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Academic year: 2018

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(1)

よく見えないと生き残れない

カワスズメ科魚類の視覚の適応と種の起源

総合研究大学院大学 先導科学研究科 生命共同体進化学専攻 寺井洋平

2013年11月3日 学術講演会

(2)

生物の進化はどのようにして起きてきたか?

適応

種分化

と、考えられている

(3)

1、集団内に差がある

2、適応度に差がある

3、それらの差が遺伝する

適応

頻度が上がっている

適応

適応度

生物個体が次の世代に残した子の数 子の数は生殖可能な個体数

(4)

1、集団内に差がある

2、適応度に差がある

3、それらの差が遺伝する

適応

頻度が上がっている

適応

適応度

生物個体が次の世代に残した子の数 子の数は生殖可能な個体数

自然選択

(ダーウィン)

適応度が高い遺伝子型が次世代で頻度を上げる現象

(5)

生物の進化はどのようにして起きてきたか?

適応

種分化

(6)

種とは?

種1

時間

現在

種A 種B

(7)

種とは?

種1

時間

現在

種A 種1 交配 種B

(8)

種とは?

種1

時間

現在

種A 野生で他の種と 交配していない 種1 交配 種B

独立した集団

(9)

種とは?

種1

時間

現在

種A 野生で他の種と 交配していない 種1 交配 種B

独立した集団

種分化: 1つの種が

2つに分かれる過程

(10)

種分化なしだったら 種分化あり

時間

現在

生命誕生

種分化の繰り返し

地球上に1種のみ

生命誕生

現在

それぞれの種が 独立に

進化できる

種分化の重要性

(11)

生物の進化はどのようにして起きてきたか?

適応

種分化

種分化 生命誕生

現在

種分化

種分化

種分化 適応

適応

適応

適応

と、考えられている

(12)

どんな生物を研究するか?

シクリッド

形態的、生態的に多様な進化研究のモデル生物

(13)

三大湖産シクリッド

500種以上生息

99 %以上の固有性 成立後14,000年程度

ヴィクトリア湖

マラウイ湖

タンガニイカ湖

500種以上生息

99 %以上の固有性 成立後200万年程度 250種生息

99 %以上の固有性 成立後1000万年程度

(14)

Million years ago

80 12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1

Lake Victoria

Lake Malawi rock

Lake Malawi sand

Tropheini

Other Lake Tanganyika

Tilapias

New World cichlids

(Tanganyika)

三大湖産シクリッドの系統関係(進化の道筋)

ヴィクトリア湖 マラウイ湖

タンガニイカ湖

独立に進化

(15)

シクリッドにおける視覚の重要性

適応

水深、透明度、水質などで異なる光環境に適応

性選択

メスによるオスの選択

メスは眼でオスの色を 見て配偶者を選択

感受性が高い光の波長の婚姻色を選択

異なる波長の感受性には オプシンが関与

婚姻色 発色のオス メス

(16)

SWS1

SWS2B

SWS2A

RH2B

RH2Aβ

RH2Aα

LWS

RH1 cone

rod

300 nm 400 nm 500 nm 600 nm

300 nm 400 nm 500 nm 600 nm

シクリッドのオプシン

色覚

薄明視

ヒトは青、緑、赤の3種類

(17)

生物の進化はどのようにして起きてきたか?

適応

種分化

オプシン遺伝子の適応

(18)

タンガニイカ湖

タンガニイカ湖

500種以上生息

99 %以上の固有性 成立後1000万年程度

世界で2番目に深い湖

1500 m

魚は200 mまで

透明度が高い

塩濃度とpHが高い

(19)

RH1

rod

400 nm 500 nm 600 nm

RH1

薄明視で働く

陸上生物や浅場の魚類は500 nm付近(緑)に

最大吸収

0 0.5 1.0 1.5

400 500 600 700

吸光度

波長 (nm)

最大吸収波長

(20)

300 nm 400 nm 500 nm 600 nm

浅い

深い

水深が深くなるにつれて青緑の光が残る

タンガニイカ湖の水中の光環境

(21)

RH1遺伝子

A292S

T

A292Sの置換が多くの深場種で見られた

(22)

RH1 視物質の再構築

培養細胞中でRH1タンパク質の発現

精製

レチナールA1

+

再構築

RH1の機能測定

吸収波長の測定

0 0.5 1.0 1.5

400 500 600 700

吸光度

波長 (nm)

最大吸収波長

(23)

RH1の機能

292Sの配列を292Aに すると浅場の吸収に

292Aの配列を292Sに すると深場の吸収に

292番目のアミノ酸置換で機能変化

深場の種:292S,

483 nm

浅場の種:292A,

504 nm

(24)

RH1遺伝子

A292S

T

深場の種で短波長シフト

(25)

300 nm 400 nm 500 nm 600 nm

RH1の適応

浅い

深い

浅い種のRH1

深い種のRH1

深い種のRH1は深い水深の光の環境に適応

よく見えないと生き残れない

(26)

とても新しい湖

1万4千年程度

透明度が低い

500種以上生息

99 %以上の固有性 成立後14,000年程度

ヴィクトリア湖

ヴィクトリア湖

(27)

ヴィクトリア湖の水中の光環境

300 nm 400 nm 500 nm 600 nm

浅い

深い

水深が深くなるにつれてオレンジの光が残る

(28)

0 m

10 m

20 m

30 m

40 m

50 m

60 m

70 m

用いた種と個体数

n=22

n=47 n=10

n=15

n=18

n=33 n=38

n=23 n=19 n=11

採集地点とサンプル

種間の遺伝的分化は 小さい(mtDNA: Fst<0.2)

Lake Victoria

Mwanza Gulf

Mwanza Gulf

砂泥地に生息する

10種を用いた

(29)

SWS1

SWS2B

SWS2A

RH2B

RH2Aβ

RH2Aα

LWS

RH1

cone

rod

300 nm 400 nm 500 nm 600 nm

300 nm 400 nm 500 nm 600 nm

シクリッドのオプシン

色覚

薄明視

(30)

0 10 20 30 40 50 60 70

xngs gdtx BB dgni LMS pics hias spms BLJC lgrs

0 10 20 30 40 50 60 70

Depth (m)

Coast Offshore

(D)

xngs gdtx

BB dgni

LMS pics

hias spms

BLJC lgrs

0 25 50 75 100

xngs gdtx BB dgni LMS pics hias spms BLJC lgrs

0 25 50 75 100

xngs gdtx BB dgni LMS pics hias spms BLJC lgrs

M3 M3 2BB

H

Sp

other

P P D D D Ds

r104I r104I r217I r104I r104I rDs r104V rMga rDb rDs

Freq.LWS (%)Freq.RH1 (%)

n=22 n=20 n=88 n=46 n=14 n=34 n=32 n=68 n=70 n=34

n=24 n=20 n=90 n=46 n=12 n=36 n=32 n=72 n=70 n=34

Coast Offshore

Coast Offshore

LWSとRH1のアリル分布

沿岸 沖合

生息水深

(31)

0 10 20 30 40 50 60 70

xngs gdtx BB dgni LMS pics hias spms BLJC lgrs

0 10 20 30 40 50 60 70

Depth (m)

Coast Offshore

(D)

xngs gdtx

BB dgni

LMS pics

hias spms

BLJC lgrs

0 25 50 75 100

xngs gdtx BB dgni LMS pics hias spms BLJC lgrs

0 25 50 75 100

xngs gdtx BB dgni LMS pics hias spms BLJC lgrs

M3 M3 2BB

H

Sp

other

P P D D D Ds

r104I r104I r217I r104I r104I rDs r104V rMga rDb rDs

Freq.LWS (%)Freq.RH1 (%)

n=22 n=20 n=88 n=46 n=14 n=34 n=32 n=68 n=70 n=34

n=24 n=20 n=90 n=46 n=12 n=36 n=32 n=72 n=70 n=34

Coast Offshore

Coast Offshore

LWSとRH1のアリル分布

それぞれの種で生息水

深ごとに異なった配列

をもっていた

適応的?

沿岸 沖合

生息水深

(32)

ヴィクトリア湖でのRH1の適応

300 nm 400 nm 500 nm 600 nm

浅い

深い

浅い種のRH1

深い種のRH1

深い種のRH1は深い水深の光の環境に適応

(33)

ヴィクトリア湖でのLWSの適応

400 nm 500 nm 600 nm

浅い種のLWS

深い種のLWS

LWSは水深により変化する光の環境に適応

浅い

深い

(34)

視覚の適応

400 nm 500 nm 600 nm

シクリッドは生息する環境の光を利用できるように進化

よく見えないと生き残れない

浅い

深い

適応の証拠

(35)

生物の進化はどのようにして起きてきたか?

適応

種分化

オプシン遺伝子の適応

種間の交配がなくなる

(36)

太陽の光

反射 赤色光 視覚で受容

配偶相手として認識

体表で反射した光が繁殖のシグナル

繁殖の際に

♂ ♀

視覚(見え方)が変わってしまったら?

Movie

(37)

Neochromis greenwoodi

異なる透明度に分布する種

LWS遺伝子を解析した

50 250 cm

(38)

LWSの適応

シクリッドは生息する環境の光を利用できるように進化

400 nm 500 nm 600 nm

400 nm 500 nm 600 nm

透明度高い

透明度低い

高い透明度のLWS

低い透明度のLWS

(39)

婚姻色の進化

適応した視覚に目立つ色に婚姻色が進化

400 nm 500 nm 600 nm

400 nm 500 nm 600 nm

透明度高い

透明度低い

高い透明度の婚姻色

低い透明度の婚姻色

(40)

Pundamilia pundamilia

Pundamilia nyererei

これらの2種は同じ岩場の異なる深さに生息

浅瀬の岩場に生息

比較的水深のある 岩場に生息

異なる深さに生息する種

(41)

水中の光環境

深さにより異なった光の成分:

深くなるに従い、短波長から長波長へ光の主な成分が変化していた 透明度: 85 cm

光の強度

波長 (nm)

400 800 1200 1600

400 500 600 700

0.5 m

2.5 m 1.5 m

水面

深さ

2.5 m 1.5 m 0.5 m

Blue

Red

水面 水面

透明度 85 cm

透明度 258 cm

よりなだらかに変化

(42)

LWSの適応

82 52

P. pundamilia P. nyererei P. pundamilia P. nyererei

LWS H

LWS P

A C

Y

T I

F

216 230 275

吸光度

アミノ酸位置

波長

2種で見られた LWSの配列:

LWSのアリルが適応的に分化していた

32 112

P H M3 other

透明度 85 cm 透明度 258 cm

98

(43)

婚姻色と好みの分化

個体数

青が好み 赤が好み

婚姻色の分化

好みの分化 視覚の適応的分化に伴い

婚姻色と好みも分化していた 生殖的隔離、

種分化

個体数

0 10

オスの婚姻色

個体数

0 40

オスの婚姻色

透明度 85 cm 透明度 258 cm

(44)

種分化の機構、Sensory Drive

環境への適応が種分化を引き起こす

種分化は環境適応の副産物

(45)

謝辞

岡田典弘教授 溝入真治博士 相原光人博士

京都大学霊長類研究所 平井啓久教授

今井啓雄准教授 菅原亨博士

九州大学 舘田秀典教授

Bern大学

Ole Seehausen博士

総研大のみなさま

北海道大学 黒岩麻里准教授

東京工業大学

神戸薬科大学 和田昭盛教授 沖津貴志助教 タンザニア水産研究所(TAFIRI)

総合研究大学院大学

五條堀淳助教 木下充代講師 田辺秀之准教授

国立遺伝学研究所 豊田敦 准教授 颯田葉子教授

大田竜也准教授

Semvua Mzighani 蟻川謙太郎教授

参照

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