国際金融資本市場(3)
格付け (Credit Rating)
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(1)なぜ格付けが必要か:情報の非対称性を排除する
( 2 )格付けの考え方 : リスクの高い借り手は高い金利 を払う( 3 )格付けの手法:定量分析と定性分析
( 4 ) 格付けをめぐる最近の問題:エンロン・ワールドコム問題
サブプライム関連証券問題
● はじめに
● はじめに 格付けの意味
(1)
国債
社債・CP
証券化商品 保険会社 ファンド
資金調達(約束ごと)
投資 家
格付け情報
(最初の購入 者)
AAA AA BBB
資本市場(流通市 場) 格付け情報
(将来の購入者)
AAA AA BBB
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病院・大学
格付けの意味
(2)
R&I JCR MDY S&P Fitch
トヨタ自動車 AAA
(AAA) - (Aaa)Aa1 (AAA)AA (AAA)A+ 日産自動車 A-
(A) - (Baa1)- (BBB+)- (A-)- 三菱自動車 BB
(B) (BB-)BB- (Ba3)- (B-)B+ (-)- 日本大学 -
(AA) - - - -
早稲田大学 AA+
(AA+) - - - -
慶応大学 AA+
(AA+) - - (AA)AA -
東京大学 AAA
(AAA) - - - -
日本における格付けの例( 2009 年 7 月 1 日現在・カッコ内は 2008 年)
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格付けの意味
(3)
サブプライムローン証券の格付け(証券化商品)
ローン住宅
(5000本)
低所得者向け
( 10,000証券
本)
平均デフォルト率 5% 平均金利 12%
AAA(6000 本: 60 % )
( 6 %)
AA (1500 本: 15%)
( 8 %)
A ( 1000 本: 1 0 %)( 10 %)
BBB ( 500 本: 5 %) (15 %)
BB (500 本: 5%)
( 20 %)
B (500 本: 5%)
( 30 %)
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(1)なぜ格付けが必要か
銀行システムと資本市場の違い
銀行システム : 基本的には短期資金(信用創造機能、決済機 能)
銀行
預金者 企 業
設備投資長期運転資金 短期 短期 1~2 年以下
3~10 年以上の資金必要
資本市場 : 長期資金取引(情報の非対称性が大 きい)*
資本市場
( 社債、株式、 CP)
投資家 長期資金
購入・売却
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情報の非対称性を排除する
情報の非対称性が大きいと、銀行市場より資金コストが高くなるこ とがある 長期資金が調達
できない 対称
借り手 貸し手
金利
Borrower1 8% Borrower2 8% Borrower3 8% Borrower4 20% Borrower5 20% - -
- -
Borrower99 8% Borrower100 8%
平均 9%
非対称
金利 Borrower1 15%
Borrower2 15% Borrower3 15% Borrower4 15% Borrower5 15% - -
- -
Borrower99 15% Borrower100 15%
平均 15%
15% - 9% = 6% (agency cost)
借り手 貸し手
情報の非対称性を取り除くのが「格付け制度」
*
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(2)格付けの考え方
●格付けが対象とするリスク
信用リスク(約束が履行されないリスク) 社債・国債の返済
アサヒビール A-(S&P) AA
-(JCR)
日本国債 A2(¥ , MDY) A AA(R&I)
預金の安全性(R&I格付け)
三菱東京UFJ A+ (R&I) AA(S&P) りそな銀行 A (R&I) A3(MDY) A+(S&P)
足利銀行 Ba1(MDY) BBB(S&P)
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Global Rating Agency (7 社 )
USA Moody's Investors Service , Inc Standard & Poors's Corp
USA/EU Fitch
日本 格付投資情報センター( R&I) 日本格付研究所( JCR)
Cyprus (キプ
ロス) Capital Intelligence Ltd
BREE Consulting Service Ltd
アジア(日本以外) 29 社
アジア以外(グローバル以外)約 20 社
●世界の格付け会社:約60社
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●格付けの定義
AAA 債務履行の確実性
(Aaa) が最も高い
(多くの優れた要素
がある)
AA 債務履行の確実性 (Aa) がきわめて高い (優れた要素がある)
A 債務履行の確実性
(A) が高い
(部分的に優れた
要素がある)
BBB 債務履行の確実性
(Baa) が十分
(注意すべき要素
がある)
BB 債務履行の確実性 (Ba) に当面問題ない (十分注意すべき
要素がある)
B 債務履行の確実性 (B) に問題がある (絶えず注意すべき
要素がある)
CCC 債務不履行中
(Caa) または懸念強い
(回収見込めない)
CC 債務不履行中か (Ca) 懸念が極めて強い (回収見込めない)
C 債務不履行中 (C,D) (回収見込めない)
(投資適格)
(投機的)
AA 以下は+-や、1・2・3の記号で細分化されている 9
Ratings
symbols yr 1 yr 2 yr 3 yr 4 yr 5 yr 6 yr 7 yr 8 yr 9 10yr
AAA 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 AA 0.0 0.0 0.0 0.0 0.2 0.5 0.8 1.1 1.3 1.5 A 0.0 0.0 0.2 0.7 1.5 1.6 1.7 1.8 1.9 2.0 BBB 0.0 0.2 0.3 1.0 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 5.0 BB 2.0 3.5 5.0 7.5 10.0 14.0 18.0 22.0 26.0 30.0
B 8.0 10.0 12.5 16.0 20.0 26.0 32.0 38.0 44.0 50.0 Source: calculated by the past records by MDYs and S&Ps
● 実務的 な格付けの定義
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グラフにしてみると
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●リスクの高い借り手は高い金利を払う
金利
risk 6%
5.88%
4.2%
30%
1.8% 6.12%
7.8%
1.8%
損失
リスク・プレミ アム
* BB
AAA A2% 0.12%
0.12%
0%
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リスク (%) = Pd ( デフォルトの可能
性)
金利 (%) = ( リスクの無い利回り + Pd )
÷ ( 1 – Pd )
格付け会社が測定
資金市場全体の需要と供給で決まる リスクの無い国債の利率 *
●起債者が支払う金利はどのような式で決まるのか
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金利 (%)
リスク (%)=Pd
rf=6
Pd
r リスク・プレミアム
r=(rf+αPd)/(1-Pd)
●リスクと金利の実例
条件 (期間 10 年) rf=0.06 α=1.0
信用 利率 リスク
リスク (金利) プレミアム (%) (%) (%)
0AAA 6 0 1AA 7 1 3A 9 3 5BBB 11 5 10BBB- 18 12 30BB 51 45 50B 112 106*
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(3)格付けの手法: 定量分析と定性
分析 ●定量分析
( ビジネスリスク , 財務的サポート )
定量的指標 ( 例 ) AAA AA A BBB BB B
* 利益 / 長期資本 (%)
* 利払い能力 ( 倍 )
* キャピタリゼーション比率 (%)
* 負債 / 資本比率 (%)
* キャッシュフロー比率 (%)
( 注 ) 採用される指標は、 業種、企業規模、業界の 特徴、国、地域などに よって異なる
29 14 12 17 250
25 8 20 25 110
20 6 26 30 68
16 3 36 38 39
14 2 42 48 27
12 1 56 60 14
定量分析による格付け
“ A”
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●マッチングを行う(『格付け講義』による模擬格付け手法)
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●定性分析
( 事業環境 , 経営管理 , 内部および外部からの情報 )
例えば、*当該産業の将来性は:市場規模は横ばい傾向
*過去に経営的な失敗がある(市場変動を読み誤った)
*設備投資計画:高い収益力が期待できない
*自由化によって競争が激化する
定性的判断
“BBB ~ BB”
●総合判定 “ BBB”
( 定量的判定 A : 定性的判定 BBB~BB)*
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(4)格付けをめぐる最近の問題:
● エンロン・ワールドコム問題( 2001~02 年) 投資適格・格付けのまま倒産(粉飾決算)
サーベンス・オクッスリー法(米国企業再生法) 2006 年米国格付機関改革法(登録制=競争の促進)
● サブプライム関連証券問題
格付け情報の誤りが金融不安・経済混乱へ発展 格付けの世界的普及(新 BIS ルール)
銀行市場と資本市場をつなぐ金融証券化商品の登場 (銀行業と証券業の間の垣根が低くなりほぼ消滅)
定性要因を排除した統計的・金融工学による格付け審査
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