序
章
はじめに
1
背景と目的
本県では、県政運営の基本方針である「幸せ実感くまもと4カ年戦略」で、
県民が幸せを実感できるよう4つの取組みの方向性を示し、その1つとして
「安心を実現する」を位置づけ、医療や介護が必要になっても、安心して住み
慣れた地域で暮らし続けることができる地域包括ケアの体制づくりを行政、医
療、福祉が連携した“オール熊本”で進めることで、「長寿を恐れない社会」
をさらに一歩進めた「長寿を楽しむ社会」をめざしています。
本県における平成 25年の高齢化率は 27.2%、総人口の4人に1人以上が
高齢者となっており、その半数以上が 75 歳以上の高齢者です。
全国的にも高齢者人口は増加するとともに、とりわけ単身・夫婦のみの高齢
者や、要介護・要支援の高齢者が増加しており、今後団塊の世代が後期高齢者
となる 2025 年(平成37年)に向けて、この傾向は一層進むものと考えら
れています。ただし、今後の高齢者人口の動向には地域差が見込まれることか
ら、各地域の実情に応じた対応が必要となります。
また、本県の平均寿命は、全国順位で男性、女性ともに4位(H22)と全
国でも有数の長寿県であるのに対して、健康寿命については、男性、女性とも
に21位(H22)となっており、健康寿命を延ばすための取組みの充実等が
必要です。
高齢期を安心して迎え、過ごすためには、生活の基盤となる高齢期に適した
住まい(持家、賃貸住宅、施設等を含む)の確保や心身の機能に制約を受ける
高齢者が安心して生活できるよう、介護サービスや生活支援サービス等の充実
が必要です。しかし、全国的にみても、住宅のバリアフリー化の遅れや生活支
援サービス付き住宅の不足がみられるなど、高齢者の居住に関して一層の体制
整備が必要です。
こうした状況のもと、国土交通省と厚生労働省が連携し、高齢者の住まいの
安定確保のための取組みを強化するため、「高齢者の居住の安定確保に関する
法律(以下「高齢者住まい法」という。)」を一部改正し、同法を国土交通省
の専管から厚生労働省との共管とするとともに、都道府県においては高齢者居
住安定確保計画を定めることができるとされています。
本県においても、高齢者の多様なニーズに応じた住まいやサービスを選択で
きるようにするとともに、高齢者が地域とのつながりをもって、住み慣れた地
域で安心して暮らし続けることができる環境を整備することが求められていた
施策を緊密に連携させ、高齢者の住まいに係る施策を総合的かつ計画的に展開
するため、平成22年度に第1期熊本県高齢者居住安定確保計画を策定しまし
た。
その後、高齢者住まい法に基づき平成23年10月からサービス付き高齢者
向け住宅登録制度が開始し、サービス付き高齢者向け住宅等の整備が進められ
ていますが、地域の実情に応じた高齢者向け住まいの確保や、入居者の個々の
状態に応じた適切な介護サービスの提供等が求められています。
また、介護保険法の改正により、平成27年度からの介護予防通所介護及び
介護予防訪問介護の市町村地域支援事業への移行や、サービス付き高齢者向け
住宅への住所地特例制度の適用拡大などが実施されます。今回の改正は、住ま
いを基本として、活動や参加という地域リハビリテーションの視点を含めた介
護予防・生活支援の充実や、医療と介護をはじめとする多職種の連携、認知症
施策の総合的な推進等、「地域包括ケアシステムの構築」を目指しています。
これらの制度改正も踏まえ、本県の高齢者の住まいの施策を一層充実させる
ため、第2期熊本県高齢者居住安定確保計画を策定するものです。
【本計画における「住まい」の定義】
・住まい :住宅
・高齢者の住まい :主に高齢者が住んでいる住宅
・高齢者の住まい等 :高齢者の住まいに、施設(老人福祉法、介護保険法等に基づく、福
祉サービスを提供する施設)を加えたもの
2
計画の位置づけ
本計画は、高齢者住まい法に基づく「高齢者居住安定確保計画」として策定
しています。
また、本県においては、土木部において「熊本県住生活基本計画(以下「熊
本県住宅マスタープラン」という。)」を、健康福祉部において「熊本県高齢者
福祉計画・介護保険事業支援計画」をそれぞれ定めています。
住生活基本計画は、住民の住生活の安定の確保及び向上の促進に関する基本
的な計画であり、豊かな住生活の実現に向けた住宅施策を計画的に展開してい
くうえで最も基本となる計画です。高齢者居住安定確保計画は、住生活基本計
画で定められた目標、特に「住宅セーフティネット」及び「地域における多様
な住まいの選択」について、中でも高齢者の居住の安定確保について具体的に
計画しています。
高齢者福祉計画・介護保険事業支援計画は、特別養護老人ホーム等の介護保
険施設及び認知症高齢者グループホーム等の居住系サービスの供給目標や、居
宅サービスなど介護給付等サービスの量の見込みを定めています。これらの介
護保険施設等の整備と、高齢者向け住まいの供給や関連施策は密接に関係する
ことから、高齢者居住安定確保計画で設定する高齢者向け住まいに係る目標等
は、高齢者福祉計画・介護保険事業支援計画との整合性を図っています。
加えて、高齢者が地域とのつながりをもって暮らし続けていくために、市町
村での地域福祉の取組みを支援する高齢者や障がい者等を含んだ地域福祉施策
等を定めている「熊本県地域福祉支援計画」、「熊本県やさしいまちづくり推進
やさしいまちづくり(高齢者、障がい者等が自立及び社会的活動へ の参加を果たせる社会を築くこと)の推進に関する計画
① 県民意識の高揚(意識づくり)
② 社会環境の整備(教育、雇用、防犯・防災・交通安全等) ③ 生活環境の整備(建築物、道路等)
市町村の地域福祉の支援に関する計画
① 地域の縁がわづくり(地域の拠点) ② 地域の結いづくり(地域の支え合い) ③ 地域の支事おこし(福祉で起業化) ④ 安心の礎(多様な福祉サービスの基盤整備)
住民の住生活の安定の確保及び向上の促進に関する基本的な計画
基本方針:幸せを実感できる豊かな住生活の実現 重点施策
1.住宅セーフティネット 2.災害への対応 3.持家対策
4.地域における多様な住まいの選択
※重点施策1及び4のうち高齢者の住まいの部分について具体的に計画 ①住民の住生活の安定の確保及び向上の促進に関する目標・施策 ②住生活の安定の確保及び向上の促進に関する施策を総合的かつ計画的
に推進するために必要な事項
高齢者福祉計画※
介護保険事業支援計画※
老人福祉事業の供給体制の確保に関する計画
介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施 の支援に関する計画
①老人ホームの必要入所定員総数その他 老人福祉事業の量の目標・措置 ②老人福祉事業の供給体制の確保に関し
必要な事項
①介護給付等サービスの量の見込み ②介護保険事業に係る保険給付の円滑な
実施を支援するために都道府県が必要 と認める事項
住生活基本計画
※両計画は一体として策定
熊本県地域福祉支援計画 熊本県やさしいまちづくり推進計画
県民一人ひとりが幸せを実感し、住み慣れた地域で夢を持ち 誇りに満ちた暮らしが送れる熊本の実現
取組みの方向性とめざす姿
1.活力を創る 「活力溢れる元気なくまもと」 2.アジアとつながる 「アジアの中で存在感のあるくまもと」
3.安心を実現する 「いつまでも楽しく、元気で、安心して暮らせるくまもと」 4.百年の礎を築く 「誇りを持ち、夢の実現に挑戦するくまもと」
幸せ実感くまもと4カ年戦略
住宅施策と高齢者福祉施策を連携させ、高齢者の居住の安定の確 保に関する目標を定め、施策を推進
①高齢者に対する賃貸住宅及び老人ホームの供給の目標 イ.高齢者に対する賃貸住宅及び老人ホームの供給の促進 ロ.高齢者が入居する賃貸住宅の管理の適正化
ハ.高齢者に適した良好な居住環境を有する住宅の整備の促進 ニ.高齢者居宅生活支援事業の用に供する施設の整備の促進 ホ.高齢者居宅生活支援体制の確保
3
計画期間
計画の期間は、平成27年度から平成32年度までの6年間とします。
現行の熊 本県住宅 マス タープラ ンの計画 期間 は平成24 年度か ら平 成32
年度までの9年間です。
また、第5期熊本県高齢者福祉計画・介護保険事業支援計画は平成 24 年度
から平成 26 年度までの3年間、第6期熊本県高齢者福祉計画・介護保険事業
支援計画は平成 27 年度から平成 29 年度までの3年間と、法律に基づき 3 年
毎の計画策定となっています。
高齢者居住安定確保計画は、「高齢者の居住の安定の確保に関する基本的な
方針」(平成 21年 8月 19 日厚生労働省・国土交通省告示第1号)で、高齢
者福祉計画及び介護保険事業支援計画と「調和を図りつつ計画期間を定める」
こととされています。
また、高齢者住まい法の制定時に、国土交通省が高齢者人口に対する高齢者
向け住宅の割合の目標を示した成長戦略の目標年次も、平成 32 年となってい
ます。
したがって、本計画の目標年次は、熊本県住宅マスタープラン、第6期及び
第7期(H30~H32年度)高齢者福祉計画・介護保険事業支援計画並びに国
の成長戦略の目標年次を踏まえ平成32年度とし、平成27年度から平成32
年度までの6年間を本計画の計画期間としますが、折り返しとなる3年が経過
した時点で計画の進捗状況を把握し、必要に応じて見直しを検討します。
H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31 H32 H33 H34
熊本県高齢者居住
安定確保計画
熊本県住宅マスタープラン
第5期熊本県高齢者 福祉計画・介護保険 事業支援計画
第6期熊本県高齢者 福祉計画・介護保険 事業支援計画(予定)
第7期熊本県高齢者 福祉計画・介護保険 事業支援計画(予定)
第2期熊本県
地域福祉支援計画
第3期熊本県やさしい
まちづくり推進計画
4
これまでの本県の取組み
(1)熊本発地域福祉モデル「地域の縁がわ」
※1
整備
~健軍くらしささえ愛工房・福祉機能を併設した公営住宅
(県営健軍団地1階)~
本県では、平成 14 年度に、福祉とまちづくりの融合、新しい福祉の
あり方を目指し、福祉施策と住宅施策を連携させ、ひと(当事者)を中
心においた地域福祉推進のための福祉サービス拠点施設を併設(合築)
したモデル団地の建て替えプロジェクトをスタートさせました。
さらに、平成 15 年度に策定した「熊本県地域福祉支援計画」に第 1
番目の柱として、子ども、高齢者、障がい者など誰もが気軽に集い、支
え合う地域の拠点「地域の縁がわづくり」を掲げ、そのモデルとして県
営住宅(健軍団地)の1階に福祉機能(健軍くらしささえ愛工房)を整
備しました。この健軍くらしささえ愛工房の運営は、公募して選ばれた
特定非営利活動法人おーさぁが担うこととなり、平成 17年 10 月にス
タートしました。
スタートしたときから現在まで、「健軍くらしささえ愛工房」には、
行政や福祉団体等、全国から多くの視察者が訪れています。
県営住宅(健軍団地) 1階
健軍くらしささえ愛工房 2~9階(50戸)
ユニバーサルデザイン
※2
に
より整備された公営住宅
プロジェクトの特徴(重点施策、県単独施行)
●公営住宅とまちづくり型の福祉施設の併設による先駆的な取組み
●高齢者・障がい者・子ども等の地域共生を目指した取組み
●構想段階から地域住民や地元商店街と連携
(2)サービス付き高齢者向け住宅供給事業
◎サービス付き高齢者向け住宅とは、高齢者住まい法に基づき登録さ
れた賃貸住宅です。
医療・介護と連携し、高齢者の住まいにふさわしいバリアフリー構
造とケアの専門家による安否確認や生活相談サービスを提供する
ことなどにより、高齢者が安心して暮らすことができる環境が整っ
ています。入居対象者は、60歳以上の単身又は夫婦世帯等です。
〇平成24年度から熊本県サービス付き高齢者向け住宅制度要項及
び補助金交付要項に基づき、サービス付き高齢者向け住宅に係る
整備費を対象に助成措置(補助率1/5(改良の場合は2/3)、
限度額160万円/戸)を実施しています。
〇より良質な賃貸住宅ストックの形成を推進するために、国の整備
基準に加えて、県独自の付加基準(※)を設けています。
※本県独自の付加基準
①車いす使用者でも通行しやすい出入り口や廊下幅、便所・浴室
における介助スペース、便所・浴室・脱衣室・玄関への手すり
の設置など高齢者に配慮した基準に適合する必要があります。
②地域とのコミュニティ形成や、サービスの提供、可能な限り木
造化及び内装の木質化を図る必要があります。
【補助実績】5件 114戸(平成26年度予定含む。) 【高齢者にふさわしいハード】
・バリアフリー構造
・一定の面積、設備
【安心できる見守りサービス】
ケアの専門家による
(3)公営住宅ストック総合改善事業
戸数
~H22 761
H23 169
H24 134
H25 106
H26 138
※
合計 1,308
便所: 段差解消、手すり設置、
便座用コンセント設置
浴室:段差解消、手すり設置(3か所)、
浴槽取替(シャワー付混合水栓)
◎県営住宅の既存ストックの有効活用を図るため、今後も引続き長期的な活
用が見込まれる団地において、住戸の床や設備等の更新の際、床段差の解
消や手すりの設置、高齢者向け浴槽の設置など、高齢者対応の改善工事を
積極的に行っています。
整備実績 16団地