ベイズ統計
はじめに簡単なゲームをやって
みましょう
モンティ・ホール問題
(Monty Hall problem)
http://ja.wikipedia.org
1 つのドアの後ろに景品がある
のこり 2 つのドアははずれ(ヤギ=はずれ)
問題 (1/3)
プレイヤーの前に 3 つのドアがあっ
て、 1 つのドアの後ろには新車(=あた
り)が、 2 つのドアの後ろにはヤギ ( =
はずれ ) がいます。
プレイヤーは新車のドアを当てると新車
がもらえます。
問題 (2/3)
プレイヤーが 1 つのドアを選択した後、司会
者が残りのドアの内、ヤギがいるドアを開け
てヤギを見せます。
問題 (3/3)
ここでプレイヤーは最初に選んだドアを、
残っている開けられていないドアに変更し
ても良いと言われます 。
プレイヤーはドアを変更すべきでしょ
うか?
まとめると…
(1) 3 つのドアに、景品、ヤギ、ヤギがランダムに
入っている。
(2) プレイヤーはドアを 1 つ選ぶ(この時点でドア
を開けてはいけない)。
(3) 司会者は残りのドアのうち 1 つを必ず開ける。
(4) 司会者の開けるドアは、必ずヤギの入っている
ドアである。
(5) 司会者はプレーヤーにドアを選びなおしてよい
と必ず言う。
実験してみましょう
確率を計算してみましょう
プレーヤー 1 回目 司会者 プレーヤー 2 回目
http://e-poket.com/illust/10nekokuruma.htm
A B
A B
A B
A B
A B
B A
http://www.misaki.rdy.jp/illust/doubutu/riku/big/sozaitext/yagi101.htm
①
②
③
④
⑤
⑥
1 回目が当たりのケース→⑤と⑥
プレーヤー 1 回目 司会者 プレーヤー 2 回目
A B
A B
A B
A B
A B
B A
①
②
③
④
⑤
⑥
1 回目が当たりの確率
3
1
2 回目が当たり→ 1 回目は
はずれ
1 回目がはずれのケース→①~④
プレーヤー 1 回目 司会者 プレーヤー 2 回目
A B
A B
A B
A B
A B
B A
①
②
③
④
⑤
⑥
ところが…
プレーヤー 1 回目 司会者 プレーヤー 2 回目
http://e-poket.com/illust/10nekokuruma.htm
A B
A B
A B
A B
A B
B A
http://www.misaki.rdy.jp/illust/doubutu/riku/big/sozaitext/yagi101.htm
司会者が教え てくれる!
①
②
③
④
⑤
⑥
司会者がルール上選べないケース→①と④
プレーヤー 1 回目 司会者 プレーヤー 2 回目
http://e-poket.com/illust/10nekokuruma.htm
A B
A B
A B
A B
A B
B A
http://www.misaki.rdy.jp/illust/doubutu/riku/big/sozaitext/yagi101.htm
①
②
③
④
⑤
⑥
1 回目がはずれと仮定→自動的に②か③(当たり)を選ぶこと になるプレーヤー 1 回目 司会者 プレーヤー 2 回目
A B
A B
A B
A B
A B
B A
①
②
③
④
⑤
⑥
2 回目が当たりの確率
2 回目が当たりの確率
= 司会者がはずれを見せてくれた上で、 1 回目が
はずれと予想する確率
= 1 – 1/3
=
3
2
この話のミソ
司会者が「はずれ」を見せてくれるというヒントを
、うまく利用している
確率の問題としては…
「司会者がはずれを引く」という条件下で
、 2 回目が当たりの確率を計算をしている
→ 条件付確率
何に使うの?
迷惑メールフィルタ
元メール
迷惑メール フィルタ
辞書
魚の移動経路の推測
遠洋水産研究所 岡村寛
http://cse.fra.affrc.go.jp/kiyo/home/pop/intro/Topics/entori/2008/9/13_Sampling_and_data_workshop_in_Yamaguchi_files/okamura080913.pdf
気象予報
シミュレーション ベイズ統計利用 実測値
降水量
ベイズの定理
お題
確率についておさらい
条件付確率
乗法定理
ベイズの定理
確率についておさらい
例:トランプのカードを引く
スペード 13 枚、ハート 13 枚、クラブ 13 枚、ダイヤ 13 枚
ジョーカー 1 枚 計 53 枚
スペードを引く確率は?
答
カードの総数
スペードの枚数
答
カードの総数
スペードの枚数
53
= 13
事象
統計学では何かの出来事のことを、
「事象」と言ったりします。
使用例:
スペードを引くという事象
事象を記号で略記する
「スペードを引くという事象」を、毎回書くのは面
倒なので、
「スペードを引くという事象」を事象「 A 」と定義
する、一回書いた後は、
「スペードを引くという事象」のことを「 A 」と略
記することがあります。
模式的に書けば…
「スペードを引く」事象
=A
積事象 , ∩
http://ja.wikipedia.org
A∩B = 事象 A と事象 B が同時に起こる
A キャップ B
条件付確率
事象の定義
スペードを引くという出来事
(事象)→「 A 」とする
絵札を引くという事象→
「 B 」とする
事象の定義
スペードかつ絵札を引く確率 , P(A∩B)
「スペードかつ絵札を引く」=「スペードの絵札を
引く」
事象の定義
引いたカードがスペードだったとき、その
カードが絵札だったという事象
→ 「 B|A 」と書くことにします
より正確に言うと…
B|A =
A が起こったという条件のもとで、 B が
起こるという事象
これらの事象が起こる確率
を求めてみましょう
スペードを引く確率 , P(A)
P(A)=13/53
スペードかつ絵札を引く確率 ,
P(A∩B)
P(A∩B)=3/53
スピードを引いたとき、それ
が絵札である確率 , P(B|A)
P(B|A)= 3/13
条件付確率の定義
P(B|A)= P(A∩B)
P(A)
ほんとう?
P(A∩B)
P(A∩B)=3/53
P(A)
P(A)=13/53
P(B|A)
P(B|A)= 3/13
たしかめてみました
P(A∩B)/P(A)
=
= 3/13
= P(B|A)
3
13
53
53
乗法定理
P(A∩B)= P(A) P(B|A)
= P(B) P(A|B)
A,B を入れ替える
ベイズの定理
ベイズの定理の導出
乗法定理より、
P(A) P(B|A) =P(A∩B)= P(B) P(A|B)
P(B)
A)
|
P(A)P(B
B)
|
P(A
モンティー・ホール問題の解釈
問題の整理
A B C
A: プレイヤーが最初に選んだ扉
B: 司会者が選んだ扉(はずれ)
C: プレイヤーが 2 番目に選んだ扉
事前確率の定義
A の扉があたりの確率 →
P(A)=1/3
C の扉があたりの確率 →
P(C)=1/3
A B C
A: プレイヤーが最初に選んだ扉 B: 司会者が選んだ扉(はずれ) C: プレイヤーが 2 番目に選んだ扉
尤度の定義
P(B|A) → A があたりのときに,司会者が B
を開ける確率 =2/3
P(B|C) → C があたりのときに,司会者が B
を開ける確率 =1
A B C
A: プレイヤーが最初に選んだ扉 B: 司会者が選んだ扉(はずれ) C: プレイヤーが 2 番目に選んだ扉
事後確率の定義
P(C|B) → 司会者が B を開けたとき
に、 C が当たりである確率
A B C
A: プレイヤーが最初に選んだ扉 B: 司会者が選んだ扉(はずれ) C: プレイヤーが 2 番目に選んだ扉
ベイズの定理より…
3
2
3
1 1
3
1
2
1 3
1 1
C)P(C)
|
P(B
A)P(A)
|
P(B
C)P(C)
|
P(B
B)
|
P(C
P(C|B)
= 司会者が B を開けたのを見て、プレー
ヤーが A から C に扉を変更した場合に当た
る確率 = 2
3
プレイヤーが最初に選択した A が当たりで
ある確率
= 1
3
例題 小売店である会社の製品のなかに不良
品がみつかった。その不良品がその会
社のどの機械でつくられたか調べる
機械は 3 つあるとする
機械 A, 機械 B, 機械 C
A, B, C → 原因
事象の定義
製品が機械 A からつくられたという事象→ A
製品が機械 B からつくられたという事象→ B
製品が機械 C からつくられたという事象→ C
製品が不良品であるという事象→ E
A, B, C → 原因
E → 結果
事前確率
機械 A がつくる製品数の割合→ P(A)
機械 B がつくる製品数の割合→ P(B)
機械 C がつくる製品数の割合→ P(C)
事前確率
P(A), P(B), P(C) は事前に分かっているものとする
尤度(ゆうど)
A が不良品を出す確率 P(E|A)
B が不良品を出す確率 P(E|B)
C が不良品を出す確率 P(E|C)
これらも既知とする。
知りたいこと
お店で製品を買ったとして、それが不良品だったと
する。それがどの機械で作られたものか ?
P(A|E): 不良品が機械 A で作られている確率
P(B|E): 不良品が機械 B で作られている確率
P(C|E): 不良品が機械 C で作られている確率
P(A|E) を求めてみましょう
事後確率
ベイズの定理
乗法定理より、
P(A) P(E|A) =P(A∩E)= P(E) P(A|E)
P(E)
A)
|
P(A)P(E
E)
|
P(A
ところで、 P(E) は ?
P(E)
A)
|
P(A)P(E
E)
|
P(A
排反(はいはん)
事象 A と B が同時におこらないとき , A
と B は互いに排反であるという
A∩B= A と B は互いに排反
例
サイコロを振るとき、 A を偶数目、 B を 3 の
目とすると、 A と B は互いに排反
和事象
( A カップ B )
http://ja.wikipedia.org