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グリーンパワーIC ─平成22年度特許出願技術動向調査の紹介─ 「特技懇」誌のページ(特許庁技術懇話会 会員サイト)

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(1)

TECHNO

TREND

抄 録

特許庁特許審査第三部審査調査室

宮部 裕一

 グリーンエネルギー関連技術は、創エネルギー分野、 蓄エネルギー分野、及び省エネルギー分野に分類され る。平成22年度技術動向調査では、前記省エネルギー 分野において、各電力変換地点におけるエネルギーロ スを最小化するために重要な役割を担う広義のパワー デバイスを「グリーンパワー IC」と定義づけ、調査を 実施した。

 本稿では調査結果のうち、パワーデバイス関連の特 許出願動向・研究開発動向を紹介する。特許出願件数 では、日本国籍が半数以上を占め他の国籍を圧倒して いる。一方、論文発表件数では、欧州国籍が最も多く、 次いで米国国籍、日本国籍となっている。これらを含 む調査結果を踏まえ、今後、世界を見据えて、日本が 国際的な競争力の維持・拡大を図るため取り組むべき 課題を整理し、日本が目指すべき研究開発、技術開発 の方向性について、七つの視点から提言を行った。

グリーンパワー IC

─平成 22 年度特許出願技術

 動向調査の紹介─

1.

〜グリーンパワーICとは〜

 グリーンエネルギー関連技術は、太陽光発電や風力発電 等の CO2を排出しない創エネルギー分野、電気自動車での 利用が見込まれるリチウムイオン電池等の蓄エネルギー分 野、LED やパワーデバイス等の低消費電力化を図る省エ ネルギー分野に分類される。

 省エネルギー分野において、各電力変換地点におけるエ

ネルギーロスを最小化するために重要な役割を担うのが “グリーンパワー IC”である。ここで、グリーンパワー IC とは、グリーンテクノロジーに貢献し得る広義のパワーデ バイスであり、パワーデバイス、パワーモジュール、狭義 のパワー IC 等を含む技術分野であると本調査では定義付 け、具体的には、高耐圧ショットキーバリアダイオード、 サイリスタ、高耐圧 MOSFET、IGBT、インバータモジュー ル等を含む。

 図 1 にグリーンパワー IC の技術俯瞰図を示す。グリー

関 機 ・

・ 機

の対 外

リ ー

の対 リ ー

アプリケーションはグリーンパワー ICを用いるものに る

・ 機

システム化技術、電力 技術

モジュール( 立体)

デバイス構造

基板

プロセス 製造装置

世界の社会インフラの進化 大規模なアプリケーションの 場 半導体産業をグローバルに牽引

基板の特性向上

デバイス モジュールの特性向上 ( 、 、 動作等)

製造技術の

型化 積化 化 信頼性 性の向上

グリーン

グリーンパワー IC

(2)

(1)全体動向分析

①出願人国籍別出願動向

 日米欧中韓への出願における、出願人国籍別出願件数の 年次推移と出願件数比率を図 2 に示す。出願人国籍では、 日本国籍が全体の 57.6%と最も多く、次いで米国籍が

18.2%、欧州国籍が 15.2%となっている。中国籍、韓国籍 は少ない。年次推移を見ると、全ての年次で日本国籍の出 願人による出願が半数以上を占め、他の国籍の出願人を圧 倒している。この結果は、パワーデバイス分野における日 本国籍の特許情報は世界に向けて発信することが可能な技 術的コンテンツを多数有していることを意味している。な お、2007 年以降は、PCT 出願の各国移行のずれやデータ ベース収録の遅れ等により、全データが取得されていない 可能性がある。

②日米欧中韓における出願収支

 日米欧中韓国への出願における、出願先国別の出願人国 籍別出願件数収支を図 3 に示す。日本の出願件数収支は米 国、欧州、中国、韓国のいずれの国に対しても数的に優位 にあり、日本は数的には他地域に比較して、積極的に海外 に出願していることが分かる。

チップ内の構造)に関連する技術、モジュール(組立体) に関連する技術に、プロセス(製造方法)に関する技術及 び製造装置に関連する技術が組み合わさった体系と見る ことができ、本調査はこの五つの技術分野を対象に実施 した。

 また、グリーンパワー IC が用いられるアプリケーショ ン(応用分野)は、発電・送配電システム(スマートグリッ ド等)、自動車(EV、HEV 等)、自動車以外の輸送機械(鉄 道・船舶・航空機)、産業機器(FA 機器、エレベータ等)、 IT 関連機器(パソコン、携帯電話等)、民生・家電機器(エ アコン、FPD、AV 機器等)等広範囲にわたり、これらも 図 1 に示すとおり、本調査の対象としたが、本稿では、紙 面数の関係上、上記パワーデバイス関連の五つの技術分 野の調査結果の一部のみを紹介する。

 なお、アプリケーション(応用分野)関連の調査結果に ついては、本編をご参照いただきたい。

2.

特許動向分析

 本調査では、特許検索にデータベース「Derwent World Patents Index」を使用し、日本、米国、欧州、中国及び韓 国に出願された特許を調査対象とした。また、期間は、出

日 国籍 14 593件

57 6 欧州国籍

3 849件 15 2

米国籍 4 614件 18 2

その他 620件 2 4 韓国籍

1 327件 5 2 中国籍 331件 1 3

25 334 件

2 556

2 905 2 326

2 924 3 101 3 150 3 249 2 972

2 149

500 1 000 1 500 2 000 2 500 3 000 3 500

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008

出願 (

日 米国 欧州 中国 韓国 その他 合 2000-2008

出願人国籍

(3)

TECHNO

TREND

 日米欧中韓への出願における、技術区分(解決手段)別 ─出願人国籍別出願件数を図 5 に示す。

 この結果、日本の技術開発はいずれの技術分野において もトップであり、他地域に比べて多様な解決手段について バランス良く技術蓄積がなされていることが分かる。 (2)技術区分別動向分析

 日米欧中韓への出願における、技術区分(課題)別─出 願人国籍別出願件数を図 4 に示す。この結果、日本の出願 は他の地域と比較して、当該分野の多様な技術課題を強く 意識していることを示唆している。

図3 出願先国別─出願人国籍別出願件数収支(パワーデバイス関連)

図4 技術区分(課題)別─出願人国籍別出願件数

   (日米欧中韓への出願)(パワーデバイス関連) 図5 技術区分(解決手段)別─出願人国籍別出願件数 (日米欧中韓への出願)(パワーデバイス関連)

日 国籍 3 180件

45 3 米国籍

2 077件 29 6 欧州国籍

995件 14 2

中国籍 33件 0 5

韓国籍 382件

5 4

その他 360件

5 1 その他

26件 0 6 韓国籍

65件 1 6 中国籍

1件 0 02 欧州国籍

1 816件 45 2

米国籍 750件 18 7

日 国籍 1 362件

33 9

その他 162件 6 1 韓国籍

117件 4 4 中国籍

296件 11 2 欧州国籍

324件 12 2 米国籍

557件 21 1

日 国籍 1 190件

45 0

日 国籍 954件 40 1 米国籍

535件 22 5 欧州国籍

251件 10 6 中国籍

0件 0 0

韓国籍 616件 25 9

その他 21件 0 9 その他

51件 0 6 韓国籍

147件 1 6 中国籍

1件 0 01

日 国籍 7 907件

85 4 欧州国籍

463件 5 0 米国籍

695件 7 5

日本への出願 264件

中国への出願 2 646件

欧州への出願 4 2 件

韓国への出願 2 377件

米国への出願 7 27件

995件

1 362件

3 180件 695件

463件

954件 750件

1件 65件

251件 1 190件

557件 33件

382件

117

324件 535件 1件 147件

0 13 23 20 128 117 442

その他

106 177 60 756 962 2 771

製造技術の

(基板製造 外の工 )

49 95 9 323 264 586

動作の実 ( 動 作 、 期特性 )

58 135 346

1 668

信頼性 性の向上 525 38

5 3 16

25 162

電 渉(EMI)の

91 218 24 498 555 1 663

型化 積化 化

371 647 187 2 010 2 631 7 308

デバイス モジュール の特性向上

基板の特性向上 3 191 724 616 103 316 106

日 米国 欧州 中国 韓国 その他

出願人

2 48 7 120 257 882

装置

39 102 13 1 112 498 2 922

モジュール

63 216 60 280 464 1 141

プロセス

160 225 940

2 531

デバイス構造 683 74

127 351 108 777 1 275 4 127

基板

日 米国 欧州 中国 韓国 その他

(4)

機器(携帯電話、パソコン等)と自動車向けが二大応用分 野であり、米国も同様である。欧州は自動車が最も多いが、 日本、米国と異なり、発電・送配電システムが次に来ている。 いずれの分野においても、日本の出願は他の地域と比較し て応用分野を意識した特許出願が多いことが分かる。

(3)出願人別動向分析

 グリーンパワー IC に関する特許の出願先国別の出願人 別出願件数上位ランキングを表 1 に示す。三菱電機がいず れの出願先でも 1 位又は 2 位になっている。上位を占める 日本国籍の出願人のうち、中国を重視する企業(例:パナ ソニック、ルネサスエレクトロニクス、東芝)が多い点が 注目される。

表1 全体の出願人別出願件数ランキング(出願先国別)(パワーデバイス関連)

図6 技術区分(応用分野)別─出願人国籍別出願件数

 (日米欧中韓への出願)(パワーデバイス関連)

日 米国 欧州 中国 韓国 その他

出願人

その他 101 60 6 1 5 1

電力 4 1

機 1 8 1

62 25 1

自動車 408 64 65 5

生 家電機 222 20 12 11 27 11 1

50 34 138

発電 電システム (スマートグリッド等)

2 6

24 132

産業機 (モーター 動等)

4 6 167

用インバータ

日本への出願 米国への出願 欧州への出願 中国への出願 韓国への出願

出願人 出願件数 順位 出願人 出願件数 順位 出願人 出願件数 順位 出願人 出願件数 順位 出願人 出願件数

1 東芝 594 1 東芝 343 1

インフィニオ ン テクノロ ジーズ (ドイツ)

397 1 三菱電機 133 1 三菱電機 125

2 三菱電機 584 2 三菱電機 290 2 三菱電機 245 2 パナソニック 113 2 三星電子(韓国) 103

3 パナソニック 546 3 ルネサスエレクトロニ

クス 271 3

ゼ ミ ク ロ ン エレクローニ

ク(ドイツ) 233 3 三洋電機 109 3 住友電気工業 92

4 デンソー 516 4 パナソニック 252 4 デンソー 143 4 住友電気工業 103 4 ド ン ブ ハ イテック(韓国) 88

5 富士電機システムズ 415 5

インフィニオ ン テ ク ノ ロ ジーズ (ドイツ)

247 5 クリー(米国) 131 5 ルネサスエレクトロニ

クス 77 5 クリー(米国) 81

6 住友電気工業 412 6 デンソー 203 6 住友電気工業 105 5 東芝 77 6 三洋電機 76

7 トヨタ自動車 403 7 クリー(米国) 183 7 NXP(オランダ) 101 7 IBM(米国) 70 7

ハイニックス セミコンダク ター (韓国)

62

8 ルネサスエレクトロニ

クス 356 8 IBM(米国) 163 8

インフィニオ ン テクノロ ジーズ オー ストリア ( オ ー ス ト リ

ア)

98 8 クリー(米国) 69 8 NXP(オランダ) 57

9 三洋電機 236 9

イ ン タ ー ナ シ ョ ナ ル レ クティファイ ヤー(米国)

158 9 ジーメンス(ドイツ) 86 9 台湾積体電路製造

(台湾) 62 8

ルネサス エレクトロニ

クス 57

(5)

TECHNO

TREND

をもとにして解析を行ったものである。また、その他の論 文は主に基板やモジュールに関するものであり、日本語訳 した抄録をもとにして解析を行ったものである。

 パワーデバイスに関する論文では欧州国籍が 210 件 (42.1%)で最も多く、次いで米国籍が 134 件(26.9%)、

日本国籍が64件(12.8%)となっている。その他の論文では、 欧州国籍が 1,077 件(29.9%)で最も多く、次いで米国籍が 964 件(26.8%)、日本国籍が 497 件(13.8%)となっている。 2001 年から 2002 年への大きな減少の要因は、IT バブルの 崩壊や、2001 年 9 月の米国における同時多発テロの影響 が考えられる。

 特許(図2)と比べ日本国籍の割合が小さいことは、他地 域に比べ日本国内には、グリーンパワーICに関連する研究 者の数が相対的に少ないことを示唆している。一方、欧州 では特許(図2)と比べ割合が大きいことは、欧州において は基礎的な研究が充実していることを示唆している。

3.

研究開発動向分析

 今回の調査では、非特許文献検索に文献検索サービス JDreamII が提供する JSTPlus を使用した。また、対象と した論文の範囲は、2000 年から 2009 年に発行された論文 誌に掲載されたものとした。

(1)全体動向分析

 国際的な主要論文誌(569 誌)に限定した場合について、 研究者所属機関国籍別論文発表件数推移及び論文発表件数 比率を図 7 に示す。なお、論文については、パワーデバイ スに関する論文とその他の論文の 2 種類の母集団に分けて 解析を行った。「パワーデバイス関連」の論文は主にデバ イス構造やモジュールに関するものであり、原文献の内容

欧州国籍 1 077件

29 9 中国籍

289件 8 0 韓国籍 180件 5 0

その他 593件 16 5

日 国籍 497件 13 8

米国籍 964件 26 8

426 392

258 319

365 340 426

361 343 370

50 100 150 200 250 300 350 400 450

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009

発表

研究者所属機関国籍

日 国籍 米国籍 欧州国籍 中国籍 韓国籍 その他 合

3 600 件

発表

2000-2009 米国籍

134件 26 9 日 国籍

64件 12 8 その他

49件 9 8 韓国籍

21件 4 2

中国籍 21件 4 2

欧州国籍 210件 42 1

499 件

77

83

24 37

46 40

57 49

30 56

10 20 30 40 50 60 70 80 90

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009

発表

発表

2000-2009

研究者所属機関国籍

日 国籍 米国籍 欧州国籍 中国籍 韓国籍 その他 合

図7 研究者所属機関国籍別論文発表件数推移及び論文発表件数比率(国際的な主要論文誌) a)パワーデバイスに関する論文

(6)

が少ない。

 なお、その他の課題が最も多いのは、メカニズムの解明 や実験結果報告を内容とする論文を、その他の課題に分類 したためと考えられる。

図 9 に示す。パワーデバイスに関する論文はデバイス構造 に関する論文が最も多い。また、その他の論文では、どの 国籍においても基板に関する論文が最も多い。

① 技術区分(課題)別─研究者所属機関国籍別論文発表件数

 研究者所属機関の国籍ごとに、技術区分別(課題)の論 文発表件数を図 8 に示す。パワーデバイスに関する論文で は、その他以外で、デバイス・モジュールの特性向上を

② 技術区分(解決手段)別─研究者所属機関国籍別論文発 表件数

 解決手段ごとの研究者所属機関国籍別の論文発表件数を その他 39 104 161 12 10 42

製造技術の (基板

製造 外の工 ) 9 12 18 4 6 4 動作の実 ( 動

作 、 期特性 ) 6 9 4 1 2

2 55

信頼性 性の向上 13 26 3 4

電 渉(EMI)の 4 3 4 1 1 型化 積化

化 13 16 29 4 4 2 デバイス モジュール

の特性向上 40 87 100 11 17 25

1 1

4 2

基板の特性向上

研究者所属機関国籍

日 米国 欧州 中国 韓国 その他

1 1

装置

1 1 6 17 5

モジュール

1 1 1 4 3 4

プロセス

8 7 24

22

デバイス構造 41 9

1 3 3 5

基板

研究者所属機関国籍

日 米国 欧州 中国 韓国 その他

267 584 685 203 119 415 50 89 101 32 17 59

41

93 140 29 20 81 24

121

44 75 10 42 18 34 19 12 1 18 22 53 33 4 4 12 155 266 232 40 42 127

89 34 56 234 207 128

その他

製造技術の (基板 製造 外の工 )

動作の実 ( 動 作 、 期特性 ) 信頼性 性の向上 電 渉(EMI)の

型化 積化 化

デバイス モジュール の特性向上 基板の特性向上

研究者所属機関国籍

日 米国 欧州 中国 韓国 その他

2 3 1 3 3 3

63

17

23 162 139 62

14 4 7 24 29 19

7 1 22

11 14 2

184

69

112 376 335 187

装置 モジュール プロセス デバイス構造 基板

研究者所属機関国籍

日 米国 欧州 中国 韓国 その他

図8 技術区分(課題)別─研究者所属機関国籍別論文発表件数(国際的な主要論文誌)

図9 技術区分(解決手段)別─研究者所属機関国籍別論文発表件数(国際的な主要論文誌) a)パワーデバイスに関する論文

a)パワーデバイスに関する論文

b)その他の論文

(7)

TECHNO

TREND

する論文は、応用分野として自動車と IT 関連機器を想定 しているものが多い。その他の論文では、自動車と発電・ 送配電システムに関する論文が多い。

特許と比較して、特に日本の大学が極めて少ないことは、 大学を中心とした研究機関における基礎的な研究開発を担 う人材の育成が急務であることを示唆している。

③ 技術区分(応用分野)別─研究者所属機関国籍別論文発 表件数

 応用分野ごとの研究者所属機関国籍別の論文発表件数を 図 10 に示す。日米欧から発表されたパワーデバイスに関

(3)研究者所属機関・研究者別動向分析

 グリーンパワー IC に関する論文(発行年:2000 年から 2009年)の研究者所属機関別上位ランキングを表2に示す。

1 8

17 その他

2 1 電力

1 2 機

2 1 19

8 10 自動車

1

2

1 2 2 2 生 家電機

発電 電システム

(スマートグリッド等) 1 3 3 4 産業機

(モーター 動等) 1 1 2 1 1 用インバータ

IT 関連機 ( 電 、

パソコン他) 8 12 10 2 1 7

研究者所属機関国籍

日 米国 欧州 中国 韓国 その他

1 6

5 2

4 3

7 1

3 1 3 4 11 2

2 10 4 1

15 4 3 35 6 11

38

13

24 74 107 54

10

9

5 17 8 6

25 60 109 28 18 109 4 12 26 4 7 9 2 3 8 3 7 5 5 7 1 1

研究者所属機関国籍

日 米国 欧州 中国 韓国 その他

その他 電力

機 自動車

生 家電機 発電 電システム (スマートグリッド等)

産業機

(モーター 動等) 用インバータ IT 関連機 ( 電 、 パソコン他)

図10 技術区分(応用分野)別─研究者所属機関国籍別論文発表件数(国際的な主要論文誌) a)パワーデバイスに関する論文

a)パワーデバイスに関する論文

b)その他の論文

b)その他の論文 表2 研究者所属機関別の論文発表件数上位ランキング(国際的な主要論文誌)

研究者所属機関名(国籍) 発表件数

1 インフィニオン テクノロジーズ(ドイツ) 24 2 バージニア工科大学(米国) 16

3 クリー(米国) 12

4 ケンブリッジ大学(イギリス) 10

4 香港科技大学(中国) 10

6 テキサス インスツルメンツ(米国) 9

6 モトローラ(米国) 9

6 日立製作所 9

9 ケムニッツ工科大学(ドイツ) 8

9 ジーメンス(ドイツ) 8

9 STマイクロエレクトロニクス(イタリア) 8

12 LAAS(フランス) 7

12 チューリッヒ工科大学(スイス) 7 12 ウェールズ スウォンジー大学(イギリス) 7 12 ウィーン工科大学(オーストリア) 7 12 ノースカロライナ州立大学(米国) 7

12 国立交通大学(台湾) 7

12 三菱電機 7

12 東芝 7

12 富士電機ホールディングス 7

研究者所属機関名(国籍) 発表件数

1 バージニア工科大学(米国) 88

2 中国科学院(中国) 76

3 カリフォルニア大学(米国) 56 4 ヨッフェ物理技術研究所(ロシア) 49 5 ウイスコンシン大学(米国) 42

6 産業技術総合研究所 39

7 フロリダ大学(米国) 38

8 イリノイ大学(米国) 36

8 ニューヨーク州立大学(米国) 36 10 CNRS(フランス) 35 10 エアランゲン大学(ドイツ) 35 12 コーネル大学(米国) 34

13 大阪大学 33

14 国立成功大学(台湾) 32 15 リンショーピング大学(スウェーデン) 31

15 東北大学 31

15 米国海軍研究所(米国) 31 18 サウスカロライナ大学(米国) 30 18 サンディア国立研究所(米国) 30

(8)

される機能と性能(低損失、大電流、高温動作、高破壊耐量、 高温動作、高耐圧)が異なる。そのため、個別のアプリケー ションで必要とされる機能や性能をソフトウエア技術を含 めて徹底的にチューニングした「アプリケーションスペシ フィックパワーデバイス(ASPD;Application Specific

Power Device)」の開発が重要となる。

 社会インフラに深く関連したアプリケーションでは、コ ストに加え信頼性、耐久性等の安全性も求められる。また、 市場勃興期にはハードウエアを中心としたシステムの構成 が主流となるが、市場成長とともにパワーデバイスを効率 的に制御するソフトウエア技術の開発も欠かせない。一方、 社会インフラにおけるアプリケーションは、システムの単 価が高価なため、パワーデバイスの高コストというデメ リットを吸収し得る可能性がある。コストの制約が緩和さ れることで、付加価値の高いビジネスモデルを描くチャン スが産み出される。

 知的財産の視点からは、デバイスとアプリケーション、 ハードウエアとソフトウエアがクロスオーバーする技術 領域が特許創出の宝庫となる。また、コストの制約が緩 和されることで、斬新なビジネスモデルの特許が生まれ る可能性が高まる。日本企業は、アプリケーションを意 識したクロスオーバーする分野の特許が海外勢に比較し て多い。先端技術分野の研究開発により、質的に魅力的 な特許を取得することで、取得特許をビジネスに活かす 工夫が求められる。

【提言3】

グリーンパワーICに関する人材育成は、大学、業界団体、 アライアンス、官庁の人的ネットワークを活用して、多様 な技術や知的財産を学ぶ機会を充実させ、国際舞台で通用 するグローバルな人材の輩出を目的とする。

 グリーンパワー IC の研究開発を継続・発展させるため には、材料、プロセス、デバイス、モジュール、システム に加えてアプリケーションなどの裾野の広い要素技術の 個々の分野の専門家から、クロスオーバーな領域を理解す るエンジニアまで多様な人材が不可欠である。そのために は、スペシャリストであるシニアエンジニア及び将来の担 い手となる若手エンジニアのそれぞれが、グリーンパワー IC の基本を学べる機会を確保することが求められる。特 に、人材教育の中心となる大学においては、これまでの材 料・物性評価・回路技術に偏重している傾向を打破し、幅 広い分野の研究開発を推進する人材育成が急務である。加 えて、国際感覚の養成等、グローバルな人材育成も期待さ れる。

 一方、経験豊かなシニアエンジニアが若手エンジニアの  本調査では、特許動向分析・研究開発動向の調査に加え、

市場動向及び政策動向の調査も行った。

 これらの調査結果を踏まえ、今後、世界を見据えて、日本 が国際的な競争力の維持・拡大を図っていくために、日本が 取り組むべき課題を整理し、日本が目指すべき研究開発、技 術開発の方向性について、七つの視点から提言を行った。  なお、本稿で割愛した特許動向分析、研究開発動向、市 場動向及び政策動向については、是非本編をご参照され たい。

【提言1】

グリーンパワー IC を、グリーンテクノロジーの基盤とな る要素技術として、資金、技術(ハードウエア+ソフトウ エア)、雇用、サービス、知的財産を有機的に結び付け、 半導体産業をグローバルに牽引し、世界の社会インフラの 進化を支える技術分野と位置付ける。

 現在のパワーデバイスの市場は、半導体市場約3000億ド ルのうち、約 130 億ドル(約 4.3%)を占めるに過ぎない。 しかし、半導体市場はそれを基礎として約20倍規模のサー ビス産業市場を産み出す。この関係をパワーデバイス市場 に当てはめると、パワーデバイスを礎としたサービス産業 の市場は約2600億ドルとなる。新材料の製品化が進めば新 たなアプリケーションがさらに開発される余地も大きいこ とから、パワーデバイスの今後の市場展望は極めて明るい。  知的財産の観点からは、日本企業は、パワーデバイスの 分野における特許は 50%超のシェアを有し、国内外に多 くの特許を出願、保有している。しかし、パワーデバイス 分野における売上高シェアは約 30%に留まり、特許シェ アとのギャップは大きい。この事実から、日本の企業は、 特許を取得しても、特許をビジネスに有機的に結び付けら れない傾向が見られる。特許出願、登録数だけでは、競争 優位性を維持することはできない。特許を取得する目的を 明確にし、その目的を達成する手段としての権利取得・管 理体制を整備し、個々の事業戦略と有機的に結び付いた長 期的な特許戦略を立案、実行することが日本企業にとって 急務な課題である。

【提言2】

(9)

TECHNO

TREND

【提言5】

Si系パワーデバイスの分野では、超接合、薄型化、モジュー ル化、生産管理技術、ソフトウエア等の研究開発を中心に ASPD(アプリケーションスペシフィックパワーデバイス) を深化させ、信頼性を含めた新たな競争軸で勝負するとと もに、コモディティー化するボリュームゾーンでは、特許 ライセンス等を活用し、win-winとなるパートナーシップ を形成し、コスト競争下においても利益を産み出すビジネ スモデルを構築する。

 パワーデバイスの市場規模の拡大と共に、製品のコモ ディティー化が進めば、中国、韓国、台湾等のコスト競争 力のある企業が低価格競争に打って出ることが予測され る。こうした将来予測を踏まえた対応としては、①常に新 しい研究開発に取り組み、アプリケーションスペシフィッ クパワーデバイス(ASPD)を深化させ、技術的先進性を 確保し、そこで産み出される研究開発成果を有望な海外市 場を含めて特許化すること、②アプリケーションへのチュー ニング技術をハード・ソフトの両面から開発を進めること、 ③生産管理技術をブラッシュアップするとともに、ノウハ ウと権利化できる知的財産を的確に識別し、将来の技術移 転が可能なように自社の保有する知財管理を商品として管 理すること、④正規のライセンスを希望する後発メーカー に対して、技術移転を行うことで技術提供と製品提供の関 係において win-win のパートナーシップを築くこと、⑤不 法な技術流出が起きないように模倣品対策、情報管理を徹 底すること、が挙げられる。コモディティー化が進むボ リュームゾーンにおいて利益を産み出すビジネスモデルの 構築には、知的財産を活用した長期的な事業戦略が有効で ある。

 Si 系パワーデバイスにおける具体的な研究開発テーマ としては、低コスト化にかかわる IGBT ウエハの大口径化 やその薄型化、超接合などのデバイス特性の向上、標準化 につながる評価技術、生産管理技術、設計を効率化するた めの統合設計支援技術、モジュールやアプリケーションに おける最適制御技術などが重要分野として挙げられる。

【提言6】

SiC系パワーデバイスの分野では、基板の大口径化、長尺化、 切削研磨等を中心とした基板加工技術、誘電体膜の信頼性 を含む MOS デバイス技術、インテリジェントパワーモ ジュール技術等の研究開発に注力し、研究開発成果を、海 外を視野に入れて特許化するとともに、市場の早期立ち上 げのために競争より協業に力点を置き、アライアンス等の 諸団体を通じて、特許の公共財化、関係者の人的ネットワー クの強化を推進する。

 SiC 系のパワーデバイスの市場は、イノベーションを加 教育者として活躍できる場を設けるなど、産業界から大学

へのバックアップも欠かせない。大学と公的、企業研究機 関との間で積極的に人材交流を活発化することで、教育機 会の増設は十分に可能であり、例えば、つくばイノベーショ ンアリーナや 2010 年 4 月に発足した民間主導の SiC アラ イアンスは、人材交流の場としての成功例を築くことが期 待される。

 また、エンジニアが、知的財産の重要性を学ぶ機会を充 実させることも、極めて重要である。エンジニアへの知財 教育に関しては、特許制度の本質を熟知している審査官の 派遣を含め、特許庁は積極的に大学を支援していく必要が ある。

【提言4】

グリーンパワー IC に関する情報発信を、国内外のエンジ ニアがコンセンサスの形成をするために必要となる技術情 報の共有化に資する活動として位置付け、その延長線上と して国際標準化を進める際には、特許を有効な交渉ツール として積極的に活用する。

 グリーンパワー IC について海外における日本のプレゼ ンスを高めるためには、まず、国内で、基板メーカー、装 置メーカー、デバイスメーカー、実装材料メーカー、セッ ト/システムメーカーが有機的に連携し、技術トレンドの コンセンサスを形成する仕組みが不可欠である。公的研究 機関、アライアンスは、中立性、公平性を活かして、研究 開発プログラムのコーディネータとして、技術の議論を重 ねると共に、特許情報を含めた技術データベースの整備等 を通じて活躍することが期待される。そして、国内で形成 されたコンセンサスを海外に対しても形成するために、日 本からパワーデバイス技術関連情報について積極的に情報 発信することが望まれる。

 また、我が国の知的財産推進計画 2010 における標準化 戦略の中でも、研究開発・事業化戦略と連携した戦略的な 国際標準化の推進等を通じて、世界市場の獲得を目指す国 際標準化特定戦略分野(7 分野)として、グリーンパワー IC が関係する次世代自動車、鉄道、エネルギーマネジメ ント(スマートグリッド、創エネ・省エネ技術、蓄電池) が位置付けられている。このようなパワーデバイスのアプ リケーションについて、アジアの市場を拡大していくため には、アジア各国とともに、省エネ性能や耐久性を客観的 でフェアに評価する方法を確立し、アジアに合った規格を 国際標準化機関に提案していくことが望まれる。

(10)

クを強化する団体の設立が求められる。当該団体には、技 術情報の交換といった目的に加えて、例えば「輸出貿易管 理令」での規制の在り方のような業界が抱える諸問題の提 起、国家プロジェクトの提案、運営など、業界内のニーズ を汲み上げて、ビジネス環境を整備する役割が求められる。

【参考文献】

平成 22 年度特許出願技術動向調査報告書 グリーンパワー IC

グローバルに拡大することも予測される。ワイドバンド ギャップ半導体材料分野が特許創出の宝庫であることは明 白であるから、特許取得に関しては、国内特許に偏重せず、 欧米等先進国や中国を含めた BRICs 諸国における特許取 得を視野に入れたグローバルな特許戦略が求められる。  高パワー密度・高温動作という SiC 系パワーデバイスの 特徴を活かすためには、エピタキシャル成長、基板加工技 術を含めた、基板(ウエハ)を製造する基板技術が必須と なる。また、SiC 基板について、海外のメーカーだけに供 給を頼らない国内の基板供給体制を整備することが求めら れる。

 さらに、アプリケーションスペシフィックパワーデバイ ス(ASPD)を早期に立ち上げるためには、基板メーカー、 装置メーカー、デバイスメーカー、実装材料メーカー、セッ ト/システムメーカーが有機的に連携し、競争より協業を 重視するコンセンサスを形成する場が求められる。そのた めには、前述の SiC アライアンス等により、研究成果を積 極的に利用促進するための仕組みについて、特許制度を有 効活用して実現する活動(パテントプールやプロフィット プールなど)など、市場成長を加速するための環境整備が 行われることが望まれる。

【提言7】

GaN 系パワーデバイスの分野では、エピタキシャル成長 技術(装置技術を含む)を基軸としたGaN on Si技術、GaN バルク基板技術、実用的な CMOS 技術、インバータ IC 化 技術等を中心とした研究開発に注力し、研究開発成果を海 外を視野に入れて特許化するとともに、国内に分散してい るパワー系 GaN の研究者のネットワークを強化し、業界 が抱える問題を提起したり、国家プロジェクト等を提案、 運営できるアライアンスを形成する。

 GaN 系は、光デバイスを中心にした長い研究開発を経 ており、材料自身に対する研究成果の蓄積は大きい。GaN 系パワーデバイスは、通信基地局など社会インフラを支え る市場が既に先行している点、光デバイスを中心に蓄積さ れた膨大な技術力を背景に持つ点など、グリーンイノベー ションの時代に、市場が拡大する可能性を秘めた魅力ある パワーデバイスである。SiC と同様に、新材料分野として 特許創出の宝庫であること、また、将来の市場がグローバ ルに拡大することが予想されることから、特許取得に関し ても、グローバルな特許戦略が求められる。

 GaN 系パワーデバイスにおいて注目される技術領域に は、エピタキシャル成長技術(装置技術を含む)を基軸と した GaN on Si 技術、GaN バルク基板技術、さらにはイン バータ IC 化技術等がある。

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rofile

宮部 裕一

(みやべ ゆういち)

参照

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