本国籍

278件 24.7

米国籍 442件 39.3 州国籍

289件 25.7

中国籍 14件 1.2

韓国籍 33件 2.9

その他 70件 6.2

(5)

を図 6 に示します。いずれの国も相対的な出願パターンは 類似していますが、「課題・目的」の「炭素材・炭素複合材 特性」/「炭素材・炭素複合材製法」の比が、国によって異 なります。日本、中国、韓国が 1.8 前後であるのに対して、 米国、欧州は 2.7 〜 3.1 であり、特性を課題・目的とする 出願が多くなっています。応用技術では、日米欧とも大型 輸送機分野が最も多いですが、比較的、日本は他分野への 出願も多いことが見受けられます。

 課題・目的の観点から、「炭素材・炭素複合材製法」に おける出願件数推移を見ると、図 7 となります。2000 年 当初は、「形態制御」などに関する出願件数が多数ありま したが、最近は減少傾向にあります。他方、「生産性向上」 や「経済性向上」の件数が増加或いは横ばいで推移してい ることから、コスト低減や量産化の優先度が増加している と言えます。

 図8には、「炭素材・炭素複合材特性」における出願年別 出願件数推移を示します。「力学的(機械的)性質」に関する 特許出願が、調査期間を通して最も多いことが読み取れます。 して、出願件数収支が圧倒的なプラスとなっています。米

国籍、欧州国籍の出願人に加え、韓国籍の出願人も、出 願件数の割に積極的に各国へ出願しているのに対し、中 国籍の出願人は、他国への出願が極めて少ないことが分 かります。

②ナノ炭素材料の出願先国別−出願人国籍別出願件数収支  ナノ炭素材料について、出願先国別の出願人国籍別出願 件数収支を図 5 に示します。図 5 を見ると、日本は、米国、 欧州、中国及び韓国に対して、出願件数収支がプラスとなっ ていますが、それほど顕著ではありません。中国籍及び韓 国籍の出願人による外国出願が多く、特に米国と日本への 出願が目立ちます。

(3)技術区分別動向

①炭素繊維の技術区分別動向分析

 炭素繊維に関して、技術区分別の出願人国籍別出願件数

図5 ナノ炭素材料に関する出願先国別−出願人国籍別出願件数収支

日本国籍 4 607件

76.6 米国籍

461件 7.7 州国籍 220件

3.7 中国籍 296件 4.9

韓国籍 341件

5.7 その他87件 1.4

日本国籍 1 024件

19.7

米国籍 2 241件 43.2

州国籍 359件

6.9 中国籍 512件 9.9

韓国籍 635件 12.2

その他 420件 8.1

日本国籍 424件 22.1

米国籍 532件 27.8 州国籍

686件 35.8 中国籍

30件 1.6

韓国籍 164件 8.6

その他 81件 4.2

日本国籍 458件 14.2

米国籍 313件 9.7

州国籍 150件

4.7 中国籍

1 885件 58.5 韓国籍 227件 7.0

その他 189件 5.9

日本国籍 381件 12.0

米国籍 257件 8.1

州国籍 139件

4.4 中国籍

19件 0.6

韓国籍 2 355件 74.0

その他 32件 1.0 日本への出願

米国への出願

中国への出願

欧州への出願

韓国への出願

461件 220件

341件 1 024件

359件

512件

424件

532件

164件

458件 635件

150件

19件

381件

257件

139件 296件

30件

313件

(6)

図6 炭素繊維に関する技術区分別 −出願人国籍別出願件数

※文献内容に応じて複数の技術区分を付与している。

図7 課題・目的別出願件数推移[炭素材・炭素複合材製法]

※文献内容に応じて複数の技術区分を付与している。

図8 課題・目的別出願件数推移[炭素材・炭素複合材特性]

※文献内容に応じて複数の技術区分を付与している。

2B・炭素材・

炭素複合材特性 1 999 700 957 257 179 113 1A・炭素繊維 2 702 857 1 217 345 254 129 2A・炭素材・

炭素複合材製法 1 096 228 354 152 95 33 1B・

ナノ炭素材料 124 119 53 21 58 32

3A・原料の 定・

調 253 40 26 50 28 7

3C・製造 法 841 107 80 118 70 28 3B・ の 定・

調 27 30 6 10 13 2

3D・

分 ・精製 29 10 6 1 3F・ ロセス

・制御 169 29 33 11 12 3 3G・

夬の構成・ 夬 315 58 93 26 13

4A・

集合体・複合材 1 581 639 922 173 159 91 3 ・炭素材料

収・リサイクル 29 1 11 2 2

5A・中 材 1 219 421 637 105 94 56 4B・

俚体・ 48 8 20 7 16 2

5B・

加工・改質 法 762 216 340 60 73 22 5C・

成形・ 合 968 299 555 62 46 52 6A・ ・

・バイオ 29 10 43 5 1 3 6B・

エネルギー分野 283 100 130 23 27 10 6C・

大 機分野 407 214 301 20 10 23

6D・環境分野 67 16 8 3 10 14

6F・

電気・電子分野 318 85 53 22 35 15 6G・スポーツ・

レジ ー 157 21 77 8 13

6 ・産業資材 371 143 201 24 34 10

6I・ 9 13 6 1

6J・ 動・ 材 29 26 22 1 2 5

6K・ 性材料 1

60・応用技術 9 13 26 13 1

日本 米国 州 中国 韓国 その他

出願人

2A0・炭素材・

炭素複合材製法 1 2 2 3

2A1・形態制御 46 67 79 25 40 38 13 12 19 9

2A2・集合体・

向 42 45 32 21 28 6 6 8 1

2A3・ 物

制御・品質向上 16 14 47 16 27 21 30 27 47 24

2A4・精度向上 1 4 7 8 2 1 1

2A5・ 生産性向上

82 64 95 70 79 75 116 64 124 71

2A6・

性向上 66 54 75 51 50 40 43 66 57 46

2A7・ 全性・

信 性向上 16 48 22 9 17 5 9 7

2A8・ リサイクル

3 2 5 13 8 3 15 10 3

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009

出願

2B0・炭素材・

炭素複合材特性 23 18 21 23 19 12 12 11 25 9

2B1・力学的

(機 的)性質 126 207 291 277 276 289 251 307 245 137

2B2・

形態的性質 47 72 53 32 44 75 29 48 45 38

2B3・倳的性質 56 60 58 69 68 83 57 81 54 29

2B4・電気的・

電 的性質 76 68 95 54 70 68 45 50 80 35

2B5・電子的・

気的性質 1 3 9 12 4 1 2 2

2B6・

学的性質 4 1 3 1 6 5 5

2B7・

形成特性 1 4

2B8・壉 性・

定性向上 40 72 46 49 53 65 47 60 39 19

2B9・成形性・

形性・ 化性 31 16 32 25 45 39 27 36 25 8

2BA・ 解性・

分 性 16 11 4 15 16 13 14 14 3

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009

(7)

②ナノ炭素材料の特許出願動向

 ナノ炭素材料に関して、技術区分別の出願人国籍別出 願件数を図 9 に示します。「課題・目的」の「炭素材・炭素 複合材製法」と「炭素材・炭素複合材特性」とを比較すると、 いずれの国も、「炭素材・炭素複合材特性」に関する出願 の割合が高いことが分かります。より詳細には、「炭素材・ 炭素複合材特性」/「炭素材・炭素複合材製法」の比が、日 本、欧州及び韓国は 1.3 前後であるのに対して、米国及び 中国は 1.6 前後であり、特性をより重要視した出願が多い ことがうかがえます。また、「応用技術」では、いずれの 国でも、「電気・電子分野」への出願が圧倒的多数を占め ています。

 「炭素材・炭素複合材製法」(課題・目的)の出願件数推 移を見ると(図 10)、2004 年前後までは、「形態制御」や「集 合体・配列配向」に関するものが多かったものの、最近は「生 産性向上」に関する出願が増加してきています。

 「炭素材・炭素複合材特性」(課題・目的)の出願件数推 移は(図 11)、多くの項目に分散していますが、その中で、 「電気的・電磁的性質」と「電子的・磁気的性質」に関する

件数が多く、かつ増加傾向を示していることが注目され ます。

図9 ナノ炭素材料に関する技術区分別 −出願人国籍別出願件数

※文献内容に応じて複数の技術区分を付与している。

図10 課題・目的別出願件数推移[炭素材・炭素複合材製法]

※文献内容に応じて複数の技術区分を付与している。

2B・炭素材・ 炭素複合材特性 1A・炭素繊維

2A・炭素材・ 炭素複合材製法 1B・ ナノ炭素材料

3A・原料の 定・ 調

3C・製造 法 3B・ の 定・ 調

3D・ 分 ・精製 3F・ ロセス

・制御 3G・

夬の構成・ 夬

4A・ 集合体・複合材 3 ・炭素材料

収・リサイクル

5A・中 材 4B・

俚体・

5B・ 加工・改質 法 5C・ 成形・ 合 6A・ ・

・バイオ 6B・ エネルギー分野 6C・ 大 機分野

6D・環境分野

6F・ 電気・電子分野 6G・スポーツ・ レジ ー

6 ・産業資材

6I・

6J・ 動・ 材

6K・ 性材料

60・応用技術

日本 米国 州 中国 韓国 その他

出願人

6 894

3 804 1 554 2 742 3 722 809 124 119 53 21 58 32

3 358

1 590 701 1 140 1 773 360 4 569 2 532 961 1 887 2 342 522 1 080 359 147 210 300 105

1 763 762 397 360 816 169 2 320 845 392 366 732 199 443 230 42 47 127 17

401 127 39 24 99 17

819 251 143 71 356 75

62 18 11 1 7

2 681 1 384 636 1 005 1 381 285 1 317 855 281 319 453 100

218 215 92 119 58 59

2 404 1 182 410 793 1 253 249 1 587 657 201 696 659 153

325 301 88 87 132 56

934 291 123 193 385 64

194 95 56 8 32 14

334

79 64 43 72 32

2 787 1 537 483 1 113 1 738 316 45 15 7 1 1 2

400 83 116 34 70 17

130 53 42 77 48 15

177 26 9 12 13 6

40 3 3

31 29 14 10 11 13

2A0・炭素材・ 炭素複合材製法

2A1・形態制御

2A2・集合体・ 向

2A3・ 物 制御・品質向上

2A4・精度向上

2A5・ 生産性向上

2A6・ 性向上

2A7・ 全性・ 信 性向上

2A8・ リサイクル

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009

出願 2 7 8

15 14 5 12 1 9

117 273 375 240 377 317 234 165 123 100

117 76 204 208 266 241 158 146 140 80

46 109 188 123 228 138 86 98 116 67

32 31 59 40 63 42 29 87 76 46

141 268 334 363 345 352 314 420 381 328

55 124 199 146 176 219 145 283 213 148

23 19 40 26 56 27 16 28 27 17

(8)

る出願は、2006 年以外ほぼ継続的に増加していますが、「フ ラーレン類」は 2003 年を、「気相成長炭素繊維類(ナノファ イバ)」は 2005 年をピークとして、共に漸減傾向であるこ とが分かります。また、最近の特徴として、「グラフェン」 に関する出願が 2006 年以降に急増している点が挙げられ ます。

 図 12 は、ナノ炭素材料の種類別応用技術に関する出願 件数推移です。「カーボンナノチューブ類(CNT)」に関す

図11 課題・目的別出願件数推移[炭素材・炭素複合材特性]

※文献内容に応じて複数の技術区分を付与している。 図12 ナノ炭素材料の種類別応用技術に関する出願件数推移※文献内容に応じて複数の技術区分を付与している。

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009

出願 2B1・力学的

(機 的)性質 44 75 213 230 275 276 225 225 240 230

2B2・

形態的性質 41 51 88 34 99 125 42 64 87 62

2B3・倳的性質 20 68 114 142 178 228 99 175 231 149

2B4・電気的・

電 的性質 124 214 326 424 533 530 445 464 534 403 2B5・電子的・

気的性質 98 137 188 289 352 313 276 234 312 175 2B6・

学的性質

15

52 78 66 70 63 79 229 145 75

2B7・

形成特性 7 24 28 38 1531 22 14 1820 2B8・壉 性・

定性向上 54 92 102 104 142 156 115 164 148 80 2B9・成形性・

形性・ 化性 6 8 49 45 60 45 32 41 30 20 2BA・

解性・分 性 1139 104 180 211 221 148 243 174 126 2B0・炭素材・

炭素複合材特性 39 75 78 113 123 141 181 199 233 136

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009

出願 1B1・

フラーレン類 114 111 150 243 173 185 143 155 122 53

1B2・カーボン ナノチューブ類 (CNT)

368 508 951 980 1 142 1 144 945 1 164 1 313 782

1B3・気 成長 炭素繊維類 (ナノファイバ)

75 123 160 128 131 205 109 98 77 41

1B4・ナノ ダイ ンド

6 11 6 18 10 7 13 26 22 25

1B5・グラフェン 7 22 5 8 12 3 37 52 93 149

1B6・その他の

ナノ炭素 34 72 120 74 73 127 61 48 39 34

ランキングを表 1 に示します。日本、米国、欧州、中国及 び韓国への出願の何れにおいても、東レがトップを占めて います。帝人と三菱レイヨンも常に 4 位以内の上位にラン クインしています。

(4)出願人別動向

①炭素繊維の出願人別動向

 炭素繊維に関して、出願先国別−出願人別出願件数上位

表1 炭素繊維に関する出願人別出願件数上位ランキング(出願先国別)

※共同出願については、各出願人にそれぞれ1件をカウントしている。

日本への出願 米国への出願 欧州への出願 中国への出願 韓国への出願

出願人 出願件数 順位 出願人 出願件数 順位 出願人 出願件数 順位 出願人 出願件数 順位 出願人 出願件数

1 東レ 491 1 東レ 47 1 東レ 50 1 東レ 42 1 東レ 39 2 帝人 339 2 三菱レイヨン 30 2 エアバス(フランス) 43 2 帝人 25 2 帝人 19 3 三菱レイヨン 288 3 帝人 29 3 帝人 33 2 エアバス(フランス) 25 3 三菱レイヨン 14 4 トヨタ自動車 34 4 ハネウエル(米国) 28 4 三菱レイヨン 29 4 三菱レイヨン 24 4 ボルグワーナー(米国) 11 5 新日鉄 30 5 エアバス(フランス) 27 5 SGL カーボン (ドイツ) 23 5 東華大学(中国) 21 5 LG(韓国) 10 6 大阪瓦斯 27 6 GE(米国) 26 6 スネクマ(フランス) 21 6 ハルピン理工大学(中国) 14 6 SGL カーボン (ドイツ) 9 7 JXエネルギー 25 6 ボーイング(米国) 26 7 GE(米国) 16 7 サンシー石炭研究所(中国) 12 6 ヒョウスング(韓国) 9 7 エアバス(フランス) 25 8 SGL カーボン(ドイツ) 25 8 メッサーブガッティ(フランス) 15 8 北京大学(中国) 11 6 イビデン 9 9 日立製作所 22 9 デュポン(米国) 16 8 カンパニョーロ(イタリア) 15 9 SGL カーボン (ドイツ) 10 9 ダイオウ スマートアルミニウム(韓国) 8 10 三菱重工 18 9 ロッキード(米国) 16 8 LM ガラスファイバ(デンマーク) 15 10 清華大学(中国) 9 9 サムソン電子(韓国) 8 10 本田技研工業 18 10 鴻海精密工業(台湾) 9

(9)

(1)全体動向

①炭素繊維に関する全体動向

 炭素繊維に関して、研究者所属機関国籍別の論文件数推 移及び論文件数比率を図 13 に示します。全体の論文件数 推移は、2001 年以降、約 400 件〜 500 件で推移しています。 その内、日米欧の論文件数は漸減傾向を示していますが、 中国の論文件数は継続的に増加しています。

4.

研究開発動向

  本 調 査 で は、 非 特 許 文 献 検 索 に 文 献 検 索 サ ー ビ ス JDreamII が提供する JSTPlus を使用しました。調査対象 とした論文の範囲は、2000 年から 2010 年に発行された論 文誌に掲載されたものです。

出願において 1 位、2 位を占めています。なお、鴻海精密 工業(台湾)と清華大学(中国)は、多くを共同出願の形で 出願しています。

②ナノ炭素材料の出願人別動向調査

 ナノ炭素材料に関して、出願先国別−出願人別出願件数 上位ランキングを表 2 に示します。鴻海(ホンハイ)精密 工業(台湾)と清華大学(中国)が日本、米国及び中国への

表2 ナノ炭素材料に関する出願人別出願件数上位ランキング(出願先国別)

※共同出願については、各出願人にそれぞれ1件をカウントしている。 ※( )内は鴻海精密工業と清華大学の共同出願件数を表す。

図13 炭素繊維に関する研究者所属機関国籍別の論文発表件数推移及び論文発表件数比率

※複数の国籍にまたがる場合は、それぞれの国籍に1件をカウントしている。

660

485 490 485 426

491 498 540 485

459 429 26 24 26

31 31

26

22 21

18

16 18

0 5 10 15 20 25 30 35

0 200 400 600 800 1 000

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010

発表

日本 米国 州 中国 韓国 その他 合 日本の論文件数比率 研究者所属機関国

発表

日本国籍 1 290件

23.7

米国籍 1 089件 20.0

州国籍 1 263件

23.2 中国籍

725件 13.3

韓国籍 229件 4.2

その他 852件 15.6

日本への出願 米国への出願 欧州への出願 中国への出願 韓国への出願

出願人 出願件数 順位 出願人 出願件数 順位 出願人 出願件数 順位 出願人 出願件数 順位 出願人 出願件数

1 鴻海精密工業(台湾) (304) 1309 (台湾)鴻海精密工業 (429) 1513 リサーチ サイエンス センター(フランス) 88 1 清華大学(中国)(366) 1491 (韓国)サムソン電子 512 2 清華大学(中国) 305(304) 2 清華大学(中国)(429) 2 アルケマ(フランス) 85 2451 (台湾)鴻海精密工業 (366) 2 LG(韓国)489 186 3 産業技術総合研究所 226 3 サムソン電子(韓国) 329 3 フランス原子力庁(フランス) 65 3 上海大学(中国) 157 3 セメス(韓国) 116 4 三菱化学 203 4 ライス ウイリアムエム ユニバーシティ(米国) 101 4(韓国)サムソン電子 63 4 サムソン電子(韓国) 117 4 韓国科学技術院(韓国) 113 5 科学技術振興機構 170 5 インテル(米国) 100 5 昭和電工 44 5 北京大学(中国) 85 5 ソングクワン ユニバーシティ(韓国) 67 6 東レ 166 6 IBM(米国) 96 6 ライス ウイリアムエム ユニバーシティ(米国) 33 6 浙江大学(中国) 83 6 サイエンス テクノロジー研究機構(韓国) 62 7 サムソン電子(韓国) 165 7 日本電気 66 7 科学技術振興機構 31 7 ソニー 55 6 韓国エレクトロテクノロジー研究所(韓国) 62 8 日立製作所 149 7 ソニー 66 8 バイエル(ドイツ) 30 8 天津大学(中国) 50 8 国立ソウル ユニバーシティ(韓国) 50 9 ソニー 146 9 台湾科学技術研究所(台湾) 63 9 日信工業 25 9 同斉大学(中国) 47 9 韓国ケミカルテクノロジー研究所(韓国) 43 10 日本電気 138 9 デュポン(米国) 63 10 富士フイルム 24 10 中国科 学アカデミー研究所(中国) 45 10 ソニー 36

(10)

いましたが、2006 年以降は米国、欧州、中国の論文件数 が上回りました。特に、中国からの論文件数の伸びが顕著 であり、国籍別の論文件数比率を見ると、中国が 22.3%で トップです。

②ナノ炭素材料に関する全体動向

 図 14 に示されるとおり、ナノ炭素材料に関する論文件 数推移は、2000 年当初より継続的に増加しています。日 本からの論文件数は、2005 年までほぼトップを保持して

図14 ナノ炭素材料に関する研究者所属機関国籍別の論文発表件数推移及び論文発表件数比率

※複数の国籍にまたがる場合は、それぞれの国籍に1件をカウントしている。

日本国籍 1 426件

17.0

米国籍 1 660件 19.7

州国籍 1 536件

18.3 中国籍

1 878件 22.3 韓国籍 579件 6.9

その他 1 331件

15.8

121 176 236 379

587 630 807

1 077 1 113 1 477

1 807

36 34

19 28

25 25

19 17

15

12 11

0 10 20 30 40 50

0 500 1 000 1 500 2 000

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010

発表

日本 米国 州 中国 韓国 その他 合 日本の論文件数比率 研究者所属機関国

発表

米国が 3 機関、日本が 2 機関を占めています。日本の 2 機 関は 2 位と 3 位に入り、研究者別論文発表件数上位ランキ ング(表 4)においても、日本人研究者が 2 位と 3 位に 2 名 ランクインしています。

(2)研究者所属機関・研究者別動向

①炭素繊維に関する研究者所属機関・研究者別動向  炭素繊維に関して、論文の研究者所属機関別上位ランキ ングを表 3 に示します。上記 10 機関の中に、中国が 4 機関、

表3  研究者所属機関別の論文発表件数上位ラン キング(国際的な主要論文誌)

表4 研究者別論文発表件数上位ランキング(国際的な主要論文誌)

※共著者の所属機関に1件ずつをカウントしている。

※共著者に1件ずつをカウントしている。

順位 研究者所属機関 発表件数

1 (イギリス)インペリアル・カレッジ・ロンドン 33 2 東京大学 32 3 宇宙航空研究開発機構 26 4 ミシガン工科大学(米国) 24 4 ワシントン大学(米国) 24 6 西北工業大学(中国) 21 6 ハルビン理工大学(中国) 21 8 北京大学(中国) 20 8 天津大学(中国) 20 10 カリフォルニア大学(米国) 19 10 IIT(インド) 19 10 ブリストル大学(イギリス) 19 10 逢甲大学(台湾) 19

順位 研究者 研究者所属機関  発表件数

(11)

占め、中国の躍進ぶりをうかがわせる結果となりました。 上位 10 機関の中で、日本は 1 機関(産業技術総合研究所) のみですが、研究者別論文発表件数上位ランキング(表 6) には、4 名の日本人研究者がランクインしています。

によって発明された材料であり、ピッチ系炭素繊維は、 1970 年に呉羽化学工業(株)が世界で初めて工業化に成功 した材料です。市場に参入した多くの欧米企業が、期待し たほどの成果を得られず撤退・縮小していく中で、日本企 業は、炭素繊維向けの原料糸を敏感なプロセスに合わせて 最適化することにより、デファクト・スタンダードを獲得 していると言えるでしょう。

 一方、解決すべき課題も残されています。炭素繊維は鉄、 アルミニウムに次ぐ、第 3 の構造材料として認知されよう としていますが、1kg 当たり鉄が 100 円、アルミニウムが 500 円〜 600 円であるのに対して、炭素繊維は 2,000 円程 度と依然高価です。また、生産性に目を向けると、現在生 産されているPAN系炭素繊維は、1ラインの生産量が約0.2 万トンという制約があり、コモディティ分野の供給に対応 するためには、大幅な生産性向上が不可欠です。

 今後、大量需要が見込まれる中で、ニーズに適合した技 術を構築することが求められることはもちろんですが、現 状埋立て廃棄されている炭素繊維強化プラスチックから炭 素繊維を回収し、再利用する技術の確立も重要になると予 想されます。将来にわたって日本が高いシェアを維持して いくためには、リサイクルまで含むサプライチェーン全体 を念頭に、技術開発を行う必要があります。

②ナノ炭素材料に関する研究者所属機関・研究者別動向  ナノ炭素材料に関する論文の研究者所属機関別上位ラン キング(表 5)では、中国の 2 機関(中国科学アカデミー研 究所と精華大学)が、論文発表件数において 1 位、2 位を

5.

今後の課題と方向性

(1)炭素繊維に関する総合分析

 炭素繊維の技術開発に関する世界の全特許出願において、 日本の特許出願件数シェアは49.1%と半数近くを占めており、 日本の技術競争力の高さがうかがわれます。特に、炭素繊 維自体の製造に関する特許は、日本が66%の出願件数比率 を示し、圧倒的なシェアを占めています。産業面でも、日本 企業がPAN系炭素繊維における世界生産量シェアの7割強 を、ピッチ系炭素繊維では9割を占めていますが、製造現場 で活かされるノウハウ的知見を含めた技術の蓄積を加味す れば、特許出願件数又は生産量シェアの差で示される以上に、 日本企業は有利な立場にあると考えられます。炭素繊維モノ マーの重合方法や重合溶媒は各社で異なり、その製造方法 は難易度が高くブラックボックス化していると言われている ところ、新規参入企業が同等レベルの品質を提供できるまで には、莫大な時間と投資が必要とされるからです。

 また、特記すべきは、PAN 系炭素繊維やピッチ系炭素 繊維が日本で生まれ、育てられた材料であることです。 PAN 系炭素繊維は、1959 年に大阪工業試験所の進藤博士 表5  研究者所属機関別の論文発表件数上位ラン

キング(国際的な主要論文誌)

表6 研究者別論文発表件数上位ランキング(国際的な主要論文誌)

※共著者の所属機関に1件ずつをカウントしている。

※共著者に1件ずつをカウントしている。

順位 研究者所属機関 発表件数

1 中国科学アカデミー研究所(中国) 215 2 清華大学(中国) 121 3 ライス大学(米国) 59 4 国立精華大学(台湾) 52 5 北京大学(中国) 51 6 マサチューセッツ工科大学(米国) 49 7 産業技術総合研究所 48 8 (シンガポール)Univ.National of Singapore 46 9 カリフォルニア大学(米国) 44 10 Univ.Nanyang Technol.(シンガポール) 43 10 テキサス大学(米国) 43

順位 研究者 研究者所属機関  発表件数

(12)

てきています。従来の高機能、高品質が要求されたスポー ツ用品、航空機用途に加えて、一般産業分野向けの需要に 対応するために、より一層の低コスト且つ高効率な製品開 発を実現することが必要と考えられます。

提言2】今後、市場拡大が期待される新興国において、中

核技術に関する適切な権利取得、権利保護を積極的に行う ことが望まれる。

 一般産業分野への炭素繊維の需要拡大に伴い、今後高い 需要の伸びが期待される中国、韓国からの特許出願が増加 してきています。また、炭素材・炭素複合材を製法と特性 に区分した出願件数比率を解析すると、中国及び韓国から の出願は、日本のそれとほぼ同一であり、日本と同様な出 願パターンを示していることから、将来日本と技術開発面 で競合する可能性を持っています。

 提言 1 で述べたように、生産性・経済性向上が今後の最 重要課題であるという前提に立てば、日本の出願人は、中 国、韓国をはじめとする新興国において、生産性・経済性 向上に関する中核技術の権利取得・権利保護を図ることが 一層重要になるでしょう。

【提言3】製造コストや環境負荷の低減に資する未来技術と して、植物由来原料を用いた炭素繊維製造の可能性を長期 的視野に立って探索することが望まれる。

 炭素繊維は、製造方法から類推できるように、原料の原 単位が高く、製造費の中で原料費の占める割合が高いとい う本質的な問題を抱えていることから、製造コスト低減化 のためには、原料の多様化を探求する必要があります。植 物由来原料は、原料費のみならず、環境負荷低減の観点か らも最も期待される材料の一つとして着目されており、植 物由来原料を用いた炭素繊維の製造に関する出願件数は、 最近になって増加傾向を示しています。日本は過去にリグ ニン原料による工業生産の実績があり、植物由来原料を用 いる生産技術に多くの蓄積を有していますので、これらを 活用していくことが望まれます。

(2)ナノ炭素材料に関する提言

【提言1】ナノ炭素材料の用途開発の中心は電気・電子分野 とエネルギー分野であり、その中の注目対象機器は年とと もに変遷している。その他にも出願件数が増加している分 野があり、今後も新たな機能を見いだして応用に結び付け る研究が望まれる。

 ナノ炭素材料の用途開発対象は、いずれの国でも電気・ 電子分野とエネルギー分野が中心です。電気・電子分野の (2)ナノ炭素材料に関する総合分析

 ナノ炭素材料は、ナノテクノロジーの中核として期待さ れている材料であり、中でもカーボンナノチューブは、当 時 NEC 研究所に所属していた飯島博士が発見した材料と して有名です。ナノ炭素材料の技術開発において、日本の 特許出願件数シェアは 35.3%とトップですが、出願件数推 移を見ると、最近は一時ほどの勢いがなくなり、米国と同 様に漸減傾向にあります。代わって、中国と韓国の躍進が 顕著です。特に中国は、ナノ炭素材料の特性改良と応用開 発に関する伸びが大きく、研究投資を重点配分しているこ とをうかがわせます。

 産業面に着目すると、ナノ炭素材料の全体的な市場は未 だ小さく、高機能樹脂、塗料、電池分野などの用途で可能 性を模索している段階です。現在までに実用化された事例 は、既存の炭素材料と比較して、数分の一の使用量で同様 の機能を発揮するケース(代替材料としての応用)が目立 ち、ナノ炭素材料特有の機能を利用した応用例は、ほとん ど見当たらないのが実情です。今後は、ナノ炭素材料特有 の機能を、具体的な製品設計・開発につなげることがポイ ントになるでしょう。

 また、実用化の観点からすると、炭素繊維と同じく、ナ ノ炭素材料も高価格が難点であり、比較的合成が容易な多 層カーボンナノチューブ(MWCNT)でさえ、2 〜 3 万円 / kgのオーダーです。既存のカーボン製品(3,000円/kg程度) との差、所謂コスト / 性能比(C/P 比)の開きが依然大き いことから、競合品と代替可能な価格領域まで低下させる ため、生産技術の改良が求められています。

7.

提言

 本調査結果から導き出された、今後我が国が目指すべき 技術開発の方向性について、炭素繊維とナノ炭素材料に分 けて提言を行いました。本稿では、その内の主な提言をご 紹介します。

(1)炭素繊維に関する提言

【提言1】当初、形態制御等品質面の改良が大きな課題であっ たが、最近は、炭素繊維材料の製品製造のコスト低減や生 産性向上に課題の優先度がシフトしてきている。今後は、 これらの課題を解決するための技術的ブレイクスルーが望 まれる。

(13)

中で、出願件数が減少傾向にある機器がある一方、急増し ている機器もあります。また、ナノ炭素材料特有の機能を 利用した応用例として、触媒利用の研究が特許と論文で増 加する兆候が見られると共に、グラフェンのような新しい 材料について、これを応用するための研究開発が活発化し ています。今後も、機能発現や改良を主とした基礎研究と 実用化研究との密な連携が求められます。

【提言2】今後は、応用分野における成果を出すことが最優 先の課題である。そのため、用途開発の中心である電気・ 電子分野とエネルギー分野の中でも、特定分野へ研究資源 を集中するなどして、戦略的な研究開発と知的財産構築の 取組を推進することが望まれる。

 ナノ炭素材料の応用分野は、電気・電子分野とエネルギー 分野が中心となっています。中国は、電気・電子分野の中 でも、表示・表示装置、熱源体、音響装置などの特定分野 で急激に出願件数を伸ばしつつあり、米国や韓国は、半導 体・メモリー分野における出願を増加させています。  一方、日本は、電気・電子分野全般において、以前に比 べて出願件数が減少しています。しかし、太陽電池や表示・ 表示装置の分野では、日本の出願件数が漸増傾向にあるこ とから、エネルギー分野に重点化して用途開発を推進する 戦略がうかがえます。製造技術分野における日本の優位性 を今後も発揮するには、戦略的な研究開発と知的財産構築 の取組を継続することが不可欠です。

8.

おわりに

 世界中で日々研究開発が行われ、次々と新たな技術が生 まれている状況で、我が国の産業を取り巻く研究開発・ビ ジネス環境は大きく変化し、一層厳しくなっています。現 在は、絶えず新しい価値を創出しなくては生き残ることが 難しい時代ですが、裏を返せば、イノベーションの活用次 第で、逆境からの挽回も十分に可能であると言えます。そ の意味で、自社技術のみに固執せず、外部の研究成果を取 り込んで事業化を促進するという目的の下、オープンイノ ベーションを採用する企業が最近増えてきている点は、注 目すべき流れのように思えます。2008年のリーマンショッ ク以降、依然として研究開発費が抑制傾向にある中では、 このような流れに乗りながら、新たに生み出される技術を 特許で適切に保護すると共に、埋もれてしまっている特許 を見直して活用することが、加速化するグローバルな開発 競争を生き抜くための鍵となるのではないでしょうか。我 が国産業が、炭素材料とその応用技術の分野における世界 の牽引役として、今後も存在感を示していくことを期待し つつ、本稿を閉じたいと思います。

p

rofile

鳥居 敬司

(とりい けいじ)

平成19年4月 特許庁入庁(特許審査第三部生命工学) 平成22年4月 審査官昇任

参照

関連したドキュメント

本学陸上競技部に所属する三段跳のM.Y選手は

ご使用になるアプリケーションに応じて、お客様の専門技術者において十分検証されるようお願い致します。ON

ご使用になるアプリケーションに応じて、お客様の専門技術者において十分検証されるようお願い致します。ON

ご使用になるアプリケーションに応じて、お客様の専門技術者において十分検証されるようお願い致します。ON

ご使用になるアプリケーションに応じて、お客様の専門技術者において十分検証されるようお願い致します。ON

また、船舶検査に関するブロック会議・技術者研修会において、

特許権は,権利発生要件として行政庁(特許庁)の審査が必要不可欠であ

 ①技術者の行動が社会的に大き    な影響を及ぼすことについて    の理解度.  ②「安全性確保」および「社会