土の過去と現在を知り、土とつきあう

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土の過去と現在を知り、土とつきあう

大学院工学研究院・大学院工学院 准教授

西村

に し む ら

さとし

(工学部環境社会工学科社会基盤学コース)

専門分野 : 地盤工学,土質力学

研究のキーワード : 地盤,災害予測,地盤改良,地質

HP アドレス : http://www.eng.hokudai.ac.jp/labo/soilmech/

どんな研究をしているのですか?

私たちの研究は、社会基盤の建設にあたって、地盤に関わるトピック全てを対象として います。土の上や中に橋、建物、杭、トンネルなどの構造物をつくったときに、土が弱け れば崩れますし、土が軟らかければ、構造物は使えないほどに傾いたり沈んだりしてしま います。こういった問題を防ぐためには、土の強さ・固さや、土の中の水の通りやすさな ど、「物性」というものを正確に評価する必要があります。また、そこにある土の物性が望 ましいものでなければ、水を絞り出す・セメントで固めるなどの地盤改良を行う必要があ ります。私たちは土の物性や地盤改良効果の評価を最先端の技術を用いて行っています。

土って、どんなふうにできて、どんな状態にあるのですか?

土は、岩が風化してバラバラになった粒が湖や海などの底にゆっくりと積もったり、微 生物や植物の残骸がそれに混じったりして、数千年~数千万年を経てつくられていきます。 この原材料、いわば「過去」で土の性質は5割決まってしまいます。しかし残りの5割は? それは「現在」の状態によります。写真の、海底の泥のように水をたくさん含む粘土では、 その上に乗ってみることさえできません。しかし、水をわずかしか含まない粘土は、削る のにも苦労するくらい固くなります。また、砂でも、岩のように粒がガッチリと噛みあっ たものから、砂丘のようにサラサラなものまでいろいろあります。構造物をつくろうとし たとき、どちらに出くわすかで設計方法・施工方法は大きく違います。粒が何でできるか だけでなく、その集合体の構造と状態が重要なのです。

水分が少なく固いロンドンの粘土

泥水のような海底の粘土 押さえつけら れていない緩い砂 鉛直な壁がつくれる、噛み合っ た砂

出身高校:茨城県立土浦第一高校 最終学歴:Imperial College London 大学院土木環境工学科

土木建築

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実際にどのような装置で、どのようなことをするのですか?

土の強さや固さを知るには、力をかけて変 形させる必要がありますが、その試験方法は 様々です。最も詳しく調べるには、実験室に 持ち帰って、試験機の中で原位置と似た状態 に再びおいて、地盤中でかかっている力を再 現します。写真では、圧力円筒の中で、地下

70mに相当する圧力をかけて、そこから上や

横から力を加え、変形の大きさを調べていま す。髪の毛の太さの1/100(0.0005mm!)く らいの変形から、土が目に見えてひしゃげる くらいまで、正確に変形やかかっている力を 測ることができます。このために、超精密セ ンサーや画像解析など、いろいろなツールを 活用しています。また、これと同時に、土に

非常に微小な振動を与えて、これが伝わる速度を測って、弾性波理論に基づいて土の固さ を推定したりもできます。これらの結果を数値として求め、設計に役立てていくのです。 私たちの実験室では、他にも、土をねじったり膨らませたりして、様々な外力に対して正 確に変形を測定する装置を使っています。

そこから先は?どのように社会の役に立つのですか?

土木工学における力学では、「水」、「コンクリー ト・鉄鋼」、「土」が3大対象と言われますが、土は 他の2つと違い、地域や地質環境によって大きく性 質に幅があります。このような材料としての土を深 く理解するには、「過去・由来(どこから来た土なの か)」と「現在(どのような状態にあるのか)」に従っ て合理的に分類して、多くの土を研究していくしか ありません。写真は北海道の典型的な土の一つの例 ですが、本州の典型的な粘土と違って、有機質分が 非常に多いものです。このような地域に特有の土も 詳しく研究し、建設活動や地滑り・地盤沈下などの

災害予測の助けになりたいと思っています。また、 対策としての地盤改良の効果も同様の方法で評価し、 なるべく安全でコストの低い建設が実現できるよう にデータを蓄積していくべく努力しています。

微小変形 センサー と 弾性波速度 測定装置 土のサンプ ルは こ の中に

堤防の建設

北海道特有の「泥炭」:軟らかくて 堤防が沈んでしまうのが問題

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参照

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