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マクロ経済学講義ノートpp1 7pdf

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Academic year: 2018

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2017年度 マクロ経済学 I 講義ノート

高橋 広雅

0 講義内容

講義内容(予定) 1. 経済学とは何か 2. 経済学の基礎概念 3. 市場と価格

4. 市場の失敗と政府の役割 5. マクロ経済学とは何か 6. 貨幣

7. 国民経済計算 8. 資本市場との関わり 9. 資本市場の役割

10. 国際経済

11. 財政政策

12. 金融政策

講義ノート(資料) Webサイトより各自ダウンロードして下さい。 評価について 試験+質問+その他(課題)

講義ノートは、http://sites.google.com/site/htakahome/Homeからダウンロードして下さい。

htaka@intl.hiroshima-cu.ac.jp

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1 経済学とは何か

1.1 希少性

経済学: 代 替 的 用 途 を 持 つ希少な 資 源 の 利 用 や 配 分 方 法 に 関 す る 研 究( ラ イ オ ネ ル・ロ ビ ンス)。

お金の儲け方、経営手法、株式市場の動向予測の方法等を教えてくれるものではない。 資源: 人間の生活や産業等の諸活動の為に利用可能なもの。広義には人間が利用可能な領域

全て。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)天然資源とは限らない。 希少性: あるものが希少であるとは、それが全ての人を十分満足させるだけないということ。 例 1.1 時間、(広島市中心部の)土地、労働等は希少な資源、天然痘のウィルスは希少な 資源ではない。

全ての人が欲しいものを欲しいだけ手に入れることのできる世界では経済学はいらない。以 下では、このような世界ではない世界のことを経済と呼ぶことにする。これまでの歴史で、全 ての人を完全に満足させるほど十分にものが存在したことはなかった。(今後もしばらくはな いであろう。)また希少な資源と無関係に提供されるされるものは思いつかない。

1.2 海水は希少ではないかもしれないが、海洋資源は希少。風力や太陽エネルギーは 希少ではないかもしれないがそれを得るための労働は希少。

希少性と不足の違い

代替的用途: ほかの使いみ。

1.3 水、原油、木、鉄鉱石、時間、(広島市中心部の)土地、労働などはいずれも数えき れないほど用途がある。

ほとんどの資源は、幾つかの(無数の)代替用途を持っている。またそれらは、全ての人を 満足させるだけないというのが現実である。これらの資源を何のためにどれだけ使ったら世の 中が幸せになるのか、そしてそのような配分はどうしたら達成されるのか、を考えるのが経済 学である。

1.4 (経済学的問題の例) 軍の医療班の選択問題、学生の授業選択の問題

配分方法の重要性 どのように資源が配分されるかは、社会の豊かさにとってとても重要であ る。例えば、旧ソ連など「天然資源が豊富でも豊かでない国」と逆に日本やスイスのように「(天 然)資源に乏しくても豊かな国」が現実にあるが、これらの間の決定的な差は資源配分の仕方 による場合がほとんどである。

1.5 (いろいろな配分方法) 市場、計画経済、早い者勝ち、抽選、腕力、多数決、話し合い

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1.2 取引

1.1: 配分方法と経済成長の違い 経済学が扱う問題

●経済主体の意思決定

●主体間の相互作用とその結果(均衡)

●特定のシステム(方法、ルール)、仮想的状況(シミュレーション)の評価

●より良いシステムはないか。

分析方法 理論分析、実証分析、経済実験

1.2 取引

自発的な交換。資源をより有効に使うための最も素朴な方法。自分がAを持ち、相手がBを 持っているとする。自分にとってAよりBの方が価値が高く、相手にとってBよりAの方が価 値が高いときに取引が成立する。双方に利益がもたらされる。交換比率を決めるときに駆け引 きを伴う場合がある。

1.6 買い物、労働と賃金、レストランで、 取引での失敗、騙される等 情報の非対称性

1.3 経済学におけるキーワード

トレードオフ ある利益を得るときになんらかの犠牲を払うこと。希少な資源を幾つかの用途

(または目的のため)に配分する際には、必ずトレードオフが発生する。(There is no such thing as a free lunch.)このため経済学は資源配分に関するトレードオフの関係を論ずることが多い。 このことは、一般の人々が経済学や経済学者を嫌う理由の一つになっていると考えられる。し かし、希少な資源を真に有効に利用するためには、この問題を無視するわけにはいかない。

1.7 どれくらい頑張って働くか(勉強するか)、授業選択、軍の医療班、広島県の予算 配分

機会費用 ある行動の機会費用とは、同じ資源を用いて別のことをしていれば得られたであろ うもの(のうち一番価値が高いもの)の価値。

1.8 飲み会に行くことの機会費用=飲食に伴う料金+同じ時間で出来ることの価値 例 1.9 少子化と出産の機会費用

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1.4 まとめ

インセンティヴ(incentive) 動機、誘因、やる気(を起こさせるもの)。人が行動する理由 やその要因を意味する。(最近の)経済学は、人が行動する際のインセンティヴを考慮して分析 を行う。

1.10 利潤は企業に、より多くの人が満足するものをより低コストで生産、販売するイン センティヴを与える。

1.11 労働のインセンティヴ・・・報酬、昇進、自己実現、人から認められること、人の役 に立つこと

個人の趣味、嗜好や目的に由来するインセンティヴがどのようなものか、といったことは分 析の対象外。しかし、個人のインセンティヴは情報や 制度(ルール)にも依存する。経済学 では、情報や 制度(ルール)が各主体のインセンティヴにどのような影響を与え、そしてど のような結果をもたらすのかについてを分析する。

1.12 私有財産制度は、人々に自分の資源を最も効果的(効率的)に使おうとするインセ ンティヴを与える。

例 1.13 Dying to Save Taxes1

自然科学と違い、社会科学において観察される過去の事実は、必ずしも未来にはあてはま らない。あるいは過去の事実から導かれる将来の予想が外れることが多い。これは、情報や

ルール変更が人々のインセンティヴに影響を与えるため。 例 1.14 皆既日食が起こる日の予想と株の暴落日の予想 例 1.15 学生の授業への出席と出欠をとるタイミングの関係

1.4 まとめ

・世の中にあるもののほぼ全てが、代替的用途を持つ希少な資源。

・There is no such thing as a free lunch.

・人はインセンティブに反応する。(残りは注釈に過ぎない。)

1Kopczuk, Wojciech and Joel Slemrod (2003) “Dying to Save Taxes: Evidence from Estate Tax Returns on the Death Elasticity”, Review of Economics and Statistics, Vol. 85, No. 2, pp. 256–265.

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2 経済学の基礎概念

2.1 市場と価格

経済主体: 経済の中で活動する個人や組織のこと。

財: 経済主体によって交換あるいは取引される「もの」。米、お酒といった食料品や自動車、 テレビなどの工業製品のように形のあるものと、教育、調髪、輸送のように形のないも のがある。前者を特に商品、後者を サービスと呼ぶが、以下では両方をあわせて「財」 と呼ぶ。

2.1 労働力、貨幣(お金)、将来の大豆、競馬の予想、将来のある時点である金額の貨幣 を受け取る権利、将来特定の出来事が起こったときにある金額の貨幣を受け取る権利

価格: 財と財の交換比率。財同士のトレードオフを表す。

貨幣のない社会では全ての二つの財の交換比率が決まっていなければ、即時に自由な交換が できない。貨幣のような「交換の媒体(交換を取り持つもの)」があれば、財の交換比率はそれ を基準に表示することができる。貨幣とある財の交換比率を値段というが、以下では特に区 別する必要はない。

2.2 焼き鳥一串100円、ビール大瓶一本300円なら焼き鳥一串とビール大瓶一本の 交換比率は3:1である。この3:1も価格である。ビール大瓶一本を手に入れるためには、焼 き鳥を三串あきらめなければならない。

市場(しじょう): 財を欲しい(買いたい)人達と提供したい(売りたい)人達が集中的にそ の財の交換、つまり取引を行う状況を「市場(しじょう)」という。

必ずしも人々が1箇所に集まって取引している必要はない。 例 2.3 市場(いちば)、楽天市場、株式市場、為替市場。

経済システム: 経済において代替用途がある希少な資源を配分する制度

市場経済: 経済主体が市場において自由に取引を行うことを通して資源配分を行う経済シス テム。

計画経済: 誰かが資源配分を計画して決める。(「資本主義」「社会主義」はもともとはマルク ス経済学の用語)

市場経済においては財の価格(値段)は通常市場において決定される。この価格を「市場価 格」とか「均衡価格」という。

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2.2 経済主体と三つの市場

2.2 経済主体と三つの市場

経済主体

家計: 生 計 を 共 に す る 一 つ の 家 族 を「 家計」と い う。 労働を 供 給 し 、財 の 消 費 と 貯 蓄 を 行う。

企業: 労働や資本(工場や建物等の設備)などの生産要素を利用し、(長期)利潤最大化を 目的に生産活動を行う。利潤の一部は、株式の配当、社債の利子という形で家計に分配 される。その他は、新たな投資に向けられる。

政府: 徴税、公債の発行、公共財の供給、マクロ経済の安定(財政政策、金融政策)、経済 成長の促進、所得再分配を行う。

経済循環 図2.2は(貨幣以外の)財の流れを示したものである。この図を経済循環図という。 図2.2の矢印の向きと全く反対方向に貨幣が動く。例えば労働が家計から労働市場を通して企 業に供給されれば、その対価として企業から家計に賃金が支払われる。(賃金は市場を通して決 定される。)又、政府部門から民間部門に公共財が供給されるが、その代わりに民間部門から 政府部門には税金が動く。

公共財

最終財

生産物 市場 資本 市場

労働市場 民間部門

国内

外国部門

公共財

外国 政府部門

中間投入

市 場 家計

企業 政府

2.2: 経済循環図

三つの市場 市場経済ではほとんどの財にそれを取引する市場があり、これらは互いに関係を 持っている。つまり、非常にたくさんの市場がある。これらをすべて考慮に入れて分析を行う のは不可能。通常は市場を大きく生産物市場・労働市場・資本市場の三つに分けて分析を行う。

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2.2 経済主体と三つの市場

資本市場 世間一般で資本市場というと、長期のローン契約や証券(債券、株式)市場などの 長期金融市場を指すことが多い。しかし経済学では(少なくとも本講義では)、

今手元にある資源を利用すれば、直ちに便益を得ることが出来るが、 そうしないで将来の別の便益のためにその資源を利用したいと考える経済主体

が、将来において便益(配当や利息)を受けとることを条件に資源を提供し、

今手元に資源がないが、すぐに資源を利用したいと考える経済主体

が、将来において便益を支払うことを条件にその資源を借り入れる場 のことをいう。

保険市場

先物市場 資本市場

金融市場

長期金融市場 短期金融市場

銀行からの 個人借入れ

2.3: 資本市場

資本財と資本市場で取引される財の違い 企業が生産に用いる資本(工場や建物等の設備)は 資本市場で取引されるわけではなく、生産物市場で取引される。(これ以降本講義で「資本」 という場合には、生産要素としての資本を指す。生産要素としての資本と資本市場で取引され る資金とを特に区別したいときには、前者を実物資本あるいは資本ストック、後者を金融資本 という。)しかし実物資本の取引と資本市場は無関係ではない。例えば起業時に資本設備を整え たり資本設備を増強する場合には多額の資金が必要となり、この資金は資本市場で調達されそ の購入資金となる場合が多い。また、資本をどれだけ増加させるか(=投資額)は利子率との 関係で決まってくる。(9節参照。)実物資本の取引(投資)と資本市場は無関係ではなく、む しろ密接に関係している。

参照

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