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為替レート変動相場制度と固定相場制度 国際金融論 kurosawalab

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Academic year: 2018

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(1)

国際金融論(黒沢):講義アウトライン 

        

為替レート(2)固定相場制度と変動相場制度

[参考図書] ①「現代外国為替論」有斐閣(コンパクト)②『為替レートの経済学』東洋経 済新報社:訳本・ピーター・アイザルド著)

はじめに

固定相場制度と変動相場制度の基本的違い(1)

 *固定制度は自国通貨のレートを他国の通貨に固定、中央銀行が介入  *変動レート制度はレートを市場に任せる、中央銀行は必要なときのみ介入  

固定相場制度と変動相場制度の基本的違い(2)

 *固定制度はレート堅持のため金融政策を通じてマクロ経済が制約を受ける  *変動制度はレート変動を通じてマクロ経済が影響を受ける

  為替レート E

◎ [ミニット・ペーパー問題] 現代の日本において、アメリカ(ドル)との取引を行 1

外国通貨との交換レート(\/$)

外国通貨との交換量 外国通貨の 供給量

外 国 通 貨 の 需 要量

P \/$

Q

$ に 対 す る 需 要が増加

中央銀行が外国通貨の 供給を増加させる(市 場介入:固定制度) 変動レート

供給 S

需要 D 固定レート

Q

変動制度:

経常赤字(介入しない)・・ドル高/ 円安・・輸出増加・・外貨供給増加

固定制度:

経常赤字(外貨保有に限度がある 場合)・・金融引き締め(金利ア ッ プ ) ・ ・ 生 産 減 少 ( 景 気 停 滞)・・

輸入減少・・外貨需要減少

(2)

うに際して、固定相場制度か、変動相場制度か、それとも金本位制度のなどでどの制度が 最も良いと思いますか?良いと思う制度の理由、良いと思わない制度の理由を簡単に書 いてください。

A.固定相場制度

  (a) ブレトンウッズ体制(IMF 体制)      ●IMF条約による3つのポイント

1. 中央銀行が介入する義務(日本の場合 1 ドル=360 円)

2. 経常取引(貿易収支など)は為替規制禁止(IMF 8条)、資本取引は 規制

3. アメリカは1オンス(31.1 グラム)=35 ドル(当時の値段で1グラ ム=約 405 円)の換算率で金に交換する義務がある

     ●崩壊の理由

      1971 年 8 月 15 日のニクソン声明(金・ドル交換停止)によって中断       同年 12 月 19 日に再び固定制度(スミソニアン体制、1 ドル=308 円)       1973 年 2 月 12 日に固定相場制度が崩壊し変動相場制度に移行

1. 流動性ジレンマ(アメリカの赤字、ドルの信認の両者を同時に必要) 2. ヨーロッパ、日本の経済復興(金交換価格の維持が困難)

(b) ヨーロッパの固定相場制度と通貨統合

● ヨーロッパは古くから固定相場志向が強い

ラテン通貨同盟(1865~1878、教科書 69 頁) ローマ条約(1957:ジャン・モネ、為替政策考慮) EC委員会によるスネーク制度(1972)

欧州通貨制度(EMS)スタート(1979、ERM による域内固定制度)

EU通貨統合

マーストリヒト条約発効(1993、EU 発足、通貨統合基本合意)       欧州中央銀行(ECB)発足(1998)

      EU 通貨統合 11 カ国開始(1999):2011 年現在 17 カ国が参加       EU 通貨統合国の旧通貨廃止(2002)

    ● 発展途上国・中進国などのドル・ペッグ制度、その他種々の固定制度     

  (c) 金本位制度

    ● 1816~1929 年まで 100 年以上存続 2

(3)

1945~1971 年のブレトンウッズ体制も金為替本位制度

● 金本位為替レートは事実上固定為替レート(自動調整メカニズム)

(通貨のなかの金の含有量を定める・通貨発行量は金の量に依存・兌換可 能)

       貿易赤字 → 金が流失 → 国内通貨量減少(金の量=通貨の発行 量) → 国内価格低下(貨幣数量説:MV=pT)→ 輸出増加 → 金が流入

 貿易収支均衡 → 為替レートは維持される(元に戻る)

(事実上の固定レート、自動調整メカニズム)

    ● 崩壊の理由(労働組合の強化、アメリカの金融政策)     

   国内通貨量減少 → 国内価格低下 → 企業活動停滞 → 失業の増 加

 労働組合が賃金を下げない → 物価が十分下がらない 

 金の流失が止まらない(自動調整作用の効果低減)

       アメリカに大量の金が流入(1920 年代のアメリカ貿易黒字)

 物価上昇を避けるため通貨を吸い上げる金融政策実施

 他国の金が減少

(1880~1896 年のアメリカの不況:金が不足、物価 23%下落、オズ の魔法使いと 1896 年大統領選挙)

B.変動相場制度

経常収支の自動調整(1973年変動相場制移行時の IMF の考え方)

(変動為替レートが経常収支を調整する=フロー・アプローチ、中央銀 行の介入義務なし)

実際には日米不均衡

(ダーティー・フロート、1985 年プラザ合意)

● 最近、不均衡があまり問題にならない理由

(収益性の高いところに資本が移動する=国際資本移動)

● 米ドル・ペッグ制度とアジア通貨危機 3

(4)

(97 年~98 年、固定制度は投機の対象になる)    

おわりに

 固定相場制度と変動相場制度のどちらが良いのか?

*固定相場制度    プラス面

為替交換コストがない

     企業は輸出・輸入の計画が立てやすい   

 マイナス面   

切り上げ・切り下げのショックが大きい      金融政策が影響を受けやすい

(介入による通貨供給量の変動)

      (希釈化、ステラライゼーションの必要性)

*変動相場制度    プラス面

通貨価値の市場調整が可能

   マイナス面   

資本移動を伴う流出入の影響を受けやすい(アジア通貨危機)

4

参照

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