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『新しい計量経済学』 鹿野研究室 slide13

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Academic year: 2018

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(1)

計量経済学#13

回帰モデルを工夫する (1)

鹿野繁樹

大阪府立大学

2017 年 11 月更新

鹿野繁樹 (大阪府立大学) 計量経済学#13 2017 年 11 月更新 1 / 29

(2)

Outline

1 二次関数モデルと交差項モデル

2 対数線形モデル:弾力性の推定

テキスト:鹿野繁樹 [2015]、第 7.1 章・第 7.2 章。

前回の復習

1 偏回帰係数

2 コントロール変数の重要性

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(3)

Section 1

二次関数モデルと交差項モデル

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(4)

説明変数・被説明変数の変換

線形回帰モデル(?)

Yi = α + β1X1i+ β2



X2i3 + ui. (1)

X2iYiは非線形な関係。

事前に(エクセルなどで)X

2i=

X2i3 = X

3 2

2iという変数変換

を行い、新たな変数を作っておけば、上式は

Yi = α + β1X1i+ β2X2i + ui. (2) これは線形回帰!⇒β2のOLS 推定・有意性検定が可能。

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(5)

説明変数・被説明変数をうまく変換することで... モデルのデータへのフィットを改善。

回帰係数(偏回帰係数)にさまざまな意味を持たせる。 一見非線形なモデルも、変数変換で線形回帰モデルの形式に することが可能。

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(6)

二次関数モデル:カーブの推定

Example 1

2008 年 ∼2010 年の 36 か月間の近畿県内における電力消費量 eleci

(一千万キロワット)を、同月の大阪の平均気温tempi(摂氏)に OLS 回帰。

eleci = 12922.80

(27.00) + 46.78(1.84) tempi, R

2 = 0.09, n = 36. (3)

(カッコ内は有意性検定のt 値。)tempiの統計的有意性は高いとは 言えず、またモデルの説明力を測る決定係数R2も非常に低い。

これは妥当な分析結果?

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(7)

図1 A:横軸 tempi縦軸eleciの散布図 ⇒(3) 式の回帰直線を示す。 elecitempiの関係は、下に凸の曲線。

tempiが低い領域:tempiが上がるほど(暖かくなるほど) eleciが下がる傾向。

tempiが高い領域:tempiが上がるほど(暑くなるほど)eleci が上がる傾向。

 ∴ 電力は寒い冬ほど・暑い夏ほど需要され,過ごしやすい 気温において需要量が落ちる。... 至極当然の話。

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(8)

5 10 15 20 25 30

120001400016000

A

tempi eleci

5 10 15 20 25 30

120001400016000

B

tempi eleci

1 : 気温tempiと電力需要eleciの関係

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(9)

OLS の原理:回帰直線の散布図へのフィット。 この散布図に直線を当てはめるのは、ムリ。

下に凸や上に凸の散布図の形状を近似するには?⇒ 直線 f (x) = a + bx よりも二次の曲線 f (x) = a + b1x + b2x2がよい。

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(10)

ある説明変数Xiの2 乗(2 次の項)を説明変数に含む回帰モデル Yi = α + β1Xi+ β2Xi2+ ui (4) を、二次関数モデルと呼ぶ。

事前にX

i = Xi2という変数を作り、YiXiX

iの二つの変

数に重回帰すれば、α、β1β2OLS 推定できる。 Xi以外の説明変数と併用してもよい。

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(11)

古典的仮定E(ui) = 0 に注意して二次関数モデルの期待値をとり、 Xiで微分すると

E(Yi) = α + β1Xi+ β2Xi2 微分 dE(Yi)

dXi = β1+ 2β2Xi. (5)

Xiの変化がE(Yi) に与える影響(傾き)が、Xiの水準に 依存。

二次の項が必要か否かは、β2の有意性検定でチェック可能。

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(12)

Example 2

前の分析例で、気温の2 乗 temp2

i を加えた推定結果:

eleci = 17293.90

(23.89)

583.79

(−6.12) tempi+ 18.09(6.71) temp 2 i,

2 = 0.59, n = 36. (6)

(カッコ内はt 値。)全ての係数は統計的に有意で、モデルのデー タへの適合度も大幅に改善。⇒ 図1B 参照。

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(13)

交差項モデル

二次関数モデルの応用:交差項モデル

Yi = α + β1X1i+ β2X2i+ β3X1iX2i+ ui. (7)

二つの説明変数X1iX2iの交差項、X1iX2iを含む。 あらかじめ変数X

i = X1iX2iを用意し、YiX1iX2iX

i

回帰すれば、すべての係数がOLS 推定可能。

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(14)

交差項モデルの期待値の、X1iに関する導関数は

E(Yi) = α + β1X1i+ β2X2i+ β3X1iX2i

微分−→ ∂E(Yi)

∂X1i

= β1+ β2X2i. (8)

説明変数X1iE(Yi) に与える影響が、もう一方の説明変数 X2iの水準に依存。

X2iに関する導関数も同様に、X1iに依存。(確認せよ。)

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(15)

Section 2

対数線形モデル:弾力性の推定

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(16)

コブ・ダグラス型生産関数の対数線形化

経済学における生産関数:企業が生産要素から生産物を生み出す 技術のモデル。

生産水準をQ、労働投入量を L、工場設備などの資本ストッ クをK と置けば、生産関数は一般に Q = f (L, K)。

f (·, ·) は L と K の増加関数。

特によく採用される、コブ・ダグラス型生産関数

Q = ALβ1Kβ2. (9) A, β1, β2は未知のパラメータ。

企業の生産活動のデータLiKiQiから、(9) 式のパラメー タを推定するには?

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(17)

準備として、対数関数の基本性質をおさらい。

公式 1 ( 対数関数 log(x) の性質 )

肩の荷が下りる: log(xa) = a log(x), (10) 積が和に: log(x1x2) = log(x1) + log(x2), (11) 微分公式:

d log(x) dx =

1

x. (12)

証明:適当な数学のテキストを参照.

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(18)

(9) 式両辺を対数変換すれば

log(Q) = logALβ1Kβ2= log(A) + log(Lβ1) + log(Kβ2)

= log(A) + β1log(L) + β2log(K). (13)

Yi = log(Qi)、X1i= log(Li)、X2i= log(Ki)、α = log(A) と置き、誤差項uiを加えれば

Yi = α + β1X1i+ β2X2i+ ui. (14) これは線形回帰モデル!

まずデータLi, Ki, Qiを対数変換し、それらを使ってOLS 推 定すればよい。

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(19)

説明変数・被説明変数が対数スケールで一次式の関係になる log(Yi) = α + β1log(X1i) + β2log(X2i) + · · · + βklog(Xki) + ui.

(15) を、対数線形モデルと呼ぶ。

事前に(X1i, X2i, . . . , XKi, Yi) を対数変換し、その後 OLS。 注意:元々の観測にゼロ以下の値を含む場合、対数変換が定 義上できない。

limx→0log(x) = −∞なので、統計ソフトなどでゼロ以下の対 数変換を実行するとエラー。

鹿野繁樹 (大阪府立大学) 計量経済学#13 2017 年 11 月更新 19 / 29

(20)

Example 3

北海道内の公立病院のコブ・ダグラス型生産関数:対数線形モデ ルに変換してOLS 推定(カッコ内は t 値)。

log(Qi)i = 0.44

(2.78)+ 0.72(10.82) log(Li) + 0.18(2.54) log(Ki),

2 = 0.95, n = 89. (16)

Qi = 病院 i の患者数、Li = 総従業員数(医師・看護師・職員 など)、Ki = 病床数 × 稼働率。

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(21)

対数線形モデルによる弾力性の推定

二つの変数x、y について、それぞれの変化率を dx/x ≈ ∆x/x、 dy/y ≈ ∆y/y と置く。y の x に対する弾力性ǫ(イプシロン)は

ǫ = ∆y/y

∆x/x =

∆y

∆x x y

dy dx

x

y. (17)

弾力性ǫ は「x が 1%変化したとき、 y が何%変化するか」を 測る指標。

経済学では「需要の価格弾力性」や「輸出の為替レート弾力 性」など、頻出。

... 対数線形モデルの係数は、弾力性と密接な関係!

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(22)

対数線形化されたコブ・ダグラス型生産関数(14) 式の、誤差項を ui = uoに固定したバージョンを考える。

Y = α + β1X1+ β2X2+ uo. (18)

上式をX1で微分すると dY dX1

= β1. (19) Y = log(Q)、X1 = log(L) より

β1 = d log(Q)

d log(L). (20)

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(23)

一方対数関数の微分公式(12) を変形すると d log(x)

dx = 1

x d log(x) = dx

x . (21)

d log(Q) = dQ/Q、d log(L) = dL/L と書けるので、結局 β1

β1 = d log(Q) d log(L) =

dQ/Q

dL/L. (22) これは生産量Q の、労働 L に関する弾力性!

鹿野繁樹 (大阪府立大学) 計量経済学#13 2017 年 11 月更新 23 / 29

(24)

対数線形モデルの回帰係数のOLS 推定値 ˆβ1は,弾力性の推定値。 例:(16) 式の log(Li) の係数推定値 ˆβ1 = 0.72 ⇒「従業員が 1%増えると医療サービスの生産が 0.72%増える」。

∴ 弾力性を推定したければ、対数線形モデルをOLS 推定すれ ばよい。

鹿野繁樹 (大阪府立大学) 計量経済学#13 2017 年 11 月更新 24 / 29

(25)

半弾力性と半対数線形モデル

一方、半弾力性(デルタ) δ = ∆y/y

∆x =

∆y

∆x 1 y

dy dx

1

y (23)

は、「x が 1 単位したとき、y が何%変化するか」を測る。 弾力性ǫ の定義式 (17) と比較せよ。

鹿野繁樹 (大阪府立大学) 計量経済学#13 2017 年 11 月更新 25 / 29

(26)

被説明変数Yiだけを対数スケールに変換したモデル

log(Yi) = α + β1X1i+ β2X2i+ · · · + βkXki+ ui (24) を半対数線形モデルと呼ぶ。

対数線形モデルと同様の操作をすると βj = dY /Y

dXj

(25)

を得る。∴(24) 式の回帰係数は、Y の Xjに関する半弾力性に

等しい。

対数線形モデルも、実証分析でよく採用さる。(教科書p132 の例を参照。)

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(27)

モデル 被説明変数 説明変数 回帰係数の解釈 線形回帰 Yi Xi  通常の導関数:β = ∆Y

∆Xj

対数線形 log(Yi) log(Xi)  弾力性:β =

∆Y /Y

∆Xj/Xj = ǫ

半対数線形 log(Yi) Xi  半弾力性:β =

∆Y /Y

∆Xj = δ

1 : 説明変数・被説明変数の対数変換

Remark 1

表1:対数線形・半対数線形モデルの係数の解釈。

鹿野繁樹 (大阪府立大学) 計量経済学#13 2017 年 11 月更新 27 / 29

(28)

今回の復習問題

次の設問に答えよ。各自用意した紙に解答し、退出時に提出せよ。 講義名、日付、学籍番号、氏名を明記すること。

1 テキスト第7 章復習問題 7.1。

2 上の問題で、salesipop

iに対する半弾力性を、回帰モデル を使って推定する方法を述べよ。(テキスト第7 章復習問題 7.1 の例題。)

鹿野繁樹 (大阪府立大学) 計量経済学#13 2017 年 11 月更新 28 / 29

(29)

References

鹿野繁樹. 新しい計量経済学. 日本評論社, 2015.

鹿野繁樹 (大阪府立大学) 計量経済学#13 2017 年 11 月更新 29 / 29

参照

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