分業型 · 一貫型の待ち行列システムの比較
早稲田大学
基幹理工学部数学科
1W110287-1
妹尾 佳祐
目次
第1章 はじめに 3
第2章 分業型の待ち行列システム 4
第3章 一貫型の待ち行列システム 6
第4章 分業型・一貫型の待ち行列システムの比較 9
第5章 オーダーの並行処理が可能な場合 11
5.1 分業型の待ち行列システム. . . 12 5.2 一貫型の待ち行列システム. . . 15 5.3 分業型・一貫型の待ち行列システムの比較 . . . 16
第6章 おわりに 19
第 1 章
はじめに
本論ではファストフード店における2つの典型的な店員配置法について、2通りのケースに関してそ れぞれの場合でどちらの型が効率的であるかを示す。
店員配置法において2人の店員の簡単なモデルを考えて、注文の聞き取りと商品受け渡しの業務を2人 の店員で役割分担する分業型と注文の聞き取りと商品受け渡しの業務を同じ店員がそれぞれ一貫して行う 一貫型について比較を行う。一般的な待ち行列理論の観点で分業型·一貫型のシステムを比較した場合は 一貫型の方が効率的であるとされているが[1]、本論においては分業による業務の効率化を考慮して比較 を行う事で分業型の方が効率的である場合を提示する。同テーマについて[1]の他にも[2]でわずかだが 議論されている。n名の客がシステムに到着するとした時、n番目の客がシステムに到着してから商品を 受け取るまでの待ち時間をWnとしてW1, W2, · · · , Wn の総和をSn=∑ni=1Wiとおく。そして分業型 の待ち時間Sn(分業型)と一貫型の待ち時間Sn(一貫型)の差をDn= Sn(分業型) − Sn(一貫型)として、 Dn を基準に分業型·一貫型の待ち行列システムを比較していく。本論の流れとして、第2 · 3章で基本 ケースにおける分業型·一貫型のSn をそれぞれ導出して第4章でDnについて考察し、第5章で注文聞 き取りに比べて商品受け渡しに要する時間の方が長くかつオーダーの並行処理が可能であるというケース について、同様に分業型·一貫型のSnの導出とDnの考察を行う。
第 2 章
分業型の待ち行列システム
分業型の待ち行列システムについて、店に到着した客はまず注文するカウンターに並び、注文を終え た後に商品を受け取るカウンターに並んで再び順番を待つというモデルを考える[図2.1]。
店 員
分業型
店 員
客の流
注文を け 商品 け渡しを行う
注文が終わったら、 商品を け カウンターに並ぶ
客
システムに到着 注文カウンター
に到着
図2.1 店員2人の分業型の待ち行列システムのモデル
モデルの単純化の為、以下の状況を仮定する。
1. 店員は2人でそれぞれ別のカウンターに付く。一人は注文を受ける業務に当たり、もう片方は商品 を受け渡しする業務を担当する。
2. 店に到着した客はまず注文のカウンターに並び、商品の注文を行う。 3. 注文を終えた客は商品受け渡しのカウンターに並び、商品を受け取る。
4. 客 n名は同時に到着し、1番目2 番目…の順でカウンターに並ぶと考える。但しnは自然数と する。
5. 各客の商品の注文に要する時間O1, O2, · · · , On、商品受け取りに要する時間R1, R2, · · · , Rnはそ
れぞれ1とする。
以上の状況を基にWnの推移を図示する[図2.2]。
分業型
システム到着時刻
注文カウンター到着時刻
注文、受け渡し 終了時刻
客
0 1 2 3 4 5 時刻
1 1
1 1 1
2 1 1
3 1 1
図2.2 分業型の待ち行列システムにおけるWnの推移
n+ 1番目の客の待ち時間はn番目の客の待ち時間より1大きくなる事からWnの漸化式を考えると、 W1= 2, Wn+1= Wn+ 1より、
Wn = 2 + (n − 1)
= 1 + n (2.1)
となり、したがってSnは
Sn=
n
∑
i=1
Wi
=
n
∑
i=1
(1 + i)
= 1
2n(3 + n) (2.2)
を得る。
第 3 章
一貫型の待ち行列システム
一貫型の待ち行列システムについて、店に到着した客はカウンターが空いていない場合単一の行列に 並び、空いたカウンターから先着順でサービスを受けていくというモデルを考える[図3.1]。注文聞き取 りと商品受け渡しの業務を同じ店員が一貫して行うという点で分業型と異なる。
店 員
一貫型
店 員
客の流
空い い カウンターを選択 注文を受け 、商品
受け渡しま 行う
注文を受け 、商品 受け渡しま 行う
客
システムに到着 カウンターに到着
図3.1 店員2人の一貫型の待ち行列システムのモデル
モデルの単純化の為、以下の状況を仮定する。 1. 店員は2人でそれぞれ別のカウンターに付く。
2. 1人の客に対して、注文聞き取りから商品受け渡しまで1人の店員が対応する。
3. システムに到着した客は空いているカウンターを選択する。どちらのカウンターも対応中であれば 待ち行列に並ぶ。
4. 待ち行列は単一で、前の客の対応が終わった店員が先着順で次の客の対応を行う。
5. 客 n名は同時に到着し、1番目2 番目…の順でカウンターに並ぶと考える。但しnは自然数と する。
6. 各客の商品の注文に要する時間O1, O2, · · · , On、商品受け取りに要する時間R1, R2, · · · , Rnはそ れぞれ1とする。
以上の状況を基にWnの推移を図示する[図3.2]。
一貫型
システム到着時刻
カウンター到着時刻
注文、受け渡し 終了時刻
客
0 1 2 3 4 5 時刻
1 1
1 1
2 1 1
2 1 1
図3.2 一貫型の待ち行列システムにおけるWnの推移
n+ 2番目の客の待ち時間はn番目の客の待ち時間より2大きくなる事からWnの漸化式を考えると、 kを自然数としてn= 2kの時、W2= 2, Wn+2= Wn+ 2より、
Wn = 2 + 2 ·1
2(n − 2)
= n (3.1)
となり、n= 2k − 1の時、W1= 2, Wn+2= Wn+ 2より、 Wn = 2 + 2 ·1
2(n − 1)
= 1 + n (3.2)
となる。したがってWnは
Wn =
{n (n = 2k)
1 + n (n = 2k − 1) (3.3)
となる事から、場合分けを行ってSnを導出する。n= 2kの時、(Wn−1+ Wn)の漸化式を考えると、
となり、
Sn=
1 2n
∑
i=1
(Wi−1+ Wi)
=
1 2n
∑
i=1
4i
= 1
2n(2 + n) (3.5)
となり、n= 2k − 1の時、(3.3) · (3.5)式より、
Sn =
1 2n
∑
i=1
(Wi−1+ Wi) − Wn
= 1
2n(2 + n) − (1 + n)
= 1
2(1 + n)
2 (3.6)
となる。したがってSnは
Sn= {1
2n(2 + n) (n = 2k)
1
2(1 + n)
2 (n = 2k − 1) (3.7)
を得る。
第 4 章
分業型・一貫型の待ち行列システムの比較
Dnを基準に分業型·一貫型の待ち行列システムを比較する。(3.7)式より、まずn= 2kの時、 Dn= Sn(分業型) − Sn(一貫型)
= 1
2n(3 + n) − 1
2n(2 + n)
= 1
2n >0 (4.1)
となり、またn= 2k − 1の時、
Dn= Sn(分業型) − Sn(一貫型)
= 1
2n(3 + n) − 1
2(1 + n)
2
= 1
2(n − 1) ≥ 0 (4.2)
となり、したがって
Dn= {1
2n (n = 2k) 1
2(n − 1) (n = 2k − 1) (4.3)
を得る。よって、nの値に依らずDn ≥0が成立する。また、Dnについてx < yならばDx ≤Dyが常 に成立するので、Dnは広義単調増加している。nとDnの関係についてグラフに図示する[図4.1]。
0
5
10
0 5 10 15 20 25 30 35 40
D
nn
図4.1 nとDnの関係
(4.3)式より、客数nが多くなるほど分業型の待ち時間と一貫型の待ち時間の差Dnが大きくなってい
く事が分かる[図4.1]。分業すると一方のカウンターには待っている客がいるのに他方の店員は仕事が無 いという状況ができてしまう為、2つの業務を1人の店員が一貫して行う一貫型の方が効率的であると考 えられる。一般的にも待ち行列を分断するより単一の待ち行列でシステムを運用する方が効率的であると されている[1]。
第 5 章
オーダーの並行処理が可能な場合
2·3章では注文聞き取りに要する時間O1, O2, · · · , On、商品受け渡しに要する時間R1, R2, · · · , Rn を同一としたが、実際の現場では注文聞き取りに比べて商品受け渡しに要する時間の方が長い場合が多 い。一部のファストフード店の例では商品受け渡しの業務におけるボトルネックを解消する為に、分業に よって複数のオーダーを並行して処理できるようにするなど業務の効率化を図っている。モデルのイメー ジを図示しておく[図5.1]。このようにオーダーの並行処理が可能な場合を考え、分業型·一貫型の待ち 行列システムの比較を行う。
店 員
店 員
客の流
注文を け 商品 け渡しを行う
注文が終わったら 商品を け カウンターに並ぶ
客
システムに到着 注文カウンター
に到着
2人の客ま 並行 し 対応す 事が 出来
図5.1 オーダーの並行処理が可能な場合の待ち行列システムのモデル
モデルの単純化の為、以下の状況を仮定する。
1. 2章のモデルの状況1 ∼ 4と同一の状況を仮定する。
2. 各客の商品の注文に要する時間 O1, O2, · · · , On はそれぞれ 1、商品受け取りに要する時間 R1, R2, · · · , Rnは1 + αとする。但しα ≥0とする。
3. 商品を受け渡す業務では、店員は2人の客まで並行して対応する事が可能である。 以上の状況を基にWnの推移を図示する[図5.2、図5.3]。
分業型
システム到着時刻
注文カウンター到着時刻
注文、受け渡し 終了時刻
客
0 1 2 3 4 5 時刻
1 1 + α
2 1 1 + α 1 1 1 + α
3 1 1 + α
図5.2 オーダーの並行処理が可能な場合の分業型の待ち行列システムにおけるWnの推移(0 ≤ α ≤ 1)
システム到着時刻 注文、商品受け渡し カウンター到着時刻 注文、受け渡し 終了時刻
客
0 1 2 3 4 5 時刻
1 1 + α
2 1 α - 1 1 + α 1 1 1 + α
3 1 α - 1 1 + α
4 1 2(α – 1) 1 + α 分業型
図5.3 オーダーの並行処理が可能な場合の分業型の待ち行列システムにおけるWnの推移(1 < α)
まず0 ≤ α ≤ 1の場合についてn+ 1番目の客の待ち時間はn番目の客の待ち時間より1大きくなる 事からWnの漸化式を考えると、W1= 2 + α, Wn+1= Wn+ 1より、
Wn = 2 + α + (n − 1)
= 1 + n + α (5.1)
となり、したがってSnは
Sn =
n
∑
i=1
Wi
=
n
∑
i=1
(1 + n + α)
= 1
2n(3 + n + 2α) (5.2)
を得る。次に1 < αの場合についてn+ 2番目の客の待ち時間はn番目の客の待ち時間より1 + α大きく なる事からWnの漸化式を考えると、kを自然数としてn= 2kの時、W2= 3 + α, Wn+2= Wn+ (1 + α) より、
Wn = 3 + α + (1 + α) ·1
2(n − 2)
= 1
2(4 + n + nα) (5.3)
= 1
2(3 + n + nα + α) (5.4)
となる。したがってWnは
Wn = {1
2(4 + n + nα) (n = 2k)
1
2(3 + n + nα + α) (n = 2k − 1) (5.5)
となる事から、場合分けを行ってSnを導出する。n= 2kの時、(Wn−1+ Wn)の漸化式を考えると、 W1+ W2= 5 + 2α, Wn+1+ Wn+2= Wn−1+ Wn+ 2(1 + α)より、
Wn−1+ Wn= 5 + 2α + 2(1 + α)(n − 1)
= 3 + 2n + 2nα (5.6)
となり、
Sn =
1 2n
∑
i=1
(Wi−1+ Wi)
=
1 2n
∑
i=1
(3 + 2i + 2iα)
= 1
4n(8 + n + nα + 2α) (5.7)
となり、n= 2k − 1の時、(5.5) · (5.7)式より、
Sn =
1 2n
∑
i=1
(Wi−1+ Wi) − Wn
= 1
4n(8 + n + nα + 2α) − 1
2(3 + n + nα + α)
= 1
4(1 + n)(7 + n + nα + α) − 2 (5.8)
となる。したがってSnは
Sn= {1
4n(8 + n + nα + 2α) (n = 2k)
1
4(1 + n)(7 + n + nα + α) − 2 (n = 2k − 1) (5.9) を得る。すなわち、
Sn =
1
2n(3 + n + 2α) (0 ≤ α ≤ 1)
1
4n(8 + n + nα + 2α) (1 < α, n = 2k)
1
4(1 + n)(7 + n + nα + α) − 2 (1 < α, n = 2k − 1)
(5.10)
である。
5.2 一貫型の待ち行列システム
モデルの単純化の為、以下の状況を仮定する。
1. 3章のモデルの状況1 ∼ 5と同一の状況を仮定する。
2. 各客の商品の注文に要する時間 O1, O2, · · · , On はそれぞれ 1、商品受け取りに要する時間 R1, R2, · · · , Rnは1 + αとする。但しα ≥0とする。
3. 商品を受け渡す業務では、店員は2人の客まで並行して対応する事が可能である。 以上の状況を基にWnの推移を図示する[図5.4]。
一貫型
システム到着時刻
カウンター到着時刻
注文、受け渡し 終了時刻
客
0 1 2 3 4 5 時刻
1 1 + α 1 1 + α
2 + α 1 1 + α
2 + α 1 1 + α
図5.4 オーダーの並行処理が可能な場合の一貫型の待ち行列システムにおけるWnの推移
n+ 1番目の客の待ち時間はn番目の客の待ち時間より2 + α大きくなる事からWnの漸化式を考える と、kを自然数としてn= 2kの時、W2= 2 + α, Wn+2= Wn+ (2 + α)より、
Wn = 2 + α + (2 + α) ·1
2(n − 2)
= 1
2n(2 + α) (5.11)
となり、n= 2k − 1の時、、W1= 2 + α, Wn+2= Wn+ (2 + α)より、 Wn = 2 + α + (2 + α) ·1
2(n − 1)
= 1
2(1 + n)(2 + α) (5.12)
となる事から、場合分けを行ってSnを導出する。n= 2kの時、(Wn−1+ Wn)の漸化式を考えると、 W1+ W2= 4 + 2α, Wn+1+ Wn+2= Wn−1+ Wn+ 2(2 + α)より、
Wn−1+ Wn= 5 + 2α + 2(2 + α)(n − 1)
= n(2 + α) (5.14)
となり、
Sn =
1 2n
∑
i=1
(Wi−1+ Wi)
=
1 2n
∑
i=1
n(2 + α)
= 1
4n(2 + n)(2 + α) (5.15)
となり、n= 2k − 1の時、(5.13) · (5.15)式より、
Sn =
1 2n
∑
i=1
(Wi−1+ Wi) − Wn
= 1
4n(2 + n)(2 + α) −1
2n(2 + α)
= 1
4(1 + n)
2(2 + α) (5.16)
となる。したがってSnは
Sn = {1
4n(2 + n)(2 + α) (n = 2k)
1
4(1 + n)
2(2 + α) (n = 2k − 1) (5.17)
を得る。
5.3 分業型・一貫型の待ち行列システムの比較
Dnを基準に、オーダーの並行処理が可能な場合の分業型·一貫型の待ち行列システムを比較する。 n= 1の時はαの値に依らずDn= 0であり、n= 2の時はαの値に依らずDn >0となる為、n ≥3と して考える。Dn <0が成立するようなnについて調べ、一貫型より分業型の方が効率的となる客数を求 める。(5.10) · (5.17)式より、0 ≤ α ≤ 1の場合についてn= 2kの時、
Dn = Sn(分業型) − Sn(一貫型)
= 1
2n(3 + n + 2α) −1
4n(2 + n)(2 + α)
= 1
4n(2 + 2α − nα) < 0 (5.18)
となり、Dn<0を満たすnについてn ≥3より、 n > 2
α + 2 (5.19)
を得る。またn= 2k − 1の時、
Dn = Sn(分業型) − Sn(一貫型)
= 1
2n(3 + n + 2α) −1
4(1 + n)
2(2 + α)
= 1
4(n − 1)(2 − nα + α) < 0 (5.20)
となり、Dn<0を満たすnについてn ≥3より、 n > 2
α + 1 (5.21)
を得る。したがってDn<0を満たすnの範囲は、
{n > α2 + 2 (n = 2k)
n > α2 + 1 (n = 2k − 1) (5.22)
である。任意のαに対して (5.22)式を満たすnがDn < 0となる客数である。また1 < α の場合は (5.10) · (5.17)式においてn= 5を代入して、Dnを求めると、
D5= S5(分業型) − S5(一貫型)
= (16 + 9α) − (18 + 9α)
= −2 (5.23)
となるので、αの値に関わらずn ≥5でDn <0が成立する。αとnの関係について、グラフに図示する [図5.5]。
0 20 40 60
0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5
n
α
n = 2k n = 2k -1 Sn(分業型) < Sn(一貫型)
Sn(分業型) >Sn(一貫型)
図5.5 オーダーの並行処理が可能な場合の待ち行列システムにおけるαとnの関係
[図5.5]はnの値を固定してαが(5.22)式を満たす場合にDn<0が成立するという事を表している。 0 ≤ α ≤ 1の範囲では商品を受け渡しの業務における時間の差αが大きくなるほど、Dn <0が成立する 客数nは少なくなる。また1 < αの範囲では5人以上の客がシステムに到着するとDn<0が成立する。 オーダーの並行処理が可能であるという条件の下で、ボトルネックになっている商品受け渡しの業務を分 業によって効率的に処理している為、分業型の方が効率的な場合があると考えられる。なお注文聞き取り に比べて商品受け渡しに要する時間の方が長く、かつオーダーの並行処理が可能でないという状況におい
てはn · αの値に依らずDn ≥0が成立するが、分業型の方が効率的である場合を提示する事が本論の目
的である為、上記の状況についての議論は別の機会に譲るとする。
第 6 章
おわりに
一般的な待ち行列の観点で分業型・一貫型の待ち行列システムを比較した場合、一貫型の方が効率的 であるというのが通説である。しかし本論で扱ったケースの「注文聞き取りに比べて商品受け渡しに要す る時間の方が長いという状況においてオーダーの並行処理が可能である」という条件を考慮して比較を行 うと、分業型の方が効率的な場合もあるという事が分かった。この結果から現場で分業を導入する理由の 一つとして、ボトルネックになっている業務を全体の流れとは別で効率的に運用する事でボトルネックの 解消を図っているからであると考えられる。待ち行列理論において待ち行列を分断する事は悪法とされる 事が多いが、実際の現場で考えられる様な状況を合わせると分業によるメリットは大きいのではないかと 思う。また今回は店員の人数や客の到着間隔を固定して比較を行ったが、その他にも様々な場合が考えら れる。本論文で扱わなかったケースに関する比較考察は今後の課題としたい。
謝辞
本論文を書くにあたって、指導教官の豊泉教授には熱心なご指導と手厚いお力添えを賜り、深く感謝 致します。佐藤助手には待ち行列シミュレータの作成など貴重な時間を割いていただき、ここに感謝の意 を表します。また豊泉研究室の皆様には常に刺激的な議論を頂き、精神的にも支えられました。本当にあ りがとうございました。
参考文献
[1] 川島 幸之助(監修)、塩田 茂雄、河西 憲一、豊泉 洋、会田 雅樹、「待ち行列理論の基礎と応用」第 10章、共立出版(2014)
[2] 逆瀬川 浩孝(2014)、「待ち行列現象のシミュレーション分析」、2014年(vol. 59) 「特集 はじめよ う待ち行列」、pp198-204