「つくばすこやか給食センター豊里」の整備に係る
評価検証報告書
平成28年3月
はじめに
つくば市の学校給食は,TX沿線開発などによる児童生徒の増加に伴う給食調理
能力の拡充,既存給食センターの老朽化,現行の「学校給食衛生管理基準」への対
応,学校給食を通した食育推進などが課題となっていた。これらの課題を解決する
ため,平成22年11月に「つくば市立学校給食センター整備基本計画」を策定した。
この計画に基づき,平成26年4月に,つくばすこやか給食センター豊里(以下「す
こやか給食センター」という。)を整備した。
すこやか給食センターの整備に当たっては,施設整備内容や調理業務の実施方法
等について検討を重ね,HACCP(ハサップ)の考え方に基づいたレイアウトとドラ
イシステムで衛生管理を徹底し,8,500食を余裕を持って調理出来る最新設備に加
え,近年の大きな課題である食物アレルギーにも対応した施設を整備した。
今後,「つくば市立学校給食センター整備基本計画」に基づく「(仮称)新谷田部
学校給食センター」を整備推進するに当たり,「すこやか給食センター」の施設及
び運営の両面における評価検証を行った。評価検証に当たっては,専門的知識が必
要となる除害施設及び光熱水費を含めた主要熱源方式について業務委託を行い,そ
○目 次
1 整備概要-----------------------1
(1) 施設概要----------------------1
(2) 整備費-----------------------2
(3) 整備スケジュール------------------2
2 評価検証-----------------------3
(1) 施設面-----------------------3
ア 衛生管理----------------------3
イ 熱源システム--------------------4
ウ 新たな調理等設備------------------4
エ 生ごみ処理設備-------------------7
オ 除害施設----------------------7
カ 配送回収ドックシェルター--------------8
キ アレルギー対応調理室----------------8
ク 見学対応施設--------------------9
ケ 調理員休憩場所等------------------9
コ 環境負荷軽減設備------------------10
サ その他-----------------------10
(2) 運営面-----------------------12
ア 職員体制----------------------12
イ 食数及び献立数-------------------12
ウ 調理業務委託--------------------13
エ 配送業務委託--------------------14
オ 見学者等受入--------------------14
カ 供用開始前の準備期間----------------14
キ 労働安全衛生管理体制----------------15
(3) その他-----------------------16
ア 光熱水費----------------------16
3 総括-------------------------17
1 整備概要
(1) 施設概要
ア 施設整備方針
すこやか給食センターは,次の6つの方針に基づいて整備した。
① 確実な衛生管理
HACCPの概念を取り入れたドライシステムによる施設整備
② 安心・安全でおいしい給食の提供
食物アレルギーへの対応(アレルギー室の設置)
③ 効率の良い調理環境の確保
最新の調理機器の導入(カゴごと洗浄器等)
④ 食育の推進と食育啓発施設の充実
見学スペースや研修室の設置
⑤ 環境負荷の軽減
環境配慮設備導入(太陽光発電・太陽光温水利用)
⑥ 維持管理費の効率化
節水型・エネルギー再利用型等の設備機器の採用(LED照明等)
イ 所在,立地環境等
・所在地:つくば市高野1197-17
・立地環境等:当該敷地は,市所有の旧豊里庁舎敷地であり,広い駐車場が
あったことから,その一部を活用した。同敷地内には,豊里交
流センター,市民ホールとよさと等の公共施設が立地している。
また,当該施設の南側には,豊里窓口センター,豊里体育館,
グランドといった公共施設が立地,西側,北側には,一般住宅
が数軒立地している状況である。
ウ 敷地面積:8,364㎡
エ 建物面積
・延床面積:本体3,166.39㎡(1F:2,563.98,2F:602.41㎡)
車庫243.20㎡,ポンプ室8.00㎡,排水処理設備機械室6.40㎡
・建築面積:本体2584.31㎡
カ 調理能力:8,500食
(2) 整備費
ア 総事業費:1,788,733千円
(内訳)
・建築工事:1,571,850千円
・調査測量等業務委託:4,909千円
・設計監理業務委託:42,033千円
・既存車庫等解体・外構等工事:80,686千円
・備品等:89,255千円
イ 財源内訳
・国庫支出金:171,833千円(学校施設整備環境改善交付金121,833千円,
元気臨時交付金50,000千円)
・地方債:1,159,200千円
・一般財源:457,700千円
・合計:1,788,733千円
(3) 整備スケジュール
・平成22年11月 つくば市立学校給食センター整備基本計画策定
・平成23年4月 土壌調査,ボーリング調査,電波障害調査
~24年3月
・平成23年7月 基本設計・実施設計・施工監理業務委託
~26年2月
・平成24年6月 既存車庫等解体工事,外構等工事
~27年9月
・平成24年12月 建築工事
~26年1月
・平成25年8月 プロポーザル方式による調理業務委託業者選定
2 評価検証
(1) 施設面
ア 衛生管理
【整備等状況】
現行の学校給食衛生管理基準及びHACCP(ハサップ)の考え方に基づいた
レイアウトとドライシステムを採用した。調理室等の床を汚染・非汚染エリ
アに色分けし,食材の搬入から調理まで「肉・魚」と「野菜」などのルート
を分離した。汚染・非汚染エリア間は,食材のみを一方通行で受け渡すパス
スルー方式を採用し,調理作業工程に沿った一方通行(ワンウェイ)の調理
動線を確保している。調理場内に入るには,消毒された専用靴に履き替えて,
エアーシャワー室と手洗い室を通るようになっている。手洗い器具は,直接
触れないよう自動水栓を使用し,各作業室の開閉ドアは自動で,食材入荷室
等には外部からの塵や害虫侵入防止のためのエアーカーテンも整備した。
【評価検証】
HACCPの考え方や学校給食衛生管理基準に基づいたレイアウトとドライシ
ステムは,衛生管理が徹底されている。汚染・非汚染エリアの色分けによる
区分やパススルーで食材を受け渡すワンウェイの調理動線の確保は,高い衛
生管理と作業能率を両立させている。
新施設((仮称)新谷田部学校給食センターをいう。以下同じ。)では,当
施設を参考としたレイアウトとドライシステムを導入することが望ましい。
※HACCP(ハサップ):Hazard Analysis Critical Control Pointの頭文字か
らとったもので,「危害分析重要管理点」と訳されている。食品の受け入れ
から製造・出荷までの工程において,危害の発生を防止するための重要ポイ
ントを継続的に監視・記録する衛生管理手法であり,1960年代にアメリカで
イ 熱源システム
【整備等状況】
主要熱源は,「ガス熱源方式」を採用した。「ガス熱源方式」「ガス+電気
熱源方式」「オール電化方式」の3案を検討した結果,建設地が都市ガスの
供給地域で耐震性の高い中圧ガス供給方式による安定した供給が可能で「オ
ール電化,ガス+電気」方式に比べランニングコストが最も安く,イニシャ
ルコストとのバランスが優れていることや「オール電化方式」は大量調理で
の実績が少ないことなどから「ガス熱源方式」を採用した。調理室へは都市
ガスを熱源とした蒸気ボイラーで蒸気を送り,空調はガスヒートポンプエア
コン及びガス吸収式冷温水機を採用した。
【評価検証】
採用した主要熱源(都市ガス)は,供用開始後安定して供給され円滑な大
量調理業務を支えている。また,この熱源方式で想定(基本設計時)した光
熱費(電気・ガス)は,年間で約33,600千円(ガス約16,600千円,電気約17,
000千円)に対し,結果は約32,300千円(H26.10~27.9月分,ガス約14,500
千円,電気約17,800千円)であり,都市ガスが利用できたことで,光熱費全
体が抑えられたと言える。このことから,採用した熱源方式は適当であった
と考える。
新施設では,建設予定地が都市ガスの供給地域であり,今回のガス熱源方
式を有力候補に比較検討することが望ましい。
ウ 新たな調理等設備
① コンテナイン消毒保管庫(食器類消毒保管庫)
【整備等状況】
コンテナに食器類を入れたまま,翌日までに食器類とコンテナを熱風で
消毒し保管する機器である。コンテナの消毒保管には他に「コンテナ室消
毒方式」と「天吊式消毒方式」があったが,コンテナの外側,キャスター
【評価検証】
ノロウィルス対策など衛生的に優れており,消毒保管庫内にコンテナご
と収納できるため,機能的である。電気使用量が嵩むが,リレー運転する
ことで最大電力量を抑制している。また,当該設備を導入したことで,コ
ンテナのサイズが従来より大きくなり,一部の学校でダムウエーダーが使
用できないことや安全性の観点等から配膳員を配置した。
新施設では,衛生管理とランニングコスト,スペースを考慮して消毒保
管方式を検討する必要がある。また,同様の消毒保管庫の場合は,電気式
以外のものも検討する必要がある。
② 洗浄機
【整備等状況】
コンテナ・食器類を洗浄する機器として,コンテナ洗浄機1台,カゴご
と食器洗浄機2台,食缶洗浄機1台を整備した。
【評価検証】
いずれの機器も衛生的で作業効率に優れているため,8,500食分の食器
等を2時間弱で洗浄が完了する。カゴごと食器洗浄機は,食器をカゴの中
で立てた状態で隙間に高圧の洗浄水をあて洗浄する。洗い残しがほとんど
なく,すすぎ水を再利用する省エネタイプのため,水の使用量も抑えるこ
とができる。上下水道料金・量を既存センターと比較すると抑制されてい
る。
新施設では,当施設同様3種類の機器について導入検討することが望ま
③ 揚げ・焼き物室調理機器
【整備等状況】
揚げ・焼き物等の調理機器は,省スペースの中で,8,500食,3献立に
対応させるため,SVロースター(連続式過熱水蒸気調理機),スチーム
コンベクションオーブン及び自動フライヤーの組み合わせで整備した。
SVロースターは,高温(350℃)の過熱水蒸気を活用して解凍から焼
き上げ,蒸し物等料理まで対応できる複合調理機器で食品の酸化抑制と栄
養素保持が可能な電気式のものを1台整備した。同じく複合調理機器のス
チームコンベクションオーブンは,温風と水蒸気を用いて調理を行い,焼
物,蒸し物等の調理が可能であり,ガス式のものを4台整備し,3台は揚
物・焼物室へ,1台は和え物室に設置した。自動フライヤーは,揚げ物用
でガス式のもの2台を整備した。
【評価検証】
SVロースターは,連続調理が可能なため一度に大量調理(冷凍ハンバ
ーグ60gを1時間当たりでの調理可能数は,スチームコンベクションの3.
5台分の調理能力がある。)が可能であり,焼きムラも無く効率性が高い調
理機器である。ただし,大量の熱源を必要とする。スチームコンベクショ
ンオーブン及び自動フライヤーは,一般的に普及している機器である。今
回,省スペースの中で8,500食,3献立に対応するため,3つの機器の組
み合わせで整備したことで,各献立への柔軟な対応が可能となっている。
また,一つの機器が故障した場合に代替が可能となる。
新施設では,調理場全体のスペース,食数,献立数に応じた機器の組み
エ 生ごみ処理設備
【整備等状況】
調理及び給食の食べ残し等(人が咀しゃく・消化可能な物)の生ごみを籾
殻菌床で発酵分解し,生ごみが消滅し雑排水のみを下水道へ放流するシステ
ムを県内の給食センターでは初めて導入した。
【評価検証】
残渣のほとんどを処理(1日の平均処理量約650kg,年間処理量約127,400
kg。運搬処分委託料に換算すると年間で約2,200千円。)できるため,ごみ処
理場に運搬し処分する廃棄物量は,既存の給食センターに比較して少なくな
っている(約1,900食提供の大穂給食センターより27年4月から12月分の平均
で1か月当たり約1,100kg少ない。)。このことから環境負荷の軽減にもつな
がっている。
新施設では,他部署で計画しているリサイクルセンター建設事業内容を把
握しながら導入検討することが望ましい。
オ 除害施設
【整備等状況】
調理場から排出される雑排水を公共下水道に流すに当たり,下水道放流基
準を満たすまでに処理する施設である。当該除害施設は,微好気性微生物に
よる処理を行い,余剰汚泥の発生を抑制できる施設として整備した。
【評価検証】
微好気性微生物による処理は,余剰汚泥が少ないというメリットはあるが,
その機能を十分に機能させるための維持管理(微生物管理)が難しい面があ
る。また,除害施設への原水に脂分が多かったことや,気温が高い時期など
に臭いが発生することがあった。そのため,残渣処理室と除害施設の間にグ
リーストラップを設置し,油分の処理を行うなどの処置を施した。また,脱
臭装置等の設置を検討している。
ったことや濃度の高い洗剤使用等,また,微生物管理が難しいことなどが原
因で微好気性微生物が順調に生育せず一部死滅したことなどから,除害施設
蓋部分等から臭いが漏れたと考えられる。
新施設では,処理方式の他,排水処理能力に余裕を持たせることや脱臭対
策についても検討することが必要である。また,設計段階から選択する除害
施設が適切に機能するための留意事項などについても十分に検討していく必
要がある。
カ 配送回収ドックシェルター
【整備等状況】
配送車が給食出荷及び食器回収するためプラットフォームに施す施設であ
る。2tロングボディの配送車が利用できるよう整備した。配送車がドック
シェルター前の定位置に駐車すると,コンテナ等を出し入れする際にプラッ
トフォームの開口部と配送車の隙間をクッション性のあるウレタンフォーム
などがしっかり密閉し,外気や害虫の侵入を防ぐものである。配送車が利用
しない時は,いつもシャッターが閉まっている状態である。
【評価検証】
配送車が給食・食器等を積み下ろしする際,外部から調理場内に害虫等の
侵入をほぼ防止することが可能である。一方,設定した規格以外の車両は使
用が制限されるという難点があるが,衛生管理面からは有効な施設である。
新施設においても,ドックシェルターの整備を検討する必要がある。
キ アレルギー対応調理室
【整備等状況】
食物アレルギーがある子供達に乳と卵の除去食を提供するため,アレルギ
ー専用の調理室を整備した。当該調理室は,通常食との混入をなくすため独
【評価検証】
児童生徒における食物アレルギー対象者は,年々増加傾向にあり,除去食
提供に当たっては,事故防止の観点から専用調理室の設置は必要不可欠であ
る。
新施設では,除去食提供エリアの拡充要望も多いことから専用調理室の整
備と提供方法も含めた検討が必要である。
ク 見学対応施設
【整備等状況】
2階に見学通路を整備し,ガラス越しに1階での調理作業状況を見学でき
るようにした。また,太陽光パネルを利用した発電の状況などを見ることが
できるようモニターを設置したり,研修室を整備し,見学者等への説明や試
食ができるスペースを確保した。
【評価検証】
市民等に実際の学校給食の調理状況等を直接見てもらうことや試食等をす
るスペースの整備は,学校給食事業を通して食への感心や給食に関わる人々
への感謝など食育啓発施設としての役割は大きい。
新施設においても,見学ルートや研修室に工夫を凝らした見学者等対応ス
ペースの整備を検討する必要がある。
ケ 調理員等休憩場所等
【整備等状況】
調理員のための昼食場所(食堂),休憩室,更衣室等については,想定人
数と限られたスペースを有効活用するため,休憩室と食堂を兼ねたテーブル
式にした。調理業務を民間委託し調理員が50名を超えたことから,供用開始
後に労働安全衛生法に基づく横になれる休養場所を更衣室内に確保した。運
転手についても控室と更衣室を分離しなかったため,供用開始後に更衣する
【評価検証】
調理員及び運転手のための休憩等スペースについては,限られたスペース
の中で,十分には確保することが難しかった。
新施設では,調理員等の労働安全衛生向上のために,休憩・休養等スペー
スや環境の充実についても検討する必要がある。
コ 環境負荷軽減設備
【整備等状況】
電力等の一部を賄い環境負荷を少しでも軽減するため,太陽光発電設備(約
20KW,パネル108枚)及び太陽熱温水器(平板形20枚)の設備を整備した。
【評価検証】
太陽光発電設備による年間発電量は,26,346KW(27年1月~27年12月まで
の1年間)であった。施設全体の同時期の電気使用量(664,408KW)からする
と約4.0%の電力量を賄った。太陽熱温水器は,各洗浄機等の温水の一部に
活用されており,電力やガス使用量を削減している。発電量,温水量ともに
全体からすると少ないが,環境モデル都市として低炭素社会づくりの施策の
一環としてCO2排出量削減に寄与している。また,見学通路に発電状況を見
ることができるモニターを設置したことで,見学者への環境意識の高揚に資
することができた。
新施設では,環境負荷軽減設備を積極的に取り入れるよう検討する必要が
ある。
サ その他
① 全体的な作業スペース
【整備等状況】
限られた面積の中で汚染区域と非汚染区域を分離し,調理員の動線を確
保した。8,500食3献立の調理が効率的に行えるよう調理機器等を配置す
【評価検証】
全体的には,作業動線がよく考えられ機能的であるが,野菜入荷室,洗
浄室,釜と釜との間や揚げ・焼き物室など十分な広さが確保できず,作業
がやりにくい場所がある。また,食数が多いことで,下膳の際,回収前室
にコンテナが入らず,配送車に積載したまま待機している状況である。
新施設では,必要とする調理場面積の確保と適切な作業スペースの確保
を検討する必要がある。
② 床面仕上げ
【整備等状況】
調理場内は床に滑らかな塗装(エポキシ樹脂塗)を施し,汚染区域,非
汚染区域(加熱前),非汚染区域(加熱後),高度清潔区域を色分けした。
【評価検証】
床の色分けは,衛生的・作業効率的に優れており,見学者等に対しても
視覚的にアピールできている。冷凍室内の塗装は,滑りやすいため,用途
に合わせた塗装仕様を検討する必要がある。
③ 厨房エリア脱臭設備
【整備等状況】
大量調理に伴う厨房エリア内から発生する臭いを低減するため,排気系
統に脱臭装置を整備し,周辺住民等へ配慮した。
【評価検証】
厨房エリアで発生する臭気については,脱臭装置が機能しており,周辺
等への調理臭は特に感じられない。
新施設においても,周辺等に対する調理臭対策として脱臭装置の整備を
(2) 運営面
ア 職員体制
【実施状況】
当施設の管理部門として,市職員が所長1名,事務職1名,管理栄養士1
名,臨時栄養士1名の配置である。県職員は,栄養教諭2名,栄養士1名の
配置であり,全部で7名である。
【評価検証】
県の栄養士配置は,「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標
準に関する法律」の規定により3名配置となっている。栄養教諭は,学校に
配属となり給食センターは兼務であるため,週3日は学校勤務となり給食管
理業務が手薄となることなどから,市の管理栄養士1名と臨時栄養士1名の
配置は,適当な人員と言える。また,所長のほか事務職員1名についても業
務量規模からして適当な人員である。
イ 食数及び献立数
【実施状況】
8,500食を3献立に分けて調理し,豊里地区と谷田部地区の一部の学校・
幼稚園を対象としており,全22施設に提供している。
【評価検証】
すこやか給食センターの食数を決めるに当たっては,「大量調理はおいし
くない」など不安な意見もあったが,8,500食の給食提供は,カツオ節や煮
干しなどで出汁をとるなど,手作りの部分を取り入れながら余裕を持って実
施できている。また,3献立制にしたことで,献立作成や調理作業は複雑に
なるが,食中毒リスクの低減,食材購入の分散化,調理設備を効率的に使用
できるなどの利点が多い。新施設では,将来における市全体の給食提供数を
ウ 調理業務委託
【実施状況】
当施設の調理業務については,直営とするか民間委託とするかを学校給食
センター運営審議会で検討した上で,教育委員会で民間委託とすることを決
定した。主な理由としては,民間委託は,最新の衛生管理やアレルギー除去
食について企業の経験や知識を持っていること,雇用人員が多いことから柔
軟な勤務体制が組みやすいこと,既に民間委託していた筑波学校給食センタ
ーにおいても円滑な運営がされている事などである。運営審議会では,業者
は価格面だけで選定するのではなく,現在の臨時調理員の処遇などについて
も考慮願いたいとの意見があった。こうしたことを踏まえながら,公募型プ
ロポーザル方式で調理委託業者を決定した。受託業者は責任者,栄養士,調
理員等50数名の配置で,3献立のほかアレルギー食(乳と卵の除去食)を調理
している。
【評価検証】
受託業者は,平成26年1月の契約後,人員確保を含めた供用開始準備を行
った。毎日のミーティングや独自の衛生講習会などを行い,市の要求に沿っ
た衛生管理や調理技術,品質管理に努めている。衛生管理を徹底するため,
作業によってエプロン等の色分け,靴の履き替えをし,事故防止のための操
作手順を調理機器等へ貼付けするなど,随時改善に取り組んでいる。また,
手 作 り 感 を 出 し た 給 食 の 提 供 や 幼 稚 園 で の 食 育 活 動 に 積 極 的 に 参 加 し て い
る。給食自体は,3献立ともにおいしく調理ができており,学校での評判も
良い。試食した見学者のアンケート結果でも「おいしかった。」という意見
が9割を超えている。さらに,受託業者は,閉鎖した旧谷田部・豊里学校給
食センターに勤務していた臨時職員の就職希望者を雇用している。民間業者
による調理業務は,結果的に適切な運営がなされている。調理業務の民間委
託は,民間企業のノウハウを活用し,安定した給食の提供と人員確保をも可
能とすることができた。
新施設においても,民間活力を積極的に取り入れ供用開始に向けて速やか
エ 配送業務委託
【実施状況】
平成25年度に新しい給食センター(すこやか給食センター)の配送を考慮
し,民間業者と3年間の契約を結んでいた。配送車は2tロングボディ9台
を使用し,2時間喫食を基本に配送ルートを計画し実施している。
【評価検証】
配送業務は,市が車両や運転手を常時確保することは困難であり,経験豊
かな民間企業に委託する方法が合理的である。
新施設においても,市全体の配送エリア及び車両数(積載量等を含む。)
を精査し,民間委託で実施することが適切と考える。
オ 見学者等受入
【実施状況】
見学用通路や研修室を設置し,つくばの学校給食をピーアールするために,
積極的に見学者等を受け入れている。平成26年5月から27年11月までの見学
者等の受入れは,延人数で1,152人,うち試食者数は,700人であった。
【評価検証】
アンケート結果では,ほぼ全員からすこやか給食センター整備についての
良い評価を得ている。実際に給食を調理している様子を見学し,子供達と同
じ給食を食べることで保護者などは,子供と給食について話題にできるなど
喜んでおり,学校給食への理解を深めていただけたと考える。また,食材や
栄養バランス等の説明を行うことで給食への期待や食育にも繋がっている。
新施設においても,積極的に見学者の受け入れを行う必要があると考える。
カ 供用開始前の準備期間
【実施状況】
の間に調理機器の稼働や調理員の研修などを実施し,現実に学校へ給食提供
ができるか給食提供シュミレーションを実施した。
【評価検証】
施設完成後,建設業者から引き渡しを受け,供用開始に至るまでに万全の
準備が必要である。準備期間においては,実際に調理業務を実施する調理員
が調理機器等の操作方法等に慣れ,数回の給食提供シュミレーションも行う
必要がある。
新施設でも,施設引き渡しから供用開始までの準備期間として,2か月以
上を設けられるよう建設スケジュールの設定を検討することが必要である。
特に,すこやか給食センターのように,現在市が雇用している臨時職員を民
間業者が採用することなども考えると,新しい施設や調理機器の操作方法を
覚えるまで十分な習得期間がほしい。
キ 労働安全衛生管理体制
【実施状況】
建設設計の際は,調理員の総定数が50人を超えていなかったため,産業医
や衛生管理者の設置などは検討しなかった。すこやか給食センターでは,調
理業務を民間委託するに当たり,調理員等が50人を超えたため,調理業務受
託者に対して労働安全衛生管理体制の整備(産業医や衛生管理者の設置)や
衛生委員会の設置を依頼し,労働者の安全衛生管理体制が整備された。
【評価検証】
衛生委員会設置後は,定例的に開催するなど適正に運営されている。労働
安全衛生の適正管理は,労働者にとって安心して働ける職場になるよう,事
業者が環境を整えなければならない。市としても,業者に委託するだけでは
なく,労働者衛生管理が適正になされているか確認,支援する必要がある。
新施設の調理業務を民間委託する際は,労働安全衛生管理体制の整備につ
(3) その他
ア 光熱水費
【評価検証】
すこやか給食センターは,高いレベルでの衛生管理・調理設備等を整備し
たこともあり,光熱費が高い状況にある。そのため,消毒設備の運転方法に
よる最大需要電力を抑える工夫や厨房内の空調(冷暖房,給気排気)など省
エネ運転などを行い光熱費の抑制に努めているが,光熱費は高額となってい
る。上下水道費については,節水型の洗浄設備の採用によって抑制されてい
る。質の高い衛生管理と大量調理における効率性を考えると一概には高コス
トであると決めることはできない。このことは,既存給食センター3施設(桜
・茎崎・筑波)をすこやか給食センターと同規模の給食提供数に組み合わせ
をした光熱水費を比較した結果,同程度の実績であったことから証明できる。
新施設においても,質の高い衛生管理は必須であり,増加する児童生徒へ
対応するための食数を賄うため,調理における効率性を図っていくことが重
要と考える。そのためには,光熱費を多く必要とする衛生・調理機器等(今
回と同程度)の整備も必要となる場合もある。選択に当たっては,各機器ご
とに熱源を含めたランニングコストの比較検討を行う必要がある。また,光
熱水費を軽減させるため,今回同様の環境負荷軽減設備の積極導入や高効率
型照明設備(LED等)の拡充,電力消費量をデマンド監視する機器等の設置
検討,調理室内の空調・換気について,衛生管理及び安全衛生管理上とコス
ト面のバランスを考えながら,エリアの細分化や省エネコントロールが可能
なシステム導入の検討を行う。さらに,節水型の洗浄設備の導入などを検討
する必要がある。
運用面において,空調(給排気含む。)関係,衛生機器等の運転方法の習
熟度によって電力消費量等の増加を招くこともあるため,当施設の使用実績
に伴う空調範囲,設定時間,給排気量の設定,衛生機器のリレー運転などの
細かい調整,省エネ運転をすることで光熱費の縮減を図っていくことが必要
である。また,供用開始当初から光熱費縮減が図れるよう,実際に運用して
いく関係者が各設備機器の適切な取扱い方法等について共通理解を持つよう
3 総括
つくば市の学校給食が抱えていた児童生徒増加に伴う調理能力不足,既存施設
の老朽化,現行の衛生管理基準への対応などの課題を解消するための一環として,
すこやか給食センターを整備した。
それにより,児童生徒の急増にも対応することが出来ている。今後も児童生徒
の増加は続くと予想されるが,すこやか給食センターの整備によって,市全体の
安定した給食提供に寄与している。
衛生面でも,すこやか給食センターを整備したことで,高い衛生管理が徹底さ
れ,子供達に安全安心な給食を提供出来ている。また,見学スペースや研修室を
設置し,市民見学会開催を含めて積極的に見学者の受け入れをすることで,給食
調 理 の 見 学 や 試 食 な ど を 通 じ て 学 校 給食 事 業 への 理 解 と食 育 推 進に 貢 献 して い
る。
さらに,全国的に大きな課題となっている食物アレルギー対策として,すこや
か給食センター管内に乳と卵の除去食を提供することで,食物アレルギーを持つ
子供達に給食を提供できるようになった。
大量調理や調理業務委託など整備前に危惧されていた点については,3献立の
採用や効率的な調理機器等を導入することで,限られた調理時間の中で手作り感
を出すための調理を行ったり,調理業務委託業者の独自の工夫を取り入れつつ,
おいしい給食を安定して提供できている。
これらのことから,平成26年4月に供用開始したすこやか給食センターは,整
備目的を果たしており,つくば市の学校給食事業に大きく貢献していると言える。
今回の評価検証結果を新施設「(仮称)新谷田部学校給食センター」の基本設計
等に取り入れ,子供達への安全安心な給食提供や食育に生かしていきたいと考え
4 参考資料
(1) 建物平面図
ア 1階平面図
イ 2階平面図
食材
入庫
給
食
出
荷
食
器
回
(2) 見学者等受入状況及びアンケート結果
ア 平成26年5月から27年11月までの受入状況
団体数 見学者等人数 うち試食者数
保護者等 11 343 343
市内の団体等 10 181 181
他市からの視察等 18 326 31
園児・児童・生徒 5 140 0
その他(見学会含む) 6 162 145
計 50 1152 700
※見学者等の中には,シンガポール政府食獣医庁の視察研修,市民見学会(現在
まで3回実施)を含んでいる。また,市民見学会には多くの参加希望者があり
定員を超えた分は次回にお願いしている状況である。
イ 試食者からのアンケート実施結果 (回答数282名)
設問 回答 割合(%)
1 給 食 セ ン タ ー を (1)衛生管理がしっかりしていると感じた。 92.6
視察した感想はどう (2 ) 給食 を調 理 する 様子 が見 られ て良 かっ 85.1
ですか(複数回答) た。
(3)給食についての話が聞けて良かった。 59.6
(4)新しい設備が揃っているのが良かった。 61.7
(5) その他 1.4
2 給 食 セ ン タ ー が (1) 新しい給食センターになってより衛生 97.6
新しくなったことに 的になったと思う。
ついてどう感じまし (2) 今までの給食センターのままでよかっ 0.4
たか た。
(3) わからない。 1.6
(4) その他 0.4
3 あ な た の 家 庭 で (1) よく話題にしてる。 42.4
はお子さんと給食の (2) たまに話題にしている。 54.9
4 あ な た の 家 庭 で (1) 良く見ている。 49.8
は「献立表」や「給 (2) たまに見ている。 44.3
食だより」をご覧に (3) あまり見ていない。 5.9
なっていますか。
5 お 子 さ ん の 朝 食 (1) 毎日きちんと食べている。 91.2
について
(2) 食べないときもある。 8.4
(3) ほとんど食べていない。 0.4
6 学 校 給 食 に 望 む (1) 衛生管理がしっかりした給食 70.9
ことは何ですか(複 (2) 子供達がおいしく食べられる給食 82.3
数回答) (3) 栄養豊かでバランスが取れた給食 85.8
(4) 地元産の食材を多く使った給食 44.0
(5) 食への感謝,マナーなどを育む給食 47.2
(6) 郷土料理や外国料理などを取り入れた 31.6
給食
(7) その他 0.7
7 給食 ア おかず (1) おいしかった。 91.6
を 試 食 (2) 普通だった。 8.0
し た 感 (3) あまりおいしくなかった。 0.4
想 は ど イ ご飯又 (1) おいしかった。 75.3
う で す は パ ン な (2) 普通だった。 24.4
か ど (3) あまりおいしくなかった。 0.4
ウ 今日の (1) どちらかというと好きな献立 94.2
献立は (2) どちらかというと苦手な献立 5.8
エ 味付け (1) ちょうどいい。 81.2
は (2) 薄味だった。 12.3
(3) 濃い味だった。 6.5
オ 量は (1) ちょうどいい。 59.9
(3) 光熱水費に係るデータ
ア 各給食センターの主要熱源等の料金・使用量
項目 すこやか 桜 茎崎 筑波 大穂
電 気 料 金 17,780,555 6,789,405 3,858,700 3,918,002 2,770,450
(円)
同 使 用 量 679,991 239,335 149,597 60,297 35,891
(Kwh)
都 市 ガ ス 14,549,275 13,592,141 7,915,056 5,844,960 1,715,550
料金(円) (重油) (灯油)
同 使 用 量 132,845 117,180 77,031 58,000ℓ 19,065
(㎥) (重油,ℓ) (灯油,ℓ)
上 水 道 料 5,882,976 4,212,864 3,122,928 2,091,096 1,438,344
金(円)
同 使 用 量 26,168 18,436 14,710 10,593 7,361
(㎥)
下 水 道 料 4,226,904 2,974,320 2,397,708 1,703,754 1,180,170
金(円)
上 下 水 道 10,109,880 7,187,184 5,520,636 3,794,850 2,618,514
料金(円)
光熱費 32,329,830 20,381,546 11,773,756 9,762,962 4,486,000
合計(円)
光 熱 水 費 42,439,710 27,568,730 17,294,392 13,557,812 7,104,514
合計(円)
・各給食センターの電気ガスのデータは,平成26年10月分から平成27年9月分
までの1年間分,上下水道のデータは,平成26年9・10月分から平成27年7・8月
分までの1年間分である。なお,都市ガス欄の数値は,すこやか・桜・茎崎が
都市ガス,筑波は重油,大穂は灯油の料金・使用量である。上下水道の使用量
は,上水道・下水道ともに同じ数値である。
・給食提供対象者数(27年4月):すこやか(8,657人),桜(6,096人),茎崎(3,
イ すこやか給食センターと他給食センターとの主要熱源等料金・使用量比較
項目 すこやか① 桜・茎崎② 桜・筑波③ ①-② ①-③
電気料金 17,780,555 10,648,105 10,707,407 7,132,450 7,073,148
(円)
同使用量 679,991 388,932 299,632 291,059 380,359
(Kwh)
都市ガス 14,549,275 21,507,197 19,437,101 △6,957,922 △4,887,826
料金(円)
同使用量 132,845 194,211 上記は,ガ △61,366 上 記 は ,
(㎥) ス・重油の ガ ス ・ 重 油
合算 の合算
上下水道 10,109,880 12,707,820 10,982,034 △2,597,940 △872,154
料金(円)
同使用量 26,168 33,146 29,029 △6,978 △2,861
(㎥)
光熱費 32,329,830 32,155,302 30,144,508 174,528 2,185,322
合計(円)
光熱水費 42,439,710 44,863,122 41,126,542 △2,423,412 1,313,168
合計(円)
給食提供 8,657 9,583 8,351 △926 306
対象者数
1 光 熱 3,735 3,355 3,610 380 125
人 費(円)
当 光 熱 4,902 4,682 4,925 220 △23
た 水 費
り (円)
・この表は,すこやか給食センターと同規模の給食提供対象者数にするために
既存の給食センターを組み合わせて,比較したものである。
(4) 施設等写真
① 施設全景
②消毒保管庫
④揚げ・焼き物室調理機器
⑤生ごみ処理設備
⑦アレルギー対応調理室