市場と効率性
パレート効率性(パレート最適性)
• パレート最適な( Pareto optimal/ Pareto efficient a llocation )配分とはパレート改善( Pareto improvemen t )が不可能な配分.しばしば,単に「効率的な」配分 ともいう.
• パレート改善:誰も損することなく,少なくとも1人に 便益を与えることができること. 現状ではまだ無駄が ある.
• パレート改善の例:これからみんながハッピーになれる 状態.
• パレート改善ができない(効率的)ということは「ギス ギス」したゼロサム的な状態?
市場原理主義?
• 市場に任せていれば全てうまくいく?
– 公共部門(政府)の役割はない??
• 厚生経済学の第1基本定理
– 競争(ワルラス)均衡はパレート効率的である.
• ここで学ぼうとすること
– 競争均衡とは?
– パレート効率性とは?
– エッジワースの箱形ダイアグラム
– 厚生経済学の第1基本定理の図をもちいたスケッチ – 厚生経済学の第2基本定理
消費の効率性
エッジワースの箱形ダイアグラム(パ
レート最適を図示する)
yA
xB O
B
yB xA
OA
B の y の消費量
A の x の消費量 A の y の消費量 B の x の消費量
エッジワースの箱形ダイアグラムにおけ
る A の無差別曲線
yA
xB O
B
yB xA
OA
IA IA’
IA I
A’
エッジワースの箱形ダイアグラムにおけ
る B の無差別曲線
yA
xB O
B
yB xA
OA
IB’ IB IB
IB’
F= 初期保有量 ; F→J パレート改善
yA
xB O
B
yB F
xA OA
IB’
IA J
IA’ Q
IB IB
IB’
IA I
A’
契約曲線( contract curve)
yA
xB O
B
yB F
xA OA
IB’
IA J
IA’ Q
IB IB
IB’
IA’ I
A’
パレート効率的(最適)な配分
• MRSA (UA/xA)/(UA/yA)
• MRSB (UB/xB)/(UB/yB)
• 契約曲線=2人の無差別曲線が接する( MRSA = MRSB)配分
– 2人の無差別曲線が接する配分(例えば Q )
– そこでは,どこへ移動しようが少なくとも誰かの効用が減少する.
– そのような配分ではパレート改善が不可能=そのような配分はパレート 効率的
• 2人の無差別曲線が交わる配分(契約曲線以外の配分)
– 2人の無差別曲線が交わると「レンズ」ができる.
– F で交わる無差別曲線からできるレンズ内の配分(例えば J )は, F から のパレート改善が可能
– したがって,契約曲線以外の配分は非効率的.
厚生経済学の第 1 基本定理
• 競争均衡( competitive equilibrium) はパレート 最適である.
• 消費者が与えられた(=自分ではコントロールする ことができない)価格(交換比率)に対応して財を 購入(交換)している.
• 各個人は同じ財であるならば同一の価格に直面して いる.
• このような世界で,各財の需要と供給が一致するよ うな , 各財の価格と個人への財の配分の組合せを 競争均衡(もしくはワルラス均衡)という .
消費者の選択
• A の効用関数 : UA = UA(xA, yA)
• A の予算制約 : pXxA + pYyA = pXXA + pYYA – 財 X の初期保有量 : XA
– 財 Y の初期保有量 : YA
– 財 X の価格 : pX – 財 Y の価格 : pY
• 予算制約の考え方
– 財 X の消費xAをxA > XAとしたい場合,財 Y の消費yAをYAより少なくし
,その少なくなった部分 (YAyA) を市場で売却し,それで手に入れたお 金 [pY(YAyA)] で財XをpX(xAXA) 支払って購入しxAを増加させる.
– pY(YAyA) = pX(xAXA) → pXxA + pYyA = pXXA + pYYA
X A Y A X A Y A
p x p y p X p Y
X X
A A A A
Y Y
p p
y X Y x
p p
� �
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, A( , )/( , )/
X A A A A
XY A A A
Y A A A
p U x y x
MRS x y
p U x y y
� �
�
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, A( , )/( , )/
X A A A A
XY A A A
Y A A A
p U x y x
MRS x y
p U x y y
� �
�
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ワルラス調整過程
• ある財の所与の価格水準のもとで,当該 財に超過需要が存在していれば,その財 の価格は上がる.
• ある財の所与の価格水準のもとで,当該 財に超過供給が存在していれば,その財 の価格は下がる.
OB
(pX/pY)XB+YB yB
xB
CB
YB XB
,
A B A B
A B B A
x x X X X
x X x x X x
�
,
A B A B
A B B A
y y Y Y Y
y Y y y Y y
�
消費市場(交換)の最適性
, * ,
A X B
XY A A XY B B
Y
MRS x y p p MRS x y
p
厚生経済学の第 2 基本定理
• 厚生経済学の第 1 基本定理→市場が完全競争 市場であるかぎり,(パレート)効率性の観 点に限れば,公共部門の介入の余地はない.
• 適切な初期保有量の再分配によって,任意の パレート最適な資源配分を競争均衡として維 持できる.
• 公共部門の役割は再分配のみに見いだせる
.
生産における効率性
生産
• 生産要素は労働と資本
– LX: X 財生産に利用される労働 – KX : X 財生産に利用される資本 – LY: Y 財生産に利用される労働 – KY : Y 財生産に利用される資本
– この経済に存在する労働の総量 : L = LX + LY
– この経済に存在する労働の総量 : K = KX + KY
• ひとつの財にひとつの企業が存在すると仮定(以下,財 X を例 に説明)
• 財 X の生産関数
X = F(LX, KX)
生産関数と等量曲線
• (LX, KX) → X
• 同じ生産水準 を与える (LX, KX) の組合せ を真上から見 たもの
• 等量曲線( is oquant )とい う.
X
KX
LX X
等量曲線の特質
• 2 つの生産要素が財の生産増に繋がるなら 右下がり.
• 原点に対して凸(生産に関する仮定によ る)→「凸技術」という
• 等量曲線は交わらない
• 右上に位置する等量曲線ほど高い生産量 を表わす
技術的限界代替率
• 技術的限界代替率 (marginal rate of technical substitution)→ 等量 曲線の傾きの絶対値
• X = F(LX, KX) を全微分する.
dX = (F/LX)dLX + (F/KX)dKX
• ここで
– F/LX: 労働の限界生産 – F/KX: 資本の限界生産
• 等量曲線はXを変化させないLXとKXの組合せだから, dX =0 として,そ の傾き= dKX/dLXをもとめると:
0 = (F/LX)dLX + (F/KX)dKX
dKX/dLX = (F/LX)/(F/KX) < 0
• 技術的限界代替率
27
, (( ,, )/)/
X X X X
LK X X
X X X
F L K L MRTS L K
F L K K
� �
�� �
, ,
X Y
LK X X LK Y Y
MRTS L K MRTS L K
Y , Y
Y G L K
費用最小化問題
• 生産に必要となる費用
• C = WLX + RKX
• W: 労働の価格(賃金率)
• R: 資本の価格(資本のレンタル価格)
• 最小化問題:一定の生産量 X を生産する ための最小の費用をもたらす生産投入量
( LX, KX )を選ぶ.
KX
LX
F
W/R C’/R
C’’/R C’’’/R
企業の費用最小化と生産要素選 択
, (( ,, )/)/
X X X X
LK X X
X X X
F L K L W MRTS L K
R F L K K
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�
� �
要素需要と費用関数
• 労働の要素需要関数 : (Y, W/R)→LX
• 資本の要素需要関数 : (Y, W/R)→KX
• 費用関数
X ,
X
L L Y W
R
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� �� �� � �� ��
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, , , ,
X X W X W
C X W R W L X R K X
R R
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� , �
X X
K K Y W
R
利潤最大化と限界費用
• 利潤 :
• 利潤最大化 :
• 限界費用 :
• 利潤最大化→市場価格は限界費用に等し い
• ここで,
• したがって,
, /
X
p X CX � X W R
, / / 0
X
pX �C X W R �X
, / /
X
MCX ��C X W R �X
, / , /
X
X X X X X X
W R
MC �F L K �L �F L K �K
X X
p MC
, X,, X // X
X
LK X X
X X X
F L K L W MRTS L K
F L K K R
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�� �
限界費用と限界生産(その 1 )
• 限界生産:労働を 1 単位増加させたときの生産量 の増分
• 限界生産の逆数 : 生産量を 1 単位増加させたとき 必要となる労働の増分(資本は固定)
• 生産量を 1 単位増加させたときの労働にかかる費 用の増分(資本は固定)=限界費用
X, X
X
F L K L
�
�
X , 1X / X LX
F L K L X
�
� � �
X ,WX / X W LX
F L K L X
��
� � �
限界費用と限界生産(その 2 )
• 限界生産:労働を 1 単位増加させたときの生産量 の増分
• 限界生産の逆数 : 生産量を 1 単位増加させたとき 必要となる労働の増分(資本は固定)
• 生産量を 1 単位増加させたときの資本にかかる費 用の増分(資本は固定) = 限界費用
X, X
X
F L K K
�
�
X, 1X / X KX
F L K K X
�
� � �
X , RX / X R KX
F L K K X
��
� � �
限界費用と限界生産(その 3 )
• ある組合せ( LX, KX)で :
ならば,労働投入LXを増やす.
ならば資本投入 KXを増やす.
• したがって最適な組合せ( LX, KX)では
となる.さらに,
, / , /
X
X X X X X X
W R
MC �F L K �L �F L K �K
X ,WX / X X , RX / X
F L K L F L K K
� � � �
X ,WX / X X , RX / X
F L K L F L K K
� � � �
財 Y の生産にも同様に…
• 財 Y の生産関数 :
• 利潤最大化より :
• 限界費用 :
• 要素価格比率
• ここから,要素価格市場では
( ,Y Y ) Y G L K
Y Y
p MC
, / , /
Y
Y Y Y Y Y Y
W R
MC �G L K �L �G L K �K
, Y,, Y // Y
Y
LK Y Y
Y Y Y
G L K L W MRTS L K
G L K K R
� �
�� �
, ,
X Y
LK X X LK Y Y
MRTS L K W MRTS L K
R
生産可能性曲線
PPC: production p
ossibility curve
限界転換率
(MRT: marginal rate of transformation)
• 【財 X と財 Y の場合】要素市場において契 約曲線上の生産要素が選択されている場合
, X を 1 単位増加したときに, Y がどれく らい減少しなければならないかを表わす.
• X の増加 dX>0→dX に伴う費用増 MCXdX
• X の増加 dX>0→Y の減少 dY<0→ dY に伴う 費用減→ MCYdY<0 → MCYdY
• MCXdX= MCYdY →
39
d d
X X
Y Y
MC p MRT Y
X MC p
�
生産の効率性
• 総生産額 :
• 生産可能性曲線を所 与として,総生産額 を最大化する X と Y の組合せ.
O X
Y Z’/pY
Z*/pY Z”/pY
X Y
X
Y Y
Z p X p Y p
Y Z X
p p
�
X Y
MRT p
p
交換と生産の効率性
シトフスキー集合
• 消費者が消費する(複数の)財の総量の組み合 わせ( X, Y )からなる集合
– X xA + xB – Y yA + yB
• その( X, Y )はどのような特徴をもつか.
– 消費者の効用水準のある組み合わせ( u’=[uA, u
B] )が与えられたと考える.
– ( X, Y )の各 xk, ykをうまく各個人に配分すれば
,各個人が ui以上の効用水準を得ることができる.
例: 2 人 2 財の場合
OA x
A
yA uA
OB x
B
yB uB
例: 2 人 2 財の場合
OA x
A
yA uA x B O
B
y u B
B
例: 2 人 2 財の場合
OA x
A
yB Ax uA B O
y u B
B
Y X
例: 2 人 2 財の場合
OA x
A
yB Ax uA B O
y u B
B
O x B
B
y u B
B
O x B
B
y u B
B
例: 2 人 2 財の場合
O X
Y
UA xB
yB UB
シトフスキー集合
CIC: Community Indifference Curve
X Y
MRT p
p 6 4 7 4 8
生産における効率性
( , ) ( , )
A B
X
XL A A XL B B
Y
p MRS x y MRS x y
p
1 4 4 4 4 4 4 4 2 4 4 4 4 4 4 4 3
消費における効率性
O
Bにおける CIC の傾き (1)
• 財市場の均衡(供給=需要)
① X = xA + xB dX = dxA + dxB
② Y = yA + yB dY = dyA + dyB
• 個人の消費における x と y の変化
③ dyA/dxA = MRSA dyA = MRSA dxA
④ dyB/dxB = MRSB dyB = MRSB dxB
• 交換の最適性
⑤ MRS* = MRSA = MRSB
O
Bにおける CIC の傾き (2)
• ② に③と④を代入
dY = MRSA dxA MRSB dxB
• 交換の最適性(⑤ MRS*=MRSA=MRSB)より dY = MRS*(dxA + dxB)
• 市場均衡(① dX = dxA + dxB )より dY = MRS*dX
• したがって,
dY/dX= MRS*=MRSA=MRSB
• つまり,OBにおける CIC の傾きは基点となった A と B の無差 別曲線の傾きに等しい .
厚生経済学の第 1 基本定理が成立しない
場合 : その 1
• 市場は競争的であるが,生産者価格と消 費者価格が乖離する.
– 課税 – 補助
– 公共部門と民間部門の間の情報の非対称性
, ,
A X B
XY A A XY B B
Y
MRS x y p MRS x y p
X Y
MRT p
p
厚生経済学の第 1 基本定理が成立しない 場合その 2: 市場の失敗
• 市場は存在するが競争的( price taking, fre e entry, perfect information )でない場合
– 独占 – 寡占
– 情報の非対称性 – 自然独占
• 市場が存在しない場合.
– 外部性(外部不経済,外部経済) – 公共財(外部経済の特殊ケース)