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日本放射線技術学会雑誌

第 64 卷 第 3 号 376

いる診療放射線技師にとって,仕事に密着した研究対 象として興味深く感じられるであろう.そこで,本技 術講座では,CADに興味を持つ読者の方々が研究の 第一歩を踏み出せるよう,CADによく用いられる画 像処理の基礎について,分かりやすく解説することに した.

 Figure 1は,病変検出のためのCADの典型的な手法 の流れ図である.もちろん,すべてのCADの手法が この図のような流れで処理されているのではないが, 画像の幾何学的歪の補正や濃度・コントラストの補正 によって画質を整える処理,病変の選択的強調,病変 検出対象となる臓器の領域選択,病変の検出,偽陽性 の削減は,多くの手法に共通するものである.流れ図 の右側には,よく使われる具体的な処理を列記した.  これらの具体的処理を以下のように 5 回に分け,実 際に医用画像処理やCADの研究を行っている先生方 に,分かりやすく解説していただく予定である(題は 仮題).

 近年,医用画像のディジタル化が急速に進み,さま ざまなディジタル画像処理が臨床で利用されるように なった.実際に現場で役立っているX線画像の画像処 理としては,階調処理,空間周波数処理,サブトラク ションなどがあるが,これらの医用画像処理は,装置 の開発・発展とともに開発・改良が重ねられて,画像 診断上なくてはならないものになった.

 一方,1980年代半ば,シカゴ大学において,医師の 画像診断を支援するコンピュータ支援診断(computer- aided diagnosis;CAD)の研究が活発に行われるよう になった.CADは,画像診断の際に,コンピュータ によって検出された病変位置や病変の定量解析結果を 参考にしながら行う医師による診断のことをいう.広 義には,コンピュータによる医用画像処理で得られた 処理画像を原画像の補遺として利用しながら行う医師 による診断もCADと考えることができる.

 臨床現場に導入される医用画像処理やCADは,画 像診断をする医師および医用画像を日常的に撮影して

コンピュータ支援診断(CAD)の基礎

−総論−

礎 講 座

−検査を実施する上で知っておきたい画像処理技術−

広島国際大学保健医療学部診療放射線学科

石田隆行

Fig. 1 Typical CAD scheme for detection of lesion

(2)

2008 年 3 月

コンピュータ支援診断(CAD)の基礎−総論−(石田) 377

 1.幾何学的変換,階調処理:大阪大学・小縣先生  2.空間領域での画像処理:岐阜大学・原先生

3.空間周波数領域での画像処理:広島国際大学・ 大倉先生

4.特徴量分析に必要な基礎技術:新潟大学・李先 生

 5.画像間処理:広島国際大学・川下先生

 医用画像を対象としているCADは,一つの基本的 な処理だけで満足のいく結果が得られることはまずな いので,異なる画像処理を組み合わせて使用したり, 画像処理を適切に改変したりして,工夫しながら手法 を開発することが多い.例えば,Fig. 2(a)の胸部X線 画像1)において,心臓や横隔膜など大きな構造部分の エッジのみを検出したい場合,まず思いつくのはエッ ジ検出の代表的なフィルタであるSobelフィルタを用 いた処理である.その結果は,Fig. 2(b)のような画像 となる.しかし,このエッジ像は,細い血管陰影の エッジなども強調されている.そこで,Fig. 2(c)のよ

うに,あらかじめ画像を平滑化するGaussianフィルタ 処理を行い,細かな陰影(高周波成分)を十分に減弱さ せた後,Sobelフィルタ処理を行うと,Fig. 2(d)のよ うな大まかなエッジのみが強調された画像が得られ る.どうやら,この目的では,Gaussianフィルタと Sobelフィルタを組み合わせて処理した方がよさそう である.さらに,画像のマトリクスサイズを小さくす るとピクセルサイズが大きくなるので,Sobelフィル タの効果が変わってくるはずである.その効果は,一 体どのように,どの程度変わるのであろうか?目的に 一番適した処理はどれであろうか?などなど,目的を 達成するためのより良い処理法を,自分自身の創意工 夫によりみつけていくようにすることが大事である.  CADに興味を持つ読者の方々には,まず,次号よ り連載される技術講座をじっくり読んで基礎を理解 し,入手可能な画像データベース1)を使って実際に処 理を試みてほしい.そのとき,得られた処理画像をみ るだけで終わるのではなく,考えたとおりになってい Fig. 2 Effect of combination of image processing

(a)Original image(512×512)

(b)Edge enhanced image with Sobel filter

(c)Blurred image with a Gaussian filter(σ=7 pixels)

(d)Edge enhanced image with Sobel filter

a c

b d

(3)

日本放射線技術学会雑誌

第 64 卷 第 3 号 378

ないことや不思議に思うことを探し,なぜそうなった のかをよく考えるのである.そして,どうすれば希望 どおりの結果が得られるかを考えて新たな処理を試み る.この過程を,納得いく結果が得られるまで繰り返 すことによって,応用力が養われていく.

 プログラミングができない人でも,画像表示・処理 ができるimageJというパブリックドメインソフト

(http://rsb.info.nih.gov/ij)を使って処理を行ってみると よい.このような経験を積み重ねていくことにより, CADの第一歩が踏み出せるであろう.

 最後になったが,CADの基礎技術に関する技術講 座執筆の機会を与えてくださった大塚昭義編集委員長 をはじめ編集委員の皆様に感謝し,総論を終えること にする.

参考文献

1)白石順二,土井邦雄,桂川茂彦,他:放射線医療技術学叢書 標準ディジタル画像データベース[胸部腫瘤陰影像].日本放射線技 術学会,(1998).(http://www.jsrt.or.jp/web_data/system/fws/ss_list.cgi 参照)

Fig. 1 Typical CAD scheme for detection of lesion

参照

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