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2015年度若手支援企画の記録 エモーション・スタディーズ

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Academic year: 2018

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エモーション・スタディーズ 第2巻第1号 pp. 68 69(2016)

会  報

2015年度若手支援企画の記録

「感情研究の現在を読む2」

企 画 者:藤原 健(大阪経済大学)・木村健太(産 業技術総合研究所)・藤村友美(産業技術 総合研究所)

話題提供:

木村健太(産総研)・小形佳祐(東北大)

「Four Perspectives on the Psychology of Emotion, Emotion Review」

藤村友美(産総研)・白井真理子(同志社大) 「Gender and Emotion, Emotion Review」

藤原 健(大経大)・大上真礼(東京大)

「Culture, Meaning, and Interaction in Sociology, Emotion Review」

報  告:

本企画では19名が集い(うち6名が話題提供者), 昨年度に引き続き感情研究の現在について議論を行う ことができました。企画のご報告をさせていただくに 当たり,まずは企画者・話題提供者一同より集まって いただきました先生方に改めて感謝を申し上げます。 以下には,企画者それぞれによる報告と感想を記しま す。

木村:木村と小形は,感情の心理学的理論をテーマと した特集号“Four perspectives on the Psychology of Emotion”を取り上げました。私たち研究者が感 情を研究するときには,基本感情説や社会構成主義 に基づく理論といった感情の心理学的理論に基づい て研究を進めます。ここ数十年の感情研究により, それぞれの理論に基づく研究結果は蓄積され,理論 は洗練されてきたように思う反面,理論間の関連性 について考察される機会は少なく,結局のところ 「“感情”とは何か」,という疑問には統一的な答え がないのが現状です。本特集号は,感情の心理学的 理論を俯瞰することで,個々の研究領域から離れて 今一度「“感情”とは何か」という問いを考える機 会を与えてくれます。本特集号では,進化論的理論, 社会構成主義的理論,心理構成主義的理論,評価理 論という4つの主要なアプローチを取り上げて理論 間の共通点や相違点を考察しています。論文内では, 各理論に立脚する著者に対して同一の問いを発する ことで,理論間の共通点や相違点が明確にされてい ます。このような試みにより,理論間での共通点と して,1)生得的要因と環境的要因の両者の重視, 2)感情は進化的に形成されてきたという観点,3)感

情の生起における評価的過程の必要性,4)本質主 義の否定,が明らかとなりました。読み手として は,理論間の共通点が明らかになることで,“感情”

という概念の輪郭が少しずつ浮かび上がる思いがし ました。また,理論間の相違点がはっきりすること で,検証する研究課題が明確化されたと言えます。 本特集号を読み進めることで,自分の拠って立つ感 情の心理学的理論を他の理論と相対化して捉えるこ とができるとともに,目の前の実験より一段高い 「“感情”とは何か」という問いに対して改めて考え る機会になりました。本特集号の紹介が,参加者の 皆さんにとっても自分の感情研究を振り返り考える 機会になれば幸いです。

藤村:藤村と白井からは,“Gender and Emotion”を テーマとした特集号から4篇を取り上げました。 「男性よりも女性の方が,感情表現が豊かで,他者

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会  報

69 とりまく社会や文化などマクロな視点をもつことの 必要性を今回の話題提供で共有できたと思います。 藤原:藤原と大上からは,感情研究に対して社会学的 アプローチをとった特集号“Culture, Meaning, and Interaction in Sociology”を基に話題提供させてい ただきました。本特集号の特徴は,2つにまとめ上 げることができるように思います。1つは,デモグ ラフィックな変数あるいは社会的・経済的・文化的 な変数を用いて感情やそれにまつわる事象を紐解こ うとしている点です。感情について心理学的なアプ ローチで挑もうとすると,どうしても個人を単位と して,個人内の感情経験やその変化に着目するタイ ミングがくるものです。ある人Xは刺激Aにはaと 反応して,刺激Bにはbと反応して…といった具合 です。これに対して社会学的なアプローチでは,社 会的な場面や役割,個人属性 (e.g., ジェンダー)を

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