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平成22年 8月12日 住民監査請求監査の結果・措置状況について 堺市

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(1)

堺市監査委員公表第 42 号

地方自治法第242 条第1項の規定に基づき平成22年6月14日に監査委員

に提出された住民監査請求について、監査委員の合議によりその結果を下記の

とおり決定したので、同条第 4 項の規定に基づき公表する。

平成 22 年 8 月 12 日

(2)

住民監査請求に係る監査結果

(平成 22 年 6 月 14 日請求)

<政務調査費の返還請求について>

堺市監査委員公表第 42 号

第1 監査の請求 1 請求人

2 監査請求書の提出

3 監査請求書の訂正の提出 4 請求の趣旨

第2 監査の実施

1 要件審査及び請求の受理 2 請求人の証拠の提出及び陳述 3 監査対象部局

4 監査対象部局からの事情聴取等 5 関係人調査

第3 監査の結果

1 本件の監査対象事項

2 政務調査費の制度について 3 収支報告書等の訂正について

(3)

第1 監査の請求 1 請求人

1 名(氏名は省略)

2 監査請求書の提出 平成 22 年 6 月 14 日

3 監査請求書の訂正の提出

本件の住民監査請求書については、平成 22 年 6 月 15 日に「住民監査請 求書(市議会議員政務調査費返還請求)の訂正について」が提出された。 この経過から、次の「4 請求の趣旨」については、訂正後の監査請求書 の内容及び事実証明書を記載した。

4 請求の趣旨

1. 堺市議会議員(以下「議員」という)は、堺市から、各会派(所属す る議員が一人の場合も含む)単位で、議員一人当たり月額 30 万円を会派 人数分の政務調査費が交付されている。堺市では 2009 年 6 月から議員お よび会派の政務調査費(2008 年度分)の使途とその根拠となる領収書が 公開されることになった。領収書のコピーは堺市庁舎高層館 3 階の情報 センターに設置されており、何人も自由に閲覧可能、また、その写しを 入手することができる。これまで政務調査費については公開請求をすれ ば入手することはできたが、公開されるのは 1 年間の「総額」のみで、 360 万円もの支出の実態は全く不明であることから、市民の不満と批判の 的となっていた。今回の領収書の公開は、その実態を知る上で期待でき る可能性があった。

(4)

いう以上は、その支出が研究課題や行政テーマをいかに議会に反映させ るための調査研究であるかを具体的、かつ関連性が明確に説明できるも のでなければならない。そうでなく調査研究と直結しない経費に充てて はならない。

3. 請求人は、事前に政務調査費の領収書について不明な点がある議員お よび会派に質問書(再質問書)を提出したところ「政務調査費の運用指針 に従ったものである」という回答が多かった。運用指針には「社会通念」 という文言が随所に見られ、支出を正当化するための大きな盾にしてい るが、社会通念を広げすぎて妥当でない。H19.4.26 仙台高等裁判所は判 決(最高裁上告棄却・判決確定)において、社会通念について次のよう に述べている。「・・領収書等の資料に照らし社会通念上市政に関する調 査研究に資する適正な支出と認めることができない支出は、使途基準に 合致しない違法な支出と言うべきである・・」。

堺市の運用指針に用いられる社会通念とは、一般に言う社会通念とは 明らかな違いがある。

4. 運用指針は、単に議会事務局が作成したもので議会事務局が議員らに 配慮して基準を緩く作成したに過ぎず絶対的なものではない。少額な支 出の多くを、特に駄菓子、飲料、などの購入理由を社会通念という言葉 で正当化しているが、本来の社会通念に照らせば、駄菓子等は政務調査 に不要であろう。たとえ少額であっても、その必要性を「積極的に補足 する説明もない場合は使途基準に合致しない違法な支出とされることを 甘受せざるを得ない」(同仙台高裁)のである。議員として本来の調査研 究の範疇から著しく逸脱している支出は許されない。

5. 違法、不当な支出理由

①4/26、包装紙、②2/24、装丁用紙の支出は、政務調査活動と直接関係 がない。単に体裁の問題である。

(5)

次の文字は「組」か「役」ではないかと推測され、公明党あてに発行さ れた領収書ではない。「当該領収書は、パソコンで入力されたもの」との 回答であったがパソコンで入力され印字されたものなら、このように一 部が消えた印刷はあり得ない。しかも領収書日付は手書きである。現地 調査では、領収書発行店はゴム印、印鑑等は使用しておらず、ましてや パソコンでの領収書発行はしていない。宛先が不明、または宛て先に疑 惑がある領収書の支出は認められない。よって上記いずれの支出も違法 不当である。

⑥6/8、県人会、⑦5/21、懇親会 県人会及び懇親会は政務調査活動とは 異なるものである。同会派は同日「研修会会場費」として別途 43,000 円 を支出しており、これには研修費を含むと考えるのが自然である。懇親 会はその後に行われたもので、その懇親会で研修を行ったとは考えられ ない。研修内容の説明や資料等が全く無いところから研修会という名目 の同党あるいは会派議員らの親睦会との疑義がある。

H.19.4.26 仙台高裁は、懇親会について下記のような判断を下している。 「一般的に懇親会は政務調査活動ではなく党派、会派内の議員らが集ま って情報交換を行ったものとはいえ、議員同士の個人的、交際的な意味 合いが強く、懇親会の中で議員同士で市政等の意見交換を伴ったからと いっても懇親会全体が政務調査活動に転嫁するものではない」

仙台高裁が示す通り県人会も、議員の個人的、交際的な意味合いの強 いもので、議員個人の顔見せ(宣伝)、交流、親睦の性格が強く多少の意 見交換を伴ったとしても政務調査活動とは言えない。違法不当な支出で ある。

⑧4/8、ホームレス中学生は、お笑いタレントの 1 カ月足らずの夏休みの 実体験を著した本で、タレント本としてミリオンセラーになった本であ るが、かなり娯楽性の高い本である。市政に直接かつ具体的に関わるよ うな事情は認められず違法不当な支出である。

(6)

⑫4/1、⑬4/4、⑭4/9、⑮4/30、⑯6/30、⑰7/12 ハンコ(印鑑)、近年では 印鑑がサインに変わるところが多く、調査研究にこれほどの印鑑の必要 性は認め難い。回答では議員本人のハンコ(ゴム印)とされているが、そ の頻度、個数等において、異常である。忘れる、紛失するという場合を 想定しても、なお購入頻度が高すぎる。4/9 付領収書発行の 100 円ショッ プダイソーの奈良登美が丘店(担当者名は伏せる)に直接問い合わせをし たところ、当該ダイソーでは 300 円のゴム印は、過去、現在にいたるま で扱ったことが無いとの返事があった。ということは、100 円商品を 3 点 買った可能性が高く、さらに購入個数が増えることになる。これほどの ハンコが必要だった政務調査の実態が全く不明で、印鑑の必要性が明ら かでない支出は違法不当である。

尚、当該議員は、当時㈱Aの顧問という肩書があり、現在は退任してい るとの回答ではあるが、当該会社は存在しており全く無関係ではない。 請求人は弁護士、司法書士らから、顧客の認め印を代理人が事前に用意 することは往々にしてあるとのアドバイスを受けた。購入した議員と会 社の関連を考えると私的な購入の可能性は否定できない。

⑱H.21.2/26 背当てクッション、当該議員は腰痛のため購入したとの回 答であるが、調査研究に直接関係しない私的要素が高い支出である。議 員個人の健康管理または補助的なものにまで政務調査費を充てることは 認められない。(東京都目黒区の区議が抱き枕を購入した事例、また民主 党議員(神奈川 4 区)が整体および、ヘアカット代の支出の正当性を主張 しながらも返却した事例あり)

⑲4/30、「実用手紙の書き方」、⑳H21.1/6「ミニ漢字辞典」、○21H21.1/23「成 功は小さいことの積みかさね」、○22H21.3/14「成功の心理学」、○23H21.3/14 「おカネで世界を変える 30 の方法」。これらの書物は、単に個人の興味、 趣味の領域に属するものである。特に「ミニ漢字辞典」「実用手紙の書き 方」等は個人の文章作成等の補助的なものとして一般に求められること が多く、かなり個人的購入の色が濃い。漢字が分からない、文章の書き 方が分からない(今さら)といえ、市政に直接、かつ具体的に関わる特 別な事情が認められず、これらに公金を使用することは違法不当な支出 である。

(7)

をしたという理由であるが、忘れ物を取りに行くことは、調査研究とは 全く異なった目的の支出で違法不当な支出である。

○264/21、シャポドゥフレーズは、同時に購入された山食と同様食パンの 一種である。山食は、請求人の指摘により返却(数字訂正)され、評価 しているが「シャポドゥフレーズ」も食パンである以上一般広聴との関 連性が極めて低く、不当性の高いものとして返却(訂正)すべきである。 尚、領収書発行先のメリッサは、リーガロイヤルホテル(南海本線堺駅 前)一階のテイクアウトショップである。主としてパン類(含む菓子パ ン、ケーキ)を販売しており、飲食を伴う店ではない。

○25ハッカ、パイン、落花生アメ。○279/12 とろろ昆布、珍味、紅茶他。○284/10 アメ、アイスティー他。○295/15 麦茶。○305/21 麦茶。○315/12 吸物。○32 5/25 吸物、フレッシュ。○335/28 吸物、コーヒー豆他。○348/31 アサ ゲ(インスタントみそ汁)。○359/19 即席みそ汁わかめ、しじみわかめス ープ。○36H21/3/24 手揚げ風きざみ揚げ、特濃ミルク、牛乳他。○378/22 ミルク、コラーゲンウォーター。○388/22 飲料。○396/11 アメ代。○409/3 キャンディー。○419/8 リプトン飲料。○4210/1 カットネギ、牛乳他。

政務調査費として支出の対象となった活動に実質が伴わない支出で、 調査方法の妥当性に欠ける違法不当な支出である。即席みそ汁、吸物等 は、会議費となっているが、登庁時あるいは会派要員等のための事務所 の常備品として購入されているものである。カットねぎ、きざみ揚げ、 とろろ昆布等においては会議とは全くその関連性を認めることができな い。麦茶においては市役所地下の売店で 1 個ずつ購入されたもので明ら かに個人購入のものである。また、牛乳類は紙パック性の 500cc、または 1ℓ 入り。特濃ミルク等も会議や広報活動との関連性乏しく、積極的な説 明もされていない。同地下売店で購入された他の飲料も同じく極めて私 的な購入で政務調査を借りた違法不当な支出である。市民の広聴に駄菓 子、アメ類の必要性を認めるには余りにも辛い。市民を愚弄しているに 等しい。

○434/18、キズテープ、政務調査研究に直接関係がない。むしろ日常生活 の備品である。違法不当な支出である。

(8)

認めている。自転車においても同様の事由が成り立つ。日常的に使用し ていない自転車の修理費まで調査費から支出することは認められない。 なお、現地調査時には家族らや近隣の住人のものと思われる数台の自転 車が駐車場に散在しており、直接政務調査活動に使用している形跡は極 めて低く違法不当な支出である。

○4510/16、ジャンプカサ 政務調査に直接関係のない支出で違法不当であ る。

○46H.20/4∼H.21/3 までの1年間の事務所費 当該議員は、事務所費とし て 1 カ月 15 万円、年 180 万円を政務調査費から支出している。報告書に 明記されている事務所所在地を調査したところ、建物は存在しているが、 事務所ではなく空家であった。住宅地図上もかなり前から倉庫と明示さ れている。近隣住民への聞きとり調査でも「倉庫」として認識されてお りずっと以前(H20 年以前)からも倉庫、しかも「空家」であったとの証 言を得ている。現状建物は、シャッターが閉まっており看板はもちろん 表札も上がっておらず、当然電話も設置されておらず無人(空家)で政 務調査を行う事務所としての形態を全くなしていない。法務局調査資料 は土地建物の名義人は親族となっているが、事務所として実態のない無 人倉庫に政務調査費を充てることは許されない。違法不当な支出である。 ○47H.20/4∼H.21/3 までの駐車場使用料 また、同議員は、有限会社アー ニーズ(B氏所有)への毎月85,000円の振り込み金額の内1万円(2万 円の内 50%)を政務調査費から支出している。当該議員の事務所兼自宅 は土地所有者B氏からの借地であることから 85,000 円は借地料と思われ る。駐車場は、自宅玄関前に作られているが、有限会社アーニーズには 駐車場を含む敷地全体の地代を払っていることから考えると、駐車料と いう名目で政務調査費から 1 万円を自分自身が貰っていることになる。 違法不当な支出である。

(9)

ケ店という情報も入ったが確たる証拠が無いことを踏まえ、政務調査活 動を証明する資料や積極的な説明が無く、その政務活動の実態が見えな いことに対して問題とした。違法不当な支出である。

尚、当該議員は、請求人の質問に対して計上金額を 50%に訂正している。 しかし、請求人は上記理由で調査内容、場所、資料等の説明がなく、市 政との関連性が全く不明であることから残金金額を違法不当とした。

6. 上記述べた理由から、違法性があると判断したものの一覧表を作成し た。請求人は、堺市監査委員が市長に対し別紙一覧表の違法不当な支出 の返還を求めるなど、必要な措置を講ずる勧告をするよう、地方自治法 242 条 1 項の規定により事実証明書を添付し監査請求する。

7. 事実証明書

(10)

会派、名前 使途項目 日時 品名 金額(円)

1 4月26日 包装紙 \1,491

2 4月24日 装丁用紙 \346

3 7月11日 晶子一筆箋 \600

4 (21) 3月16日 消耗品 \338

5 4月7日コーヒー代 \10,531

6 6月8日堺・鹿児島県人会 \5,000

研修費 7 5月21日 懇親会費 \65,000

土師 純一 資料代 8 4月8日ホームレス中学生 \1,366

島 保範 〃 9 11月4日 堺市walker \780

小西 一美 〃 10 5月18日 堺市walker \780

吉川 敏文 〃 11 8月4日堺市walker \780

12 4月1日印鑑 \300

13 4月4日ハンコ \300

14 4月9日ハンコ \315

15 4月30日 ハンコ \1,590

16 6月30日 ハンコ \6,300

17 7月12日 印鑑セット \5,000

事務所費 18(21) 2月26日 背当てクッション \1,938

19 4月30日 実用手紙の書き方 \1,500

20(21) 1月6日ミニ漢字辞典 \1,470

21(〃) 1月23日 成功は小さいことのつみかさね \3,080

22(〃) 3月14日 成功の心理学 \3,232

23(〃) 3月14日 おカネで世界を変える30の方法 \1,638

水谷 一雄 調査研究費 24 7月10日 JR堺駅駐車代 \200

民主党市民連合 広報・広聴費 25 5月28日 ハッカ、パイン、落花生アメ \952

西村 昭三 調査研究費 26 4月21日 シャポドウフレーズ \2,400

高岡 武汪 広報費 27 9月27日 とろろ昆布・珍味・紅茶 \1,356

28 4月10日 アメ、アイスティー、水 \993

29 5月15日 麦茶 \105

30 5月21日 麦茶 \315

31 5月12日 吸物・ \1,445

32 5月25日 吸物・フレッシュ \451

33 5月28日 吸物、コーヒー豆他 \6,381

34 8月31日 アサゲ20食 \358

35 9月19日 即席わかめ味噌汁、しじみスープ \210

36(21) 3月24日 手揚げ風きざみ揚げ、牛乳他 \584

37 8月22日 ミルク・コラーゲンウォーター \357

38 〃 飲料 \145

39 6月11日 アメ代 \934

40 9月3日キャンデー \354

41 9月8日リプトン飲料4点 \520

42 10月1日 カットネギ・特濃、ミルク \2,933

事務所費 43 4月18日 キズテープ他 \880

44 9月17日 自転車修理費 \3,500

45 10月6日 ジャンプカサ \1,194

46 4/1-(21)3/3 事務所家賃15万円/12ヶ月 \1,800,000

47 〃 駐車場使用料 \120,000

服部 昇 調査研究費 48 別表参照 駐車料金 \10,950

\2,071,192

吉川 守 事務所費

広報・広聴費 会議費

自民党

市民クラブ

平成20年度政務調査費違法不当項目及び金額

資料代 事務所費 事務所費

広報・広報費 公明党

市議会議員団

池田 克史

(11)

(当該議員が当時の顧問であった会社名を「A」、土地所有者の氏名を「B」と 記したほかは、下線を含めて原文のとおり。

また、前記の表中の 48「駐車料金」の「別表」は省略した。)

第2 監査の実施

1 要件審査及び請求の受理

本件請求は、債権管理の権限を有する市長が、違法不当に支出された政 務調査費の当該会派及び議員に対する返還請求を怠る事実を主張するもの と解されるから、地方自治法第 242 条第 1 項に規定する要件を具備してい ると認め、平成 22 年 6 月 22 日にこれを受理した。

なお、加藤均監査委員、米谷文克監査委員は、本市議会議員として政務 調査費の交付を受けている。よって、本件請求は「自己の従事する業務に 直接の利害関係のある事件」にあたることから、地方自治法第 199 条の 2 の規定により除斥となった。

2 請求人の証拠の提出及び陳述

地方自治法第 242 条第 6 項の規定に基づき、平成 22 年 7 月 6 日、堺市役 所高層館 19 階・監査室において請求人に対し証拠の提出及び陳述の機会を 設けたところ、請求人及び代理人が出席し、新たな証拠として本件請求の 議員事務所の写真、登記事項要約書等が提出された。

請求人より、議員の事務所費について実際に調査した詳細な内容などに ついて、また、代理人より、本市の政務調査費のチェック体制に対する疑 問などについて陳述が行われた。

3 監査対象部局

財政局(財政課)、議会事務局(総務課)

4 監査対象部局からの事情聴取等

本件について、市長に対して請求に係る意見書の提出を求めるとともに、 平成 22 年 7 月 6 日、監査対象部局の職員から、本件請求に関する事実及び 意見について聴取した。その概要は以下のとおりである。

(1) 事情を聴取した者

(財政局)財政局長、財政部長、財政課長ほか

(12)

(2) 本件請求に関する意見等 ア 政務調査費について

議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として交付される政 務調査費は、地方自治法(以下「法」という。)第 100 条第 14 項及び 第 15 項において、交付の対象、額及び交付の方法は条例で定めなけれ ばならないこと並びに条例の定めるところにより収入及び支出の報告 書(以下「収支報告書」という。)を議長に提出することを定めている。

イ 本市の政務調査費について

本市においては、法に基づき、堺市議会政務調査費の交付に関する 条例(以下「条例」という。)を制定し、交付対象、交付額及び交付の 方法、収支報告書等の提出、政務調査費の返還等に関して規定してい る。

また、条例に基づき、堺市議会政務調査費の交付に関する条例施行 規則(以下「規則」という。)を制定し、使途基準、会計処理方法、収 支報告書提出時の事業実施報告書の添付等に関して規定している。

ウ 請求人の主張に対する意見

政務調査費の使途基準については、条例第 4 条及び規則第 6 条にそ れぞれ規定されている。

地方議会の議員には、政治活動の自由が保障されるとともに、市政 の向上・発展のため、日常的に調査研究活動が期待されている。調査 研究の対象は、行政ニーズの高度化・多様化により、広範囲に及ぶよ うになってきており、調査方法も様々になってきている。会派又は議 員がいかなる態様で調査研究活動を行うかについては、それぞれの権 能の範囲内で、各々の良識に基づく判断に委ねられており、自主性及 び自立性が尊重されているというのが、法及び条例の趣旨であると解 されている。

判 例 に お い て も 、「 議 員 の 活 動 は 様 々 な 政 治 課 題 や 市 民 生 活 に 係 わ り、その専門性や関心も多様であって、議員が全人格的活動を行い、 議員活動について政治責任を負っていることを考えれば、その調査対 象は極めて広範なものにならざるを得ず、調査活動の市政との関連性、 その目的、方法、必要性等も極めて広範な裁量の下に行われるもので あると認められる(平成 19 年 2 月 9 日札幌高裁)。」旨判示されてい る。

(13)

具体的課題に限定されるべきものではないと考える。むしろ広範な分 野での研究、研修、調査、視察及び資料購入等により議員の見識を高 め、その結果として議員活動の活性化を図り、もって市政に反映され ることが期待されているものと解される。

したがって、政務調査費の使途については、調査目的と市政との関 連性、調査方法や内容の妥当性などを総合的に考慮した上で、条例・ 規則に則って判断している。

エ 個別的検討

【H20.4∼H21.3 までの 1 年間の事務所費】

請求人の主張する事務所費について、平成22 年 6 月 28日、現地に 赴き本人にヒアリングを行ったが、吉川守事務所と表記された看板が あり、事務所内にはエアコンの設置とともに、机(ミーティングテー ブル含む)、椅子、パソコン、電話、書棚などが備えられていた。

規則別表において、事務所費とは「会派又は議員の行う調査研究に 係る事務遂行に必要な経費及び調査研究活動のために必要な事務所の 設置又は管理に要する経費」である旨が定められているのみで、事務 所の定義を定めた規定は条例及び規則にないが、前述のような現状か ら一般的・客観的に判断すれば、事務所としての機能は有している。 し た が っ て 、「 事 務 所 と し て 実 体 の な い 無 人 倉 庫 に 政 務 調 査 費 を 充 てることは許されず、違法不当な支出である。」との請求人の主張には 理由がないものと考える。

【H20.4∼H21.3 までの駐車場使用料】

請求人の主張する駐車場使用料について、平成22 年 6 月 28日、現 地に赴き本人にヒアリングを行った結果、次のとおり確認した。 ① 毎月85,000 円は事務所兼自宅の借地料と隣接の駐車場(2台分)

の借地料である。

② 内訳は事務所兼自宅の借地料(65,000 円)、駐車場【38 番枠・50 番枠】(各 10,000 円の 20,000 円)。

③ 事務所兼自宅の借地料(65,000円)と駐車場 1台分は政務調査費 不充当。

④ 前記「事務所費」に計上されている事務所の来客用の駐車場 1 台 分に政務調査費を充当。

(14)

訪れる来客のための専用の駐車場を確保する必要性は否定できず、そ のような駐車場を確保した場合における当該駐車場に係る賃借料は、 議員の調査研究に資するため必要な経費と認められると考える。

したがって、「駐車料という名目で政務調査費から 1 万円を自分自身 が貰っていることになり、違法不当な支出である。」との請求人の主張 には理由がないものと考える。

【その他】

上記以外で請求人が主張するもの(監査請求書の「平成 20 年度政務 調査費違法不当項目及び金額」の1から45まで及び48)については、 当該会派又は議員から、6 月 24 日から 6 月 29 日までの日付で議長あて に訂正報告がなされ、6月 30日付けで市長あて送付されているため、 意見は付さない。

5 関係人調査

平成 22 年 7 月 7 日、地方自治法第 199 条第 8 項の規定に基づき、吉川守 議員に本件事務所及び駐車場の利用状況が分かる資料の提出を求めたとこ ろ、同月 14 日に当該議員から資料の提出があった。

また、同月 15 日に本件事務所及び駐車場の現地調査を行うとともに、当 該議員から聴き取りを行った。

第3 監査の結果

1 本件の監査対象事項

請求人は、住民監査請求書の別紙一覧表(「平成 20 年度政務調査費違法 不当項目及び金額」。以下「一覧表」という。)に記載した政務調査費は、 違法不当に支出されたものであるとして、監査委員が市長に対し違法不当 な支出の返還を求めるなど必要な措置を講ずる勧告をするよう求めている。

以上のことから、一覧表に記載された政務調査費は、違法不当に支出さ れたものかどうか、その結果、市長は市議会の会派又は議員に返還請求を すべきかどうかを、本件の監査対象事項とした。

2 政務調査費の制度について (1) 政務調査費の規定について

(15)

の活動は、首長の支配、干渉を受けないことが保障されなければなら ない。よって、地方議会の活性化のために議員の調査活動の基盤の充 実を図る観点から制度化された政務調査費の使途については、会派や 議員の自主的な判断に委ねられ、広範な裁量が認められていると考え られる。

イ 堺市議会政務調査費の交付に関する条例(以下「条例」という。) においては、(ア) 政務調査費は、本市議会議員の調査研究に資するた め必要な経費の一部として議会における会派(所属する議員が 1 人の 場合を含む。)又は議員に対して、議員 1 人当たり月額 30 万円が交付 されること(条例第1 条、第2 条及び第3 条1 項)、(イ) 会派及び議 員は、政務調査費を、規則に定める使途基準に従って使用するものと し、市政に関する調査研究に必要な経費以外のものに充ててはならな いこと(条例第 4 条)が規定されている。

使途基準については、堺市議会政務調査費の交付に関する条例施行 規則(以下「規則」という。)第6 条に規定があり、規則別表の項目・ 内容に該当する経費であるとともに、交際費、選挙活動、政党活動、 後援会活動及び私的活動に関する経費に充ててはならないとされてい る。

ウ そして、政務調査費の交付を受けた会派の代表者及び経理責任者並 びに議員は、規則で定める様式により、政務調査費に係る収入及び支 出の報告書(以下「収支報告書」という。)を作成し、その支出に係る 領収書の写しその他の証拠書類の写しとともに、議長に提出しなけれ ばならず(条例第 6 条第 1 項)、議長は速やかにその写しを市長に送 付しなければならない(条例第 6 条第 4 項)とされている。

エ 市長は、政務調査費の交付を受けた会派又は議員がその年度におい て交付を受けた政務調査費の総額からその年度に政務調査活動に必要 な経費として支出した総額を控除して残余の額がある場合は、当該額 に相当する額の政務調査費の返還を当該会派又は議員に命じなければ ならない(条例第 7 条第 1 項)とされている。

また、市長は、政務調査費の交付を受けた会派又は議員の政務調査 費の使途が、条例第 4 条の規定に明らかに違反していると認める場合 は、当該違反して支出された額に相当する額の政務調査費の返還を当 該会派又は議員に命じなければならない(条例第 7 条第 2 項)とされ ている。

(16)

条)、会派は、①政務調査費の全額を会派に交付する方法、②全額を 各議員に交付する方法、③議員と会派に交付する方法のいずれかを選 択することとされた(条例第 3 条第 2 項)ほか、これまで議長に提出 していた収支報告書に加えて領収書の写しその他の証拠書類の写し等 を提出しなければならないこと(条例第 6 条第 1 項、規則第 7 条第 2 項)、収支報告書等の写しを議長が告示して定める場所(市政情報セ ンター)において閲覧に供するものとすること(条例第 8 条第 2 項) とされた。

また、条例及び規則の改正が施行されるにあたり、議会として一定 の統一的基準を持つことが必要であることから、使途基準の基本指針 や使途基準に関する細則などを示した「政務調査費の運用指針」(以 下「運用指針」という。)が平成 20 年 4 月 1 日から施行された。 カ これらの規定から、本市において政務調査費の支出が違法不当とな

るのは、政務調査費の使途が条例第 4 条の規定に明らかに違反してい る場合であると考える。

3 収支報告書等の訂正について (1) 収支報告書等の訂正内容

ア 請求人は、一覧表に記載の品目を会派又は議員が平成 20 年度分の政 務調査費から支出したことは違法不当であるとしている。

しかし、当該支出について、各会派又は議員は、吉川守議員の「○46事 務所家賃(180 万円)(事務所費)」、及び「○47駐車場使用料(12 万円)

(事務所費)」を除いて、後日、平成 20 年度の政務調査費から支出し ないこととし、決算額を訂正(政務調査費の充当額の訂正がある場合 を含む。)した収支報告書及び支出を取り消す旨を表示した当該領収 書等の写し(以下「訂正収支報告書等」という。)が議長あてに提出 された。

その内容の詳細は、以下のとおりである。 (ア) 公明党堺市議会議員団

公明党堺市議会議員団は、会派が政務調査費の全額の交付を受け る方法を選択している(条例第 3 条第 2 項)。このため、一覧表に小 西一美議員及び吉川敏文議員と記載された⑩及び⑪についても、会 派が交付を受けた政務調査費から支出されたものである。

なお、平成20 年度の当該会派への交付額は、4,680万円(議員1 人月額 30 万円×所属議員 13 人×12 月)である。

(17)

円)、④消耗品(338 円)」(以上、事務所費)、「⑤コーヒー代(10,531 円)、⑥堺・鹿児島県人会(5,000 円)」(以上、広報・広聴費)、「⑦ 懇親会費」(65,000 円)(研修費)、小西一美議員及び吉川敏文議員の 「⑩及び⑪堺市Walker」(各780円)(資料代)については、6月29 日付けで同会派から議長あてに訂正収支報告書等が提出されている。 訂正額(減額)は一覧表の記載と同額の 8 万 4,866 円である。この 訂正により、決算額(うち政務調査費充当額)は、当初の 4,162 万 6,765 円(4,161 万 9,362 円)から 4,154 万 1,899 円(4,153 万 4,496 円)に減額されたため、政務調査費充当額に差額 8 万 4,866 円が生 じている。

(イ) 自由民主党・市民クラブ

自由民主党・市民クラブは、政務調査費について、議員が月額 25 万円、会派が月額 5 万円の交付を受ける方法を選択している。平成 20 年度の交付額は、所属の各議員が 300 万円(月額 25 万円×12 月)、 会派が 660 万円(月額 5 万円×所属議員数 11 人×12 月)である。 a 土師純一議員

「⑧ホームレス中学生」(1,366 円)(資料代)については、6 月 24 日付けで同議員から議長あてに訂正収支報告書等が提出されて いる。一覧表の記載金額は 1,366 円であるが訂正額(減額)は 1,365 円である(領収書から、本体価格 1,300 円に消費税相当額を加え た金額であると考えられる。)。この訂正により、決算額(うち政 務調査費充当額)は当初の 302 万 9,280 円(300 万円)から 302 万 7,915 円(300 万円)に減額されたが、決算額が政務調査費充当額 をなお上回っている。

b 野里文盛議員

「⑱背当てクッション」(1,938 円)(事務所費)、「⑲実用手紙の 書き方(1,500 円)、⑳ミニ漢字辞典(1,470 円)、○21成功は小さい ことのつみかさね(3,080 円)、○22成功の心理学(3,232 円)、○23お カネで世界を変える30の方法」(1,638円)(以上、資料代)につ いては、6月24日付けで同議員から議長あてに訂正収支報告書等 が提出されている。訂正額(減額)は、一覧表の記載と同額の 1 万 2,858 円である。この訂正により、決算額(うち政務調査費充 当額)は当初の 310 万 1,053 円(300 万円)から 308 万 8,195 円(300 万円)に減額されたが、決算額が政務調査費充当額をなお上回っ ている。

(18)

「○26シャポドウフレーズ」(2,400 円)(調査研究費)については、 6月24日付けで同議員から議長あてに訂正収支報告書等が提出さ れている。一覧表の記載金額は 2,400 円であるが、同金額に消費 税相当額を加えた 2,520 円が訂正額(減額)である。当該議員は 3 月 18 日付けで 1,782 円を減額する訂正収支報告書等を議長あてに 提出しているが、この訂正を含めて、決算額(うち政務調査費充 当額)は当初の 364 万 5,400 円(300 万円)から 364 万 1,098 円(300 万円)に減額されたが、決算額が政務調査費充当額をなお上回っ ている。

d 高岡武汪議員

「○27とろろ昆布・珍味・紅茶」(1,356 円)(広報費)については、 6月24日付けで同議員から議長あてに訂正収支報告書等が提出さ れている。訂正額(減額)は、一覧表の記載と同額の 1,356 円で ある。この訂正により、決算額(うち政務調査費充当額)は当初 の 371 万 635 円(300 万円)から 370 万 9,279 円(300 万円)に減 額されたが、決算額が政務調査費充当額をなお上回っている。 e 池田克史議員

「⑫印鑑から⑰印鑑セットまで」(計 1 万 3,805 円)」(事務所 費)については、6月24日付けで同議員から議長あてに訂正収支 報告書等が提出されている。訂正額(減額)は一覧表の記載と同 額の 1 万 3,805 円である。この訂正により、決算額(うち政務調 査費充当額)は当初の 325 万 2,774 円(300 万円)から 323 万 8,969 円(300 万円)に減額されたが、決算額が政務調査費充当額をなお 上回っている。

f 自由民主党・市民クラブ

「○28から○36まで アメ、麦茶など」(計 1 万 842 円)(会議費)、 「○37から○42まで ミルク、飲料など」(計 5,243 円)(広報・広聴 費)及び「○43キズテープ他」(880 円)(事務所費)については、6 月 25 日付けで同会派から議長あてに訂正収支報告書等が提出され ている。一覧表の記載金額 1 万 6,965 円のほか、一覧表の記載以 外の牛乳、アメ等の支出金額 2 万 9,931 円が訂正されており、訂 正額(減額)は 4 万 6,896 円となっている。これらの訂正により、 決算額(うち政務調査費充当額)は当初の 661 万 5,126 円(660 万 円)から 656 万 8,230 円(656 万 8,230 円)に減額されたため、政 務調査費充当額に差額 3 万 1,770 円が生じている。

(19)

クリエイティブ フェニックスは、政務調査費について、議員が 月額 28 万円、会派が月額 2 万円の交付を受ける方法を選択している。 平成20 年度の交付額は、所属の各議員が 336 万円(月額 28万円× 12 月)、会派が 130 万円(月額 2 万円×(所属議員数 6 人×5 月+所 属議員数 5 人×7 月))である。

a 島保範議員

「⑨堺市Walker」(780円)(資料代)については、6月29日付 けで同議員から議長あてに訂正収支報告書等が提出されている。 訂正額(減額)は一覧表に記載の 11 月購入分と同雑誌の 7 月購入 分を合わせた 1,560 円である。この訂正により、決算額(うち政 務調査費充当額)は当初の 334 万 8,170 円(334 万 8,170 円)から 334 万 6,610 円(334 万 6,610 円)に減額されたため、政務調査費 充当額に差額 1,560 円が生じている。

b 吉川守議員

「○44自転車修理費(3,500 円)、○45ジャンプカサ(1,194 円)」(事 務所費)については、6月24日付けで同議員から議長あてに訂正 収支報告書等が提出されている。訂正額(減額)は一覧表の記載 と同額の 4,694 円である。この訂正により、決算額(うち政務調 査費充当額)は当初の 395 万 7,050 円(336 万円)から 395 万 2,356 円(336 万円)に減額されたが、決算額が政務調査費充当額を上回 っている。

また、「駐車場使用料 平成21年1月分 1万円」(事務・事務 所費)について、重複して計上を行っていたため、7月20日付け で同議員から議長あてに当該支出を取り消すこととした訂正収支 報告書等が提出され、議長から 7 月 20 日付けで市長にその写しが 送付されている。この訂正により、決算額(うち政務調査費充当 額)は 394 万 2,356 円(336 万円)に減額されたが、決算額が政務 調査費充当額をなお上回っている。

(エ) 民主党・市民連合

民主党・市民連合は、政務調査費について、議員が月額 27 万円、 会派が月額 3 万円の交付を受ける方法を選択している。平成 20 年度 の交付額は、所属の各議員が324万円(月額27万円×12月)、会派 が 360 万円(月額 3 万円×所属議員数 10 人×12 月)である。 a 水谷一雄議員

(20)

る。訂正額(減額)は一覧表の記載と同額の 200 円である。この 訂正により、決算額(うち政務調査費充当額)は当初の 338 万 6,362 円(324万円)から 338万 6,162 円(324万円)に減額されたが、 決算額が政務調査費充当額をなお上回っている。

b 服部昇議員

「○48駐車料金」(計 1 万 950 円)(調査研究費)については、6 月 24 日付けで同議員から議長あてに訂正収支報告書等が提出されて いる。訂正額(減額)は一覧表の記載と同額の 1 万 950 円である。 当該議員は 3 月 18 日付けで 4 万 8,995 円を減額する訂正収支報告 書等を議長あてに提出しているが、この訂正を含めて、決算額(う ち政務調査費充当額)は当初の 353 万 2,014 円(324 万円)から 347 万 2,069 円(324 万円)に減額されたが、決算額が政務調査費 充当額をなお上回っている。

c 民主党・市民連合

「○25ハッカ、パイン、落花生アメ」(952 円)(広報・広聴費)に ついては、6月24日付けで同会派から議長あてに訂正収支報告書 等が提出されている。訂正額(減額)は一覧表の記載と同額の 952 円である。この訂正後の決算額(うち政務調査費充当額)は当初 の 388 万 3,818 円(360 万円)から 388 万 2,866 円(360 万円)に 減額されたが、決算額が政務調査費充当額をなお上回っている。

(2) 訂正収支報告書等の提出後の経過

ア 上記の当該会派又は議員から議長に 6 月 29 日までの日付により提出 された訂正収支報告書等の写しは、いずれも 6 月 30 日付けで議長から 市長へ送付されている。

また、市長は、訂正収支報告書等の写しをチェックし、返還を求め るべき政務調査費の残余額が生じていることを確認した公明党堺市議 会議員団(8 万 4,866 円)、自由民主党・市民クラブ(3 万 1,770 円) 及び島保範議員(1,560円)に対して7月29日に返還を求める通知書 とともに納入通知書を送付した。なお、返還金は、公明党堺市議会議 員団及び自由民主党・市民クラブからは 8 月 2 日に、島保範議員から は 8 月 3 日に納入されている。

イ 以上のことについては、訂正収支報告書等及び納入通知書等により 確認できた。

(21)

賃」(180 万円)(事務所費)及び「○47駐車場使用料」(12 万円)(事 務所費)についてのみ検討の対象とした。

4 事務所費(吉川守議員)について (1) 事務所費に係る規定等について

ア 事務・事務所費については、その使途基準として、おおむね会派又 は議員の行う調査研究に係る事務遂行に必要な経費及び調査研究活動 のために必要な事務所の設置又は管理に要する経費と規定されている (規則第 6 条第 1 項及び別表)。

イ なお、運用指針では、政務調査費に充ててはならない経費として、 政党組織の事務所や後援会事務所の設置及び維持に要する経費が例示 されているほか、政務調査費の使途基準の考え方として、「事務所の賃 借料」については使用実態に応じて支給すること、保証金(返還され ない部分は除く。)は認めないこと及び議員の自己所有物件への賃借料 は認めないことが示されており、「事務所の駐車場賃借料」についても、 ほぼ同様のことが示されている。

ウ 請求人は、当該議員が収支報告書等に記載の事務所(以下「本件事 務所」という。)及び駐車場(以下「本件駐車場」という。)の賃借料 に政務調査費(事務所費)を充てていることは許されないと主張して いるので、このことについて検討する。

(2) 本件事務所について

ア 請求人は、本件事務所の賃借料に政務調査費を充てることは許され ないとする理由として、建物は存在しているが事務所ではなく空家で あること、住宅地図上もかなり前から倉庫と明示され、近隣住民への 聞きとり調査でも平成 20 年以前から「倉庫」かつ空家であったとの証 言を得ていること、シャッターが閉まっており看板はもちろん表札も あがっていないこと、電話も設置されておらず無人(空家)で政務調 査を行う事務所としての形態を全くなしていないこと、土地建物の名 義人は親族となっているが事務所として実態のないことを挙げている ので、これらについて検討する。

イ 事務所の外観及び改修工事について

(ア) 本件建物は、登記簿謄本を確認すると、建物の種類は居宅・倉庫、 構造は鉄骨造陸屋根2階建であり、昭和 55年12 月1日に新築表示 登記、昭和 56 年 6 月 26 日に保存登記されたものとなっている。

(22)

する本件建物の 1 階をスーパーマーケットの倉庫として使用してお り、2 階には印刷機を設置し作業をしたり、応接セットを置いて来客 の応対を行うなどのための部屋として使用していたとのことである。 その後、当該議員は平成 10 年頃にスーパーマーケットを廃業、平成 11年4月に実施された堺市議会議員選挙に初当選し、政務調査活動 のための事務所が必要であることから本件建物を父親が改修し、平 成 16 年 4 月から当該議員の政務調査活動用の事務所としたとのこと である。

当該議員は、自宅兼後援会事務所を平成 17 年 1 月に新築したが、 本件建物の使用関係を明確にするため、平成17 年 2月 25日に本件 建物の所有者である父親との間で建物賃貸借契約を締結した。その 内容は賃借料月額が15万円、賃貸借の期間が平成 17年3 月1日か ら平成 22 年 2 月 28 日までとなっていた。

当該議員から提出された本件建物の工事に係る工事業者の見積書、 請求書及び領収証の各写しの工事名及び各書類に記載された日付は 次のとおりである。

a 事務所設置に伴う屋上防水工事(見積書:平成16 年 3月 6日、 請求書:同年 3 月 12 日、領収証:同年 3 月 15 日)

b 事務所設置工事(見積書:平成 16 年 3 月 12 日、請求書:同年 4 月 7 日、領収証:同年 4 月 9 日)

c 事務所外壁雨漏り及内部修理工事(見積書:平成 19 年 11 月 8 日、請求書:同年 11 月 27 日、領収証:同年 11 月 30 日)

d 事務所外壁改修工事(見積書:平成22 年 5 月 10日、請求書: 同年 7 月 3 日、領収証:同年 7 月 6 日)

(イ) 上記のことから、本件建物は、主に事業用の倉庫として使用され ていたが、平成 10 年頃に廃業により倉庫として使用されなくなった。 その後、政務調査活動用の事務所として使用するために平成 16 年に 改修工事が行われたが、倉庫としての外見は残されたままであるこ とが認められる。また、事務所として使用開始後も、本件建物の維 持修理のための工事が行われていることも認められる。

ウ 看板について

(23)

看板を一時的に取り外し、工事終了後に設置し直したとのことであ る。

(イ) 看板の設置の有無を確認するため、インターネット検索エンジン のGoogleがインターネットを通じて提供しているWeb サービスであ る Google マップのストリートビューで本件建物付近の写真を表示し たところ、2009 年(平成 21 年)に撮影された本件建物の玄関扉の上 部に「堺市議会議員 北区 吉川まもる 連絡事務所」と記し、「電 話番号」が書かれた看板が設置されていることが確認できた。 (ウ) また、請求人は陳述において、看板が掲げられていないことを現

地において確認したのは平成 22 年 6 月初旬と述べているが、当該議 員から提出された外壁改修工事の領収証等から、当該工事が平成 22 年5月から6月頃に行われたことが認められる。6月28日に財政局 と議会事務局の職員が本件事務所を確認した際には、看板が掲げら れていたとのことであり、7 月 7 日に再度、調査を行った際に撮影し た写真には設置された看板が写っている。このことからすると、当 該議員が外壁改修工事に伴い一時的に看板を取り外し、工事終了後 に設置し直したとする説明に矛盾するところはないものと思われる。 (エ) 以上により、看板も表札もあがっていないという請求人の主張は、

請求人が現地において確認したとする時期においてはそうであった としても、看板は一時的に取り外されたものと思われ、また、平成 20 年度において、看板が掲げられていないことを明らかにする主張 ではない。

エ 電話等の設備について

(ア) 請求人は本件事務所には電話も設置されていないと述べているが、 7 月 15 日に実施した現地調査において、本件事務所から約 30 メート ル南にある自宅兼後援会事務所に設置した固定電話のコードレス子 機電話機が設置されていることが確認できた。

なお、当該議員の説明によると、平成 16 年の本件事務所の開設時 から子機電話機を置いているが、政務調査活動には主に携帯電話を 利用しており、市民等へは携帯電話の番号を伝えているとのことで ある。

(24)

ていた。

また、当該議員から提出された平成 20 年度中の電気料金支払証明 書(平成 22 年 7 月 7 日発行)及び水道料金等納付済証明書(平成 22 年7 月 7 日発行)により、電気料金(低圧電力と従量電灯の 2つの 契約がある)及び水道料金が平成 20 年度中に 1 年間継続して発生し、 納付されていることが確認された。なお、1か月あたりの合計電気使 用量は 116kWh(最少月)から 588kWh(最大月)、2 か月あたりの使用 水量は 0 ㎥(最少月)から 2 ㎥(最大月)となっていた。

(ウ) いずれも過去から使用されていると考えられる電話機や備品を備 えていたこと、平成 20 年度に電気、水道の使用があることなどから、 平成 20 年度において、本件事務所は事務所としての形態をなしてい ないとまではいえない。

オ 本件事務所の使用状況について

当該議員から提出された書類等によると平成 20 年度の本件事務所は 主に以下のような利用がされていた。

(ア) 地域意見交換会…提出された当該議員のメモ書きのあるレジュメ によると、「ゴミの減量化対策」、「地域における子育て支援」などを テーマに計 10 回開催されている。

(イ) 市民相談…提出された「事務所での相談内容一覧」によると、月 に 4 回から 6 回実施し、「下水道浚渫」、「防災倉庫設置」等について 相談を受けている。

(ウ) 調査研究…当該議員の説明によると、随時、市政に関する調査研 究を実施したとのことである。

カ 小括

以上のことから、本件事務所は、本件建物の経過、電話・看板等の 設置状況、地域意見交換会等の事務所利用の状況等をみると、請求人 が主張するような政務調査を行う事務所としての形態、実態を全くな していないとはいえない。

したがって、本件事務所は政務調査を行うために賃借された事務所 でないとはいえず、平成 20 年度において、その賃借料(月額 15 万円) に政務調査費(事務所費)を充てたことが条例第 4 条の規定に明らか に違反し、違法不当であるとはいえない。

(3) 本件駐車場について

(25)

が、当該議員の事務所兼自宅は土地所有者B氏からの借地であること から、この 8 万 5,000 円は借地料と思われる。自宅玄関前に作られて いる駐車場を含む敷地全体の地代を払っていることから考えると、駐 車料という名目で政務調査費から 1 万円を自分自身が貰っていること になる」旨を主張している。

イ この主張からすると、請求人は、8 万 5,000 円の借地料には、自宅兼 後援会事務所の玄関前の 2 台分の駐車場を含むものと考えていると思 われる。

しかし、土地賃貸借契約公正証書(平成11 年 9 月 30日作成)や当 該議員の説明等から、自宅兼後援会事務所(玄関前駐車場を含む。)の 借地料は月額8 万5,000 円ではなく月額6万 5,000円であり、また、 駐車場使用賃貸契約書(以下「駐車場契約書」という。)から、玄関前 の駐車場とは別に当該議員が賃借している駐車場があり、この別の駐 車場(2 区画)の月額賃借料が 2 万円であることが確認できた。そして、 借地料と駐車場賃借料の振込先が同じ有限会社であるため、合計 8 万 5,000 円が一緒に振り込まれているものである。

この駐車場は、平成13 年 5月 1日(契約日)から賃借されており、 現地調査により、自宅兼後援会事務所の西側にある駐車場のうちの 2 区画であることが確認できた。また、駐車場契約書には、この 2 区画 を当該議員の来客用に使用することを認める特約条項がある。

ウ 当該議員の説明によると、2 区画のうち 1 区画は、自家用車用及び後 援会事務所来客用の駐車場とし、残り 1 区画を本件事務所来客用の駐 車場としているとのことである。

前記のとおり自宅兼後援会事務所の玄関前に 2 台分の駐車場がある が、そのスペースは十分なものとはいいがたい。さらに、本件事務所 に隣接したところに駐車場はなく、かつ前面の道路が狭いために普通 車の進入は相当困難であるといえる。

したがって、本件事務所を訪れる市民等のための駐車場(1 台分)をあ らかじめ確保し、そのために賃借することに理由があるものと考えら れる。

エ 小括

(26)

そして、この 1 区画を、政務調査を行うための本件事務所の来客用 として確保することに合理性があることから、当該区画の月額賃借料 1 万円に政務調査費(事務所費)を充てたことが条例第 4 条の規定に明 らかに違反し、違法不当であるとはいえない。

5 結 論

以上のとおり、一覧表の政務調査費が違法不当な支出であるとする請求 人の主張は、いずれも理由がないと判断される。

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