難治性自己免疫疾患を克服する

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難治性自己免疫疾患を克服する

大学院医学研究科 教授

渥美

あつみ

達也

たつや

(医学部医学科)

専門分野 : 医学,内科学,膠原病学

研究のキーワード : 内科,薬物治療,自己免疫,血栓症,流産

HP アドレス : http://www.hucc.hokudai.ac.jp/~e20677/

何を目指しているのですか?

人間の病気は、悪性疾患と良性疾患に大きく分かれます。「癌」に代表される悪性疾患は、 人間の生命を直接奪う病気です。一方、「炎症」に代表される良性疾患には多種多様で、「感 冒」のように簡単に治癒してしまう急性の感染症から、治療ができないため疾患が持続し (慢性)、そのために生活の質がそこなわれたり、結果的に生命が奪われてしまうものまで あります。悪性疾患ではないのに、原因が不明で、治療が難しい疾患のことを「難病」とよ びます。

膠原病は難病の代表です。その病態(病気のなりたち)は、本来は細菌やウイルスに対 して身体を防御するために存在する免疫というちからが自分自身の臓器に対しておこって しまう「自己免疫」とよばれる現象です。自己免疫がおこるメカニズムは不明ですので、根 本的に膠原病を治癒させる方法はありません。私たちがとくに研究対象としてとりくんで

出身高校:北海道小樽潮陵高校

最終学歴:北海道大学大学院医学研究科

医療

私たちの研究によって明らかになってきた抗リン脂質抗体症候群の血栓メカニズム

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いるのが、「抗リン脂質抗体症候群」という疾患です。この疾患は、自己免疫現象の結果と して体内に産生される「抗リン脂質抗体」という自己抗体によって血栓症や流産をおこす 疾患です。

血栓症とは、血管のなかに血栓というかたまりができてしまい、血液のながれがとだえ てしまうことによっておこる疾患です。全身のどこにでもできますが、抗リン脂質抗体症 候群でいちばん多い血栓症は、脳梗塞です。脳梗塞をおこしてしまうと、脳が障害される ので、半身不随や寝たきりになったり、死亡することもあります。流産も抗リン脂質抗体 症候群の代表的な症状で、妊娠の後半に胎児が育たなくなってしまいます。そして、血栓 症も流産も、何度も反復してしまうのが抗リン脂質抗体症候群の特徴なのです。

私たちは、血栓症や流産をおこさないようにする治療法を開発するため、この症候群の メカニズムを解明するために研究をつづけています。

どのように研究をすすめているのですか?

私たちの講座は、臨床医学の講座ですので、北海道大学病院での診療をおこなっていま す。日々の診療のなかで、北大病院を受診した抗リン脂質抗体症候群の患者さんの臨床経 過を解析し、フォローアップをおこなっています。そして、遺伝子や自己抗体プロフィー ルなど、血栓症や流産のリスク因子を解析しています。リスクに応じた治療方針をたてる ことが目標です。

それと並行して、培養細胞やマウスを用いて、抗リン脂質抗体がどのように血栓傾向や 妊娠合併症をもたらすかを分子レベルで解析しています。この症候群の血栓傾向と関連す る分子をプロテオミクスという手法で探したり、見つかった分子の局在や機能を解析した りして、なぜこの病気がおこるのかを

次第に明らかにしています。病気のメ カニズムが解明できれば、それを人為 的にコントロールする薬物をつくるこ とができますから、抗リン脂質抗体症 候群の「特異的治療」を開発することが できます。

近い将来、抗リン脂質抗体症候群に 限らず、膠原病の治療法が開発され、 膠原病が「もはや難病ではない」といわ れる日が来ると信じて研究をすすめて います。

研究成果を米国リウマチ学会(シカゴ)で発表

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