国際金融論演習11月24日
2班 中崎 佐藤 今野
経済統計を分析する手引き
1 移動平均
移動平均とは、時系列データに対して、時間的に隣接したグループごとに計算され る平均のことを指す。これを用いることで長期的なトレンドを捉えやすくなる。まず 例として、日経平均株価を基に移動平均を算出してみよう。実際の計算式は下記のよ うになるが、Excelを用いることで簡単に数値からグラフまで作ることができる。
中心化
2
m
項移動平均
=
1
4
m
(
x
t−mx
t+m)
+
1
2
m
i=−m+∑
1m−1
x
t+i①分析するデータの取り込み
使用するデータは月間の日経平均株価(2015/12-2017-9)である。Excelの機能 で取り込む場合、Excelのバージョンによって仕様が異なるので注意が必要。しかし 今回はコピペでOK。
「kabutan」というサイトよりデータを引用する。「日経平均株価 推移」で検索 すると一番上に出てくると思う。
②Excelでの計算
では、実際に計算してみよう。平均は関数AVERAGEで計算できる。
によって変更しよう。
わかりやすいようにラベルを一番上につけた後、E3に=average(B2:B4)。あとは元 データの範囲まで、内容を反映させる。これで数値は出すことができた。
次はグラフを作る。挿入から、出した数値を選択して、折れ線グラフの標準的なもの を選ぼう。
次に先の手順と同様に、後方3か月移動平均も算出していこう。後方移動平均とは、 該当月を含む過去3か月分の平均のことである。金融データの分析はこちらで行われ ることが多い。
それでは算出を始めよう。まず、セルE1に【後方3か月移動平均】と入力し、E2 の数式に
F4 =AVERAGE(B2:B4)
と入力する。数値が出た後F2のセルを該当セルすべてにすると数値が算出される。
2.時差相関
ここでは時差相関を用いて為替相場と国際収支の間にどのような関係性があるかを調 べる。
初めに、時差相関を求めるには時差相関係数というものが必要になる。これは、2 つの時系列データについてどちらが先行しどちらが遅行しているかという関係を検証 するために用いられる算定値である。この時系列データのことを変数と呼ぶが、これ には因果関係のあるものを用いなければならない。例えば、国民所得と失業率のよう にマクロ経済の理論を使用するのが適当だろう。
同様に、マーケット関連→国際収支関連→国際収支月次→経常収支の2016年9月 から2017年8月のデータをエクセルに打ち込む。
①平均値と偏差を求める
これから、タイムラグが1の場合の相関係数を算出する。
まず、為替相場と国際収支の平均値を算出する。平均は関数AVERAGEで出力され る。セルB1に「為替相場・月末」、セルD1に「国際収支(経常収支)」とラベルを
付ける。
そしてセルA15に「平均」とラベルを付け、セルB15とD15に為替相場と国際収 支の平均値を計算する。
平均値は
m
=
1
N
∑
i=1N
x
1と計算される。これをエクセルで表現するには、為替相場の場合、 =
12
1
(
B
3
+
B
4
+
B
5
+
… B
14
)
と記入する必要がある。
こ の 式 を エ ク セ ル の 関 数 を 使 っ て 平 均 値 を 計 算 し て み よ う 。 平 均 値 は 関 数 AVERAGEで出力される。
B15に =AVERAGE(B3:B13)
D15に =AVERAGE(D4:D14) と入力する。なぜ、指定する区間に差があるのかと いうと、タイムラグが1期分存在するからである。
続いて、為替相場と国際収支のそれぞれ隣の列に各値と系列との平均の差である偏差 を求める。
偏差は
偏差
=
x
i−´
x
で計算でき、個々の数値からデータの平均値を表す。 これをエクセルで計算してみよう。2016年9月の為替相場の偏差は=+B3-$B$15 と計算される。これをセルC3に出力する。10月以降の数値は ドラッグアンドドロップで自動的に算出されるが、セルC13までにしておく。国際収 支のセルDに関しても同様に計算し、セルEに算出する。ただし、タイムラグを考慮
②分散と標準偏差を求める
まず、分散を求めよう。分散とは、データのばらつき具合を表す値である。一般的
には
n
=
1
¿
x
x
i−´
¿
¿
¿
¿
s
2=
1
n
∑
¿n
¿
で計算される。
これをエクセルで計算してみよう。為替相場の分散の値はセルC16に出力する。分
散=VARP(C3:C13)という式を入力する。同様に、国際収支の分散の値をセルE16に 分散=VARP(E4:E14)と出力する。
続いて、標準偏差を求める。
標準偏差とは、データが平均値周辺にどのくらいの広がりや散らばりを持っている かを示す値である。
一般的には、
x
x
i−´
¿
¿
¿
2¿
¿
1
n
∑
n=1n
¿
s
=
√¿
で計算される。
支のほうも、セルE17において、標準偏差=STDEVP(E4:E14)と入力する。
③共分散と相関係数を求める
次に、共分散を求める。共分散とは2つのデータそれぞれの偏差の積の平均値であ る。一般的に共分散は以下の式で求められる。
COV(X,Y)=
1
n
{
(
x
i− ´
x
) (
y
i− ´
y
)
+
⋯
+
(
x
n−´
x
)(
y
n− ´
y
)
}
これをエクセルで計算してみよう。セルC18において=COVAR(C3:C13,E4:E14) と入力する。先ほどと同様、指定する区間にタイムラグを設けている。
最後に相関係数を求める。相関係数は一般的に次のような式で表される。
相関係数
=
共分散
(
x
の標準偏差
) (
yの標準偏差
)
これをエクセルで計算してみよう。セルC19において=C18/(C17*E17)と入力す る。
この一連の作業を通して、タイムラグが1の場合の相関係数を算出できた。
④相関係数をもっと手早く出す方法
上記のやり方でも相関係数を算出できるがタイムラグに合わせて分散以降の算出作 業を一つ一つ計算しなければならないので時間と手間がかかってしまう。
そのため、タイムラグが2以上の場合に関しては相関係数をエクセルの関数の機能 を用いて手早く計算していこうと思う。
計算に必要なのは、各データのみである。相関係数はCORREL関数を用いて算出で きる。なので、タイムラグが1の場合の相関係数を求めるには、セルC20において =CORREL(B3:B13,D4:D14)と入力する。偏差ではなく、データをそのまま用いるの で注意が必要である。
同様にして、タイムラグが2、3…9の場合まで相関係数を出したら、それをグラ フ化してみよう。
グラフは、相関係数の列部分を指定して、挿入→
グラフ→棒グラフを指定する。
また、相関係数は値が-1から1までの範囲内でしかないので、グラフの縦軸
を右クリック→軸の書式設定→最大値と最小値をそれぞれ1と-1に設定すれ
ば完成である。
これで、時差相関のグラフは完成である。
相関係数が0のときは、全く相関がみられない、0~0.2のときはほとんど相関なし、 0.2~0.4のときは弱い相関あり、0.4~0.7のときは相関あり、0.7~1.0は高い相関 あり、1なら完全に相関という見方ができる。
3.練習問題
リーマンショックは2008年9月15日に発生した。このことより、2008年9月 から2009年8月までの時差相関を分析し、グラフを作成せよ。ただし、求めるタイ