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16- I- 0019 201 6 年 6 月 3 0 日
株式会社日本格付研究所(J C R)は、以下のとおり信用格付の結果を公表します。
P T Adaro E nergy T bk
(証券コード:−)【新規】
外貨建長期発行体格付 BBB−
格付の見通し 安定的
■ 格付事由
(1) PT A daro E nergy T bk(A E )は、インドネシア共和国を代表する石炭採掘会社グループの持株会社。グル ープは、石炭の生産から積出、販売までを一貫して手掛けており、その持株会社である A E はインドネシ ア証券取引所に上場している。グループの売上高・営業利益の 90%・88%は、石炭の生産を担う事業会 社 PT A daro Indonesia(A I)が占める。A Iは、同国カリマンタン島南部の炭鉱から、年間 50百万トン強 の石炭を生産し、アジアを中心に世界 14 ヵ国・地域で販売している。A I が生産する石炭は亜瀝青炭で、 水分が多く中程度の発熱量であるものの、灰分や硫黄、窒素の含有量が少なく、主に発電に用いられる。 A E は 、 A I を 100%所有してお り、強いグ ループ支配力を 有する。こ うしたことから 、 A E の 格付は、 A daro グループの信用力を反映している。グループの信用力は、露天掘りで船舶による運搬が可能な炭鉱 からの採掘権を所有することに起因する低い生産コスト、環境負荷が低い石炭の質、並びに、相対的に低 い純債務の水準や生産価格の低減余地を有することによる石炭価格の変動への一定の耐性により支えられ ている。同時に、グループの信用力は、営業利益の 9 割近くを国際市況に左右されるコモディティ商品1 品目に依存する事業の集中度、世界的な石炭価格の低迷、並びに、政府による規制に制約されている。格 付の見通しは安定的である。15/ 12 期も、11 年以来続く国際的な石炭価格の低下傾向に歯止めがかからず、 グループの収益性は大きなプレッシャーを受けた。石炭の販売単価は、14/ 12 期の 54 米ドル/ トンから 15/ 12 期には 47 米ドル/ トンへと 14%下落。販売量を前期比 7%減と絞り込んだこともあり、売上は前期 比 19%減となる 27 億米ドルまで落ち込んだ。これに対し、グループは、石炭の生産単価の引下げ(33 米 ドル/ トン→28 米ドル/ トン)に加え、一般管理費や金融費用の削減に取り組んだものの、関連会社投資 にかかる減損を65 百万米ドル計上したこともあり、15/ 12 期の税引前利益は前期比13%減の280 百万米 ドルとなった。石炭の市況価格は、16 年に入り下げ止まりの兆しも見られるものの、依然として不透明 感が残る。長期的には、インドやインドネシアの石炭需要の伸びを背景に価格が反転する可能性も想定し 得るものの、それまでの間、仮に石炭価格が一段と低下した場合には、A I は、後年度生産に負担をかけ 得る剥土比の意図的な引下げ等による生産コストのさらなる削減を迫られる可能性が高い。とはいえ、生 産コストをさらに削減する余地を有するほか、D/ E 比率(純債務ベース)は 0. 24(16/ 12 期第 1 四半期 末)と相対的に低く、日本やシンガポール等のアジアの主要銀行との関係も良好であることから、グルー プは石炭価格の変動に対する一定の耐性を有すると見られる。
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業にも進出している。現在、国際協力銀行を含む日本・シンガポールの銀行からプロジェクトファイナン スベースでのシンジケートローンを得て、電源開発株式会社・伊藤忠商事株式会社と共にジャワ島中部で 出力 2, 000MW の石炭火力発電所の建設を進めている。また、韓国の電力会社と共にカリマンタン島南部 で出力 200MW の同発電所の建設準備を進めているほか、カリマンタン島東部でも、坑口石炭火力発電所 の建設に向けた覚書を中国の電力会社との間で締結している。
(3) A I は、グループの石炭生産量の 98%、売上高の 90%(共に 15/ 12 期)を占める中核企業。1992 年以来、 カリマンタン島南部の 3 つの炭鉱(T utupan、Paringin、Wara)から石炭を生産しており、年間生産量は 15/ 12 期には 50 百万トンに達した。インドネシアでの炭鉱開発・石炭生産は、09 年以前は 1967 年法律第 11 号(鉱業基本規定)に、09年以降は 2009 年法律第 4号(鉱物鉱業法)に基づき規制されている。A I は 、 1982 年 に イ ン ド ネ シ ア 政 府 と の 間 で 締 結 し た 3 炭 鉱 に 関 す る 石 炭 協 力 協 定 ( C oal C ooperation A greement、C C A )に基づき炭鉱の開発・生産を行っている。同協定では、生産期間を 30 年(1992∼2022 年)とし、生産した石炭の 13. 5%をロイヤルティとして支払うことが合意されている。同協定の期限到 来時には、新鉱物鉱業法に基づく IUP(K )と呼ばれるライセンスの下で 10 年間× 2 回(最長 2042 年まで) 延長することが可能となっている。A I の生産する石炭は、“ E nvirocoal” の商標を有しており、水分が多く 発熱量は中程度であるものの、灰分や硫黄、窒素の含有量が少ない亜瀝青炭で、発電に適している。販売 先は、インドネシア国内に加え、中国、インド、日本などアジア諸国が大半を占め、顧客の 9 割近くが電 力会社となっている。販売先は分散され、収入面で 10%以上のシェアを有する顧客はいない。石炭販売 は、長期契約に基づき行われ、期間は平均 5 年。国内規制に基づき、価格は全て毎年改訂される。 (4) 石炭の国際市況価格は、11 年 2 月をピークに、低迷を続けている。グループが販売する石炭の単価も、
11/ 12 期の73 米ドル/ トンから、14/ 12 期には54 米ドル/ トン、15/ 12 期には47 米ドル/ トンと、大きく 下落してきた。グループの石炭販売価格は、石炭が低発熱量であるため相対的に低いものの、生産コスト も、露天掘りで船舶による運搬が可能であることなどを反映し低い。石炭価格が一層低迷した 15/ 12 期も、 コ ス ト の 3 割 弱 を 占 め る デ ィ ー ゼ ル 燃 料 の 価 格 下 落 に 加 え 、 剥 土 比 を 引 下 げ た こ と (5.68bcm/ t→5. 19bcm/ t)により、生産単価(ロイヤルティ支払前)が 28 米ドル/ トンと 14/ 12 期の 33 米ドル/ トンから一段と低下した。この結果、15/ 12期のグループの粗利益率は20%と、14/ 12期の 22% に比べ微減にとどめている。こうした生産コストの低減に加え、一般管理費や金融費用の削減の効果もあ り、グループは15/ 12 期も、280 百万米ドルの税引前利益を計上した。石炭価格の見通しは、依然として 不透明感が高い。16 年に入り、米 A rch C oal や米 Peabody など国際的な石炭会社の破綻も見られ、石炭の 国際価格は下げ止まりの兆しを見せつつあるものの、世界最大の石炭消費国である中国経済の見通しには 依然として不確実性が拭えない。とは言え、グループは、D/ E 比率(純債務ベース)が 0. 24(16/ 12 期第 1 四半期末)と相対的に低く、剥土比の引下げにより一段と生産コストを低下させる余地も有す。流動性 面でも、設備投資を抑制する中で、16/ 12 期第 1 四半期末時点で 709 百万米ドルの現金を保有。これは 16/ 12 期中に手当てを必要とする金融債務の 1.6 倍に相当する上、日本やシンガポール等のアジアの主要 銀行との関係も良好である。このように、グループは、石炭価格の変動に対する一定の耐性を有すると見 られる。
(5) 鉱業は、一般的に、どの国でも、ライセンス、課税、ロイヤルティ等を通じて、政府の規制による影響に さらされている。A I も14 年9 月、新鉱物鉱業法第169 条で義務付けられた、旧規制に基づくC C A の調 整として、①採掘エリア②操業の継続③国の収入④国内精製義務⑤株式売却義務⑥地場の労働者・物品・ サービスの利用―から成る 6 つの主要項目をカバーする覚書を政府と締結した。A I は同覚書上、採掘エ リアを 31, 380 ヘクタールまで削減することに合意した。規制やライセンスの内容の変更は、石炭採掘事 業の収益性や存続に大きな影響を与える潜在性を有するため、こうした点については今後も注視が必要で ある。
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■ 格付対象
発行体:P T Adaro E nergy T bk 【新規】
対象 格付 見通し
外貨建長期発行体格付 BBB- 安定的
格付提供方針に基づくその他開示事項
1. 信用格付を付与した年月日:2016 年 6 月 28 日
2. 信用格付の付与について代表して責任を有する者:増田 篤
主任格付アナリスト:増田 篤
3. 評価の前提・等級基準:
評価の前提および等級基準は、J C R のホームページ(http:/ / www. jcr. co. jp)の「格付方針等」に「信用格付の種類 と記号の定義」(2014 年 1 月 6 日)として掲載している。
4. 信用格付の付与にかかる方法の概要:
本 件 信 用 格 付の 付 与 にか か る方 法 の 概 要 は、 J C R の ホ ー ムペ ー ジ ( http:/ / www. jcr. co. jp) の 「 格 付 方針 等 」 に 、 「コーポレート等の信用格付方法」(2014 年 11 月 7 日)、「持株会社の格付方法」(2015 年 1 月 26 日)として掲載し ている。
5. 格付関係者:
(発行体・債務者等) PT A daro E nergy T bk
6. 本件信用格付の前提・意義・限界:
本件信用格付は、格付対象となる債務について約定通り履行される確実性の程度を等級をもって示すものである。
本件信用格付は、債務履行の確実性の程度に関しての J C R の現時点での総合的な意見の表明であり、当該確実性
の程度を完全に表示しているものではない。また、本件信用格付は、デフォルト率や損失の程度を予想するもので はない。本件信用格付の評価の対象には、価格変動リスクや市場流動性リスクなど、債務履行の確実性の程度以外 の事項は含まれない。
本件信用格付は、格付対象の発行体の業績、規制などを含む業界環境などの変化に伴い見直され、変動する。ま
た、本件信用格付の付与にあたり利用した情報は、J C R が格付対象の発行体および正確で信頼すべき情報源から入
手したものであるが、当該情報には、人為的、機械的またはその他の理由により誤りが存在する可能性がある。
7. 本件信用格付に利用した主要な情報の概要および提供者:
・ 格付関係者が提供した監査済財務諸表
・ 格付関係者が提供した業績、経営方針などに関する資料および説明
8. 利用した主要な情報の品質を確保するために講じられた措置の概要:
J C R は、信用格付の審査の基礎をなす情報の品質確保についての方針を定めている。本件信用格付においては、
独立監査人による監査、発行体もしくは中立的な機関による対外公表、または担当格付アナリストによる検証など、 当該方針が求める要件を満たした情報を、審査の基礎をなす情報として利用した。
9. J C R に対して直近 1 年以内に講じられた監督上の措置:なし
■留意事項
本文書に記載された情報は、J C Rが、発行体および正確で信頼すべき情報源から入手したものです。ただし、当該情報には、人為的、機械的、また
はその他の事由による誤りが存在する可能性があります。したがって、J C Rは、明示的であると黙示的であるとを問わず、当該情報の正確性、結果、
的確性、適時性、完全性、市場性、特定の目的への適合性について、一切表明保証するものではなく、また、J C Rは、当該情報の誤り、遺漏、また
は当該情報を使用した結果について、一切責任を負いません。J C R は、いかなる状況においても、当該情報のあらゆる使用から生じうる、機会損失、
金銭的損失を含むあらゆる種類の、特別損害、間接損害、付随的損害、派生的損害について、契約責任、不法行為責任、無過失責任その他責任原因
のいかんを問わず、また、当該損害が予見可能であると予見不可能であるとを問わず、一切責任を負いません。また、J C Rの格付は意見の表明であ
って、事実の表明ではなく、信用リスクの判断や個別の債券、コマーシャルペーパー等の購入、売却、保有の意思決定に関して何らの推奨をするも
のでもありません。J C Rの格付は、情報の変更、情報の不足その他の事由により変更、中断、または撤回されることがあります。格付は原則として
発行体より手数料をいただいて行っております。J C Rの格付データを含め、本文書に係る一切の権利は、J C Rが保有しています。J C Rの格付データ
を含め、本文書の一部または全部を問わず、J C R に無断で複製、翻案、改変等をすることは禁じられています。
■NR S R O 登録状況
J C R は、米国証券取引委員会の定める NRSRO(Nationally Recognized Statistical Rating O rganization)の 5 つの信用格付クラスのうち、以下の 4 クラ
スに登録しています。(1)金融機関、ブローカー・ディーラー、(2)保険会社、(3)一般事業法人、(4)政府・地方自治体。米国証券取引委員会規則
17g-7(a)項に基づく開示の対象となる場合、当該開示はJ C Rのホームページの“ Rating Information” (http: / / www. jcr. co. jp/ english/ top_cont/ rat_info01. php) に掲載されるニュースリリースに添付しています。
■ 本件に関するお問い合わせ先