公共経済学 第 24 講 講義ノート 1/ 2
24 個別分野の課題 2 : 地方自治の意義と地方分権
24.0 今回のアウトライン
A. 地方間の経済的な相互牽制関係を理解する
24.1 地方自治とは
A. 地方自治とは身近な生活からの民主主義
1. 中央政府の画一的なサービスの限界、情報の非対称性の解消と効率化 B. 地方自治は戦後の憲法の明記とシャウプ勧告から
1. 民主的な地方運営として地方財源の確立、地方への交付金 C. 地方と国の違いは複数の地域特性で自由に居所が決められる点
1. 小さなコミュニティーで自分の意見が反映されやすい ⇒ (1)
24.2 地方自治の便益
A. 地域ごとにどのような財政規律が効くのか
1. 両地域への帰属意志の強さの順に両端から 2 つの地域の居所をまず決める 2. B地域政府が怠けた仕事 → B 地域住民が A 地域に費用を払っても引越
初期状態
A B
B地域政府が怠けた場合
A B
3. B地域政府は住民減少と税収減少し、公共財が減少して住民が不満、A 地域 は改善 → 追加の一部 B 地域住民が A 地域に引越を決意
B. 両地域が怠けないように住民を逃がさず増やす努力をする 1. 足による投票 (ティボー仮説1)という
1Tiebout, C. (1956), ”A Pure Theory of Local Expenditures”, Journal of Political Economy 64(5) pp.416424
Ver. 1.2 Masumi Kawade, 2017
公共経済学 第 24 講 講義ノート 2/ 2
C. 画一的な中央政府のサービスより、情報が多くきめ細かな地域サービス 1. 地方自治の望ましさを示すオーツの分権化定理2
中央政府 供給量
A地域需要関数
B地域需要関数
公共財コスト
公共財供給量
24.3 地方分権の課題
A. 地方政府だけで中央政府は不要か
1. 地域間の格差を是正する必要性と最低限行政水準の定義 2. 自由に行き交う金融資産などは地域課税はほぼ不可能
‚逆に不動産は政府サービスと租税の不動産価格への資本化が起きる 3. 地域を越えた便益を持つ公共財は無政府の公共財供給と同じで過少供給
‚周辺地域への波及効果をあふれだし (スピルオーバー) 効果という B. 地方政府が破産したら自己責任で債務返済のためにしっかり増税できるか
1. 国が最後は面倒を見るので起きる、予算制約の弛緩 (ソフトバジェット) 問題 C. 中央政府の自由な定額交付金増が地域政府の効率化となるか?
1. 地方政府の官僚システムが減税ではなく予算化してしまう
2. 中央政府から地方政府にくっつくハエ取り紙 (フライペーパー) 効果
24.4 確認問題:次の文章の正誤について答えなさい
A. ティボー仮説は行政の改善により皆が遠い距離を歩いても投票することを指す B. オーツの分権化定理によれば地方分権によって地域密着型の行政が可能になる C. 予算制約弛緩問題は地方が中央の保護を前提に非効率になることである D. ハエ取り紙効果の例は国の財源移譲が地方の効率化につながらない事である
2Oates, W. E. (1972), Fiscal federalism, Aldershot: Gregg Revivals
Ver. 1.2 Masumi Kawade, 2017