力学演習 小テストNo.2 (July 14, 2011) 空気抵抗を伴う落下運動 1 問題1. 質量mの質点を点Oから初速度0で静かに落下させる。このとき質点には速度に比例する空気抵 抗f = −kmv,(k ≥0)が働くとする。点Oが十分高い点だとして以下の問いに答えよ。
1-1. 鉛直下方をy軸の正の方向とし,点Oの y座標を0として運動の概略図を描け。初期条件お よび落下中に作用する力が分かるようにする。重力 加速度はgとせよ。
mg
mg
t=0
t
y
y=0
-kmv
v=0
v(t)
1-2. kの次元を求めよ。 物理量Aの次元を[A]と書く。
[kmv] = [f ] [k]M LT−1= M LT−2
∴[k] = T−1= (時間の逆数). (1)
1-3. 運動方程式を立てよ。
左辺をyまたはvで書いた方程式を列記すると md
2y
dt2 = mg − kmv, mdv
dt = mg − kmv. (2)
ベクトル表記を用いると
md
2y
dt2 = mg − kmv, mdv
dt = mg − kmv となる。
1-4. y方向の速度v(t)を求めよ。 運動方程式(2)より
dv
dt = −k(v − g k )
∫ v(t) 0
dv v −kg = −
∫ t 0
k dt [log(v −g
k )]v(t)
0 =[−kt] t 0
log
v(t) −kg
−gk
= −kt. (3)
後で分かるようにlogの引数は負にならないので
∴v(t) = g k−
g ke
−kt= g
k(1 − e
−kt) (4)
1-5. 十分時間が経った後(t ≫ k−1)での速度 v∞を求めよ。
kt ≫1すなわちe−kt ≪ 1なので,上で求めた 速度(4)より
v∞: = lim
kt→∞v(t) = limkt→∞
g k(1 − e
−kt)
≃ g
k (5)
と求まる。
1-6. kt ≪1としてv(t)をkの1次まで展開 し,k= 0のとき自由落下の結果と一致することを 確かめよ。
(4)式の指数に 1
k がかかっているので,v(t)をk の1次まで展開するには,その指数をkの2次まで 展開する必要がある。
v(t) ≃ g k−
g
k(1 − kt + 1 2k
2t2+ O(k3))
= g k−
g k+ gt −
k 2gt
2+ O(k2)
= gt −k 2gt
2+ O(k2) (6)
となる。従ってk= 0のとき,自由落下の結果と一 致する。