1
行 政 視 察 等 報 告 書
平成29年3月7日 長野市議会議長 小 林 義 直 様
報告者氏名(代表)
農林業振興対策特別委員会 委員長 岡 田 荘 史 ○印 この度、行政視察をしましたので、その概要について下記のとおり報告いたします。
記 1 視察区分 農林業振興対策特別委員会行政視察
2 視察者氏名 岡田 荘史、望月 義寿、寺沢さゆり、田中 清隆、小林 治晴、 阿部 孝二、西村 裕子、つげ 圭二、黒沢 清一
3 随 行 者 書記 矢野 正徳
4 視察期間 平成29年1月24日(火)∼ 平成29年1月26日(木) 5 視察先及び視察事項
視 察 先 視察日時 視 察 事 項
石川県 金沢市
1月24日(火) 午前10時
(1) 金沢市農業プランについて (2) 金沢農業大学校の取組について 兵庫県
神戸市
1月25日(水) 午前10時
(1) 「食都神戸2020」構想について (2) 神戸ワイナリーについて
静岡県 浜松市
1月26日(木) 午前9時30分
(1) 浜松市森林・林業ビジョンについて (2) 浜松市農業振興基本計画について
2 6 調査概要
月日
視 察 地
(市町村名等)
考 察
(所感、課題、提言等) 1/24
(火)
1/25
(水)
金沢市
神戸市
【金沢市農業プランについて】
[概要]
平成19年に「金沢の農業と森づくりプラン」を策定してから 約10年が経過することから、農林業の持続的な発展と農山村の 活性化を推進するため、施策の方向や目標、取組を明確にした 新たなプランが策定された。
平成37年度を目標年次としており、①多様な担い手の育成・ 確保、②金沢産農産物の魅力向上と生産拡大、③活力ある農山 村づくり、を目指し、数値目標が設定されている。
[考察]
金沢市は、都市近郊型農業であり、農地面積、農家数及び農 業就業人口が減少傾向にあり、高齢化も進んでいる。生産基盤 整備を進めると共に、担い手に農地を集積し、効率的、持続的 な営農を目指し、加賀野菜のブランド化、販売力強化及び生産 量確保に力を入れているのが印象的であった。
【金沢農業大学校の取組について】 [概要]
新たな担 い手の育成と市 民の農業に対する 理解を深める目 的で、平 成18年3月、金沢 農業大学校を設立した。研修期間 は2年間 であり、金沢市で 就農できる18歳以上65歳以下の者 を対象と している。金沢市 農業センターや篤農家の元での講 義や栽培 実習・技術習得、 市場等での流通状況の視察、就農 計画の作 成などを実施して いる。また、市民向けには、講座 や加賀野菜の栽培実習などを行っている。
[考察]
担い手となる新規就農者を増やすために、充実した講座や実 習が用意され、就農に必要な初期投資への助成制度を設けると 共に、指導者とマンツーマンで営農計画を作成し、卒業後も相 談にのれる体制が整備されるなど、農業が続けられるきめ細か い 対 応 を し て い た の が 印 象 的 で あ っ た 。 金 沢 市 農 業 セ ン タ ー は、加賀野菜の担い手を育成するために整備したとのことで、 ブ ラ ン ド 化 に 本 気 で 取 り 組 ん で い る 様 子 が 伝 わ っ て き た 。 ま た、併設して市設置の加工所は、多くの利用者でにぎわってい た。伝統的な農産品である加賀野菜を未来につなげていく、ブ ランド化により農業者の所得向上に結びつけていく、強い意思 が伝わる視察であった。
【「食都神戸2020」構想について】
[概要]
神戸市は、政令指定都市中6位の農業産出額を誇り、兵庫県 下においても、果物の生産額が1位、野菜の生産額と海苔の生 産量が2位、花きの生産額が3位、畜産物の生産量が4位とい う農漁業市であるが、神戸ビーフ、神戸ワイン以外は認知度が 低いこと、今後の担い手不足 が課題である。故 に、「食」とい う切り口からブランド化に取り組み、国内外へ情報発信してい る。そこで、「神戸」自体 の知名度が高いことを活かし、神戸 の農水産物や食を伝えるため、季節の食材を紹介し、誰がいつ 作っているのか、どこで買えるのかという情報をわかりやすく
3 1/26
(木)
浜松市
発信し、市民と一緒に神戸の地産地消を進める「プラットフォ ーム」 や、「EAT LOCAL KOBE」フ ァーマーズマー ケット、さら に消費者に畑に来てもらい収穫、料理、食事を楽しんでもらう ファーム・ビジット等に取り組んでいる。
[考察]
農 業 振 興 と い う と 生 産 者 側 か ら 考 え が ち だ が 、 消 費 者 側 の
「食」の視点から取り組んでいたのが印象的であった。海外の先 進都市のポートランド及びサンフランシスコの事例を取り入れ、 地元の農水産物の振興、情報発信、輸出を考えているところが、 国際都市神戸ならではと、参考になった。
【神戸ワイナリーについて】 [概要]
周辺農地の水不足を解消するため、1971年から着工した国営 の農業用水事業と共に農地開発事業が行われ、1976年から1992 年にかけて果樹用農地が誕生した。気候、土壌条件に適してい る ワ イ ン 用 ブ ド ウ の 生 産 と ワ イ ン 醸 造 が 始 ま る 。 現 在 は 、
(財)神戸みのりの公社が運営している。 [考察]
地元産のブドウを使用し、質の高いワインを生産、販売して いたが、ワインブームの沈静化により販売量は減少し、原料の 生産調整を行い、在庫の抑制を進めて事業の安定化を図ってき たとのことであった。有料であった農業公園の入場料も無料化 し、気軽に訪れる環境づくりを図りつつ、ワイナリーの見学や ワインショップの運営、カフェでの飲食、バーベキュー場や陶 芸館等を整備し、存続に力を注いでいる。
【浜松市森林・林業ビジョンについて】
[概要]
平成17年7月、12市町村が合併にしたことにより、新「浜松 市」は、広大な森林を擁することになった。森林率66%、人工 林率76%の資源を活かすべく、平成19年3月、浜松市森林・林 業ビジョンを策定し、中長期的(30年後)な視点で浜松市の森 林・林業のあるべき姿(将来 像)、森林経営・管理の方針が示 された。
特に、WWF(世界自然保護基金)を中心として発足した国 際認証であるFSC森林認証取得を積極的に推進しており、適 切に管理され持続可能な森林経営を行う姿勢を明確にするとと もに、SFC森林認証により木材の高付加価値化を図り、消費 者の選択的購買の促進へつなげ、林業者の収入増のための取組 を進めている。
FSC森林認証マークは、イギリス王室ウィリアム王子ロイ ヤルウエディングやオバマ大統領就任式典招待状に表示されて いる。また、ティファニーやグッチ等のブランド品にも表示さ れる等、欧米では意識の高い消費者から認識・推奨されている とのこと。
伊勢志摩サミットでは、FSC認証材で製作した、会議用テ ーブル、シェルパ机、三角プレート、コースター、尾鷲わっぱ が使用された。
[考察]
公共施設を中心にFSC認証材を積極的に使用し、地元木材 の利用促進を図ると共に、条件を満たせない場合にも「プロジ
4
ェクト認証制度」を使い施設を整備するなど、施設の高付加価 値化を進めている。また、環境に配慮された天竜杉(FSC認 証材)使用の大切さの啓発、木育に関する取組、公共部門にお ける地域材利用促進に関する基本方針を定め、学校をはじめと した公共施設でのFSC認証材利用の促進及び天竜材の家百年 住居る事業による新築住宅及び店舗におけるSFC認証材使用 に対する補助を実施している。
さらには、東京オリンピック・パラリンピック関係施設への 天竜材供給を目指した取組、輸出に向けてのマーケット調査な ど、本格的な取組が行われている。長年、山に手を入れ続ける ことの大切さと積極的な取組の重要性を実感した。
【浜松市農業振興基本計画について】 [概要]
浜松市は、総農家数が全国1位、農家人口が全国2位の農業 市であり、みかん、チンゲン菜、ガーベラ、ネーブルオレンジ の産出額も日本一である。基幹産業であり、多面的機能を有す る農業を振興するため、農業振興基本計画を策定して取り組み を進めている。
基本理念で定められた「はままつ農業」は、土地利用と農業 経営形態によって6つに類型 化し、「笑顔がみえる農業」を目 指してい る。6つの類型は、「はりきる農業」、「ひきしめる農 業」、「ねばる農業」、「つづける農業」、「つなげる農業」、「たの しむ農業」である。
7つの基本方針(1.担い手の育成・確保、2.農地と水の 確保、3.豊かな産地の育成、4.農業と環境との共生、5. 食の安全性とブランド化、6.農商工の連携、7.魅力ある都 市と農山村交流)の下、定められた基本施策に基づき、農業振 興が進められている。
[考察]
担い手の育成・確保に、ユニバーサル農業を積極的に取り入 れていたのが印象的であった。障がい者の社会参画や生きがい づくり、農業経営の改善や多様な担い手の育成に生かす発想と 効果について、是非、本市でも取り組んでいきたい。