2012年7月24日
JEPA 第11回 EPUBセミナー ~EPUB 3と文字~
IVSとのつきあい方
狩野 宏樹
株式会社イワタ 技術部
IVS利用環境の現在
IVS フォントの実装
・2007 年 8 月
小塚明朝 Pr6N ・小塚ゴシック Pr6N (Adobe)
(Ver. 6.003, 各 6 ウェイト)
・2008 年 12 月
InDesign CS4 にバンドル
(単品でも購入可能)
IVS フォントの実装
・2011年1月
イワタから 52 フォント同時発売
イワタ細明朝体・イワタ中細明朝体・イワタ中明朝体・ イワタ太明朝体・イワタ明朝体オールド・イワタ中明朝 体オールド・イワタ太明朝体オールド・イワタ細ゴシッ ク体オールド・イワタ中ゴシック体オールド・イワタ中 太ゴシック体オールド・イワタ太ゴシック体オールド・ イワタUD明朝R・イワタUD明朝M・イワタUD明朝 D・イワタUD明朝かなA (R/M/D)・イワタUD明朝 かなB (R/M/D)・イワタUD明朝かなC (R/M/D)・ イワタUD明朝かなD (R/M/D)(Pr6/Pr6N両対応)
IVS フォントの実装
・2011 年 10 月
游明朝体 Pr6/Pr6N R (字游工房; 2012-05: M/D 追加)
・2011 年 12 月
筑紫明朝 Pr6/Pr6N(フォントワークス; 6 ウェイト)
・2012 年 3 月
イワタ UD ゴシック(表示用/本文用)・ イワタ UD 丸ゴシック 11ウェイト発売
現在100フォント以上が利用可能
OS の対応状況
・Windows
XP…豆腐が出る Vista…無視される Windows 7 以降で表示に対応
・Mac OS X
10.6 以降で表示に対応
10.7 のヒラギノは IVS 対応 ※ ProN のみ (Pro は非対応)
・InDesign
CS4 以降で対応(編集操作に注意)
注 意 点
基本的な注意点
・漢字にしか使えない 特に‼には注意
・細かい違いしか区別できない
Unicode で最初から区別されてるかも
「淸 精 」
IVS が必要なのはどれ?・コレクションが二つある
Adobe-Japan1 と Hanyo-Denshi
環境に関する注意点
・表示を保証する物ではない
区別して表示できる環境を用意するのは利用者の責任 部分的に表示失敗している場合見分けにくい
・欲しい文字が用意されているとは限らない
※ DTP で使えなかった漢字は使えない
・フル実装であるとは限らない
・最新版の仕様を実装しているとは限らない
互換性の問題ある文字
・実用上困る文字はないが一応注意
・Adobe-Japan1-6 の追加漢字
MacOS X のヒラギノでは出ない
U+9721,E0100
霡
/
霡
U+9721,E0101
U+83BD,E0100
莽
/U+83BD,E0101
莾
など
・2012 年 3 月に IVS が追加された字
工
U+5DE5,E0100
/
工
U+5DE5,E0101
など
書体に依存する問題
・Adobe-Japan1 の字形判別規準は細かい
悲
60B2/00
/
悲
60B2/01
偉
5049/01
/
偉
5049/02
邉
9089/00
/
邉
9089/01
など
・識別は明朝体をベースにしている
叉
53C9/00/叉
53C9/01延
5EF6/00/延
5EF6/01/延
5EF6/02 に対し
叉
53C9/00
/
叉
53C9/01
延
5EF6/00
/
延
5EF6/01
/
延
5EF6/02
(IVS 対応フォントでヒゲありの延を実装したゴシック体はない)
イワタ Pr6/6N 書体の字形ポリシー
・もともと CID と字形の対応が異なっていた
次
CID-2253/CID-13799次
/CID-13800次
に対し次
CID-2253/CID-13799次
/CID-13800次
・CID と VS の対応を変えて互換を取る
次
U+6B21(次
6B21/00/次
6B21/01/次
6B21/02)を次
U+6B21(次
6B21/00/次
6B21/01/次
6B21/02)・字形は変えず最も近い物を引き当てる
茨
U+8328 (茨
8328/00/茨
8328/01) に対し茨
U+8328 (茨
8328/00/茨
8328/01)IVSとのつきあい方
フォント埋め込みかIVS か
・書体のデザイン的印象を重視するなら フォント埋め込みしかない
・テキストファイルに字形情報が保存できる ファイル容量では圧倒的に有利
フォントに依存しないので可搬性が高い
→ 埋め込むなら必ずしも IVS は必要ない
目的は何か?
・印刷物と同じ字形で出したい
ハウスルール…
櫛
でも櫛
でもなく櫛
Pr6Nも万全ではない…
凋
落芍
薬 音叉
→ テキスト段階で一括置換・複数の字形を使い分けたい
旧字体と新字体の混在/人名などの固有名詞 → いずれにしろ、字体指定は原稿整理の段階で
原稿整理
・アナログ時代
日本エディタースクール編
『原稿編集ルールブック−原稿整理のポイント』
p.67 より引用
・文選は印刷会社から著者/編集の仕事に変化
・字体指定もそうなるべきでは?
文庫化などのテキスト再利用の省力化の為に。
(もちろん電子化も)
今やるべき事
・ソフトウェア環境はこれから急速に整備される
・実用にはまだ難がある
InDesignでIVSつき�字にルビをつけると…
・GSUBとの併用は避ける
「DTP段階で字形に触らない」ワークフローの組換え
・IVS テキストもやはり腐る
テキストと字体指定は分離して保管
・置換定義(字形のハウスルール)を整備しておこう
足りない物に気付くこともあるはず