Ⅶ 文 化 館
1 施設の概要 ( 1 ) 施設の設置目的
平成1 1 年12月 2 4日に堺市立文化館条例、平成12年 3月 8日に堺市立文化 館条例施行規則が制定された。条例第1条には、「この条例は、市民に美術作品、 文芸作品等の鑑賞の機会及び発表の場を提供し、もって市民の芸術文化の振興 に寄与するための文化館の設置及び管理について必要な事項を定める。」と明記 されている。
( 2 ) 施設設置の経緯
従前は、「ギャラリー堺」において、アルフォンス・ミュシャと与謝野晶子の 関連作品を展示していたが、同所は消火設備や天井の高さ等の面で美術作品の 展示施設として不備があったため、堺市が取得するJR堺市駅前再開発ビルの 2 ∼4階に、文化館の設置が計画された。
堺市所蔵の大型美術作品をはじめ、市民の身近な場所で優れた作品の鑑賞機 会を提供するとともに、貸しギャラリーの併設により、市民が美術を通して交 流を深めることのできる文化施設として設立され、平成1 2 年4 月に開館した。 建設金額は4 億4 , 9 0 0万円である。
( 3 ) 施設の事業
①与謝野晶子作品展示、資料の保管・整理、ショップ運営
甲斐町に生まれた堺市が誇る与謝野晶子の直筆原稿や出版物、関連資料な どを展示している。展示物は年5 回程度入れ替える。堺市が所有しているも ののほか、文学資料館等から借りて展示している。
②アルフォンス・ミュシャ作品展示、資料の保管・整理、ショップ運営 平成5年に、アール・ヌーヴォーを代表する画家であるアルフォンス・ミュ
シャに傾倒していた実業家から、収集していた多数のミュシャ作品の寄贈を 受け、さらに堺市が作品を購入するなどして、現在約5 00点を市が所有して いる。展示物は年4 回程度入れ替える。
③貸館事業
ギャラリーとして市民に鑑賞の機会や発表の場を提供する。 ( 4 ) 開館時間及び休館日
開館時間 与謝野晶子文芸館、アルフォンス・ミュシャ館は午前9時30分か ら午後5 時1 5分まで。
休館日 毎週月曜日
休日の翌日(翌日が土、日曜日、休日の場合は開館) 年末年始
その他展示替え等で休館することがある。 ( 5 ) 観覧料、使用料
① 与謝野晶子文芸館とアルフォンス・ミュシャ館の観覧料は、一般5 00円、 高校生・大学生3 0 0 円、小学生・中学生1 0 0 円である。
ギャラリーの使用料(基本使用料)は、利用する部屋毎に細かく定められ ている。
観覧料・使用料は開館当初より改定していない。
② ギャラリー使用料金については、入場料その他これに類するものを徴収す るときは、基本使用料の5 割を加算する。
③ 市が主催する堺市展、堺市美術新人展などの場合は、ギャラリー使用料は 無料。
④ 冷暖房装置を使用するときは、基本使用料に2 割を加算。
⑤ 与謝野晶子文芸館、アルフォンス・ミュシャ館の観覧料は、6 5歳以上・小 学生未満・障害者の方は無料。
( 6 ) 施設内の主な設備 ① 与謝野晶子文芸館
② アルフォンス・ミュシャ館 ③ ギャラリー 8 室
( 7 ) 使用のための手続き
堺市立文化館使用申請書を、使用しようとする日の6 ヶ月前の日の属する月 の初日以降に市長に提出する。使用許可は使用料の納付があった後、堺市立文 化館使用許可書を申請者に交付する。
( 8 ) 管理運営方法及び委託金額等
① 文化館は、平成1 2 年 4月の設立当初から、( 財) 堺市文化振興財団に管理運 営を委託している。
② 平成15 年度の堺市と( 財) 堺市文化振興財団との間の委託契約は、平成 15 年4 月1 日に下記内容で締結されている。
委託する業務名 堺市立文化館管理運営並びに観覧料及び使用料徴収業務 履行場所 堺市立文化館
( 9 ) 委託業務内容の概要 ①管理運営業務
( ア ) 施設・附属設備・備品等の維持管理・点検 ( イ ) ギャラリーの使用申込みの受付等
( ウ ) 附属設備・備品の貸出 ( エ ) 入館者・利用関係統計事務
②与謝野晶子文芸館及びアルフォンス・ミュシャ館の管理運営業務 ( ア ) 常設展及び企画展の開催
( イ ) 収蔵作品の整理、保管等 ( ウ ) 受付及び案内業務
③その他、館の管理運営にあたって必要な業務 ④観覧料・使用料徴収業務
( ア ) 受託者領収印を押印して領収書を発行すること。
( イ ) 現金出納簿に記帳し、速やかに払込書により歳入金を指定金融機関等に 払い込むこと。
( ウ ) 領収証書及び領収書の控えとともに、領収金日計表を国際文化観光部文 化担当課長に提出し、照合及び確認を受けること。
( エ ) その他、観覧料・使用料徴収にあたって必要な業務
2 監査の結果
( 1 ) 公の施設の必要性について
堺市ゆかりの与謝野晶子に関するものを広く市民に知らしめること、市民か ら寄贈を受けたアルフォンス・ミュシャの作品を広く市民に開放することは、 文化都市堺の名にふさわしいものであり意義がある。
文化館は、美術作品の展示のみを対象とした貸しギャラリーとしては市立で 唯一の施設であり、安価な使用料で市民に広く活用してもらうとともに、堺市 展、朝日陶芸展など市主催の事業を開催して、レベルの高い美術作品の鑑賞の 機会を提供していることは評価できる。
( 2 ) 管理運営の合規性・妥当性について
前9 時から午後 2時 4 5分までと、午後2 時15分から午後 7時 1 5分まで)。仕 事内容からみて1 日 5時間の勤務時間が妥当か、従事する人数は適切かなど勤 務体制の検討を要すると思料する。
( 3 ) 作品管理について
文化館の目的から、与謝野晶子及びアルフォンス・ミュシャの作品や関係品 を適切に管理することが重要である。与謝野晶子 関係文芸作品リスト及びアル フォンス・ミュシャ関係美術作品リストには、「備品登録なし」と記載された箇 所が散見される。特に与謝野晶子関係において、 備品番号、物品コードの記載 がないものが多く見られる。これは、堺市の会計規則上、取得価格 2 万円以下 の物品は備品登録しない取扱いによったものであ るが、文化物や美術品につい ては通常の物品と異なり、その文化的・芸術的価 値に依るものであるから、会 計システム上備品登録が不可能であれば文化館独 自の登録システムを整備する 必要がある。備品登録されていない作品について も、備品登録されている作品 を同様の管理をしていると報告されているが、制 度的に整備することが望まれ る。
また、「取得金額」欄に記載された金額は、堺市が購入した価格ではないと思 われるので、誤解を与える記載方法を変更する必要がある。
( 4 ) 経済性・効率性について
資料によると、平成15年度の観覧料と使用料の収入合計は 4 81万 5 ,8 00円で あり、グッズ販売による収入が年間 3 00 万∼4 20 万円あるが、収支決算は非常 に厳しい。貸しギャラリーにおける利用者を見ると、堺市展、堺市美術新人展 等約7割を市主催の催しが占めており、これらは使用料が無料である。貸しギャ ラリー専門の公の施設が他にないことから、やむを得ない面もあるが、市民に 有料で利用してもらえるようにアピールすることが必要である。
増収には、有料施設への来場者を増やすことが何より重要であり、与謝野晶 子は国民的な歌人であることから広く他府県にも広報すべきである。現在も広 報さかいや堺市ホームページ上で催し物について広報したり、プリペイドカー ドへ作品を使用してもらうなどの努力を重ねているが、なおも宣伝広告の余地 が存すると思われる。
( 5 ) 受益者負担の妥当性について
3 意見
( 1 ) 与謝野晶子に関する物やミュシャの作品は、文芸上・学術上すばらしいもの であり、㈶堺市文化振興財団採用の担当職員により、それらは一定の規律のも とに整然と整理され、展示されており、堺市の大いに誇りとするところであろ う。せっかくの宝物を多くの人に見てもらいたいものである。
平成1 5 年度の来場者数は、有料の入場者が 4 ,2 19人、無料の入場者が 3 ,9 46 人の合計8 , 1 6 5 人である。更なる来場者の増加が望まれる。
収支の面から言っても、集客力の増大が当面の課題であるが、与謝野晶子と ミュシャのみを対象とした施設であるので、堺市民のリピーター及び堺市以外 からの集客を図る必要がある。展示物がマンネリ化しないように、適宜展示物 を変更し、本施設で無ければできない催し物を行うなど、創意工夫が要求され る。また、如何に内容がよくても市民に知らしめなければ意味を成さないので あり、広報・PR活動が重要である。現在、プリペイドカードのデザインにミュ シャの作品を使用してもらうなどして施設をアピールしているが、いまだ広く 浸透しているとはいえない状況であり、文化館の所蔵作品の広域的なPR方法 等について見直しが必要である。