• 検索結果がありません。

最高裁決定批判 16 03 18pdf 最近の更新履歴 wwwforumtohoku3rd

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2018

シェア "最高裁決定批判 16 03 18pdf 最近の更新履歴 wwwforumtohoku3rd"

Copied!
3
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

1

声明

最高裁決定に強く抗議する

我々は、最高裁判所が、我々と井上明久前東北大学総長との名誉毀損裁判 について、2016年3月16日付けで上告棄却の決定を下したことを、3月 17日に郵送によって知らされた。この決定は、日本では、最高裁でさえ、科 学的真理の判定能力に重大な欠陥があることを示すものであり、遺憾と言うほ かない。我々はこの決定に強く抗議する。

この裁判については、最初にその枠組みについて、次のことを指摘してお く必要がある。文部科学省が提示している『研究活動における不正行為への対 応ガイドライン』では、「被告発者(この場合井上氏)が告発内容を否認する場 合には、自己の責任において、研究が科学的に適正な方法と手続きに則って行 われたこと、論文等もそれに基づいて適切な表現で書かれたものであることを、 科学的根拠を示して説明することが必要」、と被告発者側の説明責任を明記して いる。しかし、名誉棄損裁判では、告発者(ここでは我々)に不正があること の立証を求めると言う、研究活動における不正行為を判断する手続きとは真逆 の、極めて不合理・無理難題を押付ける措置が取られたのであった。名誉毀損 裁判で研究不正問題が扱われた場合、論文著者(被告発者=名誉毀損裁判の原告) が研究不正(捏造改ざん)でないことを証明できない、あるいは証明しようと しなくても、告発者(裁判の被告)が研究不正であることを証明しない限り、 告発者が罰せられるという現行の裁判制度の枠組みは、今後、研究不正を助長 する恐れがあり、極めて憂慮される。

この裁判は、我々が2009年に井上氏の2論文について研究不正を告発 したとき、告発文書をHP上に掲載したことが名誉毀損に当たるとして提訴さ れたことに始まる。我々は告発に際し、また裁判で、一貫して論文の再現性を 問題にした。疑惑が指摘された論文の一つは、作製された試料現物はもとより、 実験ノートも海難事故で紛失し、疑惑論文以外に成果の正当性を示すものが一 切なかったからであった。STAP細胞問題での小保方晴子氏の研究不正問題 と疑惑の構図は全く同一であった。しかし井上氏は問題の論文の再現実験を一 貫して拒否し、自身の東北大学総長(当時)の地位や影響力を駆使して、自ら 定めた東北大学の『研究活動における不正行為への対応ガイドライン』を換骨 奪胎する「対応委員会」なる組織を、理事裁定なる手法により執行部のみで秘 密裏に組織した。井上氏は、この委員を自身の側近および共同研究者という、 こうした委員会の委員には就任資格がない人物を配置し、告発を葬り去った。 ここで極めて重要なことは、「対応委員会」なる組織は、告発にについて調査ま がいのことを行っているにも拘わらず、ガイドラインでいう予備調査を行う組

(2)

2

織ではない位置付けのためか、例えば「告発を受け付けない」という結論が導 かれた審議資料等の情報開示請求すら拒否することが可能な仕組みになってい る不公正なものである。また、井上氏は、日本金属学会に何ら合理的根拠を付 さない論文訂正を受理させ、不正疑惑を単純ミス・記載不十分等の理由で押し 切ったのであった。

仙台地裁、高裁で我々は事実と道理に基づき、井上氏の提訴理由が全く科 学的根拠をもたないことを明らかにした。この間、井上氏の共同原告として我々 を提訴した横山嘉彦金属材料研究所准教授(当時)が、自分自身の非を認めて 提訴を取り下げた。さらに、高裁段階で横山氏は、東北大学が井上氏の論文不 正疑惑を否定した公的な調査報告書の核心部分に捏造改竄があることを陳述し た。例えば、東北大学が、最新の別方法によって ― 従って本来の再現実験で はないのだが ―、問題の試料の再現に成功したと称して示した試料現物の写真 は、横山氏が文鎮として使って欲しいと、井上氏に渡した普通の金属塊であっ て、金属塊が金属ガラス合金であることを確認するための、X線回折など、必 要不可欠な科学的検査を何らしていなかったことを暴露した。しかし高裁はこ うした当事者の真摯な声に耳を傾けることはなかった。高裁は、これらの事実 を知ってもなお井上氏ほどの地位や名声を極めた人物が論文の捏造・改ざんを したとまでは「にわかには信じがたい」とし、我々が指摘した不正疑惑を、何 ら科学的合理的根拠なく、悉く論文の質の低さ、出来の悪さを示すものに過ぎ ない、と断じた。地裁、高裁の判決は、共に「はじめに結論ありき」の判決で あった。こうした下級審の判決が確定することは甚だ遺憾であり無念である。

しかし我々の井上氏の研究不正疑惑の追及は、今回の決定によって何ら影 響を受けるものでもなく、終わるものでは決してない。なぜならば科学論文の 真理は一つだからである。例えば、創刊86年を数え、日本金属学会の学術誌 よりも古い歴史を持つ、金属材料科学に関する専門誌『金属』(株アグネ技術セ ンター、東京)が、本年2月号から井上氏の研究不正問題に関する論説の連載 を開始した。我々の論説「井上明久氏の日本金属学会論文賞(2000年度)受賞 論 文 の 研 究不 正 疑 惑― 東 北 大 学対 応 委 員会 『 回 答 』の 論 理 破綻 ― 」( 同 誌、2 月号)に続き3月号には齋藤文良、矢野雅文両東北大学名誉教授の論説「5つ の図のうち4つに改ざん疑惑が認められる論文とその指摘に対する大学の不適 切な対応」が掲載された。同誌には4月号以降も続々と井上論文問題に関する 特集論説が掲載されると聞く。(株)アグネ技術センター、『金属』誌編集者の 英断に敬意と感謝の意を表する。

最後に、我々は裁判闘争に際し、実に多くの方々から、物心両面からのご 支援ご協力を頂戴した。これら諸氏に対して、名誉毀損裁判そのものには力及 ばず敗れ、ご声援に応えることが出来なかったことを心からお詫びする。研究 不 正 疑 惑 は、 司 法 判断 や 行 政 判断 に よ って は 決 し て解 消 さ れる も の で はな い。 学術上の疑義は学術的な方法によってのみ解消される。我々は、この観点から、

(3)

3

引 き 続 き 問題 に 取 り組 む こ と を誓 う 。 その た め に も我 々 は 、『金 属 』 誌 をは じ めとする井上氏の研究不正疑惑の徹底解明の動きを促進するよう努めたい。井 上氏の研究不正疑惑によって失墜させられた、東北大学の、ひいては日本の学 術界の名誉と信用の回復のためには、その学術的な徹底解明をはかるほかない と確信するからである。またこれ以外に裁判闘争を支えて下さった方々のご期 待に添う途はないと考えるからである。

2016年3月18日 東北大学名誉教授 日野 秀逸 東北大学名誉教授 大村 泉 東北大学元教授 高橋禮二郎 弁護士 松井 恵

参照

関連したドキュメント

 「訂正発明の上記課題及び解決手段とその効果に照らすと、訂正発明の本

 その後、徐々に「均等範囲 (range of equivalents) 」という表現をクレーム解釈の 基準として使用する判例が現れるようになり

 米国では、審査経過が内在的証拠としてクレーム解釈の原則的参酌資料と される。このようにして利用される資料がその後均等論の検討段階で再度利 5  Festo Corp v.

 

距離の確保 入場時の消毒 マスク着用 定期的換気 記載台の消毒. 投票日 10 月

前項においては、最高裁平成17年6月9日決定の概要と意義を述べてき

 親権者等の同意に関して COPPA 及び COPPA 規 則が定めるこうした仕組みに対しては、現実的に機

 アメリカの FATCA の制度を受けてヨーロッパ5ヵ国が,その対応につ いてアメリカと合意したことを契機として, OECD