三火会_140617 担当:浅沼知行氏 林メモ 1 / 2 神奈川銀杏会 三火会 報告
開催日:2014/06/17(火)
話題提供者:浅沼知行氏(S52 法)「神奈川の最近の図書館事情」
内容:昨年 3 月神奈川県を定年退職。神奈川県立図書館に最後に勤めた。最近の図書館の事情に ついて紹介したい。電子書籍への対応、山梨県の場合は阿刀田高氏を館長に迎え利用者が増加し た例などがある。経費節約で予算をカットするケースもある。また、指定管理者制度を採用する 例もあり最近の図書館事情は変化している。今回は神奈川県の公立公共図書館について紹介す る。公立図書館は条例によって設置されているものと、そうでないものとがある。これ以外に大 学図書館も 35 ある。県内の図書館は鎌倉町立図書館が明治 44 年(1911 年)で初めになる。御 大典記念図書館は関東大震災で倒壊し、書籍は小田原図書館に移管した。県立金沢文庫は中世文 化研究を目的とした専門図書館としての特色がある。県立図書館は西区紅葉丘に前川国男設計で 建設した。県立川崎図書館は自然科学系を主眼、紅葉丘の図書館は文科系を中心として機能分化 している。最近できた図書館はケアプラザなどと併置。武蔵小杉駅前ビル内に設置した図書館は 利用者が増加している。一方、司書の採用を停止しているために、非常勤職員が大半になってい る。利用者へのサービスとして開館時間の延長などが行われていて、横浜市中央図書館、青葉区 にある横浜市山内図書館は夜 8 時 30 分まで開館。開館時間は図書館によるもので、統一的なも のはない。年中無休のケースもある。職員数は変化ないので、職員にしわ寄せがきている傾向が ある。対策が課題。神奈川県では蔵書数百万冊、横浜市中央図書館は百六十万冊。川崎市は二百 万冊。藤沢市が百二十万冊。児童書の貸出(児童の利用)が全体の三割程度になっている。読み 聞かせなどの効果と思われる。予算には人件費は入っていない。施設管理、システム維持などの 費用になる。コレクションについて、県立図書館には戦時文庫がある。解体新書など、実際に触 れることが可能。色々なお宝コレクションがある。海老名市中央図書館には国分寺関連コレクシ ョンがある。かながわ女性センターの蔵書が県立川崎図書館に移転された。県立図書館の改革の 動向について、県立図書館の閉鎖が一時提案されたが、反対運動をうけて県教委が撤回した。 2013 年 12 月に「知の拠点」として再整備する方針になった。指定管理者制度について、山内図 書館は平成 27 年度からの指定管理者を公募中。地域指導の蓄積なども必要であり、恒常的な課 題である。職員の育成などについては模索中。
浅沼氏の話題提供に引き続いて、参加者から次のような議論があった。①書籍の廃棄の基 準があるのか。回答:県立図書館では基本的に廃棄しない。市立の場合は最後の一冊は残して廃 棄。雑誌類は蔵書の中に数えられていない。雑誌の場合は、一誌について当番施設が保管する約 束になっている。冊数は累積になる。②図書館の経費について、人件費と委託費は大きな部分を 占めるはずだが。回答:司書が 50 人、ほとんどが非常勤。③利用者として、図書館のサービス が良いと感じている。また、移動図書館は便利だ。回答:図書館関係者が研修をきちんとしてい る。人によって便利さが異なる。④老人ホームの図書利用について、自立型の人たちは本を喜ぶ が、要介護の施設では減らしている。反面、老人が図書館をコミュニティーとして利用するよう になっている。回答:図書館の性格が変化している。教育委員会の所管から、まちづくりの方に 移管する傾向もある。⑤利用者側から見ると県立と市立とは区別がない。回答:大震災の後に、 壊滅状態になったときに、県立図書館は情報を持っていたことで有効だった。⑥図書館のネット 利用について、ネット予約が可能なのは便利。⑦図書選定について。回答:図書選定委員会は神 奈川県の場合は 2 週間に一度開催。科学雑誌については、県の場合は、川崎で購入するようにし ている。⑧大学図書館との連携。回答:4〜5 大学図書館との連携はある。⑨図書館には民度を高 めるという機能もある。司書の育成はどうなっているか?回答:司書の本職員としての採用は極 めて少ない。非常勤採用の場合は生活ができるか難しい。一方では、図書館法が 2008 年(H20) に改定され、司書資格を得るための履修科目の変更、研修などを基準で明確にするようになっ た。司書と学芸員とがよく比較され、司書は窓口対応を重視している印象があるが、実際はリフ ァレンスが重要。司書と学芸員は制度上は連携するようになっている。指定管理者制度との関連 で問題がある。⑩外国では司書はライブラリアンとして地位が高い。利用者の要望にどう対応で きるかが課題。開館時間について、ヨーロッパでは 11 時まで開館している。回答:日本でも大 学は夜遅くまで開館している。⑪「知の拠点」としてどの程度考えているかを知りたい。図書館 のアーカイブをどうするか、媒体をどうするか、場の利用をどうするかの 3 点の方針を明確にし
三火会_140617 担当:浅沼知行氏 林メモ 2 / 2 ているのか。例として、地方図書館が持つ地域資料は電子化されていないために検索が困難。情 報を っていく技術が必要なのだが、これは司書としての経験の蓄積が必要だ。回答:学習活動 など、恒例的な言葉を並べた程度で、物足りないところがある。いろいろな動きをどうして行く かが今後決まってくる。⑫今後の図書館としては学芸員的なものに重きを置いて、地域の歴史情 報を集めるなどが必要だ。そのためには司書の育成が必要。例えば慶応大学には図書館学科があ る。回答:神奈川県の場合は町のレベルの図書館がかなりしっかりしている。例えば葉山町は司 書が館長をしている。町民との距離が近いか。司書に期待したい。⑬図書の選定委員をオープン にした方が良い。回答:選定の過程が難しい。一冊購入の場合もかなり調べている。⑭蔵書につ いては住民の力を借りることが必要。例えば、戦災についての記録が一切なかった。回答:ハー ドカバーでなくても、司書がカバーをつけて整理している例もある。館長がよく理解しているか どうかだ。購入できないもの、書店に出てこないものなどの資料の情報もある。横浜や鶴見の図 書館は古い写真を集めている。1920 年代の写真などが収められている。また、歴史資料館、新 聞資料館などにアーカイブがある。⑮社会教育施設としての施設がどうなっているか。公文書館 は図書館法の規制を受けない。金沢文庫も図書館法からは外れている。ベルツ博士の資料が東大 図書館にしかないが、卒業学部で証明書をもらうと東大図書館に入れる。町村合併の結果電子デ ータの公表がなくなっている。回答:相模原市の合併の例。自由民権が盛んだったが、古い資料 がどうなっているか不明。(文責:林しん治)