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資料シリーズNo189全文 資料シリーズNo189「ソーシャル・インパクト・ボンドの動向に係る海外事情調査― イギリス、アメリカ―」|労働政策研究・研修機構(JILPT)

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(1)

ソーシャル・インパクト・ボンドの動向に係る海外事情調査  イギリス、アメリカNo.189

 

2017

労 働 政 策 研 究 ・ 研 修 機 構

JILPT 資料シリーズ

ソーシャル・インパクト・ボンドの

動向に係る海外事情調査

―イギリス、アメリカ―

独立行政法人 労働政策研究・研修機構

The Japan Institute for Labour Policy and Training

独立行政法人 労働政策研究・研修機構

No.1892017年3月

(2)

ソーシャル・インパクト・ボンド の動向に係る海外事情調査

―イギリス、アメリカ―

独 立 行 政 法 人

労働政策研究・研修機構

The Japan Institute for Labour Policy and Training

(3)
(4)

本 報 告 書 は 、厚 生 労 働 省 の 要 請 を 受 け て 当 機 構 が 実 施 し た「 ソ ー シ ャ ル・イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド の 動 向 に 係 る 海 外 事 情 調 査 ― イ ギ リ ス 、 ア メ リ カ ― 」 に 関 す る 調 査 結 果 を と り ま と め た も の で あ る 。 本 調 査 に お い て は 、 イ ギ リ ス 、 ア メ リ カ を 対 象 に 、 ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド を 活 用 し た 公 的 事 業 に お け る 実 態 調 査 を 行 っ た 。

両 国 と も に 、 ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド の 前 提 と な る 民 間 基 金 財 団 の 存 在 や 、 非 営 利 の 中 間 支 援 組 織 お よ び サ ー ビ ス ・ プ ロ バ イ ダ の 活 動 が 大 規 模 に 展 開 さ れ て き た 歴 史 が あ る こ と が わ か っ た 。 ま た 、 政 府 に お い て は 、 非 営 利 の サ ー ビ ス ・ プ ロ バ イ ダ に 助 成 金 を 提 供 す る と と も に 、 事 業 成 果 に つ い て の 評 価 制 度 の 検 討 が 長 期 間 に わ た っ て お こ な わ れ て き た 経 緯 が あ る 。 こ れ ら の 調 査 結 果 を と り ま と め た 本 報 告 書 が 、 日 本 に お け る サ ー ビ ス・イ ン パ ク ト・ボ ン ド の 活 用 を め ぐ る わ が 国 の 議 論 の 一 助 と な れ ば 幸 い で あ る 。

2017年 3 月

独 立 行 政 法 人 労 働 政 策 研 究 ・ 研 修 機 構

理 事 長 菅 野 和 夫

(5)

山 縣

や ま が た

ひ ろ

寿

ひ さ

諏 訪 東 京 理 科 大 学

経 営 情 報 学 部 経 営 情 報 学 科 専 任 講 師

第 1 章 第 3 節 、第 4 節( 1 )、 第 5 節 、 第 2 章

山 崎

や まさ き

け ん

労 働 政 策 研 究 ・ 研 修 機 構 調 査 部 主 任 調 査 員

第 1 章 第1節 、 第 2 節 、 第 3 節 、 第 4 節 ( 2 ) 、 第 3 章

(6)

第 1 節 調 査 趣 旨 ... 1

第 2 節 調 査 対 象 と 調 査 方 法 ... 1

( 1 ) 調 査 対 象 ... 1

( 2 ) イ ン タ ビ ュ ー 項 目 ... 1

( 3 ) 訪 問 先 ... 2

第 3 節 ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド 導 入 の 可 否 を め ぐ る 前 提 条 件 ... 3

第 4 節 政 策 的 イ ン プ リ ケ ー シ ョ ン ... 5

( 1 ) イ ギ リ ス ... 5

( 2 ) ア メ リ カ ... 7

第 5 節 先 行 研 究 整 理 ... 8

( 1 ) 塚 本 一 郎 / 金 子 郁 容 編 著 ( 2 0 1 6 ) 『 ソ ー シ ャ ル イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド と は 何 か 』 ... 9

( 2 ) 松 本 典 子 ・ 朴 恩 芝 ( 2 0 1 6 ) 「 サ ー ド ・ セ ク タ ー 組 織 に 対 す る 持 続 可 能 な 社 会 的 イ ン パ ク ト 投 資 」 ... 11

( 3 )明 治 大 学 非 営 利 ・ 公 共 経 営 研 究 所 ( 2 0 1 5 )『 2 0 1 4年 度 英 国 調 査 英 国 に お け る ソ ー シ ャ ル イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド ( ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド ) と 社 会 的 イ ン パ ク ト 評 価 に 関 す る 研 究 報 告 書 』 ... 11

( 4 ) 先 行 研 究 に 関 す る 小 括 ... 14

第 2 章 イ ギ リ ス ... 15

第 1 節 導 入 へ の 経 緯 ... 15

第 2 節 ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド の 概 要 ... 16

( 1 ) ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド の 対 象 と 基 金 の 設 置 ... 16

( 2 ) ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド の 設 計 ... 18

( 3 ) ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド に 期 待 さ れ る 効 果 ... 19

第 3 節 ピ ー タ ー バ ラ の ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド ... 20

( 1 ) 事 業 概 要 と 成 果 の 評 価 指 標 ... 20

( 2 ) 事 業 結 果 ... 21

第 4 節 ま と め ― イ ギ リ ス に お け る ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド 運 用 が 成 功 す る 条 件 と 日 本 へ の 示 唆... 22

第 3 章 ア メ リ カ ... 32

第 1 節 ア メ リ カ に お け る ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド の 特 徴 ... 32

( 1 ) ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド の 構 造 ... 32

( 2 ) 教 育 訓 練 予 算 と ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド ... 33

第 2 節 社 会 的 に 効 果 の 高 い 政 策 の 実 現 に 向 け て ... 34

(7)

( 3 ) 労 働 市 場 革 基 金 の 一 形 態 と し て の 「 ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド 」 ... 38

( 4 ) そ の ほ か の 試 み... 42

第 3 節 J V S ボ ス ト ン : ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド を 活 用 し た 職 業 訓 練 ... 42

( 1 ) J V S ボ ス ト ン ( J e w i s h v o c a t i o n a l s e r v i c e s B o s t o n ) ... 42

( 2 ) 2 0 1 6年 度 よ り ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド を 導 入 ... 43

第 4 節 ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド を め ぐ る 多 様 な 意 見 ... 44

( 1 ) 連 邦 労 働 省 ... 45

( 2 ) マ サ チ ュ ー セ ッ ツ 州 政 府 ... 46

( 3 ) ユ ナ イ テ ッ ド ・ ウ ェ イ ( U N I T E D W A Y ) ... 47

( 4 ) 中 間 支 援 組 織 ( T h i r d S e c t o r C a p i t a l P a r t n e r s I n c . ) ... 49

( 5 ) C L A S P ( C e n t e r f o r L a w a n d S o c i a l P o l i c y ) ... 49

第 5 節 ま と め ... 50

(8)

第 1 章 調 査 趣 旨 と 分 析

第 1 節 調 査 趣 旨

社 会 的 困 窮 者 ( 刑 余 者 、 ホ ー ム レ ス 等 ) は 、 経 済 活 動 へ の 不 参 加 、 再 犯 の お そ れ や 社 会 不 安 の 原 因 で あ る こ と か ら 、 そ の 更 正 ・ 社 会 的 自 立 が 望 ま れ る 。 社 会 的 自 立 の た め に は 、 経 済 活 動 の 担 い 手 と し て 就 業 す る こ と が 必 要 不 可 欠 で あ る が 、 そ の 前 提 と な る 職 業 ス キ ル を 獲 得 し 、か つ 安 定 的 な 職 業 生 活 に 移 行 す る た め の 施 策 は 、こ れ ま で 、① N P O等 民 間 セ ク タ ー の 活 用 ノ ウ ハ ウ が 蓄 積 さ れ て お ら ず 、 ② 将 来 的 な 社 会 的 コ ス ト の 低 減 の 試 算 等 も 充 分 に お こ な わ れ て こ な か っ た 。 こ の た め 、 将 来 の 社 会 的 コ ス ト 削 減 を 目 指 す と と も に 、事 業 リ ス ク を ヘ ッ ジ す る 仕 組 み を 併 せ 持 つ「 ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト・ボ ン ド( S I B )」 に つ い て 、当 該 分 野 に お け る 活 用 の 可 能 性 を 検 討 す る 際 の 資 料 と し て 、S I Bの 諸 外 国 に お け る 運 用 実 態 等 を 調 査 し た 。

第 2 節 調 査 対 象 と 調 査 方 法

( 1 ) 調 査 対 象

調 査 対 象 国 は イ ギ リ ス 、 ア メ リ カ で 、 調 査 方 法 は 、 現 地 イ ン タ ビ ュ ー 調 査 と 文 献 調 査 に よ る 。現 地 イ ン タ ビ ュ ー 調 査 に つ い て は 、S I B導 入 案 件( 米 、英 )や 類 似 案 件 に つ い て 、

① 導 入 へ の 経 緯 、 ② 事 業 概 要 、 ③ 成 果 の 評 価 指 標 、 ④ 事 業 結 果 、 我 が 国 へ の 汎 用 可 能 性 に つ い て 聞 い た 。 調 査 期 間 は2 0 1 6年 度 4 月 ~ 1月 。 調 査 は 、 イ ギ リ ス を 諏 訪 東 京 理 科 大 学 専 任 講 師 、山 縣 宏 寿 、労 働 政 策 研 究・研 修 機 構 、樋 口 英 夫 、ア メ リ カ を 労 働 政 策 研 究 ・ 研 修 機 構 、 山 崎 憲 が 担 当 し た 。 具 体 的 な イ ン タ ビ ュ ー 項 目 は 次 の と お り 。

( 2 ) イ ン タ ビ ュ ー 項 目

「 全 組 織 共 通 」

・ 事 業 概 要

・ 組 織 構 成 ( フ ル ・ パ ー ト タ イ ム 、 ボ ラ ン テ ィ ア 等 の 割 合 )

・ ス タ ッ フ の キ ャ リ ア

・ 下 請 け 組 織 の 構 成

・ 予 算 構 成 、 事 業 の 継 続 性 と 予 算 の あ り 方

・ S I Bに 関 す る 考 え 方

「 委 託 元 で あ る 行 政 機 関 に 対 し て 」

・ 就 職 困 難 者 向 け 支 援 に 関 す る 考 え 方

・ 民 間 資 金 の 活 用 ( S I Bを 含 む ) に 関 す る 考 え 方

- 活 動 、 事 業 は 活 性 化 す る か

(9)

- 合 理 化 の 効 果 は あ る か

・ 競 争 的 資 金 導 入 に 関 す る 考 え 方 と 公 的 事 業 の 継 続 性

・ 評 価 の 考 え 方

「 中 間 支 援 組 織 と サ ー ビ ス ・ プ ロ バ イ ダ に 対 し て 」

・ S I B 、 基 金 、 助 成 金 の 各 資 金 調 達 手 法 の 差 別 化

・ 就 職 困 難 者 向 け 支 援 事 業 に 対 す る 資 金 提 供 の 状 況 ( S I Bお よ び S I B以 外 )

・ 競 争 的 資 金 に よ る 事 業 の 実 施 に 関 す る 考 え 方

「 サ ー ビ ス ・ プ ロ バ イ ダ に 対 し て 」

・ 給 与 水 準

・ S I B選 択 の 理 由 と 他 の 資 金 と の 差 別 化

( 3 ) 訪 問 先

イ ギ リ ス 訪 問 先 一 覧

S o c i a l F i n a n c e 中 間 支 援 組 織 ア ナ リ ス ト 2 0 1 6年1 0月4日 R A N D E u r o p e 評 価 機 関 研 究 グ ル ー プ 次 長 2 0 1 6年1 0月4日 S t G i l e s T r u s t サ ー ビ ス ・ プ ロ バ イ ダ 最 高 責 任 者 2 0 1 6年1 0月5日 N C V O ( N a t i o n a l C o u n c i l f o r

V o l u n t a r y O r g a n i z a t i o n )

非 営 利 団 体 全 国 組 織 上 級 政 策 担 当 2 0 1 6年1 0月5日

T T G T r a i n i n g サ ー ビ ス ・ プ ロ バ イ ダ 所 長 2 0 1 6年1 0月7日

ア メ リ カ 訪 問 先 一 覧

連 邦 労 働 省 政 府 雇 用 訓 練 局 2 0 1 6年9月1 5日

政 府 主 席 評 価 官 室 2 0 1 6年9月1 5日

J V S B o s t o n ( J e w i s h V o c a t i o n a l C e n t e r )

サ ー ビ ス ・ プ ロ バ イ ダ J V S ボ ス ト ン 2 0 1 6年9月2 0日

t h e C o m m o n w e a l t h o f M a s s a c h u s e t t s

州 政 府 労 働 力 開 発 部 お よ

び 労 働 基 準 局 長

2 0 1 6年9月1 6日

法 務 顧 問 2 0 1 6年9月1 6日 U n i t e d W a y 中 間 支 援 組 織 、 サ ー ビ

ス ・ プ ロ バ イ ダ

公 共 政 策 上 級 副 社 長

2 0 1 6年9月1 4日

T h i r d S e c t o r C a p i t a l P a r t n e r s 中 間 支 援 組 織 2 0 1 6年9月2 1日

C L A S P 政 策 シ ン ク タ ン ク 収 入 ・ 労 働 支 援 チ

ー ム

2 0 1 6年9月1 3日

(10)

第 3 節 ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド 導 入 の 可 否 を め ぐ る 前 提 条 件

本 節 で は 、ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト・ボ ン ド の 日 本 へ の 導 入 に つ い て 検 討 を 行 う 前 提 と し て 、ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド の 概 要 に つ い て 確 認 を 行 う 。そ の 上 で イ ギ リ ス 及 び ア メ リ カ に お け る ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド の 特 徴 に つ い て 素 描 し 、 先 行 研 究 に つ い て 検 討 す る 作 業 を 通 じ て 、 制 度 導 入 の 可 否 を め ぐ る 前 提 状 況 に つ い て 論 点 の 提 示 を 行 う 。

周 知 の 通 り 、 今 日 、 ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド が 国 際 的 に 注 目 を 集 め て い る 。 ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド は 、 こ れ ま で 政 府 、 自 治 体 が 行 っ て き た 公 共 サ ー ビ ス を 民 間 に 委 託 す る 方 法 の 一 つ で あ る 。 公 共 サ ー ビ ス の 民 間 委 託 は 、 こ れ ま で も 行 わ れ て き た が 、 端 的 に は 以 下 の 諸 点 に お い て 従 前 に お け る 公 共 サ ー ビ ス の 民 間 委 託 と は 性 格 を 異 に す る も の で あ る 。

第 一 に 、公 共 サ ー ビ ス 提 供 に つ い て 中 間 支 援 組 織 が 一 つ の 中 心 的 役 割 を 担 う 点 で あ る 。 中 間 支 援 組 織 は 、 社 会 的 に 解 決 す べ き 課 題 、 そ の 課 題 に 係 る 対 象 に つ い て 検 討 を 行 い 、 そ の 解 決 に 向 け 全 体 の 枠 組 み を 設 計 す る 。 そ れ と 共 に 、 サ ー ビ ス 提 供 に 必 要 な 資 金 へ の 投 資 の 呼 び か け を 行 う 他 、 サ ー ビ ス 提 供 を 行 う サ ー ビ ス ・ プ ロ バ イ ダ と の 提 携 、 政 府 と の 交 渉 な ど を 行 う 。ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト・ボ ン ド を 実 施 す る 上 で 、当 事 者 と な る 政 府 、 投 資 家 、サ ー ビ ス ・ プ ロ バ イ ダ 、第 三 者 評 価 機 関 と の 調 整 は 多 岐 に 亘 り 、そ の 全 体 の デ ザ イ ン 如 何 が ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト・ボ ン ド の 成 否 に 直 接 関 わ っ て く る 。そ の 点 に お い て 中 間 支 援 組 織 の 果 た す 役 割 は 看 過 で き な い 。

第 二 に 、 P b R ( P a y m e n t b y R e s u l t s ) を そ の 考 え の 基 礎 に お き 、 サ ー ビ ス 提 供 の ア ウ ト プ ッ ト ( 結 果 ) で は な く 、 そ の 提 供 を 通 じ て 社 会 に 与 え た ア ウ ト カ ム ( 成 果 ) を よ り 一 層 重 視 す る 点 で あ る 。 こ の P b R の 考 え 方 に 基 づ き 、 サ ー ビ ス ・ プ ロ バ イ ダ と は 成 果 型 報 酬 契 約 な ど が 結 ば れ 、 そ の サ ー ビ ス 提 供 に お い て ア ウ ト プ ッ ト が よ り 焦 点 化 さ れ る

1

。 そ れ ら の ア ウ ト プ ッ ト は 、 第 三 者 評 価 機 関 に よ り 各 種 の 指 標 を 用 い 厳 密 な 評 価 ・ 測 定 が 行 わ れ( 試 み ら れ )、サ ー ビ ス ・ プ ロ バ イ ダ に よ り 、更 な る 革 新 的 な サ ー ビ ス が 提 供 さ れ る こ と が 期 待 さ れ る 。

そ し て 第 三 に 、 政 府 が 拠 出 、 設 置 す る 基 金 に 加 え 、 民 間 の 投 資 家 か ら 募 っ た 資 金 を 積 極 的 に 活 用 す る 点 で あ る 。 そ の 資 金 の 流 れ は 以 下 の 通 り で あ る 。 ま ず 中 間 支 援 組 織 は 、 取 り 組 む 社 会 的 課 題 に つ い て そ の 対 象 や 範 囲 を 決 め 、 サ ー ビ ス ・ プ ロ バ イ ダ に よ り 提 供 さ れ る サ ー ビ ス 、 そ の 結 果 得 ら れ る 成 果 目 標 な ど を 検 討 し 、 そ れ ら を 投 資 家 な ど に 明 示 す る 。資 金 は 、ソ ー シ ャ ル・イ ン パ ク ト・ボ ン ド の 発 行 を 通 じ て 、投 資 家 か ら 集 め ら れ 、

1

ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド は P b R の コ ン セ プ ト を そ の 中 心 に 置 く も の で は あ る が 、 研 究 史 上 で は 各 個 別 具 体 的 な 契 約 に お け るP b Rの 適 用 方 法 は 一 様 で は な い こ と が 示 さ れ て い る 。例 え ば 塚 本 一 郎 / 金 子 郁 容 編 著 ( 2 0 1 6 ) は 、「 調 達 機 関 ( 政 府 ) と サ ー ビ ス 実 施 団 体 の 間 で は 適 用 さ れ ず 、 あ く ま で も 調 達 機 関 と 投 資 家 間 の 契 約 に の み 適 用 さ れ る も の も あ れ ば 、 双 方 の 契 約 に 適 用 さ れ る も の も あ る 」 と の 指 摘 を 行 っ て い る

( 4 7頁 )

(11)

サ ー ビ ス ・ プ ロ バ イ ダ に 資 金 が 提 供 さ れ る 。 提 供 さ れ た 資 金 は 、 サ ー ビ ス ・ プ ロ バ イ ダ に よ り サ ー ビ ス 提 供 に 用 い ら れ 、 そ の 実 施 内 容 に つ い て 第 三 者 評 価 機 関 に よ る 評 価 ・ 測 定 が 行 わ れ る 。 そ の 結 果 を 受 け 、 政 府 や 自 治 体 が 提 供 し た 場 合 に お け る コ ス ト 減 少 や サ ー ビ ス 向 上 な ど に 基 づ き 政 府 が 支 払 い を 行 い 、 そ の 得 ら れ た ア ウ ト カ ム に 応 じ て 投 資 家 に リ タ ー ン が 戻 さ れ る 。 政 府 が 拠 出 す る 基 金 に 加 え 、 市 場 を 通 じ て 投 資 家 か ら 社 会 的 解 決 に 向 け 、 資 金 が 集 め ら れ る 点 に 一 つ の 特 徴 点 が あ る 。

図 表 1 ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド 導 入 に む け た 前 提 条 件

・ 中 間 支 援 組 織 が 中 心 的 な 役 割

・ P a y m e n t b y R e s u l t を 基 礎 に 社 会 に 与 え た 成 果 を 重 視

・ 政 府 基 金 、 民 間 資 金 双 方 を 積 極 的 に 活 用

詳 細 に つ い て は 後 述 す る と こ ろ で あ る が 、 イ ギ リ ス 及 び ア メ リ カ に お け る ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド 実 施 に つ い て 以 下 の 点 を 指 摘 す る こ と が で き る 。 イ ギ リ ス に お い て は 労 働 分 野 に 特 化 し た 事 例 は な く 、そ の 対 象 は 刑 余 者 の 再 犯 防 止 、ホ ー ム レ ス 支 援 、 児 童 ・ 若 者 支 援 な ど 、 予 防 的 あ る い は 実 験 的 な 事 業 の 実 施 に 活 用 さ れ て い る 。 ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド 実 施 に あ た り 、 典 型 的 に は 、 中 央 省 庁 が 基 金 を 設 置 し て お り 、 中 間 支 援 組 織 に よ る ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド の 提 案 、 発 行 、 投 資 の 呼 び か け に 非 営 利 組 織 が 応 え 、 投 資 に は 民 間 基 金 が 用 い ら れ て い る 。

他 方 、 ア メ リ カ で は 、 連 邦 労 働 省 が 教 育 訓 練 予 算 の な か に ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド を 位 置 づ け て い る 事 例 が み ら れ る 。連 邦 労 働 省 は 、2 0 1 4年 労 働 力 革 新 機 会 法 ( W I O A : W o r k f o r c e I n n o v a t i o n a n d O p p o r t u n i t y A c t ) の 創 設 に と も な い 助 成 金 を 支 給 す る 事 業 の 成 果 に 関 す る 客 観 的 な 評 価 指 標 を 導 入 し つ つ あ る 。 そ の 観 点 か ら み れ ば 、 助 成 金 を 支 給 す る 連 邦 労 働 省 や 事 業 を 実 施 す る 州 政 府 に と っ て 、ソ ー シ ャ ル・イ ン パ ク ト・ボ ン ド は 、 成 功 報 酬 型 の 助 成 金 支 給 方 法 で あ る ペ イ ・ フ ォ ー ・ サ ク セ ス プ ロ グ ラ ム と ま っ た く 変 わ ら な い も の で あ り 、 外 部 委 託 契 約 の 形 式 の 違 い と い う 程 度 の 認 識 に 留 ま っ て い る 。 こ れ は 、 ア メ リ カ に お け る 公 的 教 育 訓 練 が 助 成 金 の 支 給 を 基 本 と し て い る こ と に 基 づ く 。 事 業 を 担 う サ ー ビ ス ・ プ ロ バ イ ダ の 運 営 予 算 は 、 歴 史 的 に み て 、 連 邦 政 府 の み な ら ず 、 民 間 寄 付 金 財 団 か ら の 助 成 金 も 運 営 予 算 の な か で 大 き な 割 合 を 占 め て お り 、 連 邦 政 府 、 民 間 寄 付 金 財 団 の 区 別 な く 、 事 業 成 果 に 関 す る 評 価 を 受 け て き た と い う 背 景 が あ る 。 つ ま り 、P b Rに お い て も 、創 造 性 や 社 会 的 な イ ン パ ク ト を は か る た め の 評 価 指 標 が 検 討 さ れ て お り 、そ れ が2 0 1 4年 労 働 力 革 新 機 会 法 に 結 実 し て い る 。し た が っ て 、ア メ リ カ に お い て は 、 ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド と P b R が 異 な る と い う 前 提 は 必 ず し も あ て は ま ら な い と い え よ う 。

(12)

図 表 2 イ ギ リ ス ・ ア メ リ カ の ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド の 特 徴

イ ギ リ ス ア メ リ カ

・ 労 働 分 野 に 特 化 し た 事 例 な し

・ 予 防 的 あ る い は 実 験 的( 刑 余 者 の 再 犯 防 止 、ホ ー ム レ ス 支 援 、児 童・若 者 支 援 な ど )

・ 典 型 的 に は 、 中 央 省 庁 が 基 金 を 設 置

・ 中 間 支 援 組 織 に よ る ソ ー シ ャ ル・イ ン パ ク ト・ボ ン ド の 提 案 、発 行 、投 資 の 呼 び か け に 対 し 、非 営 利 組 織 が 応 え 投 資 に は 民 間 基 金 が 用 い ら れ る

・ 連 邦 労 働 省 が 教 育 訓 練 予 算 に ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド を 位 置 づ け る

・ 2 0 1 4年 労 働 力 革 新 機 会 法 の 創 設 に と も な い 客 観 的 な 評 価 指 標 を 導 入

・ 助 成 金 を 支 給 す る 連 邦 労 働 省 や 事 業 を 実 施 す る 州 政 府 に と っ て 、ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト・ボ ン ド = ペ イ・フ ォ ー・サ ク セ ス プ ロ グ ラ ム

・ サ ー ビ ス・プ ロ バ イ ダ 、連 邦 政 府 、民 間 寄 付 金 財 団 の 区 別 な く 、事 業 成 果 に 関 す る 評 価 を 受 け て き た

第 4 節 政 策 的 イ ン プ リ ケ ー シ ョ ン

( 1 ) イ ギ リ ス

イ ギ リ ス に お け る ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド は 、 休 眠 口 座 の 資 金 を 活 用 し て 設 置 さ れ た B i g S o c i e t y C a p i t a l を は じ め 、 民 間 基 金 が 投 資 資 金 と し て の 役 割 を 担 っ て い る 。 そ の 多 く が 、 従 来 か ら 各 分 野 で 専 門 的 な 社 会 的 サ ー ビ ス を 提 供 す る 大 小 さ ま ざ ま な サ ー ビ ス ・ プ ロ バ イ ダ に 資 金 を 提 供 し て き た と み ら れ る 。 サ ー ビ ス ・ プ ロ バ イ ダ に と っ て 、 ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド か ら の 資 金 を 用 い る こ と の メ リ ッ ト は 、 資 金 調 達 を 中 間 支 援 組 織 が 担 う た め に 、 ① サ ー ビ ス 提 供 に 必 要 な 資 金 調 達 の 負 担 か ら 開 放

2

、 な い し 負 荷 が 軽 減 さ れ る こ と 、 ② 事 業 の 開 始 に 先 立 っ て 資 金 が 得 ら れ る こ と 、 ま た 場 合 に よ っ て ③ 他 の 基 金 や 寄 付 金 に 比 べ 長 期 間 ( 継 続 性 が あ り 、 あ る 程 度 予 見 可 能 性 が 高 い ) か つ 自 由 度 が 高 い 傾 向 に あ る こ と な ど に あ る 。そ れ ら の 側 面 で 、ソ ー シ ャ ル・イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド の 仕 組 み は 評 価 さ れ て い る と み ら れ る 。

ま た 、 ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド を 通 じ た サ ー ビ ス の 提 供 は 、 既 存 の 公 共 サ ー ビ ス と の 代 替 関 係 で は な く 補 完 的 な 関 係 に あ る こ と が 、 少 な く と も こ れ ま で の と こ ろ 主 張 さ れ て い る

3

。ソ ー シ ャ ル・イ ン パ ク ト・ボ ン ド は 先 述 の 通 り 、P b R( 成 果 報 酬 型 契 約 ) の 考 え を そ の 基 礎 と す る も の で あ る 。 P b R は 、 ブ レ ア 政 権 下 で 行 わ れ た 国 営 医 療 制 度 改 革 に よ り2 0 0 3年 以 降 段 階 的 に 取 り 入 れ ら れ て き た も の で あ る 。導 入 の 一 つ の 契 機 と し て 、 そ れ ま で の N H S ( N a t i o n a l H e a l t h S e r v i c e ) に よ る 医 療 サ ー ビ ス の 提 供 は 、 診 療 行 為 の

2

R A N D E u r o p eE m m a D i s l e y氏 は 同 点 に つ い て 、 ボ ラ ン テ ィ ア 組 織 、 第3セ ク タ ー が 財 務 リ ス ク を 全 く 負 わ ず に 、 提 供 す る サ ー ビ ス に 対 し て 資 金 が 支 払 わ れ る 形 と な っ た と の 評 価 を 行 っ て い る 。

3

S o c i a l F i n a n c e ( 2 0 1 6 ) " S o c i a l I m p a c t B o n d s - T h e E a r l y Y e a r s "

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価 格 設 定 の な い な か 、 国 の 予 算 に 基 づ き 運 営 さ れ て い た た め 、 診 療 実 績 と 予 算 の 乖 離 と い う 問 題 が 生 じ て い た と い う 点 が 挙 げ ら れ る 。 P b R は 、 こ の よ う な 状 況 の 是 正 を 図 る た め 、 2 0 0 4年 か ら 取 り 入 れ ら れ 、 そ の 後 、 対 象 が 医 療 分 野 以 外 の 公 共 サ ー ビ ス に も 広 げ ら れ て き た 経 緯 を 有 す る

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。 こ の よ う な 背 景 を 踏 ま え 、 通 常 の P b Rと ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト・ボ ン ド に お け るP b R と の 相 違 に つ い て 述 べ れ ば 、以 下 の 点 が 特 に 重 要 で あ る 。従 来 、 十 分 な サ ー ビ ス が 実 施 さ れ て こ な か っ た 領 域 に お け る 、 予 防 的 ( = 成 果 が 判 明 す る ま で 比 較 的 長 期 間 を 要 す る )、実 験 的( = エ ビ デ ン ス の 蓄 積 が な く 、有 効 な 手 法 が 確 立 さ れ て い な い ) 事 業 に 対 象 を 限 定 す る こ と 、 す な わ ち 高 い 失 敗 の リ ス ク を 、 民 間 資 金 に シ フ ト す る 代 わ り に 、 成 功 の 際 の リ タ ー ン を 保 証 す る と い う 二 つ の 側 面 で あ る 。 こ の 2 つ の バ ラ ン ス は 、 イ ギ リ ス に お け る ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド の 議 論 で は 本 質 的 な 重 要 性 を 持 っ て い る 。 こ こ が 、 通 常 の P b R と ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド に お け る P b r と を 分 け る 大 き な ポ イ ン ト で あ る と い え る 。

制 度 の 担 い 手 で あ る 中 間 支 援 組 織 や サ ー ビ ス ・ プ ロ バ イ ダ 、 ま た 資 金 提 供 者 に 至 る ま で 、 イ ギ リ ス に お け る 非 営 利 セ ク タ ー は 長 い 歴 史 の 中 で 形 成 さ れ て き た 。 ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド に 係 る イ ギ リ ス の 今 日 的 評 価 に つ い て 述 べ れ ば 、 そ う し た 基 盤 の あ る イ ギ リ ス で も 、 ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド は 未 だ 発 展 途 上 の 手 法 で あ り 、 そ の 評 価 も 定 ま っ て い な い と 言 え る 。

そ の よ う な 状 況 を 念 頭 に お き つ つ 、 さ ら に 検 討 す べ き 政 策 的 イ ン プ リ ケ ー シ ョ ン の 一 つ を 示 せ ば 、 次 の 点 を 挙 げ る こ と が で き る 。 す な わ ち 、 ア ウ ト カ ム の 評 価 ・ 測 定 を め ぐ る ト レ ー ド ・ オ フ の コ ン ト ロ ー ル で あ る 。 詳 細 に つ い て は 、 第 2 章 に て 後 述 す る が 、 ア ウ ト カ ム の 厳 密 な 評 価 ・ 測 定 は そ の 効 果 と し て 二 面 性 が あ る 。 一 つ は 、 社 会 に 与 え る イ ン パ ク ト を 明 ら か に す る こ と が で き 、 そ の こ と を 通 じ て サ ー ビ ス ・ プ ロ バ イ ダ が 提 供 す る サ ー ビ ス の 革 新 性 が 期 待 で き る 点 等 の プ ラ ス の 効 果 で あ る 。 し か し な が ら そ の も う 一 つ の 側 面 と し て 、 例 え ば 次 の よ う な あ る 種 の 副 作 用 も 想 定 さ れ る 。 第 一 は 、 サ ー ビ ス ・ プ ロ バ イ ダ に 対 し て 評 価 に 用 い る 情 報 収 集 に お け る 負 荷 を 要 請 し 、 特 に サ ー ビ ス ・ プ ロ バ イ ダ が 十 分 に 育 っ て い な い 状 況 の も と で は 、 規 模 が 大 き く 専 門 の ス タ ッ フ を 多 く 抱 え る 特 定 の 一 部 の サ ー ビ ス ・ プ ロ バ イ ダ し か ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド に ア ク セ ス で き ず 、サ ー ビ ス・プ ロ バ イ ダ の 二 極 化 が 進 み 、社 会 的 な 資 源 が 埋 没 す る 可 能 性 で あ る 。 第 二 に 、 ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド の 実 施 に 伴 い 組 織 的 同 型 化 が 生 じ 、 非 営 利 組 織 が 持 つ 多 様 性 が 損 な わ れ る 危 険 性 が あ る 点 、 第 三 に 、 提 供 す る サ ー ビ ス の 分 野 が 原 理 的 に 限 定 さ れ る 点 で あ る 。 そ れ ら の 諸 点 を 勘 案 す れ ば 、 社 会 に 与 え る イ ン パ ク ト の 測 定 を ど の 程 度 、 厳 密 に 行 う の か と い う 点 が 重 要 な 問 題 と な る 。 極 論 す れ ば 、 社 会 に 与 え る イ ン パ ク ト を ほ と ん ど 測 定 せ ず 、 投 資 家 か ら 資 金 を 得 る と い う こ と を 前 面 に 押 し 出 し た

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塚 本 一 郎 / 金 子 郁 容 編 著 ( 2 0 1 6 ) に お い て 、 そ の 経 緯 が 端 的 に ま と め ら れ て い る ( 4 6頁 )

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デ ザ イ ン も あ り え る 。そ の 場 合 、サ ー ビ ス・プ ロ バ イ ダ の エ ビ デ ン ス 収 集 の 負 荷 は 減 り 、 ま た よ り 多 く の サ ー ビ ス ・ プ ロ バ イ ダ が ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド に ア ク セ ス で き る こ と か ら 、 そ の 二 極 化 を 緩 和 さ せ 、 さ ら に は 対 象 分 野 の 拡 大 な ど が 期 待 で き る 。 し か し な が ら 、 そ の よ う な ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド が 果 た し て そ の 名 に 由 来 す る よ う な 性 格 を 温 存 し て い る か ど う か は 甚 だ 疑 問 が あ る 。 ア ウ ト カ ム 測 定 の 厳 密 性 の 帰 結 と し て 生 じ う る プ ラ ス の 効 果 、 マ イ ナ ス の 効 果 を 把 握 し た 上 で 、 ア ウ ト カ ム の 測 定 と い う チ ャ ネ ル を 通 じ て ト レ ー ド ・ オ フ の 関 係 を ど の よ う に コ ン ト ロ ー ル す る か が 、 日 本 型 の ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド を 展 望 す る 上 で 重 要 な 鍵 と な り 得 る 。 こ の 問 題 は 端 的 に は 、 何 を 以 っ て ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド と す る の か 、 そ の 定 義 に か か る 問 題 で も あ る 。

( 2 ) ア メ リ カ

ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド は ス ケ ー ル メ リ ッ ト と 継 続 性 に 利 点 が あ る 。 こ の 二 点 を 可 能 に す る た め 、 十 分 な ス タ ッ フ の 規 模 や ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド 以 外 の 安 定 し た 予 算 確 保 手 段 を も つ サ ー ビ ス ・ プ ロ バ イ ダ が 存 在 す る か 、 も し く は 育 成 で き る か が 重 要 と 思 わ れ る 。

資 金 集 め 団 体 で あ る 中 間 支 援 組 織 に 、 機 関 投 資 家 、 も し く は 小 口 投 資 家 か ら 潤 沢 な 資 金 が 集 ま る か 、 中 間 支 援 組 織 が 複 数 の サ ー ビ ス ・ プ ロ バ イ ダ と の ネ ッ ト ワ ー ク を も っ て い る か ど う か が 、 事 業 立 ち 上 げ に お い て 重 要 で あ る 。

実 施 す る 事 業 が す べ て 計 測 可 能 で あ る わ け で は な い 。 ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド に は 被 験 者 と そ う で な い 者 と の 比 較 か ら 景 気 環 境 に 左 右 さ れ な い 客 観 的 な デ ー タ 収 集 が 欠 か せ な い 。 職 業 訓 練 に お い て は 、 就 職 率 の み な ら ず 、 訓 練 受 講 者 の 継 続 的 な 追 跡 調 査 が 必 要 で あ る 。 ア メ リ カ で は そ の よ う な デ ー タ は 未 整 備 で あ り 、 中 間 支 援 組 織 と 大 学 研 究 機 関 等 に お い て 、 評 価 手 法 や デ ー タ 収 集 が 検 討 途 上 に あ る 。

社 会 的 に イ ン パ ク ト を 与 え る 事 業 の 予 算 規 模 は 、 ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド よ り も ペ イ ・ フ ォ ー ・ サ ク セ ス が は る か に 大 き い 。 ま た 、 ペ イ ・ フ ォ ー ・ サ ク セ ス も ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド と 同 様 に 、 行 政 が 直 接 事 業 を 実 施 す る の で は な く 、 サ ー ビ ス ・ プ ロ バ イ ダ に 委 託 し て い る 。

ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド 実 施 に お け る 民 間 資 金 の 集 め 方 は 大 規 模 金 融 機 関 だ け で な く 、 こ れ ま で 社 会 的 な 事 業 に か か わ り の な か っ た 小 口 投 資 家 の 関 心 を 集 め る こ と は 可 能 で あ る 。 だ が 、 そ れ も 、 そ も そ も 民 間 寄 付 金 財 団 が 大 き な 社 会 的 地 位 を 占 め て い な い 状 況 で の 効 果 が ど れ ほ ど で あ る か は 予 測 が で き な い 。

ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド に ど れ だ け 資 金 が 集 ま る か は 景 気 変 動 の 影 響 が 大 き く 、景 気 が 良 好 の 時 点 で は 民 間 寄 付 金 財 団 の 資 金 も 潤 沢 に 集 ま っ て く る た め 、政 府 予 算 、 民 間 資 金 の 双 方 が 減 少 し て い る 時 期 に 有 効 と な る 可 能 性 が あ る 。

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以 上 の こ と か ら 、 サ ー ビ ス ・ プ ロ バ イ ダ の 成 長 、 サ ー ビ ス ・ プ ロ バ イ ダ 間 の ネ ッ ト ワ ー ク の 形 成 、 被 験 者 と そ う で な い 者 の 継 続 的 な 客 観 的 デ ー タ 収 集 、 評 価 可 能 な 事 業 と そ う で な い 事 業 と の 切 り 分 け 、 現 行 で 実 施 し て い る 事 業 に お け る 社 会 的 イ ン パ ク ト を 与 え る こ と が で き る 評 価 方 法 の 検 討 、 社 会 的 事 業 に お け る 民 間 寄 付 金 財 団 の 成 長 お よ び 社 会 的 エ ー ト ス の 醸 成 等 が ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド 導 入 の 前 提 条 件 と な り 、 こ う し た 条 件 を ク リ ア し た の ち も 、 予 算 総 額 と の 兼 ね 合 い の な か で 検 討 が 必 要 に な る と 思 わ れ る 。

こ れ ら の こ と を ま と め れ ば 、 ア メ リ カ に お け る ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド の 前 提 条 件 と な っ て い る こ と は 、 次 の 四 つ に ま と め ら れ る 。

① 民 間 寄 付 金 財 団 に よ る 民 間 資 金 に よ る 社 会 福 祉 事 業 の 歴 史 的 、 社 会 的 基 盤

② 事 業 を 実 施 す る 大 規 模 なC S O s と そ の ネ ッ ト ワ ー ク の 存 在

③ 社 会 的 に イ ン パ ク ト を 与 え て い る か ど う か の 指 標 の 存 在

④ 政 府 予 算 の 縮 減

第 5 節 先 行 研 究 整 理

本 節 で は 、 ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド の 日 本 へ の 導 入 を 念 頭 に お き 、 そ の よ う な 観 点 か ら ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド に 係 る 先 行 研 究 に つ い て 取 り 上 げ 、 特 に そ の 実 施・運 用 に お け る 課 題 、限 界 に つ い て ま と め て い く こ と と す る 。ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド に 係 る 研 究 史 上 の 特 徴 と し て 、 ま ず 次 の 点 を 指 摘 す る こ と で き る 。 す な わ ち 、 世 界 最 初 の ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド は 、 イ ギ リ ス の ピ ー タ ー バ ラ で 行 わ れ た が 、 そ の 実 施 開 始 は 2 0 1 0年 で あ り 、ま だ 日 が 浅 い こ と か ら そ の 時 間 的 経 過 の 制 約 上 、管 見 の 限 り か な り の 程 度 、 研 究 史 上 の 蓄 積 が 限 定 的 と い う 点 で あ る 。 だ が 、 そ の よ う な な か に あ っ て 当 該 分 野 に お け る 先 駆 的 研 究 と 位 置 づ け ら れ 、 ま た 研 究 史 上 に 重 要 な 知 見 を 提 起 す る 研 究 も 認 め ら れ る 。 そ れ ら に 鑑 み 、 少 な く と も 次 の 研 究 を 取 り 上 げ て お く こ と が 必 要 で あ ろ う 。

( 1 ) 塚 本 一 郎 / 金 子 郁 容 編 著 ( 2 0 1 6 ) 『 ソ ー シ ャ ル イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド と は 何 か 』

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( 2 ) 松 本 典 子 ・ 朴 恩 芝 ( 2 0 1 6 ) 「 サ ー ド ・ セ ク タ ー 組 織 に 対 す る 持 続 可 能 な 社 会 的 イ ン パ ク ト 投 資 」

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( 3 ) 明 治 大 学 非 営 利 ・ 公 共 経 営 研 究 所 ( 2 0 1 5 ) 『 2 0 1 4年 度 英 国 調 査 英 国 に お け る ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド( S I B )と 社 会 的 イ ン パ ク ト 評 価 に 関 す る 研 究 報 告 書 』

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塚 本 一 郎 / 金 子 郁 容 編 著 ( 2 0 1 6 ) 『 ソ ー シ ャ ル イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド と は 何 か 』、 ミ ネ ル ヴ ァ 書 房

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松 本 典 子 ・ 朴 恩 芝 ( 2 0 1 6 ) 「 サ ー ド ・ セ ク タ ー 組 織 に 対 す る 持 続 可 能 な 社 会 的 イ ン パ ク ト 投 資 」 日 本 比 較 経 営 学 会 『 比 較 経 営 研 究 』 4 0号 、 文 理 閣

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非 営 利・公 共 経 営 研 究 所 編『 2 0 1 4年 度 英 国 調 査 英 国 に お け る ソ ー シ ャ ル・イ ン パ ク ト・ボ ン ド( S I B ) と 社 会 的 イ ン パ ク ト 評 価 に 関 す る 研 究 報 告 書 』、 明 治 大 学 非 営 利 ・ 公 共 経 営 研 究 所

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以 下 で は 、 順 を 追 っ て こ れ ら の 研 究 に つ い て 確 認 を 行 っ て い く 。

( 1 ) 塚 本 一 郎 / 金 子 郁 容 編 著 ( 2 0 1 6 ) 『 ソ ー シ ャ ル イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド と は 何 か 』 同 著 が そ の 冒 頭 で 自 負 す る よ う に 、 管 見 の 限 り 、 同 著 は 、 ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド に つ い て 学 術 的 研 究 対 象 と し て 真 正 面 か ら 取 り 上 げ 、 研 究 の 視 点 か ら 論 じ た 国 内 初 の 文 献 で あ る 。 日 本 に お い て ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド の 導 入 が 検 討 さ れ て い る な か 、同 著 の 公 刊 は 時 宜 に 適 っ た も の で あ り 、そ の 研 究 史 上 の 意 義 も 大 き い と 言 え る 。 同 著 は 、ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド の 投 資 の 活 用 は 、「 ア ウ ト カ ム ベ ー ス の 公 契 約 の 補 完 と し て 捉 え る べ き も の 」( ⅱ 頁 )と の 立 場 に 立 ち 、今 日 の 現 状 と し て 、ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド が 「 既 存 の 公 財 政 、 公 契 約 の 枠 組 み に 大 き な 変 革 を 求 め る も の で あ る に も か か わ ら ず 、行 政 サ イ ド の コ ス ト や リ ス ク に つ い て 十 分 な 議 論 も な さ れ て い な い 」

( ⅱ 頁 ) と の 指 摘 を 行 っ て い る 。 ま た 「 リ ス ク と ベ ネ フ ィ ッ ト を 相 互 に 共 有 す る 官 民 連 携 の 構 築 も 十 分 に な さ れ な い ま ま 、S I Bの 革 新 的 な イ メ ー ジ だ け が 拡 散 さ れ 、期 待 の み が 先 行 し て い る 」( ⅱ 頁 ) と 今 日 の 状 況 を 総 括 し て い る 。

ま た 序 章 で は 、「 社 会 的 イ ン パ ク ト へ の 投 資 と 公 共 サ ー ビ ス ・ イ ノ ベ ー シ ョ ン 」な ど に 言 及 し た 上 で 、 ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド に 係 る 課 題 に つ い て 、 M u l g a n ( 2 0 1 5 ) を 引 き な が ら 以 下 の 論 点 を 提 示 し て い る 。 す な わ ち ① エ ビ デ ン ス ・ ベ ー ス と い う 点 で は ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド は そ の 明 示 性 に お い て 弱 点 を 有 し て お り 、 こ の こ と が 投 資 家 や 金 融 機 関 が ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト・ボ ン ド に 対 す る 投 資 を 慎 重 な も の と 判 断 す る 要 因 と な っ て い る こ と 、 ② 既 存 の サ ー ビ ス の 対 象 と ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド の 対 象 が 重 複 す る 場 合 が あ り 、 こ の こ と が 、 契 約 や ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド の 評 価 手 法 そ の も の を 複 雑 化 さ せ て い る こ と 、 ③ ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド は こ れ ま で の P F I

( P r i v a t e F i n a n c e I n i t i a t i v e ) と 比 べ 、 か な り の 程 度 規 模 が 小 さ い も の な っ て い る な か 、 そ の 設 置 ・ 運 営 に 係 る 取 引 コ ス ト が 高 く 、 双 方 の バ ラ ン ス を 勘 案 す る と 非 経 済 的 な も の と な っ て し ま う 点 で あ る ( 1 1頁 )。

以 下 で は 、 本 研 究 に お け る 日 本 に お け る ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド 導 入 に 係 る 意 義 と 課 題 に つ い て 検 討 を 加 え る と い う 観 点 に 照 ら し 、 同 著 の う ち 第 2 章 「 ソ ー シ ャ ル イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド と は 何 か 」( 塚 本 一 郎 ・ 西 村 万 里 子 )及 び 第1 0 章「 S I B推 進 に お け る N P O ・ 社 会 的 企 業 の 可 能 性 と 課 題 」( 今 村 肇 ) を 具 体 的 に 取 り 上 げ 、 そ こ で 示 さ れ て い る 指 摘 に つ い て 把 握 し て い く こ と と す る 。( 以 下 、 第 2 章 に つ い て は 、 塚 本 ・ 西 村 ( 2 0 1 6 )、 第 1 0章 は 今 村 ( 2 0 1 6 ) と 表 記 す る 。 )

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① 塚 本 ・ 西 村 ( 2 0 1 6 )「 ソ ー シ ャ ル イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド と は 何 か 」

塚 本 ・ 西 村 ( 2 0 1 6 ) は 、 ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド へ の 期 待 の 背 景 に つ い て 冒 頭 で 取 り 上 げ 、 そ の 背 景 と し て ソ ー シ ャ ル ・ ベ ン チ ャ ー の 促 進 、 イ ン パ ク ト ・ イ ン ベ ス ト メ ン ト を 用 い た 成 果 志 向 の 公 共 サ ー ビ ス 提 供 な ど を 挙 げ て い る( 4 1 ~ 4 4 頁 )。そ れ に 続 き 、 ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド の 性 格 と し て 、 投 資 リ ス ク の 点 で は 株 式 投 資 に 、 よ り 接 近 し た 性 格 で あ る こ と や 、 P b R ( P a y m e n t b y R e s u l t s )、 ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド が 有 す る 官 民 の 多 様 な 主 体 に よ る パ ー ト ナ ー シ ッ プ の 新 た な 形 態 と し て の 性 格 を 指 摘 し て い る( 4 4 ~ 4 8頁 )。そ し て ソ ー シ ャ ル・イ ン パ ク ト・ボ ン ド の 基 本 的 枠 組 み と 多 様 性 に つ い て 整 理 を 行 っ た う え で 、 考 察 の 中 で パ フ ォ ー マ ン ス ・ マ ネ ジ メ ン ト の 重 要 性 が 強 調 さ れ て い る( 6 7頁 )。す な わ ち 、パ フ ォ ー マ ン ス ・ マ ネ ジ メ ン ト は ソ ー シ ャ ル ・イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド に よ り 提 供 さ れ る 各 プ ロ グ ラ ム の 成 否 を 握 る 大 き な 鍵 と な る が 、 実 際 に は 対 応 で き て お ら ず 、「 サ ー ビ ス 実 施 の 現 場 労 働 者 の イ ン セ ン テ ィ ブ や モ ラ ー ル の 管 理 、 サ ー ビ ス の 質 の 管 理 、 デ ー タ 管 理 を 含 む 、 プ ロ グ ラ ム 全 体 の パ フ ォ ー マ ン ス の マ ネ ジ メ ン ト 」 に つ い て 問 題 提 起 を 行 っ て い る ( 6 8頁 )。 さ ら に 同 考 察 を 行 っ た 塚 本 は 、「 通 常 の ベ ン チ ャ ー 投 資 の 際 の ビ ジ ネ ス と し て の 事 業 性 に 代 わ る 、 パ フ ォ ー マ ン ス ・ マ ネ ジ メ ン ト 」 の 必 要 性 に 触 れ 、「 サ ー ビ ス 実 施 団 体 の み な ら ず 、 中 間 支 援 組 織 も 含 む 『 チ ー ム 』 自 体 に 、 指 標 ( I n d i c a t o r s ) と 目 標 ( T a r g e t s ) の 適 切 な 設 定 と 実 行 ( T a k i n g a c t i o n ) と を 有 機 的 に 結 び 付 け 、 パ ー ト ナ ー シ ッ プ を 基 礎 に コ レ ク テ ィ ブ な イ ン パ ク ト を 実 現 し て い く 力 が 求 め ら れ て い る の で あ る 」( 6 8頁 ) と の 見 解 を 示 し て い る 。

② 今 村 ( 2 0 1 6 ) 「 ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド 推 進 に お け るN P O・ 社 会 的 企 業 の 可 能 性 と 課 題 」

今 村 ( 2 0 1 6 ) は 、海 外 と 日 本 のN P O・社 会 的 企 業 を 取 り 巻 く 環 境 の 相 違 を 前 提 と し て 、そ の 可 能 性 と 課 題 に つ い て 検 討 を 行 っ て い る 。 今 村 ( 2 0 1 6 ) は 論 考 の 手 続 き と し て ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド が N P O・ 社 会 的 業 に 与 え る 評 価 の イ ン パ ク ト や 、ソ ー シ ャ ル・イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド 導 入 に 係 る 海 外 と 日 本 と の 間 の 文 脈 の 相 違 に つ い て 確 認 し た 上 で 、 具 体 的 に は 以 下 の 2 点 に つ い て 論 じ て い る 。第 一 に 、ア ウ ト カ ム 評 価 が N P O・社 会 的 企 業 に 与 え る 影 響 に 係 る 論 点 提 起 で あ り 、「 ア ウ ト カ ム の み で 対 人 社 会 サ ー ビ ス の 効 果 を 数 値 と し て 評 価 す る こ と へ の 妥 当 性 」、「 数 値 で 評 価 で き る サ ー ビ ス が 限 定 さ れ る こ と 」、「 社 会 的 企 業 の ガ バ ナ ン ス 構 造 と 視 点 」 の 欠 如 を 課 題 と し て 挙 げ て い る ( 2 3 7頁 )。 第 二 に 、 ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド で は 「 組 織 や セ ク タ ー の 壁 を 超 え て さ ま ざ ま な 資 源 を 活 用 し 統 合 し て い く 能 力 が 必 要 と さ れ る 」( 2 3 7頁 )が 、「 日 本 に お い て は ま ち が い な く 人 材 の 問 題 が ネ ッ ク と な る 」( 2 5 7頁 )と の 指 摘 を 行 い 、「 複 合 的 な ス キ ル と 経 験 の ミ ッ ク ス を 持 っ た 人 材 」( 2 5 8頁 ) の 必 要 性 が 強 調 さ れ て い る 。

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( 2 ) 松 本 典 子 ・ 朴 恩 芝 ( 2 0 1 6 ) 「 サ ー ド ・ セ ク タ ー 組 織 に 対 す る 持 続 可 能 な 社 会 的 イ ン パ ク ト 投 資 」

松 本・朴 ( 2 0 1 6 ) は 、研 究 上 の 課 題 を「 S I Bの 問 題 点 と そ れ に 付 随 す る 社 会 的 価 値 評 価 の 困 難 性 を 検 討 し た う え で 」、「 日 本 に お い て サ ー ド ・ セ ク タ ー 組 織 に 対 す る 持 続 可 能 な 社 会 的 イ ン パ ク ト 投 資 を 導 入 ・ 展 開 し て い く 上 で の 課 題 」 を 明 ら か に す る こ と と 設 定 し て い る( 5 8 ~ 5 9頁 )。松 本 ・ 朴 ( 2 0 1 6 ) に お い て 、ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド に 係 る 問 題 点 、課 題 と し て 指 摘 さ れ て い る 主 な 点 は 以 下 の 通 り で あ る 。第 一 に 、P b Rを 要 因 と す る 遂 行 困 難 な 課 題 へ の 取 り 組 み の 忌 避 で あ る 。 す な わ ち 「 ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド を 支 え る 徹 底 し た 成 果 主 義 の 適 用 は サ ー ド ・ セ ク タ ー 組 織 に 成 果 の 達 成 や 評 価 が 比 較 的 容 易 な 課 題 を 優 先 的 に と る よ う に 仕 向 け 、 つ い に は 遂 行 が 困 難 な 取 り 組 み 努 力 そ の も の を 制 限 し て し ま う 恐 れ が あ る 」( 6 2 頁 ) と し て 、 そ の 危 険 性 を 指 摘 し て い る 。 第 二 に 、 ア ウ ト カ ム 測 定 の た め の エ ビ デ ン ス 収 集 の 負 荷 に つ い て 言 及 し 、 そ の デ ー タ は 「 か な り 膨 大 で 、 計 算 や 応 用 も 複 雑 な う え 、 投 資 期 間 中 に 何 度 も そ の 作 業 が 要 求 さ れ る た め 、 作 業 現 場 に と っ て は か な り の 負 荷 に な っ て い る 」 点 に 注 目 し て い る 。 そ し て こ の こ と が ア ウ ト カ ム 測 定 の た め の 情 報 収 集 に つ い て ノ ウ ハ ウ や 能 力 を も つ サ ー ド ・ セ ク タ ー 組 織 に の み に サ ー ビ ス の 提 供 が 限 定 さ れ る と い う 問 題 を も た ら し て し ま う 、と し て い る( 6 2頁 )。 第 三 に 、ソ ー シ ャ ル・イ ン パ ク ト・ボ ン ド に 内 在 す る 政 策 リ ス ク で あ る 。松 本・朴 ( 2 0 1 6 ) は ピ ー タ ー バ ラ の パ イ ロ ッ ト ・ プ ロ ジ ェ ク ト に お け る 司 法 政 策 変 更 に 伴 う 突 然 の 中 止 、 並 び に 新 た な プ ロ グ ラ ム の 提 供 に 伴 う 成 果 測 定 の 比 較 対 象 の 消 滅 に つ い て 言 及 し 、 そ の 政 策 リ ス ク に つ い て も 議 論 の 俎 上 に の せ て い る( 6 2 ~ 6 3頁 )。第 四 に 、投 資 リ ス ク の 集 中 に つ い て で あ る 。 現 在 の ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド シ ス テ ム で は 単 一 課 題 へ の 投 資 と な っ て お り 、「 サ ー ビ ス を 提 供 す る ひ と つ の サ ー ド・セ ク タ ー 組 織 の 活 動 結 果 に し か 依 存 で き な い た め 投 資 リ ス ク 分 散 の 余 地 が な く 、そ の 組 織 が 課 題 の 遂 行 に 失 敗 し た 場 合 、 そ の ま ま 投 資 家 に リ ス ク が 転 嫁 さ れ て し ま う 」点 を 問 題 と し て 指 摘 し て い る( 6 3頁 )。そ し て 第 五 に 、社 会 的 価 値 評 価 そ の も の に 付 随 す る 困 難 性 に つ い て 言 及 し 、「 社 会 的 課 題 が ど れ ほ ど 解 決 で き 、 結 果 社 会 が ど れ ほ ど 変 わ っ た の か 、 す な わ ち 社 会 的 価 値 が ど れ ほ ど 実 現 で き た の か を 評 価 す る 評 価 作 業 自 体 が 困 難 」 を 問 題 点 と し て 挙 げ て い る ( 6 4頁 )。

( 3 ) 明 治 大 学 非 営 利 ・ 公 共 経 営 研 究 所 ( 2 0 1 5 ) 『 2 0 1 4年 度 英 国 調 査 英 国 に お け る ソ ー シ ャ ル イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド ( ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド ) と 社 会 的 イ ン パ ク ト 評 価 に 関 す る 研 究 報 告 書 』8

8

同 報 告 書 で は 、 以 下 で 確 認 す る 内 容 の 他 に も 論 点 を 提 起 し て い る 。 そ れ ら 内 容 は 非 常 に 多 岐 に 亘 り 、 全 て の 論 点 を 取 り 上 げ る こ と は 、 論 点 の 拡 散 を 招 く た め 、 こ こ で は 下 記 に 確 認 す る ポ イ ン ト に 限 っ て 、 内 容 を 確 認 す る こ と と し た い 。 他 に 指 摘 さ れ て い る 論 点 と し て は 、 例 え ば S I B に 実 施 と 非 営 利 組 織 の ミ ッ シ ョ ン と の 不 整 合 ( 7 6頁 ) に つ い て 指 摘 さ れ て お り 、 ま た 今 村 ( 2 0 1 6 ) と 同 様 、 ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド を 実 施 す る 上 で の 人 材 問 題 に 係 る 記 述 も 行 わ れ て い る ( 8 6頁 )

(19)

明 治 大 学 非 営 利 ・ 公 共 経 営 研 究 所 ( 2 0 1 5 ) は 、 私 立 大 学 戦 略 的 研 究 基 盤 形 成 支 援 事 業 の 一 環 と し て 2 0 1 4 年 1 0 月 に 行 わ れ た 、 英 国 に お け る ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド 及 び 社 会 的 イ ン パ ク ト 評 価 に 係 る ヒ ア リ ン グ 調 査 の 内 容 を ま と め た も の で あ る 。 調 査 先 は C o l l a b o r a t e 、B u s i n e s s i n t h e C o m m u n i t y ( B I T C ) 、P w C C o n t r e s f o r S o c i a l I m p a c t 、N e s t a 、 C e n t r e f o r S o c i a l I m p a c t B o n d s - C a b i n e t O f f i c e 、 P r o f e s s o r A l e x N i c h o l l s ( U n i v e r s i t y o f O x f o r d ) 、S t M u n g o ’s B r o a d w a y 、N e w P h i l a n t h r o p y C a p i t a l ( N P C ) 、T h e S T A R T N e t w o r k 、 M s . S a r a h B a i l e y ( A s s o c i a t e R e s e a r c h F e l l o w a t U n i v e r s i t y o f E x e t e r ) 、 T h e F o y e r F e d e r a t i o n 、 O f f i c e f o r P u b l i c M a n a g e m e n t ( O P M ) の 計1 2 団 体 、 及 び 個 人 で あ る 。

同 報 告 書 は ヒ ア リ ン グ 調 査 を 踏 ま え 多 岐 に 亘 る 論 点 を 提 示 し て い る が 、 本 調 査 報 告 書 と の 関 連 に 照 ら し 、 同 報 告 書 で 示 さ れ た ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド に 係 る 課 題 や 問 題 点 を 抽 出 す れ ば 、 以 下 の 通 り 示 す こ と が で き よ う 。

① 投 資 リ ス ク の 大 き さ

第 一 に 、投 資 家 か ら 見 た ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト・ボ ン ド へ の 投 資 リ ス ク の 大 き さ に つ い て で あ る 。 同 報 告 書 で は 、 ピ ー タ ー バ ラ で 実 施 さ れ た ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド の ケ ー ス を 例 に と り 、 同 ケ ー ス で は 刑 余 者 へ の 職 業 訓 練 の 提 供 な ど の 各 種 の サ ー ビ ス 提 供 が 行 わ れ 、 再 犯 率 の 減 少 を 指 標 と し て 投 資 家 へ の リ タ ー ン が 設 定 さ れ て い た が 、 そ の 問 題 点 と し て 「 サ ー ビ ス 提 供 者 が 目 標 設 定 で き な か っ た 場 合 の 投 資 リ ス ク が 大 き く 設 定 さ れ 、投 資 の 確 実 性 が 低 」か っ た 点 が 挙 げ ら れ て い る( 2 0頁 )。ま た 、ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト・ボ ン ド に 見 ら れ る 特 徴 と し て「 投 資 家 の 投 資 利 益 は 単 独 の 成 果 報 酬 型 ( P a y m e n t b y R e s u l t s [ P b R ] ) サ ー ビ ス 提 供 契 約 に の み 直 結 し て お り 、 社 会 的 企 業 が 行 う 他 の サ ー ビ ス 提 供 契 約 か ら 切 り 離 さ れ て い る 」こ と か ら 、「 投 資 家 に と っ て リ ス ク の 高 い も の と な っ て し ま う 」 危 険 性 に つ い て も 指 摘 が 行 わ れ て い る ( 2 7頁 )。

② 負 担 と 受 益 の 不 一 致

第 二 に 、 ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド の 費 用 負 担 と 、 そ の 実 施 に よ り 生 み 出 さ れ た 恩 恵 の 範 囲 、 享 受 す る 対 象 の ア ン バ ラ ン ス さ に つ い て で あ る 。 社 会 的 課 題 の 解 決 に 係 る サ ー ビ ス 提 供 の 資 金 確 保 に お い て 、「 S I Bを 発 行 す る 地 方 自 治 体 が 発 行 の た め の 財 源 を 負 担 す る に も か か わ ら ず 、 目 標 達 成 に よ る 削 減 効 果 の 便 益 は 自 治 体 以 外 の 中 央 省 庁 に 発 生 す る 場 合 が 多 い こ と 」 を 挙 げ 、 改 善 す べ き 論 点 の 一 つ と し て い る 。 こ れ ら の 「 負 担 と 便 益 の 主 体 が 異 な る 点 に つ い て ど の よ う に 調 整 す る か 」が 必 要 で あ る と し て い る( 2 0頁 )。

③ 投 資 家 か ら の 圧 力 ・ 達 成 容 易 な サ ー ビ ス へ の 誘 導

第 三 に 、ソ ー シ ャ ル・イ ン パ ク ト・ボ ン ド の ア ウ ト プ ッ ト に 関 す る 投 資 家 か ら の 圧 力 、 す な わ ち 達 成 が 容 易 で 投 資 家 へ の リ タ ー ン が よ り 見 込 ま れ る サ ー ビ ス 提 供 へ の 誘 導 、 配

(20)

当 が よ り 多 く 見 込 め る 成 果 指 標 の 設 定 へ の 投 資 家 に よ る 影 響 力 の 行 使 を 論 点 と し て 提 示 し て い る 。言 う ま で も な く 、ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド は 、投 資 家 へ の リ タ ー ン が 設 定 さ れ て い る こ と か ら も 明 ら か な よ う に 、 商 業 的 利 益 を 否 定 す る も の で は な い が 、 そ の 利 益 に つ い て 「 社 会 的 使 命 よ り も 商 業 的 な 利 益 を 追 求 す る 投 資 家 が 多 く な る と 、 社 会 的 イ ン パ ク ト よ り も 高 い 投 資 利 益 が 重 視 さ れ る よ う に な り 、 サ ー ビ ス 提 供 団 体 に 成 果

( O u t c o m e )を 挙 げ や す い よ う な 受 益 者 に サ ー ビ ス を 提 供 す る よ う に 投 資 家 側 か ら 圧 力 が か か る 恐 れ が あ る 」と し て い る( 3 9頁 )。従 っ て 、投 資 家 か ら の そ う し た 圧 力 を 排 す る 必 要 性 が あ る と し て い る 。

④ 政 策 変 更 リ ス ク

第 四 に 、ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド が 孕 む 政 策 変 更 リ ス ク に 係 る 問 題 提 起 で あ る 。 こ の 指 摘 は 、 主 と し て ピ ー タ ー バ ラ に お け る ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド プ ロ ジ ェ ク ト の ケ ー ス を 念 頭 に お く も の で あ り 、 以 下 の 経 緯 を 踏 ま え た 指 摘 で あ る 。 同 プ ロ ジ ェ ク ト で は 、 ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド の 設 計 や 提 供 す る サ ー ビ ス の 質 な ど の 点 に お い て 問 題 が あ る も の で は な か っ た 。 む し ろ そ の う ま く 機 能 し て い る と の 評 価 が 故 に 、 プ ロ ジ ェ ク ト の 終 了 を 待 つ こ と な く 、 そ の 対 象 を 拡 大 し 幅 広 く 提 供 す る た め 、 途 中 で プ ロ ジ ェ ク ト が 変 更 さ れ る こ と と な っ た 。 そ の 結 果 と し て ア ウ ト カ ム の 評 価 が 不 能 と な り 、 プ ロ ジ ェ ク ト 継 続 そ の も の が 困 難 と な っ た 。 こ の こ と を 政 策 変 更 リ ス ク と し て 議 論 の 俎 上 に 載 せ て い る 。 さ ら に 非 営 利 ・ 公 共 経 営 研 究 所 ( 2 0 1 5 ) に よ れ ば 、 こ の よ う な ケ ー ス の 他 に 政 権 が 交 代 す る こ と に 伴 い 、 新 た な 政 権 に よ り 「 政 策 の 優 先 順 位 が 変 更 さ れ 前 政 権 で 合 意 さ れ て い た 契 約 が 完 全 に は 履 行 さ れ な い リ ス ク も あ る 」 と し て 、 公 共 政 策 の 変 更 に 対 す る 「 S I Bの 継 続 性 を 担 保 す る よ う な 枠 組 み 」 の 必 要 性 を 強 調 し て い る ( 4 0頁 )。

⑤ ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド の 「 取 引 コ ス ト 」

そ し て 第 五 に 、 ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド 設 置 に お け る 「 取 引 コ ス ト 」 に つ い て で あ る 。 ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド 設 置 に は 「 介 入 の 仕 方 、 ア ウ ト カ ム の サ イ ズ 、 支 払 い の ス ケ ジ ュ ー ル 、 契 約 の 仕 方 等 、 フ ァ イ ナ ン ス モ デ ル の 構 築 に 相 当 な 時 間 」 が か け ら れ 、「 相 当 な 取 引 コ ス ト ( 調 整 ・ 交 渉 の た め の コ ス ト )」 を 要 す る 。 こ の こ と に 起 因 し「 達 成 し よ う と す る 経 費 削 減 の 規 模 が あ ま り に 少 額 で あ れ ば 、S I Bを 設 置 す る た め の 経 費 の ほ う が 高 く な り 過 ぎ て 、 リ タ ー ン と の つ り 合 い が と れ な く な 」 る な ど の 問 題 を 指 摘 し て い る ( 8 5頁 )。

(21)

( 4 ) 先 行 研 究 に 関 す る 小 括

以 上 、 こ れ ま で ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド に 係 る 先 行 研 究 を 取 り 上 げ 、 特 に そ の 実 施 ・ 運 用 に お け る 課 題 に つ い て 確 認 し て き た が 、 こ こ で そ れ ら の 論 点 を 若 干 、 整 理 し て ま と め れ ば 、 図 表 3 の 通 り に 示 す こ と が で き る 。

図 表 3 先 行 研 究 整 理 研 究 史 上 の 指 摘 先 行 研 究

( 1 ) マ ネ ジ メ ン ト 能 力 塚 本 ・ 西 村 ( 2 0 1 6 )

( 2 ) ア ウ ト カ ム 評 価 塚 本 ( 2 0 1 6 )、 今 村 ( 2 0 1 6 )、 松 本 ・ 朴 ( 2 0 1 6 )

( 3 ) ガ バ ナ ン ス 今 村 ( 2 0 1 6 )

( 4 ) 人 材 問 題 今 村 ( 2 0 1 6 )、 非 営 利 ・ 公 共 経 営 研 究 所 ( 2 0 1 5 )

( 5 ) 投 資 家 の 影 響 松 本 ・ 朴 ( 2 0 1 6 ) 、 非 営 利 ・ 公 共 経 営 研 究 所 ( 2 0 1 5 )

( 6 ) エ ビ デ ン ス 塚 本 ( 2 0 1 6 ) 、 松 本 ・ 朴 ( 2 0 1 6 )

( 7 ) 政 策 リ ス ク 松 本 ・ 朴 ( 2 0 1 6 ) 、 非 営 利 ・ 公 共 経 営 研 究 所 ( 2 0 1 5 )

( 8 ) 投 資 リ ス ク 松 本 ・ 朴 ( 2 0 1 6 ) 、 非 営 利 ・ 公 共 経 営 研 究 所 ( 2 0 1 5 )

( 9 ) 負 担 と 受 益 の 不 一 致 非 営 利 ・ 公 共 経 営 研 究 所 ( 2 0 1 5 )

( 1 0 ) 取 引 コ ス ト 塚 本 ( 2 0 1 6 ) 、 非 営 利 ・ 公 共 経 営 研 究 所 ( 2 0 1 5 )

(22)

第 2 章 イ ギ リ ス 第 1 節 導 入 へ の 経 緯

9

本 節 で は 、 ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド が 英 国 に 導 入 さ れ る 背 景 に つ い て 確 認 を 行 っ て い く 。 そ の 背 景 と し て 本 稿 に お い て 最 低 限 お さ え て お き た い 論 点 は 、 ① キ ャ メ ロ ン 保 守 党 新 政 権 に よ る 「 B i g S o c i e t y 」 の 提 唱 、 ② 社 会 問 題 の 解 決 と 歳 出 削 減 の 両 立 、 ③ イ ン パ ク ト ・ イ ン ベ ス ト メ ン ト 市 場 の 拡 大 の 3 点 で あ る 。

① キ ャ メ ロ ン 保 守 党 新 政 権 に よ る 「 B i g S o c i e t y 」 の 提 唱

2 0 1 0年 に 生 じ た 政 権 交 代 に よ り 、従 前 の 労 働 党 ゴ ー ド ン ・ ブ ラ ウ ン 政 権 に 代 わ り 、保 守 党 の デ ー ヴ ィ ッ ド ・ キ ャ メ ロ ン が 首 相 に 就 任 し た 。 キ ャ メ ロ ン 首 相 は 、「 B i g S o c i e t y 」 を 提 唱 し 、 地 方 分 権 の 推 進 、 住 民 自 治 の 強 化 の 方 向 性 が 示 さ れ た 。 す な わ ち 政 府 に よ る 介 入 を 限 定 的 な も の と し 、 地 方 自 治 体 に 権 限 を 委 譲 す る と 同 時 に 、 市 民 に コ ミ ュ ニ テ ィ に お け る 社 会 的 問 題 に 対 す る 認 識 、 そ れ へ の 自 ら の 関 与 と コ ミ ュ ニ テ ィ に よ る 解 決 を 試 み る と い う 意 味 で 、そ の 自 律 性 の 強 化 が 強 調 さ れ て い る

1 0

。ま た 公 共 サ ー ビ ス に お い て も サ ー ド ・ セ ク タ ー が 民 間 部 門 と の 協 力 の も と 各 種 サ ー ビ ス の 提 供 も 志 向 さ れ て い る 。そ の 担 い 手 と し て 非 営 利 セ ク タ ー が 積 極 的 に 位 置 づ け ら れ 、 そ の 活 動 が 重 視 さ れ て い る

1 1 1 2

。 そ し て そ れ ら が 促 進 さ れ る こ と で 、よ り 強 い 市 民 社 会 が 形 成 さ れ る と の 展 望 が 示 さ れ た 。

② 社 会 問 題 の 解 決 と 歳 出 削 減 の 両 立

他 方 で 、 こ う し た 個 人 と 地 域 社 会 の 関 係 強 化 、 そ れ ら へ の 参 加 を 通 じ た 社 会 問 題 の 解 決 を め ざ す 背 景 に は 、 例 え ば 朴 ( 2 0 1 6 ) が 明 確 に 指 摘 す る よ う に 、 政 府 の 歳 出 削 減 の 意 図 が 垣 間 見 え る 。朴 ( 2 0 1 6 ) に よ れ ば 、「 こ の 政 策 は 歳 出 削 減 と い う 政 府 の 大 き な 目 標 と 一 体 化 」 の も の で あ り 、 中 央 政 府 の 財 政 難 や そ れ に 起 因 す る 地 方 自 治 体 へ の 悪 影 響 、 公 共 サ ー ビ ス に お け る 関 連 予 算 の 大 幅 削 減 の 文 脈 に お い て ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト・ボ ン ド 導 入 の 背 景 を 説 明 し て い る ( 1 7 3頁 ) 。こ の よ う な 背 景 の も と 、歳 出 削 減 を 意 図 す る 公 共 サ ー ビ ス の 外 部 委 託 と 共 に 、 市 場 を 通 じ た 競 争 原 理 が 導 入 さ れ サ ー ビ ス の 質 的 維 持 ( あ る い は

9

ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド 導 入 に 係 る 背 景 に つ い て は 、 例 え ば 塚 本 ・ 西 村 ( 2 0 1 6 : 4 1 - 4 4 ) 、 朴 ( 2 0 1 6 : 4 2 4 - 4 2 7 ) に お い て も 記 述 さ れ て お り 、 本 稿 も 参 照 し て い る 。

1 0

原 田 ( 2 0 1 3 ) を 参 照 さ れ た い 。

1 1

永 島 ( 2 0 1 1 ) は 、「 B i g S o c i e t y 」 に つ い て 「 キ ャ メ ロ ン の い う 『 大 き な 社 会 』 と は 各 コ ミ ュ ニ テ ィ に お け る 『 ソ ー シ ャ ル キ ャ ピ タ ル ( 社 会 関 係 資 本 ) の ( 再 ) 構 築 』 の こ と だ と 言 い 換 え て よ さ そ う で あ る 」 と の 認 識 を 示 し て い る 。

1 2

H M G o v e r n m e n t ( 2 0 1 0 ) は 、 B i g S o c i e t y p o l i c y a g e n d a に お け る 、 そ の 中 心 的 要 素 ( c o r e c o m p o n e n t ) と し て 、 ① コ ミ ュ ニ テ ィ へ の 権 限 付 与 、 ② 公 的 サ ー ビ ス の 開 放 、 ③ ソ ー シ ャ ル ア ク シ ョ ン の 促 進 の 3 点 を 示 し て い る 。 そ の 具 体 的 内 容 は 次 の 通 り で あ る 。 1 . E m p o w e r i n g c o m m u n i t i e s : g i v i n g l o c a l c o u n c i l s a n d n e i g h b o u r h o o d s m o r e p o w e r t o t a k e d e c i s i o n s a n d s h a p e t h e i r a r e a . 2 . O p e n i n g u p p u b l i c s e r v i c e s : t h e G o v e r n m e n t ’ s p u b l i c s e r v i c e r e f o r m s w i l l e n a b l e c h a r i t i e s , s o c i a l e n t e r p r i s e s , p r i v a t e c o m p a n i e s a n d e m p l o y e e - o w n e d c o - o p e r a t i v e s t o c o m p e t e t o o f f e r p e o p l e h i g h q u a l i t y s e r v i c e s . 3 . P r o m o t i n g s o c i a l a c t i o n : e n c o u r a g i n g a n d e n a b l i n g p e o p l e f r o m a l l w a l k s o f l i f e t o p l a y a m o r e a c t i v e p a r t i n s o c i e t y , a n d p r o m o t i n g m o r e v o l u n t e e r i n g a n d p h i l a n t h r o p y .

図 表 2   イ ギ リ ス ・ ア メ リ カ の ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド の 特 徴   イ ギ リ ス   ア メ リ カ   ・   労 働 分 野 に 特 化 し た 事 例 な し   ・   予 防 的 あ る い は 実 験 的 ( 刑 余 者 の 再 犯 防 止 、ホ ー ム レ ス 支 援 、児 童・若 者 支 援 な ど )   ・   典 型 的 に は 、 中 央 省 庁 が 基 金 を 設 置   ・   中 間 支 援 組 織 に よ る
図 表 7   刑 余 者 更 生 ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド ( ピ ー タ ー バ ラ ) の 例   出 所 : M i n i s t r y  o f  J u s t i c e  ( 2 0 1 5 )  " T h e  p a y m e n t  b y  r e s u l t s  S o c i a l  I m p a c t  B o n d  p i l o t   a t   H M P   P e t e r b o r o u g
図 表 1 0 : 2 0 1 5 年 度 労 働 市 場 革 新 基 金
図 表 1 1   ペ イ ・ フ ォ ー ・ パ フ ォ ー マ ン ス の 事 業 報 告 書 式   資 料 出 所 : 連 邦 労 働 省 ( 3 ) 労 働 市 場 革 基 金 の 一 形 態 と し て の 「 ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド 」   連 邦 労 働 省 が か か わ る ソ ー シ ャ ル ・ イ ン パ ク ト ・ ボ ン ド は 、 労 働 市 場 革 新 基 金 の う ち の 十 分 の 一 弱 と い う 規 模 で 実 施 さ れ て
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